JP2009089920A - ブラシ用毛材、その製造方法およびブラシ - Google Patents
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Abstract
【課題】歯間清掃性と歯面清掃性がいずれも優れたブラシ用毛材とその製造方法およびこれを用いたブラシの提供。
【解決手段】芯鞘構造複合合成樹脂モノフィラメントからなるブリッスルの少なくとも一端にテーパー部を形成したブラシ用毛材であって、前記テーパー部とこのテーパー部以外の本体部の繊維軸方向に垂直な断面形状が、それぞれ異なる異形断面であるブラシ用毛材。
【選択図】なし
【解決手段】芯鞘構造複合合成樹脂モノフィラメントからなるブリッスルの少なくとも一端にテーパー部を形成したブラシ用毛材であって、前記テーパー部とこのテーパー部以外の本体部の繊維軸方向に垂直な断面形状が、それぞれ異なる異形断面であるブラシ用毛材。
【選択図】なし
Description
本発明は、歯間清掃性と歯面清掃性がいずれも優れたブラシ用毛材とその製造方法およびこれを用いたブラシに関するものである。
近年、合成樹脂製のブラシ用毛材、特に歯ブラシ用毛材においては、歯周ポケットや歯間への毛材の到達度の向上およびこれによる清掃性の向上を目的として、先端がテーパー化されたもの(例えば、特許文献1参照)が多用されている。また、さらに毛材側面での清掃性能を兼備させるために、この毛材の断面を異形断面とすることにより周方向に凹凸を設けた毛材(例えば、特許文献2参照)や、さらに捻りも加えることにより長手方向の凹凸をも併せて設けた毛材(例えば、特許文献3参照)も提案され、夫々相応の効果が得られている。
ここで、先端をテーパー化した従来の毛材においては、テーパー状の毛先には歯間清掃性が、また非テーパー部には歯面清掃性が求められるが、前記毛材の各部位の断面形状は相似形であるため、必ずしも夫々の機能に適した形状ではないという問題があった。
特開昭6−141923号公報
特開2001−169829号公報
特開2003−189943号公報
本発明は、上記の従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
したがって、本発明の目的は、歯間清掃性と歯面清掃性がいずれも優れたブラシ用毛材とその製造方法およびこれを用いブラシを提供することにある。
上記の目的を達成するため本発明によれば、芯鞘構造複合合成樹脂モノフィラメントからなるブリッスルの少なくとも一端にテーパー部を形成したブラシ用毛材であって、前記テーパー部とこのテーパー部以外の本体部の繊維軸方向に垂直な断面形状が、それぞれ異なる異形断面であることを特徴とするブラシ用毛材が提供される。
なお、本発明のブラシ用毛材においては、
前記ブリッスルの本体部の断面形状が三角形、テーパー部の断面形状が4〜8葉形であること、および
前記ブリッスルの本体部の断面形状が四角形、テーパー部の断面形状が5〜8葉形であること
が、いずれも好ましい条件である。
前記ブリッスルの本体部の断面形状が三角形、テーパー部の断面形状が4〜8葉形であること、および
前記ブリッスルの本体部の断面形状が四角形、テーパー部の断面形状が5〜8葉形であること
が、いずれも好ましい条件である。
また、上記の構成からなる本発明のブラシ用毛材の製造方法は、芯部および鞘部が夫々異なる異形断面であり、前記芯部に薬液溶解速度の速い合成樹脂、前記鞘部に前記芯部の合成樹脂よりも薬液溶解速度が遅い合成樹脂を用いてなる芯鞘構造複合合成樹脂モノフィラメントをカットブリッスルとし、このカットブリッスル束の少なくとも一端に、薬液処理によってテーパー部を形成することを特徴とする。
さらに、本発明のブラシは、上記のブラシ用毛材を毛材の少なくとも一部に使用したことを特徴とする。
本発明によれば、歯間清掃性と歯面清掃性がいずれも優れたブラシ用毛材およびブラシを得ることができる。
以下、本発明のブラシ用毛材について、図面にしたがって具体的に説明する。
図1は、本発明のブラシ用毛材の一例を示す側面図、図2(a)は図1のA−A断面図、図2(b)は同じくB−B断面図、図3(c)〜(e)は本発明で使用し得る他の芯鞘構造複合モノフィラメントの例を示す断面図である。
図1に示したように、本発明のブラシ用毛材1は、芯鞘構造複合合成樹脂モノフィラメントのブリッスル1からなり、このブリッスル本体2(以下、本体部2と呼ぶ)の少なくとも一端にテーパー部3が形成されている。
そして、図2に示したように、テーパー部3と本体部2の繊維軸方向に垂直な断面形状がおのおの異なる異形断面(図面では八葉形と三角形)に構成されている。
かかる構成とするためには、上記ブリッスル1を構成する合成樹脂モノフィラメントを、芯部4と鞘部5とからなる芯鞘複合構造となし、芯部4と鞘部5の繊維軸方向に垂直な断面形状をそれぞれ異なる異形断面(図面では八葉形と三角形)とすることが重要である。
したがって、テーパー部3はほぼ芯部4から構成されているため、その断面形状は上記芯部と同様な異形断面であり、本体部2の断面形状は鞘部と同様な異形断面となっている。
例えば、これを歯ブラシに用いる場合に、テーパー部3は歯間挿入時の側面の圧縮反力による清掃効果を上げるために歯間面との接触点の多い八葉形とし、テーパー部3以外の本体部2は曲げ反力でのエッジ部による清掃効果を最大化するため三角形にするなどの組み合わせが可能である。
本発明のブラシ用毛材においては、芯部と鞘部の素材選定が重要であり、芯部には後述の化学的薬液処理に用いる薬液に対して溶解速度の速い合成樹脂、鞘部には前記芯部の合成樹脂よりも薬液溶解速度が遅い合成樹脂を用いる。
具体的な組み合わせとしては、化学的薬液処理に用いられる薬液が水酸化ナトリウム溶液などのアルカリ性薬液である場合は、芯部/鞘部の組合せとして、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと称す)/ポリブチレンテレフタレート(以下PBTと称す)、ポリエステルエラストマー/PBT、ポリプロピレンテレフタレート(以下PTTと称す)/PBT、ポリエチレンナフタレート/PBT、ポリエステルエラストマー/PETなど、また、化学的薬液処理に用いられる薬液が塩酸などの酸性薬液である場合は、ポリアミドエラストマー/ポリアミド6・10、ポリアミドエラストマー/ポリアミド6などの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、適宜選定することができる。
なお、上記の合成樹脂には、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、その目的に応じて、各種無機粒子、各種金属粒子および架橋高分子粒子などの粒子類のほか、公知の抗酸化剤、耐光剤、耐侯剤、イオン交換剤、着色防止剤、耐電防止剤、各種着色剤、ワックス類、シリコーンオイル、各種界面活性剤および各種強化繊維類などを適宜任意に添加せしめることもできる。
本発明のブラシ用毛材は何ら特殊な方法を用いて製造する必要はない。上述の芯鞘構造複合モノフィラメントは、公知の複合溶融紡糸法で製造可能であり、選定された2種の原料を複合押出機から溶融吐出させ、冷却の後延伸、熱セットを加えることで得られる。また、テーパー部は、このモノフィラメントを集束して所定長さに切断することによりカットブリッスルの束とし、この少なくとも一端に公知の化学的薬液処理を加えることで形成させることができる。
この化学的薬液処理において、薬液に浸漬されたカットブリッスルの端部は、まず鞘部が溶解して異形断面の芯部4の一部が露出し、続いて溶解速度の速い鞘部5が除々に溶解するため異形断面を維持しながらテーパー状となる。
図1および図2は上記の方法で得られるブラシ用毛材の一例であり、この場合は芯部4からなるテーパー部3の断面形状が八葉形、鞘部5の当初の形状を維持した本体部2の断面形状が三角形となっている。
図3(c)〜(e)は、本発明で使用し得る他の芯鞘構造複合モノフィラメントの例を示すものであり、(c)は芯部4と鞘部5の断面形状が八葉形と四角形、(d)は同じく星型と三角形、(e)は同じく八葉形と鈴形を示しているが、清掃性を向上し得る異形断面形状の組み合わせであれば任意であり、これらに制限されるものではない。
これらの組み合わせのなかでも、本体部2の断面形状が三角形/テーパー部3の断面形状が4〜8葉形、ないしは本体部2の断面形状が四角形/テーパー部3の断面形状が5〜8葉形の組み合わせとすることが好ましい。
かくして構成された本発明のブラシ用毛材は、テーパー部と本体の非テーパー部とがそれぞれ異なる異形断面であるため、歯ブラシにおいては歯間清掃性と歯面清掃性とをそれぞれ向上させることが可能である。
以下、本発明のブラシ用毛材について、実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明のブラシ用毛材はその要旨を超えない限り以下の実施例に何ら限定されるものではない。
なお、下記の各ブラシ用毛材は次の方法により評価を行った。34穴の歯ブラシハンドルに対し、毛丈が11mmになるように植毛して歯ブラシを作成し、次の方法により評価を行った。
[清掃性評価]
歯ブラシを使用して仮想汚れを塗布したステンレス製凹凸板表面を摺動運動させ、清掃性を仮想汚れの除去率S(%)で評価した。なお、歯ブラシの摺動面裏側からかける垂直荷重は150g、摺動運動は、振幅10mm、速度180rpmで5000回行った。また、汚れ除去率Sは、凹凸板の凸部表面と凹部表面それぞれについて求め、摺動運動前の仮装汚れの面積をEmm2、摺動運動後の仮装汚れの面積をFmm2とし、式S=100×(E−F)/Eから求めた。
歯ブラシを使用して仮想汚れを塗布したステンレス製凹凸板表面を摺動運動させ、清掃性を仮想汚れの除去率S(%)で評価した。なお、歯ブラシの摺動面裏側からかける垂直荷重は150g、摺動運動は、振幅10mm、速度180rpmで5000回行った。また、汚れ除去率Sは、凹凸板の凸部表面と凹部表面それぞれについて求め、摺動運動前の仮装汚れの面積をEmm2、摺動運動後の仮装汚れの面積をFmm2とし、式S=100×(E−F)/Eから求めた。
〔実施例1〕
芯部用原料としてPBT樹脂(東レ(株)製、トレコン1200S)、鞘部用原料としてPET樹脂(東レ(株)製、東レポリエステル樹脂 T301T)を使用し、複合溶融紡糸法により、鞘部の断面形状が断面積0.031平方mmの正三角形(一片0.27mm)、芯部の断面形状が八葉形の複合構造モノフィラメントを作成し、これを束ねて30mmの長さに切断した後、水酸化ナトリウム溶液による化学的薬液処理を加え、片端がテーパー状で、テーパー部の断面が八葉形、非テーパー部が円形のブラシ用毛材を得た。
芯部用原料としてPBT樹脂(東レ(株)製、トレコン1200S)、鞘部用原料としてPET樹脂(東レ(株)製、東レポリエステル樹脂 T301T)を使用し、複合溶融紡糸法により、鞘部の断面形状が断面積0.031平方mmの正三角形(一片0.27mm)、芯部の断面形状が八葉形の複合構造モノフィラメントを作成し、これを束ねて30mmの長さに切断した後、水酸化ナトリウム溶液による化学的薬液処理を加え、片端がテーパー状で、テーパー部の断面が八葉形、非テーパー部が円形のブラシ用毛材を得た。
〔実施例2〕
鞘部の断面形状を断面積0.031平方mmの略正四角形(一片0.17mm)とした以外は実施例1と同様とし、ブラシ用毛材を得た。
鞘部の断面形状を断面積0.031平方mmの略正四角形(一片0.17mm)とした以外は実施例1と同様とし、ブラシ用毛材を得た。
〔実施例3〕
芯部の断面形状を星型とした以外は実施例1と同様とし、ブラシ用毛材を得た。
芯部の断面形状を星型とした以外は実施例1と同様とし、ブラシ用毛材を得た。
〔比較例1〕
PBT樹脂(東レ(株)製、トレコン1200S)のみを用いて、断面積0.031平方mmの八葉形断面のモノフィラメントを作成し、これに実施例1と同じ化学的溶解処理を加え、テーパー部、非テーパー部ともに八葉形断面のブラシ用毛材を得た。
PBT樹脂(東レ(株)製、トレコン1200S)のみを用いて、断面積0.031平方mmの八葉形断面のモノフィラメントを作成し、これに実施例1と同じ化学的溶解処理を加え、テーパー部、非テーパー部ともに八葉形断面のブラシ用毛材を得た。
〔比較例2〕
モノフィラメントの断面を断面積0.031平方mm(一片0.27mm)の正三角形断面とした以外は比較例1と同じにすることで、テーパー部、非テーパー部ともに三角形のブラシ用毛材を得た。
モノフィラメントの断面を断面積0.031平方mm(一片0.27mm)の正三角形断面とした以外は比較例1と同じにすることで、テーパー部、非テーパー部ともに三角形のブラシ用毛材を得た。
上記の実施例および比較例で得られたブラシ用毛材の評価結果を表1に示した。
表1の結果から明らかなように、テーパー部と非テーパー部の断面がともに八葉形である比較例1を、ともに三角形である比較例2と比べると、実使用時の歯間部に相当する凹部の汚れ除去性には優れるが、実使用時の歯間部に相当する凹部の汚れ除去性には劣る。
これに対し、テーパー部の断面を八葉形、非テーパー部の断面を三角形とした実施例1は、凸部と凹部のいずれの汚れ除去率も高いことがわかる。これは、非テーパー部を四角形とした実施例2、テーパー部を星型とした実施例3の場合でも同様である。
本発明のブラシ用毛材は、優れた清掃性と耐久性とを兼ね備えたものであり、種々のブラシ用途に適用できるが、特に歯ブラシ用途に適用した場合に有用な効果を発揮する。
1 ブリッスル
2 本体部
3 テーパー部
4 芯部
5 鞘部
2 本体部
3 テーパー部
4 芯部
5 鞘部
Claims (5)
- 芯鞘構造複合合成樹脂モノフィラメントからなるブリッスルの少なくとも一端にテーパー部を形成したブラシ用毛材であって、前記テーパー部とこのテーパー部以外の本体部の繊維軸方向に垂直な断面形状が、それぞれ異なる異形断面であることを特徴とするブラシ用毛材。
- 前記ブリッスルの本体部の断面形状が三角形、テーパー部の断面形状が4〜8葉形であることを特徴とする請求項1に記載のブラシ用毛材。
- 前記ブリッスルの本体部の断面形状が四角形、テーパー部の断面形状が5〜8葉形であることを特徴とする請求項1に記載のブラシ用毛材。
- 芯部および鞘部が夫々異なる異形断面であり、前記芯部に薬液溶解速度の速い合成樹脂、前記鞘部に前記芯部の合成樹脂よりも薬液溶解速度が遅い合成樹脂を用いてなる芯鞘構造複合合成樹脂モノフィラメントをカットブリッスルとし、このカットブリッスル束の少なくとも一端に、薬液処理によってテーパー部を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のブラシ用毛材の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のブラシ用毛材を毛材の少なくとも一部に使用したことを特徴とするブラシ。
Priority Applications (1)
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JP2007263914A JP2009089920A (ja) | 2007-10-10 | 2007-10-10 | ブラシ用毛材、その製造方法およびブラシ |
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JP (1) | JP2009089920A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011058985A1 (ja) | 2009-11-13 | 2011-05-19 | サンスター株式会社 | 歯ブラシ用の芯鞘複合フィラメント及びそれを用いた歯ブラシ |
JP2011104012A (ja) * | 2009-11-13 | 2011-06-02 | Toray Monofilament Co Ltd | 歯ブラシ用モノフィラメント |
JP2012105743A (ja) * | 2010-11-16 | 2012-06-07 | Toray Monofilament Co Ltd | 歯ブラシ用毛材および歯ブラシ |
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2007
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