JP2010105329A - アルミニウム塗装板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウム材と、当該基材の少なくとも一方の面に形成した親水性塗膜とを備えたアルミニウム塗装板であって、前記親水性塗膜が、ポリアクリル酸若しくはその塩若しくはエステルの内の1種以上又はそれらの共重合体からなるアクリル系樹脂5.0〜30wt%、ポリエチレングリコール 30〜70wt%、シリカ主体微粒子 5.0〜40wt%、及び酸化チタン主体微粒子 0.5〜20wt%から構成されており、当該シリカ主体粒子の平均粒径が0.005〜0.1μm、当該酸化チタン主体微粒子が酸化チタンを50wt%以上含有するものであり平均粒径が0.01μm以下、且つ当該親水性塗膜の平均膜厚が0.05〜5μmであることを特徴とするアルミニウム塗装板
【選択図】なし
Description
最近の空調機用熱交換器は、軽量化のために熱効率の向上とコンパクト化が要求され、フィン間隔をでき得る限り狭くする設計が取り入れられている。空調機用熱交換器では、暖房運転中における室外熱交換器では、空気中の水分がアルミニウムフィン材の表面に凝縮水となって付着し、霜となって凍りつき、フィン材間の空気の流れが妨げられることにより、通風抵抗が増大してしまう。そこで、室外熱交換器に付着した霜を融解するために、室外熱交換器に高温の冷媒を流す除霜運転が必要となる。この場合、室内熱交換器は、冷媒温度が低下してしまうため、室内を暖めるべく空気を得られなくなることになるため、このフィン表面に付着した霜を迅速に除去する必要がある。
本発明の目的は、アルミニウム材表面に親水性、耐候性、成形性、密着性において優れた性能を発揮する親水性塗膜を備えたアルミニウム塗装板、ならびに、このようなアルミニウム塗装板を用いた、例えば熱交換器用のプレコートアルミニウムフィン材を提供することにある。
本発明に係るアルミニウム塗装板は、アルミニウム材と、当該基材の少なくとも一方の面に形成した親水性塗膜とを備える。
本発明で用いる基材は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材である。なお、アルミニウム以外の金属を基材に用いることもできる。
更に、アルミニウム材に耐食性下地被膜を形成したものも用いることができる。耐食性下地被膜としては、化成処理被膜、耐食性有機被膜、陽極酸化被膜、ベーマイト被膜等が挙げられ、いずれの耐食性下地被膜を用いてもよい。耐食性、密着性、経済性の観点から、化成処理被膜と有機耐食性被膜を用いるのが好ましい。
化成処理被膜としては、クロム系、ジルコニウム系、チタン系の化成処理被膜が用いられるが、耐食性、密着性の観点からクロム系の化成処理被膜が好ましい。化成処理被膜の形成方法としては、塗布型、電解型、反応型の化成処理方法等が用いられるが、いずれの方法を用いてもよい。乾燥温度も任意である。上記化成処理被膜の形成方法のうち、成形性、密着性、耐食性に優れた塗布型クロメート法によるのが好ましい。この場合の塗布量はCr元素換算で2〜50mg/m2である。塗布量がCr元素換算で2mg/m2未満では、十分な耐食性と密着性が得られない。また、50mg/m2を超えても耐食性や密着性の効果が飽和し経済性に欠ける。好ましい塗布量はCr元素換算で5〜15mg/m2である。
また、耐食性有機被膜としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂から成る被膜が用いられるが、その上に形成される樹脂被膜の親水性を損なわない限り、いずれの樹脂被膜も用いることができる。耐食性有機被膜の形成量は、0.1〜10g/m2、好ましくは0.5〜5g/m2である。0.1g/m2未満では十分な耐食性が得られず、10g/m2超えても効果が飽和し不経済となる。
本発明の親水性塗膜は、親水性樹脂成分として有機/無機複合系によって構成されうる。
本発明のアルミニウム材面に親水性塗膜を形成するには、アルミニウム材表面又はアルミニウム材表面に形成した耐食性下地被膜表面に、親水性塗膜用の液状の被膜組成物を塗装(塗布)しこれを焼付けることが好ましい。
本発明では、それぞれの塗膜成分を含んだ塗膜組成物を用いることができる。
親水性塗膜中には、親水性を付与するために、ポリアクリル酸若しくはその塩若しくはエステルの内の1種以上又はそれらの共重合体からなるアクリル系樹脂を存在させる。
前記のアクリル系樹脂としては、α、βモノエチレン系不飽和単量体とこれに重合可能な単量体との共重合体やブロック重合体、或いは、α、βモノエチレン系不飽和単量自体の重合体からなる樹脂が用いられる。
α、βモノエチレン系不飽和単量体としては、例えばアクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸nブチル、アクリル酸2エチルへキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸2エチルブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸3エトキシプロピル等);メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸nへキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸デシルオクチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2メチルへキシル、メタクリル酸3メトキシブチル等);アクリロニトリル;メタクリロニトリル;酢酸ビニル;塩化ビニル;ビニルケトン;ビニルトルエン;及びスチレン等が用いられる。
上記α、βモノエチレン系不飽和単量体と共重合し得る単量体とは、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、エチレン、トルエン、プロピレン、アクリルアミド、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸2ヒドリキシエチル、メタクリル酸2ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、Nメチロールアクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸等が用いられる。
上記のアクリル系樹脂にジルコニウム化合物を金属架橋されることにより、親水性塗膜の親水性低下を防ぐと共に耐食性、耐透水性を向上させる。ジルコニウム化合物は、ジルコニウムを含有する化合物であれば特に限定されず、例えば、フッ化ジルコニウム(ジルコニウムフッ化水素酸)、フッ化ジルコニウムアンモニウム、酢酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、硝酸ジルコニウム等を用いる。分散性、塗装性、製造時の臭気発生防止などの観点より、炭酸ジルコニウムカリウムを用いることが好ましい。これらのジルコニウム化合物は、1種単独で用いても、或いは、2種以上を混合して用いてもよい。ジルコニウム化合物は、アクリル系樹脂に対して100重量部に対して、4.5〜30wt%が好ましい。4.5wt%未満であると、親水性を低下してしまい、30wt%を超えても、各効果が飽和し、不経済となる。
また、得られる塗膜の耐水溶解性を向上させるなどの目的で必要に応じてその他の架橋剤を配合されることができる。このような架橋剤としては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、ポリエポキシ化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、チタンキレートなどの金属キレート化合物などを挙げることができる。
親水性塗膜中に存在するアクリル系樹脂量は、5.0〜30wt%である。5.0wt%未満では親水性塗膜の密着性を十分確保できなく、30wt%を超えると、親水性・耐候性を阻害することになる。
本発明において、親水性塗膜を構成するシリカ主体微粒子としては、いわゆるシリカゾル又は微粉状シリカのいずれかの粒子を塗膜中に存在させてもよく、粒子径が0.005〜0.1μm、好ましくは0.009〜0.70μmである。粒子径が0.005μm未満であると、親水性が飽和する上、工業上生産が難しく、不経済となる。0.1μmを超えると、親水持続性を劣化させる。
塗料を用いて、親水性塗膜を形成させる場合、通常、水分散液として供給されているものをそのまま使用するか、或いは、微粉状シリカを水に分散させて使用することができるが、塗膜中に前記の微粒子を分散させるには、コロイダルシリカのような水分散液を用いることが好ましい。本発明において、シリカ主体微粒子は、得られる親水性塗膜に親水性や耐汚染性を付与して水接触角を低下させる成分として作用する。
親水性塗膜中に存在するシリカ主体微粒子量は、5.0〜40wt%である。5.0wt%未満では親水性を十分確保できなく、40wt%を超えると、密着性・成形性の低下を招く。
また、本発明においてシリカ主体微粒子において、シリカ主体微粒子の他に、シリカ微粒子の表面に酸化アルミニウム層を被覆することにより、塗膜中の有機樹脂との濡れ性が向上することができ、金属酸化物複合微粒子同士の凝集を抑制が図れ、更に耐候性を大幅に向上することが可能となる。
本発明におけるシリカ主体微粒子の製造方法として、水ガラスの希薄水溶液を、カチオン交換樹脂層に通過させる方法等の公知方法にて製造できるが、特にこれに限るものではない。
本発明におけるシリカ主体微粒子の表面に酸化アルミニウム層を形成する製造方法として、コロイダルシリカ等のシリカ分散液中にアルミン酸ナトリウム等を添加し、ろ過、洗浄させる方法等の公知方法にて、シリカ主体微粒子表面に酸化アルミニウムを沈着することができるが、特にこれに限るものではない。
シリカ主体微粒子における酸化アルミニウムの含有量としては1.0〜20wt%含有とするのが好ましい。シリカ主体微粒子における酸化アルミニウムの含有量が1.0wt%未満であると、塗膜中の微粒子同士が凝集し、親水性や耐候性を向上することができない。また、20wt%を超えると、これもまた親水性や耐候性を向上することができない。
本発明において、高親水性組成物の樹脂成分を構成するポリエチレングリコールについては、主に塗膜の最表面に形成され、成形の際、潤滑剤の機能を果たす。ポリエチレングリコールを含有することにより、高親水性塗膜中に内在するシリカ主体微粒子や酸化チタン主体微粒子による成形性の低下を低減させる効果がある。ポリエチレングリコールとしては、好ましくはその重量平均分子量が1000〜40000、更に好ましくは8000〜25000のポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール・プロピレングリコール共重合体等である。平均分子量が1000未満であると、潤滑性を低下してしまい、成形性を不足してしまう。平均分子量は、40000を超えても、潤滑性を飽和する上、工業上の汎用製品として不経済である。
親水性塗膜中に存在するポリエチレングリコール量は、30〜70wt%である。30wt%未満では成形性を十分確保できなく、70wt%を超えると、親水性を付与するアクリル系樹脂及びシリカ主体微粒子が相対的に少なくなり、親水性を維持することが難しくなる。
発明において、親水性塗膜を構成する酸化チタン主体微粒子としては、微粒子中の酸化チタンが50wt%以上含み、好ましくは、70wt%以上である。親水性塗膜中に酸化チタン主体微粒子を含有させると、光照射下における耐候性が向上することが見出されている。親水性塗膜中に存在する酸化チタン主体微粒子が、光などの励起エネルギーによって塗膜表面に付着した親水性低下物を分解すると考えられる。酸化チタン成分としては、アモルファス酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、過酸化チタンなどをいずれかまたはこれらを組み合わせたものを使用してもよい。
酸化チタン主体微粒子には、酸化チタン成分の他に酸化亜鉛成分を組み合わせることによって耐候性を向上させることができる。本来酸化亜鉛は光触媒としての機能も存在しているが、酸化亜鉛自体、両性酸化物として知られているように様々な物質と結合することから、幅広いスペクトルに対応することができる。よって、様々な環境下でも両者を組み合わせて使用することにより、耐候性を確保することができる。
酸化チタン主体微粒子には含まれる酸化亜鉛を1.0〜20wt%含有することが好ましい。酸化亜鉛を含有することにより、酸化チタンによる光照射における耐候性をより向上させることができる。微粒子における酸化亜鉛の含有量として、好ましくは2.0〜10wt%のものを用いられる。本発明に用いられる粒子は、粒子中におけるZn含有量が1.0wt%未満となると、耐候性向上の寄与が少なく、20wt%を超えると、酸化チタンによる耐候性の効果が少なくなる。
本発明の紫外線遮断剤は、すでに公知である以下の製造方法により容易に製造できる。即ち、沈澱法(共沈法)等の液相法や、スパッタ法等の気相法、原料粉末を混合し、これを非酸化性あるいは酸化性雰囲気下で加熱焼成して反応させる固相法など、各種の方法で製造することが出来る。
前項に記載の方法のうち、比較的合成が簡便であることから沈澱法が好ましい。例えば、硫酸チタン等の水溶性無機チタン化合物等のチタン化合物を加熱加水分解したり、中和したりして得ることができる。酸化亜鉛を含有するには、硝酸塩、硫酸塩等の亜鉛成分を含んだ水溶液を添加することにより、微粒子を製造することができる。
酸化チタン主体微粒子は、粒子径が0.01μm以下である。粒子径が0.01μmを超えると、塗膜形成中の際に微粒子がアルミニウム表面付近に濃縮してしまい、親水性塗膜表面に酸化チタン微粒子量が少なくなるため、耐候性を維持できなくなる。
塗料を用いて、親水性塗膜を形成させる場合、通常、水分散液として供給されているものをそのまま使用するか、或いは、微粉状酸化チタン粉体を水に分散させて使用することができるが、塗膜中に前記の微粒子前記の粒子のまま存在させるには、酸化チタン主体微粒子を水等の溶媒に分散させた酸化チタンゾルを用いることが好ましい。
親水性塗膜中に存在する酸化チタン主体微粒子量は、0.5〜20wt%である。0.5wt%未満では耐候性を充分満足できなく、20wt%を超えると、密着性・成形性の低下を招く。
本発明の親水性塗膜には、必要に応じて、タンニン酸、没食子酸、フイチン酸、ホスフィン酸等の防錆剤;ポリアルコールのアルキルエステル類、ポリエチレンオキサイド縮合物等のレベリング剤;相溶性を損なわない範囲で添加されるポリアクリルアミド、ポリビニルアセトアミド等の充填剤;フタロシアニン化合物等の着色剤;アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩系等の界面活性剤の添加物を含有することができる。
本発明のアルミニウム材面に親水性塗膜を形成するには、アルミニウム材表面又はアルミニウム材表面に形成した耐食性下地被膜表面に、親水性塗膜用の液状の塗膜組成物を塗装(塗布)しこれを焼付ける。
このような塗膜組成物は、前記塗膜構成成分及び必要に応じた上記添加剤を、溶媒に溶解、分散させて調製される。このような溶媒には、各成分を溶解又は分散できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、水等の水性溶媒、アセトン等のケトン系溶剤、エタノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールアルキルエーテル系溶剤;ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコールアルキルエーテル系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のプロピレングリコールアルキルエーテル系溶剤、及びエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の一連のグリコールアルキルエーテル系溶剤のエステル化物等が挙げられ、その中でも水性溶媒が好ましく、水が特に好ましい。
塗膜組成物の塗布方法としては、ロールコーター法、ロールスクイズ法、ケミコーター法、エアナイフ法、浸漬法、スプレー法、静電塗装法等の方法が用いられ、塗膜の均一性に優れ、生産性が良好なロールコーター法が好ましい。ロールコーター法としては、塗布量管理が容易なグラビアロール方式や、厚塗りに適したナチュラルコート方式や、塗布面に美的外観を付与するのに適したリバースコート方式等を採用することができる。また、塗膜の乾燥には一般的な加熱法、誘電加熱法等が用いられる。
塗膜形成する際の焼付けは、焼付け温度(到達表面温度)が180〜300℃で、焼付け時間が1〜60秒の条件で行うのが好ましい。塗膜形成における焼付け温度が180℃未満であったり、焼付け時間が1秒未満である場合には、塗膜が十分に形成されず密着性が低下する。焼付け温度が300℃を超えたり、焼付け温度が60秒を超える場合には、塗膜成分が変性し、親水性を著しく低下させることになる。
塗膜厚さは、例えば熱交換器用のアルミニウム塗装板に形成する場合には、0.05〜5μm、好ましくは0.1〜1μm、とする必要がある。塗膜厚さが0.05μm未満では、所望の親水性、耐候性、成形性が得られず、5μmより厚いとこれら各特性が飽和して不経済となる。
このようにして作製されるアルミニウム塗装板は、その表面にプレス成形加工用の揮発性プレス油を塗布してからスリット加工やコルゲート加工等の成形加工を施すことにより、所望のフィン形状からなるプレコートアルミニウムフィン材が作製される。このようなプレコートアルミニウムフィン材は、例えば空調機用熱交換器のフィン材として好適に用いられるが、フィン材間の結露等を防止する用途であれば、空調機用熱交換器に限定されるものではない。
アルミニウム材表面には、親水性塗膜を以下のようにして形成した。アルミニウム合金板(1100−H24材、0.100mm厚さ)を弱アルカリ脱脂し、水洗した後に乾燥した。次いで、このように処理したアルミニウム合金板表面に、塗布型クロメート(日本ペイント社製SAT427)を塗布し、180℃で10秒間焼付けし、金属クロム換算にて、クロム付着量が10mg/m2 の塗布型クロメート系の化成被膜を下地被膜として形成した。次に、このアルミニウム合金板に、表1に示す各親水性塗膜用組成物をロールコーターにて塗布し、到達板表面温度(PMT)200℃で20秒間焼付けしてアルミニウム塗装板を得た。
表1に示すように、樹脂成分として、ポリアクリル酸(分子量:20000)、所定粒径のシリカ主体微粒子(コロイダルシリカ)、ポリエチレングリコール(分子量:20000)、所定の粒径成分である酸化チタン主体微粒子を含有する親水性塗膜用の組成物を調製した。
親水性塗膜用組成物の溶媒には水を用いた。
まず試料を以下のようにして前処理した。各試料を揮発性プレス油(出光興産社製ダフニAF−2A)に1分間浸漬し、これを取り出した後に室温で試料を垂直に30秒間保持して油を切った。次いで、180℃の熱風炉中(大気雰囲気)に2分間投入した後に室温まで冷却した。
ゴニオメーターで純水の接触角を測定した。アルミニウム塗装板を作製した直後の親水性と、乾湿サイクル後の親水性を評価した。乾湿サイクルは、作製したアルミニウム塗装板を流量が1リットル/分の水道水に8時間浸漬した後、80℃で16時間乾燥する工程を1サイクルとしてこれを20サイクル行なった。表2中の記号の意味は以下の通りであり、◎及び○を性能を満足する合格とした。
◎:接触角が20°以下であり非常に良好であることを示す。
○:接触角が20゜を越え、かつ30°以下であり、良好であることを示す。
△:接触角が30゜を越え、かつ40゜以下であり、不良であることを示す。
×:接触角が40゜を越え非常に不良であることを示す。
試料は親水性の同様に前処理を行い、その後塗膜表面にオレイン酸を塗布し、紫外線照射10分を行い、接触角を測定した。このときの試験片表面における紫外線強度は50mW/cm2とした。
◎:接触角が20°以下であり非常に良好であることを示す。
○:接触角が20゜を越え、かつ40°以下であり、良好であることを示す。
△:接触角が40゜を越え、かつ60゜以下であり、不良であることを示す。
×:接触角が60゜を越え非常に不良であることを示す。
実機フィンプレスにてドローレス成形を実施した状況で評価した。成形条件は以下の通りである。揮発性プレスオイル:AF−2C(出光興産)を使用し、しごき率は58%、成形スピードは250spmで実施した。評価結果である表2中の記号の意味は以下の通りであり、◎及び○を、性能を満足する合格とした。
◎:非常に良好であることを示す。
○:良好であることを示す。
△:カラー部内面にキズが発生して不良であることを示す。
×:座屈、カラー飛びが発生して不良であることを示す。
JIS H4001に従った付着性試験を行い、碁盤目におけるテープ剥離後の残存個数を測定した。
○:塗膜残存率 100%
×:塗膜残存率 100%未満
これに対し、比較例1は、ポリエチレングリコール、シリカ主体微粒子、酸化チタン主体微粒子が含有されていないため、親水性、耐候性、成形性を満足することは出来なかった。また、比較例2は、シリカ主体微粒子、酸化チタン主体微粒子が含有されていないため、親水性、耐候性を満足することはできなかった。比較例3は、ポリエチレングリコール、酸化チタン主体微粒子が含有されていないため、耐候性、成形性を満足することはできなかった。比較例4は、ポリエチレングリコール、シリカ主体微粒子が含有されていないため、親水性、耐候性、成形性を満足することはできなかった。比較例5は、シリカ主体微粒子の代わりに酸化アルミニウム主体微粒子を含有したため、親水性、耐候性を満足することはできなかった。比較例6は、酸化チタン主体微粒子が含有されていないため、耐候性を満足することはできなかった。比較例7は、シリカ主体微粒子が含有されていないため、親水性、耐候性を満足することはできなかった。比較例8は、ポリエチレングリコールが含有されていないため、成形性を満足することが出来なかった。比較例9は、ポリアクリル酸が含有されていないため、密着性を満足することはできなかった。比較例10は、ポリアクリル酸の代わりにセルロース系樹脂を用いたため、親水性、耐候性を満足することはできなかった。比較例11は、ポリアクリル酸の含有量が少なかったため、密着性を確保することはできなかった。比較例12は、ポリアクリル酸の含有量が多かったため、親水性、耐候性を確保することはできなかった。比較例13は、ポリエチレングリコールの含有量が少なかったため、成形性を確保することはできなかった。比較例14は、ポリエチレングリコールの含有量が多かったため、親水性、耐候性を確保することはできなかった。比較例15は、シリカ主体微粒子の含有量が少なかったため、親水性、耐候性を確保することはできなかった。比較例16は、シリカ主体微粒子の含有量が多かったため、密着性、成形性を確保することはできなかった。比較例17は、酸化チタン主体微粒子の含有量が少なかったため、耐候性を確保することはできなかった。比較例18は、酸化チタン主体微粒子の含有量が多かったため、密着性、成形性を確保することはできなかった。比較例19は、シリカ主体微粒子の粒径が大きかったため、親水性、耐候性を確保することはできなかった。比較例20は、酸化チタン主体微粒子の粒径が大きかったため、耐候性を確保することはできなかった。比較例21は、酸化チタン主体微粒子の変わりに酸化亜鉛粒子を含有したため、耐候性を確保することはできなかった。比較例22は、塗膜厚が薄すぎたため、親水性、耐候性、成形性を満足することは出来なかった。
Claims (4)
- アルミニウム材と、該アルミニウム材の少なくとも一方の面に形成した親水性塗膜が形成され、該親水性塗膜が、ポリアクリル酸若しくはその塩若しくはエステルの内の1種以上又はそれらの共重合体からなるアクリル系樹脂5.0〜30wt%、ポリエチレングリコール30〜70wt%、シリカ主体微粒子 5.0〜40wt%、酸化チタン主体微粒子0.5〜20wt%からなり、該シリカ主体粒子の平均粒径が0.005〜0.1μm、該酸化チタン主体微粒子が酸化チタンを50wt%以上含有するものであり平均粒径が0.01μm以下、平均膜厚が0.05〜5μmであることを特徴とするアルミニウム塗装板
- 該シリカ微粒子の表面に酸化アルミニウム層を被覆することを特徴とする請求項1のアルミニウム塗装板
- 該酸化チタン主体微粒子が酸化亜鉛を1.0〜20wt%含有することを特徴とする請求項1又は、請求項2のアルミニウム塗装板
- 該ポリアクリル酸若しくはその塩若しくはエステルの内の1種以上又はそれらの共重合体からなる有機樹脂が、Zr化合物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアルミニウム塗装板
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