JP2009079583A - 内燃機関用潤滑装置の運転方法及び内燃機関用潤滑装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】暖機運転に際して、オイルの一部を蓄熱槽に残しつつ、蓄熱槽のオイルをオイルパンに排出することで、オイルパンのオイル量が減量化された状態とする一部排出ステップを設けることで、オイルの昇温効率を高めた。
【選択図】図7
Description
オイルパンから抜き取ったオイルを一時的に貯留する蓄熱槽を備えた内燃機関用潤滑装置の運転方法であって、
暖機運転に際して、オイルの一部を前記蓄熱槽に残しつつ、前記蓄熱槽のオイルをオイルパンに排出することで、オイルパンのオイル量が減量化された状態とする一部排出ステップを有する点にある。
一部排出ステップとして、暖機運転を行うのに必要最小限の量のオイルのみをオイルパンに排出し、オイルパンとシリンダブロックなどとの間で循環させるオイルを減量化した状態で暖機運転を行うことで、複雑なオイルパン構造などを用いることなく、オイルとエンジン各部との暖機に要する期間を短縮化することができる。また、オイルの昇温速度が早まるので、オイルの粘性低下によってクランク軸その他の可動部の摩擦抵抗が減り、燃費の改善や排出ガスの低エミッション化促進などの効果も得られる。
オイルを貯留するオイルパンと、前記オイルパンから抜き取ったオイルを一時的に貯留する蓄熱槽と、前記オイルパン及び前記蓄熱槽間を接続する油路と、前記油路を介して前記オイルパン及び前記蓄熱槽間で前記オイルを通流させるオイルポンプとを備え、
前記油路として、上部油路と下部油路とを備え、前記上部油路は、暖機運転の際に必要な最小限のオイル量を確保できる高さ位置に対応する前記オイルパンの側部と、前記蓄熱槽の底部とを接続してなるとともに、前記下部油路は、前記オイルパンの底部と、前記蓄熱槽の底部とを接続してなり、少なくとも前記オイルパンから前記上部油路を介して前記蓄熱槽に、前記オイルパン内のオイルの量が前記最小限のオイル量になるまで前記オイルポンプを用いて回収する点にある。
オイルパンに貯留されたオイルをオイルポンプを用いて蓄熱槽に回収する際には、少なくとも上部油路を介してオイルを通流させることにより、オイルパン内が暖機運転に必要な最小限のオイル量となると、上部油路へのオイルの侵入が防止されて、当該上部油路を介したオイルの回収を停止させることができる。これにより、特別な液面レベルセンサを設けることなくオイルパン内のオイル量を暖機運転に必要な最小限の量として、オイルの減量化を簡便に図ることができ、装置構成の簡略化を図ることができる。よって、オイルパンとシリンダブロックなどとの間で循環させるオイルを適切に減量化した状態で暖機運転を行うことで、オイルとエンジン各部との暖機に要する期間を短縮化することができる。また、オイルの昇温速度が早まるので、オイルの粘性低下によってクランク軸その他の可動部の摩擦抵抗が減り、燃費の改善や排出ガスの低エミッション化促進などの効果も得られる。
前記上部油路には、前記オイルパン及び前記蓄熱槽間で前記オイルの通流を許容し、又は遮断する開閉弁が設けられるとともに、前記下部油路には、前記オイルパンから前記蓄熱槽へ前記オイルの通流を許容し、前記蓄熱槽から前記オイルパンへの前記オイルの通流を遮断する逆止弁が設けられ、前記上部油路と前記下部油路とが、一つの前記オイルポンプを介して前記蓄熱槽の底部に接続されてなり、前記オイルポンプの駆動状態を制御する制御部を備えた点にある。
[第1実施形態]
図1に示す内燃機関1は、その内燃機関用潤滑装置100(以下、単に潤滑装置100という場合がある。)として、シリンダブロック2の下方に位置してオイルを貯留するオイルパン3、オイルパン3のオイルをストレーナ4から汲み上げてシリンダブロック2のメインギャラリ2aなどに送り出す第1オイルポンプ5を備えている。第1オイルポンプ5は内燃機関1の駆動力によって駆動される機械式ポンプからなる。尚、内燃機関1の冷却水系を構成する要素については図から省略してある。
オイルパン3にはオイルパン3に貯留されているオイルの液面を検出するレベルセンサ11が配置されている。
先ず、図2のように、内燃機関1の前回の停止に伴って、オイルパン3のオイルの大半が蓄熱槽6に回収されている状態において、図6に示す始動処理ルーチンが実行される。ここでは、始動のフラグが出されたか否かの判定が行われ(#01)、始動時(yes判定)であれば、制御部10にてボア壁の温度t3が第1基準温度X1と比較される(#02)。
図7に示すように、暖機運転では、先ず、蓄熱槽6の油温t1が、ボア壁の現状の温度t3に基づいて決定される第2基準温度X2と比較される(#11)。蓄熱槽6の油温t1が十分に高温で、第2基準温度X2を下回らない場合(t1<X2=no判定)は、図3のように、第2オイルポンプ8の正転運転によって蓄熱槽6からオイルパン3へオイルの大半が供給される(オイルの予備排出ステップ、#14)。
停止処理ルーチンでは、先ず、内燃機関1の停止操作が行われたか否かの判定が行われ(#21)、正常な停止であれば(yes判定)、オイルパン3のオイルの油温t2が外気温などによって決定される第4基準温度X4と比較される(#22)。その結果、オイルパン3の油温t2が第4基準温度X4よりも十分に高い場合(t2>>X4=yes判定)は、次の二次回収ステップ(#23)を実行することで、図2の状態に戻る。
すなわち、次の始動に際して、高温に保持されたオイルをオイルパン3に提供できるように、オイルパン3に貯留されているオイルの大半を第2オイルポンプ8の逆転運転によって蓄熱槽6に回収する。
この場合、次の始動に際して、オイルパン3内に暖機運転に必要な最小限のオイルを貯留しておくことで、即座に暖機運転が開始可能な状態に維持でき、暖機運転を開始するまでの時間を短縮できる。
例えば長時間の継続運転の停止から非常に短いインターバルしか空けずに始動する場合のように、オイルパンのオイルの温度が十分に高い状況における始動においては、ボア壁の温度t3が基準温度X1よりも低くないため(t3<X1?=no判定)、図9のフロー図に示すような通常運転が行われる(#04)。
上記第1実施形態では、オイルパン3に貯留されたオイルの液面を検出するためにレベルセンサ11を設けて内燃機関用潤滑装置100を構成したが、これに限らず、図10に示すように、レベルセンサを設けずに構成することもできる。なお、上記内燃機関用潤滑装置100と同様の構成については、簡単のため説明を省略する。
また、オイルパン3の側部と蓄熱槽6の底部との間を接続する上部油路7bが設けられ、この上部油路7bには、オイルパン3及び蓄熱槽6間でオイルを通流又は遮断することが可能な開閉弁13が配置されている。特に、上部油路7bがオイルパン3の側部に接続する箇所は、上記暖機運転時に必要な最小限の量のオイルがオイルパン3に貯留する高さ、すなわち、内燃機関1の暖機運転時(上記一部回収ステップ)において、オイルパン3内の余分なオイルが上部油路7bを介して蓄熱槽6に回収され、暖機運転に必要な最小限の量のオイル(例えばオイルパン3とシリンダブロック2の間を循環し得る全オイルの40%など)が上部油路7bに侵入しないような高さ(図10上、Lレベル付近)に設定されている。なお、開閉弁13は、制御部10の制御により適切に開閉操作される。
開閉弁13よりも蓄熱槽6側の上部油路7bと、逆止弁12よりも蓄熱槽6側の下部油路7aとは接続され、第2オイルポンプ8を介して蓄熱槽6の底部に接続されている。第2オイルポンプ8は、正逆の両方向で運転可能な電動式のオイルポンプである。
始動処理としては、上記第1実施形態と同様に、図11のように、内燃機関1の前回の停止に伴って、オイルパン3のオイルの大半が蓄熱槽6に回収されている状態において、図6に示す始動処理ルーチンが実行される(#01〜#04)。すなわち、「暖機運転ルーチン」、若しくは「通常運転ルーチン」が実施される。なお、始動処理ルーチンの実行開始のフラグとしては、例えば、ドアの開閉操作を用いることができる。
図7に示すように、暖機運転では、先ず、蓄熱槽6の油温t1が、ボア壁の現状の温度t3に基づいて決定される第2基準温度X2と比較される(#11)。蓄熱槽6の油温t1が十分に高温で、第2基準温度X2を下回らない場合(t1<X2=no判定)は、図12のように、開閉弁13を開き、第2オイルポンプ8の正転運転によって蓄熱槽6から上部油路7bを介してオイルパン3へオイルの大半が供給される(オイルの予備排出ステップ、#14)。このオイルの予備排出ステップの終了は、第2オイルポンプ8の運転時間及びポンプの駆動モータ電流値から判断することができる。予備排出ステップが終了すると、開閉弁13は閉じておく。
このオイルの一部回収ステップの終了は、第2オイルポンプ8が空気を吸い込むことによるポンプの駆動モータ電流値やトルクの変化から判断することができる。具体的には、上部油路7bは、オイルパン3の側部で、かつ、オイルパンの上記暖機運転時に必要な最小限の量のオイルがオイルパン3に貯留する高さ(Lレベル付近)に接続されている。すなわち、内燃機関1の暖機運転時(上記一部回収ステップ)において、オイルパン3内の余分なオイルが上部油路7bを介して蓄熱槽6に回収され、暖機運転に必要な最小限の量のオイルが上部油路7bに流入しないような高さに設定されている。したがって、オイルパン3内のオイルが上記必要最小限の量になると、上部油路7bからは空気を吸い込むこととなり、第2オイルポンプ8において駆動モータ電流値やトルクの変化が生じることとなる。この変化を制御部10などが検出することにより、上記一部回収ステップが終了したと判断することができる。これにより、暖機運転時に必要な最小限のオイル量(Lレベル)になったか否かを判断するためのレベルセンサを設ける必要が無く、コストの削減を図ることができる。なお、一部回収ステップが終了すると、開閉弁13は閉じておく。
このように、循環されるオイルの量を減量化することで、次の段階で高温化されてくるシリンダブロック2との熱交換によるオイルの昇温効率が高められる。尚、(#17)ステップにおいて一部回収するオイルの量の例としては、例えばオイルパン3とシリンダブロック2の間を循環し得る全オイルの60〜70%などとすれば良い(この場合、暖機運転時に必要な最小限のオイル量は、例えばオイルパン3とシリンダブロック2の間を循環し得る全オイルの30〜40%程度となっている)。一部回収ステップ(#17)はオイルパン3からオイルの一部を蓄熱槽6に回収するステップであるが、結果的としてオイルの一部のみを排出した状態が現出される。
前述の一部回収ステップ(#17)の結果としてオイルパン3に残留されているオイルの量と、一部排出ステップ(#12)によってオイルパン3に貯留されているオイルの量とは同等として良い。
停止処理ルーチンでは、先ず、内燃機関1の停止操作が行われたか否かの判定が行われ(#21)、正常な停止であれば(yes判定)、オイルパン3のオイルの油温t2が外気温などによって決定される第4基準温度X4と比較される(#22)。その結果、オイルパン3の油温t2が第4基準温度X4よりも十分に高い場合(t2>>X4=yes判定)は、次の二次回収ステップ(#23)を実行することで、図11の状態に戻る。
すなわち、次の始動に際して、高温に保持されたオイルをオイルパン3に提供できるように、オイルパン3に貯留されているオイルの大半を下部油路7aを介して第2オイルポンプ8の逆転運転によって蓄熱槽6に回収する。この二次回収ステップの終了は、第2オイルポンプ8が空気を吸い込むことによるポンプの駆動モータ電流値やトルクの変化から判断することができる。具体的には、下部油路7aは、オイルパン3の底部に接続されているため、オイルパン3内のオイルがほとんど全て吸引されると、下部油路7aからは空気を吸い込むこととなり、第2オイルポンプ8において駆動モータ電流値やトルクの変化が生じることとなる。この変化を制御部10などが検出することにより、上記二次回収ステップが終了したと判断することができる。
この場合、次の始動に際して、オイルパン3内に暖機運転に必要な最小限のオイルを貯留しておくことで、即座に暖機運転が開始可能な状態に維持でき、暖機運転を開始するまでの時間を短縮できる。
そして、通常運転では、上記第1実施形態と同様に、図9のフロー図に示すような通常運転が行われる(#04)。
上記第2実施形態では、上部油路7bに開閉弁13を設け、下部油路7aに逆止弁12を設けて構成したが、オイルパン3と蓄熱槽6との間でオイルを良好に通流させることができれば、特にこの構成に限定されず、適宜変更が可能である。例えば、上部油路7bに開閉弁を設け、下部油路7aに開閉弁を設けることができ、オイルパン3と蓄熱槽6との間でオイルを迅速に通流させることも可能である。
S2 第2温度センサ
S3 第3温度センサ
1 内燃機関
2 シリンダブロック
3 オイルパン
5 第1オイルポンプ
6 蓄熱槽
7 油路
7a 下部油路
7b 上部油路
8 第2オイルポンプ
10 制御部
11 レベルセンサ
12 逆止弁
13 開閉弁
100、200 内燃機関用潤滑装置
L 暖機運転の際に必要な最小限の量のオイルレベル
Claims (7)
- オイルパンから抜き取ったオイルを一時的に貯留する蓄熱槽を備えた内燃機関用潤滑装置の運転方法であって、
暖機運転に際して、オイルの一部を前記蓄熱槽に残しつつ、前記蓄熱槽のオイルをオイルパンに排出することで、オイルパンのオイル量が減量化された状態とする一部排出ステップを有する内燃機関用潤滑装置の運転方法。 - 前記一部排出ステップに先行するステップとして、前記一部排出ステップにおける排出量を上回る量のオイルを前記蓄熱槽から前記オイルパンに排出する予備排出ステップを有し、前記一部排出ステップでは、前記予備排出ステップの後に、前記オイルパンのオイルの一部を再度前記蓄熱槽に回収することで、オイルパンのオイル量を減量化する請求項1に記載の内燃機関用潤滑装置の運転方法。
- 前記蓄熱槽のオイルの温度が第1基準値よりも高い場合に、前記予備排出ステップを実行する請求項2に記載の内燃機関用潤滑装置の運転方法。
- 前記一部排出ステップの後に、前記蓄熱槽に残存するオイルの全量を前記オイルパン内に排出した状態とする全量排出ステップが実施される請求項1から3のいずれか一項に記載の内燃機関用潤滑装置の運転方法。
- 前記オイルパンのオイルの温度が第2基準値を越えた時に前記全量排出ステップが実施される請求項4に記載の内燃機関用潤滑装置の運転方法。
- オイルを貯留するオイルパンと、前記オイルパンから抜き取ったオイルを一時的に貯留する蓄熱槽と、前記オイルパン及び前記蓄熱槽間を接続する油路と、前記油路を介して前記オイルパン及び前記蓄熱槽間で前記オイルを通流させるオイルポンプとを備え、
前記油路として、上部油路と下部油路とを備え、
前記上部油路は、暖機運転の際に必要な最小限のオイル量を確保できる高さ位置に対応する前記オイルパンの側部と、前記蓄熱槽の底部とを接続してなるとともに、
前記下部油路は、前記オイルパンの底部と、前記蓄熱槽の底部とを接続してなり、
少なくとも前記オイルパンから前記上部油路を介して前記蓄熱槽に、前記オイルパン内のオイルの量が前記最小限のオイル量になるまで前記オイルポンプを用いて回収する内燃機関用潤滑装置。 - 前記上部油路には、前記オイルパン及び前記蓄熱槽間で前記オイルの通流を許容し、又は遮断する開閉弁が設けられるとともに、
前記下部油路には、前記オイルパンから前記蓄熱槽へ前記オイルの通流を許容し、前記蓄熱槽から前記オイルパンへの前記オイルの通流を遮断する逆止弁が設けられ、
前記上部油路と前記下部油路とが、一つの前記オイルポンプを介して前記蓄熱槽の底部に接続されてなり、
前記オイルポンプの駆動状態を制御する制御部を備えた請求項6に記載の内燃機関用潤滑装置。
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