JP6804479B2 - モータ駆動制御装置およびこれを備えてなる工作機械 - Google Patents

モータ駆動制御装置およびこれを備えてなる工作機械 Download PDF

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Description

本発明は、工作機械のモータを制御するモータ駆動制御装置およびこれを備えてなる工作機械に関するものである。
従来、工作機械のモータを駆動制御するモータ駆動制御装置においては、工作機械による測定作業や加工作業の実行中に、工具等の移動対象物が被接触物と接触したとき、直ちに停止させる場合がある。例えば、特開2011−230234号公報には、プローブに印加される外力に基づいてプローブ接触状態が検出された場合、ロボットを減速停止させ、外力の微分値の変化から求めた接触時点におけるプローブの先端位置を作業対象物の位置として導出する装置が開示されている(特許文献1)。
特開2011−230234号公報
しかしながら、モータによって駆動制御を行うモータ駆動制御装置においては、図13に示すように、移動対象物と被接触物との接触直後に減速を開始してから、完全に停止するまでには必ず一定の制動距離が必要となる。そして、当該制動距離が、移動対象物と被接触物との相対的な許容移動量を超えると過大な負荷がかかり、破損してしまうおそれがある。
また、上述した制動距離は、接触時における移動速度の二乗に比例して長くなる。このため、従来のモータ駆動制御装置においては、前記制動距離が前記許容移動量を超えないように、接触時の移動速度を極めて低速度に設定する必要がある。したがって、移動対象物と被接触物とを複数回接触させるような作業を行う場合、作業時間が長大化するため、作業効率が悪いという問題がある。
なお、上記特許文献1に記載された発明は、物体と接触する方向に弾性的に変位可能なプローブを用いることにより、接触時におけるプローブや作業対象物の損傷を防止し、ロボットの高速性を保とうとするものである。このため、移動対象物および被接触物が剛体によって構成される装置においては、適用できないという問題がある。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、移動対象物および被接触物が剛体からなる構成でありながら、接触時の移動速度を向上し、工作機械による測定時間を短縮化できるとともに、減速制御時の制動距離を短縮化し、干渉時における工作機械の破損を軽減することができるモータ駆動制御装置およびこれを備えた工作機械を提供することを目的としている。
本発明に係るモータ駆動制御装置は、移動対象物を移動させる第1軸と、前記第1軸の移動方向に沿う移動方向成分を有する第2軸とが必ず存在する工作機械において、移動対象物および被接触物が剛体からなる構成でありながら、接触時の移動速度を向上し、工作機械による測定時間を短縮化するとともに、減速制御時の制動距離を短縮化し、干渉時における工作機械の破損を軽減するという課題を解決するために、前記移動対象物と、前記移動対象物と接触する被接触物との接触時またはその前後に変化する接触状態信号を取得する接触状態信号取得部と、前記接触状態信号に基づいて、前記移動対象物の減速制御を開始するか否かを判定する減速制御開始判定部と、前記減速制御を開始する場合、前記第1軸を減速制御するとともに、前記移動対象物と前記被接触物とが離れる方向に前記第2軸を駆動制御する駆動制御部と、を有する。
また、本発明に係るモータ駆動制御装置は、前記第2軸が必ずしも存在しない工作機械において、移動対象物および被接触物が剛体からなる構成でありながら、接触時の移動速度を向上し、工作機械による測定時間を短縮化するとともに、減速時の制動距離を短縮化し、干渉時における工作機械の破損を軽減するという課題を解決するために、前記工作機械によって移動される移動対象物と、前記移動対象物と接触する被接触物との接触時またはその前後に変化する接触状態信号を取得する接触状態信号取得部と、前記接触状態信号に基づいて、前記移動対象物の減速制御を開始するか否かを判定する減速制御開始判定部と、前記減速制御を開始する場合、前記移動対象物を移動させている第1軸の移動方向に沿う移動方向成分を有する第2軸があるか否かを判定する第2軸判定部と、前記第2軸がない場合、前記第1軸のみで減速制御し、前記第2軸がある場合、前記第1軸を減速制御するとともに、前記移動対象物と前記被接触物とが離れる方向に前記第2軸を駆動制御する駆動制御部と、を有する。
さらに、本発明の一態様として、第1軸および第2軸の最大速度や許容加速度・許容減速度に応じて、減速制御中における第1軸および第2軸の速度プロファイルを任意に設定し制御するという課題を解決するために、前記第1軸の減速制御における移動速度の時間変化を表す第1速度プロファイルおよび/または前記第2軸の駆動制御における移動速度の時間変化を表す第2速度プロファイルを作成する速度プロファイル作成部を有し、前記駆動制御部は、前記第1速度プロファイルに基づいて前記第1軸を減速制御し、前記第2速度プロファイルに基づいて前記第2軸を駆動制御してもよい。
また、本発明の一態様として、移動対象物の退避動作を行う前に、移動対象物の位置および姿勢を、減速制御を開始する直前の状態に復帰させ、移動対象物等が被接触物等と干渉し損傷するのを防止するという課題を解決するために、前記減速制御を開始する直前における前記移動対象物の位置および/または姿勢を記憶する位置姿勢記憶部を有しており、前記駆動制御部は、前記移動対象物の停止が完了した後、前記移動対象物の位置および/または姿勢を前記減速制御を開始する直前の状態に復帰させるように前記第1軸および/または前記第2軸を駆動制御してもよい。
さらに、本発明の一態様として、移動対象物としての工具を被接触物としてのツールプリセッタに接触させる構成、または移動対象物としてのタッチプローブを被接触物としてのワークに接触させる構成において、本発明を適切に適用するという課題を解決するために、前記接触状態信号取得部は、前記移動対象物としての工具と接触する被接触物としてのツールプリセッタからの出力信号、または前記被接触物としてのワークと接触する前記移動対象物としてのタッチプローブからの出力信号を前記接触状態信号として取得し、前記減速制御開始判定部は、前記出力信号が検出されたとき、前記移動対象物の減速制御を開始すると判定してもよい。
また、本発明の一態様として、移動対象物と被接触物との干渉を検出または予測し、干渉時における工作機械の破損を軽減ないし防止するという課題を解決するために、前記接触状態信号取得部は、前記モータを駆動する電流信号を前記接触状態信号として取得し、前記減速制御開始判定部は、前記電流信号の電流値が所定の閾値を超えたとき、または前記工作機械における干渉の発生が予測されたとき、前記移動対象物の減速制御を開始すると判定してもよい。
さらに、本発明の一態様として、工具が停止するまでに要する減速停止時間を延長することなく、工具を最短時間で停止するという課題を解決するために、前記速度プロファイル作成部は、前記第1速度プロファイルにおける移動速度がゼロとなる時間以前に、前記第2速度プロファイルにおける移動速度がゼロとなるように、各速度プロファイルを作成してもよい。
また、本発明の一態様として、従来の減速制御時には移動されない第2軸が移動し過ぎることを防止し、移動対象物が被接触物等と干渉して損傷してしまうのを防止するという課題を解決するために、前記速度プロファイル作成部は、前記第2軸の移動量が所定の最大移動量を超えないように前記第2速度プロファイルを作成してもよい。
さらに、本発明に係る工作機械は、上述したいずれかの態様のモータ駆動制御装置を備えてなる。
本発明によれば、移動対象物および被接触物が剛体からなる構成でありながら、接触時の移動速度を向上し、工作機械による測定時間を短縮化できるとともに、減速時の制動距離を短縮化し、干渉時における工作機械の破損を軽減することができる。
本発明に係るモータ駆動制御装置およびこれを備えた工作機械の第1実施形態を示すブロック図である。 本第1実施形態の工作機械として用いられる5軸加工機を示す図である。 本第1実施形態において、被接触物に対する移動対象物の相対的な減速度を高める動作を示す図である。 本第1実施形態における、第1速度プロファイルおよび第2速度プロファイルの一例を示す図である。 第2軸に最大移動量が設定されている場合における、第1速度プロファイルおよび第2速度プロファイルの一例を示す図である。 本第1実施形態における、移動対象物の(a)減速停止完了後、(b)復帰動作完了後、および(c)退避動作を示す図である。 本第1実施形態のモータ駆動制御装置が、移動対象物を減速制御する際の処理を示すフローチャートである。 本第1実施形態におけるモータ駆動制御装置およびこれを備えた工作機械の変形例を示すブロック図である。 本第1実施形態の変形例において、被接触物に対する移動対象物の相対的な減速度を高める動作を示す図である。 本発明に係るモータ駆動制御装置およびこれを備えた工作機械の第2実施形態を示すブロック図である。 本第2実施形態のモータ駆動制御装置が、移動対象物を減速制御する際の処理を示すフローチャートである。 本発明に係るモータ駆動制御装置およびこれを備えた工作機械の第3実施形態を示すブロック図である。 従来方法における、移動対象物を減速させる動作を示す図である。
以下、本発明に係るモータ駆動制御装置およびこれを備えた工作機械の第1実施形態について図面を用いて説明する。
本第1実施形態のモータ駆動制御装置1Aは、ツールプリセッタによって工具の測定作業を実施する工作機械10のモータを制御するものである。具体的には、図1に示すように、モータ駆動制御装置1Aは、工作機械10に駆動信号を出力することによって移動対象物11としての工具を移動させるとともに、当該工具が被接触物12としてのツールプリセッタに接触したときに出力される出力信号に基づいて、移動対象物11としての工具を減速制御するものである。以下、各構成について説明する。
工作機械10は、金属、木材、石材、樹脂等のワークに対して、切断、穿孔、研削、研磨、圧延、鍛造、折り曲げ等の加工を施すための機械である。本第1実施形態において、工作機械10は、図2に示すように、直交する直線軸3軸(X軸、Y軸、Z軸)と、回転軸2軸(B軸、C軸)とを有する5軸加工機によって構成されている。そして、後述する測定用プログラムによって、ソフトウエア上、移動対象物11としての工具を移動させる第1軸に対し、当該第1軸の移動方向に沿う移動方向成分を有する第2軸が必ず存在するようにプログラムされている。
例えば、図2に示す5軸加工機において、X軸が第1軸である場合、Y軸回りに回転するB軸、およびZ軸回りに回転するC軸が、X軸方向に沿う移動方向成分を有するため、第2軸となる。また、Y軸が第1軸である場合には、Z軸回りに回転するC軸が、Y軸方向に沿う移動方向成分を有するため、第2軸となる。さらに、Z軸が第1軸である場合には、Y軸回りに回転するB軸が、Z軸方向に沿う移動方向成分を有するため、第2軸となる。
以上のように、本第1実施形態は、第1軸に対して第2軸が必ず存在する工作機械10に適用される。そして、図3に示すように、第1軸によって移動される移動対象物11(工具)が被接触物12(ツールプリセッタ)に接触したとき、第1軸(直線軸)を減速制御するとともに、移動対象物11と被接触物12とが離れる方向に第2軸(回転軸)を駆動制御することにより、被接触物12に対する移動対象物11の相対的な減速度を高めることを特徴とするものである。
なお、工作機械10は5軸加工機に限定されるものではなく、移動対象物11を移動させる第1軸と、当該第1軸の移動方向に沿う移動方向成分を有する第2軸とを備えた工作機械10であればよい。例えば、第1軸として直線軸を有する門型のメイン装置の中に、当該第1軸と平行な直線軸を第2軸として有するサブ装置が組み込まれた門型加工機のように、ハードウエア的に第1軸と第2軸とが必ず存在する工作機械10であってもよい。
モータ駆動制御装置1Aは、工作機械10を制御する数値制御装置等のコンピュータによって構成されており、図1に示すように、各種のデータを記憶するとともに、演算処理手段3が演算処理を行う際のワーキングエリアとして機能する記憶手段2と、記憶手段2にインストールされたモータ駆動制御プログラム1aを実行することにより、各種の演算処理を実行し後述する各構成部として機能する演算処理手段3とを有している。以下、各構成手段について詳細に説明する。
記憶手段2は、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等で構成されており、図1に示すように、プログラム記憶部21と、測定用プログラム記憶部22と、位置姿勢記憶部23と、速度プロファイル記憶部24とを有している。
プログラム記憶部21には、本第1実施形態のモータ駆動制御装置1Aを制御するためのモータ駆動制御プログラム1aがインストールされている。そして、演算処理手段3が、当該モータ駆動制御プログラム1aを実行することにより、コンピュータとしてのモータ駆動制御装置1Aを後述する各構成部として機能させるようになっている。
なお、モータ駆動制御プログラム1aの利用形態は、上記構成に限られるものではない。例えば、CD−ROMやUSBメモリ等のように、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体にモータ駆動制御プログラム1aを記憶させておき、当該記録媒体から直接読み出して実行してもよい。また、外部サーバ等からクラウドコンピューティング方式やASP(Application Service Provider)方式等で利用してもよい。
測定用プログラム記憶部22は、工作機械10によって工具やワーク等を測定する際に実行される測定用プログラムを記憶するものである。本第1実施形態において、測定用プログラムは、工作機械10の各軸を駆動制御するNCプログラムによって構成されており、各軸の指令値や、指令速度が含まれている。そして、演算処理手段3が、測定用プログラムを実行することにより、後述する駆動制御部34が工作機械10に測定作業を実行させるための駆動信号を出力するようになっている。
位置姿勢記憶部23は、移動対象物11の減速制御を開始する直前における移動対象物11の位置および姿勢を記憶するものである。本第1実施形態において、位置姿勢記憶部23は、後述する減速制御開始判定部32によって減速制御の開始が指示されたとき、その直前における工具の刃先位置および工具姿勢(回転角度)を記憶する。これにより、後述するとおり、停止させた工具の退避動作を行う前に、工具の位置および姿勢を、減速制御を開始する直前の状態に復帰させることが可能となる。
なお、本第1実施形態において、位置姿勢記憶部23は、減速制御を開始する直前における移動対象物11の位置および姿勢の両方を記憶しているが、この構成に限定されるものではない。すなわち、減速制御を開始してから停止するまでに、移動対象物11の位置または姿勢のいずれか一方しか変動しない場合には、当該一方のみについて、減速制御を開始する直前の値を記憶すればよく、他方の変動しない値を記憶する必要はない。
また、本第1実施形態では、測定対象となっている工具の実際の刃先位置(工具長)を特定できないため、仮想の刃先位置を設定し工具の位置として記憶するようになっている。具体的には、予め記憶手段2に仮想の工具長を設定しておき、当該仮想の工具長と測定用プログラムの指令値や工作機械10から取得される各軸の位置とに基づいて、仮想の刃先位置を特定するようになっている。
速度プロファイル記憶部24は、移動対象物11の減速制御を開始してから停止するまでに、第1軸および第2軸のそれぞれをどのような速度で移動させるかを規定する速度プロファイルを記憶するものである。本第1実施形態では、第1軸の減速制御における移動速度の時間変化を表す第1速度プロファイルと、第2軸の駆動制御における移動速度の時間変化を表す第2速度プロファイルとが、後述する速度プロファイル作成部33によって作成され、速度プロファイル記憶部24に記憶されるようになっている。
つぎに、演算処理手段3は、CPU(Central Processing Unit)等によって構成されており、記憶手段2にインストールされたモータ駆動制御プログラム1aを実行することにより、図1に示すように、接触状態信号取得部31と、減速制御開始判定部32と、速度プロファイル作成部33と、駆動制御部34として機能するようになっている。以下、各構成部についてより詳細に説明する。
接触状態信号取得部31は、移動対象物11と被接触物12との接触状態を示す接触状態信号を取得するものである。本第1実施形態において、接触状態信号取得部31は、図1に示すように、移動対象物11としての工具が、被接触物12としてのツールプリセッタに接触した時に出力される出力信号を接触状態信号として取得するようになっている。
なお、接触状態信号は、上述した出力信号に限定されるものではなく、移動対象物11と被接触物12との接触時またはその前後に変化する信号であればよい。具体的には、後述するとおり、移動対象物11としてのタッチプローブが、被接触物12としてのワークに接触した時に出力される出力信号でもよい。または、第3実施形態で後述するとおり、移動対象物11としての工具が被接触物12と接触した時に変化する、モータ駆動用の電流信号であってもよい。
減速制御開始判定部32は、接触状態信号に基づいて、移動対象物11の減速制御を開始するか否かを判定するものである。本第1実施形態において、減速制御開始判定部32は、接触状態信号取得部31によって取得された接触状態信号を監視する。そして、当該接触状態信号として、ツールプリセッタからの出力信号が検出された場合、工具がツールプリセッタに接触したとして、減速制御を開始すると判定するようになっている。
速度プロファイル作成部33は、移動対象物11の減速制御を実行する際に用いる速度プロファイルを作成するものである。本第1実施形態において、速度プロファイル作成部33は、減速制御開始判定部32によって減速制御の開始が判定されると、第1軸の減速制御における移動速度の時間変化を表す第1速度プロファイルと、第2軸の駆動制御における移動速度の時間変化を表す第2速度プロファイルとを作成し、速度プロファイル記憶部24に記憶する。
ここで、本第1実施形態で用いた第1速度プロファイルおよび第2速度プロファイルの一例を図4に示す。図4に示す第1速度プロファイルを作成する場合、速度プロファイル作成部33は、測定用プログラム記憶部22内の測定用プログラムを参照し、移動対象物11が被接触物12に接触した時の第1軸の移動速度を取得する。そして、速度プロファイル作成部33は、第1軸の移動速度がゼロになるまで、一定の減速度で減速するように第1速度プロファイルを作成する。なお、第1軸の減速度としては、工作機械10で許容される最大の減速度を用いることが好ましい。これにより、移動対象物11が被接触物12に接触してから停止するまでの経過時間である減速停止時間Tが最短となる。
一方、図4に示す第2速度プロファイルを作成する場合、速度プロファイル作成部33は、まず、上述した減速停止時間Tを算出する。具体的には、速度プロファイル作成部33は、移動対象物11が被接触物12に接触した時の第1軸の移動速度を、第1速度プロファイルで用いた減速度で除算することによって減速停止時間Tを算出する。
つぎに、速度プロファイル作成部33は、記憶手段2に設定されている第2軸の許容加速度および最大速度を参照する。そして、当該許容加速度および最大速度が比較的小さい場合、図4に示すように、接触してから減速停止時間Tの半分が経過するまでは、一定の許容加速度で第2軸を加速し、減速停止時間Tの半分が経過してから停止するまでは許容加速度と同じ一定の減速度で減速するように第2速度プロファイルAを作成する。
一方、第2軸の許容加速度および最大速度が比較的大きい場合、速度プロファイル作成部33は、図4に示すように、移動対象物11が被接触物12に接触した後、直ちに許容加速度で最大速度まで加速し、当該最大速度で一定時間駆動した後、許容減速度で減速させるように第2速度プロファイルBを作成する。これにより、第2軸の許容加速度および最大速度に応じて、減速停止時間Tの間に移動する第2軸の速度が最適化される。
なお、速度プロファイル作成部33は、上記のとおり、第1速度プロファイルにおける移動速度がゼロとなる時間以前に、第2速度プロファイルにおける移動速度がゼロとなるように、各速度プロファイルを作成することが好ましい。これにより、第1軸が停止する前に第2軸が停止するため、減速停止時間Tが増大することがない。ただし、第1軸が停止した後に第2軸が停止する速度プロファイルでもよい。
また、第2軸の最大移動量が設定されている場合、速度プロファイル作成部33は、図5に示すように、第2軸の移動量(図5の斜線領域)が所定の最大移動量を超えないように第2速度プロファイルを作成することが好ましい。これにより、第2軸が移動し過ぎて、移動対象物11が意図しない被接触物12と接触(干渉)してしまうことを防止する。
なお、第1速度プロファイルおよび第2速度プロファイルは、上述した内容に限定されるものではなく、様々な条件に応じて適宜変更され得る。例えば、上述した各速度プロファイルでは、移動速度が直線的に加速および減速されているが、これに限定されるものではなく、移動速度が曲線的に加速および/または減速されるような速度プロファイルでもよい。また、常に同じ速度プロファイルを使用してもよく、この場合、速度プロファイル作成部33および速度プロファイル記憶部24は不要である。
駆動制御部34は、工作機械10に備えられた各軸のモータを駆動制御するものである。本第1実施形態において、駆動制御部34は、測定用プログラム記憶部22内の測定用プログラムに基づいて、工作機械10に測定作業を実行させる駆動信号を生成し、各軸のモータへ出力するようになっている。また、駆動制御部34は、減速制御開始判定部32によって減速制御の開始が判定されると、当該減速制御を実行させる駆動信号を生成し、第1軸および第2軸の各モータへ出力するようになっている。
具体的には、駆動制御部34は、まず、速度プロファイル記憶部24に記憶されている第1速度プロファイルおよび第2速度プロファイルを参照する。そして、駆動制御部34は、第1速度プロファイルに基づいて第1軸を減速制御するとともに、第2速度プロファイルに基づいて、移動対象物11と前記被接触物12とが離れる方向に第2軸を駆動制御する。すなわち、各軸が各速度プロファイルで定められた速度となるように駆動信号を生成し、各軸のモータへ出力するようになっている。
また、工作機械10による測定作業においては一般的に、測定完了後、移動対象物11を被接触物12から退避させる退避動作が行われている。一方、本発明に係る減速制御は、従来の減速制御では使用することのない第2軸を移動させるものである。このため、退避動作を行う際に、移動対象物11や当該移動対象物11を移動させる装置自体が被接触物12と干渉するおそれがある。そこで、本第1実施形態では、図6に示すように、退避動作を行う前に、移動対象物11(工具)を元の位置および姿勢に復帰させる復帰動作を行うようになっている。
具体的には、駆動制御部34は、移動対象物11の停止が完了した後、位置姿勢記憶部23に記憶されている移動対象物11(工具)の位置(刃先位置)および姿勢(工具姿勢)を読み出す。そして、駆動制御部34は、移動対象物11の位置および姿勢が、読み出した位置および姿勢と一致するように、すなわち、減速制御を開始する直前の状態に復帰させるように、第1軸および第2軸を駆動制御する。
なお、本第1実施形態において、駆動制御部34は、移動対象物11の位置および姿勢を、減速制御を開始する直前の状態に復帰させているが、この構成に限定されるものではない。すなわち、減速制御を開始してから停止するまでに、移動対象物11の位置または姿勢のいずれか一方しか変動しない場合には、当該一方のみを復帰させるだけでよい。また、本第1実施形態では、復帰動作に際して、第1軸および第2軸の双方を駆動制御しているが、いずれか一方のみで復帰できる場合には、当該一方のみを駆動制御してもよい。さらに、本第1実施形態では、測定用プログラムによって退避動作を実行しているが、オペレータによる手動入力に応じて退避動作を実行してもよい。
つぎに、本第1実施形態のモータ駆動制御装置1Aおよびこれを備えた工作機械10による作用について、図7のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、本第1実施形態では、測定用プログラムに基づいて、移動対象物11としての工具を被接触物12としてのツールプリセッタに接触させることにより、工具の測定作業を実施する際の動作について説明する。
本第1実施形態のモータ駆動制御装置1Aと、第1軸および第2軸が必ず存在する工作機械10とによって、工具の測定作業を実施する場合、まず、駆動制御部34が、測定用プログラムに基づいて各軸の駆動信号を工作機械10へ出力し、駆動制御を開始する(ステップS1)。これにより、工作機械10が、ツールプリセッタを用いて工具を測定する動作を実行する。
測定動作の実行中は、ツールプリセッタに工具が接触するたびに、出力信号が出力されるため、接触状態取得部が、当該出力信号を接触状態信号として取得する(ステップS2)。そして、減速制御開始判定部32が、当該接触状態信号に基づいて、工具の減速制御を開始するか否かを判定する(ステップS3)。
本第1実施形態では、減速制御開始判定部32が、ツールプリセッタに工具が接触したときに出力される出力信号を接触状態信号として取得する。このため、減速制御開始判定部32は、ツールプリセッタからの出力信号を検出しない限り、減速制御を開始すると判定しない(ステップS3:NO)。そして、測定用プログラムに基づく駆動制御が終了しない限り(ステップS12:NO)、ステップS2へ戻り、接触状態信号に基づく減速制御の開始判定を続行する。
一方、接触状態信号として出力信号を検出すると、減速制御開始判定部32が、減速制御を開始することを判定する(ステップS3:YES)。これにより、工具がツールプリセッタに接触したタイミングで、工具の減速制御を開始することが可能になる。本第1実施形態では、まず、減速制御を開始する直前における移動対象物11の位置および姿勢が、位置姿勢記憶部23に記憶される(ステップS4)。これにより、後述するとおり、工具の退避動作を行う前に、工具の位置および姿勢を、減速制御を開始する直前の状態に復帰させることが可能となる。
つぎに、速度プロファイル作成部33が、第1軸の第1速度プロファイルを作成するとともに(ステップS5)、第2軸の第2速度プロファイルを作成する(ステップS6)。これにより、第1軸および第2軸の最大速度や許容加速度・許容減速度に応じて、減速制御中における第1軸および第2軸の速度プロファイルが任意に設定される。
また、本第1実施形態では、図4に示すように、速度プロファイル作成部33が、第1速度プロファイルにおける移動速度がゼロとなる時間以前に、第2速度プロファイルにおける移動速度がゼロとなるように作成する。これにより、工具が停止するまでに要する減速停止時間が延長されることなく、工具を最短時間で停止させることが可能となる。
さらに、第2軸に最大移動量が設定されている場合、速度プロファイル作成部33は、第2軸の移動速度が当該最大移動量を超えないように、第2速度プロファイルを作成する。これにより、従来の減速制御では移動されない第2軸が移動し過ぎることが防止されるため、工具や工作機械10の一部がツールプリセッタ等と干渉し損傷してしまうことがない。
各速度プロファイルが作成されると、駆動制御部34が、第1軸を減速制御するとともに、工具とツールプリセッタとが離れる方向に第2軸を駆動制御し(ステップS7)、工具の停止が完了するまで減速制御する(ステップS8:NO)。これにより、工具は、第1軸によって減速されながら、第2軸によってツールプリセッタから離隔されるため、ツールプリセッタに対する相対的な減速度が増大し、停止するまでの制動距離が短縮する。したがって、接触時における移動速度を高めることができ、工作機械10による作業時間が短縮化される。
工具の停止が完了すると(ステップS8:YES)、駆動制御部34が、位置姿勢記憶部23に記憶されている情報に基づいて、工具の刃先位置および工具姿勢を、減速制御を開始する直前の状態に復帰させるように、第1軸および第2軸を駆動制御する(ステップS9およびステップS10:NO)。これにより、第2軸の駆動によって、工具が想定外の状態になっていたとしても、退避動作の開始前に、工具の刃先位置および工具姿勢が、減速制御を開始する直前の状態に復帰する。
つづいて、工具の位置および姿勢の復帰が完了すると(ステップS10:YES)、駆動制御部34が、工具をツールプリセッタから退避させる(ステップS11)。このとき、本第1実施形態では、工具の刃先位置および工具姿勢が、減速制御を開始する直前の状態に復帰しているため、工具や工作機械10の一部がツールプリセッタ等と干渉することがなく損傷を防止する。
そして、測定用プログラムに基づく駆動制御が終了するまでは(ステップS12:NO)、ステップS2からステップS11までの処理を繰り返し、駆動制御が終了すると(ステップS12:YES)、本処理を終了する。
なお、本第1実施形態では、移動対象物11としての工具を被接触物12としてのツールプリセッタに接触させる構成のモータ駆動制御装置1Aについて説明したが、この構成に限定されるものではない。例えば、図8に示すように、移動対象物11としてのタッチプローブを被接触物12としてのワークに接触させる構成のモータ駆動制御装置1A’でもよい。
この場合、図9に示すように、第1軸(直線軸)によって移動される移動対象物11(タッチプローブ)が、回転軸(第2軸)に固定された被接触物12(ワーク)に接触すると、タッチプローブから出力される出力信号が接触状態信号として取得される。そして、第1軸(直線軸)を減速制御するとともに、ワークがタッチプローブから離れる方向に第2軸(回転軸)を駆動制御することにより、ワークに対するタッチプローブの相対的な減速度を高めるようになっている。
また、上述した本第1実施形態では、剛体からなる移動対象物11と、剛体からなる被接触物12とが接触する場合について説明したが、この構成に限定されるものではなく、移動対象物11および被接触物12の一方または両方が弾性体からなる構成であってもよい。
以上のような本第1実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
1.第1軸と第2軸とが必ず存在する工作機械10において、移動対象物11および被接触物12が剛体からなる構成でありながら、接触時における移動速度を向上でき、工作機械10による測定時間を短縮化することができる。
2.第1軸および第2軸の最大速度や許容加速度・許容減速度に応じて、減速制御中における第1軸および第2軸の速度プロファイルを任意に設定し制御することができる。
3.移動対象物11の退避動作を行う前に、移動対象物11の位置および姿勢を、減速制御を開始する直前の状態に復帰させ、移動対象物11等が被接触物12等と干渉し損傷するのを防止することができる。
4.移動対象物11としての工具を被接触物12としてのツールプリセッタに接触させる構成、または移動対象物11としてのタッチプローブを被接触物12としてのワークに接触させる構成において、本発明を適切に適用することができる。
5.工具が停止するまでに要する減速停止時間を延長することなく、工具を最短時間で停止することができる。
6.従来の減速制御時には移動されない第2軸が移動し過ぎることを防止し、移動対象物11が被接触物12等と干渉して損傷してしまうのを防止することができる。
つぎに、本発明に係るモータ駆動制御装置1Bおよびこれを備えた工作機械10の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態における構成のうち、上述した第1実施形態と同一もしくは相当する構成については同一の符号を付し、再度の説明を省略する。
上述した第1実施形態では、第1軸と第2軸とが必ず存在する工作機械10を使用していたのに対し、本第2実施形態の特徴は、第2軸が必ずしも存在しない工作機械10において、本発明を適用する点にある。具体的には、本第2実施形態では、図10に示すように、上述した第1実施形態における各構成部に加えて、工作機械10において、第2軸があるか否かを判定する第2軸判定部35を有している。以下、詳細に説明する。
第2軸判定部35は、移動対象物11の減速制御を開始する場合に、移動対象物11が移動している方向に沿って移動させることが可能な他の軸があるかどうかを判定するものである。本第2実施形態において、第2軸判定部35は、減速制御開始判定部32によって減速制御を開始することが判定された場合、移動対象物11を移動させている第1軸の移動方向に沿う移動方向成分を有する第2軸があるか否かを判定する。
具体的には、第2軸判定部35は、減速制御開始判定部32によって減速制御を開始することが判定されると、その直前に駆動している第1軸の移動方向を測定用プログラムから取得するとともに、工作機械10の機械構成を取得する。そして、第1軸を除く他の軸の中に、第1軸の移動方向に沿う移動方向成分を有する第2軸があるか否かを判定するようになっている。なお、工作機械10の機械構成は、測定用プログラムから判別してもよく、位置姿勢記憶部23等に記憶させておき、そこから読み出してもよい。
また、本第2実施形態において、速度プロファイル作成部33は、減速制御開始判定部32によって減速制御を開始することが判定され、第2軸判定部35によって第2軸があると判定された場合には、上述した第1実施形態と同様、第1速度プロファイルおよび第2速度プロファイルを作成する。一方、第2軸判定部35によって第2軸がないと判定された場合には、第1速度プロファイルのみを作成する。
さらに、本第2実施形態において、駆動制御部34は、減速制御開始判定部32によって減速制御を開始することが判定され、第2軸判定部35によって第2軸があると判定された場合には、上述した第1実施形態と同様、移動対象物11を移動させる第1軸を減速制御するとともに、移動対象物11と被接触物12とが離れる方向に第2軸を駆動制御する。一方、第2軸判定部35によって第2軸がないと判定された場合には、第1軸のみで減速制御するようになっている。
つぎに、本第2実施形態のモータ駆動制御装置1Bおよびこれを備えた工作機械10による作用について、図11のフローチャートを参照しつつ、上述した本第1実施形態と相違する点を中心に説明する。なお、図7のフローチャートの各ステップにおける処理と同一もしくは相当する処理については、同一のステップ符号を付し、再度の説明を省略する。
本第2実施形態では、減速制御開始判定部32によって、減速制御を開始することが判定されると(ステップS3:YES)、第2軸判定部35が、第1軸の移動方向に沿う移動方向成分を有する第2軸があるか否かを判定する(ステップS21)。これにより、工作機械10がいかなる機械構成であっても、移動対象物11と被接触物12との接触ごとに第2軸の有無を判定し、第2軸が存在する場合にのみ、本発明に係る減速制御が実施可能となる。
第2軸判定部35による判定の結果、第2軸があると判定されると(ステップS21:YES)、ステップS4に進み、それ以降は上述した第1実施形態と同様の処理を実行する。一方で、第2軸がないと判定された場合(ステップ21:NO)、速度プロファイル作成部33が、第1軸の第1速度プロファイルのみを作成し(ステップS22)、駆動制御部34が、第1軸のみで減速制御する(ステップS23)。これにより、第2軸が存在しない場合には、第1軸のみで減速制御を行うことが可能となる。
なお、移動対象物11の停止が完了すると(ステップS24:YES)、退避動作が実行され(ステップS11)、測定用プログラムに基づく駆動制御が終了するまでは(ステップS12:NO)、ステップS2へと戻り、上述した処理が繰り返される。
以上のような本第2実施形態のモータ駆動制御装置1Bおよびこれを備えた工作機械10によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果に加えて、第2軸が必ずしも存在しない工作機械10においても、移動対象物11および被接触物12が剛体からなる構成でありながら、接触時における移動速度を向上でき、工作機械10による測定時間を短縮化することができるという作用効果を奏する。
つぎに、本発明に係るモータ駆動制御装置1Cおよびこれを備えた工作機械10の第3実施形態について説明する。なお、本第3実施形態の構成のうち、上述した第1実施形態と同一もしくは相当する構成については同一の符号を付し、再度の説明を省略する。
上述した第1実施形態や第2実施形態では、ツールプリセッタやタッチプローブからの出力信号を接触状態信号として取得し、出力信号が検出されたとき、移動対象物11の減速制御を開始すると判定していた。これに対し、本第3実施形態の特徴は、図12に示すように、工作機械10における各軸のモータを駆動する電流信号を接触状態信号として取得する点にある。
工作機械10においては、移動対象物11が被接触物12に接触して干渉が発生すると、モータにかかる負荷が増大し、通常時よりも過大な電流信号が流れる。そこで、本第3実施形態では、接触状態信号取得部31が、当該電流信号を接触状態信号として取得する。そして、減速制御開始判定部32が、電流信号の変化を常時監視し、所定の閾値を超えたとき、干渉が発生したと判断し、移動対象物11の減速制御を開始すると判定するようになっている。
なお、本第3実施形態において、減速制御開始判定部32は、工作機械10における干渉が発生したときに、減速制御の開始を判定しているが、この構成に限定されるものではなく、工作機械10における干渉の発生が予測されたときに、減速制御の開始を判定してもよい。具体的には、予め電流信号を記録した多数のサンプルデータを機械学習させ、干渉の発生前における電流信号の特徴的な変化を抽出する。そして、減速制御開始判定部32は、取得された電流信号に特徴的な変化がみられたとき、干渉が発生すると予測し、移動対象物11の減速制御を開始すると判定してもよい。
また、上述した第1実施形態や第2実施形態では、工作機械10による測定作業中の減速制御について説明したが、本第3実施形態によれば、測定作業中のみならず、加工作業中に発生する干渉に対しても、本発明を適用することが可能である。この場合、測定用プログラム記憶部22には、測定用プログラムに代えて、各種の加工処理を実行するための加工プログラムが記憶される。
以上のような本第3実施形態のモータ駆動制御装置1Cおよびこれを備えた工作機械10によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果に加えて、以下のような効果を奏する。
1.工作機械10による測定作業や加工作業等において、移動対象物11と被接触物12との干渉時における減速制御に本発明を適切に適用することができる。
2.移動対象物11と被接触物12との干渉を検出または予測し、減速制御時の制動距離を短縮化するため、干渉時における工作機械10の破損を軽減ないし防止することができる。
3.工作機械10による加工時間を短縮することができる。
つぎに、本発明に係るモータ駆動制御装置およびこれを備えた工作機械の具体的な実施例について説明する。
本実施例1では、本発明に係る減速制御による作用効果を確認するシミュレーション実験を行った。具体的には、工作機械10として、図2に示すような混合形の5軸加工機を想定し、上述した第1実施形態のモータ駆動制御装置1Aを用いて、工具がツールプリセッタに接触したときの減速制御をシミュレーションした。
実験条件としては、直線軸(X軸)を第1軸とし、回転軸(B軸)を第2軸とした。そして、図3に示すように、工具をX軸方向に沿って左方へ移動させ、ツールプリセッタに接触したとき、X軸を減速制御するとともに、B軸を反時計回りに回転させることで、工具をツールプリセッタから離れる方向に移動させ、相対的な減速度を向上させた。
また、本実施例1において、工具長は200mm、接触時の工具の移動速度は2000mm/min、X軸の許容加速度は1500mm/sec、B軸の許容加速度は1500deg/secに設定した。なお、駆動信号に対するモータの動作遅れは、考慮しないものとした。
以上の実験条件において、工具がツールプリセッタに接触してから停止するまでに、ツールプリセッタが移動した距離(制動距離)を算出した。また、比較例として、従来の減速制御によってX軸のみを減速制御した場合の制動距離を算出した。その結果、従来の減速制御を行った場合の制御距離は0.37mmであったのに対し、本実施例1の減速制御を行った場合の制動距離は0.08mmとなり、約78%も削減されていた。
また、従来の減速制御と同等の制動距離(0.37mm)で停止しうる範囲内で、工具がツールプリセッタに接触する時の上限速度を算出した。その結果、従来の減速制御を行った場合の上限速度は2000mm/minであったのに対し、本実施例1の減速制御を行った場合の上限速度は4240mm/minであり、約2.1倍に引き上げられていた。
以上のような本実施例1によれば、本発明に係るモータ駆動制御装置によって減速制御を行った場合、従来の減速制御と比較して、制動距離が削減されるとともに、接触時の上限速度を引き上げられることが示された。よって、工作機械による測定時間を短縮化でき、干渉時における工作機械の破損を軽減できることが示された。
なお、本発明に係るモータ駆動制御装置およびこれを備えた工作機械は、前述した各実施形態や実施例に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
例えば、上述した各実施形態では、退避動作を実行する前に、移動対象物11の位置および姿勢を減速制御を開始する直前の状態に復帰させる復帰動作を行っている。しかしながら、移動対象物11が干渉を起こさないように、第2軸の移動量が制限されている場合等には、復帰動作を実行する必要はない。この場合、位置姿勢記憶部23が不要となり、図7および図11に示すフローチャートでは、ステップS4、ステップS9およびステップS10の処理が不要となる。
また、上述した各実施形態では、数値制御装置の一機能としてモータ駆動制御装置を実現させているが、この構成に限定されるものでない。すなわち、数値制御装置とは別個独立に、モータ駆動制御装置を設けてもよい。
1A,1A’,1B,1C モータ駆動制御装置
1a モータ駆動制御プログラム
2 記憶手段
3 演算処理手段
10 工作機械
11 移動対象物
12 被接触物
21 プログラム記憶部
22 測定用プログラム記憶部
23 位置姿勢記憶部
24 速度プロファイル記憶部
31 接触状態信号取得部
32 減速制御開始判定部
33 速度プロファイル作成部
34 駆動制御部
35 第2軸判定部

Claims (8)

  1. 移動対象物を移動させる第1軸と、前記第1軸の移動方向に沿う移動方向成分を有する第2軸とを備えた工作機械のモータを駆動制御するモータ駆動制御装置であって、
    前記移動対象物と、前記移動対象物と接触する被接触物との接触時またはその前後に変化する接触状態信号を取得する接触状態信号取得部と、
    前記接触状態信号に基づいて、前記移動対象物の減速制御を開始するか否かを判定する減速制御開始判定部と、
    前記減速制御を開始する場合、前記第1軸を減速制御するとともに、前記移動対象物と前記被接触物とが離れる方向に前記第2軸を駆動制御する駆動制御部と、
    前記第1軸の減速制御における移動速度の時間変化を表す第1速度プロファイルおよび/または前記第2軸の駆動制御における移動速度の時間変化を表す第2速度プロファイルを作成する速度プロファイル作成部と、
    を有し、
    前記駆動制御部は、前記第1速度プロファイルに基づいて前記第1軸を減速制御し、前記第2速度プロファイルに基づいて前記第2軸を駆動制御する、モータ駆動制御装置。
  2. 工作機械のモータを駆動制御するモータ駆動制御装置であって、
    前記工作機械によって移動される移動対象物と、前記移動対象物と接触する被接触物との接触時またはその前後に変化する接触状態信号を取得する接触状態信号取得部と、
    前記接触状態信号に基づいて、前記移動対象物の減速制御を開始するか否かを判定する減速制御開始判定部と、
    前記減速制御を開始する場合、前記移動対象物を移動させている第1軸の移動方向に沿う移動方向成分を有する第2軸があるか否かを判定する第2軸判定部と、
    前記第2軸がない場合、前記第1軸のみで減速制御し、前記第2軸がある場合、前記第1軸を減速制御するとともに、前記移動対象物と前記被接触物とが離れる方向に前記第2軸を駆動制御する駆動制御部と、
    前記第1軸の減速制御における移動速度の時間変化を表す第1速度プロファイルおよび/または前記第2軸の駆動制御における移動速度の時間変化を表す第2速度プロファイルを作成する速度プロファイル作成部と、
    を有し、
    前記駆動制御部は、前記第1速度プロファイルに基づいて前記第1軸を減速制御し、前記第2速度プロファイルに基づいて前記第2軸を駆動制御する、モータ駆動制御装置。
  3. 前記減速制御を開始する直前における前記移動対象物の位置および/または姿勢を記憶する位置姿勢記憶部を有しており、
    前記駆動制御部は、前記移動対象物の停止が完了した後、前記移動対象物の位置および/または姿勢を前記減速制御を開始する直前の状態に復帰させるように前記第1軸および/または前記第2軸を駆動制御する、請求項1または2に記載のモータ駆動制御装置。
  4. 前記接触状態信号取得部は、前記移動対象物としての工具と接触する被接触物としてのツールプリセッタからの出力信号、または前記被接触物としてのワークと接触する前記移動対象物としてのタッチプローブからの出力信号を前記接触状態信号として取得し、
    前記減速制御開始判定部は、前記出力信号が検出されたとき、前記移動対象物の減速制御を開始すると判定する、請求項1から請求項のいずれかに記載のモータ駆動制御装置。
  5. 前記接触状態信号取得部は、前記モータを駆動する電流信号を前記接触状態信号として取得し、
    前記減速制御開始判定部は、前記電流信号の電流値が所定の閾値を超えたとき、または前記工作機械における干渉の発生が予測されたとき、前記移動対象物の減速制御を開始すると判定する、請求項1から請求項4のいずれかに記載のモータ駆動制御装置。
  6. 前記速度プロファイル作成部は、前記第1速度プロファイルにおける移動速度がゼロとなる時間以前に、前記第2速度プロファイルにおける移動速度がゼロとなるように、各速度プロファイルを作成する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のモータ駆動制御装置。
  7. 前記速度プロファイル作成部は、前記第2軸の移動量が所定の最大移動量を超えないように前記第2速度プロファイルを作成する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のモータ駆動制御装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載のモータ駆動制御装置を備えてなる工作機械。
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