JP2009070746A - 中空陰極の製造用治具と製造方法及び中空陰極 - Google Patents

中空陰極の製造用治具と製造方法及び中空陰極 Download PDF

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Abstract

【課題】中空陰極の円筒内側表面にのみ蒸着炭素膜を成膜する。
【解決手段】(i)短辺上端を円弧状に成形した導電性の矩形板状体からなり、(ii)上記矩形板状体の長辺側面に沿って、(ii-1)長辺側面に開口し、かつ、(ii-2)一端を閉じた円筒の中空陰極部材、又は、一端を閉じた円筒の外側底部に接続用端子を備える中空陰極部材を、長辺側面に垂直に、密着状態で収容する部材収容孔が形成されている治具を用いて、中空陰極の円筒内側表面にのみ炭素膜を成膜する。
【選択図】図3

Description

本発明は、中空陰極を製造するために用いる治具、該治具を用いて行う中空陰極の製造方法、及び、該製造方法で製造した中空陰極に関するものである。
従来から、液晶テレビジョンや液晶ディスプレイ等の液晶表示機器において画像を鮮麗、精細に表示するためのバックライトの光源として、主に、冷陰極蛍光ランプが使用されている。冷陰極蛍光ランプは、板状、筒状又は棒状の電極を使用できるので、コイル状のフィラメント電極を使用する熱陰極蛍光ランプに比べ、電極構造が簡単であり、ランプの細管化が期待でき、また、それに伴い、液晶表示機器の小形化も期待できる。
しかし、近年、液晶表示機器類の高性能化に伴い、光源としての蛍光ランプに対しても、高輝度化、低消費電力化、及び、小形化が、強く要求されるようになった(非特許文献1、参照)。
蛍光ランプの設計要素に、電極構造と電極材料がある。冷陰極電極は、その構造から、長寿命で、細管化し易いという長所をもっているが、逆に、電流密度が小さく、電極損失が大きく、そのため、高輝度化、高効率化(低消費電力化)を図る点で課題を抱えている(非特許文献1、参照)。
冷陰極電極の電極材料については、従来から、加工性に優れたNiが、主として使用されている。Niは、Moや、Nbのような高融点材料に比べ安価であるが、汎用材料に比べ高価であり、蛍光ランプの低コスト化を図る点で課題を抱えている。
電極から電子が放出し易い電極構造又は電極材料を採用することが、上記課題を解決するための有効策であることが、従来から知られていて、これまで、種々の提案がなされている(例えば、特許文献1〜4、参照)。
特許文献1には、内側電極と、該内側電極を囲繞する外側電極からなる冷陰極において、内側電極を、外側電極を構成する金属(W、Ni、Cu、Feの少なくとも1種)より仕事関数の低い金属(Zr、Alの少なくとも1種)で構成することが記載されている。
特許文献2には、Ni又はNi−Fe合金で構成する円筒型電極の円筒内底部に、仕事関数の小さいAl、Zr、又は、Al−Zr合金で構成した円板形状又は有底円筒形状の内部電極を設けた冷陰極が記載されている。
このように、仕事関数の小さい金属で構成した電極を併用すると、電極全体をNiだけで構成した場合に比べ、仕事関数が低い分、電子の放出や、取込みが容易となり、陰極降下電圧が低くなるので、電力消費や発熱を増大せずに、ランプ電流を増加させることができる。
しかし、AlやZrは、水銀アマルガムを作り易い性質を有する金属であり、電極表面で必然的に生じるスパッタ現象による電極の消耗、及び、水銀アマルガムの生成は避けられず、蛍光ランプの長寿命化には限界がある。
特許文献3には、表面に、蛍光ランプの点灯時に誘電体として機能する、絶縁体からなる電極被覆層を形成し、さらに、その上に、電子放射性物質からなる層を形成した電極が記載されている。しかし、電極は、電子放射性物質がある間は、期待通り機能するが、電子放射性物質が消耗するに従って機能が低下するので、蛍光ランプの高輝度化、長寿命化には限界がある。
特許文献4には、上記限界を踏まえ、電極表面を、水銀アマルガムを作り難い、Zr、W、Ta、Ti、Nb、Hf、Moの1種又は2種以上の炭化物とした冷陰極が記載されている。この冷陰極により、蛍光ランプを小型化、高輝度化することができるが、近年、蛍光ランプに対して強く要求されている高輝度、低消費電力、及び、小形化のレベルには達していないし、また、長寿命化の点でも限界がある。
近年、低電圧下で作動し、高輝度を得ることができる電極として、表面に、カーボンナノチューブ膜を形成した電界放出型冷陰極が提案されている(特許文献5〜7、参照)。しかし、上記陰極は平面電極であり、中空電極の円筒の内側表面に炭素膜を成膜する方法は開発されていない。
特開平09−204899号公報 特開2002−117804号公報 特開2004−207183号公報 特開2005−085472号公報 特開2001−015077号公報 特開2004−281388号公報 特開2007−188662号公報 光技術情報誌「ライトエッジ」No.2/特集 液晶バックライト光源(1995年春、発行)
中空電極の円筒内部表面に炭素膜を成膜することができれば、蛍光ランプの細管化、高輝度化、及び、低消費電力化を、より一層推進し、液晶表示機器の一層の小形化を達成することができる。そこで、本発明は、中空電極の円筒内側表面に蒸着炭素膜を成膜することを課題とする。
本発明者らは、プラズマ蒸着法を用いて上記課題を解決することを鋭意研究した。その結果、(i)一端を閉じた円筒の中空陰極部材、又は、円筒の外側底部に接続用端子を備えた中空陰極部材を準備し、(ii)中空陰極部材を特定構造の治具に装着してプラズマ蒸着を行うと、中空電極の円筒の内側表面にのみ、炭素膜を成膜することができることを見出した。なお、プラズマ蒸着による炭素膜の形成については後述する。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
(1) 円筒の外側底部に接続用端子を備え、円筒の内側表面に蒸着炭素膜を備える中空陰極の製造に用いる治具であって、
(i)短辺上端を円弧状に成形した導電性の矩形板状体からなり、
(ii)上記矩形板状体の長辺側面に沿って、
(ii-1)長辺側面に開口し、かつ、
(ii-2)一端を閉じた円筒の中空陰極部材、又は、一端を閉じた円筒の外側底部に接続用端子を備える中空陰極部材を、長辺側面に垂直に、密着状態で収容する部材収容孔が形成されている
ことを特徴とする中空陰極の製造用治具。
(2) 前記矩形板状体が、融点800℃以上で、中空陰極部材と同じ金属材料、中空陰極部材の熱膨張率とほぼ同じ熱膨張率を有する金属材料、及び、中空陰極部材の熱膨張率より小さい熱膨張率を有する金属材料のいずれかで構成されていることを特徴とする前記(1)に記載の中空陰極の製造用治具。
(3) 前記矩形板状体が、中空陰極部材の熱膨張率とほぼ同じ熱膨張率を有する導電性のセラミック材料、又は、中空陰極部材の熱膨張率より小さい熱膨張率を有する導電性のセラミック材料で構成されていることを特徴とする前記(1)に記載の中空陰極の製造用治具。
(4) 前記部材収容孔が、前記矩形板状体の長辺側面に沿って、一列に配設されていることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の中空陰極の製造用治具。
(5) 前記部材収容孔が、前記矩形板状体の長辺側面に沿って、上下、複数列で配設されていることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の中空陰極の製造用治具。
(6) 前記矩形板状体の長辺側面に、一端を閉じた円筒の端部を覆うように加工した円孔を有する側面マスク部材を取り付けたことを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の中空電極の製造用治具。
(7) 前記(1)〜(6)のいずれかに記載の中空陰極の製造用治具を用いて中空陰極を製造する方法であって、
(i)一端を閉じた円筒の中空陰極部材、又は、一端を閉じた円筒の外側底部に接続用端子を備える中空陰極部材を、上記製造用治具の部材収容孔に装着し、
(ii)中空陰極部材を装着した製造用治具を、プラズマ蒸着装置のアノード側の電極上に載置し、
(iii)上記製造用治具の周囲に、炭素ラジカルを含むプラズマ雰囲気を形成して、中空陰極部材の円筒の内側表面にのみ炭素膜を成膜する、
ことを特徴とする中空陰極の製造方法。
(8) 前記中空陰極部材の円筒が、Ni、Nb、Mo、Fe、及び、それらの合金のいずれかで構成されていることを特徴とする前記(7)に記載の中空電極の製造方法。
(9) 前記炭素膜が、ナノ構造を有する炭素膜であることを特徴とする前記(7)又は(8)に記載の中空陰極の製造方法。
(10) 一端を閉じた円筒からなる中空電極、又は、一端を閉じた円筒の外側底部に接続用端子を備える中空陰極において、円筒の内側表面にナノ構造炭素膜が成膜されていることを特徴とする中空陰極。
(11) 前記円筒が、Ni、Nb、Mo、Fe、及び、それらの合金のいずれかで構成されていることを特徴とする前記(10)に記載の中空電極。
本発明によれば、蛍光ランプの細管化、高輝度化、及び、低消費電力化を、より一層推進し、液晶表示機器の一層の小形化を達成することができる。
本発明について、図面に基づいて説明する。
まず、図1に、従来の蛍光ランプ用中空電極の製造工程を示す。Ni、Mo、Zr、W、Nb製、又は、これらの合金製の円筒部材1、電極端子2、及び、リード線3を溶接等で接合し一体化する。次いで、電極を蛍光ランプに封入して固定するためのガラスビード4を、電極端子2に形成する。
図1に示す従来工程において、炭素膜を内側表面に形成した円筒部材1を用いると、円筒部材1と電極端子2を溶接する時の熱で、炭素膜が消失する。次の工程でのガラスビード4の形成は、通常、酸水素炎を用いて、空気中で行うが、その時の熱と雰囲気で、さらに、炭素膜が消失する。
そこで、本発明者らは、炭素膜を内側表面に形成した円筒部材1を用いても、製造中に炭素膜が消失しまい蛍光ランプ用中空電極の製造工程を開発した。その製造工程を、図2に示す。
図2に示す製造工程においては、円筒1bの外側底部に端子部材2aを設けた円筒部材1aを準備し、プラズマ蒸着装置7で、円筒1bの内側表面のみに炭素膜を成膜し(この成膜については、後述する。)、その後、端子部材2aに、別途、リード線3を接合し、さらに、ガラスビード4を形成した電極端子2bを嵌め込み、嵌込み外周部を溶接する。
なお、電極端子2bへの、リード線3の接合、及び、ガラスビーズ4の形成は、従来手法で行ってよい。
円筒部材1aと電極端子2bの接合において、嵌込み−溶接の接合形態を採用すると、溶接は、嵌込み外周部を溶接するだけでよいので、円筒部材1aへの伝熱量が低減し、その結果、円筒1bの内側表面に成膜した炭素膜を損なうことなく、円筒部材1aと電極端子2bを接合することができる。なお、本発明者は、嵌込み−溶接の接合部は、強度の点で充分なものであることを確認した。
ここで、円筒部材1aの円筒1bの内側表面のみに炭素膜を成膜する方法について説明する。
炭素膜の成膜は、基本的には、プラズマ蒸着法によるが、所要の内径及び奥行きを有する円筒の内側表面のみへの成膜であるから、平面電極への成膜とは異なり、成膜手法及び手段は単純ではない。
本発明者らは、鋭意検討の結果、図3に示す構造の治具を用いると、プラズマ蒸着法で、炭素膜を、円筒部材の円筒内側表面にのみに成膜することができることを見出した。
図3に示す治具(以下「本発明治具」ということがある)の本体は、導電性の矩形板状体5で構成されていて、その長辺側面に沿って、
(ii-1)長辺側面に開口し、かつ、
(ii-2)一端を閉じた円筒の中空陰極部材、又は、一端を閉じた円筒の外側底部に接続用端子を備える中空陰極部材(図2、参照)を、長辺側面に垂直に、密着状態で収容する部材収容孔6が形成されている。
炭素膜の成膜は、本発明治具を、プラズマ蒸着装置のアノード側電極に載置して行うが、プラズマ放電が矩形板状体5の短辺の上端部に集中するのを抑制するため、該上端部は、所要の曲率半径Rで、円弧状に成形されている。
なお、矩形板状体5の短辺の下端部、及び、長辺の上端部及び下端部に、特別の加工を施す必要はないが、面取り程度の加工を施しておくのが好ましい。
図3では、部材収容孔6を、矩形板状体5の長辺側面に沿って一列に配設した態様を示したが、部材収容孔6は、矩形板状体の長辺側面に沿って、上下、複数列で配設してもよい。
矩形板状体5は、プラズマ蒸着装置のアノード側電極に載置され、電極と一体となって、円筒部材の円筒内側表面のみの成膜を達成するものであるから、通常、金属材料で構成するが、導電性のセラミック材料で構成してもよい。金属材料は、プラズマ雰囲気温度に耐え得るよう、融点800℃以上の金属材料が好ましい。
円筒の内側表面のみへの成膜を達成するためには、中空陰極部材と部材収容孔の密着性を確保し、中空陰極部材の円筒の外側と部材収容孔の間に炭素が侵入するのを防止する必要がある。そのため、矩形板状体5を、中空陰極部材の金属材料と同じ金属材料、又は、熱膨張率が中空陰極部材の熱膨張率とほぼ同じか又は小さい金属材料で構成する。
中空陰極部材の円筒の外側と中空陰極部材との間隙を、0.1mm以上(通常の間隙)とすると、円筒の外側に炭素膜が形成されてしまう。本発明者らの実験によれば、上記間隙は、0.08mm以下にすることが好ましい。0.08mm以下の間隙であれば、中空陰極部材と部材収容孔の密着性を充分に確保することができ、中空陰極部材の円筒の外側と部材収容孔の間に炭素が侵入するのを確実に防止することができる。
また、中空陰極部材の円筒の外側と部材収容孔の間に炭素が侵入するのを確実に防止するとともに、該円筒の端部に炭素が蒸着するのを防止するため、図4に示すように、中空陰極部材を部材収容孔6に収容した後、矩形板状体5の長辺側面に、円筒1bの端部を覆うように加工した直径φの円孔13を有する側面マスク部材12を取り付けてもよい。取り付け手段(図示なし)は、公知の手段でよい。
図4(a)に、直径φの円孔13を有する側面マスク部材12を取り付けた態様を示す。円孔13の直径φは、円筒1bの内径dと同じにするか、又は、円筒1bの内径dより小さくする。円孔13の直径φは、円筒1bの内径dより小さすぎると、円筒1b内への炭素ラジカル(後述)の侵入を妨げ、炭素膜の形成を阻害することになるので、炭素ラジカルの侵入を妨げない範囲で適宜設定する。なお、円孔13の直径φは、(円筒1bの内径d−0.05mm)程度が好ましい。
図4(b)に、円筒1b側が円錐状の直径φの円孔13を有する側面マスク部材12を取り付けた態様を示す。円孔13の直径φは、円筒1bの内径dより小さくするが、小さすぎると、円筒1bへの炭素ラジカルの侵入を妨げ、炭素膜の形成を阻害することになるので、炭素ラジカルの侵入を妨げない範囲で適宜設定する。なお、円錐状の円孔13の直径φは、(円筒1bの内径d−0.1mm)程度が好ましい。
側面マスク部材の材質は、特に、限定されるものではないが、側面マスク部材は、矩形板状体と一体になって、中空陰極の製造用治具として機能するものであるから、矩形板状体と同じ材質が好ましい。なお、側面マスク部材の厚さは、円筒1b内への炭素ラジカルの侵入を妨げない範囲で適宜設定する。
導電性のセラミック材料としては、金属材料の場合と同様に、熱膨張率が中空陰極部材の熱膨張率とほぼ同じか又は小さいセラミック材料が好ましい。
本発明治具は、前述したように、プラズマ蒸着装置のアノード側電極に載置され、電極と一体となって、円筒部材の円筒内側表面のみの成膜を達成するものであるから、その外形寸法(長辺:L、短辺:W、厚さ:T)は、(i)配設する部材収容孔の数及び内径、及び、(ii)電極寸法を考慮して適宜設定すればよい。
なお、部材収容孔の内径は、中空陰極部材の円筒の外径(即ち、中空陰極の外径)、及び、該円筒の外側と部材収容孔の間の間隙を考慮して設定する。中空陰極の外径は、蛍光ランプ用であれば、3mm以下程度であるが、中空陰極は、他の用途にも使用できるので、部材収容孔の内径は、特定の範囲に限定されるものではない。
本発明者らの試験結果によれば、例えば、内径2.7mm程度、奥行き5mm程度の部材収容孔を、図3に示すように、片側に12個形成する場合、矩形板状体の長辺の長さL、短辺の長さW、及び、厚さTは、それぞれ、50〜54mm、25〜30mm、及び、4mm程度が好ましい。
部材収容孔に密着状態で収容される中空陰極部材の円筒は、Ni、Nb、Mo、Fe、及び、それらの合金のいずれのいずれかで製造したものが好ましい。なかでも、オーステナイト系ステンレス鋼は、加工性や、価格の点で、他の円筒材料に比べ有利である。
本発明においては、中空陰極部材を部材収容孔に装着した本発明治具を、プラズマ蒸着装置のアノード側電極に載置し(図2、参照)、プラズマ蒸着装置のチャンバー(この中に電極が配置されている)内に、メタンを含む水素を導入して、プラズマ放電でメタンを分解し、炭素ラジカルを生成する。
そして、プラズマには、電極間に平行となる電界分布を形成し、これを利用して、炭素ラジカルに水平方向に移動する力を与える。
本発明治具の構造的特徴と、炭素ラジカルの水平方向の移動との相乗作用で、中空陰極部材の円筒の内側表面のみへの成膜を達成することができる。
本発明治具を用いて形成される炭素膜は、プラズマ雰囲気中で形成されるものであるので、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノウオール(CNW)、カーボンナオファイバー(CNF)、及び、カーボンナノコンプレックス(CNX)の1種又は2種以上のナノ構造を有する炭素膜である。
本発明治具を用いて、中空陰極部材の円筒の円筒内側表面のみに炭素膜を成膜して製造した中空陰極(以下「本発明陰極」)は、従来の陰極に比べ、放電開始電圧及び消費電力の低減において、極めて優れた陰極である。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例の条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例)
本発明治具(図3)を用い、4%CH4を含むH2をチャンバー内に導入し、チャンバー圧力(成膜圧力)を80Torrに保ち、放電電力5kWで5分間、プラズマ放電を行い、外径2.7mm、内径1.8mm、長さ5mmの円筒の内側表面に炭素膜を成膜し、中空陰極を製造した。
図5に示すように、2個の中空陰極8を、外径3mm、長さ300mmのガラス管9の両端に取り付け蛍光ランプ10を製造し、給排気装置(図示なし)に接続した測定用ガラス管11の中に配置した。
次に、4%Arを含むNeを測定用ガラス管11の中に供給し、蛍光ランプ10の内圧を10,000Paに維持し、電極間に電圧を印加して、放電を誘発した。電圧を上げ、放電を安定化させた後も、電流が5mA、さらに、7mAとなるように電圧を上げ、電圧のオシロ波形から、放電開始電圧とランプ電圧を測定した。また、電力損失については、使用した直流安定化電源の一次側の電圧と電流を測定して算出した。
また、炭素膜の効率を確認するため、炭素膜のない中空電極を用いて製造した蛍光ランプについても、同様の測定を行った。
測定結果を、表1に示す。
Figure 2009070746
表1から、本発明治具を用いて製造した中空陰極(円筒の内側表面のみに炭素膜が成膜されている)を用いた蛍光ランプにおいては、ランプ特性が向上していることが解る。例えば、入力電力でみると、15%以上の改善効果がある。
前述したように、本発明によれば、蛍光ランプの細管化、高輝度化、及び、低消費電力化を、より一層推進し、液晶表示機器の一層の小形化を達成することができる。したがって、本発明は、省エネルギー及び環境保護に貢献し、産業上の利用可能性が大きいものである。
従来の蛍光ランプ用中空陰極の製造工程を示す図である。 本発明に係る蛍光ランプ用中空陰極の製造工程を示す図である。 本発明の製造用治具の一態様を示す図である。 本発明の製造用治具の別の態様を示す図である。(a)は、側面マスク部材を取り付けた態様を示し、(b)は、別の側面マスク部材を取り付けた態様を示す。 蛍光ランプの性能の測定態様を示す図である。
符号の説明
1、1a 円筒部材
1b 円筒
2、2b 電極端子
2a 端子部材
3 リード線
4 ガラスビーズ
5 矩形板状体
6 部材収容孔
7 プラズマ蒸着装置
8 中空陰極
9 ガラス管
10 蛍光ランプ
11 測定用ガラス管
12 側面マスク部材
13 円孔
R 曲率半径
L 長辺の長さ
W 短辺の長さ
T 厚さ
d 円筒の内径
φ 円孔の径

Claims (11)

  1. 円筒の外側底部に接続用端子を備え、円筒の内側表面に蒸着炭素膜を備える中空陰極の製造に用いる治具であって、
    (i)短辺上端を円弧状に成形した導電性の矩形板状体からなり、
    (ii)上記矩形板状体の長辺側面に沿って、
    (ii-1)長辺側面に開口し、かつ、
    (ii-2)一端を閉じた円筒の中空陰極部材、又は、一端を閉じた円筒の外側底部に接続用端子を備える中空陰極部材を、長辺側面に垂直に、密着状態で収容する部材収容孔が形成されている
    ことを特徴とする中空陰極の製造用治具。
  2. 前記矩形板状体が、融点800℃以上で、中空陰極部材と同じ金属材料、中空陰極部材の熱膨張率とほぼ同じ熱膨張率を有する金属材料、及び、中空陰極部材の熱膨張率より小さい熱膨張率を有する金属材料のいずれかで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の中空陰極の製造用治具。
  3. 前記矩形板状体が、中空陰極部材の熱膨張率とほぼ同じ熱膨張率を有する導電性のセラミック材料、又は、中空陰極部材の熱膨張率より小さい熱膨張率を有する導電性のセラミック材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の中空陰極の製造用治具。
  4. 前記部材収容孔が、前記矩形板状体の長辺側面に沿って、一列に配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の中空陰極の製造用治具。
  5. 前記部材収容孔が、前記矩形板状体の長辺側面に沿って、上下、複数列で配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の中空陰極の製造用治具。
  6. 前記矩形板状体の長辺側面に、一端を閉じた円筒の端部を覆うように加工した円孔を有する側面マスク部材を取り付けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の中空電極の製造用治具。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の中空陰極の製造用治具を用いて中空陰極を製造する方法であって、
    (i)一端を閉じた円筒の中空陰極部材、又は、一端を閉じた円筒の外側底部に接続用端子を備える中空陰極部材を、上記製造用治具の部材収容孔に装着し、
    (ii)中空陰極部材を装着した製造用治具を、プラズマ蒸着装置のアノード側の電極上に載置し、
    (iii)上記製造用治具の周囲に、炭素ラジカルを含むプラズマ雰囲気を形成して、中空陰極部材の円筒の内側表面にのみ炭素膜を成膜する、
    ことを特徴とする中空陰極の製造方法。
  8. 前記中空陰極部材の円筒が、Ni、Nb、Mo、Fe、及び、それらの合金のいずれかで構成されていることを特徴とする請求項7に記載の中空電極の製造方法。
  9. 前記炭素膜が、ナノ構造を有する炭素膜であることを特徴とする請求項7又は8に記載の中空陰極の製造方法。
  10. 一端を閉じた円筒からなる中空電極、又は、一端を閉じた円筒の外側底部に接続用端子を備える中空陰極において、円筒の内側表面にナノ構造炭素膜が成膜されていることを特徴とする中空陰極。
  11. 前記円筒が、Ni、Nb、Mo、Fe、及び、それらの合金のいずれかで構成されていることを特徴とする請求項10に記載の中空電極。
JP2007239941A 2007-09-14 2007-09-14 中空陰極の製造用治具と製造方法 Expired - Fee Related JP5036465B2 (ja)

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