JP2009091333A - ケイ素間二重結合含有化合物および蛍光材料 - Google Patents

ケイ素間二重結合含有化合物および蛍光材料 Download PDF

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皓平 玉尾
Tsukasa Matsuo
司 松尾
Tomohide Tomikawa
友秀 冨川
Katsunori Suzuki
克規 鈴木
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Abstract

【課題】新規パイ共役電子系化合物を提供すること。
【解決手段】下記一般式(I)で表される化合物。

一般式(I)中、A1、A2、A3およびA4は、それぞれ独立に、アルキル置換ヘキサヒドロインダセン基を表し、nは1以上の整数を表す。nが2以上の場合、複数存在するA3、A4は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、ケイ素間二重結合を含有する新規化合物に関する。
従来より、外場(電気・熱・磁場・圧力・光等)に応答する有機機能材料が多数報告されている。例えば、パイ共役電子系化合物は、光照射、電界印加等により発光する性質を有するものが多く、蛍光性材料、エレクトロルミネッセンス材料として有望視されている(例えば特許文献1参照)。
特表2005−503453号公報
そこで本発明の目的は、新規パイ共役電子系化合物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ベンゼン環とケイ素二重結合が連結した共平面構造が、パイ共役の拡張に理想的な構造であるとの知見を得た。そこで、上記知見に基づき更に検討を重ねた結果、新規ケイ素パイ電子系化合物を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記目的は、下記手段により達成された。
[1]下記一般式(I)で表される化合物。
[一般式(I)中、A1、A2、A3およびA4は、それぞれ独立に、下記一般式(II)で表される基を表し、nは1以上の整数を表す。nが2以上の場合、複数存在するA3、A4は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
[一般式(II)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子またはシリル基を表し、R1〜R8は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和または不飽和の炭化水素基を表す。但し、R1〜R8が同時にエチル基になることはない。*は、ケイ素原子との結合位置を表す。]
[2]一般式(II)中、R1〜R8は、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基である[1]に記載の化合物。
[3][1]または[2]に記載の化合物を含む蛍光材料。
[4]下記一般式(III)で表される化合物。
[一般式(III)中、R11〜R18およびR21〜R28 は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和または不飽和の炭化水素基を表す。但し、R11〜R18が同時にエチル基になることはなく、R21〜R28が同時にエチル基になることもない。X1およびX2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、リチウム原子、−MgXa(Xaは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す)で表される1価の基またはシリル基を表す。Y1〜Y4は、それぞれ独立に水素原子またはハロゲン原子を表す。]
[5][4]に記載の化合物を、下記一般式(IV)で表される化合物との還元縮合反応に付すことにより[1]または[2]に記載の化合物を製造する方法。
[一般式(IV)中、R31〜R38は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和または不飽和の炭化水素基を表す。但し、R31〜R38が同時にエチル基になることはない。Y5およびY6は、それぞれ独立に水素原子またはハロゲン原子を表す。X5は、水素原子、ハロゲン原子、リチウム原子、−MgXa(Xaは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す)で表される1価の基またはシリル基を表す。]
本発明によれば、有機EL等への応用が期待される新規発光性化合物を提供することができる。
本発明は、下記一般式(I)で表される化合物に関する。
[一般式(I)中、A1、A2、A3およびA4は、それぞれ独立に、下記一般式(II)で表される基を表し、nは1以上の整数を表す。nが2以上の場合、複数存在するA3、A4は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
[一般式(II)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子またはシリル基を表し、R1〜R8は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和または不飽和の炭化水素基を表す。但し、R1〜R8が同時にエチル基になることはない。*は、ケイ素原子との結合位置を表す。]
一般式(I)で表される化合物は、ベンゼン環がSi=Si面と共平面構造を取るため、パイ共役系の拡張に理想的な構造を有する。ケイ素パイ電子系化合物は、炭素パイ電子系化合物と比べてHOMO−LUMOギャップが小さい。一般的な炭素パイ電子系化合物は、吸収極大波長(λmax)が短波長側(例えば200〜400nm)に位置するのに対し、一般式(I)で表される化合物は吸収極大波長が長波長側(例えば400〜600nm)に位置する。そのため炭素パイ電子系化合物とは異なる発光性を有する発色団として用いることができる。この点は、多用な色調が求められるディスプレイ用途等において大きな利点となる。
以下、一般式(I)の詳細を説明する。
本発明において、ある官能基が置換基を有し得る場合、置換基の種類、その数および置換位置は特に限定されるものではないが、置換基の具体例としては、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、好ましくは臭素原子)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換または無置換のアリール基、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、ピレニル基)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20の置換または無置換のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基、トリチル基)を挙げることができる。
一般式(I)中、A1、A2、A3およびA4は、それぞれ独立に、下記一般式(II)で表される基を表す。
一般式(II)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子またはシリル基を表す。
ハロゲン原子は、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、好ましくは臭素原子である。
シリル基は、置換または無置換のシリル基(−SiH3)であることができる。置換シリル基は、−SiR12で表される1置換シリル基、−SiR1 2Hで表される2置換シリル基、−SiR1 3で表される3置換シリル基であることができる。ここで、R1で表される置換基としては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子)、アルキル基(例えばメチル基)、アリール基(例えばフェニル基)、アルコキシ基(例えばエトキシ基)を挙げることができる。置換シリル基の具体例としては、−SiBr2Ph、−SiH2Ph、−SiBr3、−SiHBr2、−SiH2Br、−SiCl3、−SiHCl2、−SiH2Cl、−SiMe3、−SiHMe2、−SiH2Me、−SiClMe2、−SiCl2Me、−SiHClMe、−SiH2(OEt)、−SiH(OEt)2等を挙げることができる。
一般式(II)中、有機合成化学における有用性の点から、Xは水素原子であることが好ましい。
一般式(I)中、R1〜R8は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和または不飽和の炭化水素基を表す。但し、R1〜R8が同時にエチル基になることはない。前記炭化水素基は、無置換であっても置換基を有していてもよい。前記炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基等を挙げることができる。溶解性等の点からは、アルキル基であることが好ましい。アルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖または分岐の置換または無置換のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基、トリチル基を挙げることができる。中でも、炭素数1〜6の置換または無置換のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6の無置換のアルキル基が更に好ましい。
一般式(I)中、nは1以上の整数を表す。一般式(I)で表される化合物が発光し得る蛍光の色は、n数により変化し得るため、nは所望の蛍光色に応じて決定すればよいが、理論計算によると、nが6付近で吸収極大が飽和すると予想される。また、nが10を超えると一般式(I)で表される化合物の溶解度が通常低下すると考えられる。以上の点を考慮すると、光物性化学における有用性の点から、nは、好ましくは1〜10の範囲の整数であり、より好ましくは1〜6の範囲の整数であり、更に好ましくは2〜6の範囲の整数である。なお、nが2以上の場合、複数存在するA3、A4はそれぞれ同一でも異なってもよい。また、一般式(I)中、A1、A2、A3、A4は同一でもそれぞれ異なってもよいが、有機合成化学における有用性の点では同一であることが好ましい。
一般式(I)で表される化合物の具体例としては、後述する実施例に示す化合物を挙げることができる。
一般式(I)で表される化合物の好ましい態様としては、有機合成化学における有用性の点から、一般式(I)中、(1)R1、R2、R5およびR6が同一であり、かつR3、R4、R7およびR8が同一である態様、(2)R1、R2、R7およびR8が同一であり、かつR3、R4、R5およびR6が同一である態様を挙げることができる。
一般式(I)で表される化合物は、後述する一般式(III)で表される化合物と一般式(IV)で表される化合物との還元縮合反応により合成できる。還元縮合反応は、例えば、適当な溶媒中、一般式(III)で表される化合物と一般式(IV)で表される化合物を、還元剤存在下で攪拌混合することにより行うことができる。還元縮合反応の反応条件については、ケイ素ハロゲン化物の一般的な還元縮合反応の反応条件を適用することができる。また、後述の実施例も参照できる。例えば、還元剤としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、ナトリウム/カリウム等のアルカリ金属合金、リチウムナフタレニド(LiNp)、カリウムグラファイト(KC8)等が使用できる。反応溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等のアルカン類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素などが使用できる。一般式(I)で表される化合物の分子量は、還元縮合反応における一般式(III)で表される化合物と一般式(IV)で表される化合物の割合によって制御できると考えられる。例えば、一般式(I)中のnが1〜6程度の化合物を得るためには、一般式(III)で表される化合物と一般式(IV)で表される化合物の割合は、モル比として、1:1〜1:10が好ましく、1:2〜1:5の割合が更に好ましい。また、一般式(I)中のnが6程度またはそれ以上の化合物を得るためには、一般式(III)で表される化合物と一般式(IV)で表される化合物の割合は、モル比として、1000:1〜1:1程度が好ましいと考えられる。一般式(III)で表される化合物と一般式(IV)で表される化合物の濃度は、それぞれ0.001M〜1Mが好ましい。反応温度は、-100 ℃付近〜室温が好ましく、反応時間は数時間〜数日間が好ましい。
上記還元縮合反応後、公知の方法で単離精製を行ってもよい。目的化合物が得られたことは、NMR、および、UV-vis(紫外可視吸収スペクトル)等の分光学的手法を用いた同定方法により確認することができる。また、ゲル濾過クロマトグラフィーにより単量体、二量体、三量体等のn数の異なる化合物を分離することもできる。なお、一般式(I)で表される化合物は、一般式(I)中のA1〜A4の種類によっては塩を形成する場合があり、遊離の状態または塩の状態で水和物または溶媒和物を形成することもあるが、これらの状態も本発明の範囲に含まれるものとする。
更に本発明は、下記一般式(III)で表される化合物に関する。
[一般式(III)中、R11〜R18およびR21〜R28 は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和または不飽和の炭化水素基を表す。但し、R11〜R18が同時にエチル基になることはなく、R21〜R28が同時にエチル基になることもない。X1およびX2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、リチウム原子、−MgXa(Xaは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す)で表される1価の基またはシリル基を表す。Y1〜Y4は、それぞれ独立に水素原子またはハロゲン原子を表す。]
一般式(III)で表される化合物は、前述の通り、一般式(I)で表される化合物の合成原料として使用することができる。
以下、一般式(III)の詳細を説明する。
一般式(III)中、R11〜R18およびR21〜R28 は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和または不飽和の炭化水素基を表す。但し、R11〜R18が同時にエチル基になることはなく、R21〜R28が同時にエチル基になることもない。R11〜R18およびR21〜R28 の詳細は、先に一般式(II)中のR1〜R8について述べた通りである。
一般式(III)中、X1およびX2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、リチウム原子、−MgXa(Xaは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す)で表される1価の基またはシリル基を表す。ハロゲン原子およびシリル基の詳細は、先に一般式(II)中のXについて述べた通りである。また、−MgXaで表される1価の基において、Xaは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
一般式(III)中、Y1〜Y4は、それぞれ独立に水素原子またはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、好ましくは臭素原子である。
一般式(III)で表される化合物の具体例としては、後述する実施例に示す化合物を挙げることができる。
一般式(III)で表される化合物の好ましい態様としては、有機合成化学における有用性の点から、一般式(III)中、R11、R12、R15、R16、R23、R24、R27およびR28が同一であり、かつR13、R14、R17、R18、R21、R22、R25およびR26が同一である態様を挙げることができる。
一般式(III)で表される化合物は、後述する一般式(V)で表される化合物を出発原料とし、1,4-ジリチオベンゼン、または、1,4-ビス(トリヒドロシリル)ベンゼンとの反応により合成できる。合成条件等の詳細は、後述の実施例を参照できる。
上記反応後、公知の方法で単離精製を行ってもよい。または精製を行わず、一般式(IV)で表される化合物の合成反応に付すこともできる。目的化合物が得られたことは、NMR等の同定方法により確認することができる。なお、一般式(III)で表される化合物は、一般式(III)中の官能基の種類によっては塩を形成する場合があり、遊離の状態または塩の状態で水和物または溶媒和物を形成することもあるが、これらの状態も本発明の範囲に含まれるものとする。
次に、一般式(III)で表される化合物の出発原料となる一般式(V)で表される化合物について説明する。
一般式(V)中、X3およびX4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、リチウム原子、−MgXa(Xaは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す)で表される1価の基またはシリル基を表す。ハロゲン原子およびシリル基の詳細は、先に一般式(II)中のXについて述べた通りであり、−MgXaで表される1価の基の詳細は、先に一般式(III)中のX1、X2について述べた通りである。
31〜R38は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和または不飽和の炭化水素基を表す。但し、R31〜R38が同時にエチル基になることはない。R31〜R38の詳細は、先に一般式(II)中のR1〜R8について述べた通りである。
一般式(V)中、X3およびX4のいずれか一方がフェニル基および臭素原子によって置換された置換シリル基である態様が、下記一般式(IV)で表される化合物である。一般式(IV)で化合物は、一般式(I)で表される化合物の合成に使用することができる。
一般式(IV)中、R31〜R38は、一般式(V)における定義と同義である。Y5およびY6は、それぞれ独立に水素原子またはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子は、好ましくは臭素原子である。
5は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、リチウム原子、−MgXa(Xaは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す)で表される1価の基またはシリル基を表す。ハロゲン原子およびシリル基の詳細は、先に一般式(II)中のXについて述べた通りであり、−MgXaで表される1価の基の詳細は、先に一般式(III)中のX1、X2について述べた通りである。
一般式(I)で表される化合物の合成に使用される化合物としては、一般式(IV)中のY5およびY6がハロゲン原子であることが好ましく、臭素原子であることが更に好ましい。
一般式(IV)で表される化合物は、例えば、以下に示すルイス酸触媒を用いた分子内フリーデル-クラフツ反応によって合成することができる。
[上記において、RおよびR’は、それぞれ独立に炭素数1〜20の飽和または不飽和の炭化水素基を表す。複数存在するRおよびR’は同一でも異なっていてもよい。Xbは、水素原子またはハロゲン原子を表す。]
更に、上記反応により得られた化合物に所望のX3、X4を導入することにより目的化合物を得ることもできる。例えば、上記反応により得られた化合物をブロモ化することにより、ブロモ体(一般式(IV)中のX3、X4の少なくとも一方が臭素原子である化合物)を得ることができる。更に、例えばブロモ体のリチオ化、およびそれに続くヒドロシラン類との反応によりヒドロシリル体(一般式(IV)中のX3、X4の少なくとも一方がシリル基である化合物)を合成することができる。また、ヒドロシリル体を臭素化することによりブロモシリル体(一般式(IV)中のX3、X4の少なくとも一方が臭素置換シリル基である化合物)を得ることができる。また、ブロモシリル体の還元反応により、ジシレン(一般式(IV)中のX3、X4の少なくとも一方が無置換シリル基である化合物)を得ることができる。合成条件等の詳細は、後述の実施例を参照できる。また、原料化合物は、公知の方法で合成可能であり、市販品として入手できるものもある。原料化合物の合成方法の一例を以下に示す。その詳細は、例えばK. Tamao, M, Kumada, et al., JACS. 1972, 94, 4374, BCSJ. 1976, 49, 1958等に記載されている。
[上記において、R’は前述と同義である。Xb’は、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を表す。]
更に本発明は、一般式(I)で表される化合物を含む蛍光材料に関する。本発明において「蛍光材料」とは、光照射、電界印加等によるエネルギーを吸収することによって励起状態となり、そのエネルギーを光として放出し得る材料をいうものとする。
本発明の蛍光材料は、一種または二種以上の一般式(I)で表される化合物からなることもでき、一般式(I)で表される化合物とともに他の蛍光物質や添加剤等を含むことができる。一般式(I)で表される化合物は、例えば固体状態または溶液状態で励起光(例えば紫外光(波長200〜600nm程度))を照射することにより蛍光を発光し得る。特に、吸収極大波長(λmax)が比較的長波長側に位置するため、従来知られている炭素パイ共役系化合物とは異なる色調を呈し得る。これにより、例えば炭素パイ共役系化合物と組み合わせて使用すれば、従来実現し得なかった色調を実現することもできる。本発明の蛍光材料は、例えば、有機EL素子、各種発光デバイス、情報記録材料、センサー等に使用することができる。
以下、本発明を実施例により更に説明するが、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
[実施例1]
p-ビス(1,1,7,7-テトラエチル-3,3,5,5-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル-ジヒドロシリル)ベンゼンの合成
(1)1,1,7,7-テトラエチル-3,3,5,5-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセンの合成
窒素雰囲気下、磁気攪拌子を備えた500 mL三口フラスコに1,3-ビス(1-クロロ-1-メチルエチル)ベンゼン(37.5 g, 162 mmol)、2-エチル-1-ブテン(45 mL, 368 mmol)、ジクロロメタン(200 mL)を入れ、-70 ℃において、触媒量の三塩化ホウ素1.0 Mジクロロメタン溶液 (10 mL、10 mmol)を加えた。室温までゆっくりと昇温させながら終夜攪拌した。得られた反応混合物を1.0 M水酸化ナトリウム水溶液で加水分解した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を少量の塩化メチレンに溶かし、シリカゲルカラム (関東化学製Silica gel 60, 粒径40〜50 m) により不純物を取り除いた。塩化メチレンを減圧留去後、クーゲルロワー蒸留により表題化合物を無色結晶として得た(bp 135-150 ℃, 0.1 mmHg)。収量25.6 g(78.4 mmol、収率48%)。同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl3, δ) 0.76 (t, J = 7.4 Hz, 12 H), 1.26 (s, 12 H), 1.56-1.61 (m, 8 H), 1.83 (s, 4 H), 6.59 (s, 1 H), 6.75 (s, 1 H);
13C NMR (CDCl3, δ) 9.2, 32.2, 33.1, 41.7, 49.5, 51.3, 115.9, 118.5, 146.4, 151.0.
(2)4-ブロモ-1,1,7,7-テトラエチル-3,3,5,5-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセンの合成
磁気攪拌子、塩化カルシウム管を備えた500 mL三口フラスコに、上記(1)で合成した1,1,7,7-テトラエチル-3,3,5,5-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(14.3 g, 43.8 mmol)、リン酸トリエチル(150 mL)を入れ、室温で臭素(15 mL, 291 mmol)を加えた。遮光して室温において一晩攪拌後、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液を加えて過水分解した。析出した粉末を濾取し、水およびエタノールで洗浄した。減圧乾燥し、表題化合物を無色結晶として得た。収量17.2 g(42.4 mmol、収率97%)。同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl3, δ) 0.74 (t, J = 7.6 Hz, 12 H), 1.49 (s, 12 H), 1.53-1.58 (m, 8 H), 1.86 (s, 4 H), 6.54 (s, 1 H);
13C NMR (CDCl3, δ) 9.0, 29.4, 33.1, 45.3, 48.6, 52.8, 116.9, 118.4, 147.4, 150.2.
(3)p-ビス(1,1,7,7-テトラエチル-3,3,5,5-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル-ジヒドロシリル)ベンゼンの合成
アルゴン雰囲気下、磁気攪拌子を備えた100 mLシュレンク管に、上記(2)で合成した4-ブロモ-1,1,7,7-テトラエチル-3,3,5,5-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(941 mg、2.32 mmol)、テトラヒドロフラン(15 mL)を入れ、-72 ℃において、n-ブチルリチウム2.77 Mヘキサン溶液(1.8 mL、4.99 mmol)を加えた。ゆっくりと昇温させながら攪拌し、-23 ℃においてp-ジシリルベンゼン(161 mg、1.16 mmol)のジエチルエーテル溶液を加えた。室温まで昇温させながら19時間攪拌後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラム(関東化学製Silica gel 60、粒径40〜50 mm)により不溶物を取り除いた。トルエンを減圧留去し、得られた残渣をヘキサン洗浄後、吸引濾過により濾別し、表題化合物を無色結晶として得た。収量226 mg (0.29 mmol、収率25%)。同定結果を以下に示す。
1H NMR (C6D6, δ) 0.82 (t, J = 7.4 Hz, 24 H), 1.45 (s, 24 H), 1.53-1.67 (m, 16 H), 1.78 (s, 8 H), 5.61 (s, 4 H), 6.90 (s, 2 H), 7.40 (s, 4 H);
13C NMR (C7D8, δ) 9.3, 32.4, 33.4, 45.5, 48.0, 54.1, 121.0, 122.6, 134.9, 136.2, 147.9, 158.6;
29Si NMR (C7D8, δ) -48.4.
[実施例2]
p-ビス(1,1,7,7-テトラエチル-3,3,5,5-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル-ジブロモシリル)ベンゼンの合成
アルゴン雰囲気下、磁気攪拌子を備えた100 mLナス型シュレンク管に、実施例1で合成したp-ビス(1,1,7,7-テトラエチル-3,3,5,5-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル-ジヒドロシリル)ベンゼン(385 mg、0.49 mmol)、四臭化炭素(3.08 g、9.29 mmol)、ヘキサン(15 mL)を入れ、室温で4日間攪拌した。ヘキサンと四臭化炭素を減圧留去し、表題化合物を無色油状物として得た。この油状物には、表題化合物の他に副生成物として1,1,7,7-テトラエチル-3,3,5,5-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセンが含まれていた。表題化合物の純度は1H NMRスペクトルにより決定した。純度約78%。同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl3, δ) 0.76 (t, J = 7.2 Hz, 24 H), 1.43 (s, 24 H), 1.63-1.69 (m, 16 H), 1.73 (s, 8 H), 6.88 (s, 2 H), 7.52 (s, 4 H).
[実施例3]
EMind-基を有するケイ素-オリゴ(フェニレンビニレン)(Si-OPV)の合成
(1)4-ジヒドロフェニルシリル-1,1,7,7-テトラエチル-3,3,5,5-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセンの合成
アルゴン雰囲気下、磁気攪拌子を備えた100 mLシュレンク管に、実施例1(2)と同様の方法で合成した4-ブロモ-1,1,7,7-テトラエチル-3,3,5,5-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(1.35 g, 3.33 mmol)、テトラヒドロフラン(30 mL)を入れ、-70 ℃において、n-ブチルリチウム2.77Mヘキサン溶液 (2.7 mL, 7.48 mmol)を加えた。ゆっくりと昇温させながら撹拌し、-10 ℃において、フェニルトリヒドロシラン(440 mg, 4.07 mmol)を加えた。昇温させながら2時間攪拌後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣にヘキサンを加え、シリカゲルカラム (関東化学製Silica gel 60, 粒径40〜50 mm) により不純物を取り除いた。ヘキサンを減圧留去し、表題化合物を無色油状物として得た。収量1.32 g(3.05 mmol、収率92%)。同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl3, δ) 0.77 (t, J = 7.2 Hz, 12 H), 1.35 (s, 12 H), 1.56-1.64 (m, 8 H), 1.80 (s, 4 H), 5.31 (s, 2 H), 6.76 (s, 1 H), 7.26-7.34 (m, 5 H);
13C NMR (CDCl3, δ) 9.0, 32.2, 33.1, 45.2, 47.7, 53.8, 115.9, 118.5, 122.2, 127.5, 128.8, 135.2, 147.3, 158.0;
29Si NMR (CDCl3, δ) -48.7.
(2)4-ジブロモフェニルシリル-1,1,7,7-テトラエチル-3,3,5,5-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセンの合成
アルゴン雰囲気下、磁気攪拌子を備えた200 mLナス型シュレンク管に、上記(1)で合成した4-ジヒドロフェニルシリル-1,1,7,7-テトラエチル-3,3,5,5-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(1.11 g, 2.56 mmol)、四臭化炭素(3.02 g, 9.11 mmol)、ヘキサン(50 mL)を入れ、室温で3日間攪拌した。ヘキサンと四臭化炭素を減圧留去し、表題化合物を無色油状物として得た。この油状物中の表題化合物の純度を1H NMRスペクトルにより決定した。純度約79%であった。同定結果を以下に示す。
1H NMR (C6D6, δ) 0.78 (t, J = 7.0 Hz, 12 H), 1.61 (s, 12 H), 1.63-1.68 (m, 8 H), 1.67 (s, 4 H), 6.79 (s, 1 H), 6.99 (br.s, 3 H), 7.62-7.64 (m, 2 H);
13C NMR (C6D6, δ) 9.2, 33.2, 33.4, 46.8, 47.7, 54.7, 116.4, 124.0, 125.3, 130.7, 133.5, 142.0, 149.8, 159.0.
(3)EMind-基を有するケイ素-オリゴ(フェニレンビニレン)(Si-OPV)の合成
アルゴン雰囲気下、磁気攪拌子を備えた100 mLナス型シュレンク管にカリウムグラファイト(573 mg、4.24 mmol)、テトラヒドロフラン(20 mL)を入れた。そこに、上記(1)、(2)と同様の方法により4-ジヒドロフェニルシリル-1,1,7,7-テトラエチル-3,3,5,5-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(437 mg、1.01 mmol)から合成した4-ジブロモフェニルシリル-1,1,7,7-テトラエチル-3,3,5,5-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン、および、p-ビス(1,1,7,7-テトラエチル-3,3,5,5-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル-ジヒドロシリル)ベンゼン(385 mg、0.49 mmol)から実施例2を経て合成したp-ビス(1,1,7,7-テトラエチル-3,3,5,5-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル-ジブロモシリル)ベンゼンのテトラヒドロフラン溶液(20 mL)を加えて、室温で4時間攪拌した。反応混合物から不溶物を遠心分離することにより取り除いた。反応溶液を分離し、溶媒を減圧留去して、表題化合物を主生成物とする赤紫色固体を得た。乾燥トルエンを溶媒とするゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)により、単量体(n = 1)、二量体(n = 2)、三量体(n = 3)、四量体(n = 4)が含まれていることを確認した。主生成物は二量体(n = 2)であった。また、1H NMRスペクトルにより、副生成物として1,1,7,7-テトラエチル-3,3,5,5-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン、および、4-ジブロモフェニルシリル-1,1,7,7-テトラエチル-3,3,5,5-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセンを確認した。得られた生成物をベンゼンに溶かし、UVランプを照射したところ、赤色の発光が観測された。
[実施例4]
p-ビス(3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル-ジヒドロシリル)ベンゼンの合成
(1)5-ブロモ-1,3-ビス(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)ベンゼンの合成
窒素雰囲気下、磁気撹拌子、ジムロート冷却管、100 mL滴下ロートを備えた500 mL三口フラスコに5-ブロモイソフタル酸ジメチルエステル(7.00 g, 25.6 mmol)、テトラヒドロフラン(150 mL)を入れ、氷浴下でメチルマグネシウムブロマイド3.0 Mジエチルエーテル溶液 (45 mL、135 mmol)をゆっくりと滴下した。室温で終夜攪拌し、得られた反応混合物を希塩酸で加水分解し、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた淡黄色固体をヘキサンおよびジクロロメタンで洗浄することにより、表題化合物を無色結晶として得た。収量5.54 g (20.3 mmol、収率79%)。同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl3, δ) 1.55 (s, 12 H), 7.48 (d, J = 1.6 Hz, 2 H), 7.53 (t, J = 1.6 Hz, 1 H);
13C NMR (CDCl3, δ) 31.7, 72.4, 119.2, 122.3, 126.1, 151.3.
(2)5-ブロモ-1,3-ビス(1-クロロ-1-メチルエチル)ベンゼンの合成
磁気撹拌子を備えた200 mLナス型シュレンク管に、上記(1)で得た5-ブロモ-1,3-ビス(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)ベンゼン(4.09 g, 15.0 mmol)、ジクロロメタン(150 mL)、および脱水剤として塩化カルシウム(約 10 g)を入れ、室温で吹き込み管から塩化水素ガスを1.5時間吹き込んだ。得られた反応混合物をCelite(登録商標)を敷き詰めたグブフナー漏斗で濾過し、不溶物を除去した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣を乾燥することにより、表題化合物を無色結晶として得た。収量4.63 g (15.0 mmol、収率100%)。同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl3, δ) 1.96 (s, 12 H), 7.60 (d, J = 1.8 Hz, 2 H), 7.72 (t, J = 1.8 Hz, 1 H);
13C NMR (CDCl3, δ) 34.2, 68.5, 121.7, 122.1, 127.9, 148.3.
(3)4-ブロモ-3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセンの合成(三塩化ホウ素触媒)
窒素雰囲気下、磁気攪拌子を備えた200 mLナス型シュレンク管に、上記(2)で得た5-ブロモ-1,3-ビス(1-クロロ-1-メチルエチル)ベンゼン(4.63 g, 15.0 mmol)、2-エチル-1-ブテン(2.70 g, 32.1 mmol)、ジクロロメタン(80 mL)を入れ、-78 ℃において、触媒量の三塩化ホウ素1.0 Mジクロロメタン溶液 (15 mL、15 mmol)を加えた。室温までゆっくりと昇温させた後、室温で3日間攪拌した。得られた反応混合物を1.0 M水酸化ナトリウム水溶液で加水分解した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた無色固体をエタノール/ジクロロメタン混合溶媒から再結晶することにより、表題化合物を無色結晶として得た。収量3.65 g(9.00 mmol、収率60%)。同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl3, δ) 0.72 (t, J = 7.6 Hz, 12 H), 1.24 (s, 12 H), 1.58-1.68 (m, 4 H), 1.87 (s, 4 H), 2.03-2.13 (m, 4 H), 6.67 (s, 1 H);
13C NMR (CDCl3, δ) 9.5, 31.4, 32.1, 40.8, 50.0, 54.1, 115.8, 117.6, 143.1, 155.2.
(4)p-ビス(3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル-ジヒドロシリル)ベンゼンの合成
アルゴン雰囲気下、磁気攪拌子を備えた100 mLシュレンク管に、上記(3)で合成した4-ブロモ-3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(2.00 g、4.93 mmol)、テトラヒドロフラン(30 mL)を入れ、-78 ℃において、n-ブチルリチウム2.77 Mヘキサン溶液(3.7 mL、10.2 mmol)を加えた。ゆっくりと昇温させながら攪拌し、-10 ℃においてp-ジシリルベンゼン(230 mg、1.66 mmol)のジエチルエーテル溶液を加えた。室温まで昇温させながら2時間攪拌後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をヘキサンから再結晶することにより、表題化合物を無色結晶として得た。収量264 mg(0.34 mmol、収率20%)。同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl3, δ) 0.56 (t, J = 7.4 Hz, 24 H), 1.23 (s, 24 H), 1.50-1.60 (m, 8 H), 1.82 (s, 8 H), 1.85-1.95 (m, 8 H), 5.25 (s, 4 H), 6.84 (s, 2 H), 7.23 (s, 4 H);
13C NMR (CDCl3, δ) 9.8, 32.3, 34.0, 40.2, 50.5, 54.1, 119.4, 122.3, 134.3, 135.1, 152.4, 153.7.
[実施例5]
p-ビス(3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル-ジヒドロシリル)ベンゼンの合成
(1)4-トリヒドロシリル-3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセンの合成
アルゴン雰囲気下、磁気攪拌子を備えた100 mLシュレンク管に、実施例4(3)と同様の方法で合成した4-ブロモ-3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(1.60 g、3.95 mmol)、テトラヒドロフラン(30 mL)を入れ、-78 ℃において、n-ブチルリチウム2.77Mヘキサン溶液 (3.0 mL, 8.31 mmol)を加えた。ゆっくりと昇温させながら撹拌し、0 ℃において、トリエトキシヒドロシラン(890 mg、5.42 mmol)を加えた。室温において2日間撹拌した後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をテトラヒドロフラン(30 mL)に溶解させて、これを水素化リチウムアルミニウム(540 mg, 14.2 mmol)のテトラヒドロフラン(20 mL)懇濁液に室温で加えた。室温で1.5時間撹拌後、反応混合物を希塩酸で加水分解し、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。エタノール/ヘキサン混合溶媒から再結晶することにより、表題化合物を無色結晶として得た。収量408 mg (1.14 mmol、収率29%)。同定結果を以下に示す。
1H NMR (C6D6, δ) 0.73 (t, J = 7.4 Hz, 12 H), 1.23 (s, 12 H), 1.68-1.78 (m, 4 H), 1.84 (s, 4 H), 1.87-1.97 (m, 4 H), 4.35 (s, 2 H), 6.80 (s, 1 H);
13C NMR (CDCl3, δ) 9.5, 32.2, 32.8, 40.4, 50.1, 53.6, 115.9, 119.2, 151.9, 153.6.
(2)p-ビス(3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル-ジヒドロシリル)ベンゼンの合成
アルゴン雰囲気下、磁気攪拌子を備えた100 mLシュレンク管に、パラジブロモベンゼン(243 mg、1.03 mmol)、テトラヒドロフラン(15 mL)を入れ、-78 ℃において、t-ブチルリチウム1.58 Mペンタン溶液(2.6 mL、4.11 mmol)を加えた。そのまま-78 ℃において1時間撹拌後、上記(1)で合成した4-トリヒドロシリル-3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(702 mg、1.97 mmol )のテトラヒドロフラン溶液(10 mL)を加えた。室温までゆっくりと昇温させながら終夜攪拌した。溶媒を減圧留去後、得られた残渣をヘキサンから再結晶することにより、表題化合物を無色結晶として得た。収量170 mg(0.22 mmol、収率21%)。同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl3, δ) 0.56 (t, J = 7.4 Hz, 24 H), 1.23 (s, 24 H), 1.50-1.60 (m, 8 H), 1.82 (s, 8 H), 1.85-1.95 (m, 8 H), 5.25 (s, 4 H), 6.84 (s, 2 H), 7.23 (s, 4 H);
13C NMR (CDCl3, δ) 9.8, 32.3, 34.0, 40.2, 50.5, 54.1, 119.4, 122.3, 134.3, 135.1, 152.4, 153.7.
分子構造をX線結晶構造解析により決定した。X線結晶構造解析により得られた分子構造を図1に示す。
[実施例6]
p-ビス(3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル-ジブロモシリル)ベンゼンの合成
アルゴン雰囲気下、磁気攪拌子を備えた100 mLナス型シュレンク管に、実施例5で合成したp-ビス(3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル-ジヒドロシリル)ベンゼン(264 mg、0.34 mmol)、四臭化炭素(606 mg、1.83 mmol)、トルエン(35 mL)を入れ、室温で4日間攪拌した。トルエンと四臭化炭素を減圧留去し、表題化合物を無色固体として得た。この固体には、表題化合物の他に副生成物として1,1,7,7-テトラエチル-3,3,5,5-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセンが含まれていた。表題化合物の純度は1H NMRスペクトルにより決定した。純度約75%。同定結果を以下に示す。
1H NMR (C6D6, δ) 0.74 (t, J = 7.4 Hz, 24 H), 1.25 (s, 24 H), 1.58-1.68 (m, 8 H), 1.76 (s, 8 H), 2.02-2.18 (m, 8 H), 7.09 (s, 2 H), 7.65 (s, 4 H);
13C NMR (C6D6, δ) 10.2, 32.6, 33.7, 40.7, 50.9, 55.4, 118.9, 122.2, 132.7, 145.5, 154.1, 156.2.
[実施例7]
MEind-基を有するケイ素-オリゴ(フェニレンビニレン)(Si-OPV)の合成
(1)4-ジヒドロフェニルシリル-3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセンの合成
窒素雰囲気下、磁気攪拌子を備えた100 mLシュレンク管に、実施例4(3)と同様の方法で合成した4-ブロモ-3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(1.23 g、3.03 mmol)、テトラヒドロフラン(30 mL)を入れ、-78 ℃において、n-ブチルリチウム2.77Mヘキサン溶液 (2.3 mL, 6.37 mmol)を加えた。ゆっくりと昇温させながら撹拌し、-10 ℃において、フェニルトリヒドロシラン(0.44 g、4.07 mmol)を加えた。昇温させながら1.5時間攪拌後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラム (関東化学製Silica gel 60, 粒径40-50 mm) により不純物を取り除いた。トルエンを減圧留去し、表題化合物を無色結晶として得た。収量1.30 g (3.00 mmol、収率99%)。同定結果を以下に示す。
1H NMR (C6D6, δ) 0.71 (t, J = 7.4 Hz, 12 H), 1.31 (s, 12 H), 1.67-1.77 (m, 4 H), 1.84 (s, 4 H), 2.11-2.21 (m, 4 H), 5.64 (s, 2 H), 7.07 (s, 1 H), 7.08-7.11 (m, 2 H), 7.43-7.50 (m, 3 H);
13C NMR (CDCl3, δ) 9.8, 32.3, 34.0, 40.2, 50.5, 54.2, 119.4, 122.6, 127.5, 128.9, 134.5, 135.4, 152.4, 153.6.
(2)4-ジブロモフェニルシリル-3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセンの合成
アルゴン雰囲気下、磁気攪拌子を備えた200 mLナス型シュレンク管に、上記(1)で合成した4-ジヒドロフェニルシリル-3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(1.30 g, 3.00 mmol)、四臭化炭素(3.50 g, 10.6 mmol)、ヘキサン(25 mL)を入れ、室温で8日間攪拌した。ヘキサンと四臭化炭素を減圧留去し、表題化合物を無色油状物として得た。この油状物中の表題化合物の純度を1H NMRスペクトルにより決定した。純度約75%。同定結果を以下に示す。
1H NMR (C6D6, δ) 0.73 (t, J = 7.2 Hz, 12 H), 1.26 (s, 12 H), 1.75 (s, 4 H), 2.00-2.20 (m, 8 H), 6.96-7.02 (m, 3 H), 7.09 (s, 1 H), 7.70-7.74 (m, 2 H);
13C NMR (C6D6, δ) 10.2, 32.6, 33.5, 40.7, 50.8, 55.4, 122.1, 125.6, 129.3, 130.4, 133.1, 133.7, 151.7, 154.0.
(3)MEind-基を有するケイ素-オリゴ(フェニレンビニレン)(Si-OPV)の合成
アルゴン雰囲気下、磁気攪拌子を備えた100 mLナス型シュレンク管に、上記(1)、(2)の方法で4-ジヒドロフェニルシリル-3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(720 mg、1.66 mmol)から合成した4-ジブロモフェニルシリル-3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン、および、p-ビス(3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル-ジヒドロシリル)ベンゼン(264 mg、0.34 mmol)から実施例6を経て合成したp-ビス(3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル-ジブロモシリル)ベンゼン、テトラヒドロフラン(50 mL)を入れて、-40 ℃に冷却した。そこに、カリウムグラファイト(635 mg、4.70 mmol)を入れて、室温までゆっくりと昇温させながら一晩撹拌した。反応混合物から不溶物を遠心分離することにより取り除いた。反応溶液を分離し、溶媒を減圧留去して、表題化合物を主生成物とする赤紫色固体を得た。乾燥トルエンを溶媒とするゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)により、単量体(n = 1)、二量体(n = 2)、三量体(n = 3)、四量体(n = 4)、五量体(n = 5)が含まれていることを確認した。主生成物は単量体(n = 1)であった。また、1H NMRスペクトルにより、副生成物として1,1,7,7-テトラエチル-3,3,5,5-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン、および、4-ジブロモフェニルシリル-3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセンを確認した。
光物性の評価
実施例7で得られた生成物をヘキサンで抽出し、赤色溶液を得た。溶媒を減圧留去して、赤色固体を得た。ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)により、単量体(n = 1)、二量体(n = 2)が主成分であることを確認した。ヘキサンを溶媒とする紫外可視吸収スペクトルでは、単量体(n = 1)に相当する極大吸収波長488 nmの吸収、および、二量体(n = 2)に相当する極大吸収波長558 nmの吸収が観測された。ヘキサン中における紫外可視吸収スペクトルを図2に示す。ヘキサン溶液をUVランプで照射したところ、赤色発光が観測された。ヘキサン中における発光スペクトルを図3に示す。極大発光波長は659 nmであった。また、ヘキサン中、450 nmの励起光における量子収率は8%であった。
ヘキサンに溶けなかった固体をトルエンで抽出し、赤紫色溶液を得た。溶媒を減圧留去して、赤紫色固体を得た。ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)により、二量体(n = 2)、三量体(n = 3)が主成分であることを確認した。トルエン溶液をUVランプで照射したところ、ピンク色の発光が観測された。
トルエンに溶けなかった固体をテトラヒドロフランで抽出し、青紫色溶液を得た。溶媒を減圧留去して、青紫色固体を得た。乾燥トルエンを溶媒とするゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)により、三量体(n = 3)、四量体(n = 4)、五量体(n = 5)が主成分であることを確認した。テトラヒドロフランを溶媒とする紫外可視吸収スペクトルでは、二量体(n = 2)に相当する極大吸収波長566 nmの吸収に加えて、オリゴマー(nが3以上)に相当する600 nm付近の吸収も観測された。テトラヒドロフラン中における紫外可視吸収スペクトルを図4に示す。テトラヒドロフラン溶液をUVランプで照射したところ、青紫色の発光が観測された。テトラヒドロフラン中における発光スペクトルを図5に示す。極大発光波長は684 nmであった。また、テトラヒドロフラン中、440 nmの励起光における量子収率は17%であった。
[実施例8]
p-ビス(3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラプロピル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル-ジヒドロシリル)ベンゼンの合成
(1)1,3-ビス(1-ヒドロキシ-1-プロピルブチル)ベンゼンの合成
アルゴン雰囲気下、磁気撹拌子、ジムロート冷却管、100 mL滴下ロートを備えた500 mL三口フラスコにイソフタル酸ジメチルエステル(7.77 g, 40.0 mmol)、テトラヒドロフラン(100 mL)を入れ、氷浴下でn-プロピルマグネシウムクロリド2.0 Mジエチルエーテル溶液 (100 mL、200 mmol)をゆっくりと滴下した。室温で終夜攪拌し、得られた反応混合物を希塩酸で加水分解し、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して、表題化合物を主生成物とする淡黄色油状物を得た。この油状物中の表題化合物の純度を1H NMRにより決定した。粗収量11.3 g (粗収率92%、純度約90%)。同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl3, δ) 0.81 (t, J = 7.2 Hz, 12 H), 0.96-1.10 (m, 4 H), 1.18-1.34 (m, 4 H), 1.68-1.84 (m, 8 H, overlapped), 1.78 (s, 2 H), 7.16-7.22 (m, 2 H), 7.22-7.28 (m, 1 H), 7.32-7.36 (m, 1 H);
13C NMR (CDCl3, δ) 14.4, 16.7, 45.3, 77.2, 122.1, 123.1, 127.6, 146.1.
(2)1,3-ビス(1-クロロ-1-プロピルブチル)ベンゼンの合成
磁気攪拌子を備えた300 ml三口フラスコにイソフタル酸ジメチルエステル(7.77 g, 40.0 mmol)から上記(1)で合成した1,3-ビス(1-ヒドロキシ-1-プロピルブチル)ベンゼン、ジクロロメタン(100 ml)、および脱水剤として塩化カルシウム(約15 g)を入れ、室温で吹き込み管から塩化水素ガスを1時間吹き込んだ。得られた反応混合物をCelite(登録商標)を敷き詰めたブフナー漏斗で濾過し、不溶物を除去した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣を乾燥することにより、表題化合物を主生成物として含む茶褐色油状物を得た。この油状物中の表題化合物の純度を1H NMRにより決定した。粗収量12.7 g (粗収率 99 %、純度約85%)。同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl3, δ) 0.85 (t, J = 7.2 Hz, 12 H), 1.12-1.24 (m, 4 H), 1.30-1.50 (m, 4 H), 2.04-2.12 (m, 8 H), 7.20-7.40 (m, 4 H);
13C NMR (CDCl3, δ)
(3)3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラプロピル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセンの合成(三塩化ホウ素触媒)
アルゴン雰囲気下、磁気攪拌子を備えた300 mL三口フラスコにイソフタル酸ジメチルエステル(7.77 g, 40.0 mmol)から上記(2)で合成した1,3-ビス(1-クロロ-1-プロピルブチル)ベンゼン、2-エチル-1-ブテン(7.00 g, 82.6 mmol)、ジクロロメタン(80 mL)を入れ、-60 ℃において、触媒量の三塩化ホウ素1.0 Mジクロロメタン溶液 (40 mL、40 mmol)を加えた。室温までゆっくりと昇温させながら終夜攪拌した。得られた反応混合物を1.0 M水酸化ナトリウム水溶液で加水分解した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をヘキサンを洗浄した後、乾燥して表題化合物を無色結晶として得た。収量4.21 g(9.58 mmol、収率24%)。同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl3, δ) 0.79 (t, J = 7.6 Hz, 12 H, overlapped), 0.81 (t, J = 6.8 Hz, 12 H, overlapped), 1.08-1.22 (m, 4 H), 1.22-1.36 (m, 4 H), 1.40-1.70 (m, 16 H, overlapped), 1.79 (s, 4 H), 6.62 (s, 1 H), 6.64 (s, 1 H);
13C NMR (CDCl3, δ) 9.2, 15.0, 18.1, 33.1, 44.1, 46.4, 48.6, 49.0, 118.6, 118.9, 147.4, 148.4.
(4)4-ブロモ-3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラプロピル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセンの合成
アルゴン雰囲気下、磁気撹拌子、ジムロート冷却管を備えた300 mL三口フラスコに、上記(3)で合成した3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラプロピル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(4.13 g、9.42 mmol)、リン酸トリエチル (80 mL)を入れ、室温で臭素 (5.0 mL、100 mmol)を加えた。70 ℃において終夜攪拌後、得られた反応混合物を飽和亜硫酸ナトリウム水溶液で加水分解した。析出した粉末を濾取し、水およびエタノールで洗浄した。減圧乾燥し、表題化合物を無色結晶として得た。収量2.04 g (3.94 mmol、収率42%)。同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl3, δ) 0.77 (t, J = 7.2 Hz, 12 H), 0.81 (t, J = 7.2 Hz, 12 H), 1.12-1.25 (m, 4 H), 1.25-1.38 (m, 4 H), 1.40-1.50 (m, 4 H), 1.52-1.64 (m, 4 H), 1.76-1.86 (m, 4 H, overlapped), 1.85 (s, 4 H, overlapped), 1.90-2.02 (m, 4 H), 6.62 (s, 1 H);
13C NMR (CDCl3, δ) 9.4, 15.0, 18.1, 31.1, 43.9, 44.1, 47.8, 53.4, 118.1, 118.4, 144.6, 152.5.
(5)p-ビス(3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラプロピル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル-ジヒドロシリル)ベンゼンの合成
アルゴン雰囲気下、磁気攪拌子を備えた200 mLシュレンク管に、上記(4)で合成した4-ブロモ-3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラプロピル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(1.03 g、2.00 mmol)、テトラヒドロフラン(20 mL)を入れ、-60 ℃において、n-ブチルリチウム2.6 Mヘキサン溶液(1.7 mL、4.5 mmol)を加えた。ゆっくりと昇温させながら攪拌し、-20 ℃において、p-ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン(0.80 g、2.0 mmol)と水素化リチウムアルミニウム(0.23 g、6.1 mmol)から調製したp-ジシリルベンゼンのジエチルエーテル溶液を加えた。室温までゆっくりと昇温させながら終夜攪拌した。反応混合物を希塩酸で過水分解し、ジエチルエーテルを加えた。析出した白色粉末を濾取し、トルエンを展開溶媒とするシリカゲルカラム(関東化学製Silica gel 60, 粒径40〜50 mm)により、不純物を取り除いた。トルエンを減圧留去後、乾燥して表題化合物を無色結晶として得た。収量0.47 g(0.46 mmol、収率47%)。同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl3, δ) 0.58 (t, J = 7.2 Hz, 24 H), 0.86 (t, J = 7.2 Hz, 24 H), 1.06-1.22 (m, 8 H, overlapped), 1.18-1.36 (m, 8 H, overlapped), 1.36-1.48 (m, 8 H, overlapped), 1.46-1.62 (m, 8 H), 1.58-1.72 (m, 8 H), 1.70-1.90 (m, 8 H), 1.77 (s, 8 H), 5.22 (s, 1JSiH = 196 Hz, 4 H), 6.74 (s, 2 H), 7.17 (s, 4 H).
[実施例9]
p-ビス(3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラプロピル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル-ジブロモシリル)ベンゼンの合成
アルゴン雰囲気下、磁気攪拌子を備えた200 mLナス型シュレンク管に、実施例8で合成したp-ビス(3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラプロピル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル-ジヒドロシリル)ベンゼン(0.40 g、0.40 mmol)、四臭化炭素(1.3 mg、4.0 mmol)、トルエン(80 mL)を入れ、室温で3日間攪拌した。トルエンと四臭化炭素を減圧留去後、ヘキサンを加えて、Celite(R)を敷き詰めたグラスフィルターで濾過し、不溶物を除去した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をヘキサンから再結晶することで表題化合物を無色結晶として得た。収量0.30 g (0.22 mmol、収率56%)。同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl3, δ) 0.58 (t, J = 7.2 Hz, 24 H), 0.86 (t, J = 7.2 Hz, 24 H), 1.08-1.22 (m, 8 H, overlapped), 1.16-1.32 (m, 8 H, overlapped), 1.44-1.52 (m, 8 H), 1.54-1.66 (m, 8 H), 1.73 (s, 8 H), 1.84-1.96 (m, 16 H) 6.85 (s, 2 H), 7.30 (s, 4 H);
13C NMR (CDCl3, δ) 9.7, 15.0, 18.0, 33.2, 44.4, 44.5, 47.4, 54.5, 123.6, 124.0, 131.8, 145.1, 151.0, 156.7.
[実施例10]
PEind-基を有するケイ素-オリゴ(フェニレンビニレン)(Si-OPV)の合成
(1)4-ジヒドロフェニルシリル-3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラプロピル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセンの合成
アルゴン雰囲気下、磁気撹拌子を備えた200 mLシュレンク管に、実施例8(4)と同様の方法で合成した4-ブロモ-3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラプロピル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(1.51 g、2.91 mmol)、テトラヒドロフラン (30 mL)を入れ、-60 ℃において、n-ブチルリチウム2.6 Mヘキサン溶液 (2.5 mL、6.5 mmol)を加えた。ゆっくりと昇温させながら撹拌し、-25 ℃において、フェニルトリヒドロシラン (0.76 g、7.0 mmol)を加えた。室温までゆっくりと昇温させながら終夜攪拌した。反応混合物を希塩酸で加水分解し、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。ヘキサンを展開溶媒とするシリカゲルカラム(関東化学製Silica gel 60, 粒径40〜50 mm)により、得られた残渣から不純物を取り除いた。ヘキサンを減圧留去後、乾燥して表題化合物を無色結晶として得た。収量1.36 g (2.50 mmol、収率86%)。同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl3, δ) 0.62 (t, J = 7.6 Hz, 12 H), 0.88 (t, J = 7.2 Hz, 12 H), 1.12-1.25 (m, 4 H), 1.25-1.38 (m, 4 H), 1.41-1.51 (m, 4 H), 1.54-1.64 (m, 4 H), 1.64-1.74 (m, 4 H), 1.82 (s, 4 H, overlapped), 1.78-1.92 (m, 4 H, overlapped), 5.30 (s, 1JSiH = 197 Hz, 2 H), 6.79 (s, 1 H), 7.20-7.38 (m, 5 H);
13C NMR (CDCl3, δ) 9.8, 15.0, 18.0, 33.6, 44.2, 44.3, 47.1, 53.5, 121.5, 122.6, 127.5, 128.8, 134.8, 135.4, 149.7, 155.1;
29Si NMR (CDCl3, δ) -48.7;
(2)4-ジブロモフェニルシリル-3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラプロピル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセンの合成
アルゴン雰囲気下、磁気攪拌子を備えた100 mLナス型シュレンク管に、上記(1)で合成した4-ジヒドロフェニルシリル-3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラプロピル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(1.31 g、2.41 mmol)、四臭化炭素(1.67 g、5.03 mmol)、ヘキサン(30 mL)を入れ、室温で6日間攪拌した。ヘキサンと四臭化炭素を減圧留去後、少量のヘキサンで洗浄した。乾燥して表題化合物を無色結晶として得た。収量1.08 g (1.53 mmol、収率64%)。同定結果を以下に示す。
1H NMR (CDCl3, δ) 0.61 (t, J = 7.2 Hz, 12 H), 0.88 (t, J = 7.2 Hz, 12 H), 1.08-1.24 (m, 4 H, overlapped), 1.20-1.35 (m, 4 H, overlapped), 1.44-1.54 (m, 4 H), 1.56-1.68 (m, 4 H), 1.76 (s, 4 H), 1.86-1.98 (m, 8 H), 6.87 (s, 1 H), 7.26-7.38 (m, 3 H), 7.46-7.52 (m, 2 H);
13C NMR (CDCl3, δ) 9.9, 15.0, 17.9, 33.1, 44.4, 47.3, 54.5, 123.7, 124.8, 127.6, 130.1, 133.1, 142.8, 151.0, 16.6;
29Si NMR (CDCl3, δ) -12.1.
(3)PEind-基を有するケイ素-オリゴ(フェニレンビニレン)(Si-OPV)の合成
アルゴン雰囲気下、磁気攪拌子を備えた100 mLナス型シュレンク管にカリウムグラファイト(0.21 g、1.6 mmol)、テトラヒドロフラン(10 mL)を入れた。0 ℃に冷却し、そこに、上記(2)で合成した4-ジブロモフェニルシリル-3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラプロピル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(0.18 g、0.25 mmol)、および、実施例9で合成したp-ビス(3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラプロピル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル-ジブロモシリル)ベンゼン(0.14 g、0.11 mmol)のテトラヒドロフラン溶液(5 mL)を加えた。室温で終夜攪拌後、トルエンを加えて、反応混合物から不溶物を遠心分離することにより取り除いた。反応溶液を分離し、溶媒を減圧留去して、表題化合物を主生成物とする赤色固体を得た。乾燥トルエンを溶媒とするゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)により、単量体(n = 1)、二量体(n = 2)、三量体(n = 3)、四量体(n = 4)が含まれていることを確認した。主生成物は二量体(n = 2)であった。また、副生成物として3,3,5,5-テトラエチル-1,1,7,7-テトラメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセンを確認した。
光物性の評価
実施例10で得られた生成物をヘキサンで抽出し、赤色溶液を得た。溶媒を減圧留去して、赤色固体を得た。ヘキサンを溶媒とする紫外可視吸収スペクトルでは、単量体(n = 1)に相当する極大吸収波長479 nmの吸収、および、二量体(n = 2)に相当する極大吸収波長544 nmの吸収が観測された。ヘキサン中における紫外可視吸収スペクトルを図6に示す。得られた生成物をトルエンに溶かし、UVランプを照射したところ、オレンジ色の発光が観測された。ヘキサン中における発光スペクトルを図7に示す。極大発光波長は628 nmであった。また、ヘキサン中、400 nmの励起光における量子収率は9%であった。
本発明によれば、有機EL素子、各種発光デバイス、情報記録材料、センサー等へ応用可能な新規化合物を提供することができる。
実施例5で得られた化合物の単結晶X線結晶構造解析による分子構造を示す。 実施例7で得られた化合物のヘキサン中における紫外可視吸収スペクトルを示す。 実施例7で得られた化合物のヘキサン中における発光スペクトルを示す。 実施例7で得られた化合物のテトラヒドロフラン中における紫外可視吸収スペクトルを示す。 実施例7で得られた化合物のテトラヒドロフラン中における発光スペクトルを示す。 実施例10で得られた化合物のヘキサン中における紫外可視吸収スペクトルを示す。 実施例10で得られた化合物のヘキサン中における発光スペクトルを示す。

Claims (5)

  1. 下記一般式(I)で表される化合物。
    [一般式(I)中、A1、A2、A3およびA4は、それぞれ独立に、下記一般式(II)で表される基を表し、nは1以上の整数を表す。nが2以上の場合、複数存在するA3、A4は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
    [一般式(II)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子またはシリル基を表し、R1〜R8は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和または不飽和の炭化水素基を表す。但し、R1〜R8が同時にエチル基になることはない。*は、ケイ素原子との結合位置を表す。]
  2. 一般式(II)中、R1〜R8は、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基である請求項1に記載の化合物。
  3. 請求項1または2に記載の化合物を含む蛍光材料。
  4. 下記一般式(III)で表される化合物。
    [一般式(III)中、R11〜R18およびR21〜R28 は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和または不飽和の炭化水素基を表す。但し、R11〜R18が同時にエチル基になることはなく、R21〜R28が同時にエチル基になることもない。X1およびX2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、リチウム原子、−MgXa(Xaは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す)で表される1価の基またはシリル基を表す。Y1〜Y4は、それぞれ独立に水素原子またはハロゲン原子を表す。]
  5. 請求項4に記載の化合物を、下記一般式(IV)で表される化合物との還元縮合反応に付すことにより請求項1または2に記載の化合物を製造する方法。
    [一般式(IV)中、R31〜R38は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の飽和または不飽和の炭化水素基を表す。但し、R31〜R38が同時にエチル基になることはない。Y5およびY6は、それぞれ独立に水素原子またはハロゲン原子を表す。X5は、水素原子、ハロゲン原子、リチウム原子、−MgXa(Xaは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す)で表される1価の基またはシリル基を表す。]
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