JP2009090209A - 空気清浄機 - Google Patents

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Abstract

【課題】フィルター交換頻度が低く取り扱いが容易な空気清浄機の提供。
【解決手段】吸気部、排気部、及び送風部を備え、前記流路の側面にフィルター送り出し部及びフィルター巻取り部が配置され、前記送り出し部と前記巻取り部との間に移動部が配置され、前記移動部を移動する手段を備え、前記送風部と前記手段とを連動させるための制御部を備え、前記送り出し部と前記巻取り部とに保持されているフィルターは、前記流路の側面に沿って配置される部位、前記移動部に保持される部位、及び前記流路の側面に沿って配置される部位を連続的に有する状態と、前記流路の側面に沿って配置される部位、前記流路を密閉する部位、前記移動部に保持される部位、前記流路を密閉する部位、及び前記流路の側面に沿って配置される部位を連続的に有する状態とを、前記移動部の移動により可逆的に有する空気清浄機。
【選択図】図2

Description

本発明は、空気清浄機に関する。より詳しくは、本発明は、フィルターを通過させることにより空気を浄化する空気清浄機であって、フィルター交換頻度を下げることが可能であるとともに、有害物質の捕捉量を下げずに空気の浄化速度を上げることが可能である空気清浄機に関する。
空気清浄機においては、環境に応じて、空気の取り込み量が変化することが好ましい。すなわち、空気の汚染度が高い場合には大量の空気を取り込む一方で、汚染度が低い場合には消費電力や騒音の抑制などのために取り込む空気の量が抑えられていることが好ましい。しかしながら、フィルターを通過させることにより空気を清浄する機構を有する空気清浄機においては、フィルターの能力上、大量の空気を取り込む際に通常の運転時と同様の空気清浄能力は期待できない。
また、フィルターを用いた空気清浄機においては、機能の維持のために頻繁なフィルター交換が必要である。これに対し、特許文献1においては、フィルターをロールツーロール方式にして、フィルターの交換回数を削減することが可能な空気清浄機が開示されている。
特開2004-57932号公報
本発明の目的は、フィルター交換頻度が低く取り扱いが容易な空気清浄機を提供することである。また、本発明の目的は、空気の取り込み量の増加に応じて、フィルターの捕捉効率を上げることができる空気清浄機を提供することである。
本発明者らは上記課題の解決のために鋭意研究を行い、ロールツーロール方式で取り付けられるフィルターを利用して空気浄化のためのフィルター枚数を調節することを着想し、この着想を基に本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記[1]〜[3]を提供するものである。
[1]吸気部、排気部、及び前記吸気部から前記排気部の間に形成される流路に空気を送る送風部を備え、
前記流路の側面にフィルター送り出し部及びフィルター巻取り部が配置され、
前記流路方向において前記フィルター送り出し部と前記フィルター巻取り部との間に、少なくとも1つの移動部が配置され、
前記移動部を移動する手段を備え、
前記送風部の送風強度と前記の移動する手段の駆動とを連動させるための制御部を備え、かつ、
前記フィルター送り出し部と前記フィルター巻取り部とに保持されているフィルターは、前記流路の側面に沿って配置される部位、前記移動部に保持される部位、及び前記流路の側面に沿って配置される部位を連続的に有する状態と、前記流路の側面に沿って配置される部位、前記流路を密閉する部位、前記移動部に保持される部位、前記流路を密閉する部位、及び前記流路の側面に沿って配置される部位を連続的に有する状態とを、前記移動部の移動により可逆的に有する
空気清浄機。
[2]吸気部、排気部、及び前記吸気部から前記排気部の間に形成される流路に空気を送る送風部を備え、
前記流路の側面にフィルター送り出し部及びフィルター巻取り部が配置され、
前記流路方向において前記フィルター送り出し部と前記フィルター巻取り部との間に、少なくとも1つの移動部が配置され、
前記移動部を移動する手段を備え、
前記送風部の送風強度と前記の移動する手段の駆動とを連動させるための制御部を備え、かつ、
前記フィルター送り出し部と前記フィルター巻取り部とに保持されているフィルターは、前記流路を密閉する部位、前記流路の側面に沿って配置される部位、前記移動部に保持される部位、及び前記流路の側面に沿って配置される部位を前記フィルター送り出し部側からこの順で連続的に有する状態と、前記流路を密閉する部位、前記流路の側面に沿って配置される部位、前記流路を密閉する部位、前記移動部に保持される部位、前記流路を密閉する部位、及び前記流路の側面に沿って配置される部位を前記フィルター送り出し部側からこの順で連続的に有する状態とを、前記移動部の移動により可逆的に有する
空気清浄機。
[3]前記フィルター送り出し部と前記フィルター巻取り部とに保持されているフィルターが抗体フィルターである[1]または[2]に記載の空気清浄機。
本発明により、フィルター交換頻度が低く取り扱いが容易な空気清浄機であって、空気の取り込み量の増加に応じて、フィルターの捕捉効率を上げることができる空気清浄機が提供される。
本発明の空気清浄機の形状は特に限定されず、略長方体形状、略立方体形状、略円柱形状などが挙げられる。フィルター送り出し部とフィルター巻取り部とに保持されているフィルターを有効利用するために、略長方体形状又は略立方体形状であることが好ましい。空気清浄機は、内部に所定の空間を有し、該空間に後述の吸気部から排気部へと通過する空気の流路が形成される。
本発明の空気清浄機は吸気部及び排気部を備える。吸気部は空気清浄機内部に空気を取り込む部分であり、形状及び個数は特に限定されない。また、排気部は、空気清浄機外部に空気を送り出す部分であり、形状及び個数は特に限定されない。例えば、略長方体形状または略立方体形状の空気清浄機である場合、相対する2つの側面にそれぞれ吸気部および排気部を設ければよい。同様に、略円柱形状の場合は、円形状の相対する側面にそれぞれ吸気部および排気部を設ければよい。さらに、同一の側面の上部(又は右端部など)と下部(又は左端部など)に、吸気部および排気部を別々に設けることもできる。
なお、本明細書において、流路に対して吸気部側を上流側、排気部側を下流側という場合がある。
空気清浄機が、吸気部において空気清浄機内部に空気を取り込み、および排気部において空気清浄機外部に空気を送り出すようにする機構は特に限定されない。例えば、一定の空気の流れがある場所に空気清浄機を設置したり、気圧が異なる2つの部屋の境界に空気清浄機を設置したりしてもよい。また、例えば、吸気部から排気部の間に空気の流路を形成する手段として、空気清浄機が送風部を備えていてもよい。送風部としては、給気機能を有する送風部を用いてもよく、排気機能を有する送風部を用いてもよく、両方を用いてもよい。給気機能を有する送風部は上流側、排気機能を有する送風部は下流側に設ければよい。例えば排気機能を有する送風部を用いる場合、空気清浄機駆動時には、送風部が流路内部の空気を下流側の排気部から送り出すことで、上流側の吸気部から取り込んだ空気を下流側の排気部から送り出すといった空気の流路が形成される。排気機能を有する送風部の例としては、軸流ファンやプロペラファン、シロッコファンなどが挙げられる。シロッコファンは、円筒状の回転体の円周面に複数の小型の翼が設けられた構成を有し、小型化、軽量化に適し、また、駆動時に発生する音が小さいという利点がある。
本発明の空気清浄機においては前記吸気部から前記排気部の間に形成される流路の側面にフィルター送り出し部及びフィルター巻取り部が配置される。フィルター送り出し部及びフィルター巻取り部は、フィルター送り出し部とフィルター巻取り部とに保持されているフィルターが、前記流路の側面に沿って配置される部位、前記流路を密閉する部位、後述の移動部に保持される部位、前記流路を密閉する部位、及び前記流路の側面に沿って配置される部位を連続的に有する状態と、前記流路の側面に沿って配置される部位、移動部に保持される部位、及び前記流路の側面に沿って配置される部位を連続的に有する状態とを、移動部の移動により可逆的に有することができるように配置されている限り、流路に対して、同一側の側面に配置されていても互いに反対側の側面に配置されていてもよいが、互いに反対側の側面に配置されていることが好ましい。なお、本明細書において「流路の側面に配置される」とは空気清浄機の外部(空気清浄機本体の外側)側面に配置されていることおよび、空気清浄機の内部(空気清浄機本体の内側、流路内)に配置されていることを含むが、空気清浄機の外部に配置されていることが好ましい。また、フィルター送り出し部及びフィルター巻取り部の流路方向における順序は特に限定されず、吸気部、フィルター送り出し部、フィルター巻取り部、排気部の順となっていてもよく、吸気部、フィルター巻取り部、フィルター送り出し部、排気部の順となっていてもよいが、吸気部、フィルター巻取り部、フィルター送り出し部、排気部の順となっていることが好ましい。
前記流路方向において前記フィルター送り出し部と前記フィルター巻取り部との間には少なくとも1つの移動部が配置される。移動部は、該フィルター送り出し部とフィルター巻取り部とに保持されているフィルターの一部を保持し、フィルターを保持しながら、前記流路を横切って対向する流路側面の間を移動手段によって移動する。移動部に保持されているフィルターの部位はフィルターの送り出し又は巻き取りによって変化してよい。
移動部は、空気清浄機本体内壁(流路内)に接するように設置され、下記移動手段によって反対側壁まで移動する構造が好ましい。移動部はフィルターが内部を通れるように中空となった直方体の板状の形状を有し、ロールツーロールで設置されているフィルターが中空部を貫通していればよい。移動部は貫通しているフィルター部全体を覆う構造となっていることが好ましい。移動部は、流路内に設置されるため、空気の流れに影響がないように、なるべく薄いことが好ましい。長さ、幅は、使用するフィルター種、および、フィルター配置法によりそれぞれ異なり、特に限定されない。移動部本体の素材は、プラスチック製であっても、金属製であってもよい。移動手段としてはアーム駆動方式、カム駆動方式等の手段が挙げられる。移動前と移動後で流路の密閉を保つため、本体と接する端部分はゴムなどで覆われパッキングされる構造が好ましい。また、移動部の移動を容易にするために、本体に溝を設置してもよい。移動部と接している本体部、または、移動部にローラー等を設置することもできる。移動部と移動手段とは一体となっていてもよい。
移動部は1個でもよく、2個以上でもよい。
移動部の移動によって、フィルターの前記流路を密閉する部位を2枚単位で増減させることが可能である。すなわち、流路を通過する空気中の有害物質の捕捉効率を調節することが可能である。さらに、前記送風部の送風強度と前記の移動部の移動すなわち移動手段の駆動とを連動させることによって、空気清浄機の空気取り込み量の増加に伴って流路を密閉するフィルター枚数を増やしたり、空気清浄機の空気取り込み量の減少に伴って流路を密閉するフィルター枚数を減らしたりすることが可能である。
本発明の空気清浄機には、前記送風部の送風強度と前記の移動する手段の駆動とを連動させるために制御部が設けられる。
駆動によりフィルター枚数が増えた場合(例えば図2)、除去効率をあげるため、連動して送風強度を増加させればよい。例えば該フィルターと排気部との間には風量センサを配置することができる。該センサにより検出される風量が所定の値以下になった場合に、前記移動手段に信号を送り、前記図1の状態になるように移動手段を制御することが可能である。該センサにより検出される風量について前記の所定の値は送風部の送風強度に応じて設定してもよい。図3に制御系例のブロック図を示す。
さらに前記センサ部の信号又は前記移動手段の駆動に基づいてフィルター巻取り部の駆動を制御して使用済みフィルター部位を巻き取ることにより、フィルター送り出し部とフィルター巻取り部とに保持されているフィルターの流路上の部位を自動的に更新させることができる。
本発明の好ましい態様の一例の概略図を図1及び2に示す。図1及び2は、同一の空気清浄機における移動部の移動前後を示す。図1及び2に示す空気清浄機においてはフィルター送り出し部及びフィルター巻取り部が互いに反対側の側面(空気清浄機の外部)に配置され、移動部の位置に係らずフィルター送り出し部とフィルター巻取り部とに保持されているフィルターは少なくとも1つの前記流路を密閉する部位を有している。通常例えば図1に示すように用い、空気浄化の速度を上げたいときには図2のように送風部の強度を高め、かつ、空気が通過するフィルター枚数を増加させて用いることができる。
フィルター送り出し部とフィルター巻取り部とに保持されているフィルターは、通常、フィルター送り出し部においてロール状のフィルターとして取り付けられ、端部を引き出して、所定の位置を通過して、フィルター巻取り部で巻き取られるように空気清浄機本体に設置される。
フィルター送り出し部とフィルター巻取り部とに保持されているフィルターが長い状態(例えば図2)から短い状態(例えば図1)となる場合には、該フィルターはフィルター巻取り部で巻き取られる。また、フィルター送り出し部とフィルター巻取り部とに保持されているフィルターが短い状態(例えば図1)から長い状態(例えば図2)となる場合にはフィルター送り出し部からフィルターが送りだされる。このような巻き取りや送り出しは自動であることが好ましい。このようにすることによって、自動的に空気浄化のためのフィルターが更新される。
フィルター送り出し部とフィルター巻取り部とに保持されているフィルターが、上記の所定の配置を取ることができるように、フィルターが流路を密閉する部位の流路側面や、移動部の両端には、フィルターのガイドが配置されていてもよい。ガイドとしてはゴムーローラー、スポンジローラー、樹脂ローラーなどを用いることができる。
なお本明細書において密閉とは、吸気部から取り込まれた空気の全てが通過して排気部へと向かう状態を意味し、具体的にはフィルターと空気清浄機本体が密着して両者の間に視覚的に確認できるよう隙間を生じせしめないことを意味する。すなわち、本明細書において密閉とは、所謂、気密を意味するものではなく、フィルターには気体が通過しうるものとする。
フィルター送り出し部は、ガイドを経由してフィルター巻取り部に巻き取られればよい。送り出し部と巻取り部の間、または、巻取り部に駆動手段を設け、フィルターを引っ張る力により駆動させてもよい。フィルターの形状は平面状でもよく、プリーツ状としてもよい。プリーツ状の場合は、送り出し部は折りたためられた形状であるが、巻取り張力の調節により、ロール状に巻き取られてもよい。
フィルター送り出し部とフィルター巻取り部とに保持されているフィルターとしては、特に限定されないが、有害物質の捕捉率が高く、浄化されるべき空気が通過するフィルター枚数の増加による空気圧の低下の影響が大きいフィルターが、好ましい。フィルター枚数を調節できることによる利点が大きくなるからである。このようなフィルターとしては特に限定されないが、抗体を担持した担体からなる抗体フィルターなどが挙げられる。
抗体フィルターにおける担体としては、特に限定されないが、繊維が好ましい。繊維としては、セルロースエステル、ビニロン、アクリル系、ポリウレタンのうち少なくとも1種類を主成分とする繊維が好ましい。また、ポリアミドを主成分とする繊維も好ましい。主成分とは、全繊維中の質量分率にして25%以上を構成する成分であることを示す
セルロースエステルとは、セルロースの水酸基を有機酸でエステル化されているセルロース誘導体を指す。エステル化に用いる有機酸は、例えば酢酸・プロピオン酸・酪酸などの脂肪カルボン酸、安息香酸・サリチル酸などの芳香族カルボン酸などがある。単独もしくは併用したものであってもよい。セルロースの水酸基のエステル基置換率について特に制限はないが、60%以上であることが好ましい。
抗体フィルターにおいて担体として用いられる繊維の群のなかでは、セルロースアシレート繊維が望ましい。セルロースアシレートは、セルロースの水酸基を構成する水素原子の一部または全部がアシル基で置換されているセルロースエステルを指す。アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、およびブチリル基など挙げられる。これらの基は1種のみが置換されて構成されていてもよいし、2種以上のアシル基が混合置換されていてもよい。アシル基置換度の総和は、好ましくは2.2〜3.0であり、より好ましくは2.2〜2.8であり、特に好ましくは2.2〜2.7である。なかでも、この置換度を満たすセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、又はセルロースアセテートブチレートのいずれかであることが好ましく、セルロースアセテートであることが最も好ましい。一般にセルロースアシレートは、エステル化度によって溶剤が異なることが知られているが、あらかじめエステル化率の高いセルロースアシレートで担体を作製したのちに、アルカリ加水分解処理等を行って表面を親水化してもよい。
セルロースアシレート繊維のみでも十分に実用的な有害物質除去材料を形成することが可能であるが、強度や寸度安定性をさらに向上させる等の目的で、ポリエステル系繊維・ポリオレフィン系繊維・ポリアミド系繊維・アクリル系繊維等との混紡繊維により担体を形成してもよい。混紡繊維を用いる場合には、セルロースアシレート繊維の質量分率は50%以上であることが望ましく、70%以上であることがさらに望ましい。
抗体フィルターにおいて担体として用いられる繊維の群のなかでは、ポリアミド繊維であることも望ましい。
本明細書においてポリアミドとは、化学構造単位が主としてアミド結合で結合されている線状高分子からなる繊維を指す。
ポリアミドの中でも、エチレンジアミン、1−メチルエチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミンと、マロン酸、コハク酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸との結合体である直鎖型脂肪族ポリアミドが好ましい。特に、ナイロン66が好ましい。
前記のジアミンおよびジカルボン酸以外にも、ε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等のアミノカルボン酸類、パラ−アミノメチル安息香酸等を単独または共重合成分として用いた脂肪族ポリアミドを用いることもできる。特に、ε−カプロラクタムの単独使用で製造されるナイロン6が好ましい。
これらの他に、原料の脂肪族ジアミンとして一部または全部をシクロヘキサンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1、4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどの脂環族ジアミンを用いた脂肪族ポリアミド、および/または、ジカルボン酸として一部または全部を1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環式ジカルボン酸を用いた脂肪族ポリアミドであってもよい。
更に、脂肪族パラキシリレンジアミン(PXDA)やメタキシリレンジアミン(MXDA)などの芳香族ジアミン、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸を部分的な原料として用いて、吸水性の低減や弾性率向上を実現したポリアミドも含まれる。また、ポリアクリル酸アミド、ポリ(N−メチルアクリル酸アミド)、ポリ(N,N−ジメチルアクリル酸アミド)などのような側鎖にアミド結合を有するポリマーであってもよい。
ポリアミドの中で最も望ましいのは、ナイロン66またはナイロン6である。アミド結合に由来する適度な吸湿性、適度な長さの長鎖脂肪酸からなる分子鎖を繊維軸配向させやすく比較的延伸性が高いこと、融解熱が高く熱容量が大きいことから動力学的にも速度論的にも溶融しにくい(耐溶融性)、長鎖脂肪鎖からなる分子鎖の可とう性や、アミド結合間の水素結合形成のためにフィブリル化やキンクバンドが生じにくい性質、すなわち繰返し屈伸性など、担体として好ましい性能を活用することができるためである。
同様に強度や寸度安定性を向上させる目的で、担体を金属・高分子材料・セラミックス等の他の適切な構造材料により補強してもよい。これらの補強材は、有害物質除去材料を供給する側面の実質的な最表面以外の部分(例えば、該側面の反対面や芯材に用いる等)に用いることが望ましい。
本明細書において、ビニロンとは、ビニルアルコール単位を65質量%以上含む線状高分子からなり、温度20℃湿度65%の環境に1週間以上放置した後の水分率が7%以下である繊維を指す。ビニルアルコールの水酸基をホルマール化したものであってもよいが、水酸基をホウ酸架橋したポリマーや、公知のアルカリ紡糸法や冷却ゲル紡糸法などの方法により耐水化処理が施された非ホルマール化繊維であってもよい。ビニルアルコール単位以外の成分としてはエチレン鎖、酢酸ビニル鎖などが含まれていてもよいが、ビニルアルコール担体から形成される繊維であることが好ましい。さらに、均質で高配向度・高結晶化度であるために、優れた機械的特性と信頼性が得られるという点で、冷却ゲル紡糸による非ホルマール化繊維であることが最も望ましい。
ビニロンは一般に、他の繊維に対して、高強度、高弾性率、適度な親水性、耐候性、耐薬品性、接着性などに優れており、担体としてこれらの好ましい性能を活用することができる。
本明細書において、アクリル系とは、アクリロニトリル基の繰返し単位が質量比で40%以上含む繊維を指し、例えば、アクリロニトリルのホモポリマーや、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニルなどの非イオン性モノマーとアクリルニトリルのコポリマー、ビニルベンゼンするスルホン酸、アリルスルホン酸などのアニオン性モノマーとアクリロニトリルのコポリマー、あるいは、ビニルピリジン、メチルビニルピリジンなどのカチオン性モノマーとアクリロニトリルのコポリマーなどの例がある。アクリロニトリルとミルクカゼインのから形成されるいわゆるプロミックス繊維も本カテゴリーに包含される。
アクリル系の繊維は一般に、有機系湿式紡糸法で製造することが多い。この方法では、紡糸原液が凝固浴中で凝固糸を形成するときに、凝固剤である水がノズルより紡出される紡糸原液中に浸入する一方で、紡糸溶剤が紡出した原液から外部に拡散し、このとき、水と有機溶剤(DMF、DMAcなど)が相互拡散することで重合体が析出して無数の空洞が網目状につながった構造をもつ凝固糸条が形成される。また、凝固過程で溶剤が凝固浴中に拡散することによる体積収縮により形成される繊維断面の変形や表面のマクロフィブリル構造形成による凹凸形成が特徴である。これらの微細構造は本発明で使用する担体の構造としては、非表面積向上や抗体担持のし易さの点で好ましい。
本発明で用いるアクリル系繊維は、原料ポリマーの組成や紡糸法、製造工程内の後処理条件などにより変動するが、一般に、適度な親水性、耐候性が高い、かさ高い繊維が得られやすいという利点がある。
本発明で用いるポリウレタンは、単量体相互の結合部分または基本となる基材重合体相互の結合部分が主としてウレタン結合による線状合成高分子からなる繊維を指す。ポリウレタンセグメントを質量比で85%以上含むことが望ましい。低融点で柔らかい分子量数千までのソフトセグメントと、剛直性で凝集力の高い高融点のハードセグメントからなるセグメント化ポリウレタンのブロック共重合であることが望ましい。ソフトセグメントとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテル、ハードセグメントとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネートなどで形成されるウレタン基を用いることができる。ポリウレタンは一般に高い弾性を示すのが特徴で、両セグメントの化学構造や分布など高分子鎖の一時構造の違いや、製糸条件の違いなどからくる二次構造の違いによって異なるが、よく伸びる、伸縮回復力が高い、ゴム材料に比べて老化しにくい・細い繊維が得られるなどの特徴があり、担体として用いた場合にもこれらの性質を活用することができる。
また、本発明で用いる担体を構成する繊維の20℃の水に対する体積膨潤度は1.1%以上10%未満であり、好ましくは1.1%以上8%未満であり、特に好ましくは1.1%以上6%未満であり、最も好ましくは1.1%以上5%未満である。なお、本発明における20℃の水に対する繊維の体積膨潤度とは、乾燥繊維を20℃の純水に1時間浸漬する前後の繊維の密度を密度勾配管法(JIS−K7112)にて求めた体積膨潤度をさす。
担体を構成する繊維の機械的物性ならびに寸法安定性については、乾燥時伸度が25%以上であることが望ましい。ここで乾燥時伸度とは、十分に長い時間かけて乾燥した繊維の20℃における引張試験における破断伸度をさす。一般に乾燥時伸度が10%以上で製布等の加工に適することが、フィルター加工及び実用時の破壊(ろ過効率の低下につながる)を防止するには25%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、35%以上であることが最も好ましい。
担体を構成する繊維の公定水分率は、1.0%以上7.0%未満であることが好ましく、3.0%以上6.5%未満であることがより好ましく、5.0%以上6.5%未満であることが最も好ましい。本領域の公定水分率において、担持した抗体の活性の発現と、担体の機械的強度、剛性、環境(特に湿度)に対する寸法安定性が得られ、ひいてはフィルターとしての高い性能と信頼性を示すことができる。
なお、ここで言う水分率とは公定水分率のことであり、公定水分率とは繊維を20℃、相対湿度65%の環境下に長時間放置したときに繊維に含まれる水分率のことを指す。また、他の繊維との混紡繊維の場合にはその混紡繊維全体の公定水分率を指すものとする。
担体を構成する繊維の表面は、数十ナノメートルから数マイクロメートルスケールの微細な凹凸構造を有することが好ましい。凹凸の形状は、繊維方向と平行方向に形成された溝状あるいは筋状の立体形状であってもよいし、繊維方向と垂直すなわち軸に対して同心円状に形成された溝状あるいは筋状の立体形状であってもよく、これらの立体形状は繊維方向と平行方向から垂直方向迄の任意の角度で形成されたものが任意の比率、密度で存在してもよい。公知のセルロースアセテート繊維の紡糸法で得られる試料には、表層のスキン層形成と溶剤乾燥に伴うスキン層の陥没により、繊維断面が不定形の菊型を形成することが知られているが、この凹凸は本発明においても好ましい形態である。
ナノメートルからマイクロメートルスケールの微細な凹凸構造は、空孔状および/または突起状であってもよい。平均径にして50nmから1μmの空孔または突起であることが望ましい。これらの空孔や突起は、例えば溶液のキャビテーションや微細分散質を分散させた溶液(例えば硫酸バリウム粒子を分散させたスラリーとの混合)を利用するなどの方法により紡糸工程で形成させたり、アシル基の加水分解や表面酸化処理など方法(例えばアルカリ水溶液により繊維表面をセルロース化したのち、酵素処理により繊維表面にミクロクレーターを発現させたりするなど)により後工程によって形成させたりすることができる。
抗体フィルターにおいて担体として用いられる繊維の平均繊維径は、50μm以下であることが望ましく、10μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることが特に好ましく、100nm以下であることが最も好ましい。なお、本明細書において平均繊維径は走査型電子顕微鏡(SEM)の観察画像から任意の300箇所における繊維中の直径を測定し、それを算術平均することによって求めた数値である。
抗体フィルターにおいて担体として用いられる繊維の作製法としては、溶融紡糸、湿式紡糸、乾式紡糸、湿乾式紡糸など一般的な製造法や、物理的処理(例えば超高圧ホモジナイザーによる強力な機械的せん断処理)によって繊維を微細化する方法などが挙げられるが、安定な品質を確保するためには、乾式紡糸もしくは湿乾式紡糸法を用いることが好ましい。平均繊維径が100nm以下で均一な繊維を作製するためには、さらに加工技術、2005年、40巻、No.2、101頁、および167頁;Polymer International誌、1995年、36巻、195〜201頁;Polymer Preprints誌、2000年、41(2)号、1193頁;Journal of Macromolecular Science : Physics誌、1997年、B36、169頁などに開示されている電界紡糸法を採用することが好ましい。
紡糸に用いる溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、THF、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒、水など、合成樹脂繊維に用いられる樹脂を溶解するものであれば何でも用いることができる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、複数種混合して用いてもよい。
電界紡糸法を採用する場合には樹脂溶液に、さらに塩化リチウム、臭化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどの塩を添加してもよい。
抗体フィルターの担体を構成する繊維同士は部分的に接着することにより三次元ネットワークを形成している構造をもつことが望ましい。かような構造をとることにより、加工ならびに実用上の機械的耐性の向上、ひいては有害物質除去材の信頼性をあげることができる。また抗体の保持特性を上げることができる。繊維同士の接着は
SEM等の方法で観察することができる。繊維同士の接着点の密度は、該有害物質除去材の投影表面積に対して1mm角辺り10箇所以上存在することが好ましく、100箇所以上であることがより好ましい。
接着点を形成する方法としては、乾式紡糸法で形成される癒着や溶融紡糸法で形成される融着点で形成してもよいし、紡糸後に加熱や、接着剤・可塑化溶剤等の添加による接着点形成処理を行ってもよい。製造コストの観点では適切な溶液処方により乾式紡糸法で癒着点を形成させることが好ましい。
抗体フィルターに用いられる抗体は、特定の有害物質(抗原)に対して特異的に反応(抗原抗体反応)するタンパク質であり、分子サイズが7〜8nmであって、Y字状の分子形態を有する。抗体のY字状分子構造のうち、一対の枝部分をFab、幹部分をFcといい、これらのうち、Fabの部分で有害物質を捕捉する。
前記抗体の種類は、捕捉しうる有害物質の種類に対応する。抗体により捕捉される有害物質としては、例えば、細菌、カビ、ウイルス、アレルゲン及びマイコプラズマを挙げることができる。具体的には、細菌としては、例えば、グラム陽性菌であるブドウ球菌属(黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌)、ミクロコッカス菌、炭疽菌、セレウス菌、枯草菌、アクネ菌などや、グラム陰性菌である緑膿菌、セラチア菌、セパシア菌、肺炎球菌、レジオネラ菌、結核菌などを挙げることができる。カビとしては、例えば、アスペルギルス、ペニシリウス、クラドスポリウムなどを挙げることができる。ウイルスとしては、インフルエンザウイルス、コロナウイルス(SARSウイルス)、アデノウイルス、ライノウイルスなどを挙げることができる。アレルゲンとしては、花粉、ダニアレルゲン、ネコアレルゲンなどを挙げることができる。
前記抗体の製造方法としては、例えば、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ウサギ等の動物に抗原を投与し、その血液からポリクローナル抗体を精製する方法、抗原を投与した動物の脾臓細胞と培養癌細胞とを細胞融合し、その培養液または融合細胞を植え込んだ動物の体液(腹水等)からモノクローナル抗体を精製する方法、抗体産生遺伝子を導入した遺伝子組み換え細菌、植物細胞、動物細胞の培養液から抗体を精製する方法、ニワトリに抗原を投与して免疫卵を産ませ、卵黄液を殺菌及び噴霧乾燥して得た卵黄粉末から鶏卵抗体を精製する方法を挙げることができる。これらのうちでも、鶏卵から抗体を得る方法は、容易にかつ大量に抗体が得られ、有害物質除去材の低コスト化を図ることができる。
抗体フィルターに用いられる抗体は鶏卵抗体であることが好ましい。
前記担体に抗体を担持する(固定化する)方法としては、担体をγ−アミノプロピルトリエトキシシランなどを用いてシラン化した後、グルタールアルデヒドなどで担体表面にアルデヒド基を導入し、アルデヒド基と抗体とを共有結合させる方法、未処理の担体を抗体の水溶液中に浸漬してイオン結合により抗体を担体に固定化する方法、特定の官能基を有する担体にアルデヒド基を導入し、アルデヒド基と抗体とを共有結合させる方法、特定の官能基を有する担体に抗体をイオン結合させる方法、特定の官能基を有するポリマーで担体をコーティングした後にアルデヒド基を導入し、アルデヒド基と抗体とを共有結合させる方法をあげることができる。
ここで、前記の特定の官能基としては、NHR基(RはH以外のメチル、エチル、プロピル、ブチルのうちいずれかのアルキル基)、NH2基、C65NH2基、CHO基、COOH基、OH基を挙げることができる。
また、前記担体表面の官能基を、BMPA(N-β-Maleimidopropionic acid)などを用いて他の官能基に変換した後、その官能基と抗体とを共有結合させる方法もある(BMPAではSH基がCOOH基に変換される)。
更に、前記抗体のFcの部分に選択的に結合する分子(Fcレセプター、プロテインA/Gなど)を担体表面に導入し、それに抗体のFcを結合させる方法もある。この場合、有害物質を捕捉するFabが担体に対して外向きになり、Fabへの有害物質の接触確率が高くなるので、効率よく有害物質を捕捉することができる。
前記抗体は、リンカーを介して担体に担持されていてもよい。この場合、担体上での抗体の自由度が高くなり、有害物質への接近が容易となるので、高い除去性能を得ることができる。リンカーとしては、二価以上のクロスリンク試薬を挙げることができ、具体的にはマレイミド、NHS(N-Hydroxysuccinimidyl)エステル、イミドエステル、EDC(1-Ethyl-3-[3-dimethylaminopropyl]carbodiimido)、PMPI(N-[p-Maleimidophenyl]isocyanate)があり、標的官能基(SH基、NH2基、COOH基、OH基)に選択的なものと非選択的なものとがある。また、クロスリンク間の距離(スペースアーム)もクロスリンク試薬ごとに異なっており、目的の抗体に応じて0.1nm〜3.5nm程度の範囲で選択することができる。有害物質を効率的に捕捉するという観点からは、リンカーとして抗体のFcに結合するものが好ましい。
リンカーを導入する方法としては、抗体にリンカーを結合させておき、それを更に抗体に結合する方法、担体にリンカーを結合させておき、担体上のリンカーに抗体を結合させる方法のいずれも可能である。
本発明の空気清浄機はフィルター送り出し部とフィルター巻取り部とに保持されているフィルター以外に、さらに1又は2以上の別のフィルターを有していてもよい。例えば、吸気部と、該フィルター送り出し部とフィルター巻取り部とに保持されているフィルターとの間に、別のフィルターが配置されていてもよい。別のフィルターは取りはずし可能であることが好ましい。
上記部位に配置される別のフィルターとしては比較的大きなごみ及び塵を除去するプレフィルター機能を有するフィルターが好ましい。このフィルターは例えば、不織布などであればよい。この別のフィルターとしては不織布などに消臭剤、抗菌剤が担持されたフィルターや、光触媒が担持された光触媒フィルターを用いることも好ましい。
光触媒フィルターは、例えば不織布等のような多孔質の繊維層と、不活性チタン層と、不活性チタン層上に活性チタン層とを有するものであればよい。
光触媒としては、主に、酸化チタン(TiO2)を主体として使用すればよい。この他光触媒としては、酸化亜鉛(ZnO)、酸化セリウム(Ce23)、酸化テルビウム(Tb23)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化エルピウム(Er23)、タンタル酸カリウム(KTaO3)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、および[Ru(bpy)3]2+やCo錯体等を使用することもできる。なお、活性酸化チタンとしては、アナターゼ結晶の微粒子を用いることが望ましい。
光触媒フィルターの繊維層としては、目付けが100g/m2〜300g/m2のものであって、圧力損失が標準風速2.5m/sでの初期圧力損失が、20〜90Paのものを用いることが好ましい。
別のフィルターは流路を密閉するために流路の断面積と略等しい面積を有することが好ましい。また、フィルター面が流路を流れる空気の流れに対して垂直になるように配置されることが好ましい。
本発明の空気清浄機において、光触媒フィルターが用いられる場合などには、紫外線光源を設けてもよい。紫外線光源によって、フィルター殺菌とともに、光触媒フィルターが用いられる場合において光触媒フィルターの活性化が可能である。従って、紫外線光源は、光触媒フィルターの近傍に設けられることが好ましい。紫外線光源は、例えば光触媒が反応する波長である300nm〜420nm程度の紫外線を発光するものであればよい。殺菌の観点からは、254nm程度の紫外線を発光するものも好ましい。紫外線光源としては、蛍光灯、LED(Light Emitting Diode)、またはその他の紫外線照射装置を用いることができる。
また、本発明の空気清浄機には、紫外線光源や送風部に電気を供給する電源回路、モータ制御部、紫外線光源の電圧を変換可能な変圧器などが設けられていてもよい。また、ケース側面に、電源スイッチ、送風部から送風される空気の流量を調整する風量調節部などが設けられていてもよい。
また、本発明の空気清浄機は、雰囲気中の有機物質の量を検出するセンサ部を有していてもよい。該センサ部で検出する臭気としては、例えば、人体からの体臭や口臭、アルコール物質や、愛玩動物の糞尿から生じた有機物質などが上げられる。また、センサ部は、臭気に限定されず、例えば、ダニなどのハウスダスト、塵埃、花粉を検出することもできる。さらに紫外線光源と送風部との少なくとも一方に信号の入出力が可能な状態で接続された駆動制御部とを設け、センサ部での検出信号を駆動制御部に出力する。駆動制御部は、有機物質の検出信号に基づいて紫外線光源と送風部との少なくとも一方を制御することができる。紫外線光源を制御する場合には、照射する光の量や、光を照射する時間を制御することができる。また、紫外線光源の点灯を間欠運転に設定することや、紫外線光源からの照射を終了するタイマー機能を有していてもよい。送風部を制御する場合には、送風する空気の量や、送風する時間を制御することができる。また、本発明の空気清浄機は、送風部の駆動を間欠運転に設定することや、送風を終了するタイマー機能を有していてもよい。
本発明にかかる空気清浄機は、病院、学校、幼稚園、公共施設、待合室、飛行機、電車などの室内に設置することができる。例えば、病院の床頭台に設置することができる。また、空調システムに取り付けて使用することも可能である。
また、空気清浄機は、有機物質の消臭などの機能とともに、マイナスイオンや除菌イオン、オゾンを発生、供給する機能を兼ね備えていてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
<空気清浄装置例>
図1、図2に示す概略図で表される空気清浄装置を作製した。フィルター送り出し部には、抗体フィルターを設置した。移動部3の両端には、ガイド用のゴムローラーを設置し、移動部とガイドローラー部がともに電動式の多関節アームを使用して、図1から図2へ移動可能な機構とした。図2の状態になった際は、アームは伸びきり、空気の流れには影響のないように設置した。
<抗体フィルター作製>
上記、空気清浄機に設置する抗体フィルターの作製方法を下記に示す。
(N−1)
セルロースアセテート(アルドリッチ製、全置換度2.4、数平均分子量3万)のアセトン:水(97:3)溶液(25質量%)を60℃に加温し、直径0.1mmのノズルから、紡速500m/mの速度で空気とともに噴出させ不織布を形成し膜厚1mmの不織布N−1を得た。紡糸筒はヒーターで100℃に加温した。SEMで平均繊維径を測定したところ、8μmであった。
(抗体の固定化)
抗原を投与したニワトリが産んだ免疫卵を精製して作製したインフルエンザウイルス抗体(IgY抗体)をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に溶解させ、抗体濃度100ppmになるように調製した。調製した液に前記N−1のサンプルを室温で浸漬させ、繊維表面に抗体を付与させた。
(例1:フィルター効率の測定)
<条件1>
前記N−1のサンプルを直径120mmに打ち抜いてサンプルホルダーにセットし、同口径の試験用ダクト内に設置した。
粒子発生器(TSI社製)を用いて50〜200nmの微粒子を発生させ、静電分級器(TSI社製)を用いて特定の粒子径の微粒子をダクト内に5.3cm/secの流速で導入した。
サンプルホルダーの上流と下流で凝縮粒子カウンター(TSI社製)を用いて粒子数をカウントし、上流と下流での粒子数比から特定の粒子径でのフィルター効率を算出した。
<条件2>
前記N−1のサンプルを直径120mmに打ち抜いてサンプルホルダーにセットしたものを2セット別々に、同口径の試験用ダクト内に設置した以外は条件1と同様にフィルター効率を測定した。
<条件3>
前記N−1のサンプルを直径120mmに打ち抜いてサンプルホルダーにセットしたものを3セット別々に、同口径の試験用ダクト内に設置した以外は条件1と同様にフィルター効率を測定した。
それぞれのフィルター効率を表1に示す。
(例2:ウイルス不活性化効率評価)
<条件4>
供試ウイルス液は精製インフルエンザウイルスをPBSで10倍希釈したものを使用した。前記N−1サンプルを5cm角に切り、ウイルス噴霧試験装置の中央に取り付け固定した。上流側に設置したネブライザーに供試ウイルス液を入れ、下流側にウイルス回収用装置を取り付けた。エアーコンプレッサーから圧縮空気を送り、ネブライザーの噴霧口から供試ウイルスを噴霧した。マスク下流側には、ゼラチンフィルターを設置し、10L/分の吸引流量で5分間試験装置内空気を吸引し、通過ウイルスミストを捕集した。
試験後、ウイルスを捕集したゼラチンフィルターを回収し、MDCK細胞を用いたTCID50法(50%細胞感染量測定法)により、サンプル通過後のウイルス感染価を求めた。サンプル有り無しでのゼラチンフィルターのウイルス感染価の比較から、サンプルのウイルスの一過性除去率を算出した。
<条件5>
N−1サンプルを2セット別々に、ウイルス噴霧試験装置の中央に取り付け固定する以外は、条件4と同様にウイルスの一過性除去率を算出した。
<条件6>
N−1サンプルを3セット別々に、ウイルス噴霧試験装置の中央に取り付け固定する以外は、条件4と同様にウイルスの一過性除去率を算出した。
本発明の空気清浄機の例の概略を示す図である。 本発明の空気清浄機の例(図1と同一の例において空気取込量が多い場合)の概略を示す図である。 本発明の空気清浄機の制御系例のブロック図である。
符号の説明
1.フィルター送り出し部
2.フィルター巻取り部
3.移動部
4.送風部(排気ファン)
5.ガイド
6.空気の流れ

Claims (3)

  1. 吸気部、排気部、及び前記吸気部から前記排気部の間に形成される流路に空気を送る送風部を備え、
    前記流路の側面にフィルター送り出し部及びフィルター巻取り部が配置され、
    前記流路方向において前記フィルター送り出し部と前記フィルター巻取り部との間に、少なくとも1つの移動部が配置され、
    前記移動部を移動する手段を備え、
    前記送風部の送風強度と前記の移動する手段の駆動とを連動させるための制御部を備え、かつ、
    前記フィルター送り出し部と前記フィルター巻取り部とに保持されているフィルターは、前記流路の側面に沿って配置される部位、前記移動部に保持される部位、及び前記流路の側面に沿って配置される部位を連続的に有する状態と、前記流路の側面に沿って配置される部位、前記流路を密閉する部位、前記移動部に保持される部位、前記流路を密閉する部位、及び前記流路の側面に沿って配置される部位を連続的に有する状態とを、前記移動部の移動により可逆的に有する
    空気清浄機。
  2. 吸気部、排気部、及び前記吸気部から前記排気部の間に形成される流路に空気を送る送風部を備え、
    前記流路の側面にフィルター送り出し部及びフィルター巻取り部が配置され、
    前記流路方向において前記フィルター送り出し部と前記フィルター巻取り部との間に、少なくとも1つの移動部が配置され、
    前記移動部を移動する手段を備え、
    前記送風部の送風強度と前記の移動する手段の駆動とを連動させるための制御部を備え、かつ、
    前記フィルター送り出し部と前記フィルター巻取り部とに保持されているフィルターは、前記流路を密閉する部位、前記流路の側面に沿って配置される部位、前記移動部に保持される部位、及び前記流路の側面に沿って配置される部位を前記フィルター送り出し部側からこの順で連続的に有する状態と前記流路を密閉する部位、前記流路の側面に沿って配置される部位、前記流路を密閉する部位、前記移動部に保持される部位、前記流路を密閉する部位、及び前記流路の側面に沿って配置される部位を前記フィルター送り出し部側からこの順で連続的に有する状態とを、前記移動部の移動により可逆的に有する
    空気清浄機。
  3. 前記フィルター送り出し部と前記フィルター巻取り部とに保持されているフィルターが抗体フィルターである請求項1または2に記載の空気清浄機。
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