JP2009074044A - 非晶性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、ポリエーテルイミド樹脂およびポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる少なくとも一種の非晶性樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂からなる相溶性に優れた樹脂組成物の製造方法提供を課題とする。
【解決手段】(a1)と(b)の合計を100重量%として、(b)ポリフェニレンスルフィド樹脂99〜60重量%、(a1)ポリエーテルイミド樹脂およびポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる少なくとも一種の非晶性樹脂1〜40重量%、および(c)エポキシ基、アミノ基およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも一種の基を有する化合物を溶融混練した後に、さらに(a2)ポリエーテルイミド樹脂およびポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる少なくとも一種の非晶性樹脂を加えて、一回以上溶融混練する非晶性樹脂組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエーテルイミド樹脂およびポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる少なくとも一種の非晶性樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂からなる相溶性に優れた非晶性樹脂組成物の製造方法に関するものである。
ポリエーテルイミド(以下PEIと略すことがある)樹脂は耐熱性、機械的強度、難燃性などに優れたスーパーエンジニアリングプラスチックである。特に機械的強度については、汎用エンジニアリングプラスチックでは得られない引張強度を示し、190℃付近の高温域においても、汎用エンジニアリングプラスチック並みの強度を保持する特徴がある事から、PEI樹脂は電気・電子部品、自動車部品など様々な分野で使用されている。
しかし、PEI樹脂は、ナイロンやPBTなどの汎用エンジニアリングプラスチックに比べ靱性が低く、その改良が強く望まれている。
ポリエーテルスルホン(以下PESと略することがある)樹脂は耐熱性、機械特性、難燃性、寸法安定性などに優れたスーパーエンジニアリングプラスチックであることから、電気・電子部品、自動車部品など様々な分野で使用されている。
しかし、PES樹脂はエステル、ケトン、トリクロロエチレンなど強い極性溶媒により侵される場合があり、その改良が強く望まれている。
PEIまたはPESの欠点を改良するため、PPSをブレンドする試みは従来から数多く行われてきたが、何れの場合も相溶性が不十分であるために、目的とする十分な効果が得られない、あるいは物性がむしろ低下するなどの問題があった。例えば、特許文献1にはポリアリーレンスルフィド、ポリエーテルイミドまたはポリエーテルスルホン、有機シラン化合物を含んでなる樹脂組成物が開示されている。しかし、ポリエーテルイミドまたはポリエーテルスルホン中へのポリアリーレンスルフィドの分散粒径が大きく、相溶性は不十分であった。また、ポリアリーレンスルフィドを99〜60重量%の高濃度で溶融混練した後、ポリエーテルイミドまたはポリエーテルスルホンと共にさらに一回以上溶融混練して1〜40重量%に希釈することにより、ポリエーテルイミドまたはポリエーテルスルホン中にポリアリーレンスルフィドを微分散化させ、相溶性を向上する製造方法については何ら記載されていなかった。特許文献2にはポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、アミノ基またはエポキシ基を有するシランカップリング剤を含む樹脂組成物が開示されている。しかし、ポリエーテルイミド系樹脂とポリフェニレンサルファイド系樹脂の相溶性は不十分であり、パール光沢による表面外観の改善は不完全であった。また、ポリアリーレンスルフィド系樹脂を99〜60重量%の高濃度で溶融混練した後、ポリエーテルイミド系樹脂と共にさらに一回以上溶融混練して1〜40重量%に希釈することにより、ポリエーテルイミド系樹脂中にポリアリーレンスルフィド系樹脂を微分散化させ、相溶性を向上する製造方法については何ら記載されていなかった。特許文献3にはポリエーテルイミド樹脂、ポリ(アリーレンスルフィド)樹脂、エポキシ基を2個以上含む化合物からなる組成物について開示されている。しかし、ポリエーテルイミド樹脂とポリ(アリーレンスルフィド)樹脂の相溶性は未だ不十分であった。また、ポリ(アリーレンスルフィド)樹脂を99〜60重量%の高濃度で溶融混練した後、ポリエーテルイミド樹脂と共にさらに一回以上溶融混練して1〜40重量%に希釈することにより、ポリエーテルイミド樹脂中にポリ(アリーレンスルフィド)樹脂を微分散化させ、相溶性を向上する製造方法については何ら記載されていなかった。特許文献4にはポリエーテルイミド樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂よりなる組成物について開示されている。しかし、エポキシ基、アミノ基およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも一種の基を有する化合物については何ら記載されておらず、ポリエーテルイミド樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂の相溶性は不十分であった。また、ポリフェニレンスルフィド樹脂を99〜60重量%の高濃度で溶融混練した後、ポリエーテルイミド樹脂と共にさらに一回以上溶融混練して1〜40重量%に希釈することにより、ポリエーテルイミド樹脂中にポリフェニレンスルフィド樹脂を微分散化させ、相溶性を向上する製造方法については何ら記載されていなかった。特許文献5には、ポリアリーレンスルフィドとポリエーテルイミドまたはポリエーテルスルホンとエポキシ基、アミノ基およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも一種の基を有する化合物からなるポリアリーレンスルフィドフィルムについて開示されており、その実施例中にはポリエーテルイミドまたはポリエーテルスルホンの含有量を高濃度に配合して溶融混練した組成物に、ポリアリーレンスルフィドを配合して二度目の溶融混練を行う二段階溶融混練法が開示されている。しかし、一度目の溶融混練では確かにポリアリーレンスルフィドを99〜60重量%としているが、二度目の溶融混練にてさらにポリアリーレンスルフィドで希釈している。従って、ポリフェニレンスルフィド樹脂を99〜60重量%の高濃度で溶融混練した後、ポリエーテルイミド樹脂またはポリエーテルスルホン樹脂と共にさらに一回以上溶融混練して1〜40重量%に希釈することにより、ポリフェニレンスルフィド樹脂をポリエーテルイミド樹脂またはポリエーテルスルホン樹脂中に微分散化させ、相溶性を向上する本願樹脂組成物の製造方法とは根本的に異なるものである。
この様に、何れの特許文献においても、ポリフェニレンスルフィド樹脂を99〜60重量%の高濃度で溶融混練した後、ポリエーテルイミド樹脂および/またはポリエーテルスルホン樹脂と共にさらに一回以上溶融混練して1〜40重量%に希釈することにより、ポリフェニレンスルフィド樹脂をポリエーテルイミド樹脂および/またはポリエーテルスルホン樹脂中に微分散化させ、相溶性を向上する製造方法については何ら記載されていなかった。
特開平4−130158号公報(特許請求の範囲) 特開平5−86293号公報(特許請求の範囲) 特開平8−176439号公報(特許請求の範囲) 特開平11−80545号公報(特許請求の範囲) 特開2006−321977号公報(特許請求の範囲)
本発明は、ポリエーテルイミド樹脂およびポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる少なくとも一種の非晶性樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂から成る相溶性に優れた非晶性樹脂組成物の製造方法に関するものである。
そこで本発明者らは上記の課題を解決すべく検討した結果、ポリフェニレンスルフィド樹脂を99〜60重量%の高濃度で溶融混練した後、ポリエーテルイミド樹脂および/またはポリエーテルスルホン樹脂と共にさらに一回以上溶融混練して1〜40重量%に希釈することにより、ポリフェニレンスルフィド樹脂をポリエーテルイミド樹脂および/またはポリエーテルスルホン樹脂中に微分散化させ、相溶性を向上することが可能である製造方法を見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
1.(a1)と(b)の合計を100重量%として、(b)ポリフェニレンスルフィド樹脂99〜60重量%、(a1)ポリエーテルイミド樹脂およびポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる少なくとも一種の非晶性樹脂1〜40重量%、および(c)エポキシ基、アミノ基およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも一種の基を有する化合物を溶融混練した後に、さらに(a2)ポリエーテルイミド樹脂およびポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる少なくとも一種の非晶性樹脂を加えて、一回以上溶融混練する非晶性樹脂組成物の製造方法。
2.得られる非晶性樹脂組成物が、(a1),(a2)、(b)の合計を100重量部として、(a1)と(a2)の合計の(a)ポリエーテルイミド樹脂およびポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる少なくとも一種の非晶性樹脂99〜60重量部、(b)ポリフェニレンスルフィド樹脂1〜40重量部、(c)エポキシ基、アミノ基およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも一種の基を有する化合物0.1〜10重量部を配合してなる非晶性樹脂組成物である1記載の非晶性樹脂組成物の製造方法。
3.得られる非晶性樹脂組成物のモルフォロジー(相構造)において、(a)ポリエーテルイミド樹脂およびポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる少なくとも一種の非晶性樹脂が連続相(海相)を形成し、(b)ポリフェニレンスルフィド樹脂が数平均分散粒子径1000nm以下で分散した分散相(島相)を形成する海−島構造であることを特徴とする1または2に記載の非晶性樹脂組成物の製造方法。
4.(b)ポリフェニレンスルフィド樹脂の数平均分散粒子径が、500nm以下であることを特徴とする3に記載の非晶性樹脂組成物の製造方法。
5.(c)エポキシ基、アミノ基およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも一種の基を有する化合物が、イソシアネート基を一個以上含む化合物および/またはエポキシ基を二個以上含む化合物である1〜4のいずれかに記載の非晶性樹脂組成物の製造方法。
6.(c)エポキシ基、アミノ基およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも一種の基を有する化合物が、イソシアネート基含有アルコキシシランである5に記載の非晶性樹脂組成物の製造方法。
7.(a)ポリエーテルイミド樹脂およびポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる少なくとも一種の非晶性樹脂と(b)ポリフェニレンスルフィド樹脂の合計100重量部に対して、さらに(d)無機フィラーを0.0001〜300重量部配合してなる1〜6のいずれかに記載の非晶性樹脂組成物の製造方法。
8.(a)ポリエーテルイミド樹脂およびポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる少なくとも一種の非晶性樹脂が、ポリエーテルイミド樹脂である1〜7のいずれかに記載の非晶性樹脂組成物の製造方法。
本発明によれば、ポリエーテルイミド樹脂およびポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる少なくとも一種の非晶性樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂から成る相溶性に優れた樹脂組成物が得られる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(a)ポリエーテルイミド樹脂およびポリエーテルスルホン樹脂
本発明で用いられるポリエーテルイミド樹脂とは、脂肪族、脂環族または芳香族系のエーテル単位と環状イミド基を繰り返し単位として含有するポリマーであり、溶融成形性を有するポリマーで有れば特に限定されない。また、本発明の効果を阻害しない範囲で有れば、ポリエーテルイミドの主鎖に環状イミド、エーテル結合以外の構造単位、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族エステル単位、オキシカルボニル単位等が含有されていても良い。
具体的なポリエーテルイミドとしては、下記一般式で示されるポリマーが好ましく使用される。
Figure 2009074044
(但し、上記式中R1は、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、R2は、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基、2〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、および2〜8個の炭素原子を有するアルキレン基で連鎖停止されたポリジオルガノシロキサン基からなる群より選択された2価の有機基である。)上記R1、R2としては、例えば、下記式群に示される芳香族残基を有するものが好ましく使用される。
Figure 2009074044
本発明では、溶融成形性やコストの観点から、下記式で示される構造単位を有する、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミンとの縮合物が好ましく使用される。このポリエーテルイミドは、“ウルテム”の商標でゼネラル・エレクトリック社から市販されている。
Figure 2009074044
Figure 2009074044
本発明で用いられるポリエーテルスルホン樹脂とは、繰り返し骨格中に、スルホン結合とエーテル結合を有する樹脂である。代表的な構造として下記を例示できる。
Figure 2009074044
一般に“ビクトレックス”、“スミカエクセル”、“レーデルA”の商標で市販されている。
(b)PPS樹脂
本発明で用いられる(b)PPS樹脂は、下記構造式(I)で示される繰り返し単位を有する重合体であり、
Figure 2009074044
耐熱性の観点からは上記構造式で示される繰り返し単位を含む重合体を70モル%以上、更には90モル%以上含む重合体が好ましい。また(b)PPS樹脂はその繰り返し単位の30モル%未満程度が、下記の構造を有する繰り返し単位等で構成されていてもよい。
Figure 2009074044
かかる構造を一部有するPPS共重合体は、融点が低くなるため、このような樹脂組成物は成形性の点で有利となる。
本発明で用いられる(b)PPS樹脂の溶融粘度に特に制限はないが、溶融流動性保持の点から600Pa・s(310℃、剪断速度1000/s)以下であることが好ましい。例えば400Pa・s以下の範囲が好ましく、300Pa・s以下がさらに好ましく、200Pa・s以下がさらに好ましい。
なお、本発明における溶融粘度は、310℃、剪断速度1000/sの条件下、東洋精機社製キャピログラフを用いて測定した値である。
以下に、本発明に用いる(b)PPS樹脂の製造方法について説明するが、上記構造の(b)PPS樹脂が得られれば下記方法に限定されるものではない。
まず、製造方法において使用するポリハロゲン芳香族化合物、スルフィド化剤、重合溶媒、分子量調節剤、重合助剤および重合安定剤の内容について説明する。
[ポリハロゲン化芳香族化合物]
ポリハロゲン化芳香族化合物とは、1分子中にハロゲン原子を2個以上有する化合物をいう。具体例としては、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロ−p−キシレン、1,4−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼンなどのポリハロゲン化芳香族化合物が挙げられ、好ましくはp−ジクロロベンゼンが用いられる。また、異なる2種以上のポリハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて共重合体とすることも可能であるが、p−ジハロゲン化芳香族化合物を主要成分とすることが好ましい。
ポリハロゲン化芳香族化合物の使用量は、加工に適した粘度の(b)PPS樹脂を得る点から、スルフィド化剤1モル当たり0.9から2.0モル、好ましくは0.95から1.5モル、更に好ましくは1.005から1.2モルの範囲が例示できる。
[スルフィド化剤]
スルフィド化剤としては、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および硫化水素が挙げられる。
アルカリ金属硫化物の具体例としては、例えば硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
アルカリ金属水硫化物の具体例としては、例えば水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化リチウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも水硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属水硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物からアルカリ金属硫化物を調整し、これを重合槽に移して用いることができる。
あるいは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素から反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。また、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素からアルカリ金属硫化物を調整し、これを重合槽に移して用いることができる。
仕込みスルフィド化剤の量は、脱水操作などにより重合反応開始前にスルフィド化剤の一部損失が生じる場合には、実際の仕込み量から当該損失分を差し引いた残存量を意味するものとする。
なお、スルフィド化剤と共に、アルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を併用することも可能である。アルカリ金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を好ましいものとして挙げることができ、アルカリ土類金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどが挙げられ、なかでも水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。
スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいが、この使用量はアルカリ金属水硫化物1モルに対し0.95から1.20モル、好ましくは1.00から1.15モル、更に好ましくは1.005から1.100モルの範囲が例示できる。
[重合溶媒]
重合溶媒としては有機極性溶媒を用いるのが好ましい。具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホキシドなどに代表されるアプロチック有機溶媒、およびこれらの混合物などが挙げられ、これらはいずれも反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらのなかでも、特にN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記することもある)が好ましく用いられる。
有機極性溶媒の使用量は、スルフィド化剤1モル当たり2.0モルから10モル、好ましくは2.25から6.0モル、より好ましくは2.5から5.5モルの範囲が選ばれる。
[分子量調節剤]
生成する(b)PPS樹脂の末端を形成させるか、あるいは重合反応や分子量を調節するなどのために、モノハロゲン化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)を、上記ポリハロゲン化芳香族化合物と併用することができる。
[重合助剤]
比較的高重合度の(b)PPS樹脂をより短時間で得るために重合助剤を用いることも好ましい態様の一つである。ここで重合助剤とは得られる(b)PPS樹脂の粘度を増大させる作用を有する物質を意味する。このような重合助剤の具体例としては、例えば有機カルボン酸塩、水、アルカリ金属塩化物、有機スルホン酸塩、硫酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属リン酸塩およびアルカリ土類金属リン酸塩などが挙げられる。これらは単独であっても、また2種以上を同時に用いることもできる。なかでも、有機カルボン酸塩、水、およびアルカリ金属塩化物が好ましく、さらに有機カルボン酸塩としてはアルカリ金属カルボン酸塩が、アルカリ金属塩化物としては塩化リチウムが好ましい。
上記アルカリ金属カルボン酸塩とは、一般式R(COOM)n(式中、Rは、炭素数1〜20を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基である。Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムから選ばれるアルカリ金属である。nは1〜3の整数である。)で表される化合物である。アルカリ金属カルボン酸塩は、水和物、無水物または水溶液としても用いることができる。アルカリ金属カルボン酸塩の具体例としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、吉草酸リチウム、安息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、p−トルイル酸カリウム、およびそれらの混合物などを挙げることができる。
アルカリ金属カルボン酸塩は、有機酸と、水酸化アルカリ金属、炭酸アルカリ金属塩および重炭酸アルカリ金属塩よりなる群から選ばれる一種以上の化合物とを、ほぼ等化学当量ずつ添加して反応させることにより形成させてもよい。上記アルカリ金属カルボン酸塩の中で、リチウム塩は反応系への溶解性が高く助剤効果が大きいが高価であり、カリウム、ルビジウムおよびセシウム塩は反応系への溶解性が不十分であると思われるため、安価で、重合系への適度な溶解性を有する酢酸ナトリウムが最も好ましく用いられる。
これらアルカリ金属カルボン酸塩を重合助剤として用いる場合の使用量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し、通常0.01モル〜2モルの範囲であり、より高い重合度を得る意味においては0.1〜0.6モルの範囲が好ましく、0.2〜0.5モルの範囲がより好ましい。
また水を重合助剤として用いる場合の添加量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し、通常0.3モル〜15モルの範囲であり、より高い重合度を得る意味においては0.6〜10モルの範囲が好ましく、1〜5モルの範囲がより好ましい。 これら重合助剤は2種以上を併用することももちろん可能であり、例えばアルカリ金属カルボン酸塩と水を併用すると、それぞれより少量で高分子量化が可能となる。
これら重合助剤の添加時期には特に指定はなく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよいが、重合助剤としてアルカリ金属カルボン酸塩を用いる場合は前工程開始時或いは重合開始時に同時に添加することが、添加が容易である点からより好ましい。また水を重合助剤として用いる場合は、ポリハロゲン化芳香族化合物を仕込んだ後、重合反応途中で添加することが効果的である。
[重合安定剤]
重合反応系を安定化し、副反応を防止するために、重合安定剤を用いることもできる。重合安定剤は、重合反応系の安定化に寄与し、望ましくない副反応を抑制する。副反応の一つの目安としては、チオフェノールの生成が挙げられ、重合安定剤の添加によりチオフェノールの生成を抑えることができる。重合安定剤の具体例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、およびアルカリ土類金属炭酸塩などの化合物が挙げられる。そのなかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。上述のアルカリ金属カルボン酸塩も重合安定剤として作用するので、重合安定剤の一つに入る。また、スルフィド化剤としてアルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいことを前述したが、ここでスルフィド化剤に対して過剰となるアルカリ金属水酸化物も重合安定剤となり得る。
これら重合安定剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合安定剤は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対して、通常0.02〜0.2モル、好ましくは0.03〜0.1モル、より好ましくは0.04〜0.09モルの割合で使用することが好ましい。この割合が少ないと安定化効果が不十分であり、逆に多すぎても経済的に不利益であったり、ポリマー収率が低下する傾向となる。
重合安定剤の添加時期には特に指定はなく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよいが、前工程開始時或いは重合開始時に同時に添加することが容易である点からより好ましい。
次に、本発明に用いる(b)PPS樹脂の好ましい製造方法について、前工程、重合反応工程、回収工程、および後処理工程と、順を追って具体的に説明するが、勿論この方法に限定されるものではない。
[前工程]
(b)PPS樹脂の製造方法において、スルフィド化剤は通常水和物の形で使用されるが、ポリハロゲン化芳香族化合物を添加する前に、有機極性溶媒とスルフィド化剤を含む混合物を昇温し、過剰量の水を系外に除去することが好ましい。
また、上述したように、スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで、あるいは重合槽とは別の槽で調製されるスルフィド化剤も用いることができる。この方法には特に制限はないが、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜150℃、好ましくは常温から100℃の温度範囲で、有機極性溶媒にアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物を加え、常圧または減圧下、少なくとも150℃以上、好ましくは180〜260℃まで昇温し、水分を留去させる方法が挙げられる。この段階で重合助剤を加えてもよい。また、水分の留去を促進するために、トルエンなどを加えて反応を行ってもよい。
重合反応における、重合系内の水分量は、仕込みスルフィド化剤1モル当たり0.3〜10.0モルであることが好ましい。ここで重合系内の水分量とは重合系に仕込まれた水分量から重合系外に除去された水分量を差し引いた量である。また、仕込まれる水は、水、水溶液、結晶水などのいずれの形態であってもよい。
[重合反応工程]
有機極性溶媒中でスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物とを200℃以上290℃未満の温度範囲内で反応させることにより(b)PPS樹脂を製造する。
重合反応工程を開始するに際しては、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜240℃、好ましくは100〜230℃の温度範囲で、有機極性溶媒とスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物を混合する。この段階で重合助剤を加えてもよい。これらの原料の仕込み順序は、順不同であってもよく、同時であってもさしつかえない。
かかる混合物を通常200℃〜290℃の範囲に昇温する。昇温速度に特に制限はないが、通常0.01〜5℃/分の速度が選択され、0.1〜3℃/分の範囲がより好ましい。
一般に、最終的には250〜290℃の温度まで昇温し、その温度で通常0.25〜50時間、好ましくは0.5〜20時間反応させる。
最終温度に到達させる前の段階で、例えば200℃〜260℃で一定時間反応させた後、270〜290℃に昇温する方法は、より高い重合度を得る上で有効である。この際、200℃〜260℃での反応時間としては、通常0.25時間から20時間の範囲が選択され、好ましくは0.25〜10時間の範囲が選ばれる。
なお、より高重合度のポリマーを得るためには、複数段階で重合を行うことが有効である場合がある。複数段階で重合を行う際は、245℃における系内のポリハロゲン化芳香族化合物の転化率が、40モル%以上、好ましくは60モル%に達した時点であることが有効である。
なお、ポリハロゲン化芳香族化合物(ここではPHAと略記)の転化率は、以下の式で算出した値である。PHA残存量は、通常、ガスクロマトグラフ法によって求めることができる。
(A)ポリハロゲン化芳香族化合物をアルカリ金属硫化物に対しモル比で過剰に添加した場合
転化率=〔PHA仕込み量(モル)−PHA残存量(モル)〕/〔PHA仕込み量(モル)−PHA過剰量(モル)〕
(B)上記(A)以外の場合
転化率=〔PHA仕込み量(モル)−PHA残存量(モル)〕/〔PHA仕込み量(モル)〕
[回収工程]
(b)PPS樹脂の製造方法においては、重合終了後に、重合体、溶媒などを含む重合反応物から固形物を回収する。(b)PPS樹脂は、公知の如何なる回収方法を採用しても良い。
例えば、重合反応終了後、徐冷して粒子状のポリマーを回収する方法を用いても良い。この際の徐冷速度には特に制限は無いが、通常0.1℃/分〜3℃/分程度である。徐冷工程の全行程において同一速度で徐冷する必要もなく、ポリマー粒子が結晶化析出するまでは0.1〜1℃/分、その後1℃/分以上の速度で徐冷する方法などを採用しても良い。
また上記の回収を急冷条件下に行うことも好ましい方法の一つであり、この回収方法の好ましい一つの方法としてはフラッシュ法が挙げられる。フラッシュ法とは、重合反応物を高温高圧(通常250℃以上、8kg/cm以上)の状態から常圧もしくは減圧の雰囲気中へフラッシュさせ、溶媒回収と同時に重合体を粉末状にして回収する方法であり、ここでいうフラッシュとは、重合反応物をノズルから噴出させることを意味する。フラッシュさせる雰囲気は、具体的には例えば常圧中の窒素または水蒸気が挙げられ、その温度は通常150℃〜250℃の範囲が選ばれる。
[後処理工程]
(b)PPS樹脂は、上記重合、回収工程を経て生成した後、酸処理、熱水処理または有機溶媒による洗浄を施されたものであってもよい。
酸処理を行う場合は次のとおりである。(b)PPS樹脂の酸処理に用いる酸は、(b)PPS樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、珪酸、炭酸およびプロピル酸などが挙げられ、なかでも酢酸および塩酸がより好ましく用いられるが、硝酸のような(b)PPS樹脂を分解、劣化させるものは好ましくない。
酸処理の方法は、酸または酸の水溶液に(b)PPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。例えば、酢酸を用いる場合、PH4の水溶液を80〜200℃に加熱した中にPPS樹脂粉末を浸漬し、30分間撹拌することにより十分な効果が得られる。処理後のPHは4以上例えばPH4〜8程度となっても良い。酸処理を施された(b)PPS樹脂は残留している酸または塩などを除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。洗浄に用いる水は、酸処理による(b)PPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で、蒸留水、脱イオン水であることが好ましい。
熱水処理を行う場合は次のとおりである。(b)PPS樹脂を熱水処理するにあたり、熱水の温度を100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上、特に好ましくは170℃以上とすることが好ましい。100℃未満では(b)PPS樹脂の好ましい化学的変性の効果が小さいため好ましくない。
熱水洗浄による(b)PPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現するため、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作に特に制限は無く、所定量の水に所定量の(b)PPS樹脂を投入し、圧力容器内で加熱、撹拌する方法、連続的に熱水処理を施す方法などにより行われる。(b)PPS樹脂と水との割合は、水の多い方が好ましいが、通常、水1リットルに対し、(b)PPS樹脂200g以下の浴比が選ばれる。
また、処理の雰囲気は、末端基の分解は好ましくないので、これを回避するため不活性雰囲気下とすることが望ましい。さらに、この熱水処理操作を終えた(b)PPS樹脂は、残留している成分を除去するため温水で数回洗浄するのが好ましい。
有機溶媒で洗浄する場合は次のとおりである。(b)PPS樹脂の洗浄に用いる有機溶媒は、(b)PPS樹脂を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はなく、例えばN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホラスアミド、ピペラジノン類などの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、パークロルエチレン、モノクロルエタン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、パークロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒およびベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒のうちでも、N−メチル−2−ピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムなどの使用が特に好ましい。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。
有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中に(b)PPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒で(b)PPS樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなる程洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分効果が得られる。圧力容器中で、有機溶媒の沸点以上の温度で加圧下に洗浄することも可能である。また、洗浄時間についても特に制限はない。洗浄条件にもよるが、バッチ式洗浄の場合、通常5分間以上洗浄することにより十分な効果が得られる。また連続式で洗浄することも可能である。
本発明においては、PPS中にCaなどのアリカリ土類金属塩を導入したPPSを用いても良い。かかるアルカリ土類金属塩を導入する方法としては、上記前工程の前、前工程中、前工程後にアルカリ土類金属塩を添加する方法、重合行程前、重合行程中、重合行程後に重合釜内にアルカリ土類金属塩を添加する方法、あるいは上記洗浄工程の最初、中間、最後の段階でアルカリ土類金属塩を添加する方法などが挙げられる。中でももっとも容易な方法としては、有機溶剤洗浄や、温水または熱水洗浄で残留オリゴマーや残留塩を除いた後にアルカリ土類金属塩を添加する方法が挙げられる。アルカリ土類金属塩は、酢酸塩、水酸化物、炭酸塩などのアルカリ土類金属イオンの形でPPS中に導入するのが好ましい。また過剰のアルカリ土類金属塩は温水洗浄などにより取り除く方が好ましい。上記アルカリ土類金属イオン導入の際のアルカリ土類金属イオン濃度としてはPPS1gに対して0.001mmol以上が好ましく、0.01mmol以上がより好ましい。温度としては、50℃以上が好ましく、75℃以上がより好ましく、90℃以上が特に好ましい。上限温度は特にないが、操作性の観点から通常280℃以下が好ましい。浴比(乾燥PPS重量に対する洗浄液重量)としては0.5以上が好ましく、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましい。
(b)PPS樹脂は、重合終了後に酸素雰囲気下においての加熱および過酸化物などの架橋剤を添加しての加熱による熱酸化架橋処理により高分子量化して用いることも可能である。
熱酸化架橋による高分子量化を目的として乾式熱処理する場合には、その温度は160〜260℃が好ましく、170〜250℃の範囲がより好ましい。また、酸素濃度は5体積%以上、更には8体積%以上とすることが望ましい。酸素濃度の上限には特に制限はないが、50体積%程度が限界である。処理時間は、0.5〜100時間が好ましく、1〜50時間がより好ましく、2〜25時間がさらに好ましい。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よく、しかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
また、熱酸化架橋を抑制し、揮発分除去を目的として乾式熱処理を行うことが可能である。その温度は130〜250℃が好ましく、160〜250℃の範囲がより好ましい。また、この場合の酸素濃度は5体積%未満、更には2体積%未満とすることが望ましい。処理時間は、0.5〜50時間が好ましく、1〜20時間がより好ましく、1〜10時間がさらに好ましい。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よく、しかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
但し、(b)PPS樹脂は、靭性の目標を達成するために熱酸化架橋処理による高分子量化を行わない実質的に直鎖状のPPSであることが好ましい。また本発明で用いる好ましい(b)PPS樹脂としては、東レ(株)製M2588、M2888、M2088、T1881、L2120、L2480、M2100、M2900、E2080、E2180、E2280などが挙げられる。
(c)エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基から選ばれる一種以上の基を有する化合物
本発明ではPPSが微分散化した、相溶性の優れる樹脂組成物を得る目的から、(c)エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基から選ばれる一種以上の基を有する化合物を、相溶化剤として添加することが必要である。
エポキシ基含有化合物としてはビスフェノールA、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロカテコール、ビスフェノールF、サリゲニン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、ビスフェノールS、トリヒドロキシ−ジフェニルジメチルメタン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,5−ジヒドロキシナフタレン、カシューフェノール、2,2,5,5,−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサンなどのビスフェノール類のグリシジルエーテル、ビスフェノールの替わりにハロゲン化ビスフェノールを用いたもの、ブタンジオールのジグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル系エポキシ化合物、フタル酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル系化合物、N−グリシジルアニリン等のグリシジルアミン系化合物等々のグリシジルエポキシ樹脂、エポキシ化ポリオレフィン、エポキシ化大豆油等の線状エポキシ化合物、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド等の環状系の非グリシジルエポキシ樹脂などが挙げられる。
またその他ノボラック型エポキシ樹脂も挙げられる。ノボラック型エポキシ樹脂はエポキシ基を2個以上有し、通常ノボラック型フェノール樹脂にエピクロルヒドリンを反応させて得られるものである。また、ノボラック型フェノール樹脂はフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合反応により得られる。原料のフェノール類としては特に制限はないがフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、ビスフェノールA、レゾルシノール、p−ターシャリーブチルフェノール、ビスフェノールF、ビスフェノールSおよびこれらの縮合物が挙げられる。
またその他エポキシ基を有するオレフィン共重合体も挙げられる。かかるエポキシ基を有するオレフィン共重合体(エポキシ基含有オレフィン共重合体)としては、オレフィン系(共)重合体にエポキシ基を有する単量体成分を導入して得られるオレフィン共重合体が挙げられる。また、主鎖中に二重結合を有するオレフィン系重合体の二重結合部分をエポキシ化した共重合体も使用することができる。
オレフィン系(共)重合体にエポキシ基を有する単量体成分を導入するための官能基含有成分の例としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジルなどのエポキシ基を含有する単量体が挙げられる。
これらエポキシ基含有成分を導入する方法は特に制限なく、α−オレフィンなどとともに共重合せしめたり、オレフィン(共)重合体にラジカル開始剤を用いてグラフト導入するなどの方法を用いることができる。
エポキシ基を含有する単量体成分の導入量はエポキシ基含有オレフィン系共重合体の原料となる単量体全体に対して0.001〜40モル%、好ましくは0.01〜35モル%の範囲内であるのが適当である。
本発明で特に有用なエポキシ基含有オレフィン共重合体としては、α−オレフィンとα、β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルを共重合成分とするオレフィン系共重合体が好ましく挙げられる。上記α−オレフィンとしては、エチレンが好ましく挙げられる。また、これら共重合体にはさらに、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのα,β−不飽和カルボン酸およびそのアルキルエステル、スチレン、アクリロニトリル等を共重合することも可能である。
またかかるオレフィン共重合体はランダム、交互、ブロック、グラフトいずれの共重合様式でも良い。
α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルを共重合してなるオレフィン共重合体は、中でも、α−オレフィン60〜99重量%とα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステル1〜40重量%を共重合してなるオレフィン共重合体が特に好ましい。
上記α,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルとしては、具体的にはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルおよびエタクリル酸グリシジルなどが挙げられるが、中でもメタクリル酸グリシジルが好ましく使用される。
α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルを必須共重合成分とするオレフィン系共重合体の具体例としては、エチレン/プロピレン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体(”g”はグラフトを表す、以下同じ)、エチレン/ブテン−1−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体−g−ポリスチレン、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体−g−アクリロニトリルースチレン共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体−g−PMMA、エチレン/アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体が挙げられる。
さらにエポキシ基を有するアルコキシシランが挙げられる。かかる化合物の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物などが例示できる。
アミノ基含有化合物としてはアミノ基を有するアルコキシシランが挙げられる。かかる化合物の具体例としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。
イソシアネート基を1個以上含む化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,5−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートなどのイソシアネート化合物やγ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリクロロシランなどのイソシアネート基含有アルコキシシラン化合物を例示することができる。
中でも優れた相溶性向上効果を得る上で、イソシアネート基を1個以上含む化合物またはエポキシ基を2個以上含む化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましく、さらにイソシアネート基を含有するアルコキシシランであることがより好ましい。
本発明の製造方法により最終的に得られる非晶性樹脂組成物について、(a)PEI樹脂および/またはPES樹脂(ここでは、一度目の溶融混練時に配合する(a1)と、さらに溶融混練する際に配合する(a2)の合計量である)と(b)PPS樹脂の配合割合は、(a)と(b)の合計を100重量部として、(a)/(b)=99〜60重量部/1〜40重量部の範囲が好ましく、(a)/(b)=97〜70重量部/3〜30重量部の範囲がより好ましく、(a)/(b)=95〜80重量部/5〜20重量部の範囲が更に好ましい。(a)PEI樹脂および/またはPES樹脂が99重量部を越える範囲では、PPS樹脂を相溶化させることによる効果、例えば靱性向上や耐薬品性向上の効果に乏しく、(a)PEI樹脂および/またはPES樹脂が60重量部未満ではクリープ特性などの機械的強度が悪化してしまうため好ましくない。
本発明の製造方法により最終的に得られる樹脂組成物について、(c)成分の配合量は、(a)PEI樹脂および/またはPES樹脂と(b)PPS樹脂の合計100重量部に対し、0.1〜10重量部の範囲が好ましく、0.1〜5重量部の範囲がより好ましく、0.2〜3重量部の範囲が更に好ましい。(c)成分の配合量が0.1重量部を下回る場合、相溶性に優れた樹脂組成物を得ることが難しく、(c)成分の配合量が10重量部を越える範囲では、溶融流動性が著しく阻害されてしまうため好ましくない。
本発明の製造方法により得られる樹脂組成物は、(a)PEI樹脂および/またはPES樹脂が本来有する優れた耐熱性、機械的強度、難燃性とともに、優れた靭性または耐薬品性を有するものである。本発明の製造方法により得られる樹脂組成物は、モルフォロジーにおいて、(a)PEI樹脂および/またはPES樹脂が海相(連続相あるいはマトリックス)を形成し、(b)PPS樹脂が島相(分散相)を形成し得る。(b)PPS樹脂の数平均分散粒子径は1000nm以下であることが好ましく、より好ましくは700nm以下、更には500nm以下が特に好ましい。下限としては生産性の点から1nm以上であることが好ましい。
また、本発明の製造方法により得られる樹脂組成物は、リサイクル利用した際にも、安定して優れた相溶性を有し得る。本発明の製造方法により得られる組成物は、一度射出成形した後に、その成形片を粉砕し、再び射出成形を行った成形片においても、(a)PEI樹脂および/またはPES樹脂が海相(連続相あるいはマトリックス)を形成し、(b)PPS樹脂が島相(分散相)を形成し得る。(b)PPS樹脂の数平均分散粒子径は1000nm以下であることが好ましく、より好ましくは700nm以下、更には500nm以下が特に好ましい。下限としては生産性の点から1nm以上であることが好ましい。
なおここでいう数平均分散粒子径は、例えば、350℃の成形温度でASTM4号試験片を成形し、その中心部から−20℃にて0.1μm以下の薄片をダンベル片の断面積方向に切削し、日立製作所製H−7100型透過型電子顕微鏡(分解能(粒子像)0.38nm、倍率50〜60万倍)にて、1万〜2万倍に拡大して観察した際の任意の100個の、(b)PPS樹脂の分散部分について、まずそれぞれの最大径と最小径を測定して平均値をその分散粒子径とし、その後それらの平均値を求めた数平均分散粒子径として求めることができる。
(d)無機フィラー
本発明の製造方法により得られる樹脂組成物には、必須成分ではないが、本発明の効果を損なわない範囲で(d)無機フィラーを配合して使用することも可能である。かかる(d)無機フィラーの具体例としてはガラス繊維、炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、炭酸カルシウムウィスカー、ワラステナイトウィスカー、硼酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填材、あるいはフラーレン、タルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、シリカ、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケートなどの珪酸塩、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス粉、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、カーボンブラックおよびシリカ、黒鉛などの非繊維状充填材が用いられ、なかでもガラス繊維、シリカ、炭酸カルシウムが好ましく、さらに炭酸カルシウムやシリカが、防食材、滑材の効果の点から特に好ましい。またこれらの(d)無機フィラーは中空であってもよく、さらに2種類以上併用することも可能である。また、これらの(d)無機フィラーをイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用してもよい。中でも炭酸カルシウムやシリカ、カーボンブラックが、防食材、滑材、導電性付与の効果の点から好ましい。
かかる無機フィラーの配合量は、(a)PEI樹脂および/またはPES樹脂と(b)PPS樹脂の合計100重量部に対し、300重量部以下の範囲が選択され、50重量部未満の範囲が好ましく、10重量部未満の範囲がより好ましく、1重量部未満の範囲がより好ましく、0.8重量部以下の範囲が更に好ましい。下限は特に無いが0.0001重量部以上が好ましい。無機フィラーの配合は材料の弾性率向上に有効である反面、300重量部を越えるような多量の配合は靱性の大きな低下をもたらすため、好ましくない。無機フィラーの含有量は、靱性と剛性のバランスから用途により適宜変えることが可能である。
かかる無機フィラーの配合時期には、特に制限はなく、(a1)PEI樹脂および/またはPES樹脂、(b)PPS樹脂、(c)エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基から選ばれる一種以上の基を有する化合物を混練する一度目の混練時、さらに(a2)PEI樹脂および/またはPES樹脂を加えて混練する二度目以降の混練時の何れでも良い。
(e)その他の添加物
さらに、本発明の製造方法により得られる樹脂組成物には本発明の効果を損なわない範囲において、PPS樹脂以外の樹脂を添加配合しても良い。その具体例としては、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリルサルフォン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、エチレン/ブテン共重合体などのエポキシ基を含有しないオレフィン系重合体、共重合体などが挙げられる。
また、改質を目的として、以下のような化合物の添加が可能である。ポリアルキレンオキサイドオリゴマ系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン系化合物などの可塑剤、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、モンタン酸ワックス類、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミ等の金属石鹸、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物、シリコーン系化合物などの離型剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、その他、水、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、発泡剤などの通常の添加剤を配合することができる。上記化合物は何れも組成物全体の20重量%を越えると(a)PEI樹脂および/またはPES樹脂本来の特性が損なわれるため好ましくなく、10重量%以下、更に好ましくは1重量%以下の添加がよい。
混練加工方法
溶融混練は、単軸、二軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、及びミキシングロールなど通常公知の溶融混練機に供給して(b)PPS樹脂の融解ピーク温度+5〜100℃の加工温度で混練する方法などを代表例として挙げることができるが、(b)PPS樹脂の分散をより細かくするには、二軸の押出機を使用し、せん断力を比較的強くすることが好ましい。具体的には、L/D(L:スクリュー長さ、D:スクリュー直径)が20以上であり、ニーディング部を2箇所以上有する二軸押出機を使用し、スクリュー回転数を100〜500回転/分として、混合時の樹脂温度が(b)PPS樹脂の融解ピーク温度+10〜70℃となるように混練する方法などを好ましく用いることができる。この際、原料の混合順序には特に制限はなく、全ての原材料を配合後上記の方法により溶融混練する方法、あるいは一部の原材料を配合後、2軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。また、少量添加剤成分については、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加して成形に供することも勿論可能である。
本発明では、(b)PPS樹脂の分散をより細かくし、相溶性を向上する目的から、(b)PPS樹脂、(a1)PEI樹脂およびPES樹脂から選ばれる少なくとも一種の非晶性樹脂、(c)エポキシ基、アミノ基およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも一種の基を有する化合物を一度溶融混練した後に、(a2)PEI樹脂およびPES樹脂から選ばれる少なくとも一種の非晶性樹脂とともにさらに一回以上溶融混練することが必要である。
この際、一度目の溶融混練において、(b)PPS樹脂と(a1)PEI樹脂および/またはPES樹脂の配合割合は、(b)と(a1)の合計を100重量%として、(b)/(a1)=99〜60重量%/1〜40重量%の範囲である必要があり、(b)/(a1)=95〜65重量%/5〜35重量%の範囲が好ましく、(b)/(a1)=90〜70重量%/10〜30重量%の範囲がより好ましい。(b)PPS樹脂が99重量%を越える範囲では(a1)PEI樹脂および/またはPES樹脂が、(b)PPS樹脂が60重量%未満の範囲では(b)PPS樹脂が、(c)エポキシ基、アミノ基およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも一種の基を有する化合物と反応し難くなり、相溶性向上効果が乏しくなる。また、一度目の溶融混練の際に配合する(c)エポキシ基、アミノ基およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも一種の基を有する化合物の量は特に制限しないが、最終的な樹脂組成物に配合される(c)成分の量が、(a)と(b)の合計量を100重量部として、0.1〜10重量部となるような量であることが好ましい。さらに溶融混練をする際に、(a2)PEI樹脂および/またはPES樹脂を加えることを考慮すると、(c)成分の1度目の溶融混練の際の配合量は、(a1)と(b)の合計を100重量%として、0.2〜20重量%が好ましく、1〜5重量%がさらに好ましい。
さらに一回以上溶融混練する際に、(a2)PEI樹脂および/またはPES樹脂を加えることが必要である。このときの(a2)PEI樹脂および/またはPES樹脂の配合割合は、最終的に得られる樹脂組成物の割合が、(a1)、(a2)、(b)の合計を100重量部として、(a)PEI樹脂および/またはPES樹脂99〜60重量部、(b)PPS樹脂1〜40重量部となる割合であることが好ましく、(a1)とは異なる溶融粘度を有する(a2)PEI樹脂および/またはPES樹脂を配合することにより、最終的に生成する樹脂組成物の流動性を自由に制御することも可能である。また、さらに一回以上溶融混練する際、(c)エポキシ基、アミノ基およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも一種の基を有する化合物を添加することも可能である。添加量は、最終的に得られる樹脂組成物の割合が(a)PEI樹脂および/またはPES樹脂と(b)PPS樹脂の合計を100重量部として、0.1〜10重量部となる量であることが好ましい。さらに一回以上溶融混練する際、混練回数の上限については特に限定しないが、一度溶融混練した後に、さらに一回〜三回溶融混練することが、相溶性向上効果および経済性の面から好ましい。
また、溶融混練する際に、(a)PEI樹脂および/またはPES樹脂と(b)PPS樹脂の合計100重量部に対して、水を0.02重量部以上添加することが、さらに好ましい製造方法として上げられる。水を0.02重量部以上添加した場合、本発明の樹脂組成物中に含まれるオリゴマーや副生成物に由来する不純物が除去されやすくなる。また、(c)成分としてアルコキシシラン化合物を使用する場合、水の添加によりアルコキシシランの加水分解が促進され、得られた樹脂組成物を溶融加工する際に発生するアルコールの量を低減することができる。従って、射出成形品やフィルム、シートなど押出成形品を初めとする様々な加工体への溶融成形性を向上させることができるので好ましい。
水の添加量については、(a)PEI樹脂および/またはPES樹脂と(b)PPS樹脂の合計100重量部に対して0.02重量部以上が好ましく、より好ましくは0.5重量部以上、さらには1.0重量部以上が好ましい。水の添加量の上限については、特に限定しないが、混練性や水蒸気による押出機内の圧力上昇の点から、5重量部未満が好ましい。
水を添加する時期としては、特に限定しないが、(c)エポキシ基、アミノ基およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも一種の基を有する化合物が、(a)PEI樹脂および/またはPES樹脂や(b)PPS樹脂と反応した後が好ましく、一度溶融混練した後に、さらに一回以上溶融混練する際に添加することが特に好ましい。水の添加方法としては、特に限定しないが、押出機の途中からギヤポンプ、プランジャーポンプなどの送液装置を使用して水をサイドフィードする手法や、一度溶融混練した後に、さらに一回以上溶融混練する際に、水を配合もしくは押出機の途中からサイドフィードする手法が好ましい方法として上げられる。
本発明の製造方法により得られた樹脂組成物は、射出成形、フィルム、シートなどの押出成形、トランスファー成形等の公知の成形法により種々の製品に成形することが可能である。また、本発明の製造方法により得られた樹脂組成物は、PEI樹脂および/またはPES樹脂の特徴である高い耐熱性、熱安定性、ウェルド強度やクリープ特性などの機械的強度とともに、靱性や耐薬品性に優れる点から、電気・電子部品、機械部品、自動車部品として有用である。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
以下の実施例において、材料特性については下記の方法により行った。
[射出成形]
住友−ネスタール射出成形機SG75を用い、樹脂温度350℃、金型温度150℃でASTM4号ダンベル片を成形した。
[引張試験]
測定にはテンシロンUTA2.5T引張試験機を用い、チャック間距離64mm、引張速度10mm/minで測定を行った。
[耐薬品試験]
PEI樹脂組成物については、上記射出成形により得られたASTM4号ダンベルを予め秤量し、室温でクロロホルムに浸漬した。1時間浸漬後、ダンベルを取り出し100℃で2時間真空乾燥してから重量を秤量した。耐薬品性は、クロロホルム浸漬前後の重量変化率により見積もった(浸漬前後の重量差の絶対値/浸漬前の重量×100)。
PES樹脂組成物については、上記射出成形により得られたASTM4号ダンベルを予め秤量し、室温でシクロヘキサノンに浸漬した。24時間浸漬後、ダンベルを取り出し100℃で2時間真空乾燥してから重量を秤量した。耐薬品性は、シクロヘキサノン浸漬前後の重量変化率により見積もった(浸漬前後の重量差の絶対値/浸漬前の重量×100)。
[モルフォロジーの観察]
ASTM4号ダンベル試験片の中央部を樹脂の流れ方向に対して直角方向に切断し、その断面の中心部から、−20℃で0.1μm以下の薄片を切削し、日立製作所製H−7100型透過型電子顕微鏡(分解能(粒子像)0.38nm、倍率50〜60万倍)にて、1万〜2万倍に拡大してPPS樹脂の分散粒径を測定した。
[参考例1](a)PEI樹脂(PEI−1)
“ウルテム” 1010 ゼネラル・エレクトリック社製
[参考例2](a)PES樹脂(PES−1)
“レーデルA” A−300 ソルベイアドバンストポリマー社製
[参考例3](b)PPS樹脂の重合(PPS−1)
撹拌機付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8267.37g(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2957.21g(70.97モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11434.50g(115.50モル)、酢酸ナトリウム2583.00g(31.50モル)、及びイオン交換水10500gを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14780.1gおよびNMP280gを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
次に、p−ジクロロベンゼン10235.46g(69.63モル)、NMP9009.00g(91.00モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら、0.6℃/分の速度で238℃まで昇温した。238℃で95分反応を行った後、0.8℃/分の速度で270℃まで昇温した。270℃で100分反応を行った後、1260g(70モル)の水を15分かけて圧入しながら250℃まで1.3℃/分の速度で冷却した。その後200℃まで1.0℃/分の速度で冷却してから、室温近傍まで急冷した。
内容物を取り出し、26300gのNMPで希釈後、溶剤と固形物をふるい(80mesh)で濾別し、得られた粒子を31900gのNMPで洗浄、濾別した。これを、56000gのイオン交換水で数回洗浄、濾別した後、0.05重量%酢酸水溶液70000gで洗浄、濾別した。70000gのイオン交換水で洗浄、濾別した後、得られた含水PPS粒子を80℃で熱風乾燥し、120℃で減圧乾燥した。得られたPPSは、溶融粘度が200Pa・s(310℃、剪断速度1000/s)であった。
[参考例4](b)PPS樹脂の重合(PPS−2)
撹拌機付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8267.37g(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2957.21g(70.97モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11434.50g(115.50モル)、酢酸ナトリウム861.00g(10.5モル)、及びイオン交換水10500gを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14780.1gおよびNMP280gを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
次に、p−ジクロロベンゼン10235.46g(69.63モル)、NMP9009.00g(91.00モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら、0.6℃/分の速度で238℃まで昇温した。238℃で95分反応を行った後、0.8℃/分の速度で270℃まで昇温した。270℃で100分反応を行った後、1260g(70モル)の水を15分かけて圧入しながら250℃まで1.3℃/分の速度で冷却した。その後200℃まで1.0℃/分の速度で冷却してから、室温近傍まで急冷した。
内容物を取り出し、26300gのNMPで希釈後、溶剤と固形物をふるい(80mesh)で濾別し、得られた粒子を31900gのNMPで洗浄、濾別した。これを、56000gのイオン交換水で数回洗浄、濾別した後、0.05重量%酢酸水溶液70000gで洗浄、濾別した。70000gのイオン交換水で洗浄、濾別した後、得られた含水PPS粒子を80℃で熱風乾燥し、120℃で減圧乾燥した。得られた(a)PPS樹脂は、溶融粘度が60Pa・s(310℃、剪断速度1000/s)であった。
[実施例1]
PPS−1(70重量%)、PEI−1(30重量%)、相溶化剤C−1(PPS−1とPEI−1の合計100重量部に対して3重量部)をドライブレンドした後、真空ベントを具備した日本製鋼所社製TEX30α型2軸押出機(L/D=45.5、ニーディング部5箇所)を用い、スクリュー回転数300rpmにて、ダイス出樹脂温度が330℃となるようにシリンダー温度を設定して一度目の溶融混練に供し、ストランドカッターによりペレット化した。次いで、このペレットに、表1の実施例1の混練2回目に示す各成分が、表1の実施例1の混練2回目に示す割合になるようにPEI−1をブレンドした後、前記した同様の方法でさらに溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。130℃で一晩乾燥したペレットを射出成形に供し、成形片におけるPPSの分散粒径、引張破断伸び、耐薬品性を評価した。結果は表1に示すとおりであった。
[実施例2]
PPS−1(70重量%)、PEI−1(30重量%)、相溶化剤C−1(PPS−1とPEI−1の合計100重量部に対して3重量部)をドライブレンドした後、真空ベントを具備した日本製鋼所社製TEX30α型2軸押出機(L/D=45.5、ニーディング部5箇所)を用い、スクリュー回転数300rpmにて、ダイス出樹脂温度が330℃となるようにシリンダー温度を設定して一度目の溶融混練に供し、ストランドカッターによりペレット化した。次いで、このペレットに、表1の実施例2の混練2回目に示す各成分が、表1の実施例2の混練2回目に示す割合になるようにPEI−1をブレンドした後、前記した同様の方法でさらに溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。130℃で一晩乾燥したペレットを射出成形に供し、成形片におけるPPSの分散粒径、引張破断伸び、耐薬品性を評価した。結果は表1に示すとおりであった。
[実施例3]
相溶化剤をC−2とした以外は、実施例1と同様にして溶融混練しストランドカッターによりペレット化した。最終的に得られたペレットの組成、ペレットを射出成形した成形片におけるPPSの分散粒径、引張破断伸び、耐薬品性は表1に示したとおりであった。
[実施例4]
相溶化剤をC−3とした以外は、実施例1と同様にして溶融混練しストランドカッターによりペレット化した。最終的に得られたペレットの組成、ペレットを射出成形した成形片におけるPPSの分散粒径、引張破断伸び、耐薬品性は表1に示したとおりであった。
[実施例5]
相溶化剤をC−4とした以外は、実施例1と同様にして溶融混練しストランドカッターによりペレット化した。最終的に得られたペレットの組成、ペレットを射出成形した成形片におけるPPSの分散粒径、引張破断伸び、耐薬品性は表1に示したとおりであった。
[実施例6]
PPS樹脂をPPS−2とした以外は、実施例1と同様にして溶融混練しストランドカッターによりペレット化した。最終的に得られたペレットの組成、ペレットを射出成形した成形片におけるPPSの分散粒径、引張破断伸び、耐薬品性は表2に示したとおりであった。
[実施例7]
PPS樹脂をPPS−2とした以外は、実施例2と同様にして溶融混練しストランドカッターによりペレット化した。最終的に得られたペレットの組成、ペレットを射出成形した成形片におけるPPSの分散粒径、引張破断伸び、耐薬品性は表2に示したとおりであった。
[実施例8]
PPS−1(70重量%)、PEI−1(30重量%)、相溶化剤C−1(PPS−1とPEI−1の合計100重量部に対して3重量部)をドライブレンドした後、真空ベントを具備した日本製鋼所社製TEX30α型2軸押出機(L/D=45.5、ニーディング部5箇所)を用い、スクリュー回転数300rpmにて、ダイス出樹脂温度が330℃となるようにシリンダー温度を設定して一度目の溶融混練に供し、ストランドカッターによりペレット化した。次いで、このペレットに、表2の実施例8の混練2回目に示す各成分が、表2の実施例8の混練2回目に示す割合になるようにPEI−1、D−1をブレンドした後、前記した同様の方法でさらに溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。130℃で一晩乾燥したペレットを射出成形に供し、成形片におけるPPSの分散粒径、引張破断伸び、耐薬品性を評価した。結果は表2に示すとおりであった。
[実施例9]
D−1を10重量部とした以外は、実施例8と同様にして溶融混練しストランドカッターによりペレット化した。最終的に得られたペレットの組成、ペレットを射出成形した成形片におけるPPSの分散粒径、引張破断伸び、耐薬品性は表2に示したとおりであった。
[実施例10]
PPS−1(70重量%)、PES−1(30重量%)、相溶化剤C−1(PPS−1とPEI−1の合計100重量部に対して3重量部)をドライブレンドした後、真空ベントを具備した日本製鋼所社製TEX30α型2軸押出機(L/D=45.5、ニーディング部5箇所)を用い、スクリュー回転数300rpmにて、ダイス出樹脂温度が330℃となるようにシリンダー温度を設定して一度目の溶融混練に供し、ストランドカッターによりペレット化した。次いで、このペレットに、表2の実施例10の混練2回目に示す各成分が、表2の実施例10の混練2回目に示す割合になるようにPES−1をブレンドした後、前記した同様の方法でさらに溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。130℃で一晩乾燥したペレットを射出成形に供し、成形片におけるPPSの分散粒径、引張破断伸び、耐薬品性を評価した。結果は表2に示すとおりであった。
[比較例1]
(c)エポキシ基、アミノ基およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも一種の基を有する化合物を添加しない以外は実施例1と同様の方法で溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。最終的に得られたペレットの組成、ペレットを射出成形した成形片におけるPPSの分散粒径、引張破断伸び、耐薬品性は表3に示したとおりであった。
[比較例2]
溶融混練を、真空ベントを具備した田辺プラスチックス機械(株)社製、40mmφ単軸押出機を用い、設定温度300℃、スクリュー回転数80rpmで行った以外は実施例1と同様にペレット化した。最終的に得られたペレットの組成、ペレットを射出成形した成形片におけるPPSの分散粒径、引張破断伸び、耐薬品性は表3に示したとおりであった。
[比較例3]
PEI−1(90重量%)、PPS−1(10重量%)、相溶化剤C−1(PEI−1とPPS−1の合計100重量部に対して0.43重量部)をドライブレンドした後、真空ベントを具備した日本製鋼所社製TEX30α型2軸押出機(L/D=45.5、ニーディング部5箇所)を用い、スクリュー回転数300rpmにて、ダイス出樹脂温度が330℃となるようにシリンダー温度を設定して溶融混練に供し、ストランドカッターによりペレット化した。得られたペレットの組成、ペレットを射出成形した成形片におけるPPSの分散粒径、引張破断伸び、耐薬品性は表3に示したとおりであった。
[比較例4]
PEI−1(90重量%)、PPS−1(10重量%)、相溶化剤C−1(PEI−1とPPS−1の合計100重量部に対して0.43重量部)をドライブレンドした後、真空ベントを具備した日本製鋼所社製TEX30α型2軸押出機(L/D=45.5、ニーディング部5箇所)を用い、スクリュー回転数300rpmにて、ダイス出樹脂温度が330℃となるようにシリンダー温度を設定して一度目の溶融混練に供し、ストランドカッターによりペレット化した。次いで、このペレットを、前記した同様の方法でさらに溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。最終的に得られたペレットの組成、ペレットを射出成形した成形片におけるPPSの分散粒径、引張破断伸び、耐薬品性は表3に示したとおりであった。
[比較例5]
PES−1(90重量%)、PPS−1(10重量%)、相溶化剤C−1(PES−1とPPS−1の合計100重量部に対して0.43重量部)をドライブレンドした後、真空ベントを具備した日本製鋼所社製TEX30α型2軸押出機(L/D=45.5、ニーディング部5箇所)を用い、スクリュー回転数300rpmにて、ダイス出樹脂温度が330℃となるようにシリンダー温度を設定して溶融混練に供し、ストランドカッターによりペレット化した。得られたペレットの組成、ペレットを射出成形した成形片におけるPPSの分散粒径、引張破断伸び、耐薬品性は表3に示したとおりであった。
Figure 2009074044
Figure 2009074044
Figure 2009074044

Claims (8)

  1. (a1)と(b)の合計を100重量%として、(b)ポリフェニレンスルフィド樹脂99〜60重量%、(a1)ポリエーテルイミド樹脂およびポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる少なくとも一種の非晶性樹脂1〜40重量%、および(c)エポキシ基、アミノ基およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも一種の基を有する化合物を溶融混練した後に、さらに(a2)ポリエーテルイミド樹脂およびポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる少なくとも一種の非晶性樹脂を加えて、一回以上溶融混練する非晶性樹脂組成物の製造方法。
  2. 得られる非晶性樹脂組成物が、(a1),(a2)、(b)の合計を100重量部として、(a1)と(a2)の合計の(a)ポリエーテルイミド樹脂およびポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる少なくとも一種の非晶性樹脂99〜60重量部、(b)ポリフェニレンスルフィド樹脂1〜40重量部、(c)エポキシ基、アミノ基およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも一種の基を有する化合物0.1〜10重量部を配合してなる非晶性樹脂組成物である請求項1記載の非晶性樹脂組成物の製造方法。
  3. 得られる非晶性樹脂組成物のモルフォロジー(相構造)において、(a)ポリエーテルイミド樹脂およびポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる少なくとも一種の非晶性樹脂が連続相(海相)を形成し、(b)ポリフェニレンスルフィド樹脂が数平均分散粒子径1000nm以下で分散した分散相(島相)を形成する海−島構造であることを特徴とする請求項1または2に記載の非晶性樹脂組成物の製造方法。
  4. (b)ポリフェニレンスルフィド樹脂の数平均分散粒子径が、500nm以下であることを特徴とする請求項3に記載の非晶性樹脂組成物の製造方法。
  5. (c)エポキシ基、アミノ基およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも一種の基を有する化合物が、イソシアネート基を一個以上含む化合物および/またはエポキシ基を二個以上含む化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の非晶性樹脂組成物の製造方法。
  6. (c)エポキシ基、アミノ基およびイソシアネート基から選ばれる少なくとも一種の基を有する化合物が、イソシアネート基含有アルコキシシランである請求項5に記載の非晶性樹脂組成物の製造方法。
  7. (a)ポリエーテルイミド樹脂およびポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる少なくとも一種の非晶性樹脂と(b)ポリフェニレンスルフィド樹脂の合計100重量部に対して、さらに(d)無機フィラーを0.0001〜300重量部配合してなる請求項1〜6のいずれかに記載の非晶性樹脂組成物の製造方法。
  8. (a)ポリエーテルイミド樹脂およびポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる少なくとも一種の非晶性樹脂が、ポリエーテルイミド樹脂である請求項1〜7のいずれかに記載の非晶性樹脂組成物の製造方法。
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