JP2009090426A - ベルト表面改質装置およびその表面改質方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ピーニング効果を付与することで、ベルト自身には大きな塑性変形を生じさせずに、表面硬化にともなう疲労強度、耐磨耗性、耐応力腐食特性などの向上を図ることができるベルト表面改質装置およびその改質方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るベルト表面改質装置1は、高周波振動を発生させる高周波振動発生手段2と、高周波振動発生手段2に連結され高周波振動を行う高周波振動手段2bと、被改質材7の第1の施工面7aを高周波振動手段の先端部2cと対向する位置に間隙を設けて支持する支持手段3と、少なくとも高周波振動手段の先端部2cと被改質材7との間隙に液体9を介在させる液体保持手段8とを備えたものである。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明に係るベルト表面改質装置1は、高周波振動を発生させる高周波振動発生手段2と、高周波振動発生手段2に連結され高周波振動を行う高周波振動手段2bと、被改質材7の第1の施工面7aを高周波振動手段の先端部2cと対向する位置に間隙を設けて支持する支持手段3と、少なくとも高周波振動手段の先端部2cと被改質材7との間隙に液体9を介在させる液体保持手段8とを備えたものである。
【選択図】 図1
Description
本発明は、金属または非金属からなるベルト表面改質技術に係り、特にキャビテーション気泡の崩壊時に発生する衝撃波を照射して、ベルトの表面を効果的にピーニングするベルト表面改質装置およびその改質方法に関する。
小型自動車用の無段変速機として、金属ベルトによる無段変速機が実用化されている。
金属ベルト方式の無段変速機などでは、プーリにV型ブロックを押し付けてトルクを伝達する方式が採用されている。この方式では、V型ブロックをプーリに巻き付ける積層ベルトは、薄い金属ベルトを積層して構成されている。
この構成では、プーリの回転によってベルト自身が繰り返し荷重を受けるため、疲労強度が高く、かつプーリに巻きつくために柔軟性が要求される。よって、金属ベルトの一層当たりの疲労強度が向上できればベルトの厚さを小さくすることができ、より柔軟にプーリの曲面に追従しやすくなり、トルクの伝達効率が向上を図ることができる。
これに対応する伝達効率の向上を図る表面改質方法として、V型ブロック側面にショットピーニングを実施する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2000−199546号公報
従来の特許文献1に提案された方法を用い、薄い金属ベルト表面にショットピーニングを実施すると、金属ベルトの一層当たりの厚さが小さいため、ショット材によってベルト表面が凹凸の塑性変形が生じ、塑性変形した箇所に応力集中が起こり、かえって疲労強度の低下を招く結果が生じていた。
このため、薄い金属ベルト自身に大きな凹凸の塑性変形を生じることがなく、ベルト表面のみを硬化し、かつ圧縮残留応力を付与する表面改質技術が求められてきた。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、ピーニング効果を付与することで、ベルト自身には大きな塑性変形を生じさせずに、表面硬化にともなう疲労強度、耐磨耗性、耐応力腐食特性などの向上を図ることができるベルト表面改質装置およびその改質方法を提供することを目的とする。
本発明に係るベルト表面改質装置は、上述した課題を解決するために、請求項1に記載したように、高周波振動を発生させる高周波振動発生手段と、前記高周波振動発生手段に連結され高周波振動を行う高周波振動手段と、被改質材の第1の施工面を、前記高周波振動手段の先端部と対向する位置に間隙を設けて支持する支持手段と、少なくとも前記高周波振動手段の先端部と前記被改質材との間隙に液体を介在させる液体保持手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明に係るベルト表面改質方法は、上述した課題を解決するために、請求項9に記載したように、高周波振動を発生させる高周波振動発生工程と、前記高周波振動発生工程で発生した前記高周波振動により、キャビテーション気泡を発生させる工程と、前記キャビテーション気泡を発生させる工程で発生したキャビテーション気泡を崩壊させることにより衝撃波を発生させる工程と、前記衝撃波を発生させる工程により発生した衝撃波を被改質材に照射することによりピーニング効果を付与する工程とを含むことを特徴とする。
本発明に係るベルト表面改質装置およびその改質方法は、ピーニング効果を付与することで、ベルト自身には大きな塑性変形を生じさせずに、表面硬化にともなう疲労強度、耐磨耗性、耐応力腐食特性などの向上を図ることができる。
本発明に係るベルト表面改質装置およびその改質方法の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
[第1の実施形態]
このベルト表面改質装置は、金属ベルトの表面にキャビテーション気泡の衝撃波を照射し、ピーニング効果を付与するものであって、これにより金属ベルトの表面改質を行い疲労強度を向上させるものである。
このベルト表面改質装置は、金属ベルトの表面にキャビテーション気泡の衝撃波を照射し、ピーニング効果を付与するものであって、これにより金属ベルトの表面改質を行い疲労強度を向上させるものである。
なお、ピーニング効果は、被改質材の表面に圧縮応力を付与することで、表面の疲労強度や耐磨耗性、耐応力腐食特性を向上させる効果とする。
図1は、第1実施形態におけるベルト表面改質装置1の構成図である。
図1におけるベルト表面改質装置は、高周波振動発生手段としての高周波電源装置2、および振動部としての圧電素子2a、高周波振動手段としてのホーン2b、ホーン2bの先端部2cおよび被改質材としての金属ベルト7を清水9で浸漬させる水槽8、および金属ベルト7を移動させる移動手段としての回転ローラ4などからなる。
高周波電源装置2は、ケーブル2dで接続された圧電素子2aに高周波電流を供給する。圧電素子2aは、超磁歪材料または圧電型セラミック材料により構成され、高周波電源装置2から供給された高周波電流により高周波振動を発生させる。圧電素子2aは、ケース2eに収納され、さらにケース2eは架台2fにより静止部2gに固定される。なお、高周波電源装置2、圧電素子2a、ケース2eおよび架台2fによって高周波振動発生手段を構成する。
ここで、高周波振動の振動数は、例えば500Hz以上であり、好ましくは超音波領域である20kHz〜80kHzである。
ホーン2bは、ボルト形状の締結体2hにより圧電素子2aと固定されており、圧電素子2aの振動が伝達されることにより、金属ベルト7の第1の施工面である施工面7aと垂直である縦方向(y軸正負方向)に振動するようになっている。ホーン先端部2cは、液体保持手段としての水槽8に貯留された清水9に浸漬され、清水9中にて高周波振動を行うことにより、ホーン先端部2cにキャビテーション気泡6を発生させる。また、ホーン先端部2cは、キャビテーション気泡6による壊食を防止するため、高硬度材料で構成される。
ホーン先端部2cの対向位置には、支持手段としてのコマ3が設けられる。このコマ3は、ホーン先端部2cと金属ベルト7の施工面7aとが所定の距離aを保ち、かつ平行に配置されるように構成される。また、コマ3は、金属ベルト7に対しキャビテーション気泡6の崩壊により発生する衝撃波6aが照射される際に生じる、金属ベルト7の変形や振動などの影響を防止する機能を有する。
ベルト表面改質装置1には、被改質材である金属ベルト7を移動させる移動手段として、回転ローラ4および駆動ローラ4aが設けられる。
回転ローラ4は、金属ベルト7のガイドローラとしての機能を有し、金属ベルト7の送給の補助を行う。回転ローラ4は、金属ベルト4がたわまずに送給可能な箇所に設けられ、例えば、図1に示すように4箇所に設けられ連続的に回転する。また、回転ローラ4は、コマ3の表面に対して金属ベルト7が摺動可能な状態であって、かつ金属ベルト7の施工面7aに、ホーン先端部2cから発生したキャビテーション気泡6が連続的に照射されるように構成される。
駆動ローラ4aは、モータ4cに連接されたウオームギア4bを介して回転する。駆動ローラ4aは、回転ローラ4と共に金属ベルト7を挟むように構成され、駆動ローラ4aの回転量に応じて、回転ローラ4は回転し、かつ駆動ローラ4aおよび回転ローラ4に挟まれた金属ベルト7は移動する。
ここで、金属ベルト7の移動量を一定に制御することで金属ベルト7の表面に均一な衝撃波6aを照射することができ、金属ベルト7の表面に均一なピーニング効果を付与することができる。
また、駆動ローラ4aは、回転ローラ4と挟むように金属ベルト7を排出することにより、金属ベルト7に張力を付与することができる。これにより金属ベルト7の送給ムラによるうねりの発生などを防止し、安定した衝撃波6aを照射することができる。
次に、ベルト表面改質装置1の作用について説明する。
図2は、ベルト表面改質装置1におけるキャビテーション発生部5aの拡大図である。
被改質材である金属ベルト7は、水槽8に貯留された清水9中に浸漬されており、回転ローラ4などによりコマ3上をx軸方向に摺動することで、キャビテーション発生部5aに連続して供給される。なお、ホーン先端部2cから発生するキャビテーション気泡6が定常的に存在する範囲により形成される部分を、キャビテーション発生部5aとする。
図2のキャビテーション発生部5aにおいて、ホーン2bが清水9中にて高周波振動を行うことにより、ホーン先端部2cと金属ベルト7の第1の施工面としての施工面7aとの狭隘な空間部にキャビテーション気泡6が連続して発生する。
図3は、ベルト表面改質装置1におけるキャビテーション発生部5aにおけるピーニング効果の作用を説明した図である。
ホーン2bが高周波振動することにより上方向(y軸正方向)に瞬時に移動すると、キャビテーション発生部5aは瞬間的に負圧となり、清水9の飽和蒸気圧以下の圧力場が形成されて微細な泡であるキャビテーション気泡6が高密度状態で発生する。
これとは逆に、キャビテーション発生部5aとホーン先端部2cとの境界面が下方向(y軸負方向)に瞬時に移動すると、キャビテーション発生部5aで発生した高密度状態のキャビテーション気泡6が圧力により崩壊し、およそ300MPaに達する衝撃波6aが発生する。金属ベルト7の施工面7aは、一定速度にてx軸方向に移動しつつ、この衝撃波6aを受ける。このキャビテーション気泡6の発生から崩壊による衝撃波6aの発生までは、数μ秒で作用する。
このとき発生する衝撃波6aは、発生位置から距離が大きくなるに従って拡散、減衰されるため、数十mmと離れた施工面7aに対してはほとんど衝撃波としての作用を及ぼさない。これに対し、距離aを十mmから数百μmの値にすると、キャビテーション気泡6の崩壊によって高密度状態で存在する他のキャビテーション気泡6と相互に作用しながら衝撃波6aを発生させる。その一部はホーン先端部2cと金属ベルト7の施工面7aの間で反射を繰り返し、さらに反射波6bを発生させる。キャビテーション気泡6が高密度状態で狭い空間に発生すると、他のキャビテーション気泡6との作用により衝撃波6aおよび反射波6bをさらに発生させることができる。
キャビテーション気泡6によって発生したこのような衝撃波6aを、施工面7aに作用させることにより、施工面7aを硬化させると共に金属ベルト7表面に圧縮残留応力を付与し、金属ベルト7の疲労強度、耐磨耗性、耐応力腐食特性などを向上させことができる。
また、金属ベルト7の材質や硬さ、所要の硬化深さにより、高周波振動発生装置2の振動数やストローク、位相を適度な値に調整することにより、狭隘な空間部にキャビテーション気泡6をさらに高密度状態で発生させることができ、所要のピーニング効果を作用させることができる。
このベルト表面改質装置およびその改質方法によれば、キャビテーション気泡の崩壊を利用して発生させた数百MPaに達する衝撃波によって金属ベルトにピーニング作用を付与することにより、この金属ベルトに生じる表面硬化にともない疲労強度、耐磨耗性、耐応力腐食特性などを向上させることができる。
また、従来のショットピーニング方法においては、質量のあるショット材によって金属ベルトに凹凸の塑性変形が生じることにより応力集中が起こり、かえって疲労強度の低下を招いていた。しかし、このベルト表面改質装置およびその改質方法によれば、高密度状態で発生したキャビテーション気泡を相互に作用させることにより、数百MPaもの衝撃波を均一に発生させることができる。よって、この均一な衝撃波をベルトに照射することで、ベルト自身には大きな塑性変形を生じさせずに疲労強度を向上させることができる。
さらに、金属ベルトの移動量を一定に制御することで、金属ベルトの表面に均一な衝撃波を照射することができ、さらには表面に均一なピーニング効果を付与することができる。
またさらに、駆動ローラおよび回転ローラによって挟むように金属ベルトを排出することで金属ベルトに張力を付与することができ、金属ベルトの送給ムラによるうねりの発生を防止し、安定した衝撃波を照射することができる。
また、コマを設けたことにより、金属ベルトをホーン先端部と平行に保持することができ、また金属ベルトに対し衝撃波が照射される際に、金属ベルトの変形や振動などの影響を防止することができる。
なお、本実施形態においては金属ベルトの表面改質を行ったが、非金属からなるベルトにも適用することができる。
また、ホーン先端部と被改質材である金属ベルトとの間隙に介在させる液体として清水を用いたが、それ以外の水もしくは水溶液を使用することもできる。
[第2の実施形態]
第2実施形態では、金属ベルト7の対称面である第1の施工面および第2の施工面に対し同時にピーニング効果を付与し、表面改質することができるベルト表面改質装置について説明する。
第2実施形態では、金属ベルト7の対称面である第1の施工面および第2の施工面に対し同時にピーニング効果を付与し、表面改質することができるベルト表面改質装置について説明する。
図4は、第2実施形態におけるベルト表面改質装置1の構成図である。
なお、第1実施形態と対応する構成および部分については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図4におけるベルト表面改質装置1は、図1に示す第1実施形態におけるベルト表面改質装置1の構成に加え、金属ベルト7の第二の施工面である内部施工面7bを被改質材とする高周波振動発生手段としての高周波電源装置10、および振動部としての圧電素子10a、高周波振動手段としてのホーン10bから構成される。
高周波電源装置10は、防水ケーブル10dで接続された圧電素子10aに、防水コネクタ10gを介して高周波電流を供給する。圧電素子10aは、ケース10eに収納され、さらにケース10eは防水ケース10fに覆われている。また、ホーン10bと防水ケース10fの間隙は、パッキン10hによってホーン10bの振動を妨げない状態にてシールされている。
ホーン10bは、ホーン2bと同様な振動特性を有した高周波振動体である。このホーン10bは、圧電素子10aとボルト形状の締結体10hにより固定されており、圧電素子10aの振動が伝達されることにより、金属ベルト7の内部施工面7bと垂直である縦方向(y軸正負方向)に振動するようになっている。ホーン先端部10cは、液体保持手段としての水槽8に貯留された清水9に浸漬され、清水9中にて高周波振動を行うことにより、ホーン先端部10cにキャビテーション気泡6を発生させる。また、ホーン先端部10cは、キャビテーション気泡6による壊食を防止するため、高硬度材料で構成される。
ホーン先端部10cは、金属ベルト7を中心としてホーン先端部2cと対向する位置に構成され、かつ第1の施工面である施工面7aと、対称面である第2の施工面である内部施工面7bを同時に表面改質を行えるように構成される。また、ホーン先端部10cと金属ベルト7の内部施工面7bとは対向位置に所定の距離aを保ち、かつ平行に配置される。なお、所定の距離aは、十mm〜数百μmが好ましい。
次に、本実施形態におけるベルト表面改質装置1の作用について説明する。
被改質材である金属ベルト7は、水槽8に貯留された清水9中に浸漬されており、回転ローラ4上を摺動しながらキャビテーション発生部5aおよび5bに連続して供給される。なお、ホーン先端部10cから発生するキャビテーション気泡6が定常的に存在する範囲により形成される部分を、キャビテーション発生部5bとする。
キャビテーション発生部5bでは、ホーン10bが清水9中にて高周波振動を行うことにより、ホーン先端部10cと金属ベルト7の第2の施工面としての内部施工面7bとの狭隘な空間部にキャビテーション気泡6が連続して発生する。
また、金属ベルト7を中心とする対向位置に構成されるキャビテーション発生部5aにおいても同時に、ホーン2bが清水9中にて高周波振動を行うことにより、ホーン先端部2cと金属ベルト7の第1の施工面としての施工面7aとの狭隘な空間部にキャビテーション気泡6が連続して発生する。
このキャビテーション発生部5aおよび5bでは、ホーン2bおよび10bが同時に高周波振動することにより、金属ベルト7の施工面7aおよび内部施工面7bに同時にピーニング効果を付与し表面改質を行うことができる。また、ホーン2bおよび10bは、同様な振動特性を有した高周波振動体であるため、対向する衝撃波6が作用しあうことにより、金属ベルト7に対する支持手段として機能することができる。
キャビテーション発生部5aおよび5bで発生するキャビテーション気泡6によるピーニング効果の作用は、第1実施形態と同様であるため、説明は省略する。
このベルト表面改質装置およびその改質方法によれば、第1実施形態で生じる効果に加え、金属ベルトの対称面である二面に対し、同時にピーニング効果を付与し表面改質を行うことができる。また、ベルトの長さや幅が大きく、ショットピーニング方法による表面改質を行うことが困難な金属ベルトであっても、所要のピーニング効果を二面同時に付与することができる。
[第3の実施形態]
第3実施形態におけるベルト表面改質装置は、金属ベルト7の対称面である第1の施工面および第2の施工面に加え、この二面に垂直な二つの側面である第3の施工面に対してピーニング効果を付与することで表面改質することができるベルト表面改質装置について説明する。
第3実施形態におけるベルト表面改質装置は、金属ベルト7の対称面である第1の施工面および第2の施工面に加え、この二面に垂直な二つの側面である第3の施工面に対してピーニング効果を付与することで表面改質することができるベルト表面改質装置について説明する。
図5は、第3実施形態で説明するベルト表面改質装置1におけるキャビテーション発生部を拡大して示した概略的な構成図である。
なお、第1実施形態および第2実施形態と対応する構成および部分については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図5におけるベルト表面改質装置1は、第2実施形態におけるベルト表面改質装置1の構成に加え、金属ベルト7の第3の施工面である側部施工面7cを被改質材とし、防水ケース11eに収納された振動部としての圧電素子11a、高周波振動手段としてのホーン11bが構成される。また、図示はしないが、図4で示したベルト表面改質装置1のように、水槽8の外部には高周波振動発生手段としての高周波電源装置が設けられ、圧電素子11aと防水ケーブルで接続されている。
ホーン11bは、金属ベルト7の側部施工面7cと垂直である横方向(x軸正負方向)に振動するようになっている。ホーン先端部11cは、他のホーン先端部2cおよび10cと垂直となるように構成される。また、施工面7aおよび内部施工面7bと同様に、ホーン先端部11cと金属ベルト7の二つの側部施工面7cとは所定の距離aを保ち、かつ平行に配置される。なお、所定の距離aは、十mm〜数百μmが好ましい。
これらの構成およびベルト表面改質装置1の他の構成は、第1実施形態および第2実施形態と同様であるため、詳しい説明は省略する。
次に、第3実施形態におけるベルト表面改質装置1の作用について説明する。
被改質材である金属ベルト7は、水槽8に貯留された清水9中に浸漬されており、回転ローラ4(図5では省略)上を移動量を一定に制御されながら摺動し、キャビテーション発生部5a、5bおよび5cに連続して供給される。なお、ホーン先端部11cから発生するキャビテーション気泡6が定常的に存在する範囲により形成される部分を、キャビテーション発生部5cとする。
キャビテーション発生部5cにおいて、ホーン11bが清水9中にて高周波振動を行うことにより、ホーン先端部11cと金属ベルト7の第3の施工面としての二つの側部施工面7cとの狭隘な空間部に、高密度状態のキャビテーション気泡6が連続して発生する。
また、キャビテーション発生部5aおよび5bにおいても、ホーン2bおよび10bが清水9中にて高周波振動を行うことにより、ホーン先端部2cと施工面7a、およびホーン先端部10cと内部施工面7bとの狭隘な空間部にも、それぞれ高密度状態のキャビテーション気泡6が連続して発生する。
このキャビテーション発生部5a、5bおよび5cでは、ホーン2b、10bおよび11bが同時に高周波振動することにより、金属ベルト7の施工面7a、内部施工面7b、および側部施工面7cに対して、同時にピーニング効果を付与し表面改質を行うことができる。
キャビテーション発生部5a、5bおよび5cで発生するキャビテーション気泡6によるピーニング効果の作用は、第1実施形態と同様であるため、説明は省略する。
このベルト表面改質装置およびその改質方法によれば、第1および第2実施形態で生じる効果に加え、金属ベルトの側面に対してもピーニング効果を付与し表面改質を行うことができ、ベルト表面全体を硬化させ、疲労強度を向上させることが可能である。
特に、自動車などに使用されている金属ベルト方式の無段変速機に用いられる金属ベルトは、金属ベルトの側面に対しても繰返し応力が加わるため、強度の弱い側面から疲労亀裂が入りやすい特徴があるため、有効である。
また、金属ベルトの側面に対して、ショットピーニング方法を用いて表面改質を均一に行うことは困難であったが、このベルト表面改質装置およびその改質方法によれば、金属ベルトの側面に対しても衝撃波を均一に照射することができ、均一なピーニング効果を付与することができる。
1 ベルト表面改質装置
2 高周波電源装置
2a 圧電素子
2b ホーン
2c ホーン先端部
2d ケーブル
2e ケース
2f 架台
2g 静止部
2h 締結体
3 コマ
4 回転ローラ
4a 駆動ローラ
5a、5b、5c キャビテーション発生部
6 キャビテーション気泡
6a 衝撃波
7 金属ベルト
7a 施工面
7b 内部施工面
7c 側部施工面
8 水槽
9 清水
10 高周波電源装置
10a 圧電素子
10b ホーン
10c ホーン先端部
10d 防水ケーブル
10e ケース
11a 圧電素子
11b ホーン
11c ホーン先端部
11e ケース
2 高周波電源装置
2a 圧電素子
2b ホーン
2c ホーン先端部
2d ケーブル
2e ケース
2f 架台
2g 静止部
2h 締結体
3 コマ
4 回転ローラ
4a 駆動ローラ
5a、5b、5c キャビテーション発生部
6 キャビテーション気泡
6a 衝撃波
7 金属ベルト
7a 施工面
7b 内部施工面
7c 側部施工面
8 水槽
9 清水
10 高周波電源装置
10a 圧電素子
10b ホーン
10c ホーン先端部
10d 防水ケーブル
10e ケース
11a 圧電素子
11b ホーン
11c ホーン先端部
11e ケース
Claims (9)
- 高周波振動を発生させる高周波振動発生手段と、
前記高周波振動発生手段に連結され高周波振動を行う高周波振動手段と、
被改質材の第1の施工面を、前記高周波振動手段の先端部と対向する位置に間隙を設けて支持する支持手段と、
少なくとも前記高周波振動手段の先端部と前記被改質材との間隙に液体を介在させる液体保持手段とを備えたことを特徴とするベルト表面改質装置。 - 前記高周波振動発生手段は、超音波振動を発生させることを特徴とする請求項1記載のベルト表面改質装置。
- 前記被改質材に連続的に張力を付与し、一定量で移動させる移動手段をさらに設けたことを特徴とする請求項1記載のベルト表面改質装置。
- 前記高周波振動手段の先端部と前記被改質材の第1の施工面とに設けられた間隙は、10mm以下であることを特徴とする請求項1記載のベルト表面改質装置。
- 前記高周波振動発生手段は、超磁歪材料または圧電型セラミックス材料により構成された振動部をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載のベルト表面改質装置。
- 前記高周波振動手段の先端部は、高硬度材料により構成されたことを特徴とする請求項1記載のベルト表面改質装置。
- 前記被改質材の第2の施工面との対向位置には、高周波振動発生手段および高周波振動手段がさらに設けられ、
前記高周波振動手段の先端部と前記被改質材の第2の施工面とには間隙が設けられるように構成されたことを特徴とする請求項1記載のベルト表面改質装置。 - 前記被改質材の第3の施工面との対向位置には、高周波振動発生手段および高周波振動手段がさらに設けられ、
前記高周波振動手段の先端部と前記被改質材の第3の施工面とには間隙が設けられるように構成されたことを特徴とする請求項1または7記載のベルト表面改質装置。 - 高周波振動を発生させる高周波振動発生工程と、
前記高周波振動発生工程で発生した前記高周波振動により、キャビテーション気泡を発生させる工程と、
前記キャビテーション気泡を発生させる工程で発生したキャビテーション気泡を崩壊させることにより衝撃波を発生させる工程と、
前記衝撃波を発生させる工程により発生した衝撃波を被改質材に照射することによりピーニング効果を付与する工程とを含むことを特徴とするベルト表面改質方法。
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JP2011025332A (ja) * | 2009-07-22 | 2011-02-10 | Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd | ウォータージェットピーニング方法及びその装置 |
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- 2007-10-10 JP JP2007264471A patent/JP2009090426A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011025332A (ja) * | 2009-07-22 | 2011-02-10 | Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd | ウォータージェットピーニング方法及びその装置 |
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