JP2009094154A - 配線基板の製造方法および配線基板 - Google Patents
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【解決手段】配線基板を、基材10にインクをはじく撥水膜31Aを形成する膜形成工程と、この膜形成工程で撥水膜31Aが形成された基材10に対して、基材10を透過するように基材10の外側からレーザー光を照射し、導電性パターンの位置の中空部の内面に、少なくとも基材10が中空部の内面側に露出する深さまで達する溝32を加工する溝加工工程と、この溝加工工程によって溝32が加工された基材10を、銀ナノインク33Aに浸漬し、銀ナノインク33A内の銀粒子を溝32内に付着させる浸漬工程と、この浸漬工程によって溝32内に付着された銀粒子を焼成温度以上に加熱して焼成させる焼成工程とを備える配線基板の製造方法によって製造する。
【選択図】図6
Description
例えば、特許文献1には、表面に撥水加工膜を形成した絶縁基板をXYテーブル上に配置し、レーザ光によって、配線パターンに応じて撥水加工膜を除去し、これにより露出した絶縁基板上に、インクジェットノズルを用いて導電性の超微粒子を含むインク粒を噴射して配線パターンを描画する導体回路の形成方法が記載されている。
特許文献1に記載の技術では、インクジェットノズルから導電性の超微粒子を含むインク粒を噴射し絶縁基板とインクジェットノズルとの位置を相対移動させることで、配線パターンを描画する。インクジェットノズルはインク供給部や吐出機構駆動回路などが一体化されたインクジェットヘッドの端面に設けられるため、少なくとも数センチ角の大きさがあり、しかも描画対象である基板面に対して近接して配置される必要がある。
したがって、平面に展開される板状の配線基板を製造することは可能だが、例えば、チューブ状、ボトル状などの中空部を備える立体物の内面に配線パターンを形成する場合には、インクジェットヘッドが挿入可能な開口やスペースが必要となるので、配線基板の大きさや形状が著しく制約されてしまうという問題がある。
この発明によれば、膜形成工程によって、光透過性を有する基板本体の中空部内面に金属粒子を含むインクをはじく撥インク性を有する膜を形成し、次に溝加工工程によって、基板本体に対して中空部の外側から、集光されたレーザー光を照射することで、配線パターンに対応する位置の中空部の内面に少なくとも基板本体が中空部の内面側に露出する深さまで達する溝を加工する。そして、浸漬工程を行うことにより、これら膜形成工程および溝加工工程を経た基板本体を浸漬工程にて金属粒子を含有するインクに単に浸漬させるだけで、基板本体の中空部内面に形成された溝内に金属粒子を付着させることができる。このとき、配線パターンに対応する位置に形成された溝を除く中空部内面には撥インク性の膜が形成されるため、金属粒子を含有するインクがはじかれ、金属粒子が基板本体に付着することがない。そして、浸漬工程の後に焼成工程によって、溝内に付着した金属粒子を単に加熱し焼成させることで、金属粒子層による配線パターンを形成することができる。
すなわち、浸漬工程によって金属粒子を含むインクを溝内に付着させるので、金属粒子を含むインクをインクジェットヘッドなどによって描画することなく、外部に連通する中空部を有する基板本体の中空部内面に、溝加工工程で形成された溝形状に沿う配線パターンを形成できる。また、溝加工工程では基板本体に対して中空部の外側からレーザー光を照射するので、外側に連通する中空部の開口や中空部内側のスペースが狭い場合でも溝加工することが可能となる。
この場合、めっき工程により、焼成された金属粒子層上に積層してめっき層を形成するので、堅牢な配線パターンを形成することができる。また、配線パターンの厚さを容易に調整することができる。
この場合、溝加工工程において、レーザー光を配線パターンに対向する基板本体の外側から照射することで、配線パターンに対向する撥インク性を有する膜を透過して、中空部を横断したレーザー光を、配線パターンの位置に対応した撥インク性を有する膜部分に照射することができる。そのため、レーザー光を、光束径が大きな状態で基板本体を通過させて、溝加工位置に集光することができるので、基板本体の傷や異物など散乱光を発生させるノイズ要因がある場合にも良好な溝加工を行うことができる。
この発明によれば、本発明の配線基板の製造方法によって製造されるので、本発明の配線基板の製造方法と同様の作用効果を備える。
本発明の第1の実施形態に係る配線基板の製造方法および配線基板について説明する。
図1(a)は、本発明の第1の実施形態の製造方法によって製造された配線基板の模式的な平面図である。図1(b)は、図1(a)におけるB視側面図である。図2は、図1(a)におけるA−A断面図である。図3は、図1(b)におけるC−C断面図である。図4は、図3におけるD視の部分拡大図である。なお、各図は、見易さのため各部の寸法比などは誇張して描かれている(以下の図面も同様)。
配線基板1の内径は、必要に応じて適宜径に設定することができるが、本実施形態では、一例として、直径5mmに設定されている。
基材10、撥水膜31Bは、少なくとも、後述する溝加工に用いるレーザー光52が、基材10の外側から透過して基材10の内周面に到達する程度の透過率を有していればよく、目視できるような可視光の光透過性を有していなくてもよい。
また、外部に連通する中空部を有する形状であれば、必ずしも管状に限定されるものではなく、例えば、配線基板1の軸方向の一方の端部1Aが開口し、他方の端部1Bが閉止された有底筒状であってもよい。また、有底筒状の開口側の内径が小径で、底部側の内径が大径となるボトル状の形状であってもよい。
導電性パターン34Bの配線領域13上の形状は、図3に示すように、端部1A側に矩形状の端子部34bが設けられ、端子部34bの端部1Aと反対側から配線部34aが延ばされている。また、図1(a)に示すように、端部1Bの近傍でも同様の形状が形成されている。
また、導電性パターン34Aの配線領域13上の形状は、図3、4に示すように、端部1A側に矩形状の端子部34bが設けられ、端子部34bの端部1Aと反対側から導電性パターン34B側に向かって斜め方向に延ばされてから、基材10の軸方向に沿って配線部34aが延ばされている。また、図1(a)に示すように、端部1Bの近傍でも同様の形状が形成されている。
また、導電性パターン34Cは、導電性パターン34Aを導電性パターン34Bの中心軸に対して対称に設けたものである。
これらにより、配線基板1は、端部1A、1Bの開口に、周方向に離間された3つの各端子部34bの位置に対応する端子部を有する雄型コネクタなどを挿入することで、基材10によって外周側が保護された、S字状に湾曲された円筒状の配線部材として用いることができるようになっている。
なお、本実施形態では、溝32は基材10の内部まで形成されている場合の例で説明するが、溝32は、少なくとも基材10が露出する深さを有していればよい。
例えば、本実施形態の銀ナノインクは、インクジェットノズルから吐出させて用いることがないので、インクジェットノズルから吐出できない粘性のものや、インクジェットノズルからの吐出性能や着弾性能が劣るような溶媒であっても好適に採用することができる。
めっき層35は、本実施形態では銅から形成される。ただし、めっき層35の材質はこれに限定されず、他の導電性の金属、例えば金などで形成してもよい。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る配線基板の製造方法の工程フローを説明するフローチャートである。図6(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、本発明の第1の実施形態に係る配線基板の製造方法の工程説明図である。図7(a)は、本発明の第1の実施形態に係る配線基板の製造方法の溝加工工程を説明する工程説明図である。
膜形成工程S1で形成する膜を撥水性としているのは、本実施形態では、溶媒として水を用いた銀ナノインクを利用するためである。
なお、撥水剤のコーティング方法は、基材10の内周面および外周面に撥水膜31A、31Bを形成できれば、特に制限はない。例えば、撥水剤がPTFEからなる場合、スプレーによって吹き付ける方法や浸漬によって塗布する方法を採用することができる。
本実施形態では、図7(a)に示すように、基材10の外部から、基材10に向かって集光されたレーザー光52を照射するためのレーザー光源51を、基材10の外周面に沿って移動可能に配置する。そして、レーザー光源51の焦点位置を、撥水膜31Aの近傍に設定した状態で、基材10内の撥水膜31Aに向けてレーザー光52を照射する。そして、配線領域13上でレーザー光52の被照射位置が導電性パターン34A、34B、34Cを形成する範囲を走査するように、レーザー光源51を移動させる。
レーザー光52は、徐々に集光されながら、基材10の外部から撥水膜31Bに入射し、撥水膜31B、基材10を透過して、所定のスポット径に集光されて、撥水膜31Aに到達する。そのため、レーザー光52の照射部において集中された光エネルギーによって、撥水膜31Aが除去される。また照射時間やレーザー出力に応じて、撥水膜31Aの近傍の基材10も除去される。このとき、撥水膜31Aから離れた基材10の部分や、撥水膜31Bでは、レーザー光52は集光されておらず、光エネルギー密度が低いため、除去加工されない。
このようにして、導電性パターン34A、34B、34Cを形成するための溝32を形成する(図6(b)、図7(a)参照)。
レーザー光源51の波長および出力は、加工対象の材質などに応じて適宜設定することができる。本実施形態では、撥水膜31Aおよび基材10の材質に応じて、それぞれを除去できるような適宜の波長、出力に設定する。また、撥水膜31Aと基材10とで、波長が異なるレーザー光52が必要となる場合には、レーザー光源51として複数の波長光を発振できる構成とし、適宜波長を切り替えて加工する。
これにより、例えば、基材10の配線領域13が湾曲されていても、レーザー光52の焦点位置を変化させることで一定深さの溝32を形成できるようになっている。
また、このような溝加工工程S2において、基材10とレーザー光源51とは、互いに相対移動できればよく、レーザー光源51を固定して基材10を移動させたり、レーザー光源51と基材10とを互いに移動させたりすることで、レーザー光52の走査を行うようにしてもよい。
このとき、配線領域13では、溝32以外の基材10の内周面は撥水膜31Aによって覆われているので、撥水膜31Aの撥水作用により銀ナノインク33Aがはじかれる。そのため、撥水膜31Aで覆われた領域には銀ナノインク33Aは付着されない(図6(c)参照)。
同様に基材10の外周面も撥水膜31Bで覆われているため、銀ナノインク33Aは付着されない。
この浸漬後、端部1A、1Bに付着した銀ナノインク33Aを、例えば、ぬぐうなどして除去してから、溝32内に付着した銀ナノインク33Aを乾燥させる。
なお、予め、端部1A、1Bにも、撥水膜を形成しておくことで、銀ナノインク33Aが付着しないようにしておき、端部1A、1Bに付着した撥水膜を後で除去してもよい。
これにより、溝32内に、銀粒子層33Bが形成される(図6(d)参照)。
このようにして、本実施形態の配線基板の製造方法により、中空部の内面に導電性パターン34A、34B、34Cを有する配線基板1が製造される。
このため、インクジェットヘッドから銀ナノインク33Aの吐出を繰り返して配線領域13上に移動させることで、配線パターンを描画する場合に比べて、迅速に導電性パターン34A、34B、34Cを形成することができる。また、基板本体が、インクジェットヘッドを挿入する開口やスペースを有しない場合でも、中空部内面に導電性パターン34A、34B、34Cを形成することができるため、大きさや形状の制約を低減することができる。
例えば、本実施形態では、中空部の内周部の直径が5mmの場合の例で説明したが、より小さい内径であっても、配線パターンの線幅に対応する溝幅に応じてレーザー光52のスポット径を設定し、適切な溝深さが得られるように、焦点深度を設定することで、配線パターンを形成することが可能である。したがって、中空部に、数センチ角程度のインクジェットヘッドが挿入できない小さい開口やスペースしかない場合でも中空部内面に配線パターンを形成することができ、配線基板1を格段に小型化することができる。
さらに、膜形成工程S1で撥水膜31Aに絶縁性を有する撥水剤を用いるため、撥水膜31Aを残存させたとしても、この撥水膜31Aを通じて配線パターン同士がショートすることがない。このため、撥水膜31Aの除去工程を省略でき、作業工数を低減することができる。
また、銅は銀よりイオンマイグレーションが発生しづらいため、めっき加工することにより配線基板1のイオンマイグレーション発生の懸念を低減でき、電気的な安定性を向上させることができる、という付随的な効果も奏する。
上記第1の実施形態の配線基板1は、その内周面および外周面にそれぞれ撥水膜31A、31Bを残した構成としたが、撥水膜31A、31Bは、銀ナノインク33Aを溝32のみに付着させるために用いているため、浸漬工程S3で、銀ナノインク33Aを乾燥させた後では、除去しても差し支えないものである。
本変形例の配線基板は、特に図示しないが、上記第1の実施形態の配線基板1から、配線基板の表面に残す必要のない撥水膜31A、31Bの少なくともいずれかを除去加工したものである。
撥水膜31A、31Bの除去加工は、銀ナノインク33Aの乾燥後から、焼成工程S4において、加熱炉に入れる前に行ってもよいし、あるいは、焼成後、加熱炉から取り出した後に行ってもよい。ただし、撥水膜31Aが存在する状態で溝32に付着している銀ナノインク33Aを焼成させた方が、より正確な配線パターンを形成できるので、撥水膜31Aの除去加工は、焼成工程S4の後に行う方がより望ましい。
このような撥水膜31A(31B)の除去工程を設けるようにすれば、撥水膜31A(31B)として導電性の材質を採用しても構わない。
図7(b)は、本発明の第1の実施形態の第2変形例に係る配線基板の製造方法の溝加工工程を説明する工程説明図である。
本変形例では、図7(b)に示すように、溝32の形成位置に対向する基材10の外側から、レーザー光52を入射し、対向位置における撥水膜31B、基材10、撥水膜31Aを透過させ、基材10の中空部の内側から撥水膜31Aに照射する。
この場合、溝32の対向位置側では、レーザー光52の光束径は相対的に大きいため、除去加工は行われない。
本発明の第2の実施形態に係る配線基板の製造方法および配線基板について説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る配線基板の図1におけるA−A断面に相当する模式的な断面図である。
したがって、配線基板100は、上記第1の実施形態の配線基板1のめっき層35に関する作用効果を除いて、上記第1の実施形態とまったく同様の作用効果を有する。
配線基板100によれば、めっき層35を設けないため、めっき工程S5を省略して、製造工程を簡素化することができる。
また、めっきする金属も銅に限らず、ニッケル、パラジウムなど導電性の金属であればかまわないが、基材10に焼成される金属よりもイオンマイグレーションが発生しづらい金属が望ましい。
このような配線基板は、上記第1の実施形態の浸漬工程S3において、例えば、基材10を浸漬後、溝32内の銀ナノインク33Aの一部を端部1A、1B等から排出するなどして、溝32内での銀ナノインク33Aの付着量を制御して、乾燥後の銀粒子層33Bが基材10内の溝32を埋め尽くさない程度に形成されるようにし、その上に、めっき層35を形成して、溝32を埋めることで製造することができる。
めっき層35は、撥水膜31Aに整列するまで設けてもよいし、基材10の内周面の位置までにとどめてもよい。
後者の場合、撥水膜31Aを除去加工すれば、めっき層35を表面に有し、基材10の内周面から突出しない導電性パターン34A、34B、34Cを形成することができる。
10 基材(基板本体)
13 配線領域
31A、31B 撥水膜(撥インク性を有する膜)
32 溝
33A 銀ナノインク(金属粒子を含有するインク)
33B 銀粒子層(金属粒子層)
34A、34B、34C 導電性パターン(配線パターン)
35 めっき層
52 レーザー光
S1 膜形成工程
S2 溝加工工程
S3 浸漬工程
S4 焼成工程
S5 めっき工程
Claims (4)
- 外部に連通する中空部を有する基板本体の中空部内面に、金属粒子を含むインクを用いて配線パターンを形成する配線基板の製造方法であって、
前記基板本体を、光透過性を有する材料で構成し、前記基板本体の中空部内面に、前記インクをはじく撥インク性を有する膜を形成する膜形成工程と、
該膜形成工程で前記撥インク性を有する膜が形成された前記基板本体に対して該基板本体を透過するように前記中空部の外側から、集光されたレーザー光を照射し、前記配線パターンに対応する位置の前記中空部の内面に少なくとも前記基板本体が前記中空部の内面側に露出する深さまで達する溝を加工する溝加工工程と、
該溝加工工程によって溝が加工された前記基板本体を、前記インクに浸漬し、該インク内の前記金属粒子を前記溝内に付着させる浸漬工程と、
該浸漬工程によって前記溝内に付着された前記金属粒子を焼成温度以上に加熱して焼成させる焼成工程とを備えることを特徴とする配線基板の製造方法。 - 前記膜形成工程は、光透過性を有する材料によって前記撥インク性を有する膜を形成することを特徴とする請求項1に記載の配線基板の製造方法。
- 前記焼成工程によって焼成された前記金属粒子層上に積層して、めっき層を形成するめっき工程を備えることを特徴とする請求項1または2記載の配線基板の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の配線基板の製造方法によって製造されたことを特徴とする配線基板。
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