JP2009076018A - 数値制御装置、数値制御プログラム及び数値制御プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体 - Google Patents

数値制御装置、数値制御プログラム及び数値制御プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】加工精度を必要とする特定の箇所について振動の発生を抑制する数値制御装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】解釈したプログラムブロックが加減速時定数変更指令の場合には(S10:YES)、設定時の時定数を退避させておく(S25)。次のブロックが(S30)、位置決め指令又は切削指令の際に(S40:YES)、変更指令のパラメータを参照して(S50、S70)、減速時定数(S55)又は加速時定数を変更する(S75)。そして、解釈中のブロックを実行した(S60)後、退避させておいた設定時定数に戻す(S65)。
【選択図】図3

Description

本発明は、数値制御装置、数値制御プログラム及び数値制御プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体に関し、詳細には、特定の箇所について加減速を調整可能な数値制御装置、数値制御プログラム及び記録媒体に関するものである。
一般に、加工機械においては、工具等のツールを、加工しようとするワークに対して相対的に移動させて加工を行う。この加工位置や速度を制御するために、被駆動体(ワーク、ワークを取り付けたテーブル、ツール)をサーボモータで駆動し、フィードバック制御を行って被駆動体の速度を制御している。
ここで、切削加工等の加工動作の実行中において、急激な速度変化が起きるような場合、被駆動体に振動が発生し、加工精度を低下させる恐れがある。このような急激な速度変化(加減速時)での振動発生を抑制するために、速度変化を監視し、測定された速度変化が基準値を超えた場合に、加速度が大きすぎ、振動が発生しているとして、加減速時定数を所定量低下させているものもある(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−155351号公報
しかし、上記従来の技術では、加工全体において,速度変化が大きい箇所の時定数を所定量低下させている。このため、加工精度が必要とされない加工箇所に関しても、時定数が所定量低下され、加工全体のサイクルタイムが長くなる場合が考えられる。また、切削開始時の速度変化が大きい場合には、時定数を所定量低下させたとしても既に切削開始してしまっているため、加工精度低下につながる可能性がある。さらに、加減速中に時定数を変化させた場合、指令速度に達するまでの間の速度変化が一定とならず、加工精度低下につながる可能性もある。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、加工精度を必要とする特定の箇所について振動の発生を抑制する数値制御装置、数値制御プログラム及び数値制御プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の数値制御装置は、加工プログラムに従って工具又がワークを予め記憶手段に記憶された設定時定数で移動させる移動機構備えた工作機械の数値制御装置において、前記加工プログラムから読み込まれた指令が、移動機構の加減速時定数を変更する時定数変更指令であるか否かを判断する変更判断手段と、前記変更判断手段により時定数変更指令であると判断された場合に所定のパラメータに基づき前記加減速時定数を変更する時定数変更手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明の請求項2に記載の数値制御装置は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記時定数変更手段が、前記変更判断手段により時定数変更指令であると判断された後に前記加工プログラムから読み込まれた指令が、位置決め指令又は切削指令である場合に、前記加減速時定数を変更し、前記時定数変更手段により変更された加減速時定数に従い位置決め指令又は切削指令が実行された後、前記加減速時定数を、前記記憶手段に記憶された時定数に戻す時定数復帰手段を備えたことを特徴とする。
また、本発明の請求項3に記載の数値制御装置は、請求項2に記載の発明の構成に加え、加速時定数及び減速時定数からなる前記加減速時定数のうち、変更する時定数を加速時定数か減速時定数かの何れかを選択する選択手段を備え、前記時定数変更手段は、前記選択手段により選択された時定数を変更することを特徴とする。
また、本発明の請求項4に記載の数値制御装置は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記変更判断手段によって時定数変更指令であると判断された場合に、時定数変更指令が読み込まれたことを記憶する変更指令記憶手段を備え、前記時定数変更手段が、前記変更指令記憶手段に時定数変更指令が読み込まれたことを記憶している場合、且つ前記加工プログラムから読み込まれた指令が、位置決め指令及びこれに続く切削指令である場合に、前記加減速時定数を変更することを特徴とする。
また、本発明の請求項5に記載の数値制御装置は、請求項4に記載の発明の構成に加え、前記加工プログラムから読み込まれた指令が、加減速時定数を前記設定時定数から変更することを禁止する禁止指令であるか否かを判断する禁止判断手段と、前記禁止判断手段によって前記加工プログラムから読み込まれた指令が禁止指令であると判断された場合に、禁止指令が読み込まれたことを記憶する禁止指令記憶手段と、前記禁止指令記憶手段に禁止指令が読み込まれたことを記憶している場合、前記時定数変更手段による前記加減速時定数の変更を回避する回避手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明の請求項6に記載の数値制御装置は、請求項4又は5に記載の発明の構成に加え、前記時定数変更手段が、位置決め指令実行時の減速時定数及び切削指令実行時の加速時定数を変更することを特徴とする。
また、本発明の請求項7に記載の数値制御プログラムは、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明の数値制御装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させる。
また、本発明の請求項8に記載の記録媒体は、請求項7に記載の発明の数値制御プログラムを記録している。
本発明の請求項1に記載の数値制御装置は、加減速時定数の変更指令を読み込んだ場合に、パラメータに基づいて加減速時定数を変更する。従って、変更指令をプログラムに作成しておけば、所望の箇所について所望の時定数を用いて加減速をしつつ加工を行うことが可能となる。
また、本発明の請求項2に記載の数値制御装置は、請求項1に記載の発明の効果に加え、加減速時定数の変更指令の後に位置決め指令又は切削指令である場合に、これらの指令の実行時に用いる加減速時定数を変更し、指令の実行が完了した後には、予め設定されている設定時定数に戻すので、特に加工精度を必要とするような位置決め指令及び切削指令についてのみ時定数の変更を行うことができる。
また、本発明の請求項3に記載の数値制御装置は、請求項2に記載の発明の効果に加え、加速時定数と減速時定数のいずれかを選択して変更を実行することができるので、特定の指令の実行について加工精度を上げたい場合に指定をすることができる。
また、本発明の請求項4に記載の数値制御装置は、請求項1に記載の発明の効果に加え、加減速時定数の変更指令が読み込まれたことが記憶されている場合であって、位置決め指令と切削指令とが連続している場合にのみ加減速時定数を変更して実行する。従って、時定数変更指令の後に読み込まれた位置決め指令と切削指令についてはすべて変更後の時定数で加工が行われる。同種の加工が位置を変えて連続する場合のように、しばらくの間継続して加工精度を上げたい場合に特に有効である。
また、本発明の請求項5に記載の数値制御装置は、請求項4に記載の発明の効果に加え、加減速時定数の変更禁止指令が読み込まれたことが記憶されている場合には、加減速時定数の変更を回避し、設定時定数のままとする。従って、変更指令による時定数の変更が不要となったときには、禁止指令を読み込ませることによって設定時定数に従って処理させることができる。すなわち、変更指令と禁止指令の組合せによって、設定時定数による加工と変更した時定数による加工を切り替えることができる。
また、本発明の請求項6に記載の数値制御装置は、請求項4又は5に記載の発明の効果に加え、位置決め指令については減速時定数を変更し、切削指令については加速時定数を変更する。従って、加工開始時の振動による加工精度の低下を有効に防止することができる。
また、本発明の請求項7に記載の数値制御プログラムは、コンピュータに実行させることにより、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明の作用効果を奏することができる。
また、本発明の請求項8に記載の記録媒体は、コンピュータに読み取らせることにより、請求項7に記載の発明の数値制御プログラムを実行し、その作用効果を奏することができる。
以下、本発明を適用した第一及び第二の実施の形態について図面を参照して説明する。第一実施形態及び第二実施形態の数値制御装置1は、工作機械に設けられ、制御コマンドを有する指示ブロックの配列からなる加工プログラムを実行することで、工作機械によるワーク加工動作を制御するものである。
まず、図1を参照して、第一実施形態及び第二実施形態に共通する数値制御装置1の電気的構成について説明する。図1は、工作機械の数値制御装置1の電気的構成を示すブロック図である。図1に示すように、数値制御装置1は、制御を司るCPU10と、制御プログラムを記憶したROM11と、データや使用中の加工プログラムの一時的記憶領域であるRAM12と、加工プログラムや予め設定された加減速時定数を記憶した不揮発メモリ13と、入出力インタフェイス14と、出力インタフェイス15とがバス16を介して接続されて構成されている。
入出力インタフェイス14には、操作パネル(図示外)上のキーボード21,周辺機器を接続するRS232Cインタフェイス22,外部記憶装置であるリムーバブルディスク23,各種の情報を表示させるディスプレイ24が接続されている。
出力インタフェイス15には、X軸モータ41を駆動させるX軸駆動回路31と、Y軸モータ42を駆動させるY軸駆動回路32と、Z軸モータ43を駆動させるZ軸駆動回路33と、主軸モータ44を駆動させる主軸駆動回路34とが接続されている。
次に、図2を参照して加工プログラムについて説明する。図2は、ディスプレイ24に表示された加工プログラムの例を示す説明図である。数値制御装置1は、ディスプレイ24に表示された加工プログラムに従って工作機械の動作を制御する。これによって、ワークを所望の形状に加工することができる。図2に示す加工プログラムは、NC言語によってプログラミングされたNCプログラムである。このNCプログラムは複数のブロックの配列から構成されている。それらブロックの制御コマンドに基づいて、工作機械にある特定の動作を行わせることができる。NCプログラムは、機械の動作モード(各種位置決定、移動等)を決定するGコードと、動作以外の補助的な機能を指令するMコードとを主体に構成されている。
次に、第一実施形態にかかわるGコード及びMコードについて説明する。「G0」は位置決めを指示する指令コード、「G1」は指定した位置への切削移動を指示する指令コードである。「MXXX」は、加減速時定数の変更を指示する指令コードであり、減速時定数の変更の際はパラメータ「P1」が指定され、加速時定数の変更の際にはパラメータ「P2」が指定される。「M30」は加工プログラムの終了を指示する指令コードである。
次に、CPU10による制御動作について、図3を参照して説明する。図3は、数値制御装置1のメイン処理のフローチャートである。操作パネル上の起動キーが押されることにより加工プログラムが起動され、処理が開始される。加工プログラムは、キーボード21を用いて加工すべきワークの形状に合わせてユーザが作成したものである。加工プログラムは、その場で作成してもよいし、不揮発メモリ13に記憶させてあるものを呼び出してもよい。
まず、加工プログラムの1行目(ブロック101)が読み込まれ、解釈される(S1)。そして、その解釈された制御コマンドが「M30」の終了指令であるか否かが判断される(S5)。図2の例では、ブロック101は「MXXXP1」であって終了コマンドではないので(S5:NO)、続いて、その制御コマンドが加減速時定数変更指令「MXXX」であるかどうかが判断される(S10)。加減速時定数変更指令でない場合には(S10:NO)、S1で解釈したブロックの指令を実行し(S15)、S1に戻って次のブロックを解釈する。
図2の例では、ブロック101は加減速時定数変更指令である(S10:YES)。そこで、現在設定されている時定数の値をRAM12の時定数記憶領域に退避させる(S25)。そして、次の1ブロックを解釈する(S30)。その解釈された制御コマンドが「M30」の終了指令であるか否かが判断される(S35)。現在解釈中の図2の2行目のブロック102は、「G0X_Y_」であり、位置決め指令であって終了指令ではない(S35:NO)。
次に、解釈中のブロックが位置決め指令又は切削指令であるかを判断する(S40)。位置決め指令でも切削指令でもない場合には(S40:NO)、解釈中のブロックの指令を実行し(S45)、S30に戻って次の1ブロックを解釈する。
図2の場合、現在解釈中のブロック102は、位置決め指令であるから(S40:YES)、次に、S10で加減速時定数変更指令と判断された指令が、減速時定数の変更指令(P1)であるかを判断する(S50)。ブロック101のように減速時定数の変更指令(P1)であれば(S50:YES)、減速時定数を以下の式を用いて変更する(S55)。尚、ここでは加速時定数は変更しない。
T1'=T1×L/100
但し、T1は変更前減速時定数。T1'は変更後の減速時定数。Lは時定数変更率。Lは、加工の種類や加工物に対応して適宜設定できる。
減速時定数の変更後、解釈中のブロック102を実行する(S60)。すなわち、変更された減速時定数に従って、ブロック102の位置決め指令が実行される。そして、時定数をS25で退避されていた元の時定数に戻す(S65)。このように、第一実施形態では、時定数は1回のみの変更とし、1回の位置決め指令又は切削指令にのみ適用する。
次いで、S1に戻って次のブロックを解釈する。次のブロック103は、「MXXXP2」であり、終了指令ではなく(S5:NO)、加速時定数の変更指令である(S10:YES)。そこで、現在設定されている時定数の値をRAM12の時定数記憶領域に退避させる(S25)。そして、次の1ブロックを解釈する(S30)。そして、その解釈された制御コマンドが「M30」の終了指令であるか否かが判断される(S35)。
解釈中のブロック104は、「G1X_F_」であり、終了指令ではなく(S35:NO)、切削指令である(S40:YES)。そこで、S10で判断された加減速時定数変更指令のパラメータを見ると、P2で加速時定数変更指令である(S50:NO、S70:YES)。そこで、加速時定数を以下の式を用いて変更する(S75)。尚、ここでは減速時定数は変更しない。
T2'=T2×L/100
但し、T2は変更前加速時定数。T2'は変更後の加速時定数。Lは時定数変更率。Lは、加工の種類や加工物に対応して適宜設定できる。
加速時定数の変更後、解釈中のブロック104を実行する(S60)。すなわち、変更された加速時定数に従って、ブロック104の切削指令が実行される。そして、時定数をS25で退避されていた元の時定数に戻す(S65)。このように、本実施形態では、加速時定数についても、1回のみの変更とし、1回の位置決め指令又は切削指令にのみ適用される。尚、S70で加速時定数の変更パラメータでもなかった場合には、パラメータのエラーとなり(S80)、そのまま処理を終了する。
次いで、S1に戻って次のブロックを解釈する。次のブロック105は、「G0Y_」であり、終了指令ではなく(S5:NO)、位置決め指令であって加減速時定数変更指令ではない(S10:NO)。そこで、解釈されたブロック105を実行する(S15)。すなわち、指定された座標位置まで移動させる位置決めが行われる。尚、ここでの減速時定数は、先の変更時定数から設定時定数に戻っている。その後、S1に戻って次のブロックを解釈する。
次のブロック105は、「G1X_」であり、終了指令ではなく(S5:NO)、切削指令であって加減速時定数変更指令ではない(S10:NO)。そこで、解釈されたブロック105を実行する。すなわち、指定された座標位置まで切削加工が行われる。尚、ここでの加速時定数は、先の変更時定数から設定時定数に戻っている。
以上のような処理を「M30」の終了コードが来るまで(S5:YES、S35:YES)、繰り返し実行する。このような処理により、加工精度を特に上げたいような箇所について加工プログラム中に加減速時定数変更指令を作成し、1回の位置決め又は切削指令についてのみ時定数を変更して実行させることができる。ピンポイントで加工精度を上げたい箇所がある場合に特に有効である。尚、上記第一実施形態では、パラメータを用いて加速時定数と減速時定数の変更を指定しているが、その都度どちらの時定数を変更するのかをユーザがキーボード21から選択可能としてもよい。
尚、上記第一実施形態において、図3のS10で加減速時定数変更指令か否かを判断するCPU10が本発明の変更判断手段に相当する。また、S55及びS75で時定数変更処理を実行するCPU10が本発明の時定数変更手段に相当する。また、S65で時定数を元に戻す処理を実行するCPU10が本発明の時定数復帰手段に相当する。
以上の第一実施形態は、ピンポイントに加減速時定数を変更するため、その時定数変更指令は1回限り有効としていた。本発明はこれに限られるものではない。時定数変更指令から時定数変更中止指令(禁止指令に相当)までの間継続して変更時定数が有効となるようにしてもよい。このような第二実施形態について図4及び図5を参照して説明する。図4は、第二実施形態のメイン処理のフローチャートであり、図5は、第二実施形態の加工プログラムの例を示す説明図である。尚、第二実施形態の構成は第一実施形態と同様であるのでその説明を援用する。
第二実施形態においては、RAM12内にフラグを記憶し、時定数の変更状態をこのフラグを用いて管理する。フラグが「0」のときは設定時の時定数を用いる。時定数変更指令があった場合にフラグを「1」とし、フラグが「1」で位置決め指令と切削指令が連続する場合には、位置決め指令実行時の減速時定数を変更して位置決め処理を実行し、フラグを「2」とする。そして、フラグが「2」で切削指令の場合は、実行時の加速時定数を変更する。
尚、RAM12が変更指令記憶手段、禁止指令記憶手段に相当する。
具体的には、まず、フラグが初期化されて0となり(S100)、加工プログラムの1行目(図5ではブロック111)が読み込まれ、解釈される(S105)。そして、その解釈された制御コマンドが「M30」の終了指令であるか否かが判断される(S110)。
図5の例では、ブロック111は「M○○○」であって終了コマンドではないので(S110:NO)、続いて、その制御コマンドが時定数変更指令「M○○○」であるかどうかが判断される(S115)。ブロック111のように、時定数変更指令であれば(S110:YES)、フラグを「1」として(S120)、S105に戻り、次のブロックを解釈する。時定数変更指令でない場合には(S115:NO)、次に、解釈中のブロックが時定数変更中止指令「M△△△」かどうかを判断する(S125)。時定数変更中止指令であれば(S125:YES)、フラグを「0」に戻して(S130)S105に戻る。
時定数変更中止指令でない場合には(S125:NO)、フラグが「0」であるかどうかを判断する(S126)。フラグが「0」である場合(S126:YES)、時定数変更中止指令が読み込まれた状態(時定数の変更を実施しない)である。このため、解釈中のブロックを実行する(S180)。その後、加減速時定数を設定値であるT1及びT2に戻す(S185)。そして、S105に戻り、次のブロックを解釈する。フラグが「0」ではない場合(S126:NO)、次に、解釈中のブロックが位置決め指令であり、かつ、フラグが「1」であるかどうかを判断する(S140)。
例えば、現在解釈中のブロックがブロック112であれば、これは位置決め指令である。そして、前回のルーチンでブロック111が時定数変更開始指令であったため(S115:YES)、現在フラグは「1」(S120)となっている(S140:YES)。そこで、現在のブロック112の指令を実行する前に次のブロック113が切削指令かどうかをチェックする(S145)。
ブロック113は、「G1X_F_」であり、切削指令である(S145:YES)。すなわち、時定数変更開始が指示された後(S115:YES、S120:Flag=1)、位置決め指令(S140:YES)と切削指令とが連続(S145:YES)している。そこで、まず、位置決め指令についての減速時定数を以下の式を用いて変更する(S150)。
T1'=T1×L/100
但し、T1は変更前減速時定数。T1'は変更後の減速時定数。Lは時定数変更率。Lは、加工の種類や加工物に対応して適宜設定できる。
次いで、フラグを「2」として(S155)、解釈中のブロック、すなわちブロック112の位置決め指令を実行する(S180)。従って、変更後の時定数で移動して位置決めが実行される。その後、加減速時定数を設定値であるT1及びT2に戻す(S185)。そして、S105に戻り、次のブロックであるブロック113を解釈する(S105)。
ブロック113は、「G1X_F_」であり、切削指令であって、終了指令ではなく(S110:NO)、時定数変更指令でも時定数変更中止指令でもない(S115:NO、S125:NO)。また、現在のフラグは先回のルーチンでS155において「2」とされている(S126:NO)。更に、位置決め指令でもない(S140:NO)。切削指令であって、かつ、現在のフラグは「2」とされている(S160:YES)。そこで、切削指令についての加速時定数を以下の式を用いて変更する(S165)。
T2'=T2×L/100
但し、T2は変更前加速時定数。T2'は変更後の加速時定数。Lは時定数変更率。Lは、加工の種類や加工物に対応して適宜設定できる。
次いで、フラグを「1」に戻し(S170)、解釈中のブロック、すなわちブロック113の切削指令を実行する(S180)。従って、変更後の時定数で切削処理が実行される。その後、加減速時定数を設定値であるT1及びT2に戻す(S185)。そして、S105に戻り、次のブロックであるブロック114を解釈する。
次のブロック114は「G0Y_」で位置決め指令であり、かつ、前回のルーチンでフラグは「1」に戻っている(S110:NO、S115:NO、S125:NO、S126:NO、S140:YES)。そして、次のブロック115は「G1Y_」で切削指令である(S145:YES)。そこで、減速時定数をT1'に変更し(S150)、フラグを「2」に変更して(S155)ブロック114の位置決め指令を実行する(S180)。その後、加減速時定数を設定値であるT1及びT2に戻す(S185)。そして、S105に戻り、次のブロックであるブロック115を解釈する。
ブロック115は「G1Y_」で切削指令であり、かつ、前回のルーチンでフラグが「2」とされている(S110:NO、S115:NO、S125:NO、S126:NO、S140:NO、S160:YES)。そこで、加速時定数をT2'に変更し(S165)、フラグを「1」に戻して(S170)ブロック115の切削指令を実行する(S180)。その後、加減速時定数を設定値であるT1及びT2に戻す(S185)。そして、S105に戻り、次のブロックであるブロック116を解釈する。
ブロック116は、「M△△△」であり、時定数変更中止指令である(S110:NO,S115:NO,S125:YES)。そこで、フラグを「0」に戻す(S130)。そして、S105に戻り、次のブロックであるブロック117を解釈する。
ブロック117は、位置決め指令である(S110:NO、S115:NO、S125:NO)。但し、前回のルーチンでフラグは「0」に戻っている(S126:YES)。そこで、設定時の時定数(加減速時定数T1、T2)に従って、位置決め処理を実行する(S180)。その後、加減速時定数を設定値であるT1及びT2に戻す(S185)。次いで、S105に戻り、次のブロックであるブロック118を解釈する。
ブロック118は、切削指令であり、フラグは「0」のままとなっている(S110:NO、S115:NO、S125:NO、S126:YES)。そこで、加減速時定数は設定値であるT1及びT2の時定数に従って、切削処理を実行する(S180)。その後、加減速時定数を設定値であるT1及びT2に戻す(S185)。次いで、S105に戻り、次のブロックであるブロック119を解釈する。ブロック119は「M30」で終了指令であるから(S110:YES)、処理全体を終了する。
以上説明したように、第二実施形態の数値制御装置1によれば、加減速時定数を変更して処理したい指令を時定数変更指令と禁止指令で挟むことにより、その挟まれた指令については継続して変更後の時定数を用いて処理を実行できる。さらに、時定数を変更して実行したい処理が位置決め処理と切削処理の連続であることから、これ以外の指令の場合には、時定数を変更しないように対応している。このように、時定数を変更して処理したい指令が複数個あるときには、その都度変更指令を用いることなく1回の変更指令によって処理するのが便利である。
尚、上記第二実施形態において、図4のS125で時定数変更中止指令か否かを判断するCPU10が本発明の禁止判断手段に相当する。また、S126(YES),S180を実行する10CPU10が本発明の回避手段に相当する。
工作機械の数値制御装置1の電気的構成を示すブロック図である。 ディスプレイ24に表示された加工プログラムの例を示す説明図である。 数値制御装置1のメイン処理のフローチャートである。 第二実施形態のメイン処理のフローチャートである。 第二実施形態の加工プログラムの例を示す説明図である。
符号の説明
1 数値制御装置
10 CPU
11 ROM
12 RAM
13 不揮発メモリ

Claims (8)

  1. 加工プログラムに従って工具又はワークを予め記憶手段に記憶された設定時定数で移動させる移動機構を備えた工作機械の数値制御装置において、
    前記加工プログラムから読み込まれた指令が、移動機構の加減速時定数を変更する時定数変更指令であるか否かを判断する変更判断手段と、
    前記変更判断手段により時定数変更指令であると判断された場合に
    所定のパラメータに基づき前記加減速時定数を変更する時定数変更手段とを備えた
    ことを特徴とする数値制御装置。
  2. 前記時定数変更手段は、前記変更判断手段により時定数変更指令であると判断された後に前記加工プログラムから読み込まれた指令が、位置決め指令又は切削指令である場合に、前記加減速時定数を変更し、
    前記時定数変更手段により変更された加減速時定数に従い位置決め指令又は切削指令が実行された後、前記加減速時定数を、前記記憶手段に記憶された時定数に戻す時定数復帰手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
  3. 加速時定数及び減速時定数からなる前記加減速時定数のうち、変更する時定数を加速時定数か減速時定数かの何れかを選択する選択手段を備え、
    前記時定数変更手段は、前記選択手段により選択された時定数を変更することを特徴とする請求項2に記載の数値制御装置。
  4. 前記変更判断手段によって時定数変更指令であると判断された場合に、時定数変更指令が読み込まれたことを記憶する変更指令記憶手段を備え、
    前記時定数変更手段は、前記変更指令記憶手段に時定数変更指令が読み込まれたことを記憶している場合、且つ前記加工プログラムから読み込まれた指令が、位置決め指令及びこれに続く切削指令である場合に、前記加減速時定数を変更することを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
  5. 前記加工プログラムから読み込まれた指令が、加減速時定数を前記設定時定数から変更することを禁止する禁止指令であるか否かを判断する禁止判断手段と、
    前記禁止判断手段によって前記加工プログラムから読み込まれた指令が禁止指令であると判断された場合に、禁止指令が読み込まれたことを記憶する禁止指令記憶手段と、
    前記禁止指令記憶手段に禁止指令が読み込まれたことを記憶している場合、前記時定数変更手段による前記加減速時定数の変更を回避する回避手段とを備えたことを特徴とする請求項4に記載の数値制御装置。
  6. 前記時定数変更手段は、位置決め指令実行時の減速時定数及び切削指令実行時の加速時定数を変更することを特徴とする請求項4又は5に記載の数値制御装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の数値制御装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させるための数値制御プログラム。
  8. 請求項7に記載の数値制御プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
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