JP2009096147A - ブラダー用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤ加硫用ブラダー - Google Patents

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【課題】加硫回数を経ることによるブラダーの伸びを小さくすることにより繰り返し使用後の硬度の上昇と破断時伸びの低下を抑え、寿命の長いブラダー用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤ加硫用ブラダーを提供する。
【解決手段】ゴム成分100重量部に対して、ポリパラフェニレン−テレフタラミド縮合物を0.2〜9.0重量部、有機チオサルフェート化合物もしくはシトラコンイミド化合物を0.1〜5.0重量部含有するブラダー用ゴム組成物、ならびにそれを用いたタイヤ加硫用ブラダー。
【選択図】なし

Description

本発明は、ブラダー用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤ加硫用ブラダーに関する。
充填熱源がスチームとN2ガス方式の場合、タイヤ加硫用ブラダーは、内側では水蒸気、水分中の溶存酸素、高温にさらされ、外側では大気中の酸素、高温にさらされる。
また、タイヤ加硫用ブラダーはタイヤ部材と直接接触するため、インナーライナーを通して硫黄、ステアリン酸、オイル、酸化亜鉛などがブラダーに移行してくる。タイヤ加硫用ブラダーは、収縮、インフレートを高温(乗用車用タイヤの場合170〜200℃程度)下で繰り返すこととなり、ゴムの劣化や組成変化が著しい。
上記の問題を解決するために、劣化しにくいブチルゴムを用い、硫黄を配合しない方法、ゴム、ポリオレフィンおよびナイロンからなる複合材料を配合する方法(たとえば、特許文献1参照)、インナーライナーとブラダーの物理的な接触箇所を減らす方法などが開発されている。しかし、上記の課題を解決するには不充分であり、有効な手段は見つかっていない。
特開2005−178084号公報
本発明は、加硫回数を経ることによるブラダーの伸びを小さくすることにより繰り返し使用後の硬度の上昇と破断時伸びの低下を抑え、寿命の長いブラダー用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤ加硫用ブラダーを提供することを目的とする。
本発明は、
ゴム成分100重量部に対して、
ポリパラフェニレン−テレフタラミド縮合物を0.2〜9.0重量部、
有機チオサルフェート化合物またはシトラコンイミド化合物を0.1〜5.0重量部
含有するブラダー用ゴム組成物に関する。
また、本発明は、前記ブラダー用ゴム組成物を用いたタイヤ加硫用ブラダーに関する。
本発明によれば、ゴム成分およびポリパラフェニレン−テレフタラミド縮合物を含有し、さらに、有機チオサルフェート化合物またはシトラコンイミド化合物を特定量含有することで、加硫回数を経ることによるブラダーの伸びを小さくすることにより繰り返し使用後の硬度の上昇と破断時伸びの低下を抑え、寿命の長いブラダー用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤ加硫用ブラダーを提供することができる。
本発明のブラダー用ゴム組成物は、ゴム成分およびポリパラフェニレン−テレフタラミド縮合物を含有し、さらに、有機チオサルフェート化合物またはシトラコンイミド化合物を含有する。
前記ゴム成分としては、タイヤ用ブラダーに使用できるものであればとくに制限はなく、たとえば、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン共重合体のハロゲン化物、シリコーンゴムなどがあげられ、これらのゴムは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、加硫速度を適切にできる点から、IIRおよびCRが好ましい。
本発明のブラダー用ゴム組成物は、ポリパラフェニレン−テレフタラミド縮合物を配合することで、膨潤度(SWELL)を低く、複素弾性率(E*)を高くできるためブラダー製造時の架橋密度を高くでき、その結果薬品の移動や蒸気、酸素などの侵入を抑制できる。また、E*を高くできるため、ブラダー製造時および使用後の破断強度を維持できる。
ポリパラフェニレン−テレフタラミド縮合物は、ポリパラフェニレン−テレフタラミド縮合物のみを配合してもよいし、他の添加剤、たとえばポリパラフェニレン−テレフタラミド縮合物とワックスや加硫促進剤との混合物を配合してもよい。
ポリパラフェニレン−テレフタラミド縮合物としては、たとえば、帝人(株)製のサルフロン3000、サルフロン3001や、デュポン社製の商標名ケブラーなどがあげられる。
ポリパラフェニレン−テレフタラミド縮合物の配合量は、ゴム成分100重量部に対して0.2重量部以上、好ましくは0.5重量部以上である。ポリパラフェニレン−テレフタラミド縮合物の配合量が0.2重量部未満では、硬度を上昇させる効果が少ない。また、ポリパラフェニレン−テレフタラミド縮合物の配合量は、ゴム成分100重量部に対して9.0重量部以下、好ましくは8.0重量部以下である。ポリパラフェニレン−テレフタラミド縮合物の配合量が9.0重量部をこえると、引張試験時の破断強度が低下する。
有機チオサルフェート化合物とは、式(1):
13S−S−(CH2m−S−SO32 (1)
(式中、mは3〜10の整数;M1およびM2は同じかまたは異なり、いずれもリチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、ニッケルまたはコバルトである。また、結晶水を含有していてもよい。)
で表されるものである。
式(1)において、mは、充分な耐熱疲労性が充分に得られる点から、3〜10が好ましく、3〜6がより好ましい。
式(1)において、M1およびM2は同じかまたは異なり、いずれもリチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、ニッケルまたはコバルトが好ましく、カリウムまたはナトリウムが好ましい。
また、分子内に結晶水を含んでいてもよい。
具体的には、ナトリウム塩1水和物、ナトリウム塩2水和物などがあげられ、経済的理由から、チオ硫酸ナトリウムからの誘導体、例えば1,6−ヘキサメチレンジチオ硫酸ナトリウム・2水和物が好ましい。
上記の具体例のうち、1,6−ヘキサメチレンジチオ硫酸ナトリウム・2水和物とは、
Figure 2009096147
で表されるものである。
シトラコンイミド化合物としては、熱的に安定であり、ゴム中への分散性に優れるという理由から、ビスシトラコンイミド類が好ましい。具体的には、1,2−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、1,3−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、1,4−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、1,6−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン、2,3−ビスシトラコンイミドメチルトルエン、2,4−ビスシトラコンイミドメチルトルエン、2,5−ビスシトラコンイミドメチルトルエン、2,6−ビスシトラコンイミドメチルトルエン、1,2−ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、1,3−ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、1,4−ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、1,6−ビスシトラコンイミドエチルベンゼン、2,3−ビスシトラコンイミドエチルトルエン、2,4−ビスシトラコンイミドエチルトルエン、2,5−ビスシトラコンイミドエチルトルエン、2,6−ビスシトラコンイミドエチルトルエンなどがあげられる。なかでも、熱的に安定であり、ゴム中への分散性に優れるという理由から、1,3−ビスシトラコンイミドメチルベンゼンが好ましい。
1,3−ビスシトラコンイミドメチルベンゼンとは、
Figure 2009096147
で表されるものである。
有機チオサルフェート化合物またはシトラコンイミド化合物の配合量は、ゴム成分100重量部に対して0.1重量部以上、好ましくは0.2重量部以上である。有機チオサルフェート化合物またはシトラコンイミド化合物の配合量が0.1重量部未満では、新品時の硬度を上昇させ、使用中の硬度の低下を防ぐ効果が小さい。また、有機チオサルフェート化合物またはシトラコンイミド化合物の配合量は、ゴム成分100重量部に対して5.0重量部以下、好ましくは4.0重量部以下である。有機チオサルフェート化合物またはシトラコンイミド化合物の配合量が5.0重量部をこえると、破断強度が低下する。
本発明のブラダー用ゴム組成物は、さらに、カーボンブラックを含むことが好ましい。
カーボンブラックとしては、とくに制限はなく、たとえば、SAF、ISAF、HAF、FEFなどのグレードのものを使用することができる。
カーボンブラックの配合量は、破断強度に優れる点から、ゴム成分100重量部に対して40〜80重量部が好ましく、50〜70重量部がより好ましい。
また、本発明のブラダー用ゴム組成物は、さらに、フェノール系樹脂を配合することが好ましい。
前記フェノール系樹脂としては、たとえば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、フェノールフルフラール樹脂、レゾルシンホルムアルデヒド樹脂などがあげられ、これらのフェノール系樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、変性されていてもよい。なかでも、加硫速度が適度に早く、硬度を充分上昇させることができるという理由から、変性されていてもよいフェノールホルムアルデヒド樹脂が好ましく、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂がより好ましい。
フェノール系樹脂の配合量は、加硫速度が適切で、硬度を充分上昇させることができる点から、ゴム成分100重量部に対して3〜12重量部が好ましく、5〜9重量部がより好ましい。
本発明のゴム組成物にカーボンブラックおよびフェノール系樹脂を使用する場合、ゴム成分の一部、カーボンブラックの一部およびフェノール系樹脂を用いてマスターバッチを調製し、その後他の配合剤とともに配合することが好ましい。なお、マスターバッチを調製する際には、ゴム成分としては、CRを使用することが好ましい。
マスターバッチ中のゴム成分、カーボンブラックおよびフェノール系樹脂の配合割合は、ゴム成分100重量部に対してカーボンブラック20〜160重量部、フェノール系樹脂20〜200重量部が好ましい。
また、調製したマスターバッチの配合量は、ファイナル練りの際のフェノール系樹脂の分散性に優れる点から、ゴム組成物中に含有するゴム成分全体100重量部に対して10〜30重量部が好ましく、12〜25重量部がより好ましい。
本発明のブラダー用ゴム組成物には、前記ゴム成分、ポリパラフェニレン−テレフタラミド縮合物、有機チオサルフェート化合物またはシトラコンイミド化合物、カーボンブラック、フェノール系樹脂以外にも、通常ブラダー用ゴム組成物に添加される配合剤、たとえば、オイル、酸化亜鉛などを配合することもできる。その際、これらの配合剤の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲とすることが好ましい。
本発明のブラダー用ゴム組成物を用いて、公知の方法でタイヤ加硫用ブラダーを製造することができる。たとえば、バンバリーミキサー、ニーダーなどを用いて混練りし、上下ブラダーモールドの間の内側にセットし、モールドを閉じてゴムを押しつぶすことにより、タイヤ加硫用ブラダーの形状に成形する。また、インジェクションによる成形も可能である。
本発明のブラダー用ゴム組成物を用いたタイヤ加硫用ブラダーの厚さは、破断強度と熱伝導性に優れる点から、5〜12mmが好ましく、6〜10mmがより好ましい。なお、タイヤ加硫用ブラダーの厚さは、たとえば、タイヤトレッドのクラウン部(中央部)の下部のインナーライナーと加硫時に接する箇所の厚さを測定することにより算出することができる。
さらに、本発明のブラダー用ゴム組成物を用いたタイヤ加硫用ブラダーは、加硫回数を経ることによるブラダーの伸びを小さくすることにより繰り返し使用後の硬度の上昇と破断時伸びの低下を抑え、寿命を長くできる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
次に、実施例および比較例で使用した薬品をまとめて説明する。
ブチルゴム(IIR):日本ブチル(株)製のエクソンブチル268
クロロプレンゴム(CR):東ソー(株)製のスカイプレンB30
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN330
キャスターオイル(ヒマシ油):伊藤製油(株)製のヒマシ油
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛
タッキロール201:田岡化学工業(株)製のタッキロール201(アルキルフェノール−ホルムアルデヒド縮合樹脂、以下の式中、n:0〜2)
Figure 2009096147
ポリパラフェニレン−テレフタラミド縮合物:帝人(株)製のサルフロン3000(ポリパラフェニレン−テレフタラミド縮合物:50重量%、オクタデシルステアレート42重量%および他の成分8重量%含有)
HTS:フレキシス社製のHTS(ヘキサメチレンビスチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物)
Figure 2009096147
PK900:フレキシス社製のPERKALINK900(1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン)
Figure 2009096147
(マスターバッチの調製)
バンバリーミキサーを用いて、CRを5重量部、カーボンブラックを5重量部およびタッキロール201を8重量部の比率で混練りし、マスターバッチを調製した。
実施例1〜5および比較例1〜10
表1に示す配合処方にしたがい、バンバリーミキサーを用いて、酸化亜鉛、タッキロール201、ポリパラフェニレン−テレフタラミド縮合物、HTSおよびマスターバッチ以外の薬品を混練りして混練り物を得た。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に、酸化亜鉛、タッキロール201、ポリパラフェニレン−テレフタラミド縮合物、HTSおよびマスターバッチを添加して練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。未加硫ゴム組成物を上型・下型ブラダーモールドとコアモールドの間の内側にセットし、モールドを閉じて上下から圧縮することにより195/65R15サイズのタイヤ加硫用ブラダーの形状に成形し、185℃の条件下で12分プレス加硫することにより、実施例1〜5および比較例1〜10の加硫ブラダーを製造した。
(粘弾性試験)
加硫ブラダーの中間層から所定サイズのゴム試験片を取り出し、(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータを用いて、初期歪10%、動歪2%および周波数10Hzの条件下で、70℃における複素弾性率(新品E*)を測定した。また、老化後の硬さを評価するために、加硫ブラダーを500回タイヤ成型に用い、その後、中間層から所定サイズのゴム試験片を取り出し、上記と同様に使用後E*を測定した。なお、E*が大きいほど硬度が高いことを示し、使用後E*が大きくなりすぎないことが好ましい。また、ブラダーライフが500回未満のものは500回タイヤ成型に使用できないが、未損傷部位では測定することができる。損傷していないタイヤと直接比較できるものではないが、参考値として、未損傷部位で測定した結果を示した。
(引張試験)
加硫ブラダーの中間層から所定サイズのゴム試験片を取り出し、JIS K 6251「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて3号ダンベル型試験片を作製して引張試験を実施し、破断時伸び(新品EB)を測定した。また、老化後の硬さを評価するために、加硫ブラダーを500回タイヤ成型に用い、その後、中間層から所定サイズのゴム試験片を取り出し、上記と同様に使用後EBを測定した。なお、EBが大きいほど伸びが大きいことを示し、使用後EBが小さくなりすぎないことが好ましい。また、ブラダーライフが500回未満のものは500回タイヤ成型に使用できないが、未損傷部位では測定することができる。損傷していないタイヤと直接比較できるものではないが、参考値として、未損傷部位で測定した結果を示した。
(ブラダーライフ)
加硫ブラダーを繰り返しタイヤ成型に用い、パンクするまでの回数をカウントして製品寿命(ブラダーライフ)を測定した。なお、ブラダーライフが大きいほど製品寿命が良好であることを示す。
上記評価結果を表1に示す。
Figure 2009096147

Claims (2)

  1. ゴム成分100重量部に対して、
    ポリパラフェニレン−テレフタラミド縮合物を0.2〜9.0重量部、
    有機チオサルフェート化合物またはシトラコンイミド化合物を0.1〜5.0重量部
    含有するブラダー用ゴム組成物。
  2. 請求項1記載のブラダー用ゴム組成物を用いたタイヤ加硫用ブラダー。
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