JP2009085266A - 等速ジョイント用ブーツ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、相手部材との当接による蛇腹腹部の摩耗や亀裂の発生を抑制して、シャフトを最大ジョイント角にまで傾倒させてもシール機能を高く維持することができる等速ジョイント用ブーツを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の等速ジョイント用ブーツは、ブロー成形したブーツ本体の大径筒部に挿入されるリング状のグロメットとよりなり、相手部材に締結したときに、グロメットの蛇腹部側の端面は、相手部材の蛇腹部側の端面から後退する方向に離間し、かつ、大径筒部の屈曲部は、相手部材の端面から蛇腹部側へ進出する方向に離間していることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、前輪駆動車のドライブシャフト用ジョイントなどに不可欠な等速ジョイントに被覆され、等速ジョイントのジョイント部への水や埃の侵入を阻止するブーツに関する。
等速ジョイントのジョイント部は従来よりグリースが封入された蛇腹形状のブーツで覆われ、水や埃の侵入を阻止することによって大角度で滑らかな回転が維持されている。この等速用ジョイントブーツは、ジョイントアウターレースなどに保持される大径の大径筒部と、大径筒部より小径でシャフトに保持される小径筒部と、大径筒部と小径筒部とを一体的に連結する略円錐台形状の蛇腹部とから構成されている。そして、使用時にはジョイントアウターレースなどとシャフトのなす角度(ジョイント角)の変化に応じて蛇腹部が変形するため、その角度が大きくなってもブーツによってジョイント部を確実にシールすることができる。
この等速ジョイント用ブーツには、耐候性や耐疲労性に優れた熱可塑性エラストマが用いられている。しかしながら材質が熱可塑性エラストマでは、異形嵌合もしくは非円形嵌合の場合が多い大径筒部では、シール性の確保が難しいという問題があった。
そこで例えば特許文献1には、ブーツ本体をポリエステル系熱可塑性エラストマで形成し、その大径筒部に軟質ゴム製のリング状のグロメットを挿入した等速ジョイント用ブーツが開示されている。この等速ジョイント用ブーツによれば、厚肉部と薄肉部を有し内周面が非円形のグロメットであっても、射出成形などで精度よく製造することができるため、ブーツ本体はさほど形状精度が高くなくてもよくブロー成形で製造することが可能となる。そしてクランプによる締結力が大径筒部を介してグロメットに伝わり、グロメットが弾性変形して相手部材に密着することでシール機能が発現される。
このような等速ジョイント用ブーツとして、図5に示すものが知られている。図5は従来の等速ジョイント用ブーツの大径筒部の要部拡大断面図である。この等速ジョイント用ブーツ200は、ブーツ本体1と、ブーツ本体1の大径筒部11内に挿入されたリング状のグロメット2とから構成されている。
大径筒部11は、相手部材3に締結するクランプを受け入れるクランプ溝14を形成した締結部111と、この締結部111から軸方向に延び屈曲部112aで蛇腹部12に連なる肩部112とからなっている。そして相手部材3に締結したときに、屈曲部112aが相手部材の端面3aと同一面f上に位置するように形成されている。
また、グロメット2はその内周表面にシール突条22を有し、蛇腹部12側で相手部材3の端面3aに係合する係合部2xが形成されている。
かかる構成の等速ジョイント用ブーツ200をクランプ5によって相手部材3に組み付け、シャフト(図示せず)を傾斜させた場合の蛇腹部12の変形の様子を図6に示す。蛇腹部12は、シャフトの傾斜に伴い相手部材3側へ折り重ねられて第1谷部31の近傍がグロメット2の係合部2xに押し付けられる。グロメット2は、蛇腹部12よりも軟質であるので、蛇腹部12の剛性により、ジョイント角の増大に伴う第1谷部31の移動に沿って外周側に変形する。このためシール突条22aが相手部材表面から離間してシール機能が低下することがあった。
かかる不都合を解消するために、第1谷部31が当接するグロメット2の係合部2xを設けないようにすると、第1谷部31は相手部材3の端面3aに直接当接することになる。従って、ブーツを広角度に屈曲変形させて回転すると、蛇腹部12が相手部材端面3aに強く押圧されて摺接することになるので、蛇腹部12が摩耗したり亀裂が発生する虞がある。
特開2005−240962号公報
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、相手部材との当接による蛇腹腹部の摩耗や亀裂の発生を抑制して、シャフトを最大ジョイント角にまで傾倒したときでもグロメットによるシール機能を高く維持することができる等速ジョイント用ブーツを提供することを課題とする。
本発明の等速ジョイント用ブーツは、シャフトに保持される小径筒部と、該小径筒部と離間して同軸的に配置され該小径筒部より大径の大径筒部と、該小径筒部と該大径筒部とを一体的に連結する略円錐台形状の蛇腹部とからなり、該大径筒部は軸方向に延び屈曲部で該蛇腹部に連なる肩部を有するブーツ本体と、該大径筒部より軟質の材料から形成され内周断面が非円形で内周表面にシール突条を有し、該大径筒部内に挿入された後に相手部材に嵌合されるリング状のグロメットとよりなり、該大径筒部の外周表面から締結部材を縮径させることで相手部材に該大径筒部及び該グロメットが締結される等速ジョイント用ブーツであって、大径筒部およびグロメットが前記相手部材に締結された状態において、該グロメットの蛇腹部側の端面は、該相手部材の蛇腹部側の端面から後退する方向に離間し、かつ、該大径筒部の屈曲部は、該相手部材の端面から蛇腹部側へ進出する方向に離間していることを特徴とする。
本発明の等速ジョイント用ブーツによれば、蛇腹部はグロメットと接触することがない。また、大径筒部の屈曲部が相手部材の端面から蛇腹部側へ進出する方向に離間しているので、蛇腹腹部の相手部材端面への当接力が小さくなる。このため、蛇腹腹部の摩耗や亀裂が発生しにくい。従って、蛇腹部の摩耗や亀裂の発生を抑制して、ジョイント角が増大したときでもシール機能を高く維持することができる。
本発明の等速ジョイント用ブーツにおいて、大径筒部の屈曲部と相手部材の端面との軸方向の離間距離は、グロメットの軸方向長さの40%以下となるように形成されていることが望ましい。
また、本発明の等速ジョイント用ブーツにおいて、蛇腹部は、複数の谷部と山部が交互に連続してなり、該山部および該谷部の径が大径筒部から小径筒部へと順次小さくなるように形成されていることが望ましい。
蛇腹部が上記のように形成されていることで、ジョイント角が増大しても蛇腹部の不適切な屈曲が生じにくい。従って、広角度に屈曲した状態で回転させても耐屈曲疲労性や耐摩耗性といった耐久性を損なうことがない。
以下、本発明の一実施の形態について図1〜4を参照しながら説明する。図1は本実施形態の等速ジョイント用ブーツの分解斜視図であり、図2は該ブーツの軸方向断面図、図3は該ブーツの大径筒部の要部拡大断面図である。なお、図5と同様の箇所には同じ符号を付した。
この等速ジョイント用ブーツ100は、ブーツ本体1と、ブーツ本体1の大径筒部11内に挿入されたリング状のグロメット2とから構成されている。ブーツ本体1は比較的硬質の熱可塑性エラストマからブロー成形により形成され、グロメット2はゴムまたは比較的軟質の熱可塑性エラストマから射出成形により形成されている。
ブーツ本体1は、小径筒部10と、小径筒部10より大径の大径筒部11と、小径筒部10と大径筒部11を一体的に連結数略円錐台形状の蛇腹部12とよりなる。
大径筒部11は、グロメット2の外周面にクランプによって外嵌固定される短円筒状をなしている。大径筒部11は、外周側にクランプを受け入れるクランプ溝14を備えるとともに内周側にシール用突条13を備える締結部111と、クランプ溝14の一端部を構成し該締結部111より蛇腹側に延伸して締結部111と蛇腹部12とを連結する肩部112とからなる。肩部112の蛇腹側端部112aは、蛇腹部12が後述する第1谷部31へ縮径する屈曲部となっている。
小径筒部10は、シャフトの外周面にクランプによって外嵌固定される短円筒状をなしており、大径筒部11と同軸的に配置されている。図示はしないが小径筒部10にも、外周側には締結クランプを受け入れるための溝が設けられ、また、内周側にはシャフトに弾接するシール突条が設けられている。
蛇腹部12は、両端に口径差のある断面円形の蛇腹体であり、その内部にグリース封入空間15を形成している。蛇腹部12は、大径筒部11側から順に第1谷部31、第1山部32、第2谷部33、第2山部34、・・・と複数の谷部と山部が交互に連続してなり、山部および谷部の径が大径筒部11から小径筒部10へと順次小さくなるように形成されている。
グロメット2は大径筒部11に挿入され、その状態で相手部材であるジョイントアウターレース3に嵌合される。このグロメット2は、外周は真円形であるが、内周表面はジョイントアウターレース3の外周表面に対応した非円形をなし、厚肉部20と薄肉部21とが円周方向に交互に形成されている。なお、図示はしないが、厚肉部20よりも薄肉で薄肉部21よりも厚肉の中肉部が形成されているものもあるが、本明細書では、中肉部は厚肉部に含むものとする。
グロメット2の内周表面には、ジョイントアウターレース3に弾接する三条のリング状のシール突条22が周方向に延びて全周に互いに平行に形成されている。
また、薄肉部21の一端面の近傍には、周方向に延びる位置決め突起23が互いに間隔を隔てて6個形成されている。そして、グロメット2の外周表面には、突条13が係合するリング溝24が形成され、位置決め突起23のある端面近傍の外周表面には突部25が形成されている。
ジョイントアウターレース3は、径の大きな大径部30と、径の小さな小径部31とが周方向に交互に形成され、大径部30の表面に周方向に延びる凹部32が形成されている。
上記のように構成された等速用ジョイントブーツにおいて、本実施の形態では、グロメット2の蛇腹部12側の端面2aがジョイントアウターレース3の端面(以後、アウターレース端面という)3aから後退して(蛇腹部12に対して反対の軸方向に離間して)位置し、かつ、大径筒部11の肩部112の蛇腹側端部(以後、屈曲部という)112aがアウターレース端面3aよりも蛇腹部12側に進出して位置するように形成されている。
ここで、大径筒部11の屈曲部112aとアウターレース端面3aの離間距離Bは、グロメットの全長Gの40%以下(0<B≦0.4G)であることが望ましい。離間距離Bが0.4Gを越えて長いと、蛇腹部12が大きく屈曲変形したときに、肩部112が外側に張り出したように変形してしまい、これにより、肩部112の付け根部分(クランプ溝14近傍)で屈曲疲労による亀裂が発生したり、また、上記肩部112の張り出し変形によって蛇腹部12が不適切に折り重ねられ、そのため蛇腹12の谷部に亀裂が発生したりすることがあるので好ましくない。離間距離Bのより好ましい範囲は、グロメット全長Gの10〜30%である。なお、グロメット2の端面2aはアウターレース端面3aから少しでも後退しておればよい。
図4は、離間距離Bを上記の範囲とした本実施形態の等速用ジョイントブーツ100をクランプ5によってジョイントアウターレース3に組み付け、シャフトを最大ジョイント角に傾斜させた場合の蛇腹部12の変形の様子を示す要部断面図である。蛇腹部12は、ジョイントアウターレース3側へ折り重ねられ第1谷部31の近傍がアウターレース側面3aに押し付けられる。しかし、第1谷部31はグロメット2の端面2aには接触しないのでグロメット2は変形することがない。また、蛇腹部12の剛性による軸方向の押圧力はアウターレース端面3aに作用するので、大径筒部11を介してグロメット2に作用する外力は小さくなる。このため、ジョイントアウターレース3に対するグロメット2の軸方向の摺動は小さくなるので、シール突条22のシール機能は損なわれることなく、ブーツ本来の優れた高いシール性を維持することができる。また、離間距離Aは最適化された範囲で形成されているので、蛇腹部12の耐久性を損なうことがない。
すなわち、本実施形態の等速ジョイント用ブーツ100は、蛇腹部12の耐久性を維持しつつ、優れたシール性を発揮することができる。
図3に示す等速ジョイント用ブーツ100(実施例)と、図5に示す従来の等速ジョイント用ブーツ200(比較例)について、それぞれをジョイントアウターレース3に組み付け、シャフトを最大ジョイント角に傾斜させた場合のシール突条22のシール面圧を比較した。なお、シール突条22の面圧は、面圧シートを用いて三条のシール突条22の全体の面圧とした。
(実施例)
全長Gが22mmのグロメットを用い、ジョイントアウターレース3に組み付けた状態で、グロメット2の端面2aのアウターレース端面3aからの離間距離Aが1mm(0.05G)、屈曲部112aとアウターレース端面3aの離間距離Bが5mm(0.2G)となるように等速ジョイント用ブーツ100を形成して実施例とした。
(比較例)
図5に示す係合部2xを有するグロメット2を用いた従来の等速ジョイント用ブーツ200である。係合部2xを含むグロメット2の全長Gは26mmであり、係合部2xの軸方向厚さtは3mm(0.12G)であった。また、ジョイントアウターレース3に組み付けた際の屈曲部112aとアウターレース端面3aとの離間距離Bは0であり、その他の点は、実施例と同様とした。
(測定結果)
測定結果を図7に示した。同図より知られるように、シール面圧は、実施例では30MPaであり、比較例では20MPaであった。 実施例では比較例に比べてシール面圧が50%向上しており、実施例の等速ジョイント用ブーツは本来の優れたシール性を維持していることが確認できた。
本実施形態の等速ジョイント用ブーツの分解斜視図である。 本実施形態の等速ジョイント用ブーツの軸方向断面図である。 本実施形態の等速ジョイント用ブーツの大径筒部の要部拡大断面図である。 本実施形態の等速用ジョイントブーツを組み付け、シャフトを最大ジョイント角に傾斜させた場合の蛇腹部の変形の様子を示す要部断面図である。 従来の等速ジョイント用ブーツの大径筒部の要部拡大断面図である。 従来の等速用ジョイントブーツを組み付け、シャフトを傾斜させた場合の蛇腹部の変形の様子を示す要部断面図である。 実施例と比較例の等速ジョイント用ブーツのシール面圧の測定結果を示す説明図である。
符号の説明
1:ブーツ本体 2:グロメット 3:ジョイントアウターレース(相手部材) 5:クランプ 10:小径筒部 11:大径筒部 112:肩部 112a:屈曲部 12:蛇腹部 22:シール突条 31:第1谷部

Claims (3)

  1. シャフトに保持される小径筒部と、該小径筒部と離間して同軸的に配置され該小径筒部より大径の大径筒部と、該小径筒部と該大径筒部とを一体的に連結する略円錐台形状の蛇腹部とからなり、該大径筒部は軸方向に延び屈曲部で該蛇腹部に連なる肩部を有するブーツ本体と、
    該大径筒部より軟質の材料から形成され内周断面が非円形で内周表面にシール突条を有し、該大径筒部内に挿入された後に相手部材に嵌合されるリング状のグロメットとよりなり、
    該大径筒部の外周表面から締結部材を縮径させることで相手部材に該大径筒部及び該グロメットが締結される等速ジョイント用ブーツであって、
    前記大径筒部および前記グロメットが前記相手部材に締結された状態において、該グロメットの前記蛇腹部側の端面は、該相手部材の該蛇腹部側の端面から後退する方向に離間し、かつ、該大径筒部の前記屈曲部は、該相手部材の該端面から該蛇腹部側へ進出する方向に離間していることを特徴とする等速ジョイント用ブーツ。
  2. 前記大径筒部の前記屈曲部と前記相手部材の前記端面との軸方向の離間距離が、前記グロメットの軸方向長さの40%以下となるように形成されている請求項1に記載の等速ジョイント用ブーツ。
  3. 前記蛇腹部は、複数の谷部と山部が交互に連続してなり、該山部および該谷部の径が前記大径筒部から前記小径筒部へと順次小さくなるように形成されている請求項1または2に記載の等速ジョイント用ブーツ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012207768A (ja) * 2011-03-30 2012-10-25 Toyo Tire & Rubber Co Ltd ジョイントブーツ
JP2019044932A (ja) * 2017-09-06 2019-03-22 キーパー株式会社 樹脂製cvjブーツ

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