JP2009084671A - 電気めっき方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】界面活性剤を含むめっき液の泡沫層中で電気めっきを行う場合、安定しためっき液の泡沫層を確保し、めっき皮膜のピンホールやピットの発生を抑制する電気めっき方法を提供する。
【解決手段】界面活性剤を含むめっき液の直径0.5mm未満の泡から構成され、10秒間における体積減少率が50%以下であるように調製しためっき液泡沫を陽極及び被めっき部材である陰極とに接触させ、被めっき部材の表面にめっき液泡沫を連続的に供給しながら、陰極及び陽極間に電圧を印加し被めっき部材の表面にめっき皮膜を形成する電気めっき方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気めっき方法に関し、より詳しくは、めっき液の泡沫による電気めっき方法に関する。
従来、電気めっきを行うに際し、めっき浴中のめっき液を撹拌し、めっきの効率を高める方法が報告されている。
例えば、特許文献1には、めっき浴の底部に多数の微細孔を有する気泡発生管を設け、そこから発生する微細気泡によりめっき浴を撹拌しながらめっきを行う際に、界面活性剤を添加してめっき浴の表面張力と、さらに微細気泡の直径及び発生量を調整するめっき方法が記載されている。
特開平05−112898号公報
ところで、一般に、電気めっきにおいては、金属イオンの還元と並行して水の電気分解が進行し、これにより発生する水素気泡が被めっき部材の表面に付着する。このため、めっき皮膜を貫通する孔(ピンホール)や、めっき皮膜内の穴(ピット)を生じるという問題がある。ピンホールは小さくてもめっき皮膜の基材に対する保護性能を低下させる。また、大きなピットやピンホールは概観を悪くする。
こうした問題のほかに、貴金属等のように、めっきする金属種が高価な場合には、経済的な観点から、めっき液の使用量を極力少なくし、めっき工程におけるめっき液の損失を削減できることが好ましい。
このような問題の改善策として、界面活性剤を含むめっき液の泡沫層中で電気めっきを行う方法が挙げられる。この方法によれば、金属イオンの輸送が気泡の移動によって制御され、また、水素気泡が泡沫層中に取り込まれる。その結果、通常のめっき液中で電気めっきを行う場合と比較して、ピンホールやピットの発生が低減する。
また、めっき液の泡沫層中で電気めっきを行う場合、同程度の厚みのめっき皮膜を形成するのに必要なめっき液の使用量を、めっき液そのものを用いる場合に比べて5分の1以下にすることができる。
しかし、界面活性剤を含むめっき液の泡沫層中で電気めっきを行う場合は、めっき液の気泡の寿命や大きさにより、電気めっきの効率が影響されるという問題が生じる。
本発明の目的は、界面活性剤を含むめっき液の泡沫層中で電気めっきを行う場合、安定しためっき液の泡沫層を確保し、めっき液の使用量を削減するとともに、めっき皮膜のピンホールやピットの発生を抑制する電気めっき方法を提供することにある。
かくして本発明によれば、界面活性剤を含むめっき液の直径0.5mm未満のさまざまな直径の泡の集合体から成り、10秒間における体積減少率が50%以下であるめっき液泡沫を調製し、めっき液泡沫と陽極及び被めっき部材である陰極とを接触させ、めっき液泡沫と接触させた被めっき部材の表面にめっき液泡沫を連続的に供給し、陰極及び陽極間に電圧を印加し被めっき部材の表面にめっき皮膜を形成することを特徴とする電気めっき方法が提供される。
ここで、めっき液に界面活性剤を添加することにより、めっき液の表面張力が、(界面活性剤をめっき液に添加した場合の臨界ミセル濃度における表面張力+15mN/m)以下となるまで界面活性剤を添加することが好ましい。
また、めっき液泡沫と接触させた被めっき部材を、めっき液泡沫中で移動させることが好ましい。
さらに、被めっき部材と接触させためっき液泡沫を移動させることが好ましい。
かくして本発明によれば、安定しためっき液の泡沫層を確保し、めっき皮膜のピンホールやピットの発生が抑制される。
以下、本発明の実施の形態について、金属部材の電気めっき方法を例にして詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。また、使用する図面は、本実施の形態を説明するために使用するものであり、実際の大きさを表すものではない。
本実施の形態において使用するめっき液は、所定の溶媒に、一種又は二種類以上の金属の塩、有機電解質、リン酸等の酸、アルカリ物質等の各種電解質を溶解させたものが用いられる。溶媒は水を主成分とする。
さらに、溶媒の主成分である水には、めっき液泡沫の寿命を制御するため種々の添加剤を加えてもよい。このような添加剤としては、例えば、エチレングリコールまたはそのオリゴマー、グリセリン等のアルコール類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の直鎖状カーボネート類等が挙げられる。
また、例えば、ポリアクリル酸等の陰イオン系電解質;ポリエチレンイミン等の陽イオン系電解質;クマリン、サッカリン(1,2−ベンゾイソチアゾール−3(2H)−オン1,1−ジオキシド)(10mg/L)、2−ブチン1,4−ジオール(5mg/L)等の添加剤等を添加してもよい。
金属の塩としては、析出させる金属、合金、酸化物の種類等を考慮して適宜選択される。電気化学的に析出させることができる金属としては、例えば、Cu、Zn、Cr、Fe、Co、Ni、Ag、In、Sn、Ru、Rh、Pd、Au、W、Ir、Pt等が挙げられる。
尚、めっき液には、上記物質の他に、溶液の安定化等を目的として一種又はそれ以上の物質を含むことができる。具体的には、析出する金属のイオンと錯塩をつくる物質、めっき液の導電性を向上させるためのその他の塩、めっき液の安定剤、めっき液の緩衝剤、析出金属の物性を変える物質、陰極の溶解を助ける物質、めっき液の性質あるいは析出金属の性質を変える物質、二種以上の金属を含む混合溶液の安定剤等を挙げることができる。
めっき液の主成分の具体的な例は、以下の通りである。例えば、銅を析出させる場合のめっき液の主成分としては、結晶硫酸銅及び硫酸、ホウフッ化銅及びホウフッ酸、シアン化銅及びシアン化ソーダ、ピロリン酸銅、ピロリン酸カリウム及びアンモニア水;ニッケルを析出させる場合のめっき液の主成分としては、硫酸ニッケル、塩化アンモニウム及びホウ酸、硫酸ニッケル、塩化ニッケル及びホウ酸、スルファミン酸ニッケル、塩化ニッケル及びホウ酸;クロムを析出させる場合のめっき液の主成分としては、クロム酸及び硫酸、クロム酸、酢酸バリウム及び酢酸亜鉛;亜鉛を析出させる場合のめっき液の主成分としては、硫酸亜鉛、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、ホウ酸、及びデキストリン、酸化亜鉛、シアン化ソーダ、及び苛性ソーダ、酸化亜鉛及び苛性ソーダが挙げられる。
スズを析出させる場合のめっき液の主成分としては、硫酸第一スズ、硫酸、クレゾールスルホン酸、β−ナフトール及びゼラチン、スズ酸カリ及び遊離苛性カリ;銀を析出させる場合のめっき液の主成分としては、シアン化銀及びシアン化カリ;金を析出させる場合のめっき液の主成分としては、金、シアン化カリ、炭酸カリ及びリン酸水素カリ;白金を析出させる場合のめっき液の主成分としては、塩化白金酸、第二リン酸アンモニウム及び第二リン酸ソーダ、塩化白金酸及び酢酸塩;ロジウムを析出させる場合のめっき液の主成分としては、濃硫酸及びロジウム、リン酸及びリン酸ロジウム等が挙げられる。
ルテニウムを析出させる場合のめっき液の主成分としては、ルテニウム錯体;黄銅を析出させる場合のめっき液の主成分としては、シアン化第一銅、シアン化亜鉛、シアン化ナトリウム及び炭酸ナトリウム;鉄ニッケル合金を析出させる場合のめっき液の主成分としては、スルファミン酸ニッケル、スルファミン酸第一鉄及び酢酸ナトリウム;コバルト燐を析出させる場合のめっき液の主成分としては、塩化コバルト、亜リン酸、及びリン酸等が挙げられる。
本実施の形態が適用される電気めっき方法において使用するめっき液は界面活性剤を含有する。界面活性剤としては、特に限定されず、公知の陰イオン性、非イオン性、陽イオン性、及び両性イオン性界面活性剤を、必要に応じて、少なくとも一種以上を適宜選択して使用することができる。
具体的には、陰イオン性界面活性剤としては、例えば、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、リン酸エステル、パーフルオロオレフィンスルホン酸塩、パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、パーフルオロエーテルスルホン酸塩等が挙げられる。
尚、これらの陰イオン性アニオン界面活性剤の塩のカチオンとしては、例えば、ナトリウム、カリウム、ジエチルジメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数C4〜C25アルキルフェノール系、炭素数C4〜C20アルカノール、ポリアルキレングリコール系等が挙げられる。
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ラウリルジメチルエチルアンモニウム塩、ジメチルベンジルラウリルアンモニウム塩等が挙げられる。
両性イオン性界面活性剤としては、例えば、ベタイン、スルホベタイン、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキシドとアルキルアミン又はジアミンとの縮合生成物の硫酸化又はスルホン酸化付加物等が挙げられる。
本実施の形態が適用される電気めっき方法においては、合金めっきを行い、めっき皮膜の色調、磁性、接合性、導電性の向上等を図ることが可能である。適用できる合金めっきとしては、例えば、Au合金、Ag合金、Cu合金等が挙げられる。さらに、Ni−P、Co−Mo、Co−Ti、Fe−Mo等が挙げられる。
本実施の形態が適用される電気めっき方法においては、アルミナや炭化珪素等の微粒末をめっき液中に分散させ、これらの微粒子をめっき金属の中へ共析させる複合めっきを行い、めっき皮膜の耐磨耗性、潤滑性、耐食性の向上等を図ることが可能である。複合めっきにおいて用いられる微粒末は、特に限定されないが、通常の複合めっきに用いられるものであれば使用することができる。
微粒末の具体例としては、例えば、Al、TiO、SiO等の金属酸化物;ダイヤモンド、SiC、TiC、WC、黒鉛等の炭素化合物;コランダム;PTFE等の高分子の粉末等が挙げられる。
本実施の形態において、金属部材に対して、界面活性剤を含むめっき液の直径1mm以下の泡から構成され、10秒間における体積減少率が50%以下であるめっき液泡沫を用いて電気めっきが行われる。めっき液泡沫の10秒間における体積減少率が過度に大きいと、長時間安定して電気めっきを行うことが困難になる。
ここで、めっき液泡沫は、前述しためっき液の直径1mm以下の泡の集合体を意味する。めっき液の泡の直径が過度に大きいと、電気めっきにより形成されるめっき皮膜中のピンホールやピットは減少しない。
次に、めっき液泡沫の体積減少率は、以下の通りに定義される。
図1は、めっき液泡沫の体積減少率の測定方法を説明する図である。図1(a)に示すガラス容器101中には、所定量の界面活性剤を添加しためっき液103が収容され、所定の大きさの細孔を有するグラスフィルタ113と、ガラス容器101の上部からガラス容器101中に挿入されてグラスフィルタ113と連通する送気管112と、が取り付けられている。
次に、図1(b)に示すように、送気管112を介して供給された所定の圧力の窒素ガス(Nガス)がグラスフィルタ113から吐出することにより、界面活性剤を含有するめっき液103が発泡し、めっき液103の上面から所定の高さ(H)に達するまで連続的な泡沫層111が形成される。
続いて、図1(c)に示すように、窒素ガス(Nガス)の供給を停止することにより、めっき液103の発泡が停止する。このとき、めっき液103の発泡が停止してから10秒後に、ガラス容器101内に気相部104が生じ、連続的な泡沫層111の高さが、めっき液103の上面から(H/2)の高さになる場合を、体積減少率50%と定義する。
図1において、グラスフィルタ113のフィルタサイズは特に限定されないが、通常、5μm〜100μmである。窒素ガス(Nガス)の供給圧力はグラスフィルタ113のフィルタサイズと面積、得られるめっき液の泡の径に応じ適宜選択され特に限定されないが、通常、1kPa〜100kPaである。
本実施の形態において、界面活性剤は、めっき液に界面活性剤を添加することにより、少なくともめっき液の表面張力が大きく低下しなくなる濃度に達するまで必要な所定量が添加される。即ち、めっき液に界面活性剤を添加することにより、めっき液の表面張力が徐々に低下するが、所定の濃度を越えると、界面活性剤がめっき液の溶媒の表面を充分に覆うことができるようになる。このため、めっき液の表面張力が大きく低下しなくなることによる。
具体的には、めっき液の表面張力が、(界面活性剤をめっき液に添加した場合の臨界ミセル濃度における表面張力+15mN/m)以下となるまで界面活性剤を添加することが好ましい。
また、めっき液に添加する界面活性剤の量は、使用する界面活性剤の種類によって適宜決められ、特に限定されないが、通常、めっき液中の濃度として、0.001重量%以上、好ましくは、0.005重量%以上使用する。但し、使用量の上限は、5重量%以下、好ましくは、1重量%である。
界面活性剤を含むめっき液の泡から構成されるめっき液泡沫の調製方法は、特に限定されず、界面活性剤、めっき液の種類により適宜選択される。例えば、界面活性剤を含むめっき液を満たすめっき槽の底部から、細かいフィルタを通して不活性ガスを供給する方法、超音波振動を用いる方法等が挙げられる。このとき、めっき液の直径は、使用するフィルタのフィルタサイズにより調整することができる。
また、例えば、めっき槽の外部に界面活性剤を含有するめっき液を調製するための収容槽を設け、その収容槽内において連続的な泡沫層を形成し、適当な供給ラインを介してめっき槽内に供給する方法を採用することも可能である。さらに、例えば、工業的に、電気亜鉛めっきラインにおいて行われているように、鋼板等の被表面処理金属部材を、めっき液からなる泡沫層に満たされた電気めっき槽中に連続的に供給し、電気めっきを行うこともできる。
めっき液の泡の径の分布は、水の電気分解によって生じる水素の気泡の径の分布に応じ、広いことが好ましい。
このような径分布が広いめっき液の泡の集合体である泡沫は、例えば、既存の泡沫を発生させる手法を組み合わせることによって得られる。例えば、孔径の異なるフィルタをめっき液中に置き、それぞれのフィルタに所定の圧力の気体を送入することによって、径分布が広いめっき液の泡沫が得られる。また、このようにして発生させた気泡に、所定のせん断変形を加えて気泡を分裂させることにより、さらに微細な気泡を得ることができる。
電気めっきを行う場合、このようなめっき液の泡を発生させる複数の機構を同時に作動させ、得られた径分布が広いめっき液の泡沫を電気めっき槽中に供給してもよい。また、複数の機構を逐次に作動させ、得られる泡の径分布が異なるめっき液の泡沫を、逐次、電気めっき槽中に供給してもよい。
本実施の形態が適用される電気めっき方法における電気めっきの条件は、電気めっきを行う金属の種類により適宜選択され、特に限定されない。例えば、ワット浴を用いるニッケルめっきの場合、通常、使用するめっき液の濃度は、260g/l〜490g/l、好ましくは、300g/l〜400g/lである。また、めっき液のpHは、通常、1.5〜5.0、好ましくは、3.0〜4.8である。電気めっきの温度は、通常、40℃〜70℃、好ましくは、45℃〜60℃である。
本実施の形態が適用される電気めっき方法によれば、安定しためっき液の泡沫層を確保し、めっき皮膜のピンホールやピットの発生が抑制される。
さらに、本実施の形態が適用される電気めっき方法によれば、界面活性剤を含有するめっき液からなる連続した泡沫層中で電気めっきを行うので、めっき液の使用量を、通常の5分の1以下に減少させることが可能である。
このため、電気めっき終了後、被めっき体を泡沫層中から引き上げた際のめっき液の汲み上げ量が、通常の5分の1程度に減少し、電気めっき工程の大幅なコストダウン等、省資源化が可能となる。
本実施の形態が適用される電気めっき方法は、通常、所定のめっき装置を用いて行われる。めっき装置としては特に限定されず、例えば、ステンレス鋼等で形成されためっき槽と、直流電源と、直流電源の正極側に導通する陽極と、負極側に導通する被めっき部材である陰極と、を備え、さらに、界面活性剤を含むめっき液の泡沫層を形成する手段及びめっき液泡沫を被めっき部材に連続的に供給する手段とを有するものが挙げられる。
めっき液泡沫を被めっき部材に連続的に供給する方法としては、例えば、図1に示すような装置の上部に溢れた泡沫を回収する流路を設けた装置とし、下部のめっき液中で泡を発生させ、めっき液の上に泡沫層を形成し、継続的に泡沫を生成させながらこの泡沫層中で電気めっきを行う方法が挙げられる。この場合、簡単な装置構成により、めっき液泡沫を被めっき部材に連続的に供給することができる。
また、めっき槽内に予め調製されためっき液泡沫を満たし、このめっき泡沫中で被めっき部材を移動させる方法が挙げられる。この場合、被めっき部材の移動方法としては、めっき槽内で円運動するように回転させる方法、または、めっき槽の一方の端部から他方の端部まで直線的に移動させ、必要に応じて往復させる方法が挙げられる。
さらに、めっき槽に被めっき部材を固定し、予め外部で調製しためっき液泡沫をめっき槽内に供給し、めっき液泡沫を連続的に移動させる方法等が挙げられる。
尚、本実施の形態が適用される電気めっき方法は、金属部材の電気めっき以外に、例えば、陽極酸化被膜の形成、電解研磨、電解加工、電気泳動塗装、電解精錬、化成処理等の電気化学的表面処理に適用が可能である。
以下、実施例に基づき本実施の形態についてさらに詳述する。但し、本実施の形態はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例又は比較例中の部及び%は、特にことわらない限り、総て重量基準である。
(1)めっき液の調製
水1000部に、硫酸ニッケル240部、塩化ニッケル45部及び硼酸30部を溶解し、光沢剤(奥野製薬工業株式会社製アクナNCF−MU)を添加し、pH4〜5に調整した。
次に、界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)を所定量添加し、めっき液泡沫の体積減少率が異なるめっき液を調製した。
尚、めっき液泡沫の10秒間における体積減少率が50%以下になるようにするためには、ラウリル硫酸ナトリウムの濃度が0.01重量%以上が必要である。
(2)電気めっき処理
陽極に純ニッケル板、陰極に真鍮板を用い、めっき液泡沫の体積減少率が異なるめっき液をそれぞれ用いて、50℃において、電流密度2.5mA/dmの条件で、所定時間、電気めっき処理を行い、真鍮板の表面にニッケルめっき皮膜を形成した。
(3)めっき皮膜のピットの観察
電気めっき処理により、真鍮板の表面に、厚さ約30μmのニッケルのめっき皮膜を形成し、その表面をスケール付ルーペ(倍率10倍)により観察し、以下の基準によりピットあるいはピンホールの有無を評価した。
○:径20μm以上のピットやピンホールが観察されない。
△:径20μm以上のピットやピンホールがわずかに観察される。
×:径20μm以上のピットやピンホールが多数観察される。
(実施例1、比較例1〜3)
界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウムの濃度が0.1重量%になるように添加し、めっき液泡沫の10秒間における体積減少率が50%以下になるめっき液を調整した。また、界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウムの濃度が0.005重量%になるように添加し、めっき液泡沫の10秒間における体積減少率が50%以上になるめっき液を調整した。さらに、10秒間における体積減少率が異なる各めっき液中に、フィルタサイズが異なるフィルタを通して窒素ガスを吹き込み、直径0.5mm未満の泡と、直径0.5mm以上の泡とから構成されるめっき液泡沫をそれぞれ形成し、これらの4種類のめっき液泡沫を用いて電気めっきを行った。電気めっきの間は、被めっき部材である真鍮板の表面に新しいめっき液泡沫が供給されるように、常にめっき液泡沫を移動させた。
被めっき部材である真鍮板の表面に形成されたニッケルめっき皮膜の観察を行い、その結果を表1に示す。
Figure 2009084671
表1の結果から、界面活性剤を含むめっき液の直径0.5mm未満の泡から構成され、10秒間における体積減少率が50%以下であるめっき液泡沫を用いた電気めっきにより(実施例1)、表面にピットが観察されない均一なニッケルめっき皮膜が形成されることが分かる。
一方、界面活性剤を含むめっき液の直径0.5mm以上の泡から構成され、10秒間における体積減少率が50%以下であるめっき液泡沫を用いた電気めっき(比較例1)では、ニッケルめっき皮膜にピットがわずかに生じることが分かる。
また、10秒間における体積減少率が50%以上であるめっき液泡沫を用いた電気めっきでは(比較例2、3)、いずれもニッケルめっき皮膜にピットが生じることが分かる。
めっき液泡沫の体積減少率の測定方法を説明する図である。
符号の説明
101…ガラス容器、103…めっき液、104…気相部、111…泡沫層、112…送気管、113…グラスフィルタ

Claims (4)

  1. 界面活性剤を含むめっき液の直径0.5mm未満のさまざまな直径の泡の集合体から成り、10秒間における体積減少率が50%以下であるめっき液泡沫を調製し、
    前記めっき液泡沫と陽極及び被めっき部材である陰極とを接触させ、
    前記めっき液泡沫と接触させた前記被めっき部材の表面に当該めっき液泡沫を連続的に供給し、
    前記陰極及び前記陽極間に電圧を印加し前記被めっき部材の表面にめっき皮膜を形成する
    ことを特徴とする電気めっき方法。
  2. 前記めっき液の表面張力が、(前記界面活性剤をめっき液に添加した場合の臨界ミセル濃度における当該表面張力+15mN/m)以下となるまで当該界面活性剤を添加することを特徴とする請求項1に記載の電気めっき方法。
  3. 前記めっき液泡沫と接触させた前記被めっき部材を、当該めっき液泡沫中で移動させることを特徴とする請求項1に記載の電気めっき方法。
  4. 前記被めっき部材と接触させた前記めっき液泡沫を移動させることを特徴とする請求項1に記載の電気めっき方法。
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