JP2009079725A - 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 - Google Patents

動力伝達チェーンおよび動力伝達装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 無段変速機のミスアライメントに対応させて、ピンの端面形状を左右で異なるようにすることで、ピンの耐摩耗性を向上させた動力伝達チェーンおよび動力伝達装置を提供する。
【解決手段】 プライマリプーリがセカンダリプーリに対して左方にミスアライメントしている場合において、ピン14の端面14a,14bの形状について、ピン14の端面14a,14bとプーリとの接触面積がピン14の左端面(ミスアライメントの正方向側端面)14b側で大きくなるように、左右で異なる形状とされており、ピン14の右端面14aの曲率半径をR1、ピン14の左端面14bの曲率半径をR2として、R1<R2とされている。
【選択図】 図5

Description

この発明は、動力伝達チェーン、さらに詳しくは、自動車等の無段変速機(CVT)に好適な動力伝達チェーンおよびこれを用いた動力伝達装置に関する。
自動車用無段変速機として、図7に示すように、固定シーブ(2a)および可動シーブ(2b)を有しエンジン側に設けられたプライマリプーリ(2)と、固定シーブ(3b)および可動シーブ(3a)を有し駆動輪側に設けられたセカンダリプーリ(3)と、両者間に架け渡された無端状動力伝達チェーン(1)とからなり、油圧アクチュエータによって可動シーブ(2b)(3a)を固定シーブ(2a)(3b)に対して接近・離隔させることにより、油圧でチェーン(1)をクランプし、このクランプ力によりプーリ(2)(3)とチェーン(1)との間に接触荷重を生じさせ、この接触部の摩擦力によりトルクを伝達するものが知られている。
動力伝達チェーンとしては、従来、ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を長さ方向に屈曲可能に連結する複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、一のリンクの前挿通部に固定されかつ他のリンクの後挿通部に移動可能に嵌め入れられた第1ピンと一のリンクの前挿通部に移動可能に嵌め入れられかつ他のリンクの後挿通部に固定された第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされているものが知られている(特許文献1)。
この種の動力伝達チェーンでは、ピンとプーリとの接触部における耐摩耗性の向上が課題となっており、そのためのピン端面形状が検討されているが、従来、ピン端面形状については、左右で同じ形状とされていた。
特開2005−233275号公報
無段変速機で使用される場合、無段変速機には構造上必然的に発生するミスアライメントが存在しており、このミスアライメントによってピンの左端面と右端面とで摩耗の仕方が違うことが考えられる。試験の結果、チェーンの左右でピンの摩耗量に差があることが確認され、摩耗の点からすると、左右で同じ形状とすることが適切ではないことが判明した。
この発明の目的は、無段変速機のミスアライメントに対応させて、ピンの端面形状を左右で異なるようにすることで、ピンの耐摩耗性を向上させた動力伝達チェーンおよび動力伝達装置を提供することにある。
第1の発明による動力伝達チェーンは、ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を長さ方向に屈曲可能に連結する複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされており、無段変速機のプライマリプーリとセカンダリプーリとの間に掛け渡されて、第1ピンおよび第2ピンの少なくとも一方の両端面がプーリのシーブ面と接触して摩擦力により動力が伝達される動力伝達チェーンにおいて、プーリに接触するピンの端面形状が左右で異なる形状とされており、セカンダリプーリに対するプライマリプーリのミスアライメントの方向を正方向、これと逆の方向を負方向として、ピンの負方向側端面の曲率半径R1およびピンの正方向側端面の曲率半径R2について、R1<R2とされていることを特徴とするものである。
第2の発明による動力伝達チェーンは、ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を長さ方向に屈曲可能に連結する複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされており、無段変速機のプライマリプーリとセカンダリプーリとの間に掛け渡されて、第1ピンおよび第2ピンの少なくとも一方の両端面がプーリのシーブ面と接触して摩擦力により動力が伝達される動力伝達チェーンにおいて、ピン端面形状が進行方向の前進側半部と後退側半部とで異なる形状とされるとともに、進行方向に向かって左側と右側とでも異なる形状とされており、セカンダリプーリに対するプライマリプーリのミスアライメントの方向を正方向、これと逆の方向を負方向として、ピンの負方向側端面における前進側半部の平面から見た曲率半径R3、同後退側半部の平面から見た曲率半径R4、ピンの正方向側端面における前進側半部の平面から見た曲率半径R5および同後退側半部の平面から見た曲率半径R6について、R3<R4およびR6<R5とされていることを特徴とするものである。
第1の発明による動力伝達チェーンおいては、例えば、ピンの端面形状が球面とされ、球面の曲率半径について、R1<R2とされる。ピンの端面形状は、球面に限定されるものではなく、チェーン進行方向から見た曲率半径と平面から見た曲率半径が相違していてもよく、この場合には、チェーン進行方向から見た曲率半径について、R1<R2とされる。
第2の発明による動力伝達チェーンにおける条件は、上記第1の発明による動力伝達チェーンにおける条件に付け加えられるようにしてもよい。
第1および第2の発明による動力伝達チェーンにおいて、各ピンの断面形状は、従来と同じものとされる。ピン端面形状の加工は、左右で異なる形状とされる以外は、従来と同様の研磨加工により行うことができる。
この動力伝達チェーンは、自動車等の無段変速機としての使用に好適なものとなる。このような無段変速機では、低速走行時(発進時など)に対応する変速比が最大のアンダードライブ(以下、「U/D」と称す。)と、高速走行時に対応する変速比が最小のオーバードライブ(以下、「O/D」と称す。)との間で変速比が変化し、この変化に伴ってミスアライメントも変化する。ミスアライメントとは、プライマリプーリとセカンダリプーリとのずれの度合いを表す指標であり、プライマリプーリのシーブ面間に形成された溝の中心線とセカンダリプーリのシーブ面間に形成された溝の中心線とが一直線上に並んだ状態を0とし、その状態からのずれ(プライマリプーリの溝の中心線とセカンダリプーリの溝の中心線との距離)をいうものとする。
ミスアライメントは、固定シーブおよび可動シーブからなるプーリを備えている無段変速機では避けることができないもので、変速比が1:1のときに0とされることがあり(この場合には、U/Dのときに最大)、逆に、U/Dのときに0とされることがある(変速比が1:1のときに最大)。また、両者の中間において0にされることもある。一般的には、ミスアライメントは、U/Dのときに最大とされる。
動力伝達チェーンに最も高い負荷が作用するのは、発進時(無段変速機がアンダードライブの条件)であり、ピンの左右端面形状を同じにして、この条件で耐久試験を行うと、プライマリプーリがセカンダリプーリに対して左方にミスアライメントしている場合、チェーン進行方向右側のピン端面の摩耗量が大きく、チェーン進行方向左側のピン端面の摩耗量が小さい(プーリへの攻撃が大きい)ものとなる。左右の摩耗量の差は、ミスアライメントの影響によるものと考えられ、チェーン噛み込み時では、ピン右側端面(ミスアライメントとは反対の側)が先にプライマリプーリと接触するので、ピン右側端面での打撃力が大きくなり、ピン右側端面の摩耗量が大きくなり、逆に、チェーン抜け時では、ピン左側端面が先にプライマリプーリより引き抜かれるので、ピン左側端面の摩耗量が大となる。第1および第2の発明による動力伝達チェーンは、チェーンへの負担が大きいアンダードライブの条件でミスアライメントが最大となるときにより有効なものとなる。
上記摩耗量の差に着目すると、ピン右側(ミスアライメント負方向側)端面をエッジロードの発生が極力少ない形状とするとともに、ピン端面とプーリとの接触面積がピン左側(ミスアライメント正方向側)端面で大きくなるように、ピン端面形状が左右で異なる形状とすればよいことが分かる。具体的には、ピン右側端面の曲率半径をR1、ピン左側端面の曲率半径をR2として、R1<R2とすればよい。
また、チェーン噛み込み時では、ピン右側(ミスアライメント負方向側)端面の前進側半部が先にプライマリプーリと接触するので、ピン右側端面の前進側半部での打撃力が大きくなり、ピン右側端面前進側半部の摩耗量が大きくなり、逆に、チェーン抜け時では、ピン左側(ミスアライメント正方向側)端面の後退側半部がプライマリプーリに強く接触して滑るので、ピン左側端面の後退側半部の摩耗量が大きくなる。そこで、右側(すなわち負方向側)端面における前進側半部の平面から見た曲率半径R3、同後退側半部の平面から見た曲率半径R4、左側(すなわち正方向側)端面における前進側半部の平面から見た曲率半径R5および同後退側半部の平面から見た曲率半径R6について、R3<R4およびR6<R5とされていることが好ましい。左右の曲率半径間の関係は、例えば、R3=R6かつR4=R5とすればよいが、これに限定されるものではない。
なお、上記各曲率半径は、通常、1つRとされるが、複数の連続するRであってもよく、この場合は、平均曲率半径について、上記関係が満たされればよい。
この発明による動力伝達チェーンでは、第1ピンおよび第2ピンの少なくとも一方がプーリと接触して摩擦力により動力伝達する。いずれか一方のピンがプーリと接触するチェーンにおいては、第1ピンおよび第2ピンのうちのいずれか一方は、このチェーンが無段変速機で使用される際にプーリに接触する方のピン(以下では、「第1ピン」または「ピン」と称す)とされ、他方は、プーリに接触しない方のピン(インターピースまたはストリップと称されており、以下では、「第2ピン」または「インターピース」と称す)とされる。
第1ピンおよび第2ピンのうちの一方は、一のリンクの前挿通部に固定されかつ他のリンクの後挿通部に移動可能に嵌め入れられ、同他方は、一のリンクの前挿通部に移動可能に嵌め入れられかつ他のリンクの後挿通部に固定されていることが好ましい。ピンが前後挿通部に固定される場合の前後挿通部へのピンの固定は、例えば、機械的圧入による挿通部内縁とピン外周面との嵌合固定とされるが、これに代えて、焼き嵌めまたは冷やし嵌めによってもよい。1つの挿通部には、第1ピンと第2ピンとがチェーンの長さ方向に対向するように嵌め合わせられ、このうちのいずれか一方がリンクの挿通部の周面に嵌合固定される。嵌合固定は、挿通部の長さ方向に対して直交する部分の縁(上下の縁)で行われるのが好ましい。この嵌合固定の後、上記の予張力付与工程において予張力が付与されることにより、リンクのピン固定部(ピン圧入部)に均等にかつ適正な残留圧縮応力が高精度に付与される。
リンクは、例えば、ばね鋼や炭素工具鋼製とされる。リンクの材質は、ばね鋼や炭素工具鋼に限られるものではなく、軸受鋼などの他の鋼でももちろんよい。リンクは、前後挿通部がそれぞれ独立の貫通孔(柱有りリンク)とされていてもよく、前後挿通部が1つの貫通孔(柱無しリンク)とされていてもよい。ピンの材質としては、軸受鋼などの適宜な鋼が使用される。
第1ピンおよび第2ピンは、例えば、いずれか一方の転がり接触面が平坦面とされ、他方の転がり接触面が相対的に転がり接触移動可能なように所要の曲面に形成される。また、第1ピンおよび第2ピンは、それぞれの転がり接触面が所要の曲面に形成されるようにしてもよい。いずれの場合でも、各ピンの転がり接触面形状がそれぞれ2種類(例えば相対的に曲率が大のものと相対的に曲率が小のもの)形成されることで、転がり接触移動の軌跡が相違するピンの組が2種類存在するようにしてもよい。第1ピンと第2ピンとの接触位置の軌跡は、例えば、インボリュート曲線とされる。第1ピンおよび第2ピンは、異なる断面形状であってもよく、同一形状であってもよい。
なお、この明細書において、リンクの長さ方向の一端側を前、同他端側を後としているが、この前後は便宜的なものであり、リンクの長さ方向が前後方向と常に一致することを意味するものではない。
無段変速機の各プーリは、円錐状のシーブ面を有する固定シーブと、固定シーブのシーブ面に対向する円錐状のシーブ面を有する可動シーブとからなり、両シーブのシーブ面間にチェーンを挟持し、可動シーブを油圧アクチュエータによって移動させることにより、無段変速機のシーブ面間距離したがってチェーンの巻き掛け半径が変化し、スムーズな動きで無段の変速を行うことができる。
この発明による動力伝達装置は、円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリと、これら第1および第2のプーリに掛け渡される動力伝達チェーンとを備えたもので、動力伝達チェーンが上記いずれかに記載のものとされる。この動力伝達装置は、自動車等の無段変速機としての使用に好適なものとなる。
第1の発明の動力伝達チェーンによると、無段変速機のミスアライメントに対応させて、ミスアライメントのピンの負方向側端面の曲率半径R1およびピンの正方向側端面の曲率半径R2について、R1<R2とすることで、ピンの耐摩耗性を向上させることができる。これにより、重量増やコスト増を伴うことなく、耐久性を向上させることができる。
また、第2の発明の動力伝達チェーンによると、無段変速機のミスアライメントに対応させて、左右だけでなく前後でも形状を変更することとし、ピンの負方向側端面における前進側半部の平面から見た曲率半径R3、同後退側半部の平面から見た曲率半径R4、ピンの正方向側端面における前進側半部の平面から見た曲率半径R5および同後退側半部の平面から見た曲率半径R6について、R3<R4およびR6<R5とすることで、左右での相違を小さくするだけでなく、前後での相違も小さくすることができ、これにより、重量増やコスト増を伴うことなく、耐久性を向上させることができる。
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。以下の説明において、上下は、図2の上下をいうものとする。
図1は、この発明による動力伝達チェーンの一部を示しており、動力伝達チェーン(1)は、チェーン長さ方向に所定間隔をおいて設けられた前後挿通部(12)(13)を有する複数のリンク(11)と、チェーン幅方向に並ぶリンク(11)同士を長さ方向に屈曲可能に連結する複数のピン(第1ピン)(14)およびインターピース(第2ピン)(15)とを備えている。インターピース(15)は、ピン(14)よりも短くなされ、両者は、インターピース(15)が前側に、ピン(14)が後側に配置された状態で対向させられている。
チェーン(1)は、幅方向同位相の複数のリンクで構成されるリンク列を進行方向(前後方向)に3つ並べて1つのリンクユニットとし、この3列のリンク列からなるリンクユニットを進行方向に複数連結して形成されている。この実施形態では、リンク枚数が9枚のリンク列とリンク枚数が8枚のリンク列2つとが1つのリンクユニットとされている。
図2に示すように、ピン(14)は、インターピース(15)に比べて前後方向の幅が広くなされている。インターピース(15)の上下縁部には、ピン(14)側にのびる突出縁部(15a)(15b)が設けられている。リンク(11)は、前挿通部(12)の前面形状を形成するための前側柱部(20)と、後挿通部(13)の後面形状を形成するための後側柱部(22)と、前挿通部(12)と後挿通部(13)との間の中間柱部(21)とを有している。リンク(11)の前挿通部(12)は、ピン(14)が移動可能に嵌め合わせられるピン可動部(16)およびインターピース(15)が固定されるインターピース固定部(17)からなり、後挿通部(13)は、ピン(14)が固定されるピン固定部(18)およびインターピース(15)が移動可能に嵌め合わせられるインターピース可動部(19)からなる。
チェーン幅方向に並ぶリンク(11)を連結するに際しては、一のリンク(11)の前挿通部(12)と他のリンク(11)の後挿通部(13)とが対応するようにリンク(11)同士が重ねられ、ピン(14)が一のリンク(11)の後挿通部(13)に固定されかつ他のリンク(11)の前挿通部(12)に移動可能に嵌め合わせられ、インターピース(15)が一のリンク(11)の後挿通部(13)に移動可能に嵌め合わせられかつ他のリンク(11)の前挿通部(12)に固定される。そして、このピン(14)とインターピース(15)とが相対的に転がり接触移動することにより、リンク(11)同士の長さ方向(前後方向)の屈曲が可能とされる。
リンク(11)のピン固定部(18)とインターピース可動部(19)との境界部分には、インターピース可動部(19)の上下の凹円弧状案内部(19a)(19b)にそれぞれ連なりピン固定部(18)に固定されているピン(14)を保持する上下の凸円弧状保持部(18a)(18b)が設けられている。同様に、インターピース固定部(17)とピン可動部(16)との境界部分には、ピン可動部(16)の上下の凹円弧状案内部(16a)(16b)にそれぞれ連なりインターピース固定部(17)に固定されているインターピース(15)を保持する上下の凸円弧状保持部(17a)(17b)が設けられている。
ピン(14)を基準としたピン(14)とインターピース(15)との接触位置の軌跡は、円のインボリュートとされており、この実施形態では、ピン(14)の接触面が、断面において半径Rb、中心Mの基礎円を持つインボリュート形状を有し、インターピース(15)の接触面が平坦面(断面形状が直線)とされている。これにより、各リンク(11)がチェーン(1)の直線部分から曲線部分へまたは曲線部分から直線部分へと移行する際、前挿通部(12)においては、ピン(14)が固定状態のインターピース(15)に対してその接触面がインターピース(15)の接触面に転がり接触(若干のすべり接触を含む)しながらピン可動部(16)内を移動し、後挿通部(13)においては、インターピース(15)がインターピース可動部(19)内を固定状態のピン(14)に対してその接触面がピン(14)の接触面に転がり接触(若干のすべり接触を含む)しながら移動する。なお、図2において、符号AおよびBで示す箇所は、チェーン(1)の直線部分においてピン(14)とインターピース(15)とが接触している線(断面では点)であり、AB間の距離がピッチである。
この動力伝達チェーン(1)は、図3に示すV型プーリ式CVTで使用されるが、この際、プーリ軸(2e)を有するプーリ(2)の固定シーブ(2a)および可動シーブ(2b)の各円錐状シーブ面(2c)(2d)にインターピース(15)の端面が接触しない状態で、ピン(14)の端面がプーリ(2)の円錐状シーブ面(2c)(2d)に接触し、この接触による摩擦力により動力が伝達される。ピン(14)の端面およびプーリ(2)の円錐状シーブ面(2c)(2d)は、いずれも所定角度(通常11°)傾斜している。
図3において、実線で示した位置にあるプライマリプーリ(2)の可動シーブ(2b)を固定シーブ(2a)に対して接近・離隔させると、チェーン(1)の巻き掛け径は、同図に鎖線で示すように、接近時には大きく、離隔時には小さくなる。セカンダリプーリ(3)では、図示省略するが、その可動シーブがプライマリプーリ(2)の可動シーブ(2b)とは逆向きに移動し、プライマリプーリ(2)の巻き掛け径が大きくなると、セカンダリプーリ(3)の巻き掛け径が小さくなり、プライマリプーリ(2)の巻き掛け径が小さくなると、セカンダリプーリ(3)の巻き掛け径が大きくなる。この結果、プライマリプーリ(2)の巻き掛け径が最小で、セカンダリプーリ(3)の巻き掛け径が最大であるU/D状態(発進時)から、変速比が1であるプライマリプーリ(2)の巻き掛け径とセカンダリプーリ(3)の巻き掛け径が等しい状態、さらに、プライマリプーリ(2)の巻き掛け径が最大で、セカンダリプーリ(3)の巻き掛け径が最小のO/D状態(最増速状態)が得られる。
動力伝達チェーン(1)に最も高い負荷が作用するのは、発進時(無段変速機がアンダードライブの条件)であり、ピン(14)の左右端面形状を同じにして、この条件で耐久試験を行うと、プライマリプーリ(2)がセカンダリプーリ(3)に対して左方にミスアライメントしている場合、チェーン進行方向右側のピン端面の摩耗量が大きく、チェーン進行方向左側のピン端面の摩耗量が小さい(プーリへの攻撃が大きい)ことが確認された。
左右の摩耗量の差は、ミスアライメントの影響によるものと考えられる。すなわち、チェーン噛み込み時では、図4(a)において、矢印Pで示すように、ピン(14)の右側端面(ミスアライメントとは反対の側)が先にプライマリプーリ(2)と接触するので、ピン(14)の右側端面での打撃力が大きくなり、ピン(14)の右側端面の摩耗量が大きくなると考えられる。また、チェーン抜け時では、図4(b)において、矢印Qで示すように、ピン(14)の左側端面が先にプライマリプーリ(2)より引き抜かれるので、ピン(14)の左側端面の摩耗量が大となると考えられる。
ピン(14)端面の摩耗は、プライマリプーリ(2)との接触状態で接触楕円のはみ出しなどの理由によるエッジロードが発生する場合に大きくなる。したがって、ピン(14)端面の形状をプライマリプーリ(2)との接触状態においてエッジロードが発生しにくい形状としておくことで、摩耗量を低減することが可能となる。すなわち、上記摩耗量の差に着目すると、ピン(14)の右端面をエッジロードの発生が極力少ない形状とするとともに、ピン(14)とプライマリプーリ(2)との接触面積がピン(14)の左端面側で大きくなるように、ピン(14)の端面の形状が左右で異なるようにすればよいことが分かる。
この知見に基づき、プライマリプーリ(2)がセカンダリプーリ(3)に対して左方にミスアライメントしている場合において、ピン(14)の端面(14a)(14b)の形状について、図5に示すように、ピン(14)の端面(14a)(14b)とシーブ面(2c)(2d)との接触面積がピン(14)の左端面(ミスアライメントの正方向側端面)(14b)側で大きくなるように、ピン(14)の右端面(14a)の曲率半径をR1、ピン(14)の左端面(14b)の曲率半径をR2として、R1<R2とされている。
このような形状としておくことで、噛み込み時に先にプライマリプーリ(2)と接触する右側端面でエッジロードの発生を防止できる。チェーン抜け時には右側端面を支点として左側端面から引き抜かれる。左側端面のR2をR1より大としておくことで、プライマリプーリ(2)との接触面圧を低くすることができるので、左側端面の摩耗量を小さくすることができる。
さらに、上記図4の(a)(b)から分かるように、ピン(14)の端面は、前後方向でも異なる負荷を受けるので、これに着目し、図6に示すように、ピン(14)の右端面(ミスアライメントの負方向側端面)における前進側半部(14c)の平面から見た曲率半径R3、同後退側半部(14d)の平面から見た曲率半径R4、ピン(14)の左端面(ミスアライメントの正方向側端面)における前進側半部(14e)の平面から見た曲率半径R5および同後退側半部(14f)の平面から見た曲率半径R6について、R3<R4およびR6<R5とされている。このように設定している理由は、ピン(14)のプライマリプーリ(2)への噛み込み時および抜け時にエッジロードの発生を防止するためである。この図6に示した関係は、図5に示した関係と組み合わせてももちろんよいが、図5においてR1=R2であっても、左右での相違と前後での相違との両方を小さくすることができる。
この動力伝達チェーン(1)は、必要な数のピン(14)およびインターピース(15)を組立て治具上に垂直状に保持した後、リンク(11)を1つずつあるいは数枚まとめて圧入していくことにより製造される。この圧入は、ピン(14)およびインターピース(15)の上下縁部とピン固定部(18)およびインターピース固定部(17)の上下縁部との間において行われており、その圧入代は0.005mm〜0.1mmとされている。こうして、組み立てられたチェーン(1)には張力が付与(予張)される。
上記の動力伝達チェーン(1)では、ピンの上下移動の繰り返しにより、多角形振動が生じ、これが騒音の要因となるが、ピン(14)とインターピース(15)とが相対的に転がり接触移動しかつピン(14)を基準としたピン(14)とインターピース(15)との接触位置の軌跡が円のインボリュートとされていることにより、ピンおよびインターピースの接触面がともに円弧面である場合などと比べて、振動を小さくすることができ、騒音を低減することができる。
そして、CVTで使用された場合、ピン(14)とインターピース(15)とは、上述のように、各可動部(16)(19)に案内されて転がり接触移動するので、プーリ(2)のシーブ面(2c)(2d)に対してピン(14)はほとんど回転しないことになり、摩擦損失が低減し、高い動力伝達率が確保される。
CVTでは、図4に示したようなミスアライメントがあり、ピンの左右端面形状が対称に形成されている従来のものでは、ミスアライメントに起因して、耐久性において、ピン(14)の左右で異なる結果が得られていたが、ピン(14)の端面(14a)(14b)(14c)(14d)(14e)(14f)の形状を左右で異なるようにすることで、ピン(14)の断面形状をそのままにして、ピン(14)の耐摩耗性を向上することができ、プーリ(2)(3)の耐久性も合わせて向上することができる。
図1は、この発明による動力伝達チェーンの1実施形態の一部を示す平面図である。 図2は、リンクの拡大側面図である。 図3は、動力伝達チェーンがプーリに取り付けられた状態を示す正面図である。 図4は、ミスアライメントがあるときにチェーンが受ける力を模式的に示す図である。 図5は、チェーン進行方向から見たピンの端面形状を示す図である。 図6は、平面から見たピンの端面形状を示す図である。 図7は、無段変速機を示す斜視図である。
符号の説明
(1) 動力伝達チェーン
(2) プライマリプーリ
(3) セカンダリプーリ
(2a)(3b) 固定シーブ
(2b)(3a) 可動シーブ
(2c)(2d) 円錐状シーブ面
(11) リンク
(12) 前挿通部
(13) 後挿通部
(14) ピン(第1ピン)
(14a) 右端面
(14b) 左端面
(14c) 右端面前進側半部
(14d) 右端面後退側半部
(14e) 左端面前進側半部
(14f) 左端面後退側半部
(15) インターピース(第2ピン)

Claims (4)

  1. ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を長さ方向に屈曲可能に連結する複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされており、無段変速機のプライマリプーリとセカンダリプーリとの間に掛け渡されて、第1ピンおよび第2ピンの少なくとも一方の両端面がプーリのシーブ面と接触して摩擦力により動力が伝達される動力伝達チェーンにおいて、
    プーリに接触するピンの端面形状が左右で異なる形状とされており、セカンダリプーリに対するプライマリプーリのミスアライメントの方向を正方向、これと逆の方向を負方向として、ピンの負方向側端面の曲率半径R1およびピンの正方向側端面の曲率半径R2について、R1<R2とされていることを特徴とする動力伝達チェーン。
  2. ピンの負方向側端面における前進側半部の平面から見た曲率半径R3、同後退側半部の平面から見た曲率半径R4、ピンの正方向側端面における前進側半部の平面から見た曲率半径R5および同後退側半部の平面から見た曲率半径R6について、R3<R4およびR6<R5とされていることを特徴とする請求項1の動力伝達チェーン。
  3. ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を長さ方向に屈曲可能に連結する複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされており、無段変速機のプライマリプーリとセカンダリプーリとの間に掛け渡されて、第1ピンおよび第2ピンの少なくとも一方の両端面がプーリのシーブ面と接触して摩擦力により動力が伝達される動力伝達チェーンにおいて、
    ピン端面形状が進行方向の前進側半部と後退側半部とで異なる形状とされるとともに、進行方向に向かって左側と右側とでも異なる形状とされており、セカンダリプーリに対するプライマリプーリのミスアライメントの方向を正方向、これと逆の方向を負方向として、ピンの負方向側端面における前進側半部の平面から見た曲率半径R3、同後退側半部の平面から見た曲率半径R4、ピンの正方向側端面における前進側半部の平面から見た曲率半径R5および同後退側半部の平面から見た曲率半径R6について、R3<R4およびR6<R5とされていることを特徴とする動力伝達チェーン。
  4. 円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリと、これら第1および第2のプーリに掛け渡される動力伝達チェーンとを備え、動力伝達チェーンが請求項1〜3のいずれかに記載のものである動力伝達装置。
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