JP2009076030A - 物体認識装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来にない画期的な超解像処理により、自車に搭載した撮影手段の撮影画像を簡単な画像処理で短時間に容易に高解像度化し、画像処理後の高解像度の撮影画像から遠方の障害となる車両等の物体を認識し得るようにする。
【解決手段】自車1に搭載された撮影手段3の毎フレームの撮影画像に高解像度化手段のウェーブレット逆変換の超解像処理を施し、ウェーブレット逆変換を行なう従来にない画期的な超解像処理により、簡単な画像処理で短時間に容易に撮影画像を高解像度化し、認識処理手段により、高解像度化した撮影画像から遠方の障害となる車両等の物体を誤りなく検出して認識する。
【選択図】図1

Description

この発明は、撮影手段の撮影画像を画像処理によって高解像度化し、画像処理後の撮影画像から遠方の先行車等の障害となる物体を良好に認識し得るようにした物体認識装置に関する。
従来、追従走行や衝突被害の軽減、自動操舵制御等の運転支援を行なうため、自車に撮影手段としてカメラを搭載し、このカメラの撮影画像により自車の前方や後方を監視して先行車、後方からの追い越し車両等の動物体や静止物体を含む路上の障害となる物体を認識する物体認識装置が、種々研究開発され、実用化されつつある。
ところで、前記カメラの撮影画像は例えば50m以上遠方の物体の解像度が低下する。そのため、カメラの撮影画像(原画像)から遠方の障害となる車両等の物体を認識することは困難である。
そして、カメラの高解像度化には物理的限界や経済的制限があるため、この種の物体認識装置においては、超解像処理と呼ばれる画像処理により撮影画像を高解像度化して遠方の障害となる車両等の物体を認識することが考えられている。
既提案の超解像処理は、カメラの連続する複数フレームの撮影画像について、相関法の画像処理によりフレーム間の物体移動の画素位置を特定し、さらに、移動前後の各画素値を加算平均して移動前の1画素より細かい画素単位で移動後の各画素値を求めて撮影画像を高解像度化するものである(例えば、特許文献1参照)。
そして、超解像処理によって高解像度化した撮影画像からは、後述するエッジヒストグラム法等によって遠方の障害となる物体を検出して認識することが可能になる。
特開2006−318272号(段落[0007]−[0015]、図1〜図4等)
前記特許文献1に記載の従来提案の超解像処理の場合、高解像度化した1フレームの画像を形成するために複数フレームの撮影画像が必要であり、画像量が多く、処理に時間がかかるだけでなく、処理が煩雑でメモリ消費も多くなり、簡単な画像処理で短時間に容易に撮影画像を高解像度化することができない問題がある。
また、フレーム間の相関の煩雑な演算処理が必要で、演算の誤差等によって高解像度化のミスが生じ、誤認識を招来するおそれもある。
本発明は、従来にない画期的な超解像処理により、自車に搭載した撮影手段の撮影画像を簡単な画像処理で短時間に容易に高解像度化し、画像処理後の高解像度の撮影画像から遠方の障害となる車両等の物体を認識し得るようにすることを目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明の物体認識装置は、自車に搭載されて車外を撮影する撮影手段と、前記撮影手段の撮影画像にウェーブレット逆変換を施して前記撮影画像を高解像度化する高解像度化手段と、前記高解像度化手段の高解像度化により得られた高解像度画像内の物体を認識する認識処理手段とを備えたことを特徴としている(請求項1)。
そして、前記高解像度化手段のウェーブレット逆変換は、前記撮影画像に、該撮影画像の垂直方向、水平方向の少なくともいずれか一方向の高周波成分を加えて行なうことが、処理の簡素化等に好適である(請求項2)。
さらに、前記撮影画像の略前記物体の輪郭部分について垂直方向、水平方向の少なくともいずれか一方向の高周波成分を抽出する抽出手段を備え、前記高解像度化手段のウェーブレット逆変換により前記撮影画像に加える高周波成分は、前記抽出手段が抽出した高周波成分であることが、処理の簡素化等のために更に好ましい(請求項3)。
そして、前記抽出手段が抽出した高周波成分は、前記撮影画像の解像度に対する高解像度画像の解像度の比をKとして、前記高周波成分の輪郭線の線幅を1/Kに狭くして前記高解像度化手段のウェーブレット逆変換に用いられることが好ましい(請求項4)。
また、前記抽出手段は、前記撮影手段の前後する2フレームの撮影画像の垂直方向、水平方向の少なくともいずれか一方向の差分を前記高周波成分として抽出するものであってもよい(請求項5)。
請求項1の発明の場合、自車に搭載された撮影手段の毎フレームの撮影画像をウェーブレット変換によって得られた低解像度の画像であるとして、撮影画像に高解像度化手段のウェーブレット逆変換の超解像処理を施し、ウェーブレット逆変換の画像処理によって撮影画像を高解像度化することができる。
この場合、1フレームの撮影画像から高解像度化した1フレームの画像を形成することができ、処理する画像量が少なく、簡単な画像処理で短時間に容易に撮影画像を高解像度化することができる。そして、フレーム間の相関の煩雑な演算は不要であり、認識処理手段は高解像度化された撮影画像内の遠方の車両等の物体を認識することができる。
したがって、ウェーブレット逆変換を行なう従来にない画期的な超解像処理により、自車に搭載したカメラの撮影画像を簡単な画像処理で短時間に高解像度化し、高解像度化した撮影画像から遠方の障害となる車両等の物体を誤りなく検出して認識することができる。
請求項2の発明の場合、高解像度化手段のウェーブレット逆変換が、自車に搭載した撮影手段の撮影画像に、その垂直方向、水平方向の少なくともいずれか一方向の高周波成分を加える簡便な手法で行なわれるため、前記撮影画像を一層簡単な画像処理で短時間に高解像度化することができ、極めて実用的である。
請求項3の発明の場合、抽出手段が撮影画像の略前記物体の輪郭部分について垂直方向、水平方向の少なくともいずれか一方向の高周波成分を抽出し、この高周波成分を用いて高解像度化手段がウェーブレット逆変換を行うため、一層簡単かつ迅速に撮影画像の認識に必要な略前記物体の輪郭部分のみを高解像度化して鮮明にすることができ、一層簡単かつ迅速に遠方の物体を認識することができる。
請求項4の発明の場合、前記抽出手段が抽出した高周波成分は、前記撮影画像の解像度に対する高解像度画像の解像度の比をKとして、輪郭線の線幅を1/Kに狭くした画像の高周波成分である。そのため、前記高解像度化手段のウェーブレット逆変換によって、一層鮮明で実用的な高解像度画像を復元することができる。
請求項5の発明の場合、前記抽出手段による前記高周波成分の具体的な抽出の構成として、撮影手段の前後する2フレームの撮影画像を要するが、前記従来の相関法の画像処理のような複雑な処理ではなく、前記撮影手段の前後する2フレームの撮影画像の垂直方向、水平方向の少なくともいずれか一方向の差分を求める簡単な手法で前記高周波成分を抽出することができる。
つぎに、本発明をより詳細に説明するため、実施形態について、図1〜図22を参照して詳述する。なお、認識対象の物体は自車の前、後等の走行の障害となる可能性がある遠方の種々の移動物体、静止物体であってよいが、以下の実施形態においては、説明を簡単にする等のため、認識対象の物体を自車前方例えば50m以遠の同レーンを走行する先行車(前方車両)とする。
(第1の実施形態)
まず、請求項1、2に対応する第1の実施形態について、図1〜図13を参照して説明する。
図1は自車1に搭載された物体認識装置2のブロック構成を示し、図2はその動作説明のフローチャートである。図3は基本的なウェーブレット変換の説明図であり、図4は基本的なウェーブレット逆変換の説明図である。
図5、図6は認識処理手段のエッジヒストグラム法の認識処理の説明図であり、それぞれの(a)は撮影画像、(b)はエッジヒストグラム画像、(c)はエッジ画像、(d)は撮影画像を複数個の車両領域に分割した分割画像である。
図7は画像の垂直方向(縦方向)の輪郭成分とそのウェーブレット変換の周波数成分との関係を示し、(a)はウェーブレット変換の入力画像例、(b)はその周波数成分例を示す。
図8〜図11はそれぞれ高解像度化手段のウェーブレット逆変換例の説明図である。図12は実験例の条件を説明する各画像を示し、(a)は基準の高解像度の画像、(b)は解像度が劣化した劣化画像、(c)はウェーブレット逆変換に入力するHL成分の画像である。図13は実験結果を示し、(a)はHL成分を入力してウェーブレット逆変換した結果であり、(b)はHL成分を入力しないでウェーブレット逆変換した結果である。
[構成]
図1に示すように、自車1に搭載された物体認識装置2は、撮影手段3と、その撮影画像を処理する画像処理手段4と、その後段の認識処理手段5によって形成される。
撮影手段3は例えば自車1のルームミラーの基部等に自車1の前方を撮影するように取り付けられた半導体イメージセンサ構成の単眼カメラであり、時間的に連続して撮影可能であり、自車1の走行中に例えば1/30秒の毎フレームに前方の最新フレームのカラー或いはモノクロの撮影画像(原画像)を画像処理手段4に出力する。
画像処理手段4は認識処理手段5と共にマイクロコンピュータによって形成され、本発明の高解像度化手段を形成する。
そして、高解像度化手段は、撮影手段3の撮影画像にウェーブレット逆変換の画像処理を施し、毎フレームの撮影画像を高解像度化する。
つぎに、高解像度化手段のウェーブレット逆変換の画像処理等について説明する。
一般に、画像はそれより低解像度の画像と複数の周波数成分とに分解できる。このことは、前記低解像度の画像と前記周波数成分とから、高解像度の元の画像を復元できることを意味し、前記画像の分解及び復元は、ウェーブレット変換(WT)及びウェーブレット逆変換(IWT)により実現できる。
ウェーブレット変換は、基本的に、ウェーブレット関数を時間軸上で拡大縮小、平行移動して足し合わせることで、与えられた入力の波形を表現しようとする変換であり、画像のデータ等の離散的なデータに対するウェーブレット変換は、離散ウェーブレット変換と呼ばれる。
そして、画像のデータのウェーブレット変換は二次元の離散ウェーブレット変換であり、この二次元の離散ウェーブレット変換は、ウェーブレット関数とスケーリング関数を使い、入力画像の垂直方向(縦方向)と水平方向(横方向)それぞれに対し、高周波成分を抽出する微分のハイパスフィルタ(HPF)処理と、低周波成分を抽出する積分のローパスフィルタ(LPF)処理を施して行なわれる。
具体的には、画像のデータの二次元の離散ウェーブレット変換は、入力画像に水平方向のHPF処理とLPF処理をそれぞれ施して高低2つの周波数成分(高周波数成分H、低周波数成分L)を生成し、さらに、その二つの周波数成分に、垂直方向のHPF処理とLPF処理をそれぞれ施して行なわれる。
このようにして、入力画像の垂直方向と水平方向にそれぞれHPF処理とLPF処理を施してウェーブレット変換を行なうと、図3に示すように、入力画像(原画像)OGaは、周波数成分LL、HL、LH、HHの4つのデータに分解される。
なお、周波数成分LL、HL、LH、HHは、生成経緯等を考慮して、以降、LL成分、HL成分、LH成分、HH成分と称する。
そして、HL成分は入力画像OGaの水平方向にHPF処理、垂直方向にLHP処理を施して生成された入力画像OGaの垂直方向の高周波成分であり、同様に、LH成分は入力画像OGaの水平方向の高周波成分であり、HH成分は入力画像OGaの垂直方向及び水平方向の高周波成分である。また、LL成分は、入力画像OGaの半分の解像度で画素値を示した低解像度画像SIの画像データである。
一方、ウェーブレット逆変換は、基本的には、図4に示すように、LL成分である低解像度画像OGbと三つの周波数成分(HL成分、LH成分、HH成分)とにより、縦横に倍の高解像度の画像EIを生成する変換である。
そして、ウェーブレット変換は可逆変換である。そのため、ある画像I(入力画像OGaに相当)をウェーブレット変換して生成された低解像度の画像(低解像度画像OGbに相当)と三つの周波数成分(HL成分、LH成分、HH成分)のデータを用いてウェーブレット逆変換を行なうと、低解像度画像OGbが高解像度化されて画像Iが復元(生成)される。
すなわち、ウェーブレット変換は、対象とする入力画像OGaを、その半分の低解像度画像SIのLL成分と3つの周波数成分(HL成分、LH成分、HH成分)の合計4つのデータに分解する変換であり、その逆変換であるウェーブレット逆変換は、対象とする入力画像OGbの解像度を高める超解像処理の変換である。
そして、撮影手段3の撮影画像を低解像度の入力画像OGbとするウェーブレット逆変換に適当な周波数成分(HL成分、LH成分、HH成分)を入力すると、低解像度の入力画像OGbから高解像度の画像EIが生成(復元)されて撮影画像が高解像度化される。
このとき、ウェーブレット変換、ウェーブレット逆変換はそれぞれ1フレームの入力画像OGa、OGbを用いて行なうことができる。そのため、入力画像OGbとして1フレームの撮影画像があれば、ウェーブレット逆変換によってその高解像度化の超解像処理が行なえる。
そこで、前記高解像度化手段は、撮影手段が撮影した毎フレームの撮影画像を低解像度の入力画像OGbとし、この低解像度の入力画像OGbを、後述する適当な周波成分を用いたウェーブレット逆変換(WZP法)により拡大することで、超解像処理の変換を行って撮影画像を高解像度化した毎フレームの画像EIを生成(復元)する。
ところで、画像処理手段4の後段の認識処理手段5は、ウェーブレット逆変換によって得られた高解像度化手段の高解像度の画像EIから先行車両等の物体を認識する。その手法として、本実施形態においては、画像中の車両の領域に多く含まれる水平・垂直のエッジ成分に着目し、ノイズに対して強く計算時間も短いエッジヒストグラムを使った車両認識手法(エッジヒストグラム法)を採用する。
このエッジヒストグラム法の車両認識を、図5、図6を参照して説明する。
例えば図5、図6の(a)はそれぞれ1フレームの撮影画像(実画像)P1、P2であり、これらの撮影画像P1、P2は前方に先行車α1、α2それぞれが映っている。
そして、エッジヒストグラム法では、撮影画像P1、P2の車両の領域に多く含まれる水平・垂直のエッジ成分に着目し、撮影画像P1、P2それぞれの各画素輝度を垂直方向、水平方向に空間差分処理して画像エッジを抽出し、抽出した各画像エッジを垂直方向、水平方向に射影して累積し、図5、図6の(b)のヒストグラム画像P11、P12に示す水平エッジヒストグラムHeg、垂直エッジヒストグラムVegを求める。
なお、ヒストグラム画像P11、P12は撮影画像P1、P2それぞれに水平エッジヒストグラムHeg、垂直エッジヒストグラムVegを重ねた画像である。また、抽出された水平・垂直エッジの画像は図5、図6の(c)のエッジ画像P12、P22に示すようになり、先行車α1、α2等の車両の輪郭部分に多数の水平・垂直エッジが存在することがわかる。
そして、水平エッジヒストグラムHeg、垂直エッジヒストグラムVegが共に大きくなる水平・垂直エッジの各交点を結び、図5、図6の(d)の分割画像P13、P23に示すように、撮影画像P1、P2中に認識対象の先行車α1、α2の候補領域としての複数の矩形の車両領域βを作成する。
さらに、例えば、赤色、対称性、滑らかさ、形状の4つを、車両を特徴付ける要素の評価関数として各候補領域βの車両らしさを評価し、各車両領域βのうちの前記各評価関数が大きいものを、先行車両α1、α2の領域として選択し、エッジヒストグラム法により先行車両α1、α2を認識する。
ところで、前記撮影画像P1、P2は、実際には、高解像度化手段の超解像処理によって生成された画像EIである。
そして、高解像度化手段のウェーブレット逆変換の超解像処理によって撮影画像P1、P2が高解像度化されると、先行車α1、α2が例えば自車前方50m以遠に位置して撮影画像P1、P2中の先行車α1、α2の車両領域βが元は低解像度であったとしても、前記超解像処理によってその車両領域βの部分が高解像度化され、先行車α1、α2によって生じる多数の水平、垂直のエッジ成分を検出し、前記エッジヒストグラム法によって先行車α1、α2を認識することができる。
その際、認識対象である先行車α1、α2のような車両は輪郭に縦(垂直)及び横(水平)の多数のエッジ成分を含むので、撮影された画像が垂直方向(縦方向)、水平方向(横方向)の少なくともいずれか一方向に高解像度化されると、縦輪郭、横輪郭の少なくともいずれか一方が拡大強調されて垂直エッジ、水平エッジの少なくともいずれか一方を検出することができ、先行車α1、α2等の車両を認識できる。
そして、先行車α1、α2等の車両の場合、横幅は車種等によらず一定であり、縦輪郭のエッジ(垂直エッジ)、つまり車両側面エッジはエッジ間隔等から検出し易いが、高さは車両毎に異なるので、横輪郭のエッジ(水平エッジ)の検出は容易ではない。また、車両側面エッジは鮮明に出現することが多く、この点からも車両側面エッジは検出し易いが、とくに上部(ルーフ部)の横輪郭のエッジ(水平エッジ)は背景(風景)にまぎれ易く検出困難である。
そのため、遠方の車両の認識は、一般的には垂直エッジを重視して行なうことが好ましく、この場合、高解像度化手段の超解像処理は少なくとも垂直方向に高解像度化する処理であることが望ましい。なお、走行環境等によっては水平エッジを重視して行なうことが好ましい場合もあり、このような場合には、高解像度化手段の超解像処理は少なくとも水平方向に高解像度化する処理であることが好ましい。
そして、高解像度化手段のウェーブレット逆変換によって撮影手段3の撮影画像(入力画像OGb)を高解像度化し、画像EIを生成する場合、基本的には前記したように、LL成分となる入力画像OGbのデータ(画素データ)と、3つの周波数成分(LH成分、HL成分、HH
成分)のデータとが必要となるが、車両認識に必要とされる車両側面エッジ(垂直エッジ)が垂直方向の高周波成分(HL成分)に現れるので、垂直エッジを重視する場合は、前記3つの周波数成分(LH成分、HL成分、HH成分)のうち、少なくとも垂直方向の高周波成分HであるHL成分を入力してウェーブレット逆変換を行なえばよい。なお、車両側面エッジ(垂直エッジ)がHL成分に現れることは、図7(a)のウェーブレット変換の入力画像P3から抽出した図7(b)のHL成分の輪郭状の画像P31からも明らかである。図7(b)のHL成分は、画像P31の輪郭上下部分等が暗くなっていることから、横輪郭のエッジ(水平エッジ)は少なく、画像P31の輪郭左右部分等が縦方向に明るくなっていることから、縦輪郭のエッジ(垂直エッジ)を多く含んでいる。
また、車両の水平エッジが水平方向の高周波成分(LH成分)に現れるので、水平エッジを重視したウェーブレット逆変換によって撮影手段3の撮影画像(入力画像OGb)を高解像度化する場合は、少なくとも水平方向の高周波成分HであるLH成分を入力してウェーブレット逆変換を行なえばよい。
そこで、高解像度化手段の超解像処理においては、撮影画像(入力画像OGb)の水平・垂直の両方向を高解像度化するように最適な前記3つの周波数成分(HL成分、LH成分、HH成分)のデータを入力する必要はなく、撮影画像(入力画像OGb)を垂直方向、水平方向の少なくともいずれか一方向に高解像度化するように、HL成分、LH成分の少なくともいずれか一方のデータを入力してウェーブレット逆変換を行なう。この場合、ウェーブレット逆変換によって撮影画像(入力画像OGb)が本来の拡大画像と異なる画像(拡大画像)EIに逆変換されても、画像EIが入力画像OGbを垂直方向、水平方向の少なくともいずれか一方向に高解像度化した画像になるので、後段の認識処理手段5により、画像EIから遠方の先行車α1、α2等の車両を検出して認識することができる。
高解像度化手段の処理をさらに具体的に説明すると、少なくともHL成分のデータを入力し、垂直エッジを重視したウェーブレット逆変換によって撮影手段3の撮影画像(入力画像OGb)を垂直方向に高解像度化する場合、高解像度化手段は、最も簡易には、図8に示すように毎フレームの撮影画像(入力画像OGb)からなるLL成分と垂直方向の高周波成分(HL成分)とによってウェーブレット逆変換を行なう。また、少なくともLH成分のデータを入力し、水平エッジを重視したウェーブレット逆変換によって撮影手段3の撮影画像(入力画像OGb)を水平方向に高解像度化する場合、高解像度化手段は、最も簡易には図9に示すように毎フレームの撮影画像(入力画像OGb)からなるLL成分と水平方向の高周波成分(LH成分)とによってウェーブレット逆変換を行なう。これらのウェーブレット逆変換は最も簡単な超解像処理であり、扱うデータ量が極めて少なく、短時間に容易に毎フレームの撮影画像(入力画像OGb)の垂直方向、水平方向それぞれを高解像度化することができる。
なお、高解像度化手段のウェーブレット逆変換において、図8、図9のウェーブレット逆変換に代えて、図10に示すように毎フレームの撮影画像(入力画像OGb)からなるLL成分と、垂直方向の高周波成分(HL成分)と、水平方向の高周波成分(LH成分)のデータを入力してウェーブレット逆変換を行なってもよく、この場合は、水平・垂直両方向の高解像度化が行なえる。さらに、図11に示すように毎フレームの撮影画像(入力画像OGb)からなるLL成分と三つの周波数成分(HL成分、LH成分、HH成分)のデータを入力してウェーブレット逆変換を行なえば、完全な画像復元が行なえ、水平・垂直両方向の一層良好な高解像度化が行なえるのは勿論である。
つぎに、高解像度化手段のウェーブレット逆変換に必要な周波数成分(少なくともHL成分、LH成分のいずれか一方)のデータ取得について説明する。
これらの周波数成分のデータは、例えば先行車α1、α2が自車1の比較的近い位置にあり、撮影画像(入力画像OGb)の先行車α1、α2の部分が車両認識可能な高解像度になるときに、その高解像度の画像の微分処理やウェーブレット変換を行なって、予め得るようにしてもよいが、簡易的には時々刻々の撮影画像(入力画像OGb)に微分処理やウェーブレット変換を施して得た周波数成分のデータであってもよく、この場合にも実用上問題のない高解像度化が行なえることが実験等から判明した。
そのため、本実施形態の場合、高解像度化手段は高解像度化する毎フレームの撮影画像(入力画像OGb)に微分処理やウェーブレット変換を施してウェーブレット逆変換に必要な周波数成分のデータ、すなわち、垂直方向、水平方向の少なくともいずれか一方向のHL成分、LH成分等のデータを得る。
この場合、ウェーブレット逆変換に必要な周波数成分のデータを、毎フレームの撮影画像(入力画像OGb)から取得するので、処理が一層簡単になって実用的である。
[動作]
垂直方向の高周波成分Hに着目し、高解像度化手段によって毎フレームの撮影画像(入力画像OGb)を垂直方向(縦方向)に高解像度化して自車1の前方例えば50m以遠の先行車α1、α2等の認識対象の遠方の障害となる車両を認識する場合、上述した構成に基づき、物体認識装置2は毎フレームの撮影毎に図2のステップS1〜S3の処理を行なう。
すなわち、図2のステップS1により、撮影手段3が新たな1フレームの撮影画像を出力すると、この最新の1フレームの撮影画像(入力画像OGb)が画像処理手段4に取り込まれる。
そして、図2のステップS2により、画像処理手段4の高解像度化手段は、例えば撮影画像(入力画像OGb)をウェーブレット変換する簡便な手法でHL成分を得、撮影画像(入力画像OGb)からなるLL成分と、前記ウェーブレット変換によって得たHL成分とに基づき、撮影画像(入力画像OGb)に図8のウェーブレット逆変換の超解像処理を施し、撮影画像(入力画像OGb)を高解像度化して垂直方向の解像度が撮影画像(入力画像OGb)の倍になった高解像度の画像EIを生成する。
さらに、図2のステップS3により、認識処理手段5は上述したエッジヒストグラム法で前記高解像度の画像EIの垂直エッジを検出して先行車α1、α2等の認識対象の遠方の車両の車両領域βを選択し、この選択に基づいて前記認識対象の遠方の車両を認識する。
そして、少なくとも自車1の走行中はステップS3からステップS1に戻り、つぎの1フレームの撮影画像を超解像処理して認識対象の遠方の車両の認識をくり返す。
この場合、ウェーブレット逆変換を用いた従来にない画期的な画像処理により、毎フレームの撮影画像(入力画像OGi)を、その1フレームの撮影画像(入力画像OGi)から高解像度化することができる。しかも、前記ウェーブレット逆変換を、三つの周波数成分LL、HL、LH、HHのうちのHL成分のみを加える簡便でな手法で行なうため、撮影画像(入力画像OGi)を極めて簡単な画像処理で短時間に高解像度化することができ、極めて実用的である。
[実験結果]
つぎに、上記のようにHL成分のみを入力してウェーブレット逆変換を行なった結果について説明する。
本実験においては、まず、図12(a)に示す基準の撮影画像(前方車両画像)P4を用意する。この撮影画像P4は、先行車α(先行車α1、α2に対応)が比較的近くに位置して中央に高解像度に撮影された256×256画素(pixel)、8ビット(bit)/画素(pixel)の画像であり、車両認識の障害となる背景は少なく、そのままエッジヒストグラム処理等を施して安定に先行車αを認識することができる。
また、先行車αが遠方に位置してその縦横の解像度が低下した撮影画像として、実際の車間距離を想定し、先行車αの部分が32×32画素(pixel)、8ビット(bit)/画素(pixel)に解像度低下した劣化画像P41を用意する。劣化画像P41はそのままエッジヒストグラム処理等を施したのでは先行車αの認識が不安定になる画像である。
そして、画像P4、P41にウェーブレット逆変換を施し、その逆変換後の画素値や輪郭部分における復元の度合いを評価した。
なお、ウェーブレット逆変換は図12(c)に画像P42で示したHL成分を加えて行なった。このHL成分は、図12(a)の撮影画像P4から、劣化画像P41の倍の解像度(64×64画素(pixel)、8ビット(bit)/画素(pixel))の先行車αの画像を切り出し、それに対してウェーブレット変換を施して得られた成分である。
そして、画像の復元度合いについては平均二乗誤差(MSE)を利用して評価し、どれだけ輪郭がはっきりしているかという輪郭強度については、輪郭部分の前後の明るさの高低差を利用して画素単位で数値化して評価した。また、ウェーブレット逆変換後の認識の安定性については、ウェーブレット逆変換後の解像度の増加、周波数との結合による輪郭の強調が可能か否か等から評価した。
上記の条件下、劣化画像P41とHL成分とを用いて図8のウェーブレット逆変換を行なったところ、図13(a)の画像P43が得られた。なお、図13(b)は比較のためにHL成分を入力しないで劣化画像P41のみでウェーブレット逆変換を行った結果の画像P44を示す。
画像P43、P44の比較から、HL成分入力の逆変換結果の画像P43はHL成分によって縦輪郭が復元されて強調されていることが分かる。また、劣化画像P41とHL成分非入力の逆変換結果の画像P44との差は、ウェーブレット逆変換の持つ復元精度を示している。また、HL成分入力の逆変換結果の画像P43とHL成分非入力の逆変換結果の画像P44との差はHL成分入力による改善効果を示している。
そして、画像P4、P43、P44の比較からも明らかなように、HL成分を入力してウェーブレット逆変換すれば、劣化画像P41から撮影画像P4と同等の高解像度の画像P43が得られることが確かめられた。
そして、劣化画像P41、HL成分非入力のウェーブレット逆変換で得られた画像P44、HL成分を入力してウェーブレット逆変換して得られた画像P43、前記倍の解像度(64×64画素、8ビット/画素)の画像について、画像の復元度合いを示すMSE、輪郭強調の数値評価を求めたところ、その結果は次の表1に示すようになった。
この表1において、前記倍の解像度の画像の評価結果に近くなる程、認識結果が向上する画像であることが分かる。そして、表1の結果からも、HL成分のみを入力してウェーブレット逆変換した画像P43は、画像全体としての復元精度及び輪郭強度が共に改善し、車両認識に十分な高解像度の画像であることが確かめられた。
以上より、高解像度化手段のウェーブレット逆変換は、HL成分のみを入力して行なうことで車両縦輪郭が強調され、車両認識精度を向上できることが実験によって確認できた。
なお、水平方向の高周波成分Hに着目し、LH成分のみを入力して図9のウェーブレット逆変換を行なった場合にも同様の結果が得られる。また、HL成分、LH成分を入力して図10のウェーブレット逆変換を行なってもよく、HL成分、LH成分、HH成分を入力して図11のウェーブレット逆変換を行なってもよい。
(第2の実施形態)
つぎに、請求項3に対応する第2の実施形態について、図1及び図14を参照して説明する。
本実施形態においては、図1の画像処理手段4により、さらに本発明の抽出手段を形成する。
すなわち、高解像度化手段のウェーブレット逆変換において、HL成分、LH成分等の周波数成分のデータは、逆変換対象の撮影画像全体についてのデータであってもよいが、そのうちの先行車α、α1、α2等の認識対象の車両の略輪郭部分についての垂直方向、水平方向の少なくともいずれか一方向の部分的な高周波成分のデータであってもよい。認識対象の輪郭部分が高解像度化すれは、認識処理手段5の車両認識が問題なく行なえるからである。
そして、ウェーブレット逆変換によって撮影画像を部分的に高解像度化する場合は、データ量が一層少なくなって処理が一層容易かつ迅速に行なえるとともに、認識対象の輪郭部分のみが高解像度化されて鮮明になるので、画像エッジがより明瞭になって先行車α、α1、α2等の車両を認識し易くなる利点がある。
したがって、本実施形態の場合、高解像度化手段によってウェーブレット逆変換の超解像処理を行なう前に、画像処理手段4の抽出手段により、撮影手段3の撮影画像中の先行車α1、α2等の略認識対象の車両の輪郭部分についてのみ垂直方向、水平方向の少なくともいずれか一方の高周波成分(HL成分、LH成分)を抽出する。この部分的な高周波成分の抽出はどのようにして行なってもよいが、以下に、いくつかの例を説明する。
例えば、認識対象の先行車α、α1、α2等の認識対象の車両が次第に前方に遠ざかるような場合には、前記抽出手段により、認識対象の車両が近いときの撮影画像(高解像度の画像)から、微分法、エッジヒストグラム法等を用いた周知の画像認識処理により認識対象の車両の輪郭を検出してその車両を捕捉し、認識対象の車両が遠ざかるようになってもその車両を捕捉し続け、認識対象の車両が遠方に位置するようになったときに、撮影手段3の撮影画像の捕捉中の車両の輪郭部分について微分法やウェーブレット変換により垂直方向、水平方向の少なくともいずれか一方向の高周波成分(HL成分、LH成分)を抽出して前記の部分的な高周波成分の抽出を行なう。
また、認識対象の車両が遠くから次第に近づくような場合を考慮したときは、前記抽出手段により、毎フレームの撮影手段3の撮影画像につき、その微分画像等から適当な間隔で左右方向に並んだ垂直方向の対のエッジ成分を検出し、そのような垂直方向の対のエッジ成分が認識対象の車両の側面エッジであるとして撮影画像中の略認識対象の車両部分を特定し、撮影手段3の撮影画像の特定した部分について、微分法やウェーブレット変換により垂直方向、水平方向の少なくともいずれか一方向の高周波成分(HL成分、LH成分)を抽出して前記の部分的な高周波成分の抽出を行なうことが好ましい。
さらに、自車1に撮影手段3と共にレーダの前方探査手段も搭載する場合は、その探査によって認識対象の車両を捕捉し、前記抽出手段により、撮影手段3の撮影画像中の前記前方探査手段が捕捉している部分について、微分法やウェーブレット変換により垂直方向、水平方向の少なくともいずれか一方向の高周波成分(HL成分、LH成分)を抽出して前記の部分的な高周波成分の抽出を行なえばよい。
そして、前記抽出手段により、例えば図14(a)の画像P5に示す略認識対象の先行車αの左右両側の縦輪郭のみのHL成分を部分的な垂直方向の高周波成分として抽出し、抽出した部分的なHL成分のデータを高解像度化手段の図8のウェーブレット逆変換に入力して毎フレームの撮影画像を高解像度化する。
このようにした場合、ウェーブレット逆変換後の画像EIとして、図14(b)の画像P51が得られた。なお、HL成分のデータを入力しない場合は、ウェーブレット逆変換後の画像EIとして、図14(c)の画像P52が得られた。
画像P51、P52を比較すると、画像P51は画像P52よりも部分的に入力したHL成分によって車両αの縦輪郭部分のみが高解像度化されて強調され、鮮明になっている。
さらに、前記一実施形態において図12(c)の画像P42で示したHL成分のうちの車両αの縦輪郭部分を、前記抽出手段により抽出した部分的なHL成分として、部分的なHL成分を入力した場合と、入力しない場合とについて、同様のウェーブレット逆変換を行ない、ウェーブレット逆変換のLL成分としての入力画像(劣化画像)、HL成分非入力のウェーブレット逆変換で得られた画像P52、HL成分を入力してウェーブレット逆変換して得られた画像P51、前記倍の解像度(64×64画素、8ビット/画素)の画像について、画像の復元度合いを示すMSE、輪郭強調の数値評価を求めたところ、その結果はつぎの表2に示すようになった。
表2からは、HL成分を部分的に入力するので、画像P51、P52はMSEに大きな差は生じないが、輪郭強調については、画像P51は大幅に改善し、HL成分によって車両αの縦輪郭部分のみが高解像度化されて強調され、鮮明になっていることが確かめられた。そして、表1の画像P43と表2の画像P51の輪郭強調の数値評価から、HL成分を部分入力した画像P51の場合にも、全体に入力した画像P43の場合と同程度の結果が得られることが判明した。
したがって、本実施形態の場合、画像処理手段4の抽出手段によって撮影画像の認識対象の略車両αの輪郭部分についてのみHL成分を抽出し、この部分的なHL成分を入力した高解像度手段のウェーブレット逆変換により、認識に必要な車両αの輪郭部分のみを高解像度化して鮮明にし、後段の認識処理手段5によって車両αを認識することができる。この場合、ウェーブレット逆変換のデータ量が一実施形態の場合より少なくなり、一層簡単かつ迅速に遠方の車両αを認識することができる。
なお、本実施形態において、水平方向の高周波成分Hに着目し、部分的なLH成分のみを入力して図9のウェーブレット逆変換を行なった場合にも同様の結果が得られる。また、部分的にHL成分、LH成分を入力して図10のウェーブレット逆変換を行なってもよく、部分的にHL成分、LH成分、HH成分を入力して図11のウェーブレット逆変換を行なってもよい。
(第3の実施形態)
つぎに、請求項4に対応する第3の実施形態について、図15〜図20を参照して説明する。
本実施形態の処理の模式図である図15に示すように、撮影画像(低解像度の入力画像OGb)は、高解像度の入力画像(原画像OGa)にウエーブレット変換(図15のWT)を施して得られるLL成分の画像であり、その垂直方向、水平方向の解像度は原画像OGaの1/2である。
そして、画像処理手段4が形成する前記抽出手段により、撮影画像にウエーブレット変換を施し、そのLL成分(図15のLL*)、HL成分(図15のHL*)、LH成分(図15のLH*)、HH成分(図15のHH*)を得、撮影画像(LL成分)と、前記HL*、LH*、HH*に基づく前記の部分的なHL成分、LH成分、HH成分の少なくともいずれか1つとを入力としてウエーブレット逆変換(図15の逆WT)を行えば、前記したように原画像OGaに相当する高解像度の画像EIが復元される。
ところで、HL、LH、HHの各高周波成分の抽出状態は画像の解像度に左右される。例えば、縦×横=256×256画素、128×128画素、64×64画素の解像度の画像から抽出されたHL成分の一例は、図16、図17、図18の(a)に示すようになり、それらを2値化処理すると、図16、図17、図18の(b)に示すようになり、高画素になる程、不要な分散なく良好にHL成分を抽出できることがわかる。
また、前記HL*、LH*、HH*(部分的なHL成分、LH成分、HH成分)は、撮影画像の垂直方向、水平方向の解像度が原画像OGaの1/2に低下して輪郭線の線幅が2倍に太くなっている。また、その分輪郭線が不連続になっている。
そこで、本実施形態においては、第一に、前記撮影画像の解像度に対する高解像度画像の解像度(所望の復元解像度)の比をK(=所望の復元解像度/撮影画像の解像度)とすると、前記抽出手段が抽出した前記HL*、LH*、HH*(部分的なHL成分、LH成分、HH成分)の輪郭線の線幅を1/Kに狭くする。具体的には、K=2であるので、前記輪郭線の線幅を1/2に狭くする。第二に、輪郭線の不連続部分については画素を補間して滑らかにする。
すなわち、HL*(HL成分)については垂直方向の線幅を1/2に狭くし、かつ、垂直方向の不連続に対して画素を補間する。LH*(LH成分)については水平方向の線幅を1/2に狭くし、かつ、水平方向の不連続に対して画素を補間する。HH*(HH成分)については垂直・水平方向の線幅を1/2に狭くし、垂直・水平方向の不連続に対して画素を補間する。
そして、例えばHL成分についての線幅の加工及び前記画素の補間を、図19、図20を参照して具体的に説明する。図19は垂直方向の線幅を1/2に狭くし、かつ、垂直方向の不連続に対して画素を補間する処理の一例を示し、(a)は処理の過程、(b)は処理後を示す。図20は処理の前、後のHL成分の輪郭線の例を示す。
前記抽出手段によって抽出された前記HL*のHL成分の画像の輪郭線が図19(a)の少なくとも一方向の斜線を施した各画素Gによって形成される場合、そのうちの垂直方向の線分が1/2の幅(線幅)に狭く加工され、さらに、同図の○印を付した画素により垂直方向の不連続が補間されることにより、加工後の輪郭線は同図(b)のクロスハッチングの画素Gにより形成されることになる。
その結果、図20に示すように、同図の左側の加工前の前記HL*のHL成分に対して、同図の右側の加工後のHL成分は、輪郭線の線幅が縦方向に1/2に狭くなって高解像度になり、また、画素の補間によって滑らかになる。
そして、前記高解像度化手段により、撮影画像のLL成分と、加工後のHL成分とを入力してウエーブレット逆変換(図中の逆WT)を行えば、一層良好に垂直方向に高解像度化した画像EIを復元できる。
なお、前記高解像度化手段により、撮影画像のLL成分と画素補間の加工後のLH成分とを入力してウエーブレット逆変換を行えば、一層良好に水平方向に高解像度化した画像EIを復元できる。さらに、撮影画像のLL成分と、加工後のHL成分、LH成分とを入力してウエーブレット逆変換を行った場合及び、撮影画像のLL成分と、加工後のHL成分、LH成分、HH成分とを入力してウエーブレット逆変換を行った場合には、更に一層良好に高解像化した画像を復元できる。
(第4の実施形態)
つぎに、請求項5に対応する第4の実施形態について、図21、図22を参照して説明する。
本実施形態においては、撮影手段3によって時系列的に連続して撮影された撮影画像(動画像)を用い、その撮影画像にフレーム間でずれ(画素位置の移動)が生じることに着目する。ここで、「ずれ」とは、フレーム中の物体(例えば先行車)が動いたり、撮影手段3の撮影姿勢が変化することにより生じる。なお、図21、図22の撮影画像は後から先行車を撮影したものを示す。
そして、本実施形態における前記抽出手段の処理の模式図である図21に示すように、撮影手段3の時間的に異なる2フレームF1、F2の撮影画像につき、水平方向の輝度の差分をとれば、HL成分を抽出できる。また、2フレームF1、F2の撮影画像の垂直方向の輝度の差分をとれば、LH成分を抽出できる。さらに、2フレームF1、F2の撮影画像の水平、垂直両方向の輝度の差分をとって斜め方向の輝度の差分を求めればHH成分を抽出できる。なお、差分をとるための前後する2フレームは、連続する2フレームであってもよいし、一定フレーム数離れて前後する2フレームであってもよい。
このように、本実施形態においては、前記抽出手段により、撮影手段3の前後する2フレームF1、F2の撮影画像の垂直方向、水平方向の少なくともいずれか一方向の差分を高周波成分(HL成分、LH成分、HH成分)として抽出する。
さらに、本実施形態における前記高解像度化手段の処理の模式図である図22に示すように、撮影画像(LL成分)と、前記抽出手段により2フレームF1、F2の撮影画像の輝度の差分から抽出したHL成分、LH成分、HH成分の少なくとも1つとを入力としてウエーブレット逆変換(図15の逆WT)を行って原画像OGaに相当する高解像度の画像EIが復元する。
この場合、2フレームの撮影画像の差分を求める簡単な処理により低解像度の撮影画像から高周波成分(HL成分、LH成分、HH成分)を抽出して高解像度の画像EIを復元することができる。
そして、本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行なうことが可能であり、例えば、両実施形態の数波数成分(HL成分、LH成分、HH成分)の取得方法はどのようであってもよい。
また、認識対象の物体は先行車α、α1、α2等の前方の車両(対向する車両も含む)に限られるものではなく、自車1の後方等の種々の方向の追い越し車両等の車両であってよく、この場合、認識対処に応じて撮影手段3の撮影方向や範囲を設定等すればよい。
さらに、認識対象の物体は、車両に限るものではなく、自車1の走行の障害となりそうな路上の種々の動物体、静止物体であってよいのも勿論であり、そのような物体は例えば大きさ(主に横幅と高さ)によって予め設定することができる。
つぎに、撮影手段3の構成や認識処理手段5の認識手法等はどのようであってもよいのは勿論である。
また、第4の実施形態において、画素の補間は必ずしも行う必要はなく、場合によっては省いてもよい。
そして、本発明は、車両に搭載された撮影手段の撮影画像からの種々の物体の認識に適用することができる。
本発明の第1の実施形態のブロック図である。 図1の動作説明用の一部のフローチャートである。 基本的なウェーブレット変換の説明図である。 基本的なウェーブレット逆変換の説明図である。 図1の認識処理手段の処理の説明図である。 図1の認識処理手段の処理の他の説明図である。 画像の垂直方向(縦方向)の輪郭成分とそのウェーブレット変換の周波数成分との関係の説明図である。 図1の高解像度化手段のウェーブレット逆変換の一例の説明図である。 図1の高解像度化手段のウェーブレット逆変換の他の例の説明図である。 図1の高解像度化手段のウェーブレット逆変換の更に他の例の説明図である。 図1の高解像度化手段のウェーブレット逆変換の他の例の説明図である。 実験例の条件の説明図である。 実験例結果の説明図である。 本発明の第2の実施形態のウェーブレット逆変換の説明図である。 本発明の第3の実施形態の処理の模式図である。 図15の高周波成分の画像例の説明図である。 図15の高周波成分の他の画像例の説明図である。 図15の高周波成分のさらに他の画像例の説明図である。 図15の高周波成分の線幅の加工及び画素補間の説明図である。 図15の高周波成分の加工前、後の線幅の一例の説明図である。 本発明の第4の実施形態の高周波成分抽出の模式図である。 本発明の第4の実施形態のウエーブレット逆変換の説明図である。
符号の説明
1 自車
2 物体認識装置
3 撮影手段
4 画像処理手段
5 認識処理手段
α、α1、α2 認識対象の先行車

Claims (5)

  1. 自車に搭載されて車外を撮影する撮影手段と、
    前記撮影手段の撮影画像にウェーブレット逆変換を施して前記撮影画像を高解像度化する高解像度化手段と、
    前記高解像度化手段の高解像度化により得られた高解像度画像内の物体を認識する認識処理手段とを備えたことを特徴とする物体認識装置。
  2. 請求項1に記載の物体認識装置において、
    前記高解像度化手段のウェーブレット逆変換は、前記撮影画像に、該撮影画像の垂直方向、水平方向の少なくともいずれか一方向の高周波成分を加えて行なうことを特徴とする物体認識装置。
  3. 請求項2に記載の物体認識装置において、
    前記撮影画像の略前記物体の輪郭部分について垂直方向、水平方向の少なくともいずれか一方向の高周波成分を抽出する抽出手段を備え、
    前記高解像度化手段のウェーブレット逆変換により前記撮影画像に加える高周波成分は、前記抽出手段が抽出した高周波成分であることを特徴とする物体認識装置。
  4. 請求項3に記載の物体認識装置において、
    前記抽出手段が抽出した高周波成分は、前記撮影画像の解像度に対する高解像度画像の解像度の比をKとして、前記高周波成分の輪郭線の線幅を1/Kに狭くして前記高解像度化手段のウェーブレット逆変換に用いられることを特徴とする物体認識装置。
  5. 請求項3に記載の物体認識装置において、
    前記抽出手段は、前記撮影手段の前後する2フレームの撮影画像の垂直方向、水平方向の少なくともいずれか一方向の差分を前記高周波成分として抽出することを特徴とする物体認識装置。
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