JP2009074775A - 熱交換器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 拡管加工を用いて製造される熱交換器の製造に当たって、フィン材を成形加工する際に形成された切断面等、アルミニウムが剥き出しになる部分を保護し、熱交換器の長期間にわたる高度の耐食性を確保する。
【解決手段】
熱交換器組立体の一部又は全体を水溶性エポキシ樹脂を含有する樹脂塗料水溶液に浸漬することにより皮膜量W=2.0〜30.0g/m2の耐食性皮膜を形成する工程と、
前記耐食性皮膜の形成された組立体を、53.824Ln(W)+71.184 < T ≦ 300 を満たす炉内温度T(℃)にて5分以上加熱する工程と、を含み、前記水溶性エポキシ樹脂は、エポキシ基を2個以上有する樹脂に対して、カルボキシル基を有する有機化合物をグラフト重合又はエステル結合により結合させたものであることを特徴とする熱交換器の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】
熱交換器組立体の一部又は全体を水溶性エポキシ樹脂を含有する樹脂塗料水溶液に浸漬することにより皮膜量W=2.0〜30.0g/m2の耐食性皮膜を形成する工程と、
前記耐食性皮膜の形成された組立体を、53.824Ln(W)+71.184 < T ≦ 300 を満たす炉内温度T(℃)にて5分以上加熱する工程と、を含み、前記水溶性エポキシ樹脂は、エポキシ基を2個以上有する樹脂に対して、カルボキシル基を有する有機化合物をグラフト重合又はエステル結合により結合させたものであることを特徴とする熱交換器の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、熱交換器の製造方法に関するものであり、特に、プレス成形によりアルミニウム板に孔部を形成し、当該孔部に管を挿入し、さらに拡管して製造される拡管加工と呼ばれる方法によって作られる熱交換器の製造方法に関するものである。
ヒートポンプ方式の家庭用又は業務用エアコンの熱交換器は、フィンとなるアルミニウムや銅等の金属薄板を打ち抜き、打ち抜いた孔部に銅管又はアルミニウム管を挿入し、その後、当該銅管又はアルミニウム管を機械的に拡管するか、液圧あるいは空気圧をかけて拡管し、フィンと管を固定することにより製造されている。このような熱交換器の製造方法に関しては、例えば特許文献1に示されている。
フィン用の金属薄板としては、軽量で適度な機械的特性を有し、かつ美観、成形加工性に優れたアルミニウム材が主流となっている。(なお、本明細書中において以後、純アルミニウム材及びアルミニウム合金材を総称して「アルミニウム材」とする。)この熱交換器は極寒地等を除き、あらゆる環境で使用される。すなわち、海岸近く等の塩害のあるような地域あるいは高速道路際の排気ガス等に曝されるような場所にも設置され、また半導体工場のような腐食性ガスを使用する環境でも使われている。そのため、このような熱交換器には高い耐食性が求められている。
熱交換器の耐食性を向上させるために、これまでにも種々の検討がなされ、特にフィンに用いるアルミニウム材の耐食性向上が図られてきた。その一つとして、あらかじめ塗装などの表面処理がなされたアルミニウム材を用いて成形する方法が挙げられる。すなわち、アルミニウム材に表面処理を施した所謂プレコート材を用いて所定の形状に成形を行い、孔部に管を挿入後、拡管して熱交換器とするものである。
プレコート材を得るために用いられる表面処理として、例えば特許文献2に開示されているように、アルミニウム材にあらかじめリン酸クロメート皮膜のような耐食性化成皮膜を設ける方法や、特許文献3に開示されているようにアルミニウム材にアクリル酸系樹脂を設ける方法がある。これらの方法は、主にフィンの平坦部分の耐食性を向上させるのに効果がある。
しかしながら、熱交換器の製造においては、アルミニウム材を成形加工してフィン材とするため、フィン中に多数の切断面が形成される。この切断面の部分は、プレコート皮膜がなくアルミニウム面が剥き出しとなる結果、熱交換器の使用中に腐食が起こりやすい。また、近年は熱交換率を高めることを目的にフィンにルーバー加工(スリット成形後、当該箇所を起こす加工)を施すことも多い。このようにルーバー加工を施すと、アルミニウム材の切断面が増加すると共に、切り起こし部分に水分が溜まりやすいため、腐食がさらに進みやすくなる。
特に、このような熱交換器が沖縄や徳之島等の地で使用される場合、高温・高湿かつ塩分の多い厳しい環境条件であるため、フィンにおけるアルミニウムの剥き出し部分から腐食が始まり、さらに腐食生成物によるフィン間の目詰まりによって機能の低下を招いたり、最終的にはフィンの脱落がおこる場合がある。
このような不具合を防止するため、露出したアルミニウム切断面部分を保護する方法として熱交換器組立後に、亜鉛を含んだ塗料や、溶剤型アクリル系樹脂、溶剤型エポキシ樹脂等の耐食性樹脂をスプレー塗装することが行われている。しかし、スプレー塗装では、フィンとフィンの間の狭い隙間における細かい部分にまで耐食性樹脂を十分に付着させることが出来ず、アルミニウム切断面が剥き出しになった部分先端部やルーバーの切断面の耐食性を十分に得ることができない。また、溶剤型の耐食性樹脂を用いると、溶剤がプレコート皮膜にダメージを与えるため、却って耐食性が低下する場合がある。さらに、溶剤による作業環境の悪化も招くため好ましくない。
また、上記したように、亜鉛を含んだ塗料をスプレーする場合、亜鉛はアルミニウムより卑な金属であるため犠牲防食作用が期待できるが、犠牲材である亜鉛が腐食することにより白色の腐食生成物が多量に発生するため外観が汚くなり、見栄えが悪くなる恐れがある。さらに、亜鉛が腐食して消失した後の防食作用は期待できないため、熱交換器は長期間の使用に耐えないことになる。
特開昭59−43538号公報
特開2000−226675号公報
特開平06−65524号公報
本発明は上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、拡管加工を用いて製造される熱交換器の製造に当たって、フィン材を成形加工する際に形成された切断面等、アルミニウムが剥き出しになる部分を保護し、熱交換器の長期間にわたる高度の耐食性を確保することを目的としてなされたものである。
上記の目的を達成するべく、本発明は、金属板又は予め表面処理皮膜を形成したプレコート金属板を打ち抜いて孔部を形成する工程と、前記金属板に形成された孔部に管を挿入する工程と、前記管を拡管することにより管を金属板に固定して組立体となす工程とを含んでなる熱交換器の製造方法において、
前記組立体の一部又は全体を水溶性エポキシ樹脂を含有する樹脂塗料水溶液に浸漬することにより皮膜量W=2.0〜30.0g/m2の耐食性皮膜を形成する工程と、
前記耐食性皮膜の形成された組立体を、下記式(1)を満たす炉内温度T(℃)にて5分以上加熱する工程と、
を含み、
53.824Ln(W)+71.184 < T ≦ 300 式(1)
かつ、前記水溶性エポキシ樹脂は、エポキシ基を2個以上有する樹脂に対して、カルボキシル基を有する有機化合物をグラフト重合又はエステル結合により結合させたものであることを特徴とする熱交換器の製造方法である。
前記組立体の一部又は全体を水溶性エポキシ樹脂を含有する樹脂塗料水溶液に浸漬することにより皮膜量W=2.0〜30.0g/m2の耐食性皮膜を形成する工程と、
前記耐食性皮膜の形成された組立体を、下記式(1)を満たす炉内温度T(℃)にて5分以上加熱する工程と、
を含み、
53.824Ln(W)+71.184 < T ≦ 300 式(1)
かつ、前記水溶性エポキシ樹脂は、エポキシ基を2個以上有する樹脂に対して、カルボキシル基を有する有機化合物をグラフト重合又はエステル結合により結合させたものであることを特徴とする熱交換器の製造方法である。
本発明の熱交換器の製造方法によれば、熱交換器の細部にまで耐食性皮膜を行き渡らせることができ、アルミニウム切断面が剥き出しになっている部分を含めた全面を耐食性樹脂で確実に覆うことができるため、熱交換器の長期間にわたる高度の耐食性を確保することが可能になる。
次に、本発明の好ましい実施形態について説明する。
本発明により製造される熱交換器は、フィン材として、塗装等の表面処理を施さないアルミニウム板(所謂ベア材)を用いてもよいし、アルミニウム板にあらかじめ塗装等の表面処理を施された所謂プレコート材を用いてもよい。前者のベア材を用いた場合は、本発明の耐食性皮膜形成・焼付け処理を行うことにより、アルミニウム板の切断面が剥き出しになった部分、及びアルミニウム板の平坦な面の全てに耐食性皮膜を確実に形成することができる。また、後者のプレコート材を用いた場合は、アルミニウム板の切断面が剥き出しになった部分に耐食性塗料を確実に形成することができると共に、既に塗装されたアルミニウム板の平坦な面にも耐食性皮膜が形成されるため、熱交換器全体の耐食性を著しく向上させることができる。従って、熱交換器の使用環境が非常に厳しい場合には、後者のようにプレコート材を用いることが好適である。
上のようにプレコート材を用いる場合、そのプレコートの塗装としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の有機系樹脂塗膜を使用することができる。また、ベーマイト処理、クロメート処理、ジルコニウム処理、チタンを用いた処理、等の無機系の処理を行うこともできる。
本発明の熱交換器の製造方法において耐食性皮膜を形成するには、水溶性エポキシ樹脂を含有する樹脂塗料水溶液に熱交換器を浸漬する。この樹脂塗料水溶液は、エポキシ基を2個以上有する樹脂に、カルボキシル基を有する有機化合物をグラフト重合又はエステル結合により結合させた樹脂を水に溶解若しくは分散したものが用いられる。エポキシ基を2個以上有する樹脂は、皮膜の透水性が低く、また耐薬品性にも優れている。さらに、エポキシ樹脂にカルボキシル基を有する有機化合物をグラフト重合又はエステル結合により植え付けることにより、水溶性あるいは水分散性を持たせることができ、界面活性剤の添加が不要になる。界面活性剤は、水分が付着すると容易に流出するため、皮膜中に界面活性剤を含有する熱交換器は、その使用中に界面活性剤が土中あるいは河川中に流出し、BOD(生物化学的酸素要求量)の上昇を招き環境負荷を増大させるため好ましくない。
熱交換器に設ける耐食性皮膜の量は、2.0〜30.0g/m2とする。耐食性皮膜の量が2.0g/m2未満である場合は十分な耐食性が得られない。一方、30.0g/m2を超えてもそれ以上耐食性が向上しないばかりか、フィン材から空気中への熱伝達性が低下するため好ましくない。
また、耐食性皮膜の厚さの調整は、樹脂塗料水溶液の樹脂固形分濃度を調整することにより可能である。本発明においては、樹脂固形分濃度が5〜30重量%となるようにすることが好ましい。樹脂固形分濃度が5%未満であると、必要な耐食性皮膜の量が確保できないばかりか、樹脂塗料水溶液の粘度が低くなり、塗料ハジキが起こったり、アルミニウム板の切断面に付着しなくなる等の不具合を招いたりする。一方、樹脂固形分濃度が30%以上であると、樹脂塗料水溶液の粘度が高くなり過ぎて熱交換器の細部にまで耐食性皮膜を確実に形成することができなくなり、また、皮膜が厚くなり過ぎてフィン間にブリッジが形成され、熱交換器の熱交換性能が阻害されることがある。
樹脂塗料水溶液への浸漬処理を行った後、熱交換器を加熱することにより、皮膜を乾燥・硬化させる(以後、加熱により熱交換器表面の樹脂塗料水溶液を乾燥・硬化させる工程を適宜「焼付け処理」と言う)。この焼付け処理の温度は、耐食性皮膜の形成量を考慮して決める必要がある。本発明者らは、適切な焼付け処理温度と耐食性皮膜の形成量との関係を種々調査した結果、以下の条件を導くことができた。なお、Lnは自然対数を表す。
53.824Ln(W)+71.184 < T ≦ 300 式(1)
但し、Tは加熱炉の温度(℃)、Wは耐食性皮膜の形成量(g/m2)である。焼付け処理の温度が上の条件で表される温度よりも低いと、耐食性皮膜の硬化が不十分となるため、熱交換器に十分な耐食性を付与することができず、また、耐食性皮膜の密着性が不十分となるため、熱交換器の使用中に皮膜が剥離する恐れがある。なお、焼付け処理の温度が300℃を超えると、樹脂自体の分解が始まることがあるため好ましくない。
53.824Ln(W)+71.184 < T ≦ 300 式(1)
但し、Tは加熱炉の温度(℃)、Wは耐食性皮膜の形成量(g/m2)である。焼付け処理の温度が上の条件で表される温度よりも低いと、耐食性皮膜の硬化が不十分となるため、熱交換器に十分な耐食性を付与することができず、また、耐食性皮膜の密着性が不十分となるため、熱交換器の使用中に皮膜が剥離する恐れがある。なお、焼付け処理の温度が300℃を超えると、樹脂自体の分解が始まることがあるため好ましくない。
また、焼付け処理を行う時間は、5分以上とし、熱交換器の生産性や製造ライン能力等を考慮して適宜設定すればよい。5分未満であると、耐食性皮膜の硬化が不十分となる恐れがある。また、焼付け処理燥時間を30分以上としてもそれ以上の効果は見込まれ難いため、工業的には30分以下がよい。
焼付け処理を行う装置は、上記した温度・時間の条件を実現できれば特に種類は限定されず、熱風炉、赤外炉等が利用できるが、処理効率の点からは熱風炉が最適である。
〔実施例1〕
アルミニウム基材として、JIS3003相当のアルミニウム合金薄板(板厚0.100mm)を用いた。このアルミニウム材に、通常のアルカリ脱脂−リンス−乾燥を行った後、プレコート塗膜としてアクリル樹脂を塗布し、250℃にて14秒間焼付けし、塗膜量1.3g/m2のプレコートフィン材を用意した。このプレコートフィン材を、フィンプレス装置にて成形を行った後、孔部に銅管を挿入して拡管し、210mm×300mm×38.1mmの大きさの熱交換器を作製した。なお、揮発性のプレスオイルが付着しているのでこれを除去するために、熱交換器を150℃にて5分ほど乾燥させた。
アルミニウム基材として、JIS3003相当のアルミニウム合金薄板(板厚0.100mm)を用いた。このアルミニウム材に、通常のアルカリ脱脂−リンス−乾燥を行った後、プレコート塗膜としてアクリル樹脂を塗布し、250℃にて14秒間焼付けし、塗膜量1.3g/m2のプレコートフィン材を用意した。このプレコートフィン材を、フィンプレス装置にて成形を行った後、孔部に銅管を挿入して拡管し、210mm×300mm×38.1mmの大きさの熱交換器を作製した。なお、揮発性のプレスオイルが付着しているのでこれを除去するために、熱交換器を150℃にて5分ほど乾燥させた。
この熱交換器に耐食性皮膜を形成するため、水溶性エポキシ樹脂を含有する樹脂塗料水溶液(大日本インキ製のエポキシ樹脂塗料)に熱交換器を浸漬したのち、所定温度で焼付け処理を行った。焼付け処理の時間は5分間とした。なお、この水溶性エポキシ樹脂は、エポキシ基を2個以上有する樹脂にカルボキシル基を有する有機化合物をグラフト重合又はエステル結合により結合させたものである。
樹脂塗料中の樹脂固形分濃度を変えることにより耐食性皮膜の形成量を種々変えた熱交換器を、本発明例1〜7、比較例1〜7として作製し、以下に述べるように評価を行った。
〔実施例1の評価〕
(1)耐食性皮膜の状態評価:樹脂塗料水溶液に浸漬し、焼付け処理を行った後の熱交換器について、耐食性皮膜の状態を目視にて評価した。評価の基準は以下のとおりである。即ち、異常なしと認められたものを○、部分的に塗膜ハジキが発生していたものを△、多くの部分で塗膜ハジキが発生していたものを×とした。
(1)耐食性皮膜の状態評価:樹脂塗料水溶液に浸漬し、焼付け処理を行った後の熱交換器について、耐食性皮膜の状態を目視にて評価した。評価の基準は以下のとおりである。即ち、異常なしと認められたものを○、部分的に塗膜ハジキが発生していたものを△、多くの部分で塗膜ハジキが発生していたものを×とした。
(2)熱交換器の耐食性:CASS試験機内に配置した熱交換器を、試験機外に設置したコンプレッサーユニットと配管接合し、熱交換器の運転を行わせた状態でCASS試験を行った。運転は、冷房運転30分、停止1時間の繰り返し運転とし、総試験時間は500時間とした。CASS試験後、熱交換器を取り出し、腐食の発生した面積を目視にて確認し、以下の基準により評価した。即ち、熱交換器全体の表面積に対する腐食発生面積の割合が30%以下のものを○、30%を超え60%以下のものを△、60%を超えたものを×とした。
(3)耐食性皮膜の密着性:上記の耐食性試験を実施した後の熱交換器において、耐食性皮膜が残っている部分の密着性について目視で剥離の有無を評価した後、テープ密着試験を行い、剥離の有無を評価した。評価基準は、以下のとおりである。
テープ密着試験前、試験後とも耐食性皮膜の剥離なし・・・○
テープ密着試験前は剥離なし、試験後は剥離あり・・・△
テープ密着試験前に既に剥離あり・・・×
これら(1)〜(3)の評価結果を表1に示す。
テープ密着試験前、試験後とも耐食性皮膜の剥離なし・・・○
テープ密着試験前は剥離なし、試験後は剥離あり・・・△
テープ密着試験前に既に剥離あり・・・×
これら(1)〜(3)の評価結果を表1に示す。
表1から分かるように、本発明例1〜7については、耐食性皮膜の形成量が2.0〜30.0g/m2の範囲にあり、かつ、浸漬処理後の焼付け処理温度が式(1)の範囲内であったことから、耐食性皮膜の状態・熱交換器の耐食性・耐食性皮膜の密着性ともに良好な結果が得られた。
一方、比較例1では、耐食性皮膜の形成量が1.5g/m2と少なかったため、熱交換器の耐食性に劣る結果となった。また、上記形成量とするために樹脂塗料水溶液中の樹脂固形分を低くしたので、樹脂塗料の粘度が不十分となった結果、フィン材のアルミニウム切断面における塗料ハジキが起こり、また、耐食性皮膜の密着性も不十分であった。
比較例2では、耐食性皮膜の形成量が1.8g/m2と少なかったため、熱交換器の耐食性に劣る結果となった。
比較例3及び比較例4では、焼付け処理温度が式(1)で規定される温度の下限値よりも低かったため、熱交換器の耐食性に劣ると共に、耐食性皮膜の密着性にも劣っていた。
比較例5では、焼付け処理温度が300℃を超えていたため、樹脂塗料の分解が生じ、耐食性皮膜がその役割を十分に果たすことができなかった結果として、熱交換器の耐食性に劣り、また耐食性皮膜の密着性にも劣った。
比較例6では、耐食性皮膜の形成量が32.0g/m2と多かったため、耐食性皮膜が厚くなり過ぎ、フィン間にブリッジが形成される結果となった。
比較例7では、焼付け処理時間が不足していたため、熱交換器の耐食性、耐食性皮膜の密着性が不十分であった。
〔実施例2〕
アルミニウム基材として、JIS3003相当のアルミニウム合金薄板(板厚0.100mm)を用いた。このアルミニウム材を、フィンプレス装置にて成形を行った後、孔部に銅管を挿入して拡管し、210mm×300mm×38.1mmの大きさの熱交換器を作製した。なお、揮発性のプレスオイルが付着しているのでこれを除去するために、熱交換器を150℃にて5分ほど乾燥させた。なお、実施例1との違いは、プレコート材ではなくアルミニウムのベア材を用いている点にある。
アルミニウム基材として、JIS3003相当のアルミニウム合金薄板(板厚0.100mm)を用いた。このアルミニウム材を、フィンプレス装置にて成形を行った後、孔部に銅管を挿入して拡管し、210mm×300mm×38.1mmの大きさの熱交換器を作製した。なお、揮発性のプレスオイルが付着しているのでこれを除去するために、熱交換器を150℃にて5分ほど乾燥させた。なお、実施例1との違いは、プレコート材ではなくアルミニウムのベア材を用いている点にある。
この熱交換器に耐食性皮膜を形成するため、水溶性エポキシ樹脂を含有する樹脂塗料水溶液(大日本インキ製のエポキシ樹脂塗料)に熱交換器を浸漬したのち、所定温度で焼付け処理を行った。焼付け処理の時間は5分間とした。なお、この水溶性エポキシ樹脂は、エポキシ基を2個以上有する樹脂にカルボキシル基を有する有機化合物をグラフト重合又はエステル結合により結合させたものである。
樹脂塗料中の樹脂固形分濃度を変えることにより耐食性皮膜の形成量を種々変えた熱交換器を、本発明例1〜7、比較例1〜7として作製し、以下に述べるように評価を行った。
〔実施例2の評価〕
実施例2における評価方法及び評価基準は、実施例1に示したものと同様である。これらの評価結果を表2に示す。
実施例2における評価方法及び評価基準は、実施例1に示したものと同様である。これらの評価結果を表2に示す。
表2から分かるように、本発明例1〜7については、耐食性皮膜の形成量が2.0〜30.0g/m2の範囲にあり、かつ、浸漬処理後の焼付け処理温度が式(1)の範囲内であったことから、耐食性皮膜の状態・熱交換器の耐食性・耐食性皮膜の密着性ともに良好な結果が得られた。
一方、比較例1では、耐食性皮膜の形成量が1.3g/m2と少なかったため、熱交換器の耐食性に劣る結果となった。また、上記形成量とするために樹脂塗料水溶液中の樹脂固形分を低くしたので、樹脂塗料の粘度が不十分となった結果、フィン材のアルミニウム切断面における塗料ハジキが起こり、また、耐食性皮膜の密着性も不十分であった。
比較例2では、耐食性皮膜の形成量が1.7g/m2と少なかったため、熱交換器の耐食性に劣る結果となった。
比較例3及び比較例4では、焼付け処理温度が式(1)で規定される温度の下限値よりも低かったため、熱交換器の耐食性に劣ると共に、耐食性皮膜の密着性にも劣っていた。
比較例5では、焼付け処理温度が300℃を超えていたため、樹脂塗料の分解が起こり、耐食性皮膜がその役割を十分に果たすことができなかった結果として、熱交換器の耐食性に劣り、また耐食性皮膜の密着性にも劣った。
比較例6では、耐食性皮膜の形成量が31.0g/m2と多かったため、耐食性皮膜が厚くなり過ぎ、フィン間にブリッジが形成される結果となった。
比較例7では、焼付け処理時間が不足していたため、熱交換器の耐食性、耐食性皮膜の密着性に劣る結果となった。
Claims (1)
- 金属板又は予め表面処理皮膜を形成した金属板を打ち抜いて孔部を形成する工程と、前記金属板に形成された孔部に管を挿入する工程と、前記管を拡管することにより管を金属板に固定して組立体となす工程とを含んでなる熱交換器の製造方法において、
前記組立体の一部又は全体を水溶性エポキシ樹脂を含有する樹脂塗料水溶液に浸漬することにより皮膜量W=2.0〜30.0g/m2の耐食性皮膜を形成する工程と、
前記耐食性皮膜の形成された組立体を、下記式(1)を満たす炉内温度T(℃)にて5分以上加熱する工程と、
を含み、
53.824Ln(W)+71.184 < T ≦ 300 式(1)
かつ、前記水溶性エポキシ樹脂は、エポキシ基を2個以上有する樹脂に対して、カルボキシル基を有する有機化合物をグラフト重合又はエステル結合により結合させたものであることを特徴とする熱交換器の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013190140A (ja) * | 2012-03-13 | 2013-09-26 | Ihi Corp | プレートフィンの製造方法、プレートフィン及び熱交換器 |
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2007
- 2007-09-25 JP JP2007246579A patent/JP2009074775A/ja active Pending
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