JP2009073030A - エピクロルヒドリンゴムホース用離型剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形ホース用マンドレルに使用可能な離型性として、エピクロルヒドリンゴムに吸収されにくく、適度な粘度で塗布しやすく、挿入脱型性、水洗浄性に優れた離型剤の提供。
【解決手段】付加モル数(n)が2〜10であるポリグリセリンのC6〜C18のモノもしくはジカルボン酸エステルを少なくとも含む物質、グリセリンとソルビトールとの反応生成物、付加モル数(n)が2〜10であるポリグリセリンと複数のイソシアナト基を有する化合物との反応生成物から選ばれた1種により達成。
【選択図】なし
【解決手段】付加モル数(n)が2〜10であるポリグリセリンのC6〜C18のモノもしくはジカルボン酸エステルを少なくとも含む物質、グリセリンとソルビトールとの反応生成物、付加モル数(n)が2〜10であるポリグリセリンと複数のイソシアナト基を有する化合物との反応生成物から選ばれた1種により達成。
【選択図】なし
Description
本発明は、エピクロルヒドリンゴムホースの加硫時における、金型の離型剤に関する。さらに詳しくは成形ホース用マンドレルに使用可能な挿入脱型性、残液量、洗浄性に優れたエピクロルヒドリンゴム用離型剤に関する。
エピクロルヒドリンゴムは耐熱性、耐油性、耐候性、耐熱老化性、耐オゾン性に優れ、また、ガス透過性が低く、圧縮ひずみも小さい。そのため、自動車向けに、燃料系、潤滑油系、エンジンルーム内のホースなどの吸・排気系のホースやチューブなどの自動車部品として使用されている。とりわけ自動車用ホースなどの各種ゴムホースは、マンドレルを用いて、ホースを成型し、これを加硫した後、マンドレルをホースから抜き取るために、水圧を用いて、ブローすることにより製造される。通常、その際はマンドレルの抜けをよくするために、マンドレルの表面には、離型剤が塗布される。
ホースと離型剤は加硫の際の加工性、洗浄性、脱型性が問題となる。NBR(ニトリロゴム)製、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)製のホースに対しては洗浄性の良いノンシリコーン系離型剤(界面活性剤系)が用いられている。ノンシリコーン系離型剤の例として、ジアミンのアルキレンオキサイド付加物からなる加硫ゴム用離型剤(特許文献1)やオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマーを成分とする離型剤(特許文献2)が知られている。後者では特にノニオン系のEPDM製、NBR製ホースに対して、ソルベントクラックの発生を防ぎ、マンドレルの汚染をも防ぐことが可能となる上に、挿入脱型性及び洗浄性に優れ、シリコーン系に比べ価格が安価なため、汎用性にも優れたホース製造用マンドレル離型剤が得られている。また、シリコーン系の離型剤の例として、IY/BHNBRコンパウンド製ホースに対して、反応性シリコーン類と非反応性シリコーン類を配合して得られる離型剤を用いることも知られている(特許文献3)。しかしながら、EPDM製ホースは、加工する際に未加硫の粘着性が悪く、加硫が比較的遅く、加硫ゴム表面にブルームが発生しやすく、耐油、耐屈曲亀裂性に劣るなどの欠点がある。
本願で用いるエピクロルヒドリンゴムホースに、ノンシリコーン系離型剤を用いる場合、加硫中に吸収されて離型剤が残らない、言い換えると離型剤残液量が不足する現象が起こるため加工性に劣り、使用は困難であった。一方エピクロルヒドリンゴムホースに対して、シリコーン系離型剤を用いた場合、シリコーン系離型剤は、挿入脱型性には優れているが洗浄性が悪いため、洗浄不足のホースではシリコーンが残存して滑りが出てしまい、接続器具から抜けてしまう可能性がある。そこでエピクロルヒドリンゴムホースにも使用可能な離型剤が待望されていた。
従来、エピクロルヒドリンゴムホースに対して用いられるノンシリコーン系の離型剤として、多価ヒドロキシ化合物であるポリグリセリンが挙げられるが、高粘度のため塗布しにくい。一方でポリグリセリンのみを用いた離型剤では、前述のノンシリコーン系離型剤の欠点である加硫中にヒドリンゴムホースに吸収されることはなく良好な残液量が得られるが、金属にはじかれやすいため、はじかれた部分で金型とゴムが接触してしまい、残液量が十分であっても、離型性能を十分に満たす良好な膜を得ることができないため、使用方法が難しい。
本発明の目的は、耐熱性、耐油性、耐候性にバランスよく優れたエピクロルヒドリンゴムホースの離型剤として挿入性、脱型性、残液性、洗浄性に充分な効果を示すエピクロルヒドリンゴムホース用離型剤を提供することである。
本発明者は、エピクロルヒドリンゴムホースの加硫工程において洗浄性が良く、挿入性、脱型性に優れた金型離型剤を鋭意検討した結果、多価ヒドロキシ化合物であるポリグリセリンのうち、付加モル数(n)が2〜10であるポリグリセリンのC6〜C18のモノもしくはジカルボン酸エステルを少なくとも含む物質、グリセリンとソルビトールとが脱水縮合した縮合物を含む反応生成物、ポリグリセリンとイソシアナト基を有する化合物との反応生成物、或いはそれらの混合物からなるグリセリン系化合物からなるものであれば、エピクロルヒドリンゴムに吸収されにくく、適度な粘度で塗布しやすく、挿入脱型性、残液性、水洗浄性に優れた離型剤を得られることを見出した。
適度な粘度で成型ホース用マンドレル等に塗布しやすく、エピクロルヒドリンゴムホースの同マンドレル等に対する挿入性に優れ、加硫時においてエピクロルヒドリンゴムに吸収されにくく加硫後も適度な残液量が保持されているため、ゴムと金型との直接の接触がなく、同マンドレル等からの脱型性に優れ、水洗浄性に優れるため接続器具に装着した際に滑りを起こすことのない離型剤が得られた。
本発明において、付加モル数(n)が2〜10であるポリグリセリンのC6〜C18のモノもしくはジカルボン酸エステルを少なくとも含む物質とは、付加モル数(n)が2〜10であるポリグリセリンとC6〜C18のモノまたはジカルボン酸のエステルを少なくとも、10質量%以上、好ましくは、30質量%以上、より好ましくは50質量%以上含む物質を言う。言うまでもないが、工業用の原料としての上記のようなエステルであれば、使用可能であることは言うまでもない。当然のことながら、付加モル数(n)が2〜10であるポリグリセリンのC6〜C18のモノもしくはジカルボン酸エステル単体でも、これらの混合物でもよい。また、例えば、実施例5として後述するように、エステル交換反応により調製した一部に原料であるポリグリセリン等が残存しているものでもよい。
さらには、グリセリンとソルビトールとの脱水縮合した縮合物を含む反応生成物であって、グリセリンと前記ソルビトールとのモル比が1:0.2〜0.2:1の割合で反応して得られた反応生成物、前記付加モル数(n)が2〜10であるポリグリセリンと複数のイソシアナト基を有する化合物との反応生成物であるグリセリン系化合物からなる多価ヒドロキシ化合物を含む。
(1)付加モル数(n)が2〜10のポリグリセリン、例えば、ジグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、若しくはデカグリセリンのC6〜C18のモノカルボン酸、即ち、脂肪酸エステル、より具体的には前記ポリグリセリンのカプリル酸エステル、同ポリグリセリンのn−カプリン酸エステル、同ポリグリセリンのラウリン酸エステル、同ポリグリセリンのオレイン酸エステルなどのモノカルボン酸エステルが挙げられる。これらのうち、特に好ましくはテトラグリセリンラウリン酸エステル、テトラグリセリンオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンラウリン酸エステル、ヘキサグリセリンオレイン酸エステル、デカグリセリンカプリル酸エステル、デカグリセリンカプリン酸エステルが例挙される。本発明の目的を損なわない範囲内であれば、不純物として、原料であるポリグリセリンやカルボン酸が残存していてもよい。
(2)または、付加モル数(n)が2〜10のポリグリセリン、例えば、ジグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、若しくはデカグリセリンのジカルボン酸エステル、より具体的には、上記ポリグリセリンのアジピン酸エステルなどが挙げられる。特に好ましくはヘキサグリセリンアジピン酸エステル、デカグリセリンアジピン酸エステルである。
(3)グリセリンとソルビトールの脱水縮合した縮合物を含む反応生成物が挙げられる。グリセリンとソルビトールとが脱水縮合した縮合物を含む反応生成物としては具体的には、グリセリンとソルビトールが1:0.2〜0.2:1割合で反応して得られた反応性生物であって、その分子量が200〜400であることが好ましい。より好ましくは、加硫化後のゴムの表面温度60〜70℃になるまで冷却し、マンドレルからホースを引き抜いたときに、さほど力を込めなくても引き抜くことができ、該加硫ホースを引き抜いた後、離型剤がホース内面に薄膜で残液していることができ、引き抜いた加硫ホースを水道水で流水洗浄した時に、短時間内の流水ですべての離型剤が除去できると言う性質を備えているものが好ましい。この場合でも、離型剤としての性能の妨げとならなければ、グリセリンが少量残存していても使用可能である。
(4)付加モル数(n)が2〜10のポリグリセリン、具体的にはジグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、若しくはデカグリセリンと、複数のイソシアナト基を有するイソシアネート化合物、具体的にはメチレンビスフェニルイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートのいずれかとの反応生成物が挙げられる。さらに詳しくは、ポリグリセリンと複数のイソシアナト基を有するイソシアネート化合物とを10:1〜10:5のモル比で混合反応させて得られる反応生成物であって、その分子量が300〜2000であることが好ましく、ポリグリセリンの水酸基の内、少なくとも5%以上、好ましくは、10%以上、更に好ましくは、15%以上がウレタン結合を形成していることが好ましい。少なくともこの反応生成物は、加硫化後のゴムの表面温度が60〜70℃になるまで冷却し、マンドレルからホースを引き抜いたときに、さほど力を込めなくても引き抜くことができ、該加硫ホースを引き抜いた後、離型剤がホース内面に薄膜で残液していることができ、引き抜いた加硫ホースを水道水で流水洗浄した時に、短時間内の流水ですべての離型剤が除去できると言う性質を備えているものが好ましい。
勿論、必要に応じて、これら4種類の物質を本願の目的を損なわない限り、適宜混合して使用しても良いことは勿論である。なお、使用方法は、他の離型剤の使用方法と特段の差異はなく、定法に従い使用すればよい。
以下、本発明を実施例及び比較例にもとづいて、より詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。先ず、本願発明に係るグリセリン系化合物からなる多価ヒドロキシ化合物の調製例を以下に実施例を挙げて、説明する。
(実施例1)
300mlのフラスコにグリセリン69.1g(0.75mol)、D−ソルビトール54.7g(0.30mol)及び、触媒として10質量%NaOH水溶液10.0gを仕込み、105℃まで昇温し脱水した。脱水しながらさらに240℃まで昇温し、水が13.5ml(0.75mol)留出した時点で冷却した。次に85%リン酸を加えpH=7に調製し、取り出した。得られたグリセリンとソルビトールの反応生成物はソルビトール:グリセリンが1:1の比率で含まれていた。なお、未反応のグリセリンが残存していたが、かくして、得られた生成物を離型剤として後述の使用例ではそのまま使用した。
300mlのフラスコにグリセリン69.1g(0.75mol)、D−ソルビトール54.7g(0.30mol)及び、触媒として10質量%NaOH水溶液10.0gを仕込み、105℃まで昇温し脱水した。脱水しながらさらに240℃まで昇温し、水が13.5ml(0.75mol)留出した時点で冷却した。次に85%リン酸を加えpH=7に調製し、取り出した。得られたグリセリンとソルビトールの反応生成物はソルビトール:グリセリンが1:1の比率で含まれていた。なお、未反応のグリセリンが残存していたが、かくして、得られた生成物を離型剤として後述の使用例ではそのまま使用した。
(実施例2)
200mlのフラスコにテトラグリセリン93.0g(0.30mol)を仕込み、70℃まで昇温した。次に、ヘキサメチレンジイソシアネート3.4g(0.02mol)を徐々に滴下していった。70℃で熟成し、CO2の発泡が無くなったところで取り出した。
200mlのフラスコにテトラグリセリン93.0g(0.30mol)を仕込み、70℃まで昇温した。次に、ヘキサメチレンジイソシアネート3.4g(0.02mol)を徐々に滴下していった。70℃で熟成し、CO2の発泡が無くなったところで取り出した。
(実施例3)
200mlのフラスコにテトラグリセリン93.0g(0.30mol)を仕込み、70℃まで昇温した。次にイソホロンジイソシアネート4.5g(0.02mol)を徐々に滴下していった。70℃で熟成し、CO2の発泡が無くなったところで取り出した。
200mlのフラスコにテトラグリセリン93.0g(0.30mol)を仕込み、70℃まで昇温した。次にイソホロンジイソシアネート4.5g(0.02mol)を徐々に滴下していった。70℃で熟成し、CO2の発泡が無くなったところで取り出した。
(実施例4)
200mlのフラスコにデカグリセリン100.0g(0.13mol)仕込み70℃まで昇温した。次にメチレンビスフェニルイソシアネート5.0g(0.02mol)を徐々に滴下していった。70℃で熟成しCO2の発泡が無くなったところで取り出した。
200mlのフラスコにデカグリセリン100.0g(0.13mol)仕込み70℃まで昇温した。次にメチレンビスフェニルイソシアネート5.0g(0.02mol)を徐々に滴下していった。70℃で熟成しCO2の発泡が無くなったところで取り出した。
(実施例5)
200mlのフラスコにデカグリセリン100.0g(0.13mol)、アジピン酸ジメチル5.0g(0.03mol)を仕込み昇温した。次に、120〜130℃で3.0時間、低沸分を除去しながら熟成した後に取り出した。即ち、この実施例では、デカグリセリンとエステル単体とを混合させ、エステル交換反応によりデカグリセリンアジピン酸エステルを生成させた。なお、このものには、原料であるデカグリセリンが60%程度残存していた。さらには、もう一方の原料であるアジピン酸ジメチルも少量ではあるが残存していた。
200mlのフラスコにデカグリセリン100.0g(0.13mol)、アジピン酸ジメチル5.0g(0.03mol)を仕込み昇温した。次に、120〜130℃で3.0時間、低沸分を除去しながら熟成した後に取り出した。即ち、この実施例では、デカグリセリンとエステル単体とを混合させ、エステル交換反応によりデカグリセリンアジピン酸エステルを生成させた。なお、このものには、原料であるデカグリセリンが60%程度残存していた。さらには、もう一方の原料であるアジピン酸ジメチルも少量ではあるが残存していた。
(実施例6)
200mlのフラスコにテトラグリセリン100.0g(0.32mol)、n−カプリル酸5.0g(0.03mol)、触媒として10質量%NaOH水溶液10gを仕込み昇温した。次に120〜130℃で3.0時間、低沸分を除去しながら熟成した後取り出した。テトラグリセリンのn−カプリル酸エステルからなる反応生成物が得られた。過剰に使用した原料のテトラグリセリンも残存していた。
200mlのフラスコにテトラグリセリン100.0g(0.32mol)、n−カプリル酸5.0g(0.03mol)、触媒として10質量%NaOH水溶液10gを仕込み昇温した。次に120〜130℃で3.0時間、低沸分を除去しながら熟成した後取り出した。テトラグリセリンのn−カプリル酸エステルからなる反応生成物が得られた。過剰に使用した原料のテトラグリセリンも残存していた。
(実施例7〜10)
実施例5、6と同様の方法で得たもの又はポリグリセリンのエステル体を別々に合成して得られたポリグリセリンのエステル体を混合した。市販品のポリグリセリンエステルも用いた。混合方法としては、上記のものを各々30〜70%の範囲において混合することで調製した。本発明に関するグリセリン系化合物からなる多価ヒドロキシ化合物の混合物は以下の表1に示す。
実施例5、6と同様の方法で得たもの又はポリグリセリンのエステル体を別々に合成して得られたポリグリセリンのエステル体を混合した。市販品のポリグリセリンエステルも用いた。混合方法としては、上記のものを各々30〜70%の範囲において混合することで調製した。本発明に関するグリセリン系化合物からなる多価ヒドロキシ化合物の混合物は以下の表1に示す。
(使用例)
実施例1〜10で調製した本発明に係る離型剤と、表1に示した比較例1または2として市販の離型剤として使用されているシリコーン系離型剤と、本発明に係る離型剤の原料の一つであるデカグリセリンを使用し、同時にこれらの物質の離型剤としての性能を評価した。評価に当たっては、離型剤を、成形ホース用マンドレル(ステンレス製)を蒸気で加熱した後に、マンドレル表面に充分に塗布することに加え、未加硫ホース先端からホース内にも十分な量を注ぎこむことによって塗布させた。
実施例1〜10で調製した本発明に係る離型剤と、表1に示した比較例1または2として市販の離型剤として使用されているシリコーン系離型剤と、本発明に係る離型剤の原料の一つであるデカグリセリンを使用し、同時にこれらの物質の離型剤としての性能を評価した。評価に当たっては、離型剤を、成形ホース用マンドレル(ステンレス製)を蒸気で加熱した後に、マンドレル表面に充分に塗布することに加え、未加硫ホース先端からホース内にも十分な量を注ぎこむことによって塗布させた。
なお、この使用例では、エピクロロヒドリンゴムホースとしては、エピクロロヒドリンゴムホモポリマー100部に、1.5部のステアリン酸スズ、5.0部の鉛丹、50.0部のカーボン(FEFカーボン)、1.5部の加硫促進剤22、2.0部の老化防止剤NBCを配合してなる未加硫ゴムホースを用いた。
挿入脱型性の評価:
成形ホース用マンドレル(ステンレス製)を蒸気で加熱し表面に離型剤を塗布し、さらに未加硫ホース先端から離型剤を注ぎ塗布させた後、マンドレルに挿入する。ここで、未加硫ホースをマンドレルに差し込む際の挿入性を評価した。
次にこれを160℃、30分間、恒温槽で加硫した。その後加硫ゴムの表面温度60〜70℃になるまで冷却しホースを引き抜いた。ここで、マンドレルからホースを引き抜く際の脱型性を評価した。なお、評価基準は以下の通りである。
◎:力を込めなくても引き抜くこと、或いは差し込むことが出来る。
○:片手で多少の力を込めれば引き抜くこと、或いは差し込むことができる。
△:両手でかなりの力を込めないと引き抜くこと、或いは差し込むことが出来ない。
×:力を込めても引き抜くこと、或いは差し込むことが出来ない。
成形ホース用マンドレル(ステンレス製)を蒸気で加熱し表面に離型剤を塗布し、さらに未加硫ホース先端から離型剤を注ぎ塗布させた後、マンドレルに挿入する。ここで、未加硫ホースをマンドレルに差し込む際の挿入性を評価した。
次にこれを160℃、30分間、恒温槽で加硫した。その後加硫ゴムの表面温度60〜70℃になるまで冷却しホースを引き抜いた。ここで、マンドレルからホースを引き抜く際の脱型性を評価した。なお、評価基準は以下の通りである。
◎:力を込めなくても引き抜くこと、或いは差し込むことが出来る。
○:片手で多少の力を込めれば引き抜くこと、或いは差し込むことができる。
△:両手でかなりの力を込めないと引き抜くこと、或いは差し込むことが出来ない。
×:力を込めても引き抜くこと、或いは差し込むことが出来ない。
残液量の評価:
加硫ホースを引き抜き後、ホース内面を確認し離型剤の残液状況を評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:ホース内面全体に厚い膜で残液している。
○:ホース内面全体に薄膜で残液している。
△:ホース内面に部分的に残液していないところがある。
×:ホース内面に殆ど残液が無い。
加硫ホースを引き抜き後、ホース内面を確認し離型剤の残液状況を評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:ホース内面全体に厚い膜で残液している。
○:ホース内面全体に薄膜で残液している。
△:ホース内面に部分的に残液していないところがある。
×:ホース内面に殆ど残液が無い。
洗浄性の評価:
加硫後のホースを水道水で流水洗浄し離型剤の除去性を評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:1分以内の流水ですべての離型剤が除去できる。
○:5分以内の流水ですべての離型剤が除去できる。
△:ある程度の時間の流水でも離型剤が10〜30%ぐらい残る。
×:流水では離型剤が半分以上除去できない。
加硫後のホースを水道水で流水洗浄し離型剤の除去性を評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:1分以内の流水ですべての離型剤が除去できる。
○:5分以内の流水ですべての離型剤が除去できる。
△:ある程度の時間の流水でも離型剤が10〜30%ぐらい残る。
×:流水では離型剤が半分以上除去できない。
(結果の検討)
以上の結果を表1に示す。本願にかかる実施例1〜実施例10に示す本発明で用いられるグリセリン系化合物からなる多価ヒドロキシ化合物を主成分にした離型剤では、適度な粘度のため塗布しやすかった。エピクロルヒドリンゴムホースの加硫前のマンドレルへの挿入性にも優れ、加硫時にゴムに対して吸収されにくく、かつ加硫後にも離型剤がゴムに対してはじかれていないことが確認でき、ホース内面全体に厚膜或いは薄膜で残液しており、ゴムと金型との直接の接触がなく、脱型性に優れていた。さらに接続器具に装着した際に滑りの原因となる余分な残存液の除去も、水洗浄によって十分に達成できることから洗浄性にも優れていると判断された。
比較例1に示すシリコーン系離型剤では、エピクロルヒドリンゴムに対する挿入脱型性には優れるが、洗浄性に劣った。比較例2に示す多価ヒドロキシ化合物単体であるデカグリセリンを用いた離型剤では、薄膜で残液し、洗浄性にも優れていたが、挿入脱型性に劣るため、全体的には十分な離型性能は得られなかった。
以上の結果を表1に示す。本願にかかる実施例1〜実施例10に示す本発明で用いられるグリセリン系化合物からなる多価ヒドロキシ化合物を主成分にした離型剤では、適度な粘度のため塗布しやすかった。エピクロルヒドリンゴムホースの加硫前のマンドレルへの挿入性にも優れ、加硫時にゴムに対して吸収されにくく、かつ加硫後にも離型剤がゴムに対してはじかれていないことが確認でき、ホース内面全体に厚膜或いは薄膜で残液しており、ゴムと金型との直接の接触がなく、脱型性に優れていた。さらに接続器具に装着した際に滑りの原因となる余分な残存液の除去も、水洗浄によって十分に達成できることから洗浄性にも優れていると判断された。
比較例1に示すシリコーン系離型剤では、エピクロルヒドリンゴムに対する挿入脱型性には優れるが、洗浄性に劣った。比較例2に示す多価ヒドロキシ化合物単体であるデカグリセリンを用いた離型剤では、薄膜で残液し、洗浄性にも優れていたが、挿入脱型性に劣るため、全体的には十分な離型性能は得られなかった。
自動車部品、エンジンルーム内のホース等の自動車用ホースに用いられるエピクロルヒドリンゴムホースを、マンドレルを用いて製造する際、その加硫工程において洗浄性、挿入性、脱型性、残液性に優れた離型剤であるため、この離型剤によって得られたエピクロルヒドリンゴムホースは、本来の特性である耐熱性、耐油性、耐候性などを発現することができる。
Claims (5)
- グリセリン系化合物からなる多価ヒドロキシ化合物を主成分とするエピクロルヒドリンゴムホース用金型離型剤。
- 前記グリセリン系化合物からなる多価ヒドロキシ化合物が、付加モル数(n)が2〜10であるポリグリセリンのC6〜C18のモノもしくはジカルボン酸エステルを少なくとも含む物質、グリセリンとソルビトールの反応生成物、付加モル数(n)が2〜10であるポリグリセリンと複数のイソシアナト基を有する化合物との反応生成物から選ばれた1種である請求項1に記載のエピクロルヒドリンゴムホース用金型離型剤。
- 前記モノカルボン酸エステルが、前記ポリグリセリンのカプリル酸エステル、同ポリグリセリンのn−カプリン酸エステル、同ポリグリセリンラウリン酸エステル、同ポリグリセリンのオレイン酸エステル、又は前記ジカルボン酸エステルが、前記ポリグリセリンのアジピン酸エステルである請求項1に記載のエピクロルヒドリンゴムホース用金型離型剤。
- グリセリンと前記ソルビトールとがモル比で1:0.2〜0.2:1の割合で反応して得られた反応生成物であることを特徴とする請求項1に記載のエピクロルヒドリンゴムホース用金型離型剤。
- 前記複数のイソシアナト基を有する化合物がメチレンビスフェニルイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、または、イソホロンジイソシアネートのいずれかである請求項1に記載のエピクロルヒドリンゴムホース用金型離型剤。
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2007
- 2007-09-20 JP JP2007243983A patent/JP2009073030A/ja not_active Withdrawn
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