JP2009081494A - 温度補償型発振器 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用する発振子によって、温度変化による発振子の温度変調特性と周波数を一定に保つ変調回路の電圧可変容量素子の電圧可変特性とに相互的な整合がとれない場合があった。
【解決手段】発振状態にある発振子15の初期周波数合わせ時に、温度変化による発振子15の周波数変調の周波数補正範囲に対し、その変調制御を行う電圧可変容量素子25,26を、使用用途ごとに確実に制御が可能な電圧可変範囲を選定して、常にその電圧可変範囲で動作するための初期電圧を発生する。
【選択図】図1

Description

この発明は、周囲温度の変化に関わらず出力信号の周波数を略一定に保つようにした温度補償型発振器に関し、特にその温度補償機能の有効状態と無効状態とを制御することができる温度補償型発振器にする。
発振器は、電子機器の振動源として、多様な分野のシステムにおいて使用されているが、その中にある温度補償型発振器(TCXO)は、近年、特に携帯電話等の通信機器の基準クロックとして多用されている。
この温度補償型発振器は、携帯される機器に搭載する用途から小型でなければならないことと、通信機器駆動に適した周波数帯域、および水晶振動子の周波数温度特性の変動が小さいなどの理由から、ATカット水晶振動子を振動源とするのが一般である。
ATカットの水晶振動子(水晶片)とは、水晶塊から水晶の板および個片まで加工するまでの最初の切断方位を示し、多様にある切断方位の水晶振動子の中で、温度に対する周波数変動が、最も小さいとされる。
しかし、それでも上述のような携帯電話等の通信機器への用途としては、何らかの温度補償をしなければならない。
温度補償型発振器は、ATカット水晶振動子の周波数温度特性にある1次項と3次項と、さらに高次項についても、その温度特性を打ち消す機能を備えている。
温度補償型発振器は、一般に水晶振動子をパッケージに入れて真空にした状態で封止する。パッケージには、長期に渡って水晶振動子表面を汚染してしまう分子などのガスを排出しないセラミックが使用されることが多い。
そして、水晶振動子を駆動するための発振回路部品は、このパッケージに外付けまたは内部に実装される。例えば、断面構造がアルファベットのH文字に似た形をして、H文字の上部と下部とにあるくぼみの一方に水晶振動子(水晶片)を入れて実装し、もう一方のくぼみに発振回路部品を実装するパッケージング構造が知られている。また、パッケージに水晶振動子(水晶片)と、発振回路部品とを同室に実装する構造も知られており、この構造を有するパッケージングは、シングルタイプと呼ぶことがある。
ここで、シングルタイプのパッケージの構成例を図11に示す。この温度補償型発振器は、パッケージ本体11と溶接シーリング12と蓋13とによってパッケージ10を構成しており、その内部に水晶片15と後述するIC(集積回路)チップ16とを同室に取り付けて密封している。なお、パッケージ本体11中にICチップ16の他にチップコンデンサ等の回路素子を実装する場合もある。
図11に示すICチップ16の温度補償型発振器の回路構成は、図12に示すようになっている。発振回路20は、水晶片15と反転増幅器21と帰還抵抗22とを並列に接続し、その両接続点にそれぞれ発振容量を備えた構成であり、発振容量とは、直流カット用容量23と電圧可変容量素子(電圧制御型可変容量素子)25とを直列接続した直列体と、直流カット用容量24と電圧可変容量素子(電圧制御型可変容量素子)26とを直列接続した直列体とで構成されている。そして、反転増幅器21の出力点14は、直接に水晶片15と発振容量とに接続せず、減衰抵抗素子18を挿入している。また反転増幅器21の出力信号は、外部出力用の増幅器(図示せず)で増幅されてから温度補償型発振器の外部へ出力される。
さらに、この発振回路20における水晶片15の近傍の温度状態を検出する温度検出回路81と、その温度検出回路81で得られる温度信号に基いて発振回路20の発振周波数を略一定に保つように制御するDA変換回路82とを設けている。このDA変換回路82が、発振回路20の周波数を制御するための設定値は、補償データメモリ回路(不揮発性メモリ)83で保持されていて、温度補償型発振器は通常、温度検出回路81と温度補正回路82とを備えた温度補償回路80を構成している。
また温度補償機能のほかに、所定の発振周波数に合わせるための常温時周波数調整回路84と、通信機器用途における同期調整用に外部入力端子37を備えて、周波数電圧制御機能を備えているものが多い。このための外部周波数調整回路85とを加えた構成となっている。
したがって、温度補償型発振器は、温度補償回路80と常温時周波数調整回路84と外部周波数調整回路85とからの合成信号によって周波数制御されている。
このような温度補償型発振器において、水晶片15は、製造の上で、個体間のバラツキ無しに作ることはできず、個体間それぞれ固有の発振周波数や温度−周波数特性を有してしまう。したがって、全ての水晶片15を同一の基準によるICチップ16で温度補償することはできない。このためにICチップ16では、水晶片15に対する個体別の温度補償データを作成して補償データメモリ回路83に記憶させることが必要になる。しかし、水晶片15の特性のバラツキが大きいと補償しきれなくなるので、予め水晶片15の特性をできるだけ揃えるように調整する必要がある。
水晶片15の特性を調整するには、実際に水晶片15を挟むように2つ金属電極を形成したのち、その金属電極に、例えばネットワークアナライザなどで外部から交流の電界を加えて共振する周波数を測定し、所定の周波数の値になるように水晶片15に形成した金属電極膜厚を除去または追加する方法がある。
しかし、この調整方法では、共振周波数を調整するときの発振条件と、実際に発振回路20で発振させるときの発振条件とが異なるので、調整後の共振周波数にずれが生じてしまうという問題があった。このため、調整ステップも多くなり、調整コストが余分にかかっていた。さらに、共振周波数のずれは、常温時周波数調整回路84によって補正することになるが、そのずれが大きいと補償しきれなくなってしまう。
このような問題を解決するため、パッケージ内に水晶片15とICチップ16を実装した状態で、実際に発振回路20を動作させながら水晶片15の特性を調整できるようにして、且つその後の補償データの作成とそれを補償データメモリ回路に記憶させる作業も続けて行えるようにし、調整工程の簡素化と高精度化を図れるようにした温度補償型発振器が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に示した従来技術は、温度補正回路の温度補正機能を有効状態にするか無効状態にするかを選択する選択回路を設けたものであり、基準温度(常温)で発振周波数が所定の周波数になるように初期の水晶片の金属電極膜厚を調整する際には、温度補正機能を無効状態にして単なる発振器として動作させている。
具体的には、温度補正回路のほかに定電圧発生回路を別に設けて、その温度補償回路の出力信号と、定電圧発生回路の出力信号とをそれぞれトランスミッションゲートを用いた選択回路で選択する手段を設けて、温度補正機能を有効状態にするときは、温度補正回路からの温度補正信号を発振回路の可変容量素子に印加してその容量値を温度に応じて制御し、温度補正機能を無効状態にするときは、定電圧発生回路からの定電圧を可変容量素子に印加してその容量値を所定値に固定するように、選択回路のトランスミッションゲートを切り替えるようにしている。
特開2003−218636号公報(第4−9項、第1図)
特許文献1に示した従来技術は、水晶片の金属電極膜厚を調整する際には、温度補正機能を無効にできるので、容易に発振周波数を所定の周波数に調整できる。
しかし、組み合わせる水晶片とICチップ内の電圧可変容量素子とによっては、水晶片の温度特性の最大周波数と最小周波数とを一定周波数に補正するときに、電圧可変容量素子の容量値の可変範囲が最適な値で制御されるとは限らない場合もある。
この最適な値とは、例えば、C−V特性において、電圧可変容量素子が最大容量値なる制御電圧と最小容量値になる制御電圧との中間電圧であったり、または、C−V特性が線形関係になる制御電圧範囲の中間電圧であったりする。このため、使用用途に合わせた定電圧を印加することも必要である。
本発明は、温度補償機能を無効状態にしたとき、電圧可変容量素子へ使用用途に合わせた電圧印加を行うことができる技術を提供するものである。
本発明による温度補償型発振器は、以下のような構成を採用するものである。
発振周波数の基となる振動を発生する発振子と電圧可変容量素子とを備えた発振回路と、発振回路近傍の温度を検出する温度検出回路と、温度検出回路の情報に基いて、温度補償信号としての電圧信号を生成する温度補償回路と、を有し、電圧信号が電圧可変容量素子に印加されることによって電圧可変容量素子の容量値が変化し、発振周波数を略一定に保つ構成の温度補償型発振器であって、
温度補償回路は、発振子の温度特性に順じて、電圧可変容量素子が構造上得られる最大容量値と最小容量値との間の所定の容量値の範囲を選択し、
温度補償回路の温度補償が無効になるときには、所定の容量値の範囲に入るように電圧可変容量素子の一方の電極に第1の電圧信号が印加され、もう一方の電極に第2の電圧信号が印加されることを特徴とする。
温度補償回路は、温度補償が有効のときには、温度補償信号としての電圧信号を生成し、温度補償が無効のときには、第1の電圧信号を生成することを特徴とする。
温度補償回路とは別に、電圧信号を生成して発振周波数を可変する機能を有する周波数調整回路を設け、温度補償回路の温度補償が無効になるときに、周波数調整回路は、第2の電圧信号を生成することを特徴とする。
不揮発性のメモリ回路を有し、温度補償回路および周波数調整回路は、メモリ回路に記憶している情報によって電圧可変容量素子の一方もしくは両電極に第1の電圧信号または第2の電圧信号を印加することを特徴とする。
不揮発性のメモリ回路は、少なくとも3ビットの記憶素子を有し、温度補償回路および周波数調整回路は、記憶素子中の特定の少なくとも1ビットの情報が他ビットの情報とは異なる記憶状態にあるときのみ、第1の電圧信号または第2の電圧信号を生成して、電圧可変容量素子を制御することを特徴とする。
温度補償回路および周波数調整回路は、DA変換回路で構成されていて、記憶素子中の
特定の少なくとも1ビットの情報が他ビットの情報とは異なる特定の記憶状態にあるときのみ、第1の電圧信号または第2の電圧信号を生成することを特徴とする。
本発明による温度補償型発振器は、温度補償機能や標準周波数合わせを行う周波数調整機能を無効状態にするとき、使用する発振子の温度特性に順じて、電圧可変容量素子のC−V特性のうちで、最良な容量値の変化が得られる電圧可変の範囲を選択し、その選択した電圧可変の範囲の中で電圧可変容量素子が特定の容量値となるようにして初期周波数合わせを行うことができる。このようにすることで、温度補償機能を有効にしたとき、使用する発振子の周波数温度特性を確実に補正することができる。
また、温度補償機能や標準周波数合わせを行う周波数調整機能を無効状態にするために専用の定電圧発生回路を必要とせず、無効状態と有効状態との切り替えも簡単に行うことができ、その製造工程において、初期の発振周波数調整作業を容易且つ確実に行うことができる。
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基いて具体的に説明する。本実施形態では、発振子に水晶振動子を用いる例で説明する。
[全体構成の説明:図1]
図1は、この発明による温度補償型発振器の実施形態の構成を示すブロック回路図である。
図1に示すように、水晶片15と反転増幅器21と帰還抵抗22とを並列に接続し、その反転増幅器21の入力側接続点には、直流カット用容量23と電圧可変容量素子25とが直列接続された直列体が接続され、反転増幅器21の出力側接続点には、直流カット用容量24と電圧可変容量素子26とが直列接続された直列体が接続されている。
この2つの直列体は、電圧可変容量素子25,26の片側電極を共通ノードとしていて、発振回路20の発振容量として機能する。
この共通ノードは、直流カット用容量27によって、接地電位(Gnd)から分離されている。
反転増幅器21の出力点14は、直接に水晶片15と発振容量とに接続せず、減衰抵抗素子18を介している。また、反転増幅器21の出力信号は、外部出力用の増幅器(図示せず)で増幅されてから温度補償型発振器の外部へ出力される。
図1で示す発振回路20は、2つの電圧信号によって発振周波数が制御される。
1つは、温度補償回路30で生成される電圧信号である。周囲温度の変化を温度検出回路35によって検知し、その検知した情報を基に補正信号発生回路36で、水晶片15の周波数温度特性を打ち消して発振回路20の発振周波数を略一定に保つように制御される。
その温度補償回路30からの電圧信号は、抵抗素子R1とR2とを介して電圧可変容量素子25,26の一方の電極に供給される。
もう1つは、常温時周波数調整回路38と、外部入力端子37から入力される電圧値によって発振周波数を調整する外部周波数調整回路39とを、加算回路6によって加算した電圧信号である。
この加算回路6からの電圧信号は、抵抗素子R3を介して電圧可変容量素子25と26との共通ノードに供給される。
温度補償回路30と、常温時周波数調整回路38と、外部周波数調整回路39とは、メモリ回路31と接続されている。
メモリ回路31内は、有効/無効データメモリ部32と補償データメモリ部33とで構成されていて、有効/無効データメモリ部32は、3ビット以上の複数のメモリ素子群9(図9参照)で構成しており、発振回路20の発振周波数に対し、後で詳細に説明する温度補償機能を有効にするか、あるいは無効にするかの情報を格納している。
補償データメモリ部33は、水晶片15の製造に大きく関わる個体間バラツキによって、発振周波数の温度特性などにバラツキが生じるため、水晶片15を個々に温度補償する際の調整値の情報を格納している。
本発明による温度補償型発振器は、発振回路20の発振周波数を調整する電圧可変容量素子25,26の両端子の電圧制御に、温度補償のための電圧信号の生成と、後で詳細に説明する温度補償型発振器の製造時に常に所定の電圧信号を印加するための電圧信号の生成との両方の機能を有する回路を設けて、メモリ回路31内の有効/無効データメモリ部32に格納される情報によって切り替えを可能にしている。
[温度補償型発振器の要部の説明:図1、図9]
図1に示す温度補償型発振器の温度補償回路30と、常温時周波数調整回路38と、外部周波数調整回路39とには、後述するDA変換回路がそれぞれ含まれている。DA変換回路は、デジタル信号をアナログ信号に変換する回路である。
ところで、有効/無効データメモリ部32は、図9に示す構成を用いることができる。図9に示すように、メモリ素子9a,9b,9cで構成するメモリ素子9とAND回路8とで構成している。
以下、DA変換回路について説明する。
DA変換回路は、メモリ回路31内の有効/無効データメモリ部32に格納された情報によって、DA変換機能が有効になる場合と、DA変換機能が無効になり所定のアナログ電圧を出力する場合との、2つ出力形態を有している。
そのDA変換回路のDA変換機能の有効および無効の制御は、例えば、図9で示すような有効/無効データメモリ部32内のメモリ素子9aとメモリ素子9bとメモリ素子9cとの情報(電圧出力)を論理回路AND回路8によって温度補償切替信号34に変換して行う。なお、図9に示す例では、メモリ素子9bの情報を論理反転してAND回路8に入力している。
DA変換機能を有効とするのは、温度補償切替信号34が論理“H”のときとし、無効とするのは温度補償切替信号34を論理“L”のときとする。
[DA変換回路の説明:図2〜図5]
ここで本発明に温度補償型発振器を構成するDA変換回路について説明する。DA変換回路には、例えば、図2に示すような回路ブロック構成がある。
図2に示すDA変換回路71は、電圧源67と電圧源68との間に複数の抵抗素子が直列に接続されて、その複数の抵抗素子によって電圧源67と電圧68との差の電圧が分割されるノードを有している。
分割されたノードは、選択回路70が接続されていて、補償データメモリ部33からの情報(デジタル信号)によって、分割されたノードの電圧(アナログ信号)が選択されて出力点75に出力される。
電圧源67と抵抗素子との間には、PMOSトランジスタP1が挿入されて、電圧源6
8と抵抗素子との間には、NMOSトランジスタN1が挿入されていて、図9で示す温度補償切替信号34によって制御される。
PMOSトランジスタP1のゲート電極には、温度補償切替信号34の論理反転した信号が印加されていて、NMOSトランジスタN1のゲート電極には、温度補償切替信号34が印加されている。
温度補償切替信号34が論理“H”であるときは、電圧源67と電圧源68との分割電圧を選択回路70にて出力点75に出力する動作を行い、温度補償切替信号34が論理“L”であるときは、PMOSトランジスタP1およびNMOSトランジスタN1によって、電圧源67と電圧源68との電圧が遮断されて、出力点75は高インピーダンスで電圧値不定となる。
また、DA変換回路は、例えば、図3に示す構成としてもよい。
図3に示すDA変換回路72の構成は、図2に示す回路ブロック構成とほとんど同じで、電圧源67と抵抗素子との間のPMOSトランジスタP1を取り去ったものである。
図2の各部と対応する部分には同一の符号と名称を付してあり、それらの説明は簡略する。
図3に示すDA変換回路72は、温度補償切替信号34が論理“H”であるときは、電圧源67と電圧源68との複数ノードの分割電圧を選択回路70にて選択して出力点75に出力するといった前述と同様な動作を行い、温度補償切替信号34が論理“L”であるときは、NMOSトランジスタN1によって電圧源68の電圧が遮断されて、補償データメモリ部33に格納された情報が如何なる場合においても、出力点75には電圧源67の電圧が出力される。
さらに、DA変換回路は、例えば、図4に示す構成としてもよい。
図4に示すDA変換回路73は、図2に示す回路ブロック構成とほとんど同じで、電圧源68と抵抗素子との間のNMOSトランジスタN1を取り去ったものである。
同様に図2の各部と対応する部分には同一の符号と名称を付してあり、それらの説明は簡略する。
図4に示すDA変換回路73は、温度補償切替信号34が論理“H”であるときは、電圧源67と電圧源68との複数ノードの分割電圧を選択回路70にて選択して出力点75に出力するといった図2に示すDA変換回路と同様な動作を行い、温度補償切替信号34が論理“L”であるときは、PMOSトランジスタP1によって電圧源68の電圧が遮断されて、補償データメモリ部33に格納された情報が如何なる場合においても、出力点75には電圧源68の電圧が出力される。
また、DA変換回路は、例えば、図5に示す構成としてもよい。
図5に示すDA変換回路74は、すでに説明したDA変換回路と異なり、電圧源67と抵抗素子との間に挿入したPMOSトランジスタP1と、電圧源68と抵抗素子との間に挿入したNMOSトランジスタN1とを取り去ったもので、代わりに補償データメモリ部33と選択回路70との間に演算回路79を備えている。
演算回路79は、有効/無効データメモリ部32に格納された情報によって、補償データメモリ部33に格納された情報を制御する。
もし、温度補償切替信号34が論理“H”であるときは、電圧源67と電圧源68との複数ノードの分割電圧を選択回路70にて選択して出力点75に出力するといった図2に示すDA変換回路と同様な動作を行うように、補償データメモリ部33の情報を加工しない。
反対に、温度補償切替信号34が論理“L”であるときは、補償データメモリ部33に
格納された情報が如何なる場合においても特定の情報に変換して、常に同じ分割電圧が出力点75に出力されるようにする。
特定の情報とは、例えば、温度補償回路が第1の電圧信号に対応する電圧を発生するために選択回路70で必要とされる複数ビットの選択信号である。
[温度補償回路の説明:図1,図5]
図1に示す温度補償型発振器の温度補償回路30には、例えば、図5に示すDA変換回路74が備えられる。
温度補償回路30は、温度検出回路35で水晶片15の周囲温度の変化を検知し、その検知した温度情報に基いて補正信号発生回路36で生成される水晶片15の周波数温度特性を打ち消すような信号を電圧として出力する。
この補正信号発生回路36には、周波数温度特性を補正するための関数発生回路が備えられていて、その関数発生回路に温度検出回路35で検知した温度情報を伝達する部分にDA変換回路74が備えられている。
このDA変換回路74は、メモリ回路31内の有効/無効データメモリ部32に格納された情報で後述する温度補償機能を有効状態にするときには、温度検出回路35で検知した温度情報を関数発生回路にどの程度(例えば温度変化に対する温度検出回路35で検知した電圧の変化)伝達するかを調整する。
一方で、温度補償機能を無効状態にするときには、温度情報の伝達を遮断し、温度補償回路30からは、所定の電圧信号しか出力しない。
[常温時周波数調整回路の説明1:図3,図10]
図1に示す常温時周波数調整回路38には、例えば、図3に示すDA変換回路72が備えられる。
常温時周波数調整回路38は、図3に示す電圧源67に例えば、図10で示すような定電圧回路60で発生する定電圧源69を接続し、電圧源68を接地電位とする。電圧源67に印加される定電圧源は、図10で示すように、基準電圧発生源63と差動部64とPMOSトランジスタ65と抵抗素子66とで構成されていて、正側電源61と負側電源(Gnd)62とを共有電源としている。
PMOSトランジスタ65と抵抗素子66とは、直列接続されていて、抵抗素子66はさらに複数に分割されている。その複数に分割されたノードの1つは差動部64に帰還されている。帰還されるノードを選択するのはメモリ回路31によって行われる。
基準電圧発生源63は、2つのPMOSトランジスタと2つのNMOSトランジスタと抵抗素子とによって構成されていて、2つのPMOSトランジスタは、ミラー回路を構成し、同様に2つNMOSトランジスタもミラー回路を構成している。2つのNMOSトランジスタの一方のソース電極と負側電源62との間に抵抗素子が挿入されている。このような構成の回路は、広く知られるものであり詳細な説明は省略する。
この基準電圧発生源63からは、正側電源61の電圧値に無関係な基準電圧を発生する。その基準電圧を基準として、差動部64は、定電圧源69の帰還と比較し、常に定電圧を発生する。差動部64は、差動用の2つのNMOSトランジスタと2つのミラー回路構成したPMOSトランジスタとで構成された回路であって、このような構成の回路も一般的に知られる差動回路である。
図3の電圧源67に印加する図10で示すような定電圧源69は、電圧源68との間に挿入した複数の抵抗素子によって電圧が多数に分割される。
常温時周波数調整回路38は、有効/無効データメモリ部32に格納された情報による
温度補償切替信号34の論理が“H”のときは、前述した補償データメモリ部33によって分割されたノードの電圧が1つ選択されて出力点75に出力される。
温度補償切替信号34の論理が“L”のときは、定電圧源69と同じ電圧が出力点75に出力される。
[常温時周波数調整回路の説明2:図4,図10]
常温時周波数調整回路38は、図3に示すDA変換回路72のほかに、図4に示すDA変換回路73で構成してもよい。
常温時周波数調整回路38は、図4に示す電圧源67に図10で示すような定電圧回路60で発生する定電圧源69を接続し、電圧源68を接地電位とする。電圧源67と電圧源68との間に挿入した複数の抵抗素子によって電圧が多数に分割される。
常温時周波数調整回路38は、有効/無効データメモリ部32に格納された情報による温度補償切替信号34の論理が“H”のときは、補償データメモリ部33によって分割されたノードの電圧が1つ選択されて出力点75に出力される。
温度補償切替信号34の論理が“L”のときは、電圧源68(接地電位)と同じ電圧が出力点75に出力される。
[常温時周波数調整回路の説明3:図5,図10]
また、常温時周波数調整回路38は、図5に示すDA変換回路74で構成してもよい。
常温時周波数調整回路38は、図5で示す電圧源67に、図10に示す定電圧源69を接続し、電圧源68を接地電位として、電圧源67と電圧源68との間に複数の抵抗素子を挿入して複数の分割された電圧値を有するノードを設ける。
常温時周波数調整回路38は、有効/無効データメモリ部32に格納された情報による温度補償切替信号34の論理が“H”のときは、補償データメモリ部33によって分割されたノードの電圧が1つ選択回路70によって選択されて出力点75に出力される。
温度補償切替信号34の論理が“L”のときは、補償データメモリ部33に格納された情報が如何なる場合においても、演算回路79によって所定の情報に変換されて、選択回路70で所定の電圧値が選択される。
なお、常温時周波数調整回路38を構成するDA変換回路において、電圧源68を接地電位とする実施形態を説明したが、電圧源68を接地電位とせずに、別の電源電圧を印加してもよい。
いずれの場合も、温度補償機能が無効状態にあるときに、電圧可変容量素子25,26の両電極に常に最適な電圧信号が印加されて、発振回路20が常に同じ条件で駆動されるようにする。その最適な電圧信号は、水晶片15の周波数温度特性と、電圧可変容量素子25,26のC−V特性によって決定するとよい。
[加算回路の説明]
次に、図1に示す加算回路6を説明する。
加算回路6は、差動回路と増幅回路とで構成された一般的なオペアンプ回路である。外部周波数調整回路39は、図5に示すDA変換回路74で構成されている。オペアンプ回路は、差動(+)側ノードに常温時周波数調整回路38で生成された電圧信号を入力(基準電圧となる)して、外部入力端子37から入力される電圧情報を圧縮する。外部入力端子37から入力された電圧情報は、図5で示すDA変換回路74の電圧源67に接続される。電圧源68は、オペアンプ回路の出力ノードに接続され、DA変換回路74の出力点75は、オペアンプ回路の差動(−)側ノードに帰還される。
外部周波数調整回路39を構成するDA変換回路74は、有効/無効データメモリ部32に格納された情報による温度補償切替信号34の論理が“H”のときは、補償データメモリ部33の情報を基に、電圧源67に入力される外部入力端子37の電圧情報と、電圧
源68に接続されたオペアンプ回路の出力ノードの電圧との分割電圧が選択回路70によって1つ選択され、オペアンプ回路に帰還される。このとき選択された分割電圧は、オペアンプ回路のイマジナリーショートによって常温時周波数調整回路38で生成した電圧信号とほぼ等しい電圧になるので、オペアンプ回路の出力ノードには常温時周波数調整回路38の電圧信号を基準に外部入力端子37の電圧情報を反転した電圧が出力される。
温度補償切替信号34の論理が“L”のときは、補償データメモリ部33に格納された情報が如何なる場合においても、演算回路79によって電圧源68の電圧を選択回路70によって選択するようにする。
選択回路70で選択された出力点75には、電圧源67の電圧情報が如何なる場合においても、極めて電圧源68と等しい電圧が出力され、オペアンプ回路に帰還されるので、オペアンプ回路はボルテージフォロワとして機能する。
したがって、外部入力端子37の電圧情報によらず、常に同じ電圧信号が発振回路20内の電圧可変容量素子25,26の共通電極へ供給される。
また、加算回路6は、高抵抗値を有する抵抗素子で構成されていてもよい。常温周波数調整回路38で生成される電圧信号と、外部周波数調整回路39で生成される電圧信号とを合成するとき、この2つの電圧信号を高抵抗値の抵抗素子を介して接続し、その抵抗素子のおおよそ中間点のノードを発振回路20内の抵抗素子R3と接続する。
なお、加算回路6の抵抗素子は、2つの電圧信号の電圧がそれぞれ干渉し合わないように高抵抗値を有している。この場合の外部周波数調整回路39は、図2で示すDA変換回路71で構成されて、電圧源67に外部入力端子37を接続し、電圧源68を接地電位とする。
有効/無効データメモリ部32に格納された情報による温度補償切替信号34の論理が“H”のときは、補償データメモリ部33によって電圧源67と電圧源68との分割された電圧が選択回路70によって1つ選択されて、加算回路6内の抵抗素子に印加されて、常温時周波数調整回路38からの電圧信号と加算される。
一方で、温度補償切替信号34の論理が“L”のときは、補償データメモリ部33に格納された情報が如何なる場合においても、前述のように温度補償切替信号34によって、外部入力端子37の電圧情報ならびに接地電位が遮断されて、加算回路6は、常温時周波数調整回路38で生成した電圧信号のみを出力する。
温度補償回路30および常温時周波数調整回路38のそれぞれを構成するDA変換回路71,72,73,74の何れかの構成要素は、発振回路20と組み合わされる水晶片15の温度周波数特性と、電圧可変容量素子25,26のC−V特性とから、使用用途に最適な使用電圧範囲を予め調べておいて、発振回路20を温度補償する温度範囲において、確実に電圧可変容量素子25,26がその使用電圧範囲内で駆動されるように、後述する標準温度において、所定の電圧信号が電圧可変容量素子25,26に印加されるようにする。
[電圧可変容量素子の説明:図6,図7,図8]
図6,図8は、図1に示す電圧可変容量素子25,26の構造例を説明する図である。図6は、MOSトランジスタの構造に似た電圧可変容量素子の断面を模式的に示したものである。このような構造をMIS型可変容量素子と呼ぶ。図8は、ダイオード型の電圧可変容量素子の断面を模式的に示したものである。
図6に示すMIS型可変容量素子は、P型の半導体基板上に形成する場合を例にしている。その構造は、MOS(金属−酸化膜絶縁体−半導体)型の可変容量素子である。P型半導体基板40の表面層にN型ウエル領域42を設け、MIS型可変容量素子の形成領域
とP型半導体基板40とを電気的に分離している。
そのN型ウエル42の表面上にゲート酸化膜44を設け、さらにその上部にゲート電極46を設けている。
N型ウエル領域42の電位は、N型ウエル領域42に選択的に高濃度不純物を注入して形成したN型領域47より与える。N型領域47は、図示しないが、ゲート電極46の周囲に設けている。ゲート電極46は端子G、N型領域47は端子Wとする。
なお、N型の半導体基板を用いる場合は、図6で示す電気的な半導体特性のP型とN型とを極性反転したものを考えればよい。
図8には、ダイオード型の電圧可変容量素子をP型半導体基板40上に形成する場合を例にしている。
図8に示すN型ウエル領域58は、P型ウエル領域52の周囲を囲むように形成されている。埋め込みN型ウエル領域51は、P型ウエル領域52の下部に予め形成してある。
N型ウエル領域58と埋め込みN型ウエル領域51とは、電気的に通電しているので、P型ウエル領域52とP型半導体基板40とは、電位障壁が生じて分離される。しかし、N型ウエル領域58内にN型領域54を設けて、そのN型領域54(端子V)から正側電圧を印加して完全に電気的に分離した方が好ましい。
分離されたP型ウエル領域52内にN型領域56とP型領域53とを設けてある。N型領域56には端子Gより電圧信号が供給され、P型ウエル領域52にはP型領域53を介して端子Wの電圧信号が供給される。
この構造による電圧可変容量素子の容量値が決まる部分は、N型領域56とP型ウエル領域52との間のPN接合となる。
なお、図8と図6とに示した端子Gおよび端子Wは同一の符号を付してあるが、電気的な共通性を意味するものではない。
次に、電圧可変容量素子の電気的な特性の説明を図6で示すMIS型可変容量素子と図7とで説明する。
図6に示すN型ウエル領域42は、N型拡散層47に接続された端子Wから電位(以下、Vw電位と呼ぶ)が供給されて、ゲート電極46は、端子Gから電位(以下、Vg電位と呼ぶ)が供給される。
ゲート電極46のVg電位がN型ウエル領域42のVw電位に対して負側に変化していく過程で、ゲート電極46直下のN型拡散領域47の表面は、蓄積状態から表面反転層が形成されるまでの間、MIS型可変容量素子の容量値が変化するが、このVg電位あるいはVw電位の変化が高周波で制御されると、N型拡散領域47には表面反転層を形成する少数キャリアを瞬間的に供給できなくなる。
この様子を図7に示している。図7は横軸にMIS型可変容量素子のゲート電極46とN型ウエル領域42との間にかかるVg電位−Vw電位を示し、縦軸にMIS型可変容量素子の容量値を示したものであって、いわゆるC−V特性図と呼ばれるものである。
図7において、Vg電位−Vw電位が正の電位側であるときは、蓄積状態にあるときで、電圧可変容量素子の構造上得られる最大の容量値となる。
Vg電位−Vw電位が負の電位側へ変化していき、蓄積状態から表面反転層が形成されるまでの空乏層が現れて、容量値が減少していく過程で、Vg電位−Vw電位が高周波で変化すると少数キャリアの供給不足により容量値が増加せず、交流的にある一定の極小値をもって保たれる。
こうした交流的に電圧可変容量素子を使用するとき、その特性を利用するのは、容量値の極大値から極小値までの間であり、その容量値に相当する印加電圧であるVg電位とVw電位とから、電圧可変容量素子に印加する使用電圧ならびに使用電圧範囲が決定される。
本発明の実施形態では、例えば、図7に示すC−V特性を利用して、使用電圧範囲において温度補償型発振器の発振周波数を制御するものである。
もちろん、利用する容量値は、容量値の極大値から極小値までの間であるが、容量値が極大値となるVg電位とVw電位と、容量値が極小値となるVg電位とVw電位とを常に使用するとは限らない。
使用する水晶片15は、例えばATカット水晶である場合もあれば、XYカット水晶である場合もある。それぞれは温度特性が異なるから、使用する水晶片15の温度特性に順じて、電圧可変容量素子が可変される容量値の範囲も変わるのである。換言すれば、電圧可変容量素子に印加する使用電圧ならびに使用電圧範囲も変わるのである。
[温度補償型発振器の調整方法の説明]
この発明による上述した温度補償型発振器では、その組立工程において、発振回路20内に示した発振子である水晶片15の初期の発振周波数調整を、パッケージ本体11に水晶片15とICチップ16とを実装したのち、実際に発振動作を行いながら作業が行うことができる。
この周波数調整時には、図9に示すメモリ回路31内の有効/無効データメモリ部32は、IC製造および出荷後から一度もメモリ書き込み等の電気的制御を受けていないので、極めて高い確率でほぼ同レベルの電荷を蓄積していることとなり、後段のAND回路8によって温度補償切替信号34は、デジタルレベルで“L”になる確率が高い。
もちろん、電気的制御によって有効/無効データメモリ部32の状態を例えば、図9のメモリ素子9a,9b,9cの配列順に”HLH“とする状態とは異なる情報を書き込むことで温度補償切替信号34を”L”にしてもよい。
そして、発振回路20内の電圧可変容量素子の両端子のそれぞれに、温度補償回路30と加算回路6とで生成した温度補償無効制御時の所定の電圧信号を印加して、所定の発振容量値で発振動作させる。
発振回路20の駆動電圧を一定にする定電圧回路60を有する場合は、所定の定電圧で発振回路20を駆動するように定電圧回路60の出力を制御する。
上述した一連の発振動作は、メモリ回路31内の有効/無効データメモリ部32によって一方的に制御され、その制御には何の作業も行わずに、常に同じ条件で水晶片15の初期の発振周波数調整を行うことができる。
この発振周波数調整作業の工程をシングルパッケージの構成例である図11を参照しながら説明する。
[第1の工程]
パッケージ本体11内に、発振回路20および本発明の温度補償型発振器を構成する各回路を構成するICチップ16を実装し、次いで発振子の水晶片15を実装する。なお、パッケージ本体11の筺体底部もしくは側部には金属電極(図示せず)が形成されており、その金属電極とICチップ16とは電気的に接続されていて、気密容器10の外側からICチップ16を制御できるようになっている。
[第2の工程]
パッケージ本体11を標準温度(一般に室温25℃)に保ち、パッケージ本体11の金
属電極からICチップに電力を供給し、前述のように発振回路20内の電圧可変容量素子の両電極を温度補償無効制御して、単純な発振器として動作させる。そして発振周波数を周波数カウンタなどで計測しながら、イオンビームなどで水晶片15表面の電極膜を除去して所定の発振周波数になるように調整する。
[第3の工程]
パッケージ本体11に溶接シーリング12を介して蓋13を取り付け、水晶片15とICチップ16とを気密封止する。
[第4の工程]
気密容器10を複数の温度にさらし、その各温度状態で発振周波数を計測して、所定の発振周波数との差を測定する。
[第5の工程]
その測定値に基いて温度補償データを作成し、そのデータを図1で示すICチップ16のメモリ回路31内の補償データメモリ部33(不揮発性メモリ)に書き込む。
この調整後に、図1および図9で示す有効/無効データメモリ部32のメモリ素子9a,9b,9cの記憶状態を、所定の“HLH”配列にして温度補償機能を有効にすれば、温度補償型発振器として正常に動作可能になる。
したがって、標準温度にて発振回路を実際の使用状態と同様に発振させながら、温度補償回路の影響を受けずに正確に調整でき、さらに周囲温度を変化させても水晶片の温度特性を温度補償回路の影響を受けずに測定でき、かつその後の補償データの作成とそれを補償データメモリ部33に記憶させる作業も、続けて行うことができる。そのため、温度補償型発振器の調整工程の簡素化と高精度化を図ることができる。
なお、標準温度における発振周波数を公称値により厳密に合わせるためには、水晶片15表面の電極膜厚調整だけでは不十分なため、気密容器10を標準温度に保ち、発振回路20の発振周波数を周波数カウンタなどで計測しながら、図1で示す常温時周波数調整回路38にて生成する電圧信号によってその発振周波数が公称値と一致するように微調整する。
なお、第2の工程では、気密容器を標準温度に保つのは、気密容器を恒温槽に入れて調整作業を行うとよい。第4の工程では、気密容器を複数の温度上体にさらすのも、恒温槽の設定温度を順次変化させるか、異なる温度に設定した複数の恒温槽に順次気密容器を収納すればよい。その測定温度範囲は、この発振器の動作保証温度範囲であり、例えば、マイナス40℃〜プラス100℃の間の複数のポイント(例えば、11ポイント程度)にて測定する。
標準温度時の水晶片15の発振周波数調整は、予め水晶片15の表面に銀等の金属膜を蒸着しておき、共振周波数をより低めにしておいてもよい。その水晶片15表面の電極膜にイオンガンを用いてイオンビームを照射したり、スパッタエッチングを行うなどして、電極膜の質量を僅かずつ減少させることによって行う。なお、発振回路の発振子として、水晶片15に代えて他の圧電素子を使用する場合も同様である。
ATカット水晶の水晶片を発振子とすると、その発振周波数の温度特性は近似的に3次関数で現わすことができるように、標準温度で発振周波数が所定の周波数になるように調整しても、周囲温度が変化すると発振周波数がその周波数からずれてしまう。
そのため、使用保証温度範囲の下限から上限までの間で実際に温度を変化させて、その各温度状態(測定ポイント)で発振回路の実際の発振周波数、すなわち図1に示す反転増
幅器21の出力点14の周波数を測定し、所定の周波数との差をとる。そして、その差を0にするための制御電圧を温度補償回路30で生成するために、温度検出回路35で検出される温度情報に基づいて補償データを算出して、メモリ回路31内の補償データメモリ部33に書き込む。
なお、測定ポイントは多い方が精度の高い温度補償が行えるが、測定時間が長くなってしまうので、適当数(例えば、11ポイント程度)の温度状態での測定結果からその発振回路の3次関数的な温度特性を推定して、各測定ポイント間の温度に対する温度補償データも保管して作成し、それを補償データメモリ部に書き込むようにするとよい。
図1に示す本発明の実施形態の電圧可変容量素子は、図6で例示したMIS型可変容量素子を用いた発振回路20で説明しているが、これに限定するものではない。他にも、バリキャップダイオードなどの可変容量素子を用いる場合においても、例えばC−V特性が線形変化するような条件であるなど、その電圧可変容量素子の電気的特性を予め調査し、電圧可変容量素子の両電極に印加する電圧値および使用電圧範囲の最良な条件を求めておいて、初期の周波数調整時に温度補償回路30や、常温時周波数調整回路38ならびに外部周波数調整回路39で生成される所定の電圧信号を予め決めておくとよい。
また、発振子が上述したATカット水晶の水晶片でない場合は、その温度特性は近似的な3次関数とはならず、別の固有の特性をもっているので、初期の周波数調整時に温度補償回路30や、常温時周波数調整回路38ならびに外部周波数調整回路39で生成される所定の電圧信号は、動作保証温度範囲で電圧可変容量素子の容量値が可変可能な電圧値の範囲にあり、且つ上述した可変容量素子の電気的特性から使用する条件を満たすような電圧値を予め調査し、それを初期値として生成するようにするとよい。
図9で示す有効/無効データメモリ部32は、IC製造および出荷後から一度もメモリ書き込み等の電気的制御を受けていない状態において、極めて高い確率でほぼ同レベルの電荷を蓄積していて、その電荷情報をセンシングすると、メモリ素子9a,9b,9cの全てがデジタルレベルで“H”か、または“L”のデータになっている。
発振子の初期周波数調整時で温度補償を無効制御する温度補償切替信号34は、メモリ素子9a,9b,9cの電荷情報の確率から、複数のメモリ素子のうち数素子だけ他とは異なる電荷情報をもたないと温度補償切替信号34を有効状態にできないようにするのが望ましい。
もちろん、メモリ素子は、メモリ素子9a,9b,9cの3つを例示したが、その数をより多くしてもよい。
この発明による温度補償型発振器は、使用する発振子の温度特性によらずに電圧可変容量素子を調整することができる。したがって、発振子を選ばない汎用の温度補償型発振器として好適である。
本発明の温度補償型発振器の概略構成を説明するブロック図である。 本発明の温度補償型発振器を構成するDA変換回路の一例を説明するブロック図である。 本発明の温度補償型発振器を構成するDA変換回路の異なる例を説明するブロック図である。 本発明の温度補償型発振器を構成するDA変換回路のさらに異なる例を説明するブロック図である。 本発明の温度補償型発振器を構成するDA変換回路の別の例を説明するブロック図である。 本発明の温度補償型発振器に用いられる可変容量素子の一例を説明する断面図である。 本発明の温度補償型発振器に用いられる可変容量素子のC−V特性を説明する図である。 本発明の温度補償型発振器に用いられる可変容量素子の異なる例を説明する断面図である。 本発明の温度補償型発振器を構成する有効/無効データメモリ部を説明するブロック図である。 本発明の温度補償型発振器を構成する安定化電源回路の一例を説明する回路図である。 温度補償型発振器のパッケージの一例を説明する概略断面図である。 特許文献1に示した従来技術を説明する図である。
符号の説明
14 出力点
18 減衰抵抗素子
20 発振回路
21 反転増幅器
22 帰還抵抗
23,24 直流カット用容量
25,26 電圧可変容量素子
31 メモリ回路
32 有効/無効データメモリ部
33 補償データメモリ部
30 温度補償回路
35 温度検出回路
36 補正信号発生回路
38 常温時周波数調整回路
39 外部周波数調整回路
71,72,73,74 DA変換回路
80 温度補償回路
83 補償データメモリ回路
84 常温時周波数調整回路
85 外部周波数調整回路

Claims (6)

  1. 発振周波数の基となる振動を発生する発振子と電圧可変容量素子とを備えた発振回路と、
    前記発振回路近傍の温度を検出する温度検出回路と、
    前記温度検出回路の情報に基いて、温度補償信号としての電圧信号を生成する温度補償回路と、
    を有し、
    前記電圧信号が前記電圧可変容量素子に印加されることによって前記電圧可変容量素子の容量値が変化し、前記発振周波数を略一定に保つ構成の温度補償型発振器であって、
    前記温度補償回路は、
    前記発振子の温度特性に順じて、
    前記電圧可変容量素子が構造上得られる最大容量値と最小容量値との間の所定の容量値の範囲を選択し、
    前記温度補償回路の温度補償が無効になるときには、
    前記所定の容量値の範囲に入るように前記電圧可変容量素子の一方の電極に第1の電圧信号が印加され、もう一方の電極に第2の電圧信号が印加されるように構成されることを特徴とする温度補償型発振器。
  2. 前記温度補償回路は、温度補償が有効のときには、前記温度補償信号としての前記電圧信号を生成し、
    温度補償が無効のときには、前記第1の電圧信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の温度補償型発振器。
  3. 前記温度補償回路とは別に、電圧信号を生成して発振周波数を可変する機能を有する周波数調整回路を設け、
    前記温度補償回路の温度補償が無効になるときに、前記周波数調整回路は、前記第2の電圧信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の温度補償型発振器。
  4. 不揮発性のメモリ回路を有し、前記温度補償回路および前記周波数調整回路は、該メモリ回路に記憶している情報によって前記電圧可変容量素子の一方もしくは両電極に前記第1の電圧信号または前記第2の電圧信号を印加することを特徴とする請求項3に記載の温度補償型発振器。
  5. 前記不揮発性のメモリ回路は、少なくとも3ビットの記憶素子を有し、
    前記温度補償回路および前記周波数調整回路は、前記記憶素子中の特定の少なくとも1ビットの情報が他ビットの情報とは異なる記憶状態にあるときのみ、
    前記第1の電圧信号または前記第2の電圧信号を生成して、前記電圧可変容量素子を制御することを特徴とする請求項4に記載の温度補償型発振器。
  6. 前記温度補償回路および前記周波数調整回路は、DA変換回路で構成されていて、
    前記記憶素子中の特定の少なくとも1ビットの情報が他ビットの情報とは異なる特定の記憶状態にあるときのみ、
    前記第1の電圧信号または前記第2の電圧信号を生成することを特徴とする請求項5に記載の温度補償型発振器。
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