JP2009085290A - 曲面シール構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】曲面シール構造において、略円筒形状を有する流体制御部品が嵌合する略半円筒形状を有する凹曲面を有するブロックにおいて、シール性を確実に保持することができ、生産効率が高く低コストで製造することができること。
【解決手段】ブロック11は、ガラス繊維を含有したPPSからなるブロック13と、ポリエステル系熱可塑性エラストマーからなる曲面シール構造12とを、二色成形法によって射出成形してなる。曲面シール構造12は、ポリエステル系熱可塑性エラストマーからなるため弾力性及び復元性に優れており、ブロック13の略半円筒形状を有する凹曲面14に略円筒形状を有する流体制御部品が嵌合すると、略円筒形状の外周面によって押圧され、曲面シール構造12のシール部分12aは傾斜した断面形状(リップ形状)を有するため、リップ形状のセルフシール効果によって開口部15の周囲に亘って流体制御部品の外周面に密着する。
【選択図】図4

Description

本発明は、開口部が形成された凹曲面を開口部のシール性を保持しながら密閉するための曲面シール構造に関し、特に、簡単な構造で容易に製造することができて、かつ、高いシール性を確保することができる曲面シール構造に関するものである。
近年、地球温暖化の抑制と地球環境の保護を究極の目標とした自動車の燃費の向上を主目的として、自動車の軽量化の動きが加速している。その一例として、特許文献1に示されるように、エンジン近傍のシリンダヘッドカバーを樹脂製とすることによって、自動車を軽量化するという試みがなされている。
このようなシリンダヘッドカバーにおいては、耐熱性が要求されることは言うまでもなく、加えてシリンダヘッドカバーにはオイルコントロールバルブが取付けられることから耐油性が要求され、更にオイル漏れを防止するために、バルブ等で使われる一般的なはめあい公差(JIS−B−0401はめあい公差H6〜H7)が必要とされる。しかし、耐熱性樹脂を通常の射出成形法で成形するだけでは、耐熱性樹脂の熱膨張率が大きいため射出成形時にヒケを生じて、このような高い寸法精度を得ることはできなかった。
そこで、特許文献1においては、内部空間にオイルコントロールバルブを装着する装着穴を有するスリーブを、樹脂製シリンダヘッドカバー本体を形成する樹脂よりも高剛性の材料で形成し、樹脂製シリンダヘッドカバー本体との間でかかるスリーブを挟んで固定する樹脂製キャップを備えた樹脂製シリンダヘッドカバーの発明について開示している。これによって、高い加工精度が必要なのはスリーブの装着穴のみとなるため、高精度の加工による負担が軽減され、低コストで製造でき、スリーブが高剛性の材料からなるため、樹脂製シリンダヘッドカバー本体の変形や歪みの影響も及び難いとしている。
特開2006−046083号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術においては、スリーブの装着穴について高精度の加工が必要となり、スリーブが金属製の場合には加工の負担は決して小さくなく、またスリーブが樹脂製の場合には、装着穴の寸法精度について±10μm以内の高い寸法精度が要求されるが、そのような高い寸法精度を達成できるのはせいぜい軸方向に10mm以内までと考えられるため、軸方向に流体制御部品を挿入する方式でシール性を確保できる長さには限界があった。
更に、バルブを始めとする流体制御部品の大きさ・形状は様々であり、長さが100mmを超えるものや、断面形状が円形ではないもの、またセット方法が複雑で一点を中心に放射状に配置されるものや、互い違いに配置されているもの等もあり、これらの流体制御部品を全て考慮した場合には、上記特許文献1に記載された技術では対応できないという問題点があった。
そこで、本発明においては、流体制御部品を始めとする種々の部品を保持する凹曲面を有するブロック等において、シール性を確実に保持することができ、生産効率が高く低コストで製造することができる曲面シール構造の提供を課題とするものである。
請求項1の発明に係る曲面シール構造は、合成樹脂からなるブロックの凹曲面に設けられた開口部をシールするためのシール構造であって、合成ゴムまたは熱可塑性エラストマーからなり、前記合成樹脂からなるブロックとともに二色成形または二段成形され、前記開口部の周囲に前記凹曲面に沿って無端状に設けられたものである。
ここで、「合成樹脂」としては、アクリル樹脂・ポリエチレン樹脂・ポリプロピレン樹脂・塩化ビニル樹脂・ポリスチレン樹脂・ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂、更に熱可塑性樹脂の中でもエンジニアリングプラスチックに属するポリフェニレンスルフィド(PPS)、芳香族ナイロン樹脂、や、尿素樹脂・メラミン樹脂・フェノール樹脂・エポキシ樹脂・不飽和ポリエステル樹脂・アルキド樹脂・ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
また、「合成ゴム」としては、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム、ニトリルゴム(NBR)、シリコンゴム、フッ素ゴム(FKM)、等を用いることができる。更に、「熱可塑性エラストマー」としては、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、アクリル系熱可塑性エラストマー等を始めとして、特に、ポリエステル系熱可塑性エラストマーのような、高耐熱性・高耐油性の熱可塑性エラストマーを好適に用いることができる。
請求項2の発明に係る曲面シール構造は、流体の流路及びその開口部を備え、略円筒形状を有する流体制御部品が嵌合する合成樹脂からなるブロックの略半円筒形状を有する凹曲面の前記開口部をシールするためのシール構造であって、合成ゴムまたは熱可塑性エラストマーからなり、前記合成樹脂からなるブロックとともに二色成形または二段成形され、前記開口部の周囲に前記凹曲面に沿って無端状に設けられたものである。
ここで、「合成樹脂」としては、アクリル樹脂・ポリエチレン樹脂・ポリプロピレン樹脂・塩化ビニル樹脂・ポリスチレン樹脂・ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂、更に熱可塑性樹脂の中でもエンジニアリングプラスチックに属するポリフェニレンスルフィド(PPS)、芳香族ナイロン樹脂、や、尿素樹脂・メラミン樹脂・フェノール樹脂・エポキシ樹脂・不飽和ポリエステル樹脂・アルキド樹脂・ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
また、「合成ゴム」としては、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム、ニトリルゴム(NBR)、シリコンゴム、フッ素ゴム(FKM)、等を用いることができる。更に、「熱可塑性エラストマー」としては、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、アクリル系熱可塑性エラストマー等を始めとして、特に、ポリエステル系熱可塑性エラストマーのような、高耐熱性・高耐油性の熱可塑性エラストマーを好適に用いることができる。
請求項3の発明に係る曲面シール構造は、請求項1または請求項2の構成において、前記合成ゴムまたは前記熱可塑性エラストマーは耐油性及び耐熱性を有するものである。
請求項4の発明に係る曲面シール構造は、請求項1乃至請求項3のいずれか1つの構成において、シール部分の断面形状が、前記凹曲面の底部においては前記開口部方向に傾くように所定角度で傾斜した断面形状を有し、前記凹曲面の上方においては直立した断面形状を有するものである。
請求項5の発明に係る曲面シール構造は、請求項4の構成において、前記所定角度は30度〜60度の範囲内であるものである。ここで、「所定角度」とは、直立方向(垂直方向)を0度とした場合の角度をいうものとする。
請求項6の発明に係る曲面シール構造は、請求項1乃至請求項5のいずれか1つの構成において、前記開口部が隣接して二以上設けられており、前記曲面シール構造も前記開口部と同数だけ設けられており、前記複数の曲面シール構造は前記各開口部の間において無端状の一部を共有しているものである。
請求項7の発明に係る曲面シール構造は、請求項1乃至請求項6のいずれか1つの構成において、前記曲面シール構造は前記熱可塑性エラストマーからなるものである。
請求項8の発明に係る曲面シール構造は、請求項1乃至請求項7のいずれか1つの構成において、前記合成樹脂からなるブロックの凹曲面には溝部が設けられ、前記曲面シール構造の根元部分は前記溝部に嵌合しているものである。
請求項1の発明に係る曲面シール構造は、合成樹脂からなるブロックの凹曲面に設けられた開口部をシールするためのシール構造であって、合成ゴムまたは熱可塑性エラストマーからなり、合成樹脂からなるブロックとともに二色成形または二段成形され、開口部の周囲に凹曲面に沿って無端状に設けられたものである。
ここで、「合成樹脂」としては、アクリル樹脂・ポリエチレン樹脂・ポリプロピレン樹脂・塩化ビニル樹脂・ポリスチレン樹脂・ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂、更に熱可塑性樹脂の中でもエンジニアリングプラスチックに属するポリフェニレンスルフィド(PPS)、芳香族ナイロン樹脂、や、尿素樹脂・メラミン樹脂・フェノール樹脂・エポキシ樹脂・不飽和ポリエステル樹脂・アルキド樹脂・ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
また、「合成ゴム」としては、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム、ニトリルゴム(NBR)、シリコンゴム、フッ素ゴム(FKM)、等を用いることができる。更に、「熱可塑性エラストマー」としては、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、アクリル系熱可塑性エラストマー等を始めとして、特に、ポリエステル系熱可塑性エラストマーのような、高耐熱性・高耐油性の熱可塑性エラストマーを好適に用いることができる。
かかるシール構造は、合成ゴムまたは熱可塑性エラストマーからなるため、弾力性及び復元性に優れており、開口部の周囲に凹曲面に沿って無端状に設けられているため、合成樹脂からなるブロックの凹曲面に嵌合する部材の外周面によって押圧され、その弾力性によって押し潰されて開口部の周囲に亘って密着するため、開口部の周囲についての高いシール性を保持することができる。そして、シール構造は合成樹脂からなるブロックとともに二色成形または二段成形されるため、生産効率が高く低コストで製造することができ、量産性に優れたシール構造となる。
このようにして、流体制御部品を始めとする種々の部品を保持する凹曲面を有するブロック等において、シール性を確実に保持することができ、生産効率が高く低コストで製造することができる曲面シール構造となる。
請求項2の発明に係る曲面シール構造は、流体の流路及びその開口部を備え、略円筒形状を有する流体制御部品が嵌合する合成樹脂からなるブロックの略半円筒形状を有する凹曲面の開口部をシールするためのシール構造であって、合成ゴムまたは熱可塑性エラストマーからなり、合成樹脂からなるブロックとともに二色成形または二段成形され、開口部の周囲に凹曲面に沿って無端状に設けられたものである。
ここで、「合成樹脂」としては、アクリル樹脂・ポリエチレン樹脂・ポリプロピレン樹脂・塩化ビニル樹脂・ポリスチレン樹脂・ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂、更に熱可塑性樹脂の中でもエンジニアリングプラスチックに属するポリフェニレンスルフィド(PPS)、芳香族ナイロン樹脂、や、尿素樹脂・メラミン樹脂・フェノール樹脂・エポキシ樹脂・不飽和ポリエステル樹脂・アルキド樹脂・ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
また、「合成ゴム」としては、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム、ニトリルゴム(NBR)、シリコンゴム、フッ素ゴム(FKM)、等を用いることができる。更に、「熱可塑性エラストマー」としては、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、アクリル系熱可塑性エラストマー等を始めとして、特に、ポリエステル系熱可塑性エラストマーのような、高耐熱性・高耐油性の熱可塑性エラストマーを好適に用いることができる。
かかるシール構造は、合成ゴムまたは熱可塑性エラストマーからなるため、弾力性及び復元性に優れており、開口部の周囲に凹曲面に沿って無端状に設けられているため、略円筒形状を有する流体制御部品が嵌合する合成樹脂からなるブロックの、略半円筒形状を有する凹曲面に、略円筒形状を有する流体制御部品が嵌合する際には、略円筒形状の外周面によって押圧され、その弾力性によって押し潰されて、開口部の周囲に亘って流体制御部品の外周面に密着する。
これによって、開口部の周囲に亘って高いシール性を保持することができる。そして、シール構造は合成樹脂からなるブロックとともに二色成形されるため、生産効率が高く低コストで製造することができ、量産性に優れたシール構造となる。
このようにして、略円筒形状を有する流体制御部品が嵌合する略半円筒形状を有する凹曲面を有するブロックにおいて、シール性を確実に保持することができ、生産効率が高く低コストで製造することができる曲面シール構造となる。
請求項3の発明に係る曲面シール構造においては、合成ゴムまたは熱可塑性エラストマーが耐油性及び耐熱性を有する。ここで、「耐油性及び耐熱性を有する合成ゴム」としては、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム,ニトリルゴムとも言う)、FKM(フッ素ゴム)等を用いることができる。また、「耐油性及び耐熱性を有する熱可塑性エラストマー」としては、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等を用いることができる。
曲面シール構造に用いられる合成ゴムまたは熱可塑性エラストマーが耐油性及び耐熱性を有するものであれば、上述した特許文献1に示されるように、エンジン近傍のシリンダヘッドカバーを樹脂製とした樹脂製シリンダヘッドカバー等にも応用することができ、曲面シール構造の適用範囲が広くなって、自動車部品を始めとする耐油性及び耐熱性を要求される技術分野に、広範囲に適用することができる。
このようにして、流体制御部品を始めとする種々の部品を保持する凹曲面を有するブロック等において、シール性を確実に保持することができ、生産効率が高く低コストで製造することができるとともに、自動車部品を始めとする耐油性及び耐熱性を要求される技術分野に広範囲に適用することができる曲面シール構造となる。
請求項4の発明に係る曲面シール構造においては、シール部分の断面形状が、凹曲面の底部においては開口部方向に傾くように所定角度で傾斜した断面形状(リップ形状)を有し、凹曲面の上方においては直立した断面形状を有する。
ここで、凹曲面の底部の所定角度で傾斜した断面形状(リップ形状)を有する部分と、凹曲面の上方の直立した断面形状を有する部分とは、その接続部分において断面形状が徐々に変化していくものでも良いし、傾斜した断面形状(リップ形状)と直立した断面形状とがある部分において非連続的に切り替わるものでも良い。但し、非連続的に切り替わる場合には、切り込み等が形成されて外力により切断され易くなる場合があるため、その場合には切断され難い形状とすることが好ましい。
これによって、傾斜した断面形状(リップ形状)を有するシール部分は、セルフシール効果を有するためシール性により優れており、開口部に対するより高いシール性を確実に保持することができる。
このようにして、流体制御部品を始めとする種々の部品を保持する凹曲面を有するブロック等において、より高いシール性を確実に保持することができ、生産効率が高く低コストで製造することができる曲面シール構造となる。
請求項5の発明に係る曲面シール構造においては、所定角度が30度〜60度の範囲内、より好ましくは40度〜50度の範囲内である。ここで、「所定角度」とは、直立方向(垂直方向)を0度とした場合の角度をいうものとする。
本発明者は、傾斜した断面形状(リップ形状)を有するシール部分における所定角度、すなわち垂直方向からの傾斜角度が30度〜60度の範囲内、より好ましくは40度〜50度の範囲内である場合に、より確実に高いシール性を保持することができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。
このようにして、流体制御部品を始めとする種々の部品を保持する凹曲面を有するブロック等において、より高いシール性を確実に保持することができ、生産効率が高く低コストで製造することができる曲面シール構造となる。
請求項6の発明に係る曲面シール構造においては、開口部が隣接して二以上設けられており、曲面シール構造も開口部と同数だけ設けられており、複数の曲面シール構造は各開口部の間において無端状の一部を共有している。
これによって、隣接した開口部の間隔が狭い場合でも、開口部を確実にシールすることができ、またシール構造の材料を節約することもできる。
このようにして、流体制御部品を始めとする種々の部品を保持する凹曲面を有するブロック等において、より高いシール性を確実に保持することができ、生産効率が高く低コストで製造することができる曲面シール構造となる。
請求項7の発明に係る曲面シール構造は、熱可塑性エラストマーからなる。同じような弾力性及び復元性等の機械的性質を備えていれば、合成ゴムでも熱可塑性エラストマーでも同様なシール性を発揮できるが、合成ゴムを射出成形して曲面シール構造を形成した場合には、その後に合成ゴムを架橋させるために加熱する工程が必要となる。したがって、その加熱工程に要する時間だけ、射出成形(二色成形または二段成形)によって製造することによる量産性が損なわれることになる。
これに対して、熱可塑性エラストマーを射出成形して曲面シール構造を形成した場合には、その後は冷却して取り出すのみで良いため、射出成形(二色成形または二段成形)によって製造することによる量産性が損なわれることがない。
このようにして、流体制御部品を始めとする種々の部品を保持する凹曲面を有するブロック等において、シール性を確実に保持することができ、生産効率が高く低コストで製造することができ、量産性を損なうことがない曲面シール構造となる。
請求項8の発明に係る曲面シール構造においては、合成樹脂からなるブロックの凹曲面には溝部が設けられ、曲面シール構造の根元部分は溝部に嵌合している。
すなわち、二色成形においては、まず合成樹脂からなるブロックが射出成形される際には、金型キャビティは溝部が形成される構造となっており、続いて曲面シール構造が合成ゴムまたは熱可塑性エラストマーを用いて射出成形される際には、例えば金型が回転或いは後退することによって溝部が空間となり、この空間部分に曲面シール構造が射出成形されて、合成樹脂からなるブロックと一体化する。
また、二段成形においては、合成樹脂からなるブロックが射出成形される際には、溝部が形成される構造のキャビティを有する第1の金型が用いられ、射出成形された合成樹脂からなるブロックが第2の金型に移されたときには、第2の金型のキャビティにおいては溝部が空間となり、この空間部分に曲面シール構造が射出成形されて、合成樹脂からなるブロックと一体化する。
これによって、曲面シール構造は合成樹脂からなるブロックの溝部に、その根元部分が嵌合しているため、容易に外れることがない。
このようにして、流体制御部品を始めとする種々の部品を保持する凹曲面を有するブロック等において、シール性を確実に保持することができ、生産効率が高く低コストで製造することができるとともに、合成樹脂からなるブロックと一体化する曲面シール構造となる。
以下、本発明の実施の形態に係る曲面シール構造について、図面を参照しつつ説明する。なお、各実施の形態において、同一の記号及び同一の符号は同一または相当する機能部分を意味し、実施の形態相互の同一の記号及び同一の符号は、それら実施の形態に共通する機能部分であるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
実施の形態1
まず、本発明の実施の形態1に係る曲面シール構造について、図1及び図2を参照して説明する。
図1(a)は本発明の実施の形態1に係る曲面シール構造が設けられた合成樹脂からなるブロックの全体構成を示す斜視図、(b)は平面図である。図2(a)は本発明の実施の形態1に係る曲面シール構造が設けられた合成樹脂からなるブロックの図1(b)のA−A断面を示す縦断面図、(b)は図1(b)のB−B断面を示す縦断面図である。
図1(a),(b)に示されるように、本実施の形態1に係る曲面シール構造2が設けられた合成樹脂からなるブロック1は、ガラス繊維を含有した合成樹脂としてのポリフェニレンスルフィド(PPS)からなるブロック3と、合成ゴムとしてのNBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム,ニトリルゴムとも言う)からなる曲面シール構造2とを、二色成形法によって射出成形してなる。ブロック3の上面には、略円筒形状を有する流体制御部品が嵌合する略半円筒形状を有する凹曲面4が設けられており、この凹曲面4には四箇所の開口部5が設けられている。
そして、これら四箇所の開口部5の周囲には、それぞれNBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)からなる曲面シール構造2が、凹曲面4に沿って無端状に設けられている。また、図2(a),(b)に示されるように、曲面シール構造2のシール部分2aの断面形状は直立形状であり、更に図2(b)に示されるように、四箇所の開口部5は二つずつ隣接して設けられており、曲面シール構造2は隣接して設けられた開口部5の間において、無端状の一部を共有している。
また、図2(a),(b)に示されるように、ブロック3の凹曲面4には溝部4aが設けられており、曲面シール構造2の根元部分2bは、この溝部4aにぴったり嵌合している。すなわち、二色成形において、まずブロック3がガラス繊維を含有したPPSを用いて射出成形される際には、金型キャビティは溝部4aが形成される構造となっており、続いて曲面シール構造2がNBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)を用いて射出成形される際には、金型が後退することによって溝部4aが空間となり、この空間部分に曲面シール構造2が射出成形されて、ブロック3と一体化する。
したがって、本実施の形態1に係る曲面シール構造2は、請求項1,請求項2,請求項3,請求項6及び請求項8に係る発明の曲面シール構造に該当する。
なお、図1(a),(b)に示されるように、ブロック3は厚さを有する射出成形によって製造される樹脂製品であるため、軽量化のため、射出成形用樹脂材料の節約のため、及び射出成形時に肉厚部分において成形欠陥が生ずるのを防止するために、肉盗み3aがブロック3の外側の複数箇所に設けられている。
かかる構成を有する本実施の形態1に係る曲面シール構造2は、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)からなるため弾力性及び復元性に優れており、ブロック3の略半円筒形状を有する凹曲面4に略円筒形状を有する流体制御部品が嵌合すると、略円筒形状の外周面によって押圧され、その弾力性によって押し潰されて開口部5の周囲に亘って流体制御部品の外周面に密着する。
これによって、開口部5の周囲に亘って高いシール性を保持することができる。そして、曲面シール構造2は合成樹脂からなるブロック3とともに二色成形されるため、生産効率が高く低コストで製造することができ、量産性に優れたシール構造となる。また、シール部分2aの断面形状が直立形状であるため、射出成形の際にアンダーカットになる部分がなく、熱可塑性エラストマーよりも柔軟性に劣る合成ゴムであるNBRを使用した場合にも、射出成形後の離型がスムーズに行えるという利点がある。
更に、曲面シール構造2は高耐熱性・高耐油性のNBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)からなるため、ブロック3が高耐熱性・高耐油性の合成樹脂であるポリフェニレンスルフィド(PPS)からなることと相俟って、流体制御部品が自動車のエンジン周り部品のように、高熱に曝され、潤滑油等の油類を流すものである場合でも、即ち開口部5に続いて設けられた貫通孔6が油路である場合でも、長期間に亘ってシール性を保持することができ、充分に実用に耐えるシール構造となる。
このようにして、本実施の形態1に係る曲面シール構造2においては、略円筒形状を有する流体制御部品が嵌合する略半円筒形状を有する凹曲面を有するブロックにおいて、シール性を確実に保持することができ、生産効率が高く低コストで製造することができるとともに、自動車部品を始めとする耐油性及び耐熱性を要求される技術分野に広範囲に適用することができる。
実施の形態2
次に、本発明の実施の形態2に係る曲面シール構造について、図3乃至図5を参照して説明する。
図3(a)は本発明の実施の形態2に係る曲面シール構造が設けられた合成樹脂からなるブロックの全体構成を示す斜視図、(b)は平面図である。図4(a)は本発明の実施の形態2に係る曲面シール構造が設けられた合成樹脂からなるブロックの図3(b)のC−C断面を示す縦断面図、(b)は図3(b)のD−D断面を示す縦断面図である。図5は図4(b)の一部を示す部分斜視縦断面図である。
図3(a),(b)に示されるように、本実施の形態2に係る曲面シール構造12が設けられた合成樹脂からなるブロック11は、ガラス繊維を含有した合成樹脂としてのポリフェニレンスルフィド(PPS)からなるブロック13と、熱可塑性エラストマーとしてのポリエステル系熱可塑性エラストマーからなる曲面シール構造12とを、二色成形法によって射出成形してなる。
ブロック13の上面には、略円筒形状を有する流体制御部品が嵌合する略半円筒形状を有する凹曲面14が設けられており、この凹曲面14には四箇所の開口部15が設けられている。
そして、これら四箇所の開口部15の周囲には、それぞれポリエステル系熱可塑性エラストマーからなる曲面シール構造12が、凹曲面14に沿って無端状に設けられている。また、図4(b),図5に示されるように、曲面シール構造12の凹曲面14の底部のシール部分12aにおける断面形状は45度の傾斜形状であり、更に図4(b)に示されるように、四箇所の開口部15は二つずつ隣接して設けられており、曲面シール構造12は隣接して設けられた開口部15の間において、無端状の一部を共有している。
一方、図4(a),図5に示されるように、曲面シール構造12の凹曲面14の上方のシール部分12cにおいては、曲面シール構造12の断面形状は直立形状となっており、曲面シール構造12の断面形状は、この上方のシール部分12cと上述した底部のシール部分12aとの接続部分12bにおいて、傾斜形状から直立形状へと徐々に変化している。これによって、曲面シール構造12のシール部分12a,12b,12cには、断面形状の急変による機械的に弱い部分が形成されないことから、丈夫な曲面シール構造12となる。
また、図4(a),(b),図5に示されるように、ブロック13の凹曲面14には溝部14aが設けられており、曲面シール構造12の根元部分12dは、この溝部14aにぴったり嵌合している。すなわち、二色成形において、まずブロック13がガラス繊維を含有したPPSを用いて射出成形される際には、金型キャビティは溝部14aが形成される構造となっており、続いて曲面シール構造12がポリエステル系熱可塑性エラストマーを用いて射出成形される際には、金型が後退することによって溝部14aが空間となり、この空間部分に曲面シール構造12が射出成形されて、ブロック13と一体化する。
ここで、45度の傾斜形状を有するシール部分12aは、射出成形の際にはアンダーカットとなるが、シール部分12aは柔軟性を有するポリエステル系熱可塑性エラストマーからなるため、離型はスムーズに行うことができる。したがって、本実施の形態2に係る曲面シール構造12は、請求項1,請求項2,請求項3,請求項4,請求項5,請求項6,請求項7及び請求項8に係る発明の曲面シール構造に該当する。
なお、図3(a),(b)に示されるように、ブロック13は射出成形によって製造される厚さを有する合成樹脂製品であるため、軽量化のため、射出成形用樹脂材料の節約のため、及び射出成形時に肉厚部分において成形欠陥が生ずるのを防止するために、肉盗み13aがブロック13の外側の複数箇所に設けられている。
かかる構成を有する本実施の形態2に係る曲面シール構造12は、ポリエステル系熱可塑性エラストマーからなるため弾力性及び復元性に優れており、ブロック13の略半円筒形状を有する凹曲面14に略円筒形状を有する流体制御部品が嵌合すると、曲面シール構造12のシール部分12cは略円筒形状の外周面によって押圧され、曲面シール構造12のシール部分12aは開口部15方向へ傾斜した断面形状(リップ形状)を有するため、リップ形状のセルフシール効果によって開口部15の周囲に亘って流体制御部品の外周面に密着する。
これによって、開口部15の周囲に亘って高いシール性を保持することができる。そして、曲面シール構造12は合成樹脂からなるブロック13とともに二色成形されるため、生産効率が高く低コストで製造することができ、しかも熱可塑性エラストマーからなるため成形後における加熱の必要がなく、より量産性に優れたシール構造となる。
更に、曲面シール構造12は高耐熱性・高耐油性のポリエステル系熱可塑性エラストマーからなるため、ブロック13が高耐熱性・高耐油性の合成樹脂であるポリフェニレンスルフィド(PPS)からなることと相俟って、流体制御部品が自動車のエンジン周り部品のように、高熱に曝され、潤滑油等の油類を流すものである場合でも、即ち開口部15に続いて設けられた貫通孔16が油路である場合でも、長期間に亘ってシール性を保持することができ、充分に実用に耐えるシール構造となる。
このようにして、本実施の形態2に係る曲面シール構造12においては、略円筒形状を有する流体制御部品が嵌合する略半円筒形状を有する凹曲面を有するブロックにおいて、シール性を確実に保持することができ、生産効率が高く低コストで製造することができるとともに、自動車部品を始めとする耐油性及び耐熱性を要求される技術分野に広範囲に適用することができる。
実施の形態3
次に、本発明の実施の形態3に係る曲面シール構造について、図6乃至図8を参照して説明する。
図6(a)は本発明の実施の形態3に係る曲面シール構造が設けられた合成樹脂からなるブロックの全体構成を示す斜視図、(b)は平面図である。図7(a)は本発明の実施の形態3に係る曲面シール構造が設けられた合成樹脂からなるブロックの図6(b)のE−E断面を示す縦断面図、(b)は図6(b)のF−F断面を示す縦断面図である。図8は図7(b)の一部を示す部分斜視縦断面図である。
図6(a),(b)に示されるように、本実施の形態3に係る曲面シール構造17が設けられた合成樹脂からなるブロック18は、ガラス繊維を含有した合成樹脂としてのポリフェニレンスルフィド(PPS)からなるブロック13と、熱可塑性エラストマーとしてのポリエステル系熱可塑性エラストマーからなる曲面シール構造17とを、二色成形法によって射出成形してなる。なお、ブロック13の構造は上記実施の形態2と同様であるので、詳細な説明は省略する。
そして、四箇所の開口部15の周囲には、それぞれポリエステル系熱可塑性エラストマーからなる曲面シール構造17が、凹曲面14に沿って無端状に設けられている。また、図7(b),図8に示されるように、曲面シール構造17の凹曲面14の底部のシール部分17aにおける断面形状は約45度の傾斜形状であり、更に図7(b)に示されるように、四箇所の開口部15は二つずつ隣接して設けられており、曲面シール構造17は隣接して設けられた開口部15の間において、無端状の一部を共有している。
一方、図7(a)に示されるように、曲面シール構造17の凹曲面14の上方のシール部分17bにおいては、曲面シール構造17の断面形状は直立形状となっており、曲面シール構造17の断面形状は、この上方のシール部分17bと上述した底部のシール部分17aとの接続部分において、傾斜形状から直立形状へと不連続に変化している。
これによって、曲面シール構造17のシール部分17a,17bの接続部分には、断面形状が急変する部分が生ずるが、断面形状の急変による機械的に弱い部分が形成されないように、シール部分17aとシール部分17bの接続部分(コーナー部分)に丸みを持たせることによって、丈夫な曲面シール構造17となる。
また、図7(b),図8に示されるように、ブロック13の凹曲面14には溝部14aが設けられており、曲面シール構造17の根元部分17dは、この溝部14aにぴったり嵌合している。すなわち、二色成形において、まずブロック13がガラス繊維を含有したPPSを用いて射出成形される際には、金型キャビティは溝部14aが形成される構造となっており、続いて曲面シール構造17がポリエステル系熱可塑性エラストマーを用いて射出成形される際には、金型が回転することによって溝部14aが空間となり、この空間部分に曲面シール構造17が射出成形されて、ブロック13と一体化する。
ここで、45度の傾斜形状(リップ形状)を有するシール部分17aは、射出成形の際にはアンダーカットとなるが、シール部分17aは柔軟性を有するポリエステル系熱可塑性エラストマーからなるため、離型はスムーズに行うことができる。したがって、本実施の形態3に係る曲面シール構造17は、請求項1,請求項2,請求項3,請求項4,請求項5,請求項6,請求項7及び請求項8に係る発明の曲面シール構造に該当する。
なお、図6(a),(b)に示されるように、ブロック13は射出成形によって製造される厚さを有する合成樹脂製品であるため、軽量化のため、射出成形用樹脂材料の節約のため、及び射出成形時に肉厚部分において成形欠陥が生ずるのを防止するために、肉盗み13aがブロック13の外側の複数箇所に設けられている。
かかる構成を有する本実施の形態3に係る曲面シール構造17は、ポリエステル系熱可塑性エラストマーからなるため弾力性及び復元性に優れており、ブロック13の略半円筒形状を有する凹曲面14に略円筒形状を有する流体制御部品が嵌合すると、略円筒形状の外周面によって押圧され、曲面シール構造17のシール部分17aは開口部15方向へ傾斜した断面形状(リップ形状)を有するため、リップ形状のセルフシール効果によって開口部15の周囲に亘って流体制御部品の外周面に密着する。
これによって、開口部15の周囲に亘って高いシール性を保持することができる。そして、曲面シール構造17は合成樹脂からなるブロック13とともに二色成形されるため、生産効率が高く低コストで製造することができ、しかも熱可塑性エラストマーからなるため成形後における加熱の必要がなく、より量産性に優れたシール構造となる。
更に、曲面シール構造17は高耐熱性・高耐油性のポリエステル系熱可塑性エラストマーからなるため、ブロック13が高耐熱性・高耐油性の合成樹脂であるポリフェニレンスルフィド(PPS)からなることと相俟って、流体制御部品が自動車のエンジン周り部品のように、高熱に曝され、潤滑油等の油類を流すものである場合でも、即ち開口部15に続いて設けられた貫通孔16が油路である場合でも、長期間に亘ってシール性を保持することができ、充分に実用に耐えるシール構造となる。
このようにして、本実施の形態3に係る曲面シール構造17においては、略円筒形状を有する流体制御部品が嵌合する略半円筒形状を有する凹曲面を有するブロックにおいて、シール性を確実に保持することができ、生産効率が高く低コストで製造することができるとともに、自動車部品を始めとする耐油性及び耐熱性を要求される技術分野に広範囲に適用することができる。
実施の形態4
次に、本発明の実施の形態4に係る曲面シール構造について、図9乃至図11を参照して説明する。
図9(a)は本発明の実施の形態4に係る曲面シール構造が設けられた合成樹脂からなるブロックの全体構成を示す斜視図、(b)は平面図である。図10(a)は本発明の実施の形態4に係る曲面シール構造が設けられた合成樹脂からなるブロックの図9(b)のG−G断面を示す縦断面図、(b)は図9(b)のH−H断面を示す縦断面図である。図11は図10(b)の一部を示す部分斜視縦断面図である。
図9(a),(b)に示されるように、本実施の形態4に係る曲面シール構造22が設けられた合成樹脂からなるブロック21は、ガラス繊維を含有した合成樹脂としてのポリフェニレンスルフィド(PPS)からなるブロック23と、熱可塑性エラストマーとしてのポリエステル系熱可塑性エラストマーからなる曲面シール構造22とを、二色成形法によって射出成形してなる。ブロック23の上面には、略円筒形状を有する流体制御部品が嵌合する略半円筒形状を有する凹曲面24が設けられており、この凹曲面24には連続した五箇所の開口部25が設けられている。
そして、これら五箇所の開口部25の周囲には、それぞれポリエステル系熱可塑性エラストマーからなる曲面シール構造22が、凹曲面24に沿って無端状に設けられている。また、図10(b),図11に示されるように、曲面シール構造22の凹曲面24の底部のシール部分22aにおける断面形状は45度の傾斜形状であり、更に図10(b)に示されるように、五箇所の開口部25は全て隣接して設けられており、曲面シール構造22は隣接して設けられた開口部25の間において、無端状の一部を共有している。
また、図10(a),(b)に示されるように、ブロック23の凹曲面24には溝部24aが設けられており、曲面シール構造22の根元部分22dは、この溝部24aにぴったり嵌合している。すなわち、二色成形において、まずブロック23がガラス繊維を含有したPPSを用いて射出成形される際には、金型キャビティは溝部24aが形成される構造となっており、続いて曲面シール構造22がポリエステル系熱可塑性エラストマーを用いて射出成形される際には、金型が回転することによって溝部24aが空間となり、この空間部分に曲面シール構造22が射出成形されて、ブロック23と一体化する。
ここで、45度の傾斜形状を有するシール部分22aは、射出成形の際にはアンダーカットとなるが、シール部分22aは柔軟性を有するポリエステル系熱可塑性エラストマーからなるため、離型はスムーズに行うことができる。したがって、本実施の形態4に係る曲面シール構造22は、請求項1,請求項2,請求項3,請求項4,請求項5,請求項6,請求項7及び請求項8に係る発明の曲面シール構造に該当する。
なお、図9(a),(b)に示されるように、ブロック23は射出成形によって製造される厚さを有する合成樹脂製品であるため、軽量化のため、射出成形用樹脂材料の節約のため、及び射出成形時に肉厚部分において成形欠陥が生ずるのを防止するために、肉盗み23aがブロック23の外側の複数箇所に設けられている。
かかる構成を有する本実施の形態4に係る曲面シール構造22は、ポリエステル系熱可塑性エラストマーからなるため弾力性及び復元性に優れており、ブロック23の略半円筒形状を有する凹曲面24に略円筒形状を有する流体制御部品が嵌合すると、略円筒形状の外周面によって押圧され、曲面シール構造22のシール部分22aは開口部25方向へ傾斜した断面形状(リップ形状)を有するため、リップ形状のセルフシール効果によって開口部25の周囲に亘って流体制御部品の外周面に密着する。
これによって、開口部25の周囲に亘って高いシール性を保持することができる。そして、曲面シール構造22は合成樹脂からなるブロック23とともに二色成形されるため、生産効率が高く低コストで製造することができ、しかも熱可塑性エラストマーからなるため成形後における加熱の必要がなく、より量産性に優れたシール構造となる。
更に、曲面シール構造22は高耐熱性・高耐油性のポリエステル系熱可塑性エラストマーからなるため、ブロック23が高耐熱性・高耐油性の合成樹脂であるポリフェニレンスルフィド(PPS)からなることと相俟って、流体制御部品が自動車のエンジン周り部品のように、高熱に曝され、潤滑油等の油類を流すものである場合でも、即ち開口部25に続いて設けられた貫通孔26が油路である場合でも、長期間に亘ってシール性を保持することができ、充分に実用に耐えるシール構造となる。
このようにして、本実施の形態4に係る曲面シール構造22においては、略円筒形状を有する流体制御部品が嵌合する略半円筒形状を有する凹曲面を有するブロックにおいて、シール性を確実に保持することができ、生産効率が高く低コストで製造することができるとともに、自動車部品を始めとする耐油性及び耐熱性を要求される技術分野に広範囲に適用することができる。
上記各実施の形態においては、曲面シール構造を射出成形する材料として、高耐熱性・高耐油性の熱可塑性エラストマーであるポリエステル系熱可塑性エラストマーを用いた場合について説明したが、ポリエステル系熱可塑性エラストマーに限られず、高耐熱性・高耐油性の熱可塑性エラストマーであれば、他の熱可塑性エラストマーを用いても良い。
また、耐油性・耐熱性が必要とされない場合には、アクリル系熱可塑性エラストマーを始めとする種々の熱可塑性エラストマーを用いることができる。
また、上記各実施の形態においては、ブロックを射出成形した後に曲面シール構造として熱可塑性エラストマーを射出成形して、シール材付きブロックとして一体化させる方法として、二色成形による場合のみについて説明したが、二段成形によってシール材付きブロックを製造することもできる。また、熱可塑性エラストマーに限られず、合成ゴムを二色成形または二段成形することによって、曲面シール構造を形成することもできる。
また、上記各実施の形態においては、シール材付きブロックを構成する合成樹脂からなるブロックを射出成形する合成樹脂として、耐油性・耐熱性・寸法安定性・強度・成形性を兼ね備えたエンジニアリングプラスチックであるポリフェニレンスルフィド(PPS)を用いた例のみについて説明したが、他にも「耐熱性及び耐油性を有する合成樹脂」としては、フェノール樹脂、芳香族ナイロン、6,6−ナイロン、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等を用いることができる。
更に、耐油性・耐熱性が必要とされない場合には、「合成樹脂」として、アクリル樹脂・ポリエチレン樹脂・ポリプロピレン樹脂・塩化ビニル樹脂・ポリスチレン樹脂・ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂や、尿素樹脂・メラミン樹脂・フェノール樹脂・エポキシ樹脂・不飽和ポリエステル樹脂・アルキド樹脂・ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
本発明を実施するに際しては、曲面シール構造のその他の構成、形状、材質、配合、数量、大きさ、製造方法等についても、上記各実施の形態に限定されるものではない。なお、本発明の実施の形態で上げている数値は、臨界値を示すものではなく、実施に好適な好適値を示すものであるから、上記数値を若干変更しても実施を否定するものではない。
図1(a)は本発明の実施の形態1に係る曲面シール構造が設けられた合成樹脂からなるブロックの全体構成を示す斜視図、(b)は平面図である。 図2(a)は本発明の実施の形態1に係る曲面シール構造が設けられた合成樹脂からなるブロックの図1(b)のA−A断面を示す縦断面図、(b)は図1(b)のB−B断面を示す縦断面図である。 図3(a)は本発明の実施の形態2に係る曲面シール構造が設けられた合成樹脂からなるブロックの全体構成を示す斜視図、(b)は平面図である。 図4(a)は本発明の実施の形態2に係る曲面シール構造が設けられた合成樹脂からなるブロックの図3(b)のC−C断面を示す縦断面図、(b)は図3(b)のD−D断面を示す縦断面図である。 図5は図4(b)の一部を示す部分斜視縦断面図である。 図6(a)は本発明の実施の形態3に係る曲面シール構造が設けられた合成樹脂からなるブロックの全体構成を示す斜視図、(b)は平面図である。 図7(a)は本発明の実施の形態3に係る曲面シール構造が設けられた合成樹脂からなるブロックの図6(b)のE−E断面を示す縦断面図、(b)は図6(b)のF−F断面を示す縦断面図である。 図8は図7(b)の一部を示す部分斜視縦断面図である。 図9(a)は本発明の実施の形態4に係る曲面シール構造が設けられた合成樹脂からなるブロックの全体構成を示す斜視図、(b)は平面図である。 図10(a)は本発明の実施の形態4に係る曲面シール構造が設けられた合成樹脂からなるブロックの図9(b)のG−G断面を示す縦断面図、(b)は図9(b)のH−H断面を示す縦断面図である。 図11は図10(b)の一部を示す部分斜視縦断面図である。
符号の説明
1,11,18,21 シール材付きブロック
2,12,17,22 曲面シール構造
3,13,23 ブロック
4,14,24 凹曲面
5,15,25 開口部

Claims (8)

  1. 合成樹脂からなるブロックの凹曲面に設けられた開口部をシールするためのシール構造であって、
    合成ゴムまたは熱可塑性エラストマーからなり、前記合成樹脂からなるブロックとともに二色成形または二段成形され、前記開口部の周囲に前記凹曲面に沿って無端状に設けられたことを特徴とする曲面シール構造。
  2. 流体の流路及びその開口部を備え、略円筒形状を有する流体制御部品が嵌合する合成樹脂からなるブロックの略半円筒形状を有する凹曲面の前記開口部をシールするためのシール構造であって、
    合成ゴムまたは熱可塑性エラストマーからなり、前記合成樹脂からなるブロックとともに二色成形または二段成形され、前記開口部の周囲に前記凹曲面に沿って無端状に設けられたことを特徴とする曲面シール構造。
  3. 前記合成ゴムまたは前記熱可塑性エラストマーは耐油性及び耐熱性を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の曲面シール構造。
  4. シール部分の断面形状が、前記凹曲面の底部においては前記開口部方向に傾くように所定角度で傾斜した断面形状を有し、前記凹曲面の上方においては直立した断面形状を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の曲面シール構造。
  5. 前記所定角度は30度〜60度の範囲内であることを特徴とする請求項4に記載の曲面シール構造。
  6. 前記開口部が隣接して二以上設けられており、前記曲面シール構造も前記開口部と同数だけ設けられており、前記複数の曲面シール構造は前記各開口部の間において無端状の一部を共有していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の曲面シール構造。
  7. 前記曲面シール構造は前記熱可塑性エラストマーからなることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の曲面シール構造。
  8. 前記合成樹脂からなるブロックの凹曲面には溝部が設けられ、前記曲面シール構造の根元部分は前記溝部に嵌合していることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の曲面シール構造。
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WO2019130561A1 (ja) * 2017-12-28 2019-07-04 本田技研工業株式会社 内燃機関のシール構造

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