以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御装置について説明する。この制御装置1は、図2に示すように、ECU2を備えており、このECU2は、後述するように、内燃機関(以下「エンジン」という)3の運転状態に応じて、EGR制御処理などの各種の制御処理を実行する。
図1および図3に示すように、エンジン3は、4バルブ式直列4気筒ガソリンエンジンであり、4組の気筒3aおよびピストン3b(1組のみ図示)と、気筒3a毎に設けられた一対の吸気弁4,4および一対の排気弁7,7(いずれも1つのみ図示)とを有しているとともに、図示しない車両に搭載されている。
エンジン3は、吸気カムシャフト5および吸気カム6を有するとともに各吸気弁4を開閉駆動する吸気側動弁機構40と、排気カムシャフト8および排気カム9を有するとともに各排気弁7を開閉駆動する排気側動弁機構60と、燃料噴射弁10(図2参照)と、点火プラグ11(図2参照)などを備えている。
吸気カムシャフト5および排気カムシャフト8はそれぞれ、図示しないホルダを介して、シリンダヘッド3cに回動自在に取り付けられているとともに、気筒3aの配列方向に沿って延びている。この吸気カムシャフト5の一端部上には、吸気スプロケット(図示せず)が同軸に配置され、回転自在に設けられている。この吸気スプロケットは、図示しないタイミングチェーンを介してクランクシャフト(図示せず)に連結され、後述する可変吸気カム位相機構50を介して吸気カムシャフト5に連結されている。以上の構成により、吸気カムシャフト5は、クランクシャフトが2回転する毎に1回転する。
また、吸気側動弁機構40は、クランクシャフトの回転に伴う吸気カムシャフト5の回転により、各気筒3aの吸気弁4を開閉駆動するものであり、後述するように、吸気弁4のバルブタイミングを無段階に変更する可変式の動弁機構で構成されている。
さらに、排気カムシャフト8の一端部上には、排気スプロケット(図示せず)が同軸に配置され、回転自在に設けられている。この排気スプロケットは、図示しないタイミングチェーンを介してクランクシャフトに連結され、後述する可変排気カム位相機構70を介して排気カムシャフト8に連結されている。以上の構成により、排気カムシャフト8は、クランクシャフトが2回転する毎に1回転する。さらに、排気カム9は、排気カムシャフト8上にこれと一体に回転するように気筒3a毎に設けられている。
また、排気側動弁機構60は、クランクシャフトの回転に伴う排気カムシャフト8の回転により、各気筒3aの排気弁7を開閉駆動するものであり、後述するように、排気弁7のバルブタイミングを無段階に変更する可変式の動弁機構で構成されている。
一方、燃料噴射弁10は、気筒3a毎に設けられ、燃料を気筒3a内に直接噴射するようにシリンダヘッド3cに取り付けられている。すなわち、エンジン3は直噴エンジンとして構成されている。また、燃料噴射弁10は、ECU2に電気的に接続されており、ECU2により、後述する燃料噴射量TOUTに基づいて、開弁時間および開弁タイミングが制御される。すなわち燃料噴射時間および噴射タイミングが制御される。
また、点火プラグ11も、気筒3a毎に設けられ、シリンダヘッド3cに取り付けられている。点火プラグ11は、ECU2に電気的に接続されており、ECU2により、点火時期に応じたタイミングで燃焼室内の混合気を燃焼させるように、放電状態が制御される。
一方、エンジン3には、クランク角センサ20および水温センサ21が設けられている。このクランク角センサ20(負荷パラメータ検出手段)は、マグネットロータおよびMREピックアップで構成されており、クランクシャフトの回転に伴い、いずれもパルス信号であるCRK信号およびTDC信号をECU2に出力する。
このCRK信号は、所定クランク角(例えば10゜)毎に1パルスが出力され、ECU2は、このCRK信号に基づき、エンジン3の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。また、TDC信号は、各気筒3aのピストン3bが吸気行程のTDC位置よりも若干、手前の所定のクランク角位置にあることを表す信号であり、所定クランク角毎に1パルスが出力される。
さらに、水温センサ21は、エンジン3のシリンダブロック3d内を循環する冷却水の温度であるエンジン水温TWを検出して、それを表す検出信号を、ECU2に出力する。
一方、エンジン3の吸気管12には、上流側から順に、エアフローセンサ22、ターボチャージャ13、インタークーラ35、スロットル弁機構15および可変フラップ機構16(図4参照)がそれぞれ設けられている。このエアフローセンサ22は、熱線式エアフローメータで構成されており、吸気管12内を流れる新気の流量(以下「新気流量」という)GINを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。
また、ターボチャージャ13は、可変容量式のものであり、吸気管12のエアフローセンサ22よりも下流側に設けられたコンプレッサブレード13aと、排気管17(排気通路)の途中に設けられ、コンプレッサブレード13aと一体に回転するタービンブレード13bと、可変ノズル機構14と、これらを収容するハウジングなどを備えている。
このターボチャージャ13では、排気管17内を流れる排ガスによってタービンブレード13bが回転駆動されると、これと一体のコンプレッサブレード13aも同時に回転することにより、吸気管12内の空気が加圧される。すなわち、過給動作が実行される。
また、可変ノズル機構14は、ターボチャージャ13が発生する過給圧を変化させるためのものであり、複数の可変ノズルベーン14a(2つのみ図示)と、可変ノズルベーン14aを駆動するベーンアクチュエータ14bなどを備えている。可変ノズルベーン14aは、ハウジングのタービンブレード13bを収容する部分の壁に回動自在に取り付けられている。また、ベーンアクチュエータ14bは、ECU2に電気的に接続されているとともに、可変ノズルベーン14aに機械的に連結されている。
ECU2は、ベーンアクチュエータ14bを介して可変ノズルベーン14aの開度(以下「ノズル開度」という)LVNTを変化させ、タービンブレード13bに吹き付けられる排ガス量を変化させることによって、タービンブレード13bが排ガスから受け取る運動エネルギを変化させる。それにより、タービンブレード13bの回転速度すなわちコンプレッサブレード13aの回転速度が変化することで、過給圧が変更される。
一方、インタークーラ35は、空冷式のものであり、その内部を吸気が通過する際、ターボチャージャ13での過給動作(加圧動作)によって温度が上昇した吸気を冷却する。
また、スロットル弁機構15は、スロットル弁15aおよびこれを開閉駆動するTHアクチュエータ15bなどを備えている。スロットル弁15aは、吸気管12の途中に回動自在に設けられており、回動に伴う開度の変化により吸気管12内の新気流量を変化させる。THアクチュエータ15bは、ECU2に接続されたモータにギヤ機構(いずれも図示せず)を組み合わせたものであり、ECU2からの後述するTH制御入力U_THによって駆動されることにより、スロットル弁15aの開度を変化させる。
さらに、スロットル弁15aには、これを開弁方向および閉弁方向にそれぞれ付勢する2つのばね(いずれも図示せず)が取り付けられている。これら2つのばねの付勢力により、スロットル弁15aは、後述するように、TH制御入力U_THが値0に設定されているときや、TH制御入力U_THがTHアクチュエータ15bに入力されていないときには、所定の初期開度に保持される。この初期開度は、全閉状態に近い値であって、停車中はアイドル運転やエンジン始動を適切に行うことができると同時に、走行中は低速走行状態を維持できるような吸入空気量を確保できる値(例えば6゜)に設定されている。
また、吸気管12のスロットル弁機構15よりも下流側には、吸気温センサ23および吸気管内圧センサ24(いずれも図2参照)が設けられている。この吸気温センサ23は、吸気管12内を流れる空気の温度(以下「吸気温」という)TAを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。吸気管内圧センサ24は、例えば半導体圧力センサなどで構成され、吸気管12内の圧力(以下「吸気管内圧」という)PBAを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。この吸気管内圧PBAは、絶対圧として検出される。
一方、可変フラップ機構16(筒内流動変更装置)は、気筒3a内にタンブル流を発生させ、筒内流動を高めることで、混合気の燃焼速度を向上させるためのものであり、図4に示すように、気筒3a毎に設けられたフラップ16a(1つのみ図示)と、これらのフラップ16aを同時に開閉駆動するフラップアクチュエータ16bとを備えている。フラップ16aは、吸気弁4よりも若干、上流側の吸気ポート12a(吸気通路)内に配置され、その角度FAが図4に実線で示す最大角度と、図4に2点鎖線で示す最小角度との間で変更可能に構成されている。このフラップ16aの角度(以下「フラップ角度」という)FAの変化によって、吸気ポート12aの断面積が変更される。
また、フラップアクチュエータ16bは、ECU2に電気的に接続されたモータとギヤ機構(いずれも図示せず)を組み合わせたものであり、ECU2から後述するフラップ制御入力U_FAが供給されると、フラップ角度FAすなわち吸気ポート12aの断面積を変化させ、それにより、気筒3a内に発生するタンブル流の強さを変化させる。すなわち、タンブル流の強さが制御される。この場合、タンブル流は、フラップ角度FAが最大角度のときに最も強くなり、フラップ角度FAが最小角度のときに最も弱くなる。
なお、この可変フラップ機構16は、図示しない保持機構を備えており、フラップ制御入力U_FAが後述するように値0に設定されているとき、または断線などによりフラップ制御入力U_FAがフラップアクチュエータ16bに入力されないときには、保持機構によって、フラップ角度FAが上記最小角度に保持される。
さらに、エンジン3の排気管17には、上流側から順に、LAFセンサ25および三元触媒18がそれぞれ設けられている。LAFセンサ25は、ジルコニアおよび白金電極などで構成され、理論空燃比よりもリッチなリッチ領域から極リーン領域までの広範囲な空燃比の領域において、排気管17内を流れる排ガス中の酸素濃度をリニアに検出し、それを表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、このLAFセンサ25の検出信号の値に基づき、排ガス中の空燃比を表す検出空燃比KACTを算出する。この場合、検出空燃比KACTは、具体的には当量比として算出される。
一方、エンジン3には、排気還流機構19(外部EGR装置)が設けられている。この排気還流機構19は、排気管17内の排ガスの一部を吸気管12側に還流するものであり、吸気管12および排気管17の間に接続されたEGR管19aを有している。このEGR管19aの一端は、排気管17の排気マニホールドの集合部に開口し、他端は、吸気管12のスロットル弁機構13よりも下流側の部分に開口している。
また、EGR管19aには、上流側から順に、EGRクーラ19bおよびEGR制御弁19cが設けられている。このEGRクーラ19bは、エンジン3の冷却水を冷媒として用いる水冷式のものであり、EGR管19a内を流れる排ガスは、EGRクーラ19b内を通過する際、冷却水との熱交換により冷却される。
さらに、EGR制御弁19cは、リニア電磁弁タイプのもので、ECU2からの後述するEGRリフト制御入力U_LIFTに応じて、そのリフト(以下「EGRリフト」という)が最大値と最小値との間でリニアに変化するように構成されており、それにより、EGR管19a内の通路断面積すなわち排気還流量(以下「外部EGR量」という)を変化させる。
このEGR制御弁19cには、EGRリフトセンサ26(図2参照)が取り付けられており、EGRリフトセンサ26は、EGR制御弁19cの実際のEGRリフトLACTを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、後述するように、EGR制御弁19cを介して、EGRリフトLACTが目標EGRリフトLCMDに収束するように、外部EGR量を制御する。なお、以下の説明では、排気還流機構19により排気を還流させることを「外部EGR動作」という。
次に、前述した吸気側動弁機構40について説明する。この吸気側動弁機構40は、吸気カムシャフト5および吸気カム6に加えて、吸気ロッカアーム41、吸気ロッカアームシャフト42および可変吸気カム位相機構50(内部EGR装置)を備えている。吸気ロッカアーム41は、吸気カムシャフト5の回転に伴い、吸気カム6によって、吸気ロッカアームシャフト42の軸線回りに回動するように駆動され、それにより、吸気弁4を開閉する。
また、可変吸気カム位相機構50は、吸気カムシャフト5のクランクシャフトに対する相対的な位相(以下「吸気カム位相」という)CAINを無段階に進角側または遅角側に変更するものであり、吸気カムシャフト5の吸気スプロケット側の端部に設けられている。図5に示すように、可変吸気カム位相機構50は、ハウジング51、3枚羽根式のベーン52、油圧ポンプ53および吸気カム位相電磁弁54などを備えている。
このハウジング51は、吸気カムシャフト5上の吸気スプロケットと一体に構成されており、互いに等間隔に形成された3つの隔壁51aを備えている。ベーン52は、吸気カムシャフト5の吸気スプロケット側の端部に同軸に取り付けられ、吸気カムシャフト5から外方に放射状に延びているとともに、ハウジング51内に回転可能に収容されている。また、ハウジング51では、隔壁51aとベーン52との間に、3つの進角室55および3つの遅角室56が形成されている。
油圧ポンプ53は、クランクシャフトに連結された機械式のものであり、クランクシャフトが回転すると、それに伴って、エンジン3のオイルパン3eに蓄えられた潤滑用のオイルを、油路57cを介して吸い込むとともに、これを昇圧した状態で、油路57cを介して吸気カム位相電磁弁54に供給する。
吸気カム位相電磁弁54は、スプール弁機構54aおよびソレノイド54bを組み合わせたものであり、進角油路57aおよび遅角油路57bを介して、進角室55および遅角室56にそれぞれ接続されているとともに、油圧ポンプ53から供給された油圧を、進角油圧Padおよび遅角油圧Prtとして、進角室55および遅角室56にそれぞれ出力する。吸気カム位相電磁弁54のソレノイド54bは、ECU2に電気的に接続されており、ECU2からの後述する吸気位相制御入力U_CAINにより、スプール弁機構54aのスプール弁体を所定の移動範囲内で移動させることで、進角油圧Padおよび遅角油圧Prtをいずれも変化させる。
以上の可変吸気カム位相機構50では、油圧ポンプ53の動作中、吸気カム位相電磁弁54が吸気位相制御入力U_CAINに応じて作動することにより、進角油圧Padが進角室55に、遅角油圧Prtが遅角室56にそれぞれ供給され、それにより、ベーン52とハウジング51との間の相対的な位相が進角側または遅角側に変更される。その結果、前述した吸気カム位相CAINが、所定の最遅角値と所定の最進角値との間で連続的に変化し、それにより、吸気弁4のバルブタイミングは、図6に実線で示す最遅角タイミングと、図6に2点鎖線で示す最進角タイミングとの間で無段階に変更される。
なお、この可変吸気カム位相機構50には、図示しないロック機構が設けられており、このロック機構により、吸気カム位相CAINが吸気位相制御入力U_CAINに対応する値に保持される。また、油圧ポンプ53からの供給油圧が低いとき、吸気位相制御入力U_CAINが後述するように値0に設定されているとき、または断線などによりU_CAINが吸気カム位相電磁弁54に入力されないときには、ロック機構によって、可変吸気カム位相機構50による吸気カム位相CAINの変更が禁止され、吸気カム位相CAINが所定の故障時用値に保持される。
一方、吸気カムシャフト5の可変吸気カム位相機構50と反対側の端部には、吸気カム角センサ27(図2参照)が設けられている。この吸気カム角センサ27は、例えばマグネットロータおよびMREピックアップで構成されており、吸気カムシャフト5の回転に伴い、パルス信号であるINCAM信号を所定のカム角(例えば1゜)ごとにECU2に出力する。ECU2は、このINCAM信号および前述したCRK信号に基づき、吸気カム位相CAINを算出する。
次に、前述した排気側動弁機構60について説明する。この排気側動弁機構60は、排気カムシャフト8および排気カム9に加えて、排気ロッカアーム61、排気ロッカアームシャフト62および可変排気カム位相機構70(内部EGR装置)を備えている。排気ロッカアーム61は、排気カムシャフト8の回転に伴い、排気カム9によって、排気ロッカアームシャフト62の軸線回りに回動するように駆動され、それにより、排気弁7を開閉する。
また、可変排気カム位相機構70は、排気カムシャフト8のクランクシャフトに対する相対的な位相(以下「排気カム位相」という)CAEXを無段階に進角側または遅角側に変更するものであり、排気カムシャフト8の排気スプロケット側の端部に設けられている。
この可変排気カム位相機構70は、前述した可変吸気カム位相機構50と同様に構成されているので、その詳細な説明は省略するが、排気カム位相電磁弁71(図2参照)などを備えており、ECU2からの後述する排気位相制御入力U_CAEXによって排気カム位相電磁弁71が駆動されると、排気カム位相CAEXを、所定の最遅角値と所定の最進角値との間で連続的に変化させる。それにより、排気弁7のバルブタイミングは、図6に実線で示す最遅角タイミングと、図6に2点鎖線で示す最進角タイミングとの間で無段階に変更される。
なお、この可変排気カム位相機構70には、図示しないロック機構が設けられており、このロック機構により、排気カム位相CAEXが排気位相制御入力U_CAEXに対応する値に保持される。さらに、排気位相制御入力U_CAEXが後述するように値0に設定されているとき、または断線などにより排気位相制御入力U_CAEXが排気カム位相電磁弁71に入力されないときには、ロック機構により、可変排気カム位相機構70による排気カム位相CAEXの変更が禁止され、排気カム位相CAEXが所定の故障時用値に保持される。
一方、排気カムシャフト8の可変排気カム位相機構70と反対側の端部には、排気カム角センサ28(図2参照)が設けられている。この排気カム角センサ28は、例えばマグネットロータおよびMREピックアップで構成されており、排気カムシャフト8の回転に伴い、パルス信号であるEXCAM信号を所定のカム角(例えば1゜)ごとにECU2に出力する。ECU2は、このEXCAM信号および前述したCRK信号に基づき、排気カム位相CAEXを算出する。
以上のように、このエンジン3の場合、可変吸気カム位相機構50および可変排気カム位相機構70によって、吸気弁4および排気弁7のバルブタイミングをそれぞれ無段階に変更でき、それにより、燃焼行程後も気筒3a内に残留する既燃ガスの量(以下「内部EGR量」という)を、2つの可変機構50,70によって自在に変更できるように構成されている。なお、以下の説明では、2つの可変機構50,70によって既燃ガスを気筒3a内に残留させることを「内部EGR」という。
さらに、ECU2には、フラップ角度センサ29、大気圧センサ30、アクセル開度センサ31、スロットル弁開度センサ32および排気温センサ33が接続されている。このフラップ角度センサ29は、ポテンショメータで構成され、フラップ角度FAを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。また、大気圧センサ30は、半導体圧力センサで構成されており、大気圧PAを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。
また、アクセル開度センサ31(負荷パラメータ検出手段)は、図示しないアクセルペダルの操作量であるアクセル開度APを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。さらに、スロットル弁開度センサ32は、ポテンショメータで構成され、スロットル弁15aの開度(以下「スロットル弁開度」という)THを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。一方、排気温センサ33は、排気管17内を流れる排ガスの温度(以下「排気温」という)TEXを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。
一方、ECU2は、CPU、RAM、ROMおよびI/Oインターフェース(いずれも図示せず)などからなるマイクロコンピュータで構成されており、前述した各種のセンサ20〜33の検出信号などに応じて、エンジン3の運転状態を判別し、各種の制御処理を実行する。
具体的には、ECU2は、エンジン3の運転状態に応じて、後述するように、燃料噴射制御処理、EGR制御処理、タンブル制御処理、点火時期制御処理および可変機構制御処理などを実行する。これらの制御処理により、エンジン3は、その燃焼モードが圧縮着火燃焼モードと火花点火燃焼モードとの間で切り換えて運転される。
この圧縮着火燃焼モードは、燃料を圧縮行程のみで噴射することにより成層混合気を生成し、これを自己着火燃焼させるものであり、後述する圧縮着火燃焼モードの実行条件が成立しているときに実行される。なお、この圧縮着火燃焼モードの場合、成層混合気が自己着火燃焼するので、火花点火は本質的に不要であるが、失火防止と、自己着火燃焼タイミングを適切に制御することを目的として、本実施形態の後述する点火時期制御処理では、圧縮着火燃焼モードでも、点火プラグ11による火花点火が実行される。
また、火花点火燃焼モードは、燃料を吸気行程で噴射することにより、均質混合気を生成し、これを火花点火により火炎伝播燃焼させるものであり、圧縮着火燃焼モードの実行条件が不成立のときに実行される。
なお、本実施形態では、ECU2が、EGR制御手段、判定手段、筒内流動制御手段、および負荷パラメータ検出手段に相当する。
以下、図7を参照しながら、ECU2により、TDC信号の発生に同期する制御周期ΔTで実行される各種の制御処理について説明する。なお、以下の説明において算出される各種の値は、ECU2のRAM内に記憶されるものとする。
この処理では、まず、ステップ1(図では「S1」と略す。以下同じ)で、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APに応じて、図示しないマップを検索することにより、要求トルクPMCMD(負荷パラメータ)を算出する。このマップでは、要求トルクPMCMDは、エンジン回転数NEが高いほど、またはアクセル開度APが大きいほど、より大きな値に設定されている。これは、エンジン回転数NEが高いほど、またはアクセル開度APが大きいほど、より大きなエンジン出力負荷が要求されるためである。
次いで、ステップ2に進み、圧縮着火燃焼フラグF_HCCIの設定処理を実行する。この処理では、圧縮着火燃焼フラグF_HCCIが、圧縮着火燃焼モードの実行条件が成立しているとき、すなわち以下の4つの条件(f1)〜(f4)がいずれも成立しているときに「1」に設定され、それ以外のときには「0」に設定される。
(f1)排気還流機構19、可変吸気カム位相機構50および可変排気カム位相機構70がいずれも正常であること。
(f2)エンジン水温TWが所定値以上であること。
(f3)排気温TEXが所定値以上であること。
(f4)要求トルクPMCMDおよびエンジン回転数NEの組み合わせが、圧縮着火燃焼モードを実行すべき所定の運転領域にあること。
ステップ2に続くステップ3で、燃料噴射制御処理を実行する。この燃料噴射制御処理は、燃料噴射弁10を介して気筒3a内に噴射すべき燃料量(以下「燃料噴射量」という)TOUTおよびその噴射時期などを算出するものであり、その詳細については後述する。
次いで、ステップ4で、EGR制御処理を実行する。このEGR制御処理は、排気還流機構19を介して外部EGR量を制御するために、EGRリフトLACTの目標となる目標EGRリフトLCMDを算出するとともに、2つの可変機構50,70を介して内部EGR量を制御するために、排気カム位相CAEXおよび吸気カム位相CAINのそれぞれの目標となる目標排気カム位相CAEXCMDおよび目標吸気カム位相CAINCMDを算出するものであり、その詳細については後述する。
次に、ステップ5に進み、タンブル制御処理を実行する。このタンブル制御処理は、可変フラップ機構16を介してタンブル流の強さを制御するために、フラップ角度FAの目標となる目標フラップ角度FA_CMDを算出するものであり、その詳細については後述する。
ステップ5に続くステップ6で、過給圧制御処理を実行する。この過給圧制御処理では、前述した圧縮着火燃焼フラグF_HCCI=1のときには、エンジン回転数NEおよび要求トルクPMCMDに応じて、図示しないマップを検索することにより、圧縮着火燃焼モード用の目標ノズル開度LVNT_CMDが算出される。一方、F_HCCI=0のときには、エンジン回転数NEおよび要求トルクPMCMDに応じて、図示しないマップを検索することにより、火花点火燃焼モード用の目標ノズル開度LVNT_CMDが算出される。
次に、ステップ7に進み、スロットル弁制御処理を実行する。このスロットル弁制御処理では、F_HCCI=1のときには、エンジン回転数NEおよび要求トルクPMCMDに応じて、図示しないマップを検索することにより、圧縮着火燃焼モード用の目標スロットル弁開度THCMDが算出される。一方、F_HCCI=0のときには、エンジン回転数NEおよび要求トルクPMCMDに応じて、図示しないマップを検索することにより、火花点火燃焼モード用の目標スロットル弁開度THCMDが算出される。
次いで、ステップ8で、点火時期制御処理を実行する。この点火時期制御処理では、F_HCCI=1のときには、後述する圧縮着火燃焼モード用の燃料噴射タイミングおよびエンジン回転数NEなどに基づき、所定の演算手法により、圧縮着火燃焼モード用の点火時期が算出される。この圧縮着火燃焼モード用の点火時期は、前述したように、圧縮着火燃焼モードにおける失火を防止できるとともに、自己着火燃焼タイミングを適切に制御できるような値に算出される。
一方、F_HCCI=0のときには、エンジン回転数NE、要求トルクPMCMDおよびエンジン水温TWなどの各種の運転状態パラメータに応じて、マップ検索などの所定の演算手法により、火花点火燃焼モード用の点火時期が算出される。
ステップ8に続くステップ9で、可変機構制御処理を実行する。この可変機構制御処理は、前述したステップ4〜7で算出された各種の目標値に応じて、各種の可変機構への制御入力を算出するものであり、その詳細については後述する。このステップ9を実行した後、本処理を終了する。
以下、図8を参照しながら、前述した燃料噴射制御処理について説明する。この処理では、まず、ステップ20で、基本燃料噴射量TIMを算出する。この基本燃料噴射量TIMは、エアフローセンサ22により検出された新気流量GIN、エンジン回転数NEおよび吸気カム位相CAINなどのパラメータに基づいて算出される。
次いで、ステップ21に進み、実新気率KEGRを算出する。この実新気率KEGRは、以下に述べるように、算出される。すなわち、まず、実新気率KEGRのテーブル検索値の今回値を、吸気温TAに応じてテーブル検索することにより算出する。次いで、RAMに記憶されている前回以前の制御タイミングで算出された所定個数の実新気率KEGRのテーブル検索値と、上記今回値とを用い、これらに移動平均演算処理を施すことによって、実新気率KEGRが算出される。なお、この実新気率KEGRは、気筒3a内に吸入された新気量と総ガス量(新気量+内部EGR量+外部EGR量)との比率に相当する。
ステップ21に続くステップ22で、内部EGR目標値KEGRCMDINおよび外部EGR目標値KEGRCMDEXを算出する。これらの値KEGRCMDIN,KEGRCMDEXは、具体的には図9に示すように算出される。
すなわち、まず、ステップ40で、要求トルクPMCMDおよびエンジン回転数NEに応じて、図示しないマップを検索することにより、実新気率KEGRの目標値KEGRCMDを算出する。
次いで、ステップ41に進み、要求トルクPMCMDおよびエンジン回転数NEに応じて、図示しないマップを検索することにより、内部EGR割合EGRDIVINを算出する。その後、ステップ42で、外部EGR割合EGRDIVEXを、値1から内部EGR割合EGRDIVINを減算した値に設定する。
次に、ステップ43で、内部EGR割合EGRDIVINおよび目標値KEGRCMDに基づき、下式(1)により、内部EGR目標値KEGRCMDINを算出する。すなわち、内部EGR目標値KEGRCMDINは、値1から、総EGR量における内部EGR量の割合の目標値を減算した値に相当し、言い換えれば、外部EGR量が値0に制御されていると仮定した場合において、内部EGR量の制御により、気筒3a内に吸入すべき新気量の割合の目標値に相当する。
次いで、ステップ44で、外部EGR割合EGRDIVEXおよび目標値KEGRCMDに基づき、下式(2)により、外部EGR目標値KEGRCMDEXを算出した後、本処理を終了する。すなわち、外部EGR目標値KEGRCMDEXは、値1から、総EGR量における外部EGR量の割合の目標値を減算した値に相当し、言い換えれば、内部EGR量が値0に制御されていると仮定した場合において、外部EGR量の制御により、気筒3a内に吸入すべき新気量の割合の目標値に相当する。
図8に戻り、ステップ22で以上のように2つの目標値KEGRCMDIN,KEGRCMDEXを算出した後、ステップ23に進み、要求トルクPMCMDおよびエンジン回転数NEに応じて、図示しないマップを検索することにより、目標空燃比KCMDを算出する。
次いで、ステップ24で、空燃比補正係数KAFを算出する。この空燃比補正係数KAFは、具体的には、以下に述べるように算出される。すなわち、空燃比フィードバック制御の実行条件が成立しているときには、空燃比補正係数KAFは、検出空燃比KACTを目標空燃比KCMDに収束させるように、所定のフィードバック制御アルゴリズム(例えば、PID制御アルゴリズムや応答指定型制御アルゴリズムなど)により算出される。一方、空燃比フィードバック制御の実行条件が不成立であるときには、空燃比補正係数KAFは、値1に設定される。
ステップ24に続くステップ25で、総補正係数KTOTALおよびバッテリ電圧補正項TIVBを算出する。この総補正係数KTOTALは、各種の運転パラメータ(例えば、吸気温TA、エンジン水温TWおよび大気圧PAなど)に応じて各種のマップを検索することで、各種の補正係数を算出するとともに、これらの各種の補正係数を互いに乗算することにより算出される。また、バッテリ電圧補正項TIVBは、バッテリ電圧に応じて、図示しないマップを検索することにより、算出される。
次に、ステップ26で、以上のように算出した各種の値に基づき、下式(3)により、燃料噴射量TOUTを算出する。
ステップ26に続くステップ27で、前述した圧縮着火燃焼フラグF_HCCIが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESで、圧縮着火燃焼運転モードの実行条件が成立しているときには、ステップ28に進み、圧縮着火燃焼モード用の噴射時期算出処理を実行する。図示しないが、このステップ28では、燃料噴射弁10による燃料噴射の終了タイミングおよび噴射時間が、上記ステップ26で算出した燃料噴射量TOUTに基づき、混合気を圧縮着火燃焼させるのに最適な値として算出される。以上のようにステップ28を実行した後、本処理を終了する。
一方、ステップ27の判別結果がNOで、圧縮着火燃焼運転モードの実行条件が成立していないときには、ステップ29に進み、火花点火燃焼モード用の噴射時期算出処理を実行する。図示しないが、このステップ29では、燃料噴射弁10による燃料噴射の終了タイミングおよび噴射時間が、上記ステップ26で算出した燃料噴射量TOUTに基づき、混合気を火花点火燃焼させるのに最適な値として算出される。以上のようにステップ29を実行した後、本処理を終了する。
以下、図10を参照しながら、前述したEGR制御処理について説明する。本処理では、まず、ステップ50において、フィードバック補正係数(以下「FB補正係数」という)KEGRFBの算出処理を実行する。この処理では、以下に述べるように、FB補正係数KEGRFBに加えて、その内部EGR用学習値KEGRREFINおよび外部EGR用学習値KEGRREFEXが算出される。
このFB補正係数KEGRFBは、実新気率KEGRを目標値KEGRCMDに収束させるための値であり、具体的には、所定のフィードバック制御アルゴリズム(例えば、PID制御アルゴリズムや応答指定型制御アルゴリズムなど)によって算出される。また、内部EGR用学習値KEGRREFINは、内部EGR割合EGRDIVIN=1で内部EGRのみが実行されているときに、FB補正係数KEGRFBと、内部EGR用学習値KEGRREFINの前回値との加重平均演算によって算出される。
また、外部EGR用学習値KEGRREFEXは、外部EGR割合EGRDIVEX=1で外部EGR動作のみが実行されているときに、FB補正係数KEGRFBと、外部EGR用学習値KEGRREFEXの前回値との加重平均演算によって算出される。
次に、ステップ51に進み、内部EGR割合EGRDIVINが値0.5以上であるか否かを判別する。この判別結果がYESのとき、すなわち内部EGR量が外部EGR量以上のときには、ステップ52で、前述した内部EGR目標値とFB補正係数の積KEGRCMDIN・KEGRFBを、補正後内部EGR率KEGRMAPINとして設定する。
一方、ステップ51の判別結果がNOで、内部EGR量が外部EGR量よりも小さいときには、ステップ53で、内部EGR目標値とFB補正係数の内部EGR用学習値との積KEGRCMDIN・KEGRREFINを、補正後内部EGR率KEGRMAPINとして設定する。
ステップ52または53に続くステップ54で、補正後内部EGR率KEGRMAPINおよびエンジン回転数NEに応じて、図示しないマップを検索することにより、目標排気カム位相CAEXCMDを算出する。この目標排気カム位相CAEXCMDは、後述するように、排気カム位相CAEXの目標値として用いられる。
次に、ステップ55に進み、補正後内部EGR率KEGRMAPINおよびエンジン回転数NEに応じて、図示しないマップを検索することにより、目標吸気カム位相CAINCMDを算出する。この目標吸気カム位相CAINCMDは、後述するように、吸気カム位相CAINの目標値として用いられる。
ステップ55に続くステップ56で、外部EGR割合EGRDIVEXが値0.5よりも大きいか否かを判別する。この判別結果がYESで、外部EGR量が内部EGR量よりも大きいときには、ステップ57に進み、前述した外部EGR目標値とFB補正係数の積KEGRCMDEX・KEGRFBを、補正後外部EGR率KEGRMAPEXとして設定する。
一方、上記ステップ56の判別結果がNOで、外部EGR量が内部EGR量以下のときには、ステップ58で、外部EGR目標値とFB補正係数の外部EGR用学習値との積KEGRCMDEX・KEGRREFEXを、補正後外部EGR率KEGRMAPEXとして設定する。
次いで、ステップ59で、補正後外部EGR率KEGRMAPEXおよび吸気管内ゲージ圧HPBGAに応じて、図示しないマップを検索することにより、目標EGRリフトLCMDを算出した後、本処理を終了する。この吸気管内ゲージ圧HPBGAは、吸気管内圧PBAおよび大気圧PAに基づいて算出される。また、目標EGRリフトLCMDは、後述するように、EGRリフトLACTの目標値として用いられる。
次に、図11を参照しながら、前述したタンブル制御処理について説明する。本処理では、まず、ステップ70において、タンブル実行フラグF_TCVの設定処理を実行する。このタンブル実行フラグF_TCVは、タンブル制御の実行条件が成立しているか否かを表すものであり、その設定処理は、具体的には、図12に示すように実行される。
同図に示すように、まず、ステップ80で、タンブル停止遅延中フラグF_TCV_OFFが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、ステップ81に進み、タンブル開始遅延中フラグF_TCV_ONが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、ステップ82に進み、EGRリフトの前回値LACT_Lが値0であるか否かを判別する。
この判別結果がYESのとき、すなわち前回の制御タイミングにおいて外部EGR動作が停止されていたときには、ステップ83に進み、EGRリフトの今回値LACTが値0であるか否かを判別する。この判別結果がYESで、今回の制御タイミングにおいても外部EGR動作が停止されているときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ83の判別結果がNOで、今回の制御タイミングにおいて外部EGR動作が開始されたときには、ステップ84に進み、制御開始ディレイカウンタの計数値の前回値C_TCV_ONZを所定値X_ONに設定する。この所定値X_ONは、エンジン3の運転状態を表すパラメータ(例えば、エンジン回転数NEや排ガスの空間速度など)に応じて、図示しないマップを検索することにより、正値として算出される。
次いで、ステップ85に進み、タンブル制御の開始タイミングを遅延中であることを表すために、タンブル開始遅延中フラグF_TCV_ONを「1」に設定した後、後述するステップ86に進む。このように、ステッ85でタンブル開始遅延中フラグF_TCV_ONが「1」に設定されると、次回以降の制御タイミングにおいて、前述したステップ81の判別結果がYESとなり、その場合には、ステップ86に進む。
ステップ81または85に続くステップ86で、制御開始ディレイカウンタの計数値C_TCV_ONを、その前回値C_TCV_ONZから値1を減算した値に設定する。すなわち、制御開始ディレイカウンタの計数値C_TCV_ONを値1デクリメントする。
次に、ステップ87に進み、制御開始ディレイカウンタの計数値C_TCV_ONが値0であるか否かを判別する。この判別結果がNOで、C_TCV_ON>0のときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ87の判別結果がYESのとき、すなわちC_TCV_ON=0が成立し、外部EGR動作の開始から、所定値X_ONと制御周期ΔTの積X_ON・ΔTに相当する時間(所定時間)が経過したときには、タンブル制御の実行条件が成立し、タンブル制御を実行すべきであると判定して、ステップ88に進み、それを表すためにタンブル実行フラグF_TCVを「1」に設定するとともに、タンブル開始遅延中フラグF_TCV_ONを「0」にリセットする。その後、本処理を終了する。
一方、ステップ82の判別結果がNOのとき、すなわち前回の制御タイミングにおいて外部EGR動作を実行中であったときには、ステップ89に進み、EGRリフトの今回値LACTが値0であるか否かを判別する。この判別結果がNOで、今回の制御タイミングにおいても外部EGR動作を実行中であるときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ89の判別結果がYESで、今回の制御タイミングにおいて外部EGR動作が停止されたときには、ステップ90に進み、制御停止ディレイカウンタの計数値の前回値C_TCV_OFFZを所定値X_OFFに設定する。この所定値X_OFFは、前述した所定値X_ONと同様に、エンジン3の運転状態を表すパラメータ(例えば、エンジン回転数NEや排ガスの空間速度など)に応じて、図示しないマップを検索することにより、正値として算出される。
次いで、ステップ91に進み、タンブル制御の停止タイミングを遅延中であることを表すために、タンブル停止遅延中フラグF_TCV_OFFを「1」に設定した後、後述するステップ92に進む。このように、ステップ91でタンブル停止遅延中フラグF_TCV_OFFが「1」に設定されると、次回以降の制御タイミングにおいて、前述したステップ80の判別結果がYESとなり、その場合には、ステップ92に進む。
ステップ80または91に続くステップ92で、制御停止ディレイカウンタの計数値C_TCV_OFFを、その前回値C_TCV_OFFZから値1を減算した値に設定する。すなわち、制御停止ディレイカウンタの計数値C_TCV_OFFを値1デクリメントする。
次に、ステップ93に進み、制御停止ディレイカウンタの計数値C_TCV_OFFが値0であるか否かを判別する。この判別結果がNOで、C_TCV_OFF>0のときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ93の判別結果がYESのとき、すなわちC_TCV_OFF=0が成立し、外部EGR動作の停止時点から、所定値X_OFFと制御周期ΔTの積X_OFF・ΔTに相当する時間(所定時間)が経過したときには、タンブル制御を停止すべきであると判定して、ステップ94に進み、それを表すためにタンブル実行フラグF_TCVを「0」にリセットするとともに、タンブル停止遅延中フラグF_TCV_OFFを「0」にリセットする。その後、本処理を終了する。
以上のように、図12の設定処理では、外部EGR動作が開始された場合、外部EGR動作の開始タイミングから、所定値X_ONと制御周期ΔTの積X_ON・ΔTに相当する時間が経過した時点で、タンブル実行フラグF_TCVが「1」に設定され、外部EGR動作が停止された場合、外部EGR動作の停止タイミングから、所定値X_OFFと制御周期ΔTの積X_OFF・ΔTに相当する時間が経過した時点で、タンブル実行フラグF_TCVが「0」にリセットされる。
図11に戻り、ステップ70でタンブル実行フラグF_TCVの設定処理を以上のように実行した後、ステップ71に進み、タンブル実行フラグF_TCVが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ71の判別結果がYESで、タンブル制御の実行条件が成立しているときには、ステップ72に進み、エンジン回転数NEおよび要求トルクPMCMDに応じて、図13に示すマップを検索することにより、目標フラップ角度のマップ値FA_MAPを算出する。
同図おいて、NE1〜NE4は、NE1<NE2<NE3<NE4が成立するように設定されるエンジン回転数NEの所定値である。このマップでは、目標フラップ角度のマップ値FA_MAPは、中高負荷域において、エンジン回転数NEが低いほど、または要求トルクPMCMDが大きいほど、より大きい値(すなわち最大角度により近い値)に設定されている。これは、中高負荷域では、エンジン回転数NEが低いほど、または要求トルクPMCMDが大きいほど、燃焼効率をより高めるために、より強いタンブル流を発生させる必要があることによる。
ステップ72に続くステップ73で、吸気温TAに応じて、図示しないテーブルを検索することにより、吸気温補正係数KTAFAを算出する。
次いで、ステップ74に進み、目標フラップ角度FA_CMDを、吸気温補正係数KTAFAとマップ値FA_MAPの積KTAFA・FA_MAPに設定した後、本処理を終了する。
次に、図14を参照しながら、前述した可変機構制御処理について説明する。この制御処理は、以下に述べるように、6つの制御入力U_CAEX,U_CAIN,U_LIFT,U_TH,U_LVNT,U_FAを算出するものであり、これらの6つの制御入力によって、前述した6つの可変機構、すなわち可変排気カム位相機構70、可変吸気カム位相機構50、排気還流機構19、スロットル弁機構15、可変ノズル機構14および可変フラップ機構16がそれぞれ制御される。なお、これらの6つの制御入力U_CAEX,U_CAIN,U_LIFT,U_TH,U_LVNT,U_FAはいずれも、パルス幅変調方式の信号値として算出される。
この処理では、まず、ステップ100において、可変機構故障フラグF_VDNGが「1」であるか否かを判別する。この可変機構故障フラグF_VDNGは、6つの可変機構14〜16,19,50,70の少なくとも1つが故障していると判定されたときに「1」に設定され、それ以外のときに「0」に設定される。
このステップ100の判別結果がNOで、6つの可変機構14〜16,19,50,70がいずれも正常なときには、ステップ101に進み、排気位相制御入力U_CAEXを算出する。この排気位相制御入力U_CAEXは、可変排気カム位相機構70を制御するためのものであり、具体的には、排気カム位相CAEXが目標排気カム位相CAEXCMDに収束するように、所定のフィードバック制御アルゴリズム(例えばPID制御アルゴリズムや応答指定型制御アルゴリズム)によって算出される。
次に、ステップ102で、上記ステップ101と同様の手法により、可変吸気カム位相機構50を制御するための吸気位相制御入力U_CAINを算出する。すなわち、吸気位相制御入力U_CAINは、吸気カム位相CAINが目標吸気カム位相CAINCMDに収束するように、所定のフィードバック制御アルゴリズムによって算出される。
ステップ102に続くステップ103で、上記ステップ101,102と同様の手法により、排気還流機構19を制御するためのEGRリフト制御入力U_LIFTを算出する。すなわち、EGRリフト制御入力U_LIFTは、EGRリフトLACTが目標EGRリフトLCMDに収束するように、所定のフィードバック制御アルゴリズムによって算出される。
次に、ステップ104に進み、スロットル弁機構15を制御するためのTH制御入力U_THを、前述したステップ101〜103と同様の手法により算出する。すなわち、TH制御入力U_THは、スロットル弁開度THが目標スロットル弁開度THCMDに収束するように、所定のフィードバック制御アルゴリズムによって算出される。
ステップ104に続くステップ105で、前述した目標ノズル開度LVNT_CMDに応じて、図示しないテーブルを検索することにより、可変ノズル機構14を制御するためのノズル制御入力U_LVNTを算出する。
次いで、ステップ106に進み、タンブル制御フラグF_TCVが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、タンブル制御を実行すべきであると判定して、ステップ107に進み、可変フラップ機構16を制御するためのフラップ制御入力U_FAを、前述したステップ101〜103と同様の手法により算出する。すなわち、フラップ制御入力U_FAは、フラップ角度FAが目標フラップ角度FA_CMDに収束するように、所定のフィードバック制御アルゴリズムによって算出される。ステップ107で以上のようにフラップ制御入力U_FAを算出した後、本処理を終了する。
一方、ステップ106の判別結果がNOのときには、タンブル制御を停止すべきであると判定して、ステップ109に進み、フラップ制御入力U_FAを値0に設定した後、本処理を終了する。このようにフラップ制御入力U_FAが値0に設定された場合、フラップ角度FAが前述した最小角度になるように(すなわちタンブル流が最も弱くなるように)、可変フラップ機構16が制御される。
一方、前述したステップ100の判別結果がYESで、6つの可変機構14〜16,19,50,70の少なくとも1つが故障しているときには、ステップ108に進み、5つの制御入力U_CAEX,U_CAIN,U_LIFT,U_TH,U_LVNTを、いずれも値0に設定する。次いで、ステップ109で、前述したように、フラップ制御入力U_FAを値0に設定した後、本処理を終了する。このように6つの制御入力がいずれも値0に設定された場合、所定の吸入空気量および排気状態が確保され、それにより、停車中は、アイドル運転およびエンジン始動が可能となるとともに、走行中は低速走行を継続することが可能となる。
以上のように、本実施形態の制御装置1によれば、図12の処理において、タンブル実行フラグF_TCVが、外部EGR動作が実行されているときに「1」に、外部EGR動作が停止されているときに「0」にそれぞれ設定される。そして、図11および図14の処理によって、F_TCV=1のときには、フラップ制御入力U_FAが、フラップ角度FAが目標フラップ角度FA_CMDに収束するように、所定のフィードバック制御アルゴリズムによって算出され、F_TCV=0のときには、フラップ制御入力U_FAが値0に設定される。その結果、外部EGR動作が実行されているときには、外部EGR動作が停止されているときよりも、タンブル流すなわち筒内流動が強くなるように制御されるので、外部EGR動作の実行により、排ガスが気筒3a内に還流されるのに起因して、筒内ガス温度が外部EGR動作の停止中よりも低下したときでも、タンブル流が外部EGR動作の停止中よりも強くなるように制御されることによって、混合気の燃焼速度を高めることができ、混合気の良好な燃焼状態を確保できる。
上記と同じ理由により、混合気の燃焼速度が局所的にばらつくのを回避でき、ノッキングの発生を回避することができる。特に、本実施形態のエンジン3のように、圧縮着火燃焼モードで成層混合気を燃焼させる場合、成層混合気は、筒内流動が強いと、その燃焼状態が悪化しやすく、良好な燃焼状態を得にくいものであるのに対して、以上のように、外部EGR動作が実行されるときに、外部EGR動作の停止時よりもタンブル流を強くなるように制御することによって、外部EGR動作の実行中も、良好な燃焼状態を確保できる。さらに、以上のように、外部EGR動作を実行しながら、タンブル流の強さを制御することによって、良好な燃焼状態を確保しながら燃焼温度の上昇を抑制することができ、ノッキングの発生を抑制することができるので、過給圧をより高い値に制御することができ、エンジン出力を向上させることができるとともに、燃費を向上させることができる。すなわち、高出力かつ高効率のエンジン3を実現することができる。
また、前述したように、本実施形態の排気還流機構19のような排気還流機構は、排ガスが排気弁7から気筒3a内に実際に還流されるまでに時間がかかる特性を有しているので、外部EGR動作を停止した場合、停止後も排ガスが短時間、気筒3a内に還流され続けることになる。そのため、タンブル流の強さを外部EGR動作の停止タイミングに同期して弱めると、排ガスが外部EGR動作の停止後も気筒3a内に還流されることによって、混合気の燃焼速度が低下し、混合気の燃焼状態が悪化するおそれがある。これとは逆に、外部EGR動作を開始した場合、排ガスが排気通路から気筒3a内に実際に還流されるまでに時間がかかるので、タンブル流の強さを外部EGR動作の開始タイミングに同期して強くなるように変化させると、既燃ガス(内部EGR)が残っている気筒3aでの燃焼状態が不安定になるおそれがある。
これに対して、本実施形態の制御装置1によれば、前述した図12の処理において、外部EGR動作が開始された場合(ステップ83の判別結果がNOの場合)、外部EGR動作の開始タイミングから、所定値X_ONと制御周期ΔTの積X_ON・ΔTに相当する時間が経過した時点で、タンブル実行フラグF_TCVが「1」に設定されるので、外部EGR動作の開始後に排ガスが気筒3a内に実際に還流されるまでの間は、タンブル流が外部EGR動作の開始前の強さ(すなわち外部EGR動作の停止中の強さ)に保持されることになり、その結果、上述したような、既燃ガスが残っている気筒3aでの燃焼状態が不安定になるのを回避でき、混合気の良好な燃焼状態を確保することができる。
また、外部EGR動作が停止された場合(ステップ89の判別結果がYESの場合)、外部EGR動作の停止タイミングから、所定値X_OFFと制御周期ΔTの積X_OFF・ΔTに相当する時間が経過した時点で、タンブル実行フラグF_TCVが「0」にリセットされるので、外部EGR動作の停止後も排ガスが気筒3a内に実際に還流されている間は、タンブル流が外部EGR動作の停止前の強さ(すなわち外部EGR動作の実行中の強さ)に保持されることになり、その結果、前述したような、混合気の燃焼速度の低下を回避でき、混合気の良好な燃焼状態を確保することができる。
さらに、図11の処理において、F_TCV=1で外部EGR動作が実行されている場合、ステップ72で、要求トルクPMCMDすなわちエンジン3の負荷が大きいほど、目標フラップ角度のマップ値FA_MAPがより大きい値に設定されるので、エンジン3の負荷が大きいほど、タンブル流がより強くなるように制御される。この場合、外部EGR量は、エンジン3の負荷が大きいほど、より多くなるように制御されるので、上記のようにタンブル流の強さを制御することによって、外部EGR量がより多いほど、それに応じて、タンブル流をより強くなるように適切に制御することができる。すなわち、外部EGR量の多少に応じて、タンブル流の強さを適切に制御することができる。
また、可変フラップ機構16によるフラップ角度FAの変更によって、タンブル流の強さが変更されるので、例えば、1気筒当たり2つの吸気弁を備えた内燃機関において、一方の吸気弁を閉弁しかつ他方を極小リフト状態に駆動することによってスワール流を発生させ、筒内流動を強化する場合と比べて、十分な吸入空気量を確保することができ、より高出力のエンジン3を実現することができる。
なお、実施形態は、内部EGR装置として、可変吸気カム位相機構50および可変排気カム位相機構70を用いた例であるが、本発明の内部EGR装置はこれに限らず、既燃ガスを気筒内に残留させる内部EGR動作を実行可能なものであればよい。例えば、吸気弁4および排気弁7の少なくとも一方のリフトを自在に変更可能な可変リフト機構をエンジン3に設け、この可変リフト機構によって、既燃ガスを気筒内に残留させる内部EGR動作を実行するように構成してもよく、この可変リフト機構に、実施形態の可変吸気カム位相機構50および可変排気カム位相機構70を組み合わせて用いることによって、既燃ガスを気筒内に残留させる内部EGR動作を実行するように構成してもよい。
また、実施形態は、外部EGR装置として、排気還流機構19を用いた例であるが、本発明の外部EGR装置はこれに限らず、気筒から排気通路に排出された排ガスを気筒内に還流させる外部EGR動作を実行可能なものであればよい。例えば、外部EGR装置として、図15に示すEGR用スロットル弁機構80および排気還流機構81を用いてもよい。なお、以下の図15の説明では、図1と同じ構成に関しては、同じ符号を付すとともに、その説明は適宜、省略する。
同図に示すように、EGR用スロットル弁機構80は、吸気管12のコンプレッサブレード13aよりも上流側に配置されたEGR用スロットル弁80aと、これを開閉駆動するアクチュエータ80bを備えている。このアクチュエータ80bは、前述したECU2に接続されており、ECU2は、外部EGR量を制御する際、アクチュエータ80bを駆動することによって、EGR用スロットル弁80aの下流側の負圧が外部EGR量に応じた値になるように、EGR用スロットル弁80aの開度を制御する。
一方、排気還流機構81は、排気還流機構19と比べて低圧の排ガスを気筒3a内に還流するものであり、吸気管12および排気管17の間に接続されたEGR管81aを有している。このEGR管81aの一端は、排気管17の三元触媒18よりも下流側の部分に開口し、他端は、吸気管12のコンプレッサブレード13aとEGR用スロットル弁80aの間の部分に開口している。
また、EGR管81aには、上流側から順に、EGRクーラ81bおよびEGR制御弁81cが設けられている。これらのEGRクーラ81bおよびEGR制御弁81cは、前述したEGRクーラ19bおよびEGR制御弁19cと同様に構成されているので、これらの詳細な説明はここでは省略する。以上のように構成されたEGR用スロットル弁機構80および排気還流機構81を用いた場合、前述した排気還流機構19と同様に、外部EGR量を自在に変更することができる。
さらに、実施形態は、筒内流動変更装置として、可変フラップ機構16を用いた例であるが、本発明の筒内流動変更装置はこれに限らず、気筒内における筒内流動の強さを変更できるものであればよい。
例えば、筒内流動変更装置として、図14の可変フラップ機構16に代えて、図16に示す可変フラップ機構90を用いてもよい。なお、以下の図16の説明では、前述した図4と同じ構成に関しては、同じ符号を付すとともに、その説明は適宜、省略する。
同図に示すように、このエンジン3の各吸気ポート12aには、隔壁12bが設けられており、この隔壁12bによって、吸気ポート12aは上下に2分割されている。また、可変フラップ機構90は、前述した可変フラップ機構16と同様に、気筒3a内にタンブル流を発生させ、筒内流動を高めることで、混合気の燃焼速度を向上させるためのものであり、気筒3a毎に設けられたフラップ90a(1つのみ図示)と、これらのフラップ90aを同時に開閉駆動するフラップアクチュエータ90bとを備えている。フラップ90aは、隔壁12bの上流側端部に取り付けられており、その角度が図16に実線で示す最大角度と、図16に2点鎖線で示す最小角度との間で変更可能に構成されている。このフラップ90aの角度変化によって、隔壁12bよりも下側の部分の吸気ポート12aの断面積が変更される。
また、フラップアクチュエータ90bは、前述したECU2に電気的に接続されたモータとギヤ機構(いずれも図示せず)を組み合わせたものであり、ECU2によって駆動されることによって、フラップ90aの角度を変化させ、それにより、気筒3a内に発生するタンブル流の強さを変化させる。すなわち、タンブル流の強さが制御される。この場合、タンブル流は、フラップ90aの角度が最大角度のときに最も強くなり、フラップ90aの角度が最小角度のときに最も弱くなる。
以上のように構成された可変フラップ機構90を用いた場合でも、前述した可変フラップ機構16と同様に、筒内流動としての、気筒3a内に発生するタンブル流の強さを自在に変更することができる。
一方、実施形態は、判定手段としてECU2を用いるとともに、その判定を図12に示すように実行した例であるが、本発明の判定手段はこれに限らず、外部EGR動作が実行されているか否かを判定できるものであればよい。例えば、タンブル実行フラグF_TCVの設定処理を、実施形態の図12の手法に代えて、図17に示す手法により実行してもよい。同図に示すように、この処理の内容は、ステップ112,113,119以外はすべて、図12と同様に構成されているので、以下、ステップ112,113,119を中心として説明する。
この処理では、ステップ111の判別結果がNOで、F_TCV_ON=0のときには、ステップ112に進み、外部EGR割合の前回値EGRDIVEX_Lが値0であるか否かを判別する。
この判別結果がYESのとき、すなわち前回の制御タイミングにおいて外部EGR動作が停止されていたときには、ステップ113に進み、外部EGR割合の今回値EGRDIVEXが値0であるか否かを判別する。この判別結果がYESで、今回の制御タイミングにおいても外部EGR動作が停止された状態にあるときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ113の判別結果がNOで、今回の制御タイミングにおいて外部EGR動作が開始されたときには、前述したステップ84〜88と同様に、ステップ114〜118を実行した後、本処理を終了する。
一方、ステップ112の判別結果がNOのとき、すなわち前回の制御タイミングにおいて外部EGR動作を実行中であったときには、ステップ119に進み、外部EGR割合の今回値EGRDIVEXが値0であるか否かを判別する。この判別結果がNOで、今回の制御タイミングにおいても外部EGR動作を実行中であるときには、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ119の判別結果がYESで、今回の制御タイミングにおいて外部EGR動作が停止されたときには、前述したステップ90〜94と同様に、ステップ120〜124を実行した後、本処理を終了する。
以上のように、図17のタンブル実行フラグF_TCVの設定処理を実行した場合でも、図12の設定処理を実行した場合と同じ作用効果を得ることができる。すなわち、外部EGR動作が実行されているか否かを判定できる。これに加えて、外部EGR動作が開始された場合、その開始後に排ガスが気筒3a内に実際に還流されるまでの間は、タンブル流が外部EGR動作の開始前の強さ(すなわち外部EGR動作の停止中の強さ)に保持されるので、既燃ガスが残っている気筒3aでの燃焼状態が不安定になるのを回避でき、混合気の良好な燃焼状態を確保することができる。
また、外部EGR動作が停止された場合、その停止後に排ガスが気筒3a内に実際に還流されている間は、タンブル流が外部EGR動作の停止前の強さ(すなわち外部EGR動作の実行中の強さ)に保持されるので、混合気の燃焼速度の低下を回避でき、混合気の良好な燃焼状態を確保することができる。
また、タンブル実行フラグF_TCVの設定処理を図18に示すように実行してもよい。同図に示すように、この処理では、まず、ステップ130で、目標EGRリフトLCMDが値0であるか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、タンブル制御を実行すべきであると判定して、ステップ131に進み、それを表すためにタンブル実行フラグF_TCVを「1」に設定する。その後、本処理を終了する。
一方、ステップ130の判別結果がNOのときには、タンブル制御を停止すべきであると判定して、ステップ132に進み、それを表すためにタンブル実行フラグF_TCVを「0」に設定する。その後、本処理を終了する。
以上のように、図18のタンブル実行フラグF_TCVの設定処理では、目標EGRリフトLCMDが値0であるか否か、すなわち外部EGR動作が実行されているか否かに応じて、タンブル実行フラグF_TCVが「1」または「0」に設定される。この目標EGRリフトLCMDは、前述したように、エンジン回転数NEおよび要求トルクPMCMDに応じて、マップを検索することによって算出されるので、エンジン3の運転領域を判定することによって、タンブル実行フラグF_TCVが設定されることになる。
そのため、この図18の手法によってタンブル実行フラグF_TCVを設定した場合、前述した図12および17の手法を用いた場合と異なり、外部EGR動作の開始後に排ガスが気筒3a内に実際に還流されるまでの間、タンブル流を外部EGR動作の開始前の強さに保持することができないとともに、外部EGR動作の停止後に排ガスが気筒3a内に還流され続けている間、タンブル流を外部EGR動作の停止前の強さに保持することもできないので、その点において、図12および17の設定処理の方が優れている。