JP2009068541A - スピンドル装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エアの圧縮性に起因するエアハンマーの発生を確実に抑制すること。
【解決手段】ハウジング12に、スピンドル14が多孔質空気軸受26、28を介して回転自在に支持され、スピンドル14がフランジ18を介して電動モータ38のモータ回転軸44に連結され、ハウジング12には、給気口34から導入したエアを多孔質空気軸受26、28を介して排気口36から排出するエア通路30、32が形成され、多孔質空気軸受26、28は、ラジアル軸受とスラスト軸受とが一体化されて構成され、スピンドル12のフランジ16、18には、多孔質空気軸受26、28を通過したエアを貯留するポケット50、52と、ポケット50、52に貯留したエアをスピンドル外に導くエア排出路54、56と、エア排出路54、56を通過するエアの流量を調整する絞り58、60が形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】ハウジング12に、スピンドル14が多孔質空気軸受26、28を介して回転自在に支持され、スピンドル14がフランジ18を介して電動モータ38のモータ回転軸44に連結され、ハウジング12には、給気口34から導入したエアを多孔質空気軸受26、28を介して排気口36から排出するエア通路30、32が形成され、多孔質空気軸受26、28は、ラジアル軸受とスラスト軸受とが一体化されて構成され、スピンドル12のフランジ16、18には、多孔質空気軸受26、28を通過したエアを貯留するポケット50、52と、ポケット50、52に貯留したエアをスピンドル外に導くエア排出路54、56と、エア排出路54、56を通過するエアの流量を調整する絞り58、60が形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、静圧気体軸受によって回転自在に支持されたスピンドルを電動モータによって回転駆動し、スピンドルの回転力を精密な計測器や加工機などに伝達するのに好適なスピンドル装置に関する。
スピンドル装置は、切削、研削などの工具を回転駆動する工作機械の一要素として、あるいは磁気ディスクなどを回転駆動する検査機械の一要素として用いられている。この種のスピンドル装置は、円筒状のハウジングに、回転軸であるスピンドル(スピンドルシャフト)が静圧気体軸受を介して支持され、スピンドルには電動モータのモータ回転軸が連結され、電動モータの駆動によってスピンドルが回転駆動されるようになっている。この際、静圧気体軸受は、エアの供給を受けてスピンドルとの間に隙間を形成し、スピンドルを非接触で回転自在に支持し、スピンドルが高速で回転できるようになっている。
一方、精密加工機、精密測定器等に使用されるスピンドル装置は、高い剛性が要求される。そのため、スピンドル装置の静圧気体軸受として、空気軸受の中で最も剛性の高い多孔質空気軸受が採用されている。
しかし、静圧気体軸受として、空気軸受を用いた場合、エアの圧縮性に起因するエアハンマーと呼ばれる自励振動が発生することがある。特に、空気軸受に多孔質空気軸受を用いた場合、多孔質自体が空気溜りとなり、エアハンマーがより発生し易くなる。
そこで、この発明は、エアの圧縮性に起因するエアハンマーの発生を確実に抑制することができるスピンドル装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、筒状のハウジングに、スピンドルが静圧気体軸受を介して回転自在に支持され、前記ハウジングに電動モータが並設され、前記スピンドルの長手方向一端側に、前記電動モータのモータ回転軸が連結され、前記ハウジングには、給気口から導入したエアを前記静圧気体軸受を介して排気口から排出するエア通路が形成されてなるスピンドル装置において、前記静圧気体軸受は、前記スピンドルからラジアル方向の荷重を受けるラジアル軸受と前記スピンドルのフランジからスラスト方向の荷重を受けるスラスト軸受とが一体化されて構成され、前記スピンドルには、軸受隙間を流れるエアや前記静圧気体軸受を通過したエアを導入して貯留するポケットと、前記ポケットに貯留したエアをスピンドル外に導くエア排出路と、前記エア排出路を通過するエアの流量を調整する絞りが形成されてなることを特徴とするものである。
係る構成によれば、軸受隙間を流れるエアや静圧気体軸受を通過したエアがポケットに導入されると、ポケットは、導入したエアを貯留し、貯留したエアをエア排出路に排出するバッファとして機能し、軸受隙間のエアの圧力を高めることができ、結果として、剛性を高めることができる。また、ポケットに導入されたエアはエア排出路を流れる過程で、絞りによってその流量が制御される。その際、絞りによるエアの減衰作用が高まり、エアの圧縮性に起因するエアハンマー(自励振動)が発生するのを確実に抑制することができる。
前記スピンドル装置を構成するに際しては、以下の要素を付加することができる。好適には、前記ポケットとエア排出路及び絞りは、前記スピンドルのフランジに形成され、前記フランジのポケットは、前記静圧気体軸受のスラスト受面に相対向して形成されてなる。
係る構成によれば、ポケットとエア排出路及び絞りは、回転部材としてのフランジに形成されているので、ポケットとエア排出路及び絞りを容易に形成することができる。フランジのポケットは、静圧気体軸受のスラスト受面に相対向して形成されているので、軸受隙間を流れるエアや静圧気体軸受を通過したエアのうち静圧気体軸受のスラスト受面を流れるエアをポケットに円滑に導くことができる。
好適には、前記スピンドルの長手方向両端側にはそれぞれフランジが形成され、前記各フランジに隣接して前記スピンドル外周には静圧気体軸受がそれぞれ配設されてなる。
係る構成によれば、各フランジに隣接して静圧気体軸受をそれぞれ配設することで、各静圧気体軸受でスピンドルを円滑に支持することができる。
好適には、前記各フランジには、前記ポケットとエア排出路及び絞りが形成され、前記各フランジのポケットは、前記各静圧気体軸受のスラスト受面に相対向して形成されてなる。
係る構成によれば、ポケットとエア排出路及び絞りは、回転部材としてのフランジに形成されているので、ポケットとエア排出路及び絞りを容易に形成することができる。各フランジのポケットは、各静圧気体軸受のスラスト受面に相対向して形成されているので、軸受隙間を流れるエアや各静圧気体軸受を通過したエアのうち静圧気体軸受のスラスト受面を流れるエアをポケットに円滑に導くことができる。
好適には、前記静圧気体軸受は、多孔質空気軸受で構成されてなる。
係る構成によれば、エアの通気性を高めることができる。
本発明によれば、エアハンマーの発生を確実に抑制することができ、高剛性なスピンドル装置を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施例を示すスピンドル装置の断面図である。図1において、スピンドル装置10は、ほぼ円筒状に形成された金属製(ステンレス製)ハウジング12を備えており、ハウジング12内には円筒状のスピンドル(スピンドルシャフト)14が回転軸として回転自在に収納されている。
スピンドル14の長手方向両端部には円筒状のフランジ16、18が配置されており、各フランジ16、18はスピンドル14の長手方向両端部にそれぞれボルト(図示せず)を介して連結されている。フランジ16、18には、スピンドル14の貫通孔20に連なる貫通孔22、24がそれぞれ形成されており、貫通孔20または貫通孔22は、例えば、チャック機構として機能し、貫通孔20または貫通孔22には、切削、研磨などの工具、あるいは磁気ディスクや磁気ヘッドなどが連結されるようになっている。なお、フランジ16、18は、スピンドル14の長手方向両端部に一体に形成することもできる。
ハウジング12とスピンドル14との間には、静圧気体軸受として、一対の多孔質空気軸受26、28がスピンドル14の長手方向(軸方向)に沿って配置されている。多孔質空気軸受26、28は、スピンドル14からラジアル荷重(ラジアル方向の荷重)を受けるラジアル軸受と、スピンドル14からスラスト荷重(スラスト方向の荷重)を受けるスラスト軸受とが一体化されて構成されている。多孔質空気軸受26、28のうちスピンドル14外周との対向面は、ラジアル荷重を受けるラジアル受面26a、28aとして構成され、多孔質軸受26、28のうちフランジ16、18との対向面は、スラスト荷重を受けるスラスト受面26b、28bとして構成されている。
またハウジング12には、多孔質空気軸受26、28にエアを供給するためのエア通路30、そして供給したエアを排気するためのエア通路32が形成されており、エア通路30の給気口34にはエア供給源からのエアが供給されるようになっている。給気口34に導入されたエアは、エア通路30を介して多孔質空気軸受26、28に供給され、多孔質空気軸受26、28を通過したエアは、エア通路32を介して排気口36から排出されるようになっている。エア供給源からのエアがエア通路30と多孔質空気軸受26、28およびエア通路32を介して排気口36から排気される過程では、エアの一部がスピンドル14外周と各多孔質空気軸受26、28との間の軸受隙間から排出されるとともに、多孔質空気軸受26とフランジ16との軸受隙間および多孔質空気軸受28とフランジ18との間の軸受隙間から排出される。
この際、多孔質空気軸受26、28は、ハウジング12に支持された状態で、スピンドル14との対向面が、ラジアル荷重を受けるラジアル受面26a、28aとして機能し、フランジ16、18との対向面が、スラスト荷重を受けるスラスト受面26b、28bとして機能し、スピンドル14とフランジ16、18を非接触状態で回転自在に支持することができる。
一方、ハウジング12には、ハウジング12に隣接して電動モータ38が並設されており、電動モータ38は円筒状のモータブラケット40内に収納されて固定されている。モータブラケット40は、その長手方向一端部がハウジング12に連結され、長手方向他端部がカバー42によって閉塞されている。
電動モータ38は、モータ回転軸44、ロータ46、ステータ48を備え、モータ回転軸44の長手方向(軸方向)一端側がフランジ18にボルト(図示せず)を介して連結され、モータ回転軸44の外周にはロータ46が圧入されて固定されている。ロータ46の外側には回転磁界を発生するステータ48が配置されており、ステータ48は、モータブラケット40内壁面に固定されている。この電動モータ38は、ロータ46の回転に伴う回転力をモータ回転軸44を介してフランジ18に伝達し、スピンドル14を回転駆動するようになっている。
上記構成によるスピンドル装置10において、エア供給源からのエアを多孔質空気軸受26、28に供給し、多孔質空気軸受26、28でスピンドル14とフランジ16、18を非接触状態で回転自在に支持するとともに、電動モータ38でスピンドル14を回転駆動するに際して、エア供給源からのエアがエア通路30と多孔質空気軸受26、28およびエア通路32を介して排気口36から排気される過程で、フランジ16と多孔質空気軸受26との交差部やフランジ18と多孔質空気軸受18との交差部に、多孔質空気軸受16、18の面取り等に伴う微小ポケットが形成されていると、エアの圧縮性に起因するエアハンマー(自励振動)が発生することがある。エアハンマーが発生すると、高い給気圧力では使用できず、高い剛性が得られなくなる。
そこで、本実施例においては、軸受隙間を流れるエアや多孔質空気軸受26、28を通過したエアを外部に速やかに排出するために、スピンドル装置10の回転部材、例えば、スピドル14やフランジ16、18のうちフランジ16、18に、図2に示すように、軸受隙間を流れるエアや多孔質空気軸受26、28を通過したエアを導入して貯留するポケット50、52と、ポケット50、52に貯留したエアをフランジ16、18の外部に導くエア排出路54、56と、エア排出路54、56を通過するエアの流量を調整する絞り58、60を設けることとしている。
この際、各ポケット50、52は、多孔質空気軸受26、28のスラスト受面26b、28bに相対向して形成されている。すなわち、各フランジ16、18のポケット50、52は、軸受隙間を流れるエアや多孔質空気軸受26、28を通過したエアのうち多孔質空気軸受26、28のスラスト受面26b、28bを流れるエアを導入して貯留し、貯留したエアをエア排出路54、56に排出するバッファとして機能し、エアが多孔質空気軸受26、28を通過する過程で、軸受隙間のエアの圧力を高めることができ、結果として、剛性を高めることができる。
一方、軸受隙間を流れるエアや多孔質空気軸受26、28を通過したエアのうちスラスト受面26b、28bを流れるエアがポケット50、52に導入されると、このエアは、ポケット50、52を介してエア排出路54、56を流れる過程で、絞り58、60によってその流量が制御される。その際、絞り58、60によるエアの減衰作用が高まり、エアの圧縮性に起因するエアハンマー(自励振動)が発生するのを確実に抑制することができる。
本実施例によれば、軸受隙間を流れるエアや多孔質空気軸受26、28を通過したエアのうちスラスト受面26b、28bを流れるエアをポケット50、52に導入して貯留し、貯留したエアをエア排出路54、56に排出するようにしたため、軸受隙間のエアの圧力を高めることができ、結果として、剛性を高めることができる。
また、本実施例によれば、ポケット50、52に導入されたエアがエア排出路54、56を流れる過程で、絞り58、60によってその流量を制御するようにしたため、絞り58、60によるエアの減衰作用が高まり、エアの圧縮性に起因するエアハンマー(自励振動)が発生するのを確実に抑制することができる。
さらに、本実施例によれば、ポケット50、52とエア排出路54、56及び絞り58、60を、回転部材としてのフランジ16、18に形成するようにしたため、固定部材にポケット50、52とエア排出路54、56及び絞り58、60を形成するときよりも、ポケット50、52とエア排出路54、56及び絞り58、60を容易に形成することができる。
10 スピンドル装置、12 ハウジング、14 スピンドル、16、18 フランジ、26、28 多孔質空気軸受、30、32 エア通路、38 電動モータ、44 モータ回転軸、46 ロータ、48 ステータ、50、52 ポケット、54、56 エア排出路 、58、60 絞り
Claims (5)
- 筒状のハウジングに、スピンドルが静圧気体軸受を介して回転自在に支持され、前記ハウジングに電動モータが並設され、前記スピンドルの長手方向一端側に、前記電動モータのモータ回転軸が連結され、前記ハウジングには、給気口から導入したエアを前記静圧気体軸受を介して排気口から排出するエア通路が形成されてなるスピンドル装置において、
前記静圧気体軸受は、前記スピンドルからラジアル方向の荷重を受けるラジアル軸受と前記スピンドルのフランジからスラスト方向の荷重を受けるスラスト軸受とが一体化されて構成され、前記スピンドルには、軸受隙間を流れるエアや前記静圧気体軸受を通過したエアを導入して貯留するポケットと、前記ポケットに貯留したエアをスピンドル外に導くエア排出路と、前記エア排出路を通過するエアの流量を調整する絞りが形成されてなる、ことを特徴とするスピンドル装置。 - 前記ポケットとエア排出路及び絞りは、前記スピンドルのフランジに形成され、前記フランジのポケットは、前記静圧気体軸受のスラスト受面に相対向して形成されてなる、ことを特徴とする請求項1に記載のスピンドル装置。
- 前記スピンドルの長手方向両端側にはそれぞれフランジが形成され、前記各フランジに隣接して前記スピンドル外周には静圧気体軸受がそれぞれ配設されてなる、ことを特徴とする請求項1に記載のスピンドル装置。
- 前記各フランジには、前記ポケットとエア排出路及び絞りが形成され、前記各フランジのポケットは、前記各静圧気体軸受のスラスト受面に相対向して形成されてなる、ことを特徴とする請求項3に記載のスピンドル装置。
- 前記静圧気体軸受は、多孔質空気軸受で構成されてなる、ことを特徴とする請求項1、2、3または4のうちいずれか1項に記載のスピンドル装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007235430A JP2009068541A (ja) | 2007-09-11 | 2007-09-11 | スピンドル装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007235430A JP2009068541A (ja) | 2007-09-11 | 2007-09-11 | スピンドル装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2009068541A true JP2009068541A (ja) | 2009-04-02 |
Family
ID=40605034
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2007235430A Pending JP2009068541A (ja) | 2007-09-11 | 2007-09-11 | スピンドル装置 |
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JP (1) | JP2009068541A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115614386A (zh) * | 2022-10-09 | 2023-01-17 | 哈尔滨工业大学 | 一种带有高压气腔的小孔式气体静压径向轴承轴套与轴承 |
-
2007
- 2007-09-11 JP JP2007235430A patent/JP2009068541A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN115614386A (zh) * | 2022-10-09 | 2023-01-17 | 哈尔滨工业大学 | 一种带有高压气腔的小孔式气体静压径向轴承轴套与轴承 |
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