JP2009096892A - ポリ乳酸系樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリ乳酸とポリプロピレンとの相溶性が改善されると共に、加水分解が抑制され、得られる成形体について耐衝撃性などの機械的特性に優れ、湿熱条件下においても機械的特性を十分に保持することができるポリ乳酸系樹脂組成物及びその成形体を提供する。
【解決手段】ポリ乳酸系樹脂組成物は、ポリ乳酸とポリプロピレンとが相溶化剤によりアロイ化され、ポリプロピレンのマトリックス中にポリ乳酸がドメインとして分散されると共に、前記相溶化剤として無水マレイン酸変性の非結晶性ポリプロピレン及び耐加水分解剤としてポリカルボジイミドを含有するものである。相溶化剤としては、さらにエチレンとグリシジルメタクリレートとを共重合してなるエポキシ基含有共重合体又はエチレンとグリシジルメタクリレートとアクリル酸エステルとを共重合してなるエポキシ基含有共重合体を含有することが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えばドアトリム、ピラーガーニッシュ等の自動車用内装部材などとして好適に使用されるポリ乳酸系樹脂組成物及びその成形体に関するものである。
近年における地球温暖化や石油資源の枯渇の問題に対処すべく、植物由来のプラスチックを使用する検討が盛んに行われている。これは、植物由来のプラスチックを使用することにより、石油の使用量を抑えることができると共に、プラスチックの使用後に燃焼処理を行ったとき大気中の二酸化炭素(CO)の収支が変化しないというカーボンニュートラルの概念に基づいてその使用が推奨されているためである。その中でもポリ乳酸は、Nature Works社が年産14万トンのプラントを保有し、既に食品トレーやパーソナルコンピュータの筐体等の原料として使用が始まり、その応用が拡大されつつある。
しかし、このポリ乳酸を自動車部品等の用途において使用する場合には多くの課題がある。まず、ポリ乳酸はその光学純度が高いものは結晶性を有するものの、その結晶化速度が他の結晶性樹脂と比較して非常に遅いことから、通常の成形では低結晶状態となり耐熱性が低いという問題がある。そこで結晶化を促進させるために、金型による成形温度を100℃前後に設定して高価な結晶核剤を用いたり、成形後にアニール処理を施したりすることが試みられている。また、ポリ乳酸は硬くて脆い性質を有していることから、自動車部品等の成形体として使用するためには何らかの改良を行う必要がある。
具体的には、ポリ乳酸を他の樹脂とアロイ化して物性を改良したり、各種添加剤の配合により物性を改良したりする工夫がなされている。しかし、このような改良の場合には、植物由来の樹脂に石油系の樹脂を配合することから、本来の狙いである前記カーボンニュートラルとしての効果は減少する。そこで最近の考え方として、成形体全体のどれだけが植物由来で得られるものであるかを示す指標として「植物度」なる用語が使われ始めており、その度合いが高いほど環境に与える負荷が少ないものとして認識されつつある。アロイ化に際しては、ポリ乳酸と例えばポリオレフィンとが非相溶であるため、相溶化剤を添加して物性を改良することが行われている。
この種の改良として例えば、ポリ乳酸等のポリ(α−ヒドロキシカルボン酸)とポリオレフィンとのブロック共重合体を相溶化剤とし、ポリ(α−ヒドロキシカルボン酸)とポリオレフィンとに配合した樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1を参照)。そして、相溶化剤によりポリ(α−ヒドロキシカルボン酸)とポリオレフィンとの相溶性が良好になり、耐衝撃性が向上する。
また、ポリブチレンサクシネート等の生分解性ポリマーにそれ以外のポリマー及びエチレングリシジルメタクリレート共重合体等の相溶化剤を配合した組成物が知られている(例えば、特許文献2を参照)。そして、生分解性ポリマー以外のポリマーの種類に応じ相溶化剤によって加水分解性が抑制される。
特開2005−281424号公報(第2頁、第11頁及び第12頁) 特開2005−220238号公報(第2頁、第3頁及び第11頁)
しかしながら、特許文献1に記載されている樹脂組成物は、得られる成形体について成形直後における耐衝撃性などの機械的特性は良好であるが、例えば自動車内の高温、高湿(湿熱)の状況下においては機械的特性を十分に保持することができないものであった。これは、相溶化剤に含まれるポリ乳酸が高温の状況下で結晶化し、相溶化性能が低下すると共に、耐加水分解性が低下して成形体の機械的特性が悪化することによるものと考えられる。一方、特許文献2に記載されている組成物は、得られる成形体の加水分解を抑制するためのものであることから、耐衝撃性などの機械的特性の向上が不十分であり、しかも湿熱条件下における機械的特性の維持や耐久性の向上が不足するという欠点があった。
そこで本発明の目的とするところは、ポリ乳酸とポリプロピレンとの相溶性が改善されると共に、加水分解が抑制され、得られる成形体について耐衝撃性などの機械的特性に優れ、湿熱条件下においても機械的特性を十分に保持することができるポリ乳酸系樹脂組成物及びその成形体を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1のポリ乳酸系樹脂組成物は、ポリ乳酸とポリプロピレンとが相溶化剤によりアロイ化され、ポリプロピレンのマトリックス中にポリ乳酸がドメインとして分散されると共に、前記相溶化剤として無水マレイン酸変性の非結晶性ポリプロピレン及び耐加水分解剤としてポリカルボジイミドを含有することを特徴とする。
請求項2のポリ乳酸系樹脂組成物は、請求項1において、前記相溶化剤として、さらにエチレンとグリシジルメタクリレートとを共重合してなるエポキシ基含有共重合体を含有することを特徴とする。
請求項3のポリ乳酸系樹脂組成物は、請求項1において、前記相溶化剤として、さらにエチレンとグリシジルメタクリレートとアクリル酸エステルとを共重合してなるエポキシ基含有共重合体を含有することを特徴とする。
請求項4の成形体は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物を成形して形成され、23℃におけるシャルピー衝撃強度が5〜40kJ/mであり、かつ温度80℃、相対湿度30%の条件下における1000時間保持後のシャルピー衝撃強度の保持率が50〜100%であることを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1のポリ乳酸系樹脂組成物では、相溶化剤として無水マレイン酸変性の非結晶性ポリプロピレンが含まれていることから、無水マレイン酸がポリ乳酸に対して強く相互作用すると同時に、相溶化剤の非結晶性ポリプロピレンがマトリックスを構成するポリプロピレンの非結晶部に相溶するものと考えられ、両者に対する相溶性が著しく改善される。このため、ポリ乳酸系樹脂組成物においては、ポリプロピレンのマトリックス中にポリ乳酸がドメインとして良好に分散される構造が形成される。従って、ドメインとしてのポリ乳酸のもつ性質とマトリックスとしてのポリプロピレンのもつ性質とが十分に発現される。その結果、得られる成形体の耐衝撃性などの機械的特性に優れ、湿熱条件下においても機械的特性を十分に保持することができる。さらに、耐加水分解剤としてポリカルボジイミドを含有することから、ポリカルボジイミドが加水分解の触媒となるポリ乳酸の末端カルボキシル基と反応することにより、湿熱条件下における加水分解が抑制され、耐衝撃性などの機械的特性を十分に保持することができる。
請求項2のポリ乳酸系樹脂組成物では、相溶化剤としてさらにエチレンとグリシジルメタクリレートとを共重合してなるエポキシ基含有共重合体を含有する。このため、請求項1に係る発明の効果に加えて、エポキシ基含有共重合体が相溶化剤としてポリ乳酸とポリプロピレンとの相溶性を高めることができると共に、エポキシ基含有共重合体のエポキシ基がポリ乳酸のもつカルボキシル基と反応して加水分解の触媒となる残存カルボキシル基をなくし、湿熱条件下における耐衝撃性などの機械的特性を長期間にわたり保持することができる。
請求項3のポリ乳酸系樹脂組成物では、相溶化剤としてさらにエチレンとグリシジルメタクリレートとアクリル酸エステルとを共重合してなるエポキシ基含有共重合体を含有する。このため、請求項1に係る発明の効果に加えて、エポキシ基含有共重合体が相溶化剤としてポリ乳酸とポリプロピレンとの相溶性を高めることができると共に、エポキシ基含有共重合体のエポキシ基がポリ乳酸のもつカルボキシル基と反応して加水分解の触媒となる残存カルボキシル基をなくし、湿熱条件下における耐衝撃性などの機械的特性を長期間にわたり保持することができる。しかも、アクリル酸エステルを共重合することにより、共重合体のガラス転移温度(Tg)を低下させることができ、成形体の耐衝撃性などの機械的特性を改善することができる。
請求項4の成形体では、前記ポリ乳酸系樹脂組成物を成形して形成され、23℃におけるシャルピー衝撃強度が5〜40kJ/mであり、かつ温度80℃、相対湿度30%の条件下における1000時間保持後のシャルピー衝撃強度の保持率が50〜100%である。従って、成形体について請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果を発揮させることができる。
以下、本発明の最良と思われる実施形態について詳細に説明する。
本実施形態におけるポリ乳酸系樹脂組成物は、ポリ乳酸(PLA)とポリプロピレンとが相溶化剤によりアロイ化され、ポリプロピレンのマトリックス(母材、海)中にポリ乳酸がドメイン(分散相、島)として分散されている構造のものである。この場合、ポリ乳酸系樹脂組成物には相溶化剤として無水マレイン酸変性の非結晶性(又は非晶性)ポリプロピレンが含まれ、耐加水分解剤としてポリカルボジイミドが含まれている。
ポリ乳酸は生分解性を有する樹脂であり、ポリ乳酸系樹脂組成物を成形して得られる成形体に生分解性を付与することができる。ポリ乳酸はその光学純度が高い結晶性のポリ乳酸と、そのような結晶性を有しない非結晶性のポリ乳酸とがあり、いずれも使用することができる。結晶性のポリ乳酸は、光学異性体であるL体の割合が3モル%未満又は97モル%を越え、D体又はL体の含有量が極めて高いものである。結晶性のポリ乳酸は、その結晶性に基づいて成形体の機械的特性や耐久性を向上させることができる点から好ましい。
但し、結晶性のポリ乳酸は結晶化速度が遅いため、経時の収縮が発生する傾向があるが、非結晶性のポリ乳酸はそのような欠点がない。ポリ乳酸を非結晶性とするためには、ポリ乳酸を構成する乳酸として、D体とL体との合計量中のL体の割合が3〜97モル%であることが好ましい。この場合、ポリ乳酸の非結晶性が高められ、その機能が十分に発現される。ポリ乳酸が非結晶性であることにより、結晶核剤を添加するといった結晶化促進の必要がなく、ポリ乳酸系樹脂組成物の成形を行うことができる。また、ポリ乳酸としてL−乳酸のみを重合したポリL−乳酸と、D−乳酸のみを重合したポリD−乳酸とを等量混合して得られるステレオコンプレックス型のポリ乳酸を用いることもできる。ステレオコンプレックス型ポリ乳酸は、通常のポリ乳酸よりも融点が高く、高い耐熱性を発現することができる。
ポリ乳酸系樹脂組成物を構成するポリ乳酸とポリプロピレンとの合計量中におけるポリ乳酸の含有量は、25〜75質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。ポリ乳酸の含有量が25質量%未満の場合には、植物由来樹脂の割合が少なくなり、ポリ乳酸系樹脂組成物から得られる成形体の植物度が小さくなって好ましくない。その一方、75質量%を越える場合には、ポリ乳酸の含有量が過剰となり、成形体の衝撃強度等の機械的特性や耐熱性が低下する。さらにポリ乳酸をドメインとして固定することが困難となってくるため、成形体の耐久性が低下する。
前記マトリックスとしてのポリプロピレンは、ポリ乳酸とポリマーアロイを形成する材料であり、ポリ乳酸系樹脂組成物より得られる成形体の機械的特性や耐熱性を高める機能を発現するものである。ポリプロピレンは比重が小さく、ポリ乳酸系樹脂組成物より得られる成形体の軽量化を図ることができると共に、入手が容易で安価である。なお、ポリプロピレンは結晶性樹脂であるが、その結晶部は多くても40〜50質量%程度であって、残りの50〜60質量%は非結晶部(非晶部)である。
このポリプロピレン中にはゴム成分が含まれているブロックポリプロピレンでもよい。該ゴム成分としては、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合ゴムが好ましい。係る共重合ゴムとして好ましくは、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−ブテン共重合ゴム、エチレン−オクテン共重合ゴム及びエチレン−プロピレン−共役ジエン共重合ゴムから選択される1種又は2種以上が用いられる。ゴム成分の含有量は、ポリプロピレン中に5〜40質量%であることが好ましい。ゴム成分の含有量が5質量%より少ない場合には成形体に耐衝撃性等の特性を付与する効果が小さく、40質量%より多い場合には成形体の剛性等の特性が低下する。
ポリ乳酸系樹脂組成物を構成するポリ乳酸とポリプロピレンとの合計量中におけるポリプロピレンの含有量は25〜75質量%であることが好ましく、40〜70質量%であることがより好ましい。ポリプロピレンの含有量が25質量%未満の場合には、ポリ乳酸系樹脂組成物から得られる成形体の耐熱性が不足すると同時に、耐衝撃性などの機械的特性も低下し、目的とする成形体が得られ難くなる。その一方、ポリプロピレンの含有量が75質量%を越える場合には、ポリプロピレンが過剰となり、ポリ乳酸系樹脂組成物の植物度が小さくなって環境負荷の低減効果が小さくなり好ましくない。
次に、相溶化剤はドメインとしてのポリ乳酸とマトリックスとしてのポリプロピレンとを相溶化させ、アロイ化によりポリマーアロイを形成し、ポリ乳酸系樹脂組成物から得られる成形体の機械的特性及び耐久性を向上させる機能を果たす。係る相溶化剤としては、そのような機能を果たすべく無水マレイン酸変性の非結晶性ポリプロピレンが用いられる。無水マレイン酸変性の非結晶性ポリプロピレンは、無水マレイン酸がポリ乳酸に対して相溶すると共に、非結晶性ポリプロピレンがマトリックスを構成するポリプロピレンの非結晶部に相溶し、ポリ乳酸とポリプロピレンとの相溶性が改善されるものと推測される。さらに、相溶化剤としてのポリプロピレンが非結晶性であるため、結晶化に伴う分子鎖の拘束を受けず、良好な相溶性を発現することができる。このように、無水マレイン酸変性の非結晶性ポリプロピレンは、マトリックスであるポリプロピレンとドメインであるポリ乳酸との界面で相溶化機能を有効に発現することができる。
該無水マレイン酸変性の非結晶性ポリプロピレンは、質量平均分子量が10万〜40万であることが好ましい。この質量平均分子量が10万未満又は40万を超える場合には、成形体の機械的特性が低下するため好ましくない。また、無水マレイン酸の酸変性率が好ましくは0.1〜5.0質量%である。この酸変性率が0.1質量%を下回る場合には、無水マレイン酸変性の非結晶性ポリプロピレンによるポリ乳酸に対する相溶性の改善が不十分となる。その一方、5.0質量%を上回る場合には、マトリックスとしてのポリプロピレンに対する相溶性が低下する傾向を示す。また、相溶化剤としてのポリプロピレンは非結晶性であることが必要であり、結晶性である場合にはマトリックスを構成するポリプロピレンとの相溶性が低下し、耐衝撃性を向上させることが難しくなる。なお、この非結晶性ポリプロピレンの分子量分布(Mw/Mn)は5以下であることが好ましい。
相溶化剤としては、前記無水マレイン酸変性の非結晶性ポリプロピレンに加えて、エチレンとグリシジルメタクリレートとを共重合してなるエポキシ基(グリシジル基)含有共重合体を含むことが好ましい。このエポキシ基含有共重合体は、相溶化剤としてドメインであるポリ乳酸とマトリックスであるポリプロピレンとの相溶性を高めることができるほか、そのエポキシ基がポリ乳酸の末端カルボキシル基と反応して加水分解の触媒となる残存カルボキシル基をなくし、湿熱条件下(湿熱処理後)での衝撃強度等の機械的特性を向上させることができる。
また、相溶化剤として、前記無水マレイン酸変性の非結晶性ポリプロピレンに加え、エチレンとグリシジルメタクリレートとアクリル酸エステルとを共重合してなるエポキシ基含有共重合体を含有することが好ましい。このエポキシ基含有共重合体を含むことにより、前記エポキシ基含有共重合体と同様に、相溶化剤としてドメインであるポリ乳酸とマトリックスであるポリプロピレンとの相溶性を高めることができ、さらにエポキシ基がポリ乳酸のカルボキシル基と反応して加水分解の触媒となる残存カルボキシル基をなくし、湿熱条件下(湿熱処理後)での耐衝撃性等の機械的特性を向上させることができる。かつ、アクリル酸エステルにより、共重合体のガラス転移温度(Tg)を低下させることができ、成形体の耐衝撃性等の機械的特性を改善することができる。
相溶化剤の含有量は、ポリ乳酸とポリプロピレンとのアロイ化によってポリマーアロイが形成されるに足る量であればよく、ドメインとしてのポリ乳酸とマトリックスとしてのポリプロピレンとの合計量に対して1〜20質量%であることが好ましく、3〜10質量%であることがより好ましい。相溶化剤の含有量が1質量%未満の場合、ポリ乳酸とポリプロピレンとの相溶化が不十分となり、得られる成形体の機械的特性や耐熱性が低下する。その一方、20質量%を越える場合、ポリ乳酸とポリプロピレンとの相溶化には過剰となり、過剰量の相溶化剤が成形体の特性に悪影響を及ぼして好ましくない。
次に、耐加水分解剤(加水分解抑制剤)としてのポリカルボジイミドについて説明する。このポリカルボジイミドは、ポリ乳酸のカルボキシル基と反応して加水分解の触媒となる残存カルボキシル基をなくし、湿熱条件下における加水分解を抑制して耐衝撃性などの機械的特性を保持するためのものである。ポリカルボジイミドは、分子中にカルボジイミド基(−N=C=N−)を有する高分子であり、一般的にはカルボジイミド化触媒の存在下にジイソシアネートの脱炭酸縮合反応によって得られるものである。例えば、平均重合度が5以上の脂肪族ポリカルボジイミドが用いられる。このポリカルボジイミドには、リン酸系、ヒンダードフェノール系等の酸化防止剤が含まれていても差し支えない。
ポリカルボジイミドの含有量は、ポリ乳酸系樹脂組成物より得られる成形体の湿熱条件下における加水分解を抑制して衝撃強度などの機械的特性を保持するに足る量であればよく、ドメインとしてのポリ乳酸とマトリックスとしてのポリプロピレンとの合計量に対して0.1〜3質量%であることが好ましく、0.5〜1.5質量%であることがより好ましい。耐加水分解剤の含有量が0.1質量%より少ない場合、湿熱条件下での加水分解を十分に抑えることができず、成形体の耐衝撃性などの機械的特性や耐熱性を保持することが難しくなる。一方、3質量%より多い場合、加水分解の抑制には過剰となり、過剰量の耐加水分解剤が成形体の特性に悪影響を及ぼして好ましくない。
ポリ乳酸系樹脂組成物には、上記各成分のほか、無機フィラー、有機フィラー、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤等の各種添加剤を目的に応じて適宜配合することができる。それらの成分は、各用途における常法に従って所定量が配合される。有機フィラーとしては、例えばケナフ繊維、竹繊維、バナナ繊維、ヤシ繊維等の植物由来の繊維などが好適に用いられる。このような植物由来の繊維を用いることにより、ポリ乳酸系樹脂組成物の植物度を高めることができる。
ポリ乳酸系樹脂組成物の植物度は環境に与える負荷を減少させる観点から高い方が好ましいが、具体的には25〜70質量%であることが好ましい。この植物度が25質量%未満の場合、植物由来の材料以外の材料の割合が増大し、環境負荷低減効果が小さくなって好ましくない。その一方、70質量%を越える場合、環境に与える負荷は小さくなるが、成形体の機械的特性や耐熱性が低下する傾向を示す。
アロイ化(相溶化)は、ポリ乳酸、ポリプロピレン、相溶化剤及び耐加水分解剤を加熱、溶融し、混練することにより行われ、例えば2軸押出機を用い、200℃前後の温度で溶融、混練することにより行われる。このアロイ化によりポリ乳酸系樹脂組成物(ポリマーアロイ)が形成され、得られるポリ乳酸系樹脂組成物はポリプロピレンのマトリックス中にポリ乳酸がドメインとして分散された形態を有している。このことは、透過型電子顕微鏡等の電子顕微鏡で容易に確認することができる。
次に、ポリ乳酸系樹脂成形体(単に成形体ともいう)について説明する。係る成形体は、前述したポリ乳酸系樹脂組成物を射出成形法、押出成形法などの成形法により、常法に従って成形を行うことで製造される。具体的に成形を行う場合には、射出成形法により、ポリ乳酸系樹脂組成物を例えば180〜210℃で溶融し、金型の成形凹部へ射出し、金型温度を70〜120℃に保持して実施される。
このようにして製造されるポリ乳酸系樹脂組成物の成形体は、耐衝撃性などの機械的特性、耐加水分解性及び耐熱性に優れ、耐久性に優れている。例えば、JIS K 7111−1に準拠して測定されるシャルピー衝撃強度が5〜40kJ/m、及び温度80℃、相対湿度30%、暴露時間1000時間(湿熱処理)後のシャルピー衝撃強度の保持率を50〜100%に維持することができると共に、湿熱処理後の外観を湿熱処理前と同等に保持することができる。前記シャルピー衝撃強度が5kJ/m未満の場合には衝撃強度が低く、成形体を自動車用内装部材等として使用することが難しくなり、40kJ/mを超える場合には成形体の剛性等の他の特性が低下し、自動車用内装部材等として適さなくなる。また、シャルピー衝撃強度の保持率が50%を下回る場合には成形体の耐湿熱性が悪く、耐久性に欠け、その保持率が100%を超える場合には成形体の剛性や外観等の他の特性に悪影響を生じるおそれがある。
さて、本実施形態の作用について説明すると、ポリ乳酸、ポリプロピレン、相溶化剤及び耐加水分解剤を押出機で加熱、混練することによりポリ乳酸系樹脂組成物が調製される。得られたポリ乳酸系樹脂組成物を例えば射出成形機を用いて金型内に射出し、金型温度80℃で成形を行うことにより所望とする成形体が製造される。
この場合、相溶化剤として無水マレイン酸変性の非結晶性ポリプロピレンを用いることから、極性基である酸無水物基がドメインとしてのポリ乳酸側に強く相互作用し、非結晶性ポリプロピレンがマトリックスとしてのポリプロピレンの非結晶部側に相溶する。このため、ポリ乳酸とポリプロピレンとの界面付近で相溶性が高められ、ポリプロピレンがマトリックスとなり、その中にポリ乳酸がドメインとなって微細かつ均一に分散され、ポリマーアロイが形成されるものと推測される。
加えて、ポリ乳酸系樹脂組成物には耐加水分解剤としてポリカルボジイミドが含まれていることから、ポリカルボジイミドのカルボジイミド基がポリ乳酸のもつカルボキシル基と反応して加水分解の触媒となるカルボキシル基が残存しなくなるものと考えられる。そのため、湿熱条件下における加水分解を抑えることができ、衝撃強度などの機械的特性を保持することができる。
従って、ポリ乳酸系樹脂組成物中のポリ乳酸及びポリプロピレンの各物性が十分に、しかも相乗的に発現される。その結果、得られる成形体は優れた機械的特性や湿熱特性を発揮することができる。
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 本実施形態におけるポリ乳酸系樹脂組成物では、相溶化剤として無水マレイン酸変性の非結晶性ポリプロピレンが含まれていることから、無水マレイン酸がポリ乳酸に強く相互作用し、非結晶性ポリプロピレンがマトリックスを構成するポリプロピレンの非結晶部に相溶し、ポリプロピレンのマトリックス中にポリ乳酸がドメインとして良好に分散される。従って、得られる成形体の耐衝撃性等の機械的特性や耐熱性などの特性を向上させることができる。さらに、耐加水分解剤としてポリカルボジイミドが含まれていることから、湿熱条件下における加水分解を抑制することができ、耐衝撃性などの機械的特性を良好に保持することができる。
・ 相溶化剤としてさらにエチレンとグリシジルメタクリレートとを共重合してなるエポキシ基含有共重合体を用いることにより、共重合体のエチレン部分がマトリックスであるポリプロピレンに相溶し、エポキシ基部分がドメインであるポリ乳酸に相溶してポリ乳酸とポリプロピレンとの相溶性を高めることができる。さらに、エポキシ基含有共重合体のエポキシ基がポリ乳酸のもつカルボキシル基と反応して加水分解の触媒となる残存カルボキシル基をなくし、湿熱条件下での耐衝撃性などの機械的特性を向上させることができる。
・ 相溶化剤としてさらにエチレンとグリシジルメタクリレートとアクリル酸エステルとを共重合してなるエポキシ基含有共重合体を用いることにより、前記エポキシ基含有共重合体の効果に加え、共重合体のガラス転移温度(Tg)を低下させることができ、成形体の耐衝撃性などの機械的特性を改善することができる。
・ 成形体は、前述のように相溶化剤として無水マレイン酸変性の非結晶性ポリプロピレン及び耐加水分解剤としてポリカルボジイミドが含まれているポリ乳酸系樹脂組成物を成形することによって得られ、ポリ乳酸のもつ性質とポリプロピレンのもつ性質とが如何なく発現される。そのため、成形体は23℃におけるシャルピー衝撃強度が5〜40kJ/mであり、かつ温度80℃、相対湿度30%の条件下における1000時間保持後のシャルピー衝撃強度の保持率が50〜100%である。従って、係る成形体は、耐衝撃性等の機械的特性に優れると同時に、その特性を湿熱条件下(湿熱処理後)においても保持することができる。その結果、成形体をドアトリム、ピラーガーニッシュ等の自動車用内装部材などとして好適に使用することができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜6及び比較例1〜7)
下記に記載するポリ乳酸、ポリプロピレン、相溶化剤及び耐加水分解剤を表1及び表2に示す含有量(質量部)で、2軸押出機にて押出温度200℃で混練、押出ししてペレット化し、ポリ乳酸系樹脂組成物を得た。得られたポリ乳酸系樹脂組成物を射出成形機を用いて190℃で金型内に射出し、80℃に設定された金型で成形を行い、ポリ乳酸系樹脂組成物の成形体を製造した。製造された成形体は、全体が均一な成形体であり、ポリ乳酸とポリプロピレンとが相溶化剤によってアロイ化された成形体であった。
ポリ乳酸(PLA):結晶性ポリ乳酸、L−乳酸(L体)98モル%及びD−乳酸(D体)2モル%の結晶性ポリ乳酸。
PP:結晶性ポリプロピレン、エチレン−オクテン共重合ゴムを30質量%含有するブロックポリプロピレン、日本ポリプロ(株)製の商品名ノバテックPP、タイプ名BC03B。
相溶化剤1:無水マレイン酸変性の非結晶性ポリプロピレン(分子量分布(Mw/Mn)が5以下、酸変性率0.5%)、住友化学(株)製、商品名タフセレンT4535MA。
相溶化剤2:グリシジルメタクリレート(GMA)とエチレンとを共重合したエポキシ基含有共重合体、住友化学(株)製、商品名ボンドファーストCG5001。
相溶化剤3:グリシジルメタクリレート(GMA)とアクリル酸メチルとエチレンとを共重合したエポキシ基含有共重合体、住友化学(株)製、商品名ボンドファーストBF−7M。
相溶化剤4:未変性の非結晶性ポリプロピレン、住友化学(株)製、商品名タフセレンT4535。
相溶化剤5:無水マレイン酸変性の結晶性ポリプロピレン、三洋化成工業(株)製、商品名ユーメックス1010。
耐加水分解剤:ポリカルボジイミド(平均重合度が5以上の脂肪族ポリカルボジイミドでリン系酸化防止剤を含有する)、日清紡績(株)製、商品名カルボジライトLA−1。
ここで、比較例1では相溶化剤を使用しなかった例、比較例2ではポリ乳酸のマトリックス中にポリプロピレンがドメインとして分散されている例、比較例3では耐加水分解剤が含有されていない例を示す。比較例4及び5では、相溶化剤として無水マレイン酸変性の非結晶性ポリプロピレンを用いず、エポキシ基含有共重合体のみを用いた例を示す。比較例6では相溶化剤として未変性の非結晶性ポリプロピレンを用い、ポリ乳酸のマトリックス中にポリプロピレンがドメインとして分散されている例、比較例7では相溶化剤として無水マレイン酸変性の結晶性ポリプロピレンを使用した例を示す。
そして、製造された各成形体について、形態観察(モルホロジー)、シャルピー衝撃強度(未処理及び湿熱処理後)、湿熱処理後の外観を以下に示す方法により測定し、それらの結果を表1及び表2に示した。
形態観察(モルホロジー):このモルホロジーはポリマーアロイの構造(形態)を意味し、四酸化ルテニウムにより染色を施して透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより、ポリ乳酸とポリプロピレンについてマトリックス(海)とドメイン(島)を特定したものである。
湿熱処理前のシャルピー衝撃強度(kJ/m):JIS K 7111−1に準拠して測定した。測定温度は23℃である。
湿熱処理後のシャルピー衝撃強度及びその保持率(%):成形体を温度80℃、相対湿度30%の条件に1000時間暴露した(湿熱処理)後、上記の方法でシャルピー衝撃強度を測定すると共に、衝撃強度の保持率を算出した。
湿熱処理後の外観:上記湿熱処理を行った後の外観を目視にて評価し、次の評価基準で評価した。
◎:湿熱処理前の成形体と同等であった、○:湿熱処理前とほぼ同等であった、×:明らかに変色していた。
Figure 2009096892
表1に示したように、実施例1〜6では相溶化剤として無水マレイン酸変性の非結晶性ポリプロピレンを使用してポリ乳酸とポリプロピレンとの相溶性を改善したことから、ポリプロピレンがマトリックスとなり、ポリ乳酸がドメインとなるポリマーアロイが形成されたものと考えられる。従って、湿熱処理前のシャルピー衝撃強度が5.8〜35.7kJ/mであり、十分な強度が得られた。さらに、ポリ乳酸系樹脂組成物には耐加水分解剤としてポリカルボジイミドが含まれていることから、成形体の加水分解が抑制され、湿熱処理後におけるシャルピー衝撃強度の保持率が58〜98%という優れた結果が得られた。しかも、湿熱処理後における成形体の外観も湿熱処理前の外観とほぼ同等の良好な外観が得られた。
Figure 2009096892
一方、表2に示したように、比較例1では相溶化剤を使用しなかったため、ポリ乳酸とポリプロピレンとの相溶性が悪く、十分な混練ができず、得られた成形体について湿熱処理前のシャルピー衝撃強度が3.3kJ/mという低い結果を招いた。比較例2ではポリ乳酸のマトリックス中にポリプロピレンがドメインとして分散され、前記実施例とはマトリックスとドメインが逆の形態になり、衝撃強度及びその安定性が得られないため、湿熱処理後におけるシャルピー衝撃強度が低下すると同時に、外観が不良であった。比較例3では耐加水分解剤が含有されていないことから、湿熱処理により成形体が加水分解し、湿熱処理後におけるシャルピー衝撃強度が低下し、外観が不良となる結果であった。
比較例4及び5では、相溶化剤として無水マレイン酸変性の非結晶性ポリプロピレンを用いず、エポキシ基含有共重合体のみを用いたため、ポリ乳酸とポリプロピレンとの相溶性が低く、十分な混練ができず、得られた成形体について湿熱処理前のシャルピー衝撃強度及び湿熱処理後のシャルピー衝撃強度が低く、外観も不良であった。比較例6では相溶化剤として未変性の非結晶性ポリプロピレンを用い、ポリ乳酸のマトリックス中にポリプロピレンがドメインとして分散されていることから、ポリ乳酸とポリプロピレンとの相溶性が悪く、かつマトリックスとドメインの形態が逆になっている。その結果、得られた成形体について湿熱処理前のシャルピー衝撃強度、その湿熱処理後のシャルピー衝撃強度の保持率が低く、外観も不良となる結果を招いた。比較例7では相溶化剤として無水マレイン酸変性の結晶性ポリプロピレンを使用したため、ポリ乳酸とポリプロピレンとの相溶性が悪く、成形体について湿熱処理前のシャルピー衝撃強度及び湿熱処理後のシャルピー衝撃強度の保持率が低く、外観も不良となる結果であった。
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ ポリ乳酸として、結晶性のポリ乳酸と非結晶性のポリ乳酸とを適宜の割合で混合して使用することができる。
・ ポリ乳酸系樹脂組成物の目的に応じてポリプロピレン、相溶化剤、耐加水分解剤などをそれぞれ複数組合せて使用することもできる。
・ ポリ乳酸系樹脂組成物には、ポリプロピレン以外の熱可塑性樹脂として、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等を配合することも可能である。
・ 相溶化剤として、無水フタル酸等の酸無水物で変性された非結晶性ポリプロピレンを無水マレイン酸変性の非結晶性ポリプロピレンと共に使用することも可能である。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記ポリ乳酸は、結晶性ポリ乳酸であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。このように構成した場合、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果に加えて、得られる成形体の機械的特性や耐久性を向上させることができる。
・ 前記ポリプロピレンは、エチレン−α−オレフィン共重合ゴムを含有するものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。このように構成した場合、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果に加えて、得られる成形体の耐衝撃性等の機械的特性を向上させることができる。
・ 前記ポリ乳酸、ポリプロピレン、相溶化剤及び耐加水分解剤を混合し、加熱、混練して得られるものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。このように構成した場合、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果に加えて、ポリ乳酸系樹脂組成物を簡単な操作で容易に調製することができる。
・ 前記ポリ乳酸系樹脂組成物を射出成形法により、金型温度が70〜120℃の条件で成形して形成されるものであることを特徴とする請求項4に記載のポリ乳酸系樹脂成形体。このように構成した場合、ポリ乳酸系樹脂成形体を低温で容易に成形することができる。

Claims (4)

  1. ポリ乳酸とポリプロピレンとが相溶化剤によりアロイ化され、ポリプロピレンのマトリックス中にポリ乳酸がドメインとして分散されると共に、前記相溶化剤として無水マレイン酸変性の非結晶性ポリプロピレン及び耐加水分解剤としてポリカルボジイミドを含有することを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
  2. 前記相溶化剤として、さらにエチレンとグリシジルメタクリレートとを共重合してなるエポキシ基含有共重合体を含有することを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  3. 前記相溶化剤として、さらにエチレンとグリシジルメタクリレートとアクリル酸エステルとを共重合してなるエポキシ基含有共重合体を含有することを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物を成形して形成され、23℃におけるシャルピー衝撃強度が5〜40kJ/mであり、かつ温度80℃、相対湿度30%の条件下における1000時間保持後のシャルピー衝撃強度の保持率が50〜100%であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂成形体。
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