JP2009071640A - 圧電振動素板のベベル加工方法、圧電振動片、及び圧電振動子 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧電振動素板のベベル加工方法、前記ベベル加工が施された圧電振動片、及び前記圧電振動片を実装した圧電振動子を提供する。
【解決手段】水晶基板を個片化して圧電振動素板10を形成し、前記圧電振動素板10をベベル加工して圧電振動片12を形成する圧電振動素板10のベベル加工方法である。前記圧電振動素板10の外形を台形状に形成して、個片化したのち、前記圧電振動素板10をベベル加工してなる。
【選択図】図1
【解決手段】水晶基板を個片化して圧電振動素板10を形成し、前記圧電振動素板10をベベル加工して圧電振動片12を形成する圧電振動素板10のベベル加工方法である。前記圧電振動素板10の外形を台形状に形成して、個片化したのち、前記圧電振動素板10をベベル加工してなる。
【選択図】図1
Description
本発明は圧電振動素板のベベル加工方法、圧電振動片、及び前記圧電振動片を実装した圧電振動子に関する。
近年、各種電子機器や伝送通信機器の小型化や薄型化の促進に伴って、電子部品の小型化や薄型化への要求が著しくなっている。更に、携帯電話器等の通信機器に用いる基準周波数信号源として機能する圧電振動子に対しては、小型化や薄型化と共に、高い周波数安定度を有することが求められるため、周波数−温度特性が3次曲線を呈するATカット水晶振動子が用いられてきた。
ATカット水晶振動子は、厚み滑り振動モード(Thickness Shear Mode)を主振動として広く用いられている。しかし、前記厚み滑り振動モードの共振周波数近傍には、他に厚み屈曲振動(Thickness Flexual Mode)、縦振動(Longitudinal Mode)、輪郭滑り振動(Face Shear Mode)等の不要な副振動が存在することが知られており、主振動である厚み滑り振動のエネルギ分布(振動領域)が十分に中央部に集中せず、端部にまで達すると上述の他の振動が励起される。これらの不要な副振動は水晶基板の輪郭寸法に依存し、主振動により得られる所望共振周波数および主振動のQ値に悪影響を及ぼし、それによって生ずる不要スプリアス、また温度変化に対する周波数及びCI値(クリスタル・インピーダンス=水晶振動子の等価抵抗)の非連続的な変動、所謂、特異現象(Anomalous Activity Dip)等が問題となっていた。これを回避するため、水晶基板の両端部を研磨してベベルを付加することにより主振動の振動エネルギを中央部に集中させ、不要な副振動の発生を抑制するベベル加工がなされてきた(特許文献1参照)。
特開2006−352828号公報
一方、最近は接着剤からATカット水晶振動片への影響を回避するため、ATカット水晶振動片が固定端側で片持ち支持状態でパッケージにマウントされる構造が採用されてきている。しかし、このような構造を採用しても、ATカット水晶振動片をさらに小型にしていくと上述の振動領域が固定端側に及ぶことになる。これによりATカット水晶振動子の所望共振周波数等に悪影響を及ぼし、上述の問題が再び顕著となってくる。そこで本発明は上記問題点を解決し、小型化した圧電振動片においても振動領域への悪影響を回避できる圧電振動素板のベベル加工方法、及び前記ベベル加工を施した圧電振動片を実装した圧電振動子を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題を少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]水晶基板を個片化して圧電振動素板を形成し、前記圧電振動素板をベベル加工して圧電振動片を形成する圧電振動素板のベベル加工方法であって、前記圧電振動素板の外形を台形状に形成して、個片化したのち、前記圧電振動素板をベベル加工してなることを特徴とする圧電振動素板のベベル加工方法。
[適用例1]水晶基板を個片化して圧電振動素板を形成し、前記圧電振動素板をベベル加工して圧電振動片を形成する圧電振動素板のベベル加工方法であって、前記圧電振動素板の外形を台形状に形成して、個片化したのち、前記圧電振動素板をベベル加工してなることを特徴とする圧電振動素板のベベル加工方法。
これにより、台形状の圧電振動素板において、辺の長さが短い上底部は、辺の長さが長い下底部よりもベベル加工用の研磨機の内壁に対して多くの当接面を有し、そのため上底部の方が下底部よりもベベル加工がより早く進行することになる。よって、圧電振動片の最も厚い部分は中央部ではなく、下底部側に寄った位置に形成され、これを中心に厚み滑り振動の振動領域を形成することができる。また圧電振動素板の外形を台形状にすることにより、圧電振動片において短辺寸法に依存する副振動の変位パターンの対称性を崩し、即ち非対称とすることによってその振動レベルを抑制することができる。
[適用例2]前記圧電振動素板の下底部に、ベベル加工後に削除される突片を形成して、個片化したのち、前記圧電振動素板をベベル加工してなることを特徴とする適用例1記載の圧電振動素板のベベル加工方法。
これにより、適用例1と同様に圧電振動片の最も厚い部分は中央部ではなく、下底部側に寄った位置に形成され、これを中心に厚み滑り振動の振動領域を形成することができる。さらに下底部にある突片はベベル加工後に削除するので、圧電振動片の最も厚い部分は適用例1の場合に比べてさらに下底部側に寄った位置に形成される。これにより、圧電振動片の長辺方向の対称性は大きく崩れるため、上述の適用例1の効果に加えて、長辺寸法に依存する副振動の変位パターンの対称性を崩し、即ち非対称とすることによってその振動レベルを抑制することができる。
[適用例3]前記圧電振動素板の表面に金属膜をつけた状態で前記圧電振動素板をベベル加工してなることを特徴とする適用例1または2記載の圧電振動片のベベル加工方法。
これにより、ベベル加工された部分から金属膜が剥げるので、ベベル加工の視認性が確保されベベル形状の計測が容易となるとともに、ベベル加工されない面は前記金属膜で保護することになるので、その面の平坦性は確保され、台形圧電振動子のQ値等の特性の劣化を防ぐことができる。
[適用例4]水晶基板をメサ型にしたのち個片化して圧電振動素板を形成し、前記圧電振動素板をベベル加工して圧電振動片を形成する圧電振動素板のベベル加工方法であって、前記圧電振動素板の外形を台形状に形成し、前記圧電振動素板のメサ部は前記圧電振動素板の下底部側に寄せて形成して前記圧電振動素板を個片化したのち、前記圧電振動素板をベベル加工してなることを特徴とする圧電振動素板のベベル加工方法。
これにより、適用例1と同様の理由から圧電振動片の下底部側に寄せて形成されたメサ部がベベル加工によって最も厚い部分となるので、前記メサ部に主振動の振動エネルギを集中させ、これを中心に厚み滑り振動の振動領域を形成することができる。また圧電振動片の外形が台形状に形成されるため、メサ部から漏れる振動エネルギに起因して生じる短辺寸法に依存する副振動の変位パターンの対称性を崩し、即ち非対称とすることによってその振動レベルを抑制することができる。
[適用例5]水晶基板をメサ型にしたのち個片化して圧電振動素板を形成し、前記圧電振動素板をベベル加工して圧電振動片を形成する圧電振動素板のベベル加工方法であって、前記圧電振動素板の外形を、台形状であってその下底部にベベル加工後に削除される突片を有する形状に形成し、前記圧電振動素板のメサ部は前記圧電振動素板の下底部側に寄せて形成して、個片化したのち、前記圧電振動素板をベベル加工してなることを特徴とする圧電振動素板のベベル加工方法。
これにより、適用例4と同様に、圧電振動片の下底部側に寄せて形成されたメサ部がベベル加工によって最も厚い部分となるので、前記メサ部に主振動の振動エネルギを集中させ、これを中心に厚み滑り振動の振動領域を形成することができる。さらに下底部の突片はベベル加工後に削除されるので、適用例4の場合よりメサ部はさらに下底部側に位置するように設計することができる。これにより、メサ部から漏れる振動エネルギに起因して生じる短辺寸法のみならず、長辺寸法に依存する副振動の変位パターンの対称性を崩し、即ち非対称とすることによってその振動レベルを抑制することができる。
[適用例6]前記メサ部の外形は主振動の振動領域の形状に合わせて形成してなることを特徴とする適用例4記載の圧電振動素板のベベル加工方法。
これにより、主振動の振動領域が形成する楕円と同じ寸法のメサ部を形成することができ、その後にメサ部全体に電極を形成しても水晶振動子の並列容量が大きくなることを防ぐことができる。
これにより、主振動の振動領域が形成する楕円と同じ寸法のメサ部を形成することができ、その後にメサ部全体に電極を形成しても水晶振動子の並列容量が大きくなることを防ぐことができる。
[適用例7]前記メサ部の表面に金属膜をつけた状態で前記メサ型圧電振動素板をベベル加工してなることを特徴とする適用例4乃至6のいずれか1に記載のメサ型圧電振動素板のベベル加工方法。
これにより、ベベル加工された部分から金属が剥げるので、周縁部におけるベベル加工の視認性が確保されベベル形状の計測が容易となるとともに、メサ部は金属膜で保護されるため、直接ベベル加工されること及び表面が傷つくことを回避し、メサ型圧電振動子のQ値等の特性の劣化を防ぐことができる。
これにより、ベベル加工された部分から金属が剥げるので、周縁部におけるベベル加工の視認性が確保されベベル形状の計測が容易となるとともに、メサ部は金属膜で保護されるため、直接ベベル加工されること及び表面が傷つくことを回避し、メサ型圧電振動子のQ値等の特性の劣化を防ぐことができる。
[適用例8]外形が台形状の圧電振動片であって、前記圧電振動片の最も厚い部分がベベル加工により下底側に寄った位置で形成されてなることを特徴とする圧電振動片。
これにより、圧電振動片の下底側に寄った位置で形成された最も厚い部分を中心に厚み滑り振動の振動領域を形成する圧電振動片となる。また圧電振動素板の外形を台形状にすることにより、圧電振動片において短辺寸法に依存する副振動の変位パターンの対称性を崩し、即ち非対称とすることによってその振動レベルを抑制できる圧電振動片となる。
[適用例9]外形が台形状の周縁部と、前記周縁部上であって下底側に寄せて形成されるメサ部と、からなる圧電振動片であって、前記圧電振動片の最も厚い部分がベベル加工により前記メサ部上であって下底側に寄った位置で形成されてなることを特徴とする圧電振動片。
これにより、圧電振動片の下底部側に寄せて形成されたメサ部に主振動の振動エネルギを集中させ、これを中心に厚み滑り振動の振動領域を形成する圧電振動片となる。また圧電振動片の外形が台形状に形成されるため、メサ部から漏れる振動エネルギに起因して生じる短辺寸法に依存する副振動の変位パターンの対称性を崩し、即ち非対称とすることによってその振動レベルを抑制する圧電振動片となる。
[適用例10]適用例7または8記載の圧電振動片を、その上底部を固定端として片持ち支持状態で実装してなることを特徴とする圧電振動子。
これにより、圧電振動片の最も厚い部分から最も遠い位置にある上底部を固定端として片持ち支持状態でパッケージに実装することになり、小型化しても固定端から振動領域への干渉を回避できる圧電振動子となる。
これにより、圧電振動片の最も厚い部分から最も遠い位置にある上底部を固定端として片持ち支持状態でパッケージに実装することになり、小型化しても固定端から振動領域への干渉を回避できる圧電振動子となる。
以下に、本発明に係る圧電振動片のベベル加工方法、圧電振動片および圧電振動子について説明する。図1は第1実施形態に係る台形圧電振動素板10の概略図である。台形圧電振動素板10は、その外形を台形状に形成し、前記台形圧電振動素板10の外形に従って水晶基板から個片化して得られる。なお、台形圧電振動素板10は、その短辺において短い方を上底部10a、長い方を下底部10bとし、一方、長辺において側面部10dとから構成されている。
第1実施形態に係るベベル加工前の台形圧電振動素板10は、具体的には以下のようにフォトリソ加工およびエッチングにより形成される。まず所定の厚さに加工され鏡面研磨された水晶基板の表裏両面に蒸着若しくはスパッタリングよってCr膜、Au膜からなる金属膜を形成する。ここでCr膜はAu膜と水晶基板との密着性を向上させる中間層として作用し、Au膜は後ほど水晶基板をエッチングする際に用いるフッ酸とフッ化アンモニウム溶液の混合液に対する耐蝕膜として作用する。このように形成した金属膜の上にフォトレジスト層を塗布する。塗布には例えばスピンコータが用いられる。所定の温度でフォトレジスト層を乾燥させる工程(プリベーク)のあと、台形形状の台形圧電振動片10の外形をフォトマスクを用いて露光、現像し、台形圧電振動片10の外形の内側にフォトレジスト層が残るようにパターニングし、不要な部分となる外側の金属膜を露出させる。次に露出させた金属膜をAu膜、Cr膜の順番にエッチングにより除去する。この工程においてフォトレジスト層は剥離される。次に上述の水晶エッチング用の混合液で露出した水晶基板をエッチングする。
このエッチングにより水晶基板からパターニングされた台形形状の台形圧電振動素板10が個片化される。このとき、水晶基板はエッチングにより厚さ方向だけでなく、横方向(側面)にもエッチングされるので、エッチング後は図1(b)、(c)、(d)に示すようにその断面は矩形とはならず、台形圧電振動素板10の端面に凸部10gが形成されることになる。そして、水晶基板をエッチングしたのち、残りの金属膜をAu膜、Cr膜の順番にエッチングにより除去する。こうして得られた台形圧電振動素板10をスラリー状の研磨剤とともにベベル加工用の研磨機に投入して台形圧電振動片12を形成する。
図2に台形圧電振動片12をベベル加工する場合の概略図を示す。図2に示されるベベル加工用の研磨機の内壁14は、球面若しくは円筒面を有し、球の中心若しくは円筒体の中心軸を回転軸にもち、板状の圧電振動素板を研磨剤とともに前記内壁14に当接させ、回転によって生じる摩擦により研磨するものである。したがって、ベベル加工後の圧電振動片の両面には前記内壁14の曲面が転写されることとなる。矩形の圧電振動素板を用いた場合は、ベベル加工開始直後は圧電振動片の4つの角において内壁14と当接し、その後4つの角それぞれを中心として同心円状にベベル加工が進行し、結果的に中央部分が最も厚みのある圧電振動片となる。
しかし、第1実施形態にかかる台形圧電振動素板10は図2(a)及び(b)に示すように、その上底角部10e、及び下底角部10fが内壁14に当接することになるが、上底部10a、及び下底部10bの内壁14への当接の仕方が異なる。すなわち、上底部10aの中央から内壁14までの隙間14aは下底部10bと比較して小さくなくなるだけでなく、上述のように台形圧電振動素板10はその端面に凸部10gが形成されているため、この凸部10gも含み上底部10aは全体的に内壁14に近接することになる。つまりフォトリソ加工及びエッチング工程により台形圧電振動素板10が形成された段階ですでに上底部10aはベベル加工がある程度進行した状態になっているといえる。
よって、上底部10aは下底部10bよりも多くの領域で内壁14に当接し、さらにスラリー状の研磨剤もベベル加工時は内壁14に対して一定の厚みを維持していることから、ベベル加工開始直後から上底部10aのベベル加工は上底角部10eを含みかなり広い範囲で行われることとなる。一方、下底部10bは下底角部10f近傍のみでベベル加工が進行することになる。
図3に示すように、上記工程により得られる台形圧電振動片12は外形が台形状に個片化され、ベベル加工により前記圧電振動片12の最も厚い部分が下底側に寄った位置で形成されてなることを特徴としている。
したがって、第1実施形態によれば、ベベル加工用の研磨機の内壁14に対して台形圧電振動素板10の上底部10aの方が下底部10bより多く当接面を有し、そのため上底部10aの方が下底部10bよりもベベル加工がより早く進行することになる。よって、台形圧電振動片12の最も厚い部分である最厚部12cは中央部ではなく、下底部12b側に寄った位置に形成され、これを中心に厚み滑り振動の振動領域を形成することができる。また台形圧電振動素板10の外形を台形状にすることにより、圧電振動片12において短辺寸法に依存する副振動の変位パターンの対称性を崩し、即ち非対称とすることによってその振動レベルを抑制することができる。このとき台形圧電振動片12の重心もベベル加工後は下底部12b側に移動することになる。
なお、圧電振動素板の上底部10a、下底部10bの長さおよび両者の比は、上述のように下底部10bより上底部10aのほうが研磨面をより多くとれるように、台形圧電振動素板10の形状、内壁14の曲率、研磨剤が研磨時に内壁14に形成する厚み等を考慮して最適化される。また台形圧電振動素板10の凸部10gの形状は、エッチング剤の種類や濃度、エッチングを行う温度や時間、エッチングを行う水晶基板の結晶面およびその形状等に依存する。
第1実施形態においては、台形圧電振動片12の最厚部12cを下底部12b側に寄せる距離には制限があり、長辺寸法に依存する副振動の抑制には十分に対応できないので次の第2実施形態を用いる。
図4(a)に第2実施形態に係る突片付き圧電振動素板16の概略図を示す。第2実施形態に係る突片付き圧電振動素板16のベベル加工方法は第1実施形態の場合とほぼ同様であるが、圧電振動素板の外形を、台形状であってその下底部にベベル加工後に削除される突片を有する形状に形成して、前記圧電振動素板を水晶基板から個片化したのち、前記圧電振動素板をベベル加工している。
この突片付き圧電振動素板16の形成方法は第1実施形態と同様であるが、フォトリソ加工のパターニングにおいて下底部16bに矩形の突片16dが複数付加された形態を有している点で異なっている。なお、上述と同様の理由から上底部16aおよび下底部16bにある突片16dを含み突片付き圧電振動素板16の端面には凸部(不図示)が形成されている。
ベベル加工時において、研磨機の内壁14には上底部16aと突片16dが当接するので、上底部16aと突片16dがベベル加工され、下底部16bはほとんどベベル加工されないこととなる。
よって、図4(b)に示されるように、この第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、ベベル加工後の台形圧電振動片18の最も厚い部分である最厚部18cは中央部ではなく、下底部18b側に寄った位置に形成され、これを中心に厚み滑り振動の振動領域を形成することができる。下底部18bにある突片18dはベベル加工後に削除するので、突片18dを削除して得られる台形圧電振動片18の最も厚い部分は第1実施形態の場合に比べてさらに下底部18b側に寄った位置に形成される。なお、端面には第1実施形態同様に凸部18eが形成されている。これにより、台形圧電振動片18の長辺方向の対称性は大きく崩れるため、上述の第1実施形態の効果に加えて、長辺寸法に依存する副振動の変位パターンの対称性を崩し、即ち非対称とすることによってその振動レベルを抑制することができる。
なお、第2実施形態においては、突片付き圧電振動素板16の外形を矩形としてもよい。この場合、矩形の圧電振動素板(不図示)の短辺に上述の突片(不図示)を加えた形態の圧電振動素板(不図示)をベベル加工したのち、前記突片(不図示)をエッチングにより除去して圧電振動片(不図示)を得ることができる。このとき圧電振動片の最厚部(不図示)は突片の付いていた側に存在することになる。また第2実施形態において下底部16bに突片16dを複数付加しているが、下底部16bと同じ長さの長辺を有する矩形の突片を付加した形態でもよい。
第1実施形態および第2実施形態においては圧電振動片が平板であったが、第3実施形態においては高いQ値が得られるメサ構造を用いた第3実施形態について説明する。
図5(a)に第3実施形態に係るメサ型圧電振動素板20を示す。
第3実施形態にかかるメサ型圧電振動素板20のベベル加工方法は、水晶基板をメサ型にしたのち個片化してメサ型圧電振動素板20を形成し、前記メサ型圧電振動素板20をベベル加工してメサ型圧電振動片22を形成するメサ型圧電振動素板20のベベル加工方法であって、前記メサ型圧電振動素板20の外形を台形状に形成し、前記メサ型圧電振動素板20のメサ部20bは前記メサ型圧電振動素板20の下底部20e側に寄せて形成して、個片化したのち、前記メサ型圧電振動素板20をベベル加工している。
第3実施形態にかかるメサ型圧電振動素板20のベベル加工方法は、水晶基板をメサ型にしたのち個片化してメサ型圧電振動素板20を形成し、前記メサ型圧電振動素板20をベベル加工してメサ型圧電振動片22を形成するメサ型圧電振動素板20のベベル加工方法であって、前記メサ型圧電振動素板20の外形を台形状に形成し、前記メサ型圧電振動素板20のメサ部20bは前記メサ型圧電振動素板20の下底部20e側に寄せて形成して、個片化したのち、前記メサ型圧電振動素板20をベベル加工している。
メサ型圧電振動素板20は水晶基板をフォトリソ加工およびエッチングにより個片化することにより得られ、台形形状の周縁部20aと、前記周縁部20aの両面において下底部20e側に寄せて形成されるメサ部20bから構成されている。このとき、メサ部20bは、第1実施形態における台形圧電振動片12の最厚部12cの位置を参考にして、主振動の振動領域を包含する位置に形成する必要がある(図1(e)、図5(a)参照)。
第3実施形態に係るメサ型圧電振動素板20は、具体的には以下のように形成される。まず所定の厚さに加工され鏡面研磨された水晶基板の表裏両面に第1実施形態と同様に金属膜を形成し、その上にフォトレジスト層を塗布する。そしてメサ部20bと同一の外形をフォトマスクを用いて露光、現像し、前記外形の内側にフォトレジスト層が残るようにパターニングし、不要な部分となる外側の金属膜を露出させ、露出させた金属膜をエッチングにより除去する。そして水晶基板を一定深さまでエッチングし、これによりメサ部20bが形成される。そしてエッチングされた水晶基板に再び金属膜、その上にフォトレジスト層を塗布し、周縁部20aと同一の外形を露光、現像し、不要な部分となる外側の金属膜を露出させ、露出させた金属膜をエッチングにより除去する。この状態で水晶基板に対してエッチングを行う。このエッチングにより水晶基板にパターニングされた台形形状のメサ型圧電振動素板20に個片化される。このとき、メサ型圧電振動素板20の周縁部20aの端面には第1実施形態と同様に凸部(不図示)を有する。
残りの金属膜をエッチングにより除去して得られるメサ型圧電振動素板20に対してベベル加工を行なう。このとき、第1実施形態の場合と同様に、下底部20eより上底部20dの方がベベル加工が進行することになる。
こうして得られるメサ型圧電振動片22は図5(b)に示すように、外形が台形状の周縁部22aと、前記周縁部22a上であって下底部22d側に寄せて形成されるメサ部22bと、からなるメサ型圧電振動片22であって、ベベル加工により前記メサ型圧電振動片22の最も厚い部分が前記メサ部22b上であって下底部22d側に寄った位置で形成されてなることを特徴としている。なお、前記メサ型圧電振動片22の端面には凸部22fが形成されている。
よって、この第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の理由から、メサ型圧電振動片22の下底部22e側に寄せて形成されたメサ部22bがベベル加工によって最も厚い部分となるので、前記メサ部22bに主振動の振動エネルギを集中させ、これを中心に厚み滑り振動の振動領域を形成することができる。またメサ型圧電振動片22の外形が台形状に形成されるためメサ部22bから漏れる振動エネルギに起因して生じる短辺寸法に依存する副振動の変位パターンの対称性を崩し、即ち非対称とすることによってその振動レベルを抑制することができる。
第3実施形態において、メサ型圧電振動素板20のメサ部20bの形状は厚み滑り振動の主振動の振動領域を包含するものであれば特に限定されることはなく(図5(a)では台形を用いている。)、矩形でも6角形でも適用できるが、主振動の振動領域はメサ型圧電振動片22の長辺方向を長辺とする楕円形を形成する。よって、図5(c)に示すように、この主振動の振動領域が形成する楕円と同じ寸法のメサ部20fを形成することにより、その後にメサ部全体に電極を形成しても水晶振動子の並列容量が大きくなることを防ぐことができる。
また、第3実施形態において、第2実施形態の構成を付加することができる。即ち、メサ型圧電振動素板20の周縁部20aの下底部20eに突片(不図示)を設けた形態の突片付きメサ型圧電振動片(不図示)を形成し、これをベベル加工したのち、エッチングにより前記突片(不図示)を除去する。このときメサ部(不図示)は、第2実施形態にかかる台形圧電振動片18の最厚部18cの位置を参考にして、これを包含する位置に形成する必要がある。この場合、第3実施形態におけるメサ部(不図示)はさらに下底部(不図示)側に配置されることとなる。
こうして得られるメサ型圧電振動片(不図示)は、第3実施形態と同様に、圧電振動片の下底部側に寄せて形成されたメサ部がベベル加工によって最も厚い部分となるので、前記メサ部に主振動の振動エネルギを集中させ、これを中心に厚み滑り振動の振動領域を形成することができる。さらに下底部の突片はベベル加工後に削除されるので、第3実施形態の場合よりメサ部はさらに下底部側に位置するように設計することができる。これにより、メサ部から漏れる振動エネルギに起因して生じる短辺寸法のみならず、長辺寸法に依存する副振動の変位パターンの対称性を崩し、即ち非対称とすることによってその振動レベルを抑制することができる。
図6に示すように、いずれの実施形態においても、フォトリソ加工時の金属膜24をつけたまま、ベベル加工することができる。これにより第1実施形態、及び第2実施形態(図6(a)参照)においては、ベベル加工された部分から金属膜24が剥げるので、ベベル加工の視認性が確保されベベル形状の計測が容易となる。一方、ベベル加工されない面は前記金属膜24で保護することになるので、その面が傷つくことを回避して、台形圧電振動子のQ値等の特性の劣化を防ぐことができる。また上述同様の理由から第3実施形態においては(図6(b)参照)周縁部22aのベベル加工の視認性が確保されベベル形状の計測が容易となる。そして、メサ部22bが前記金属膜で保護され、メサ部22bを覆う金属膜24がベベル加工されるが、メサ部22bが直接ベベル加工されること、または表面が傷つくことを回避し、メサ型圧電振動子のQ値等の特性の劣化を防ぐことができる。そしてベベル加工後はエッチングにより金属膜24を剥離すればよい。
メサ型圧電振動片22においては、その寸法によってスプリアス等の不要振動の発生条件が異なるため、これに応じてベベル加工の仕方も周縁部22a、及びメサ部22bでそれぞれ異なる場合が発生する。このとき、周縁部22a及びメサ部22bにそれぞれ必要なベベル加工の進行具合に対応するように新たに金属膜(不図示)をパターニングする必要がある。例えば、周縁部22aは金属膜(不図示)は形成せず、または周辺部を残して形成し、一方メサ部全面には金属膜(不図示)形成する、またはメサ部の周辺部を残して形成する。これらの形態を組み合わせて金属膜をメサ型圧電振動片22にパターニングすることができる。これにより、金属膜(不図示)で覆われた部分はベベル加工はなされず表面が傷つくことを回避し、もしくはベベル加工の進行を抑制し、一方、金属膜(不図示)で覆わない部分のベベル加工は他の部分よりも進行させることができる。したがって、上述の金属膜(不図示)のパターニングにより、メサ型圧電振動片22において、その寸法に応じた不要振動抑制のための最適なベベル加工を行うことができる。
図7に示すように、いずれの実施形態においても、圧電振動片をその上底部を固定端として片持ち支持状態でパッケージ26に実装できる。なお、図7では第3実施形態にかかるメサ型圧電振動片を実装している。圧電振動片の最も厚い部分である最厚部から最も遠い位置にある上底部を固定端として片持ち支持状態でパッケージ26にマウント用接着剤28で接着して実装することで、小型化しても固定端から主振動の振動領域への干渉を回避できる圧電振動子を形成することができる。またメサ構造の圧電振動子の場合はメサ部から最も遠い位置にある上底部を固定端として片持ち支持状態でパッケージ26にマウント用接着剤28で接着して実装することで、小型化しても固定端から振動領域への干渉を回避できる圧電振動子を形成することができる。
いずれの実施形態においてもATカット水晶基板からなる圧電振動片を前提に述べてきたが、これに限定されることはなく、他の厚み滑り振動を主振動とするATカット、BTカット、FCカット、ITカット、SCカット、NYカット等の水晶基板からなる圧電振動片にも適用できる。また水晶基板以外の圧電材料、例えばランガサイト、四ホウ酸リチウム、ニオブ酸リチウムなどについても適用することができる。
10………台形圧電振動素板、10a………上底部、10b………下底部、12………台形圧電振動片、12a………上底部、12b………下底部、12c………最厚部、14………内壁、14a………隙間、16………突片付き圧電振動素板、20………メサ型圧電振動素板、22………メサ型圧電振動片、24………金属膜、26………パッケージ、28………マウント用接着剤。
Claims (9)
- 水晶基板を個片化して圧電振動素板を形成し、前記圧電振動素板をベベル加工して圧電振動片を形成する圧電振動素板のベベル加工方法であって、
前記圧電振動素板の外形を台形状に形成して、個片化したのち、前記圧電振動素板をベベル加工してなることを特徴とする圧電振動素板のベベル加工方法。 - 前記圧電振動素板の下底部に、ベベル加工後に削除される突片を形成して、個片化したのち、前記圧電振動素板をベベル加工してなることを特徴とする請求項1記載の圧電振動素板のベベル加工方法。
- 前記圧電振動素板の表面に金属膜をつけた状態で前記圧電振動素板をベベル加工してなることを特徴とする請求項1または2記載の圧電振動片のベベル加工方法。
- 水晶基板をメサ型にしたのち個片化して圧電振動素板を形成し、前記圧電振動素板をベベル加工して圧電振動片を形成する圧電振動素板のベベル加工方法であって、
前記圧電振動素板の外形を台形状に形成し、前記圧電振動素板のメサ部は前記圧電振動素板の下底部側に寄せて形成して前記圧電振動素板を個片化したのち、前記圧電振動素板をベベル加工してなることを特徴とする圧電振動素板のベベル加工方法。 - 前記メサ部の外形は主振動の振動領域の形状に合わせて形成してなることを特徴とする請求項4記載の圧電振動素板のベベル加工方法。
- 前記メサ部の表面に金属膜をつけた状態で前記メサ型圧電振動素板をベベル加工してなることを特徴とする請求項4または5記載のメサ型圧電振動素板のベベル加工方法。
- 外形が台形状の圧電振動片であって、前記圧電振動片の最も厚い部分がベベル加工により下底側に寄った位置で形成されてなることを特徴とする圧電振動片。
- 外形が台形状の周縁部と、前記周縁部上であって下底側に寄せて形成されるメサ部と、からなる圧電振動片であって、前記圧電振動片の最も厚い部分がベベル加工により前記メサ部上であって下底側に寄った位置で形成されてなることを特徴とする圧電振動片。
- 請求項7または8記載の圧電振動片を、その上底部を固定端として片持ち支持状態で実装してなることを特徴とする圧電振動子。
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-
2007
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