JP2009078393A - 化粧シート - Google Patents

Abstract

【課題】ポリフッ素系樹脂の耐候性、対汚染性、強度面の優れた特性を生かしつつ、熱可塑性基材との接着性も優れた化粧シートを提供する。
【解決手段】少なくとも熱可塑性樹脂基材１、絵柄模様層２、透明熱可塑性樹脂３をこの順に設けてなる化粧シートにおいて、前記透明熱可塑性樹脂層３が、熱接着により積層されてなり、フッ化ビニリデン樹脂８０〜９９重量部とメタクリル酸エステル系樹脂１〜２０重量部よりなる表面側の層５と、フッ化ビニリデン樹脂１〜２０重量部とメタクリル酸エステル系樹脂８０〜９９重量部よりなる絵柄模様層側の層４の、少なくとも２層を有する複数の層からなることを特徴とする。
【選択図】図１

Description

本発明は、住宅等の建築物の内外装材や、造作材、建具等の建築資材、家具什器類、車両内装、住設機器や家電製品等に使用するための化粧シートに関するものであり、特に、例えば玄関引き戸、窓枠、テラス、車庫、アルミ支柱堀等、耐候性や耐熱性が必要とされる外装建築部材の表面化粧用として好適な高耐候性の化粧シートに関するものである。

前記用途に用いる化粧シートは、通常、樹脂基材上に絵柄模様層を印刷し、これを透過して視認できる透明熱可塑性樹脂層を表面側に設けてなるものである。

前記熱塑性樹脂基材としては、その一面に絵柄模様が印刷可能であり、前記透明熱可塑性樹脂と貼り合せが好適なものが使用されている。具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ＦＲＰ等のプラスチック基材がある。

前記透明熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリメタクリル酸エステル系樹脂、およびポリフッ素系樹脂等が使用されている。これらの樹脂はそれぞれの価格、特性等によって、いろいろな用途に使い分けされている。コスト面ではポリ塩化ビニル系樹脂が最も安価であり、一方特性面ではポリフッ素系樹脂が最も耐候性に優れている。ポリメタクリル酸エステル系樹脂はその中間の性能を有している。

これらの樹脂からなる透明熱可塑性樹脂はフィルムとして透明熱可塑性樹脂層を形成する。そして、前記熱可塑性樹脂基材との積層においては、ポリ塩化ビニル系樹脂からなるフィルムおよびポリメタクリル酸エステル系樹脂からなるフィルムでは、熱接着方式を採用することが可能である。

しかし、ポリフッ素系樹脂からなるフィルムは、本来、耐候性の他に耐汚染性、強度面で優れた性能を有しているが、基材との接着性に劣るために接着剤を使用した接着方式を採用することとなり、接着剤の影響でその優れた耐汚染性や強度面を生かしきれていなかった。

本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、ポリフッ素系樹脂の耐候性、対汚染性、強度面の優れた特性を生かしつつ、熱可塑性基材との接着性も優れた化粧シートを提供することにある。

本発明はこの課題を解決したものであり、すなわちその請求項１記載の発明は、少なくとも熱可塑性樹脂基材、絵柄模様層、透明熱可塑性樹脂をこの順に設けてなる化粧シートにおいて、前記透明熱可塑性樹脂層が、熱接着により積層されてなり、フッ化ビニリデン樹脂８０〜９９重量部とメタクリル酸エステル系樹脂１〜２０重量部よりなる表面側の層と、フッ化ビニリデン樹脂１〜２０重量部とメタクリル酸エステル系樹脂８０〜９９重量部よりなる絵柄模様層側の層の、少なくとも２層を有する複数の層からなることを特徴とする化粧シートである。

本発明はその請求項１記載の発明により、表面側のフッ化ビニリデン樹脂を９９〜８０重量部にすることにより、フッ素系樹脂フィルムの特徴である耐候性、耐汚染性、耐溶剤性を保持させることが可能となる。また、また絵柄模様層側のメタクリル酸エステル系樹脂を９９〜８０重量部にすることにより、着色熱可塑性樹脂層との接着性を保持させることができるという作用効果を奏する。

以下、本発明を図面に基づき詳細に説明する。図１に本発明の化粧シートの一実施例の断面の構造を示す。熱可塑性樹脂基材１の絵柄模様層２、透明熱可塑性樹脂層３を設けてなり、該透明熱可塑性樹脂層３は表面側の層４と絵柄模様層側の層５の２層からなる。

本発明における熱可塑性樹脂基材１としては、重合度５００〜２０００の半硬質塩化ビニル樹脂フィルムに、バリウムや亜鉛系の熱安定剤、可塑剤（ＴＯＴＭ トリ２−エチルヘキシルトリメリテート）、着色顔料として酸化チタン、カーボン、イソインドリノン、クロムイエロー、ジメチルキナクリドン、ポリアゾレッド、ジケトピロロピロール、チタンイエローなどを添加したものが使用可能である。
または、ランダムまたはホモ系ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、着色顔料として酸化鉄、カーボンブラック、酸化チタン、フタロシアニンブルー、イソインドリノンなどを適宜添加したものも使用可能である。
あるいは、共重合ポリエステル樹脂、発泡タイプのポリエステル系樹脂、アクリル樹脂系等も使用可能である。

熱可塑性樹脂基材１は、化粧シートを貼り合わせる部材や基板などの表面の色のばらつきや欠陥等を隠蔽するために、隠蔽性の不透明に着色されたものが用いられる場合が多いが、逆に基材の表面の質感を活かすために、透明乃至半透明のものが用いられる場合もある。厚みは、２５μｍから２００μｍの範囲が好適である。

本発明における絵柄模様層２としては、バインダー樹脂がアクリル樹脂と塩化酢酸ビニル樹脂からなり、顔料が少なくともイソインドリノン、キナクリドン、カーボンブラック、フタロシアニンブルーの一つ以上からなるものが使用可能である。また、２液ウレタン樹脂系やポリエステル樹脂とアクリル樹脂及び塩化酢酸ビニル樹脂系の混合物も使用可能である。

本発明における透明熱可塑性樹脂層３としては、フッ化ビニリデン樹脂９９〜８０重量部とメタクリル酸エステル系樹脂１〜２０重量部よりなる表面側の層４と、フッ化ビニリデン樹脂１〜２０重量部とメタクリル酸エステル系樹脂９９〜８０重量部よりなる絵柄模様層側の層５から構成されている。

表面側の層４でフッ化ビニリデン樹脂が９９重量部より多くなると接着性が弱くなり、８０重量部を下まわると耐候性、耐汚染性、耐溶剤性が弱くなる。そして絵柄模様層側の層５でメタクリル酸エステル系樹脂が９９重量部より多くなると耐汚染性、耐溶剤性が弱くなり、８０重量部を下回ると接着性が弱くなる。

本発明におけるフッ化ビニリデン樹脂とは、フッ化ビニリデンのホモポリマー、又は、フッ化ビニリデンと共重合可能な単量体との共重合体とをいう。共重合可能な単量体としては、例えばフッ化ビニル、四フッ化エチレン、３フッ化塩化エチレンなどがある。

本発明におけるにメタクリル酸エステル系樹脂とは、メタクリル酸メチルのホモポリマーの他、メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体との共重合体をいう。共重合可能な単量体としては、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチルの他アクリル酸エステル類等がある。

前記表面側の層４と前記絵柄模様層側の層５のフィルムとしての厚さは特に限定されないが、表面側の層４は３〜１００μｍ、絵柄模様層側の層５は５〜２００μｍ、層全体としては１０〜３００μｍ程度が望ましい。

また、透明熱可塑性樹脂層３には、必要に応じて例えば着色剤、充填剤（シリカ、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム等）紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤（ステアリン酸、金属石けん等）、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、減摩剤、光散乱剤、艶調整剤等の各種の添加剤から選ばれる１種以上が添加されていても良い。

熱可塑性樹脂基材１として、重合度１０５０〜１１００の半硬質塩化ビニル樹脂を用い、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、顔料として酸化鉄を加えた厚さ１２０μｍの樹脂フィルムを用いた。
これに絵柄模様層２として、塩化酢酸ビニル樹脂をバインダー樹脂として酸化チタンやカーボンやイソインドリオンやジケトピロロピロールを顔料としたインキを用いてグラビア印刷法により印刷した。

透明熱可塑性樹脂層３の表面側の層４として、厚み１７μｍのポリフッ化ビニリデン樹脂８５重量部とメチルメタアクリレート樹脂１５重量部からなるフィルムを用い、透明熱可塑性樹脂層３の絵柄模様層側の層５として、厚み３３μｍのポリフッ化ビニリデン樹脂１５重量部とメチルメタアクリレート樹脂８５重量部からなるフィルムを用い、これらを前記絵柄模様を印刷した熱可塑性樹脂基材１とを熱ラミネートして本発明の化粧シートを得た。

＜比較例１＞
透明熱可塑性樹脂層３として、厚み５０μｍのメチルメタアクリレート樹脂フィルム単体を用いた以外は実施例１と同様にして化粧シートを得た。

＜比較例２＞
透明熱可塑性樹脂層３として、厚み５０μｍのポリフッ化ビニル樹脂フィルム単体を用いた以外は実施例１と同様にして化粧シートを得た。

＜比較試験＞
以上のように作製した化粧シートについて、以下の試験を行った。
１）セロハンテープ剥離試験
表面にナイフによる切り込みを設けた上にセロハンテープを貼り合わせ、剥離した。
繰り返し試験の結果、実施例１、比較例１では剥離が発生せず、結果透明熱可塑性樹脂層が破壊されるに至った。比較例２では透明熱可塑性樹脂層の剥離が発生した。
２）表面汚染性試験
浴槽の性能試験方法であるＪＩＳ−Ａ１７１８に準拠して行った。
実施例１、比較例２では汚染は発生しなかったが、比較例１では汚染が発生した。
３）表面耐溶剤性
エタノールをラビングし、４０往復させた。
実施例１、比較例２では変化がなかったが、比較例１では白化が発生した。
４）耐候性
サンシャインウェザーメータで４０００時間試験後の表面状態を観測した。
実施例１、比較例１では変化がなかったが、比較例２ではシート層間強度の低下が著しかった。

本発明の化粧シートは、玄関引き戸、窓枠、テラス、車庫、アルミ支柱堀等、耐候性や耐熱性が必要とされる外装建築部材の表面化粧用として好適な高耐候性の化粧シートとして利用可能である。

本発明の化粧シートの一実施例の断面の構造を示す説明図である。

符号の説明

１…熱可塑性樹脂層
２…絵柄模様層
３…透明熱可塑性樹脂層
４…表面側の層
５…絵柄模様層側の層

Claims (1)

1. 少なくとも熱可塑性樹脂基材、絵柄模様層、透明熱可塑性樹脂をこの順に設けてなる化粧シートにおいて、前記透明熱可塑性樹脂層が、熱接着により積層されてなり、フッ化ビニリデン樹脂８０〜９９重量部とメタクリル酸エステル系樹脂１〜２０重量部よりなる表面側の層と、フッ化ビニリデン樹脂１〜２０重量部とメタクリル酸エステル系樹脂８０〜９９重量部よりなる絵柄模様層側の層の、少なくとも２層を有する複数の層からなることを特徴とする化粧シート。