JP2009092487A - 温度センサ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐振性及び耐久性に優れた温度センサ及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】先端が閉塞した筒状の金属カバー4と、該金属カバー4内に配置され、かつ一対の電極線21が接続されたサーミスタ素子2と、一対の電極線21にそれぞれ接続された信号線31を先端側に露出させた状態で内蔵するシースピン3とを有する温度センサ1である。サーミスタ素子2は、アルミナを主成分とするヤング率2GPa〜10GPaの充填材5で金属カバー4内に固定されている。温度センサ1は、注入工程と挿入工程と加熱工程とを行って製造することができる。注入工程においては金属カバー4内に充填材スラリーを注入する。挿入工程においてはシースピン3に信号線31及び電極線21を介して接続されたサーミスタ素子2を金属カバー4内に挿入する。加熱工程においては充填材スラリーを加熱固化させてヤング率2GPa〜10GPaの充填材5を形成する。
【選択図】図2
【解決手段】先端が閉塞した筒状の金属カバー4と、該金属カバー4内に配置され、かつ一対の電極線21が接続されたサーミスタ素子2と、一対の電極線21にそれぞれ接続された信号線31を先端側に露出させた状態で内蔵するシースピン3とを有する温度センサ1である。サーミスタ素子2は、アルミナを主成分とするヤング率2GPa〜10GPaの充填材5で金属カバー4内に固定されている。温度センサ1は、注入工程と挿入工程と加熱工程とを行って製造することができる。注入工程においては金属カバー4内に充填材スラリーを注入する。挿入工程においてはシースピン3に信号線31及び電極線21を介して接続されたサーミスタ素子2を金属カバー4内に挿入する。加熱工程においては充填材スラリーを加熱固化させてヤング率2GPa〜10GPaの充填材5を形成する。
【選択図】図2
Description
本発明は、サーミスタ素子を用いた温度センサ及びその製造方法に関する。
自動車の排気ガス等の温度を測定する温度センサとして、温度によって抵抗値が変化するサーミスタ素子を用いた温度センサがある(特許文献1参照)。
一般に、温度センサ9は、図9に示すごとく、一対の電極線921を設けたサーミスタ素子92と、上記一対の電極線921にそれぞれ接続された一対の信号線931を内蔵するシースピン93と、上記サーミスタ素子92を覆うように先端部に配設された金属カバー94とを有する。そして、サーミスタ素子92とカバー94との間には、サーミスタ素子を保持するために、熱伝導性に優れたセメント95が充填されている。
一般に、温度センサ9は、図9に示すごとく、一対の電極線921を設けたサーミスタ素子92と、上記一対の電極線921にそれぞれ接続された一対の信号線931を内蔵するシースピン93と、上記サーミスタ素子92を覆うように先端部に配設された金属カバー94とを有する。そして、サーミスタ素子92とカバー94との間には、サーミスタ素子を保持するために、熱伝導性に優れたセメント95が充填されている。
また、サーミスタ素子92を保持するためのセメント95として、セメント母材中に酸素供給酸化物からなる酸素供給物質が分散されてなる酸素供給セメント固形物が充填された温度センサ9がある(特許文献2参照)。かかる温度センサにおいては、サーミスタ素子近辺において酸素濃度が低下した場合に、セメント母材中に分散された酸素供給物質から酸素が放出され酸素欠乏によるサーミスタ特性の変化を防止することができる。
しかしながら、上記従来の温度センサ9においては、セメント95によるサーミスタ素子の固定が不十分になり、内燃機関の振動が排気管等からハウジング(図示略)を介して温度センサ9に伝達された場合、内部940に配されたサーミスタ素子92にも振動が伝達され、電極線921に応力が集中して電極線921が断線してしまうおそれがあった。
また、従来の温度センサ9においては、例えば25℃〜850℃という温度センサの使用温度領域において、上記セメント95の熱膨張又は熱収縮により、セメント95とサーミスタ素子92及び電極線921との間に隙間が発生するおそれがあった。そのため、振動による応力が電極線921に集中し、電極線921が断線してしまうおそれがあった。
特に、近年の車両の高振動化に伴い、温度センサの耐振性のさらなる向上が求められていた。
また、従来の温度センサ9においては、例えば25℃〜850℃という温度センサの使用温度領域において、上記セメント95の熱膨張又は熱収縮により、セメント95とサーミスタ素子92及び電極線921との間に隙間が発生するおそれがあった。そのため、振動による応力が電極線921に集中し、電極線921が断線してしまうおそれがあった。
特に、近年の車両の高振動化に伴い、温度センサの耐振性のさらなる向上が求められていた。
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、耐振性及び耐久性に優れた温度センサ、及びその製造方法を提供しようとするものである。
第1の発明は、先端が閉塞した筒状の金属カバーと、該金属カバー内に配置され、かつ一対の電極線が接続されたサーミスタ素子と、上記一対の電極線にそれぞれ接続された信号線を先端側に露出させた状態で内蔵するシースピンとを有する温度センサにおいて、
上記サーミスタ素子は、アルミナを主成分とする充填材で上記金属カバー内に固定されており、
上記充填材のヤング率は2GPa〜10GPaであることを特徴とする温度センサにある(請求項1)。
上記サーミスタ素子は、アルミナを主成分とする充填材で上記金属カバー内に固定されており、
上記充填材のヤング率は2GPa〜10GPaであることを特徴とする温度センサにある(請求項1)。
本発明の温度センサにおいては、上記金属カバー内にヤング率2GPa〜10GPaの上記充填材が形成されている。
そのため、上記充填材は、上記サーミスタ素子を上記金属カバー内に充分に保持固定することができる。それ故、上記温度センサに振動が加わっても、上記電極線に振動による応力が集中することを抑制することができる。その結果、上記電極線が断線してしまうことを抑制することができる。
そのため、上記充填材は、上記サーミスタ素子を上記金属カバー内に充分に保持固定することができる。それ故、上記温度センサに振動が加わっても、上記電極線に振動による応力が集中することを抑制することができる。その結果、上記電極線が断線してしまうことを抑制することができる。
また、上記のごとく、アルミナを主成分とし、ヤング率を2GPa〜10GPaとする上記充填材を形成することにより、上記充填材、上記電極線、及び上記サーミスタ素子の熱膨張係数を互いに近づけることができる。そのため、例えば温度25℃〜850℃という上記温度センサの使用環境下において、上記充填材、上記電極線、及び上記サーミスタ素子の熱膨張差を小さくすることができる。そのため、上記温度センサの温度変化により、上記充填材と上記電極線及び/又は上記サーミスタ素子との間に隙間が発生し、上記温度センサに振動が加わったときに上記電極線に応力が集中することを抑制することができる。それ故、上記電極線の疲労限界による断線を抑制することができる。
以上のように、上記第1の発明によれば、耐振性及び耐久性に優れた温度センサを提供することができる。
第2の発明は、先端が閉塞した筒状の金属カバーと、該金属カバー内に配置され、かつ一対の電極線が接続されたサーミスタ素子と、上記一対の電極線にそれぞれ接続された信号線を先端側に露出させた状態で内蔵するシースピンとを有し、上記サーミスタ素子は、アルミナを主成分とする充填材で上記金属カバー内に固定された温度センサを製造する方法において、
上記金属カバー内に、アルミナを主成分とする充填材粒子を液体に分散させてなる充填材スラリーを注入する注入工程と、
上記シースピンに上記信号線及び上記電極線を介して接続された上記サーミスタ素子を上記金属カバー内に挿入し、上記充填材スラリーに浸漬させる挿入工程と、
上記充填材スラリーを加熱して固化させてヤング率2GPa〜10GPaの上記充填材を形成すると共に該充填材で上記金属カバー内に上記サーミスタ素子を固定する加熱工程とを有することを特徴とする温度センサの製造方法にある(請求項1)。
上記金属カバー内に、アルミナを主成分とする充填材粒子を液体に分散させてなる充填材スラリーを注入する注入工程と、
上記シースピンに上記信号線及び上記電極線を介して接続された上記サーミスタ素子を上記金属カバー内に挿入し、上記充填材スラリーに浸漬させる挿入工程と、
上記充填材スラリーを加熱して固化させてヤング率2GPa〜10GPaの上記充填材を形成すると共に該充填材で上記金属カバー内に上記サーミスタ素子を固定する加熱工程とを有することを特徴とする温度センサの製造方法にある(請求項1)。
本発明においては、上記注入工程と上記挿入工程と上記加熱工程とを行うことにより、上記金属カバーと、該金属カバー内に上記充填材で固定された上記サーミスタ素子と、上記シースピンとを有する上記温度センサ素子を製造する。
上記注入工程においては、上記金属カバー内に、アルミナを主成分とする充填材粒子を液体に分散させてなる充填材スラリーを注入する。また、上記挿入工程においては、上記シースピンに上記信号線及び上記電極線を介して接続された上記サーミスタ素子を上記金属カバー内に挿入し、上記充填材スラリーに浸漬させる。上記加熱工程においては、上記充填材スラリーを加熱して固化させてヤング率2GPa〜10GPaの上記充填材を形成すると共に該充填材で上記金属カバー内に上記サーミスタ素子を固定する。
このようにして、先端が閉塞した筒状の金属カバーと、該金属カバー内に配置され、かつ一対の電極線が接続されたサーミスタ素子と、上記一対の電極線にそれぞれ接続された信号線を先端側に露出させた状態で内蔵するシースピンとを有し、上記サーミスタ素子は、アルミナを主成分とする充填材で上記金属カバー内に固定された温度センサを製造することができる。
上記注入工程においては、上記金属カバー内に、アルミナを主成分とする充填材粒子を液体に分散させてなる充填材スラリーを注入する。また、上記挿入工程においては、上記シースピンに上記信号線及び上記電極線を介して接続された上記サーミスタ素子を上記金属カバー内に挿入し、上記充填材スラリーに浸漬させる。上記加熱工程においては、上記充填材スラリーを加熱して固化させてヤング率2GPa〜10GPaの上記充填材を形成すると共に該充填材で上記金属カバー内に上記サーミスタ素子を固定する。
このようにして、先端が閉塞した筒状の金属カバーと、該金属カバー内に配置され、かつ一対の電極線が接続されたサーミスタ素子と、上記一対の電極線にそれぞれ接続された信号線を先端側に露出させた状態で内蔵するシースピンとを有し、上記サーミスタ素子は、アルミナを主成分とする充填材で上記金属カバー内に固定された温度センサを製造することができる。
本発明の製造方法においては、特に、上記加熱工程において、ヤング率2GPa〜10GPaの上記充填材を形成している。
そのため、本発明の製造方法によって得られる上記温度センサにおいて、上記充填材は、上記サーミスタ素子を上記金属カバー内に充分に保持固定することができる。そのため、上記温度センサに振動が加わっても、上記電極線に振動による応力が集中することを抑制することができる。その結果、上記電極線が断線してしまうことを抑制することができる。
そのため、本発明の製造方法によって得られる上記温度センサにおいて、上記充填材は、上記サーミスタ素子を上記金属カバー内に充分に保持固定することができる。そのため、上記温度センサに振動が加わっても、上記電極線に振動による応力が集中することを抑制することができる。その結果、上記電極線が断線してしまうことを抑制することができる。
また、上記のごとく、アルミナを主成分とし、ヤング率を2GPa〜10GPaとする上記充填材を形成することにより、上記充填材、上記電極線、及び上記サーミスタ素子の熱膨張係数を互いに近づけることができる。そのため、例えば温度25℃〜850℃という上記温度センサの使用環境下において、上記充填材、上記電極線、及び上記サーミスタ素子の熱膨張差を小さくすることができる。そのため、上記温度センサの温度変化により、上記充填材と上記電極線及び/又は上記サーミスタ素子との間に隙間が発生し、上記温度センサに振動が加わったときに上記電極線に応力が集中することを抑制することができる。それ故、上記電極線の疲労限界による断線を抑制することができる。
以上のように、上記第2の発明によれば、耐振性及び耐久性に優れた温度センサの製造方法を提供することができる。
次に、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
本明細書において、自動車の内燃機関等の排気管内に設置する側を先端側、その反対側を基端側として説明する。
本明細書において、自動車の内燃機関等の排気管内に設置する側を先端側、その反対側を基端側として説明する。
本発明の上記温度センサにおいて、上記充填材のヤング率は2GPa〜10GPaである。
上記充填材のヤング率が2GPa未満の場合には、上記サーミスタ素子の保持力が低下するおそれがある。その結果、上記温度センサに振動ストレスが加わった際に、上記電極線に応力が集中し該電極線が断線してしまうおそれがある。一方、10GPaを超える場合には、熱応力に弱くなるおそれがある。即ち、例えば温度25℃〜850℃という上記温度センサの使用環境下において、上記充填材とPt等からなる上記電極線との間の熱膨張差が大きく、上記充填材が上記電極線の膨張を阻害するおそれがある。また、上記充填材と上記電熱線及び上記サーミスタ素子との間の熱膨張差が大きくなり、上記温度センサ素子の使用時に該温度センサの加熱及び冷却が繰り返し行われることにより、上記充填材と上記電熱線及び/又は上記サーミスタ素子との間に隙間が発生するおそれがある。その結果、上記電極線に過大な応力が加わり、疲労限界以上になったときに、上記電極線の断線が起こるおそれがある。好ましくは、上記加熱工程においては、ヤング率2〜4GPaの充填材を形成することがよい。
上記充填材のヤング率が2GPa未満の場合には、上記サーミスタ素子の保持力が低下するおそれがある。その結果、上記温度センサに振動ストレスが加わった際に、上記電極線に応力が集中し該電極線が断線してしまうおそれがある。一方、10GPaを超える場合には、熱応力に弱くなるおそれがある。即ち、例えば温度25℃〜850℃という上記温度センサの使用環境下において、上記充填材とPt等からなる上記電極線との間の熱膨張差が大きく、上記充填材が上記電極線の膨張を阻害するおそれがある。また、上記充填材と上記電熱線及び上記サーミスタ素子との間の熱膨張差が大きくなり、上記温度センサ素子の使用時に該温度センサの加熱及び冷却が繰り返し行われることにより、上記充填材と上記電熱線及び/又は上記サーミスタ素子との間に隙間が発生するおそれがある。その結果、上記電極線に過大な応力が加わり、疲労限界以上になったときに、上記電極線の断線が起こるおそれがある。好ましくは、上記加熱工程においては、ヤング率2〜4GPaの充填材を形成することがよい。
上記充填材のヤング率は、下記の「ペレット4点曲げ法」によって測定することができる。
「ペレット4点曲げ法」
上記充填材スラリーをペレット状の型に入れ、所定の温度条件で加熱固化させて、ペレット状の充填材(テストピース;厚みt=3mm)を形成する。
次いで、図7に示すごとく所定の間隔(L=15mm)で配置した一対の下側支持棒61上にテストピース6を配置する。一対の下側支持棒61は、所定の間隔を空けて両者が平行になるように配置した。また、テストピース6上には一対の上側支持棒62を配置した。一対の上側支持棒62は、両者を接触させた状態で平行に並べ、かつ一対の下側支持棒61の間の略中央に位置するようにテストピース6上に配置した。
次に、JIS R1601に規定の4点曲げ法により、上側支持棒62に荷重を加えてテストピースを折り曲げ、このときのテストピース6の変位量を測定する。そして、ヤング率E(Pa)は、JIS R1602に準ずる下記の式(1)より算出することができる。ただし、式(1)において、E:ヤング率(Pa)、L:下側支持棒の間隔(支点間距離;mm)、P:弾性変形領域最大荷重(N)、Y:弾性変形領域最大変位(mm)、w:テストピースの幅(mm)、t:テストピースの厚み(mm)である。
(式1)
「ペレット4点曲げ法」
上記充填材スラリーをペレット状の型に入れ、所定の温度条件で加熱固化させて、ペレット状の充填材(テストピース;厚みt=3mm)を形成する。
次いで、図7に示すごとく所定の間隔(L=15mm)で配置した一対の下側支持棒61上にテストピース6を配置する。一対の下側支持棒61は、所定の間隔を空けて両者が平行になるように配置した。また、テストピース6上には一対の上側支持棒62を配置した。一対の上側支持棒62は、両者を接触させた状態で平行に並べ、かつ一対の下側支持棒61の間の略中央に位置するようにテストピース6上に配置した。
次に、JIS R1601に規定の4点曲げ法により、上側支持棒62に荷重を加えてテストピースを折り曲げ、このときのテストピース6の変位量を測定する。そして、ヤング率E(Pa)は、JIS R1602に準ずる下記の式(1)より算出することができる。ただし、式(1)において、E:ヤング率(Pa)、L:下側支持棒の間隔(支点間距離;mm)、P:弾性変形領域最大荷重(N)、Y:弾性変形領域最大変位(mm)、w:テストピースの幅(mm)、t:テストピースの厚み(mm)である。
(式1)
また、上記電極線はPtを主成分とし、上記金属カバーは、ステンレス鋼を主成分とすることが好ましい(請求項2及び請求項8)。
この場合には、上記金属カバー、上記電極線、及び上記充填材の熱膨張係数の値を近づけることが可能になる。そのため、熱膨張差によって上記電極線に応力がかかることをより一層抑制することができる。また、上記金属カバーのステンレス鋼は、オーステナイト系SUS(SUS310S)であることが好ましい。
この場合には、上記金属カバー、上記電極線、及び上記充填材の熱膨張係数の値を近づけることが可能になる。そのため、熱膨張差によって上記電極線に応力がかかることをより一層抑制することができる。また、上記金属カバーのステンレス鋼は、オーステナイト系SUS(SUS310S)であることが好ましい。
次に、上記温度センサの製造方法においては、上記注入工程と上記挿入工程と上記加熱工程とを行う。
上記注入工程においては、上記金属カバー内に、アルミナを主成分とする充填材粒子を液体に分散させてなる充填材スラリーを注入する。
上記充填材スラリーの作製に用いる上記液体としては、例えば水を用いることができる。
上記注入工程においては、上記金属カバー内に、アルミナを主成分とする充填材粒子を液体に分散させてなる充填材スラリーを注入する。
上記充填材スラリーの作製に用いる上記液体としては、例えば水を用いることができる。
また、上記充填材スラリーは、該充填材スラリー中に含まれる粉体成分として、上記充填材粒子を85wt%〜95wt%、及び焼結助剤を15wt%〜5wt%含有することが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記加熱工程において、ヤング率2GPa〜10GPaの上記充填材を形成し易くなる。焼結助剤が5wt%未満の場合、又は上記充填材粒子が95wt%を越える場合には、上記加熱工程において、上記充填材のヤング率を2GPa以上にすることが困難になるおそれがある。一方、焼結助材が15wt%を超える場合、又は充填材粒子が85wt%未満の場合には、充填材粒子量が少なくなりすぎて、上記加熱工程後の上記充填材のヤング率が低下するおそれがある。その結果、ヤング率2GPa以上の上記充填材を形成することが困難になるおそれがある。より好ましくは、上記充填材スラリーは、粉体成分として、上記充填材粒子を87wt%〜93wt%、及び上記焼結助剤を7wt%〜13wt%含有することがよい。
この場合には、上記加熱工程において、ヤング率2GPa〜10GPaの上記充填材を形成し易くなる。焼結助剤が5wt%未満の場合、又は上記充填材粒子が95wt%を越える場合には、上記加熱工程において、上記充填材のヤング率を2GPa以上にすることが困難になるおそれがある。一方、焼結助材が15wt%を超える場合、又は充填材粒子が85wt%未満の場合には、充填材粒子量が少なくなりすぎて、上記加熱工程後の上記充填材のヤング率が低下するおそれがある。その結果、ヤング率2GPa以上の上記充填材を形成することが困難になるおそれがある。より好ましくは、上記充填材スラリーは、粉体成分として、上記充填材粒子を87wt%〜93wt%、及び上記焼結助剤を7wt%〜13wt%含有することがよい。
充填材のヤング率と焼結助剤の添加量との関係を図8に示す。図8は、粒径(メディアン径)2.5μmの充填材粒子と、焼結助剤とを水に分散させなる充填剤スラリー(水分量20wt%)を用い、温度900℃で加熱したときに形成される充填剤のヤング率と焼結助剤添加量との関係を示す。焼結助剤添加量は、充填材スラリーにおける粉体成分中の焼結助剤量、即ち、充填材粒子と焼結助剤との合計量中の焼結助剤量(wt%)で表される。ヤング率は、上述の「ペレット4点曲げ法」により測定した。同図より知られるごとく、焼結助材量が5wt%未満の場合には、加熱後の充填材のヤング率が2GPa未満になりやすくなる。
上記焼結助剤としては、例えばカオリン、タルク、及び炭酸カルシウム等を用いることができる。上記焼結助剤としては、これらから1つ又は2つ以上を組み合わせて用いることができる。
上記充填材スラリーは、上記液体を15wt%〜30wt%含有することが好ましい(請求項5)。
上記充填材スラリー中の液体量は、上記加熱工程後の上記充填材のヤング率及び体積収縮率に影響を及ぼすおそれがある。
上記液体が15wt%未満の場合には、上記充填材スラリーの流動性がほとんどなくなり、微細な上記金属カバー内に例えば充填機等によって上記充填材スラリーを充填することが困難になるおそれがある。一方、30wt%を超える場合には、上記充填材のヤング率を2GPa以上にすることが困難になるおそれがある。また、この場合には、上記加熱工程後の上記充填材スラリーの体積収縮率が大きくなり、その結果、上記加熱工程後に上記金属カバーと上記充填材との間に隙間が発生してしまうおそれがある。より好ましくは、上記充填材スラリー中の液体量は17wt%〜23wt%がよい。
上記充填材スラリーを作製するために用いられる上記液体としては、例えば水等を用いることができる。
上記充填材スラリー中の液体量は、上記加熱工程後の上記充填材のヤング率及び体積収縮率に影響を及ぼすおそれがある。
上記液体が15wt%未満の場合には、上記充填材スラリーの流動性がほとんどなくなり、微細な上記金属カバー内に例えば充填機等によって上記充填材スラリーを充填することが困難になるおそれがある。一方、30wt%を超える場合には、上記充填材のヤング率を2GPa以上にすることが困難になるおそれがある。また、この場合には、上記加熱工程後の上記充填材スラリーの体積収縮率が大きくなり、その結果、上記加熱工程後に上記金属カバーと上記充填材との間に隙間が発生してしまうおそれがある。より好ましくは、上記充填材スラリー中の液体量は17wt%〜23wt%がよい。
上記充填材スラリーを作製するために用いられる上記液体としては、例えば水等を用いることができる。
上記充填材粒子のメディアン径は、5μm以下であることが好ましい(請求項6)。
上記充填材粒子のメディアン径が5μmを超える場合には、上記加熱工程後の上記充填材のヤング率が小さくなり、ヤング率2GPa以上の充填材を形成することが困難になるおそれがある。一方、上記充填材粒子のメディアン径が小さくなりすぎると、上記充填材のヤング率が大きくなると共に、上記充填材粒子の作製が困難になるおそれがある。よって、上記充填材粒子のメディアン径は、1μm以上がよい。より好ましくは、上記充填材粒子のメディアン径は2μm〜3μmがよい。
上記充填材粒子のメディアン径が5μmを超える場合には、上記加熱工程後の上記充填材のヤング率が小さくなり、ヤング率2GPa以上の充填材を形成することが困難になるおそれがある。一方、上記充填材粒子のメディアン径が小さくなりすぎると、上記充填材のヤング率が大きくなると共に、上記充填材粒子の作製が困難になるおそれがある。よって、上記充填材粒子のメディアン径は、1μm以上がよい。より好ましくは、上記充填材粒子のメディアン径は2μm〜3μmがよい。
上記充填材粒子のメディアン径(メジアン径)D50は、粒度分布を測定することにより求めることができる。メディアン径D50は、粒子径(μm)を横軸とし、相対粒子量(%)を縦軸とする粒度分布曲線において、相体粒子量が50%のときの粒子径(μm)のことである。
次に、上記挿入工程においては、上記シースピンに上記信号線及び上記電極線を介して接続された上記サーミスタ素子を上記金属カバー内に挿入し、上記充填材スラリーに浸漬させる。
上記挿入工程においては、上記シースピンに上記信号線及び上記電極線を介して連結された上記サーミスタ素子を上記充填材スラリーが注入された上記金属カバー内に挿入し、少なくとも該サーミスタ素子、上記電極線、及び上記信号線を上記充填材スラリーに浸漬させることが好ましい。
上記挿入工程においては、上記シースピンに上記信号線及び上記電極線を介して連結された上記サーミスタ素子を上記充填材スラリーが注入された上記金属カバー内に挿入し、少なくとも該サーミスタ素子、上記電極線、及び上記信号線を上記充填材スラリーに浸漬させることが好ましい。
次に、上記加熱工程においては、上記充填材スラリーを加熱して固化させてヤング率2GPa〜10GPaの上記充填材を形成すると共に該充填材で上記金属カバー内に上記サーミスタ素子を固定する。
上記加熱工程においては、上記充填材スラリーを乾燥させた後、加熱を行うことができる。即ち、上記充填材スラリーを乾燥固化させた後、さらに加熱を行い、上記所定のヤング率の上記充填材を形成させることができる。
上記加熱工程においては、上記充填材スラリーを乾燥させた後、加熱を行うことができる。即ち、上記充填材スラリーを乾燥固化させた後、さらに加熱を行い、上記所定のヤング率の上記充填材を形成させることができる。
上記加熱工程における加熱温度は800℃〜1300℃であることが好ましい(請求項7)。
上記加熱温度が800℃未満の場合には、上記加熱工程後の上記充填材のヤング率が低下し、ヤング率2.0GPa以上の上記充填材を形成することが困難になるおそれがある。一方、1300℃を超える場合には、例えばステンレス鋼等を主成分とする上記金属カバーが熱により変形してしまうおそれがある。より好ましくは、上記加熱工程における加熱温度は、800℃〜1000℃がよい。さらにより好ましくは850℃〜950℃がよい。
上記加熱温度が800℃未満の場合には、上記加熱工程後の上記充填材のヤング率が低下し、ヤング率2.0GPa以上の上記充填材を形成することが困難になるおそれがある。一方、1300℃を超える場合には、例えばステンレス鋼等を主成分とする上記金属カバーが熱により変形してしまうおそれがある。より好ましくは、上記加熱工程における加熱温度は、800℃〜1000℃がよい。さらにより好ましくは850℃〜950℃がよい。
(実施例1)
次に、本発明の実施例について説明する。
本例は、温度センサを製造する例である。
図1及び図2に示すごとく、本例の温度センサ1は、先端が閉塞した筒状の金属カバー4と、その金属カバー4内に配置され、かつ一対の電極線21が接続されたサーミスタ素子2と、一対の電極線21にそれぞれ接続された信号線31を先端側に露出させた状態で内蔵するシースピン3とを有する。サーミスタ素子2は、アルミナを主成分とする充填材5で金属カバー4内に固定されている。
次に、本発明の実施例について説明する。
本例は、温度センサを製造する例である。
図1及び図2に示すごとく、本例の温度センサ1は、先端が閉塞した筒状の金属カバー4と、その金属カバー4内に配置され、かつ一対の電極線21が接続されたサーミスタ素子2と、一対の電極線21にそれぞれ接続された信号線31を先端側に露出させた状態で内蔵するシースピン3とを有する。サーミスタ素子2は、アルミナを主成分とする充填材5で金属カバー4内に固定されている。
以下、本例の温度センサ1について、詳説する。
本例の温度センサ1において、金属カバー4はステンレス鋼からなると共に、図1及び図2に示すごとく、先端側が略半球状に閉塞された形状を有する。また、金属カバー4は、サーミスタ素子2及び一対の電極線21の周囲に配される小径部41と、一対の信号線31の周囲に配される中径部42と、シースピン3の周囲に配される大径部43とを有し、小径部41と中径部42との間、及び中径部42と大径部43との間には、それぞれ第1テーパ部44、第2テーパ部45が形成されている。
本例の温度センサ1において、金属カバー4はステンレス鋼からなると共に、図1及び図2に示すごとく、先端側が略半球状に閉塞された形状を有する。また、金属カバー4は、サーミスタ素子2及び一対の電極線21の周囲に配される小径部41と、一対の信号線31の周囲に配される中径部42と、シースピン3の周囲に配される大径部43とを有し、小径部41と中径部42との間、及び中径部42と大径部43との間には、それぞれ第1テーパ部44、第2テーパ部45が形成されている。
また、図1及び図2に示すごとく、金属カバー4は、大径部43において、シースピン3を外周から加締める加締め部430を有し、該加締め部430において、シースピン3と溶接されている。
また、金属カバー4の内部40には、図1及び図2に示すごとくサーミスタ素子2と充填材5とが収納されている。
また、金属カバー4の内部40には、図1及び図2に示すごとくサーミスタ素子2と充填材5とが収納されている。
金属カバー4内において、サーミスタ素子2には、図1及び図2に示すごとく、サーミスタ信号を検出するための、白金等よりなる一対の電極線21が接続されている。
また、電極線21は、互いに平行に離隔配置されており、金属カバー4の軸に沿いつつ基端側に向かって延びるようにサーミスタ素子2から突出している。
また、電極線21は、互いに平行に離隔配置されており、金属カバー4の軸に沿いつつ基端側に向かって延びるようにサーミスタ素子2から突出している。
金属カバー4の基端側には、図1及び図2に示すごとく、電極線21からのサーミスタ信号を外部に取り出すための取り出し配線としてのシースピン3が金属カバー4の開口部46から挿入されている。シースピン3は、ステンレス鋼からなる一対の信号線31と、該信号線31の周りに配置したマグネシア等の絶縁粉末からなる絶縁部(図示略)と、該絶縁部の外周を覆うステンレス鋼からなる外管部30とからなる。
外管部30は、金属カバー4の大径部43内から基端側外方に伸びる大径管部301と、該大径管部301に連結し、金属カバー4の大径部43内において温度センサ1の先端側へ大径部43と中径部42との境界部分まで伸びる小径管部302とを有する。外管部30の大径管部301と小径管部302は円筒形状を有する。
外管部30は、金属カバー4の大径部43内から基端側外方に伸びる大径管部301と、該大径管部301に連結し、金属カバー4の大径部43内において温度センサ1の先端側へ大径部43と中径部42との境界部分まで伸びる小径管部302とを有する。外管部30の大径管部301と小径管部302は円筒形状を有する。
また、図1に示すごとく、信号線31は、絶縁部及び外管部30から先端側及び後端側に露出している。また、図1及び図2に示すごとく、信号線31の先端部とサーミスタ素子2の電極21の基端部とは溶接されている。一方、信号線31の基端部は、外部リード線(図示略)に接続されている。
また、図1に示すごとく、シースピン3は、ステンレス鋼からなるリブ12によって保持されている。そして、該リブ12の基端側にステンレス鋼からなる保護チューブ13が、シースピン3や外部リード線の一部を覆うように取付けられ、該保護チューブ13が、取付けネジ141を有するハウジング14に挿通固定されている。
上記温度センサ1は、取付けネジ141を排気管に螺合させて内燃機関等の排気系に配置される(図示略)。そのため、内燃機関の振動が排気管からハウジング14等を介して温度センサ1に伝達され、温度センサ1の内部に配設されたサーミスタ素子2にも振動が伝達する。
次に、本例の温度センサの製造方法につき、説明する。
本例においては、注入工程と、挿入工程と、加熱工程とを行うことにより、温度センサ素子を作製する。
注入工程においては、金属カバー内に、アルミナを主成分とする充填材粒子を液体に分散させてなる充填材スラリーを注入する。挿入工程においては、シースピンに信号線及び電極線を介して接続された上記サーミスタ素子を上記金属カバー内に挿入し、上記充填材スラリーに浸漬させる。また、加熱工程においては、充填材スラリーを加熱して固化させてヤング率2GPa〜10GPaの上記充填材を形成すると共に該充填材で上記金属カバー内に上記サーミスタ素子を固定する。
本例においては、注入工程と、挿入工程と、加熱工程とを行うことにより、温度センサ素子を作製する。
注入工程においては、金属カバー内に、アルミナを主成分とする充填材粒子を液体に分散させてなる充填材スラリーを注入する。挿入工程においては、シースピンに信号線及び電極線を介して接続された上記サーミスタ素子を上記金属カバー内に挿入し、上記充填材スラリーに浸漬させる。また、加熱工程においては、充填材スラリーを加熱して固化させてヤング率2GPa〜10GPaの上記充填材を形成すると共に該充填材で上記金属カバー内に上記サーミスタ素子を固定する。
以下、本例の温度センサの製造方法につき、詳説する。
まず、充填材スラリーを準備した。具体的には、まず、充填材粒子91重量部と、焼結助剤9重量部(カオリン3重量部、タルク2重量部、及び炭酸カルシウム4重量部)とを配合し、ボールミルにより混合、粉砕し、メディアン径2.5μmの粉体成分を調整した。次に、この粉体成分を水に分散させることにより充填材スラリーを作製した。充填材スラリー中の水分量は20wt%とした。
まず、充填材スラリーを準備した。具体的には、まず、充填材粒子91重量部と、焼結助剤9重量部(カオリン3重量部、タルク2重量部、及び炭酸カルシウム4重量部)とを配合し、ボールミルにより混合、粉砕し、メディアン径2.5μmの粉体成分を調整した。次に、この粉体成分を水に分散させることにより充填材スラリーを作製した。充填材スラリー中の水分量は20wt%とした。
次に、図3(a)に示すごとく、所定量の充填材スラリー51をディスペンサ等を用いて金属カバー4内に注入した。
次に、図3(b)及び図3(c)に示すごとく、シースピン3に信号線31及び電極線21を介して接続されたサーミスタ素子2を金属カバー4内に挿入し、充填材スラリー51に浸漬させた。
次いで、温度80℃で充填材スラリーの水分を乾燥させた後、図3(c)に示すごとく、金属カバー4をレーザ溶接してシースピン3を外周から加締める加締め部430を形成した。次に、温度900℃で3時間加熱し、図3(d)に示すごとく、充填材5で金属カバー4内にサーミスタ素子2を固定した。このようにして、温度センサ1を作製した。
本例において作製した温度センサ1の充填材のヤング率は、上記充填材スラリーを上記温度センサの作製方法と同様の条件で乾燥(乾燥温度80℃)及び加熱(温度900℃、3時間)して上述の「ペレット4点曲げ法」に規定のペレット状のテストピースを別途作製し、上述のペレット4点曲げ法により測定した。その結果、充填材のヤング率は、2.7GPaであった。
次に、図3(b)及び図3(c)に示すごとく、シースピン3に信号線31及び電極線21を介して接続されたサーミスタ素子2を金属カバー4内に挿入し、充填材スラリー51に浸漬させた。
次いで、温度80℃で充填材スラリーの水分を乾燥させた後、図3(c)に示すごとく、金属カバー4をレーザ溶接してシースピン3を外周から加締める加締め部430を形成した。次に、温度900℃で3時間加熱し、図3(d)に示すごとく、充填材5で金属カバー4内にサーミスタ素子2を固定した。このようにして、温度センサ1を作製した。
本例において作製した温度センサ1の充填材のヤング率は、上記充填材スラリーを上記温度センサの作製方法と同様の条件で乾燥(乾燥温度80℃)及び加熱(温度900℃、3時間)して上述の「ペレット4点曲げ法」に規定のペレット状のテストピースを別途作製し、上述のペレット4点曲げ法により測定した。その結果、充填材のヤング率は、2.7GPaであった。
次に、本例において作製した温度センサを排気管に螺合させて内燃機関等の排気系に配置し、温度センサを作動させた。このとき、温度センサの加熱と冷却を繰り返し行った。具体的には、温度25℃から850℃までの加熱と温度850℃から25℃までの冷却とを1サイクルとし、これを12000サイクル繰り返して行った。
その結果、本例の温度センサは、12000サイクル後においても、電極線に断線等を生じることなく作動させることができた。また、12000サイクル後に、温度センサを金属カバーの部分で軸方向と垂直な面で切断し、金属カバーと充填材、充填材と電極線、及び充填材とサーミスタ素子との界面を調べたところ、これらの界面において隙間等は観察されなかった。
また、本例と同様の条件で複数の温度センサを作製し、これらの温度センサについても12000サイクルの作動試験を行ったところ、電極線の断線等は発生しなかった。
その結果、本例の温度センサは、12000サイクル後においても、電極線に断線等を生じることなく作動させることができた。また、12000サイクル後に、温度センサを金属カバーの部分で軸方向と垂直な面で切断し、金属カバーと充填材、充填材と電極線、及び充填材とサーミスタ素子との界面を調べたところ、これらの界面において隙間等は観察されなかった。
また、本例と同様の条件で複数の温度センサを作製し、これらの温度センサについても12000サイクルの作動試験を行ったところ、電極線の断線等は発生しなかった。
即ち、図1及び図2に示すごとく、本例の温度センサ1においては、充填材5は、サーミスタ素子2を金属カバー4内に充分に保持固定することができる。そのため、上記温度センサに振動が加わっても、上記電極線に振動による応力が集中することを抑制することができる。その結果、上記電極線が断線してしまうことを抑制することができる。
また、アルミナを主成分とし、ヤング率を2GPa〜10GPaの充填材5が形成されているため、充填材5、電極線21、及びサーミスタ素子2の熱膨張係数を互いに近づけることができる。そのため、例えば温度25℃〜850℃という上記温度センサの使用環境下において、充填材5、電極線21、及びサーミスタ素子2の熱膨張差を小さくすることができる。そのため、温度センサ1の温度変化により、充填材5と電極線21及び/又はサーミスタ素子2との間に隙間が発生し、温度センサ1に振動が加わったときに電極線21に応力が集中することを抑制することができる。それ故、上記電極線の疲労限界による断線を抑制することができる。
また、アルミナを主成分とし、ヤング率を2GPa〜10GPaの充填材5が形成されているため、充填材5、電極線21、及びサーミスタ素子2の熱膨張係数を互いに近づけることができる。そのため、例えば温度25℃〜850℃という上記温度センサの使用環境下において、充填材5、電極線21、及びサーミスタ素子2の熱膨張差を小さくすることができる。そのため、温度センサ1の温度変化により、充填材5と電極線21及び/又はサーミスタ素子2との間に隙間が発生し、温度センサ1に振動が加わったときに電極線21に応力が集中することを抑制することができる。それ故、上記電極線の疲労限界による断線を抑制することができる。
また、本例においては、温度センサの製造時における加熱工程(温度900℃での3時間の加熱)前後の充填材の状態を走査電子顕微鏡により観察した。その観察結果の電子顕微鏡写真を図4(a)(加熱前)及び図4(b)(加熱後)に示す。
図4(a)及び図4(b)より知られるごとく、本例の加熱条件では加熱前後において、充填材粒子の粒成長がほとんどおこっていなかった。
図4(a)及び図4(b)より知られるごとく、本例の加熱条件では加熱前後において、充填材粒子の粒成長がほとんどおこっていなかった。
また、本例においては、温度センサの充填材のヤング率と電極線にかかる応力との関係をシミュレーションにより求めた。その結果を図5に示す。
図5より知られるごとく、充填材のヤング率が10GPaを越える場合には、電極線にかかる応力が約10MPa以上にまで増大する。その結果、電極線の許容応力を超え、電極線が断線し易くなり、12000サイクルまで温度センサを作動させることが困難になるおそれがある。
また、温度センサの共振時(1000G(温度850℃条件下))において、充填材のヤング率と電極線の相対変位との関係をシミュレーションにより求めた。その結果を図6に示す。なお、相対変位量を14μm以下にすることにより、電極線にかかる応力を充分に低くして12000サイクルまで温度センサを作動させることができることを予めシミュレーションにより確認している。
図6より知られるごとく、充填材のヤング率を2GPa以上にすることにより、電極線の相対変位量を14μm以下にすることができる。したがって、充填材のヤング率を2GPa以上にすることにより、電極線へかかる過大な応力を抑制し、例えば12000サイクルという優れた冷熱サイクルで温度センサを作動させることが可能になる。
したがって、充填材のヤング率を2GPa〜10GPaにすることが耐振性及び耐久性の向上に有効であることがわかる。
図5より知られるごとく、充填材のヤング率が10GPaを越える場合には、電極線にかかる応力が約10MPa以上にまで増大する。その結果、電極線の許容応力を超え、電極線が断線し易くなり、12000サイクルまで温度センサを作動させることが困難になるおそれがある。
また、温度センサの共振時(1000G(温度850℃条件下))において、充填材のヤング率と電極線の相対変位との関係をシミュレーションにより求めた。その結果を図6に示す。なお、相対変位量を14μm以下にすることにより、電極線にかかる応力を充分に低くして12000サイクルまで温度センサを作動させることができることを予めシミュレーションにより確認している。
図6より知られるごとく、充填材のヤング率を2GPa以上にすることにより、電極線の相対変位量を14μm以下にすることができる。したがって、充填材のヤング率を2GPa以上にすることにより、電極線へかかる過大な応力を抑制し、例えば12000サイクルという優れた冷熱サイクルで温度センサを作動させることが可能になる。
したがって、充填材のヤング率を2GPa〜10GPaにすることが耐振性及び耐久性の向上に有効であることがわかる。
1 温度センサ
2 サーミスタ素子
21 電極線
3 シースピン
31 信号線
4 金属カバー
5 充填材
2 サーミスタ素子
21 電極線
3 シースピン
31 信号線
4 金属カバー
5 充填材
Claims (8)
- 先端が閉塞した筒状の金属カバーと、該金属カバー内に配置され、かつ一対の電極線が接続されたサーミスタ素子と、上記一対の電極線にそれぞれ接続された信号線を先端側に露出させた状態で内蔵するシースピンとを有する温度センサにおいて、
上記サーミスタ素子は、アルミナを主成分とする充填材で上記金属カバー内に固定されており、
上記充填材のヤング率は2GPa〜10GPaであることを特徴とする温度センサ。 - 請求項1において、上記電極線はPtを主成分とし、上記金属カバーは、ステンレス鋼を主成分とすることを特徴とする温度センサ。
- 先端が閉塞した筒状の金属カバーと、該金属カバー内に配置され、かつ一対の電極線が接続されたサーミスタ素子と、上記一対の電極線にそれぞれ接続された信号線を先端側に露出させた状態で内蔵するシースピンとを有し、上記サーミスタ素子は、アルミナを主成分とする充填材で上記金属カバー内に固定された温度センサを製造する方法において、
上記金属カバー内に、アルミナを主成分とする充填材粒子を液体に分散させてなる充填材スラリーを注入する注入工程と、
上記シースピンに上記信号線及び上記電極線を介して接続された上記サーミスタ素子を上記金属カバー内に挿入し、上記充填材スラリーに浸漬させる挿入工程と、
上記充填材スラリーを加熱して固化させてヤング率2GPa〜10GPaの上記充填材を形成すると共に該充填材で上記金属カバー内に上記サーミスタ素子を固定する加熱工程とを有することを特徴とする温度センサの製造方法。 - 請求項3において、上記充填材スラリーは、該充填材スラリー中に含まれる粉体成分として、上記充填材粒子を85wt%〜95wt%、及び焼結助剤を15wt%〜5wt%含有することを特徴とする温度センサの製造方法。
- 請求項3又は4において、上記充填材スラリーは、上記液体を15wt%〜30wt%含有することを特徴とする温度センサの製造方法。
- 請求項3〜5のいずれか一項において、上記充填材粒子のメディアン径は、5μm以下であることを特徴とする温度センサの製造方法。
- 請求項3〜6のいずれか一項において、上記加熱工程における加熱温度は800℃〜1300℃であることを特徴とする温度センサの製造方法。
- 請求項3〜7のいずれか一項において、上記電極線はPtを主成分とし、上記金属カバーはステンレス鋼を主成分とすることを特徴とする温度センサの製造方法。
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JP2011232332A (ja) * | 2010-04-08 | 2011-11-17 | Denso Corp | 温度センサ及びその製造方法 |
KR200461307Y1 (ko) | 2011-04-04 | 2012-07-05 | 주식회사 우진 | 충격 흡수용 원자력 발전소형 측온 장치 |
JP2016031258A (ja) * | 2014-07-28 | 2016-03-07 | 株式会社デンソー | 温度センサ |
US10309839B2 (en) | 2014-07-17 | 2019-06-04 | Denso Corporation | Temperature sensor |
-
2007
- 2007-10-08 JP JP2007262803A patent/JP2009092487A/ja active Pending
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