以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態が適用されたデジタルカメラ1の外観斜視図である。
図1には、小型・薄型化を図るために屈曲光学系が内蔵された鏡胴ユニット10が採用されたデジタルカメラ1を斜め上方から見た斜視図が示されている。
図1には、3次元的な斜視図が示されているので、以降の説明において用いられるX方向、Y方向、Z方向を分かりやすくするためにX軸、Y軸、Z軸を示す座標軸が図示されている。なお、図2以降の図にも方向を示すためにすべて座標軸が図示されている。
以降説明する図1〜図24までの実施形態においては、上記座標軸が示すX方向を本発明にいう第1の方向とし、上記座標軸が示すX方向を本発明にいう第2の方向をY方向とする場合の例が示されている。したがってこの図1〜図24に示す実施形態では本発明にいう第1駆動部の一例がX駆動部で構成され、本発明にいう第2駆動部の一例がY駆動部で構成される。また、本発明にいう第1ガイド軸の一例がXガイド軸で構成され、本発明にいう第2ガイド軸の一例がYガイド軸で構成される。
図1の鏡胴ユニット10は、被写体に向かってY方向に延びる第1の光軸に沿って入射してきた被写体光をそのY方向に垂直なZ方向に延びる第2の光軸に沿う方向に屈曲させて結像させる屈曲光学系を内蔵するものである。
詳細は後述するが、本実施形態においては図1に示す様に屈曲光学系を備えた鏡胴ユニット10と結合し、その屈曲光学系による被写体光の結像を受けて被写体を表わす画像信号を生成する撮像素子を備えてその撮像素子を移動させることにより画像信号上のブレを抑える防振ユニット11を、上記鏡胴ユニット10の下方に配備する構成を採用して、デジタルカメラのボディのZ方向とY方向の長さの短縮化を図ることができるようにしている。
さらに本実施形態の防振ユニットにおいては撮像素子が非常に高価であることを考慮して、組立不良等が出たときに撮像素子が使用可能な状態である限りにおいてはその撮像素子を取り外して再利用することができるようにもしている。
まず、図2を参照して鏡胴ユニットと防振ユニットのうちの鏡胴ユニット10の構成を説明する。
図2は、図1のデジタルカメラ内部に搭載されている鏡胴ユニット10の分解図である。
まず、図2の鏡胴ユニット10を参照して鏡胴ユニット10を構成する各部材を説明する。
本実施形態の鏡胴ユニット10内には5群レンズ構成の屈曲光学系が内蔵されているので、各群それぞれに符号L1,L2,L3,L4,L5を付して各レンズ群を区別する。この5群レンズ構成のうちの第2レンズ群L2と第5レンズ群L5とでズームレンズが構成され、第4レンズ群L4でフォーカスレンズが構成される。なお、第1レンズ群L1は、3枚のレンズLL1,LL3,LL4とプリズムLL2からなり、第2レンズ群L2は、3枚のレンズLL5,LL6,LL7からなる。また固定レンズである第3レンズ群L3は、1枚のレンズからなり、フォーカスレンズである第4レンズ群は、3枚のレンズLL9,LL10,LL11からなる。さらに第2レンズ群L2と共にズームレンズを構成する第5レンズ群L5は1枚のレンズLL12からなる。
図2を参照して鏡胴ユニット10内の構成を説明する。
まず、5群レンズ構成中の第1レンズ群L1の構成を説明する。
図2の右上側には、3枚のレンズLL1,LL3,LL4とプリズムLL2とからなる第1レンズ群L1を保持する1群枠F1が示されている。第1レンズ群L1の一部を構成するプリズムLL2の、被写体光が入射する側には、表面に露出するレンズLL1が一枚添設され、そのプリズムLL2から被写体光が出射する側にはレンズが2枚添設されてそれらが1群枠F1内に挿着される。この第1レンズ群L1が1群枠F1に装着されるときには、その第1レンズ群L1が1群枠F1に接着固定され、その後、マスク部材M1、M2が貼着される。なお図2の間隔リングSP1はレンズLL3とレンズLL4の間に介挿される。
図2の1群枠F1の左下方には、その1群枠F1が連結されるとともに第2レンズ群L2から第5レンズ群L5までのレンズ群が収容される鏡胴ユニットホルダUHが示されている。
なお、1群枠F1を鏡胴ユニットホルダUHに連結するときには、光軸の傾き調整を行なう必要があるので、1群枠F1の、鏡胴ユニットホルダUHとの連結部には引っ張りバネ101A,101Bが2箇所設けられてその引っ張りバネ101A,101Bの付勢によって1群枠F1が鏡胴ユニットホルダUHに締結される構成になっている。ビスB1,B1は、1群枠F1に貼着されたナットN1,N1に螺合している。ビスB1,B1の先端部は、鏡胴ユニットホルダUHの突起部UH01,UH01に当接している。ビスB1,B1を進退させることによってこの部分の1群枠F1と鏡胴ユニットホルダUHの間隔を調整することができる。
次にズームレンズを構成する第2レンズ群L2と第5レンズ群L5、およびフォーカスレンズを構成する第4レンズ群L4、さらに固定レンズである第3レンズ群L3が鏡胴ユニットホルダUH内にどのようにして組み込まれるかを簡単に説明する。
まず、固定レンズである第3レンズ群L3は、押さえ板A1によって3群枠F3ごと鏡胴ユニットホルダUH内部のホルダ壁面に取り付けられ、鏡胴ユニットホルダUH内に組み込まれる。この3群枠F3には、XY平面内の位置を調整するための操作片OPが設けられており、この操作片OPは外部から操作可能な状態で鏡胴ユニットホルダUHに取り付けられる。
また、その第3レンズ群L3を挟んて、ズームレンズを構成する第2レンズ群L2と第5レンズ群L5はズーム機構を構成する何点かの部材とともに鏡胴ユニットホルダUH内に移動自在に組み込まれる。ここでズーム機構を構成する部材についてその構成を簡単に説明しておく。
ズームレンズを構成する第2レンズ群L2と第5レンズ群L5のうちの第2レンズ群を保持する2群枠F2には、カムピンCP1と2本のガイド軸G1,G2が係合する係合部K1,K2が設けられ、第5レンズ群を保持する5群枠F5には、カムピンCP2と2本のガイド軸G3,G4が係合する係合部K3,K4が設けられている。
それらのカムピンCP1、CP2が、ズームモータZMに連結されている円筒カムC1に係合するとともに、係合部K1,K2,K3,K4が、鏡胴ユニットホルダUHに支持されZ軸に沿って配設される4本のガイド軸G1,G2、G3,G4それぞれに係合することにより、第2レンズ群L2と第5レンズ群L5がそれぞれ鏡胴ユニットホルダUH内にZ軸方向に沿って移動自在に組み込まれる。なお、ガイド軸G1と2群枠F2の係合部K1との係合部分と、ガイド軸G1と5群枠F5の係合部K3との係合部分と、後述する4群枠F4とガイド軸G4との係合部分の軸廻りには、それぞれ、ブッシュBS1〜BS3が外挿される。
一方、ズームモータZMのギアヘッドGHの脇には、後述するズームカム軸AXの一方の端部を回転自在にするズームカム軸受けBA1が備えられており、そのズームモータZMのギアヘッドGHには減速ギアGE1が連結される。その減速ギアGE1の中心孔と円筒カムC1の中心孔とを貫通するようにズームカム軸AXが挿通され、そのズームカム軸AXの一方の端部がズームカム軸受けBA1に連結される。このズームモータZMに円筒カムC1が連結された状態のズーム機構が5群構成のレンズ群の側方に配設されて鏡胴ユニットホルダUH内に組み込まれる。ズームカム軸AXの、減速ギアGE1側とは反対の側の先端は、鏡胴ユニットホルダUH内に配備されるズームカム軸受けBA2に係合して回転自在になるので、円筒カムC1の回転に応じて第2レンズ群L2を保持する2群枠F2、第5レンズ群L5を保持する5群枠F5が備える各カムピンCP1,CP2がそれぞれ動いて第2レンズ群L2と第5レンズ群L5の相互間隔が調整されることにより焦点距離が調整される。
なお、詳細は後述するが、前述した様に鏡胴ユニットのZ方向の長さの短縮化を図ることができるようにするために、撮像素子を防振ユニット内に配備して撮像素子を駆動する構成にした他、防振ユニットと鏡胴ユニットとを含めたトータルのZ方向の長さの短縮化を図ることができるようにするために、鏡胴ユニットホルダUH内の上記第5レンズ群L5を鏡胴ユニットホルダUHから防振ユニットホルダ側に突出させ防振ユニット側の受入部に進入することができるようにしている。
以上のようにしてズーム機構とともにズームレンズである第2レンズ群L2と第5レンズ群が鏡胴ユニットホルダUH内に組み込まれる。
次にフォーカスレンズである第4レンズ群L4と共に組み込まれる焦点調節機構を説明する。
フォーカスレンズである第4レンズ群L4の4群枠F4には、フォーカスモータFMから延びるリードスクリュー(不図示)に噛合するフォーカスキャリッジCRが連結されるように構成されている。このため、フォーカスモータFMの回転に応じてはリードスクリューが回転してフォーカスキャリッジCRがリードスクリュー上を第2の光軸(Z方向)に沿って移動してフォーカスレンズである第4レンズ群L4が移動することとなる。またフォーカスレンズを移動させるにあたってはフォーカスレンズである第4レンズ群L4の位置の検出が必要なので、鏡胴ユニットホルダUH内には、そのフォーカスレンズである第4レンズ群L4の位置を検出するためのフォトインタラプタPIが配備される。
さらに、本実施形態においては、フォーカスレンズである第4レンズ群L4と固定レンズである第3レンズ群L3との間にメカニカルシャッタSHが組み込まれる。
こうして第2〜第5までのレンズ群L2〜L5がそれぞれ鏡胴ユニットホルダUH内に組み込まれた後、引っ張りバネ101A,101Bによって1群枠F1と鏡胴ユニットホルダUHを締結する。予め1群枠F1に接着剤で貼着しておいたナットN1,N1にビスB1,B1を螺合させ、ビスB1,B1を進退させることによって鏡胴ユニットホルダUHに対する1群枠F1の位置調整を行なう。
さらに前カバーCOV1と後カバーCOV2が被せられて鏡胴ユニット10が組立てられる。なお、図2にはカバーの表面を覆うように配設される配線用のメインフレキシブル基板MFLも示されている。
次に図3を参照して上記鏡胴ユニット10に連結される防振ユニット11の構成を説明する。
図3は、図1のデジタルカメラ内部に搭載されている防振ユニット11の分解図である。
図3の防振ユニット11は、図2に示す鏡胴ユニット10と結合し、鏡胴ユニット10内の屈曲光学系による被写体光の結像を受けて被写体を表わす画像信号を生成する撮像素子110(ここではCCD固体撮像素子が用いられているので以降においてはCCDという)を備えてCCD110を移動させることにより画像信号上のブレを抑える防振ユニット11である。
図3の中央上側には、防振ユニット11の筐体である防振ユニットホルダUH2が示されており、その防振ユニットホルダUH2内に、撮像素子ホルダ111と、その撮像素子ホルダ111をY方向に移動させるY駆動部116Aと、その撮像素子ホルダ111をY方向に移動自在に支持するとともにX方向に自在に移動するスライダSLと、そのスライダSLを撮像素子ホルダ111とともにX方向に移動させるX駆動部116Bとがそれぞれ組み込まれる。撮像素子ホルダ111をX方向に移動させるためのスライダSLは、撮像素子ホルダ111の上方(Z方向)であって鏡胴ユニットホルダUH(図2参照)に近い位置に、撮像素子ホルダ111に対して第2の光軸つまりZ方向に重なる様に配置されるとともにX方向に沿って配設される。
本実施形態においては、前述した様に、Y方向の長さの短縮化を図るとともにZ方向の長さの短縮化を図るために、防振ユニットホルダUH2の構造に工夫を凝らしているので、その構造を説明する。
まず、Z方向の寸法の短縮化を図るための構造を説明する。
図2のところで説明した様に鏡胴ユニットホルダUHからは防振ユニットホルダUH2側に第5レンズ群L5を突出させてあるので、防振ユニット側の防振ユニットホルダUH2とスライダSLとには、その第5レンズ群L5を受け入れる開口がそれぞれ設けられている。
図3に示す様に防振ユニットホルダUH2は、鏡胴ユニット10側に、スライダSLが直接に鏡胴ユニット10に面するように広がった開口AP1を有し、スライダSLは、撮像素子ホルダ111よりも鏡胴ユニット10側に配置され、屈曲光学系を構成する、光学部品(この例では第5レンズ群L5)の鏡胴ユニットホルダUH(図2参照)から突出した部分を受け入れる開口AP2を有する。このため、鏡胴ユニットホルダUHの最下面と防振ユニットUH2の最上面とを接するように配置して鏡胴ユニット側の第5レンズ群L5が、変倍時に撮像素子側に移動した際には第5レンズ群L5がスライダSLの開口AP2内に進入することで鏡胴ユニット10と防振ユニット11のZ方向の寸法を小さく構成することができる。
ここで図3のスライダSLは、Y方向とZ方向との双方に垂直なX方向に延びて防振ユニットホルダUH2に圧入固定される2本のXガイド軸G5,G6に支持されそのX方向に移動自在なものであって、撮像素子ホルダ111は、Y方向に延びてスライダSLに支持される2本のYガイド軸G7,G8を有しそのY方向にYガイド軸G7,G8と共に移動自在なものである。その撮像素子ホルダ111には、CCD110の受光側前面縁部が当て付けられる前面当付面を有する撮像素子ホルダ本体1111と、図3においてはその撮像素子ホルダ本体1111の下方に示されている、CCD裏面側を弾性的に押圧するバネ部材1112とが備えられている。さらに撮像素子ホルダ111は、撮像素子ホルダ本体1111の、CCD110の裏面側に配置されて撮像素子ホルダ本体1111にバネ部材1112を固定するとともに、そのバネ部材1112の、CCD110の裏面側の押圧部分を露出する開口が形成されたCCDプレート113を有する。このCCDプレート113には、上記バネ部材1112を表面に露出する開口113Aが設けられている。
また、図3の最下方には、鏡胴ユニット10と防振ユニット11を連結するための板金部材114が示されている。本実施形態では、前述した様に鏡胴ユニット10と防振ユニット11を結合させたときのZ方向の長さの短縮化を図るために、防振ユニットホルダUH2の表面にフィットする板金部材114を使って鏡胴ユニット10と防振ユニット11を結合させることができるようにしている。この板金部材114を用いるとネジなどの締結部材を使う必要がなくなってZ方向の寸法の更なる短縮化を図ることができる。
次に、前述のY方向の短縮化を図るために防振ユニット11にどのような工夫が凝らされているかを説明する。
本実施形態においては、撮像素子ホルダ111をY方向に移動させるY駆動部116Aが、撮像素子ホルダ111のX方向に配置され、撮像素子ホルダ111とともにその撮像素子の上方のスライダSLをX方向に移動させるX駆動部116BがそのY駆動部116AのX方向に並ぶ位置に配置されることによりY方向の寸法の短縮化が図られるように構成されている。
このX駆動部116Bは、第1のマグネットMAG1と、電源の供給を受けその第1のマグネットMAG1との相互作用によりスライダSLをX方向に駆動する力を発生する第1のコイルが形成された第1のコイル基板CL1とを有し、上記Y駆動部116Aは、第2のマグネットMAG2と、電源の供給を受けその第2のマグネットMAG2との相互作用により撮像素子ホルダ111をY方向に駆動する力を発生する第2のコイルが形成された第2のコイル基板CL2とを有する。また、双方の駆動部とも、漏れ磁束を軽減するためにヨークY11,Y12、Y21,Y22が2枚づつ設けられている。
また本実施形態では、第1のコイル基板CL1と第2のコイル基板CL2との間の電磁干渉を防止するために、第1のコイル基板CL1と第2のコイル基板CL2とのうちの一方のコイル基板CL1がY方向を向いた基板であり他方のコイル基板CL2がZ方向を向いた基板になるように配設される構成になっている。
このように、X方向に並べてX駆動部116BとY駆動部116Aが配置されると、X駆動部116Bを撮像素子ホルダ111のY方向に配設する必要がなくなるので従来に比べてY方向の寸法の短縮化を図ることが可能となる。
次に、CCD110の再利用を図ることができるようにするためにどのような工夫が凝らされているかを説明する。
前述した様に、本実施形態においては撮像素子であるCCD110が非常に高価であることを考慮して、組立不良等が出たときにCCD110が使用可能な状態である限りにおいてはそのCCD110を取り外して再利用することができるようにしている。
CCD110が基板(この例ではフレキシブル基板)FL1に搭載され、その基板FL1の、その基板FL1を挟んでそのCCD110と重なる部分に接着シート112が接着されるように構成されている。つまり図3の下方に示されているバネ部材1112が、CCD110を、接着シート112および基板FL1を介して押圧することにより撮像素子ホルダ本体1111の前面当付面1111DにCCD110を押し付けた状態のままバネ部材1112が接着シート112に接着剤で固定されるように構成されている。そのバネ部材1112は、CCDプレート113によって撮像素子ホルダ1111に固定されており、そのCCDプレート113には、撮像素子ホルダ111の裏面側に設けられる上記バネ部材1112でCCD110の裏面側を押圧する部分に開口113Aが形成されている。したがってその開口113Aの部分に接着剤が流し込まれると、バネ部材1112が基板FL1の裏面側の接着シート112に接着固定されることによりCCD110が撮像素子ホルダ111に固定されることになる。
こうして接着シート112にバネ部材1112が接着剤で接着固定されることによりCCD110が撮像素子ホルダ111内に装着される構成であると、組立に不具合があった時などには接着シート112を取り外すことによりCCD110を基板FL1とともに無傷のまま取り外すことができるので、取り外したCCD110を別の製品の組立において再利用することができる。
さらに、詳細は後述するが、本実施形態では、撮像素子ホルダ111の移動中のがたつきを抑えるために、撮像素子ホルダ111を防振ユニットホルダUH2が備えるバネ部材115(図3の一番上)でZ方向下方に押圧することで、撮像素子ホルダ111に設けられたガイド軸G7,G8を、スライダSLに設けられている係合孔の下方に片寄せすることができるようにしている。この例では図3の最上方に示されているT字状のバネ部材115の先端115Aが、撮像素子ホルダ本体1111に備えられる球体BA1を押圧することにより撮像素子ホルダ111の移動中のガタツキを抑える構成になっている。
なお、CCD110の前面にはLPF(Low Pass Filter)117が装着される構成になっており、図3にはそのLPF117を構成する部品が多数図示されている。
以上説明した鏡胴ユニット10と防振ユニット11が上記板金部材114によって結合されると、図4、図5、図6に示すようにZ方向の長さとY方向の長さが短縮された、本発明にいう撮影ユニットが組立てられる。
図4は、鏡胴ユニットホルダUHと防振ユニットホルダUH2とが板金部材114によって結合された撮影ユニット1Aを示す図であり、図5は、図4の撮影ユニット1Aを、X方向に平行な切断線でZ方向に沿って切断し切断した面を正面から見た断面図である。また図6は、図4の撮影ユニット1Aのカバーを外して図5に示す各部材のうちの第2レンズ群L2と第5レンズ群L5とズームモータZMとの関わりを示す部材、第4レンズ群L4とフォーカスモータFMの関わりを示す部材を抜き出した図である。
図4、図5、図6を参照して撮影ユニット1Aの構成を説明する。
図2に示す各部材が鏡胴ユニットホルダUH内部に組み込まれた鏡胴ユニット10が、図3に示す各部材が防振ユニットホルダUH2内部に組み込まれた防振ユニット11に板金部材114により結合されると、図4、図5に示す撮影ユニット1Aになる。
図4、図5を参照して撮影ユニット1Aの構成を簡単に説明する。
図4に示す撮影ユニット1Aが備える鏡胴ユニットは、第1レンズ群L1が組み込まれた1群枠F1が、その鏡胴ユニット10の、防振ユニット11側とは反対側に連結され、その1群枠F1の隣にズームモータZMが組み込まれた状態で防振ユニット11に連結されている。また図2に示す鏡胴ユニットホルダUHは防振ユニット11の右下方のところまで延びて構成されており、その部分にはフォーカスモータFMが組み込まれている。
また、図5に示す様に、鏡胴ユニットの筐体である鏡胴ユニットホルダUHの内部には、ズームレンズを構成する第2レンズ群L2が組み込まれ、その第2レンズ群L2の下方には間隔を空けて固定レンズである第3レンズ群L3が組み込まれている。この3群枠F3には、前述した様に操作片OPが設けられていてその操作片OP(図4参照)が外部から操作されることにより、上記1群枠を連結するときのビスB1とあわせて第2の光軸側の光学部品の光軸調整が行なわれる構成になっている。
さらに図5に示す様に、鏡胴ユニットホルダUH内にはフォーカスレンズである第4レンズ群L4が組み込まれ、さらにその第4レンズ群L4の下方に第2レンズ群L2とともにズームレンズを構成する第5レンズ群L5が組み込まれている。また、固定レンズである第3レンズ群L3とフォーカスレンズである第4レンズ群L4との間にはメカニカルシャッタSHが組み込まれている。
一方、鏡胴ユニットホルダUH内の屈曲光学系の側方には、上述のズーム機構が組み込まれ、そのズーム機構中の円筒カムC1に2群枠F2と5群枠F5に設けられているカムピンCP1,CP2(図2参照)がそれぞれ係合するように構成されている。つまり、ズームモータZMの回転に応じて円筒カムC1が回転してカムピンCP1,CP2がZ方向にそれぞれ移動することにより第2レンズ群L2と第5レンズ群L5との間隔が調整され焦点距離が調整される。
また、図5の右斜め最下方に示されているフォーカスモータFMにフォーカスキャリッジCRを介して連結されている4群枠F4も第2の光軸(Z方向)に沿って移動するように構成されている。
また、鏡胴ユニットホルダUHから変倍時に突出する第5レンズ群L5が防振ユニットホルダUH2の開口AP1を通してスライダSLの開口AP2に収まるように配設されている。スライダSLのX方向の端部には、X駆動部116B(図5にはヨークY11のみが示されている)が備えられており、そのX駆動部116BによってスライダSLが撮像素子ホルダ111と共にX方向に駆動される。一方、撮像素子ホルダ111には、2本のYガイド軸G7,G8が圧入固定されると共に、X方向に移動するスライダSLが2本のYガイド軸G7,G8をY方向に移動自在に支持することにより撮像素子ホルダ111はY駆動部116AによってY方向に駆動される。CCD110から引き出されているフレキシブル基板FL1には防振ユニット内の僅かな空きスペースにスリットを有する撓みが形成されるように配線されているので、その撓みによって撮像素子ホルダ111がスライダSLとともにX方向に移動することが許容され、さらに撓みのスリット(不図示)によって撮像素子ホルダ111がY方向に移動することが許容される。
ここで、第2レンズ群L2と第5レンズ群L5とズームモータZMとの関わり、第4レンズ群L4とフォーカスモータFMの関わりを図6を参照してもう少し分かり易く説明する。
図6に示す様に、第2レンズ群L2を保持する2群枠F2に備えられているカムピンCP1と第5レンズ群L5を保持する5群枠F5に備えられているカムピンCP2が、それぞれ円筒カムC1に係合している。この円筒カムC1に設けられているカム溝は、第2レンズ群側のカムピンCP1が係合する部分のピッチと第5レンズ群側のカムピンCP2が係合する部分のピッチが異なっており、回転によりそれらのピッチに沿ってそれぞれ第2レンズ群L2と第5レンズ群L5とが移動することにより相互間隔が調整され焦点距離が調整される。このときの双方のレンズ群L2,L5の動きが円滑になるように2本のガイド軸G1,G2がZ方向(第2の光軸)に沿って延びて設けられており、それらのガイド軸に2群枠、5群枠の係合部K1〜K4がそれぞれ係合されて安定した姿勢で2群枠F2、5群枠F5がそれぞれ移動するように構成されている。
また、フォーカスレンズである第4レンズ群L4を保持する4群枠F4は、リードスクリューLSにキャリッジCRが係合してZ方向に移動するよう構成されている。このときには安定した姿勢で移動することができるように2本のガイド軸G3,G4によって4群枠が各々ガイドされている。このようにズームレンズ、フォーカスレンズといった可動レンズ群が、移動自在にコンパクトに鏡胴ユニットホルダUH内に収容される。
ここで、前述した様に、本実施形態では、図1の鏡胴ユニット10と防振ユニット11のZ方向の長さを短くすることができるようにするために、鏡胴ユニット側の第5レンズ群L5を鏡胴ユニット10から突出させるとともに防振ユニット11側にその第5レンズ群L5を受け入れる開口AP1,AP2を設けて双方を合わせることで鏡胴ユニット10と防振ユニット11を容易に結合させることができるようにしているので、その構成を抜き出して説明しておく。
図7は、鏡胴ユニットホルダと防振ユニットの連結部の構成を説明する図である。
図7には、防振ユニット11をX方向の平行な線でZ方向に沿って切断し切断した面を見た断面図が示されている。
本実施形態においては、図7に示す様に、スライダSLを防振ユニット11に配備しておいて、Y方向についてはY駆動部で直接撮像素子ホルダ111をY方向に移動させ、X方向については上記スライダSLをX方向に移動させることによりそのスライダSLとともに撮像素子ホルダ111をX方向に移動させる構成を採用している。この構成にすると、Z方向つまり鏡胴ユニット10から突出した光学部品の第2の光軸(Z方向)に沿って撮像素子ホルダ111とスライダSLとを並べて配置することができる。
そこで、上記防振ユニット11が備える上記スライダSLに開口AP2を設けてそのスライダAP2を上記撮像素子ホルダ111よりも上記鏡胴ユニット10側に配置して上記鏡胴ユニットホルダ10(図5参照)から突出した部分をそのスライダSLの開口で受け入れることによって変倍時に光学部品が撮像素子側に移動した際には撮像素子110の光軸上に光学部品(第5レンズ群L5)を位置させることができるようにしている。
次に、防振ユニット11内の撮像素子ホルダ111の移動中のがたつきが抑制されるようにその撮像素子ホルダ111が防振ユニットホルダUH2にどのようにして支持されるかと、X駆動部116BとY駆動部116Aとがどのようにして防振ユニットホルダUH2内のX方向に並べられて組み込まれるかを説明する。
まず、図8〜図10を参照して防振ユニット11の内部構成を説明しながら、どのようにしてX駆動部116BとY駆動部116Aとがどのようにして防振ユニットホルダUH2内のX方向に並べられて組み込まれるかを説明し、その後、撮像素子の移動中のがたつきがどのようにして抑制されるかを説明する。
図8は、防振ユニット11が組立てられた後の状態を斜め上方から見た斜視図であり、図9は、防振ユニット11の筐体である防振ユニットホルダUH2とその防振ユニットホルダUH2が備えるバネ部材115を外して内部を見た図である。また図10は図8の防振ユニット11をX方向に平行な線でZ方向に沿って切断し切断した面を正面から見た断面図である。
まず図8から図10を参照してどのようにしてX駆動部とY駆動部とが並べて組み込まれるかを説明する。
図8から図10の上側が鏡胴ユニット側になる。
今まで説明してきた様に本実施形態においてはX駆動部116BとY駆動部116AとをX方向に並べて配置してY駆動部116Aで撮像素子ホルダ本体1111をY方向に移動させるとともに、X駆動部116Bで撮像素子ホルダ本体1111の上方に配置されたスライダSLをX方向に駆動することにより間接的にCCD110をX方向に移動させる構成を採用している。
いままでは、X駆動部とY駆動部とをそれぞれ撮像素子ホルダ111のY方向、X方向に並ぶ位置に設けていたのでどうしてもX駆動部をCCDのY方向に配設しなければならなかったが、上記構成を採用すると図8から図10に示す様に、CCDを保持する撮像素子ホルダ111の上方に、X方向に延びるようにしてスライダSLを配設してそのスライダSLの下方に、まず撮像素子ホルダ111を駆動するY駆動部を配設し、そのY駆動部116AのX方向に並ぶ位置にX駆動部116Bを配設することが可能となる。
次に防振ユニット11内の撮像素子ホルダ111がどのようにしてがたつきなく支持されるかを説明する。
本実施形態では、上記した様に撮像素子ホルダ本体1111とスライダSLとをZ方向に並べて配置して防振ユニットホルダUH2に図8に示すバネ部材115を設けてそのバネ部材115でスライダの下方にある撮像素子ホルダ本体1111が備える球体BA1(図9参照)を下方に押圧することで撮像素子ホルダ111の移動中のガタツキを抑える構成を提案している。
つまり、図10に示す様に、上記防振ユニットホルダUH2に支持された上記バネ部材115で上記撮像素子ホルダ111が備える球体BA1をZ方向下方に押圧して撮像素子ホルダの移動中のがたつきをバネ部材115で抑えることができるようにしている。このときには、2本のYガイド軸G7,G8と、さらにスライダSLをガイドする2本のXガイド軸G5,G6によって囲まれる範囲であって撮像素子ホルダ111全体をユニットホルダUH2内の下方に効率よく押し下げることができるところに配設された球体BA1を上記バネ部材115で押圧して撮像素子ホルダ本体1111のYガイド軸G7,G8を図10に示す、スライダSLに設けられたガイド孔H1,ガイドフォークH2の下方に片寄せした状態にすることで、撮像素子ホルダ本体1111の移動中のガタツキをそのバネ部材115で弾力的に抑えることができるようにしている。
このため、撮像素子ホルダ111がスライダSLに対して移動しているときのがたつきが抑えられるとともに、スライダSLが防振ユニットホルダUH2に対して移動しているときのがたつきも同様に抑えられる。
また、撮像素子ホルダ111をバネ部材115で下方に付勢することにより、Yガイド軸G7,G8を介してスライダSLが下方に付勢されると、Xガイド軸G5,G6が挿通されるスライダSLの係合穴を、防振ユニットホルダUH2に固着されたXガイド軸G5,G6の上方に片寄せした状態にすることができる。
このため、撮像素子ホルダ111がX方向及びY方向に移動する際のがたつきが防止される。
さらに本実施形態においては、上記バネ部材115で上記撮像素子ホルダ111が備える上記球体BA1を押圧する構成にすることで撮像素子ホルダ111がX方向及びY方向に移動しているときの、上記バネ部材115と球体BA1との間の摺動抵抗を小さくすることも行なっている。なお本実施形態では、上記バネ部材115で球体BA1を押圧する方向を、図3〜図10に示す防振ユニット11をデジタルカメラ等に配備したときにそのデジタルカメラ等を通常構える姿勢に沿う方向にしてある。
ところで、本実施形態においてはX駆動部116BとY駆動部116Aそれぞれに駆動源としてボイスコイルモータが用いられているので、X駆動部116BとY駆動部116Aとを並べて配設するにあたっては電磁干渉が起こらないようにX駆動部116BとY駆動部116Aを配設する向きにも工夫を凝らしている。、
図11〜図15は、X駆動部116BとY駆動部116Aの内部の構成、および双方に配備されるコイル基板を含めた各部材の向きの違いを示す図である。
図11は、図9の側面図であり、図12は、図9のX駆動部を外して内部を見た図であり、図13は、図11の防振ユニットを図11の左側から見た図であり、図14は、図11のY駆動部116の部分をY方向に平行な線でZ方向に沿って切断し切断した面を正面から見た図である。図15は、図11の図を上側から見た図である。
図11に示す様に、防振ユニットホルダUH2(図8参照)に支持されているガイド軸G5,G6に沿ってスライダSLが、撮像素子ホルダ本体1111とY駆動部116Aの上方のX方向に延びて配設されておりその先端はX駆動部116Bに達している。なお図11にはX駆動部116BのヨークY11のみが示されている。
また図11、図12に示す様に、そのX駆動部116BのX方向に並ぶ位置であって撮像素子ホルダ本体側にあるY駆動部116Aが、コイル基板CL2を介して撮像素子ホルダ本体1111に連結されている。この撮像素子ホルダ本体1111は、スライダSLに支持されたYガイド軸G7,G8によってY方向に移動自在に支持されている。撮像素子ホルダとY駆動部の関係を明確にするために、図12には撮像素子ホルダが備える撮像素子ホルダ本体1111と、バネ部材1112と、CCDプレート113の位置関係が示されている。
このY駆動部116Aには、本発明にいう、第2のマグネットMAG2と電流の供給を受け第2のマグネットMAG2との相互作用により撮像素子ホルダ111をY方向に駆動する力を発生する第2のコイルが形成された第2のコイル基板CL2とが備えられている。さらにこの第2のコイル基板CL2には、位置を検出することができるようにするためにホール素子DET2(不図示)も配備されている。
また、図13、図14に示す様に、X駆動部116Bには、本発明にいう、第1のマグネットMAG1と電流の供給を受け第1のマグネットMAG1との相互作用により撮像素子ホルダ111をX方向に駆動する力を発生する第1のコイルが形成された第1のコイル基板CL1とが備えられている。この第1のコイル基板CL1がスライダSLに連結されている。なお、この第1のコイル基板CL1にも位置を検出することができるようにするためにホール素子DET1(不図示)が配備されている。図11〜図14の構成であると、第2のコイルに電流が流されると、フレミングの左手の法則にしたがって第2のコイル基板CL2がY方向に移動して撮像素子ホルダ111がY方向に移動し、第1のコイルに電流が流されると、フレミングの左手の法則にしたがって第1のコイル基板CL1がX方向に移動してスライダSLとともに撮像素子ホルダ111がX方向に移動する。
このようにコイル基板CL1,CL2とマグネットMAG1,MAG2とが各々磁力で結合する構成になっているため、本実施形態においては、図14、図15に示す様に、第1のコイル基板CL1と第2のコイル基板CL2とのうちの一方のコイル基板CL2をZ方向を向いた基板にして他方のコイル基板CL1をY方向を向いた基板にしてある。このようにすると、第1のコイル基板CL1と第2のコイル基板CL2とが互いに電磁干渉を受け難くなる。
次に鏡胴ユニットホルダUHと防振ユニットホルダUH2とを連結するための板金部材114の構成を説明する。
前述した様に、本実施形態においては、防振ユニット11の、鏡胴ユニット10と結合する第1面とは反対側の第2面を覆って広がり鏡胴ユニットホルダUHに係止されることにより鏡胴ユニット10と防振ユニット11とを結合させる板金部材114を設けて、鏡胴ユニットホルダUHと防振ユニットホルダUH2を結合させしたときの撮影ユニット1AのZ方向の長さをさらに短くすることができるようにしている。
図16は、板金部材114の構造を説明する図であり、図17は、その板金部材114を使って防振ユニットホルダUH2と鏡胴ユニットホルダUHを結合させた後の撮影ユニット1Aを斜め上方から見た斜視図である。図18は、図17の撮影ユニットを正面から見た図であり、図19は、図17の撮影ユニットを背面から見た図である。
図16に示す板金部材114が、図17に示す様に、防振ユニット11の、鏡胴ユニット10と結合する第1面(図17に示す符号Jの面)とは反対側の第2面を覆って広がり鏡胴ユニットホルダUHに係止されることにより鏡胴ユニット10と防振ユニット11とを結合させている。このときに板金部材114は、鏡胴ユニット10に3点で係止される。
本実施形態では板金部材114のX方向の両端部に3箇所の係止部1141,1142,1143をそれぞれ設けてそれらの係止部1141,1142,1143にそれぞれ弾力性を持たせておいて、その板金部材114を、鏡胴ユニット10と結合する第1面とは反対の側の第2面を覆うように配設して板金部材114の厚み以上の高さをZ方向に生じさせないようにしている。
図16に示す様に、図16の左端の係止部1141には、図16のやや下向きの方向に向く折曲部1141hが設けられその折曲部1141hに鏡胴ユニットホルダUHに設けられている突起部P1(図17参照)が係止され、右端の2つの係止部1142,1143には図16の右側に向けて張り出し、張り出している途中でZ方向に立ち上がる2つの立上部が設けられてその立上部に鏡胴ユニットホルダUHの突起部P2,P3に係止される係止用の穴1142h,1143hがそれぞれ設けられている。
図17から図19には、板金部材114が用いられて連結された後の防振ユニット11と鏡胴ユニット10の状態が示されている。図17には、斜め上方から見た斜視図が示されており、図18には図17の正面図、図19には図17の背面図がそれぞれ示されている。
図17〜図19に示す様に、鏡胴ユニット側の突起部P1に係止部の折曲部1141hが係合し、突起部P2〜P3に、係止部の穴1142h,1143hがそれぞれ嵌め込まれて係止されている。
図17〜図19からも分かるように3点で係止されると、鏡胴ユニット10と結合する第1の面とは反対の側の防振ユニット11の第2面を覆っている板金部材114の面が第2面にピタリとフィットしてZ方向に余計な寸法を生じさせずに鏡胴ユニット10と防振ユニット11を隙間なく結合させることができる。
また、このようにすると防振ユニット10と鏡胴ユニット11を結合させるときにネジを使う必要がなくなってZ方向の長さをより短くすることができる。
前述した様に、図2で説明した1群レンズ枠F1を鏡胴ユニットホルダUHに取り付けるときのビスB1の締め付け具合と、3群レンズ枠F3に備えられている操作片OPとで光軸が調整された鏡胴ユニット10が、板金部材114によって防振ユニット11に結合された状態で防振ユニット11の位置調整が行なわれた後、3つの係止部1141〜1143,P1〜P3が接着剤でそれぞれ接着固定されて組立が完了する。
最後に、本実施形態においては撮像素子ホルダ111の周辺の部分の構造に工夫を凝らしてコストダウンを図っているので、そのコストダウンを図るための構造も説明しておく。
図20〜図24が、その改善点を説明する図である。
撮像素子ホルダ本体1111にバネ部材を設けて図21の側面当付面1111A〜1111Cのある側に付勢する構造を採ることも考えられるが、撮像素子ホルダ周辺の部品点数が増大してコスト高になるという問題が発生する。また撮像素子ホルダ本体1111にバネ部材を一体に形成することも可能であるが、この場合は撮像素子ホルダ本体1111が大きくなってしまう。そこで本実施形態ではバネ部材を廃止して図21に示す様に組立治具でCCD110を側面当付面1111A〜1111Cに押し付ける構造にすることで製品のコストダウンを図ること及び、撮像素子ホルダ本体1111の小型化に成功している。
また、前述した様に撮像素子であるCCD110が非常に高価であることを考慮して、CCD110を撮像素子ホルダ111に組み込む工程以降の組立工程で組立不良等が出たときには、CCD110を取り外して再利用することができるようにもしている。
図20から図24を参照してどのようにして当付用のバネ部材を廃止したかと、CCDを再利用することができるようにしたかを説明する。
図20は、CCD110が撮像素子ホルダ111に装着された後の状態を示す背面側から見た断面図である。また図21は、CCD110を撮像素子ホルダ111に装着するときの状態を説明するための上方から見た断面図であり、図22は、CCD110が装着された撮像素子ホルダ111を斜め上方から見た図である。また、図23は、CCD110とCCD110が搭載された基板FL1の構成を示す図であり、図24は、図20のようにCCD110を撮像素子ホルダ111に装着した後、CCD110の裏面側から接着が行なわれることを説明する図である。
撮像素子ホルダ本体1111には、図20に示す様にCCD110の受光側前面縁部が当て付けられる前面当付面1111D(図3参照)と、図21に示す様にそのCCD110の、第1の角部の対角に隣接する2つの側面が当て付けられる側面当付面1111A〜1111Cが備えられており、さらに撮像素子ホルダ本体1111には、図21、図22に示す様に第1の角部の対角にある第2の角部を露出させた部分Eが設けられている。
撮像素子ホルダを大きめにして何点かのバネ部材を挿設して側面当付面に当てつけることも考えられるが、本実施形態ではそれらのバネ部材を廃止して露出させた部分Eに組立治具を挿入してCCD110が撮像素子ホルダ111の側面当付面に押し付けながら装着して撮像素子ホルダ111内にCCD110を組み込むことができるようにしている。
さらに図23に示す様にCCD110が予め基板FL1に搭載されたものが用いられることを考慮して、その基板FL1の、その基板FL1を挟んでCCD110と重なる部分に接着シート112を接着しておく。
ここで、図3及び図20を参照して、撮像素子ホルダに撮像素子を固定する方法について説明する。
まず、撮像素子ホルダ本体1111にCCD110を組み込む。次にCCD110を保持するために、撮像素子ホルダ本体1111にバネ部材1112及びCCDプレート113を順に組み込む。この際、撮像素子ホルダ本体1111の下面に形成されたボス(不図示)に、バネ部材1112に形成された穴11121h及びCCDプレート113に形成された穴1131hが嵌入されるとともに、撮像素子ホルダ本体1111の下面に形成されたネジ穴(不図示)に、バネ部材1112に形成された穴11122h及びCCDプレート113に形成された穴1132hを挿通してビスB2が螺着される。
このようにして、バネ部材1112を使って、CCD110を、接着シートおよび基板FL1を介して押圧して撮像素子ホルダ本体1111の前面当付面1111Dに当て付けることによりCCD110を撮像素子ホルダ本体1111に装着する。この状態では、CCD110は撮像面に直交する方向の位置が拘束されているが、撮像面に平行な方向にはバネ部材に付勢されながらも、移動可能である。
次に、前述のように、撮像素子ホルダ本体1111を形成された切り欠き露出部分Eから組み立て治具を挿入して、CCD110を側面当付面111A〜111Cに当て付けた状態に保持する。この状態で、図24に示す様に接着シート112とバネ部材1112を接着剤で固定する。このようにしてCCD110を撮像素子ホルダ本体1111に対して位置決めする。
次に、基板FL1を図23に示す様に、折り曲げた状態でCCDプレート113に固定する。フレキシブル基板FL1には穴FL11hと穴FL12hが形成されている。CCDプレート113に形成されたネジ穴1133hに、ビスB3を、穴FL11hとスペーサSPを挿通するようにして螺着する。またCCDプレート113に形成されたネジ穴1134hに、ビスB4を、穴FL12hを挿通するようにして螺着する。スペーサSPは、基板FL1の図23のコの字形状を保つために装着される。なお、CCDプレート113は、ネジ穴1134h側で、下側に段差を持つように折り曲げ形成されているため、ネジ穴1134hにはスペーサを用いていない。
また前述した様に、フレキシブル基板FL1には撮像素子ホルダを移動させるときに加えられるストレスを低減するために撓みQとスリットSLが設けられている。
このようにすると、撮像素子ホルダ111内の側面当付面1111A〜1111Cに当て付けるためのバネ部材を廃止することができるとともに、CCD110を撮像素子ホルダ111の前面当付面1111Dに押圧するバネ部材1112を接着シート112に接着剤で接着することでCCD110を撮像素子ホルダ111内に接着固定することができるので、バネ部材を廃止した分のコストダウンを図ることができる。
またバネ部材を挿設するためのスペースを撮像素子ホルダ内に設ける必要がなくなるので撮像素子ホルダ111を従来よりも小さくすることができ、その撮像素子ホルダの形状をCCDの外形にフィットさせることができるという波及効果も得られる。さらに撮像素子を撮像素子ホルダに固定した後の工程で組立不良が起きたときには、接着シートを取り外すことにより無傷のままCCDを取り外すことができ、取り外したCCDを別の製品の組立に再利用することができる。
また、前述した様に図1〜図24の実施形態では本発明にいう第1の方向をX方向とし、本発明にいう第2の方向をY方向として本発明にいう第1駆動部の一例がX駆動部で構成され本発明にいう第2駆動部の一例がY駆動部で構成される例を示したが、本発明にいう第1の方向をY方向とし、本発明にいう第2の方向をX方向として本発明にいう第1駆動部の一例がY駆動部で構成され本発明にいう第2駆動部の一例がX駆動部で構成しても良い。
図25は、防振ユニットの別の構成を説明する図である。
図25(a)には、防振ユニットの外観が示されており、図25(b)には、防振ユニットホルダUH2P内のスライダSLPの構成が示されており、図25(c)には、そのスライダSLPの側面図が示されている。
図25(a)〜図25(c)に示すスライダSLPは、防振ユニット11Pが備える防振ユニットホルダUH2P内にY方向に移動自在に支持されており、そのスライダSLPをY方向に駆動するY駆動部116Cが図25(b)、図25(c)に示す防振ユニット11Pの左端部に配備されている。そのY駆動部116Cは、マグネットMAG3とヨークY31とコイルCL3とヨークY32とからなるボイスコイルモータで構成されている。また、そのY駆動部116Cと撮像素子ホルダ111Pとの間に、スライダSLPにX方向に移動自在に支持されている撮像素子ホルダ111PをX方向に駆動するX駆動部116Dが配備されている。このX駆動部116Dは、マグネットMAG4とヨークY41とコイルCL4とヨークY42とからなるボイスコイルモータで構成されている。
このようにして防振ユニットホルダUH2P内のX方向に並ぶ位置に、本発明にいう第1駆動部の一例を構成するY駆動部116Cと、本発明にいう第2駆動部の一例を構成するX駆動部116Dとを図25(b)、図25(c)に示す様に配置しても防振ユニットホルダUH2PのY方向の寸法の短縮化を図ることができる。
以上説明した様に、屈曲光学系を備えて小型・薄型化を図るとともに、撮像素子を、小型化を妨げずに正しい位置に容易に位置規制する機構を備えた防振ユニット、その防振ユニットを備えた撮影ユニット、およびその撮影ユニットを備えた撮影装置が実現する。