JP2009068223A - 薬剤供給具 - Google Patents

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Abstract

【課題】旋回流型の水洗便器に取り付けて使用したときに、衝突による洗浄水の飛び散りの問題を生じない薬剤供給具を提供する。
【解決手段】ボウル部101上端のリム部102に沿って延びる洗浄水案内用の凹路103を有し、吐水口104から吐出された洗浄水を凹路を経てボウル部内面に流れる旋回流とする水洗便器のための薬剤供給具1であって、薬剤を収容し洗浄水への接触により薬剤の溶出を可能にする容器部20と、リム部102に係止し得る保持部30とを備え、容器部20は、傾斜度合いに応じて凹路103に対峙し得る対峙部28を備え、該対峙部は、側面視において、凹路103の水流に接触するのを可能にしつつ該凹路内への進入を規制し得る凸型主形状を有し、保持部30の一部は、対峙部28の上側の終端又はその近傍に固定的に位置している薬剤供給具。
【選択図】図1

Description

本発明は、水洗便器のリム部に取り付けられる薬剤供給具に関する。
水洗便器には、洗浄水をボウル部内面に流れる旋回流とするタイプのものがある。例えば、特許文献1の水洗便器は、図20に示すように、ボウル部101上端のリム部102に沿って延びる凹路103がボウル部内側に形成され、凹路103の端部に設けられた吐水口104から該凹路に沿って洗浄水Wを吐出し、吐出された洗浄水を該凹路を経てボウル部内面に流れる旋回流Sとする。
この種の水洗便器に対し、洗浄作用や消臭芳香効果を持たせるための薬剤供給具が提案されている。その薬剤供給具は、通常、薬剤を収容した容器を、フックにより便器のリム部からボウル部内に吊り下げて使用される。例えば、特許文献2に記載された薬剤供給具は、図21に示すように、フック111によりリム部に吊り下げられる容器112内に高濃度の薬液を収容し、薬液を少量ずつ放出プレート113上に供給するようになっている。この薬剤供給具110は、ボウル部の凹路を流れる洗浄水の一部が放出プレート113上を流れるように設置されることにより、洗浄水が流れる毎に薬液が洗浄水に溶出する。
図22(a)は、この薬剤供給具110を図20の水洗便器のリム部102に取り付けた状態を概略的に示している。この設置状態であれば、薬剤供給具110は、凹路103に僅かに進入し一部が放出プレート113に流れるだけであるので、洗浄水のほとんどは、円滑に凹路103内を流れる。
特開2002−97704号公報 特表2003−517124号公報
しかしながら、上記の薬剤供給具は、容器がほぼ直方体形状とされており、その結果、リム部102への取付状態によっては、図22(b)に示すように、容器112の上部が凹路103内に深く進入してしまうことがある。この状態で洗浄水が吐水口から吐出されると、大量の洗浄水が容器112に衝突し、洗浄水が便器外へ飛び散るという問題を引き起こすことになる。
これに対処すべく、図22(c)に示すように、凹路103内に侵入し難いように、厚さを大きくした容器112’とすることが考えられるが、この場合でも、図22(d)に示すように、容器112’の角部が凹路103内に深く侵入することにより、洗浄水が容器112’の角部に衝突し、やはり洗浄水が便器外へ飛び散るという問題を引き起こす。
本発明は、上記従来技術の問題を解決し、旋回流型の水洗便器に取り付けて使用したときに、衝突による洗浄水の飛び散りの問題を生じない薬剤供給具を提供することを目的とする。
本発明は、前記目的を達成するため、ボウル部上端のリム部に沿って延びる洗浄水案内用の凹路と、凹路の端部から該凹路に沿って洗浄水を吐出する吐水口とを有し、吐出された洗浄水を凹路を経てボウル部内面に流れる旋回流とする水洗便器のための薬剤供給具であって、薬剤を収容し、リム部に取り付けられた際に洗浄水への接触により薬剤の溶出を可能にする容器部と、前記容器部に結合され前記リム部に係止し得る保持部とを備え、前記容器部は、便器への取り付け時の傾斜度合いに応じて前記凹路に対峙し得る対峙部を備え、該対峙部は、側面視において、下端から上側へ延びた形状線により形成され前記凹路の水流に接触するのを可能にしつつ該凹路内への進入を規制し得る凸型主形状を有し、前記保持部の一部は、容器部が上部を前記凹路に接近させる方向に傾斜したときに前記対峙部における前記形状線の上側の終端部分が前記凹路内へ進入するのを規制するように、前記対峙部における前記形状線の上側の終端又はその近傍に固定的に位置していることを特徴とする薬剤供給具を提供するものである。
本発明に係る薬剤供給具は、薬剤を収容し洗浄水への接触により薬剤の溶出を可能にする容器部と、前記容器部に結合され便器のリム部に係止し得る保持部とを備えることにより、旋回流型の水洗便器のリム部に取り付けて使用することができる。そして、薬剤を収容する容器部は、便器への取り付け時に前記凹路に対峙し得る対峙部を備え、該対峙部は、側面視において、下端から上側へ延びた形状線により形成され前記凹路の水流に接触するのを可能にしつつ該凹路内への進入を規制し得る凸型主形状を有している。したがって、この容器部により、凹路を流れる洗浄水への接触による薬剤の溶出を可能にしつつ、凹路内への深い進入による吐出水への衝突を回避した安全な取付け状態とすることができる。また、保持部の一部は、容器部が上部を前記凹路に接近させる方向に傾斜したときに前記対峙部における前記形状線の上側の終端部分が前記凹路内へ進入するのを規制するように、前記対峙部における前記形状線の上側の終端又はその近傍に固定的に位置している。これにより、便器への取付け時に、容器部上端部を凹路内に深く進入させるように取付けようとしても、保持部の一部が凹路を囲む壁部に当接し、そのような取付状態は回避される。特に、容器部が対峙部上部の位置で厚さを減少させた形状となっていても、容器部上端部の進入が規制されるので、安全な取付け状態が確保される。
したがって、本発明によれば、旋回流型の水洗便器に取り付けて使用したときに、衝突による洗浄水の飛び散りの問題を生じない薬剤供給具を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。図面中の同一又は同種の部分については、同じ番号を付して説明を省略することがある。
図1から図4は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給具を示しており、図1は、旋回流型水洗便器の凹路に向く面の側から見た斜視図、図2は背面側から見た斜視図、図3は側面図((a)は閉じた状態、(b)は開いた状態)、図4は正面図である。この薬剤供給具1は、薬剤を収容し洗浄水への接触により薬剤の溶出を可能にする容器部20と、下部を容器部20に結合され、上部を便器のリム部に係止し得る保持部30とを備えている。この実施形態に係る薬剤供給具は、固形薬剤を使用するタイプのものであり、薬剤は、水への接触により表面から徐々に溶解する。
容器部20は、背面部21、正面部22、側部23、及び正面部22の上端から後方へ弧状に延びた延長部24を備え、内部に固形薬剤を収容する箱状となっている。正面部22及び延長部24は、軸線を水平にした円筒の一部の形状をなしており、側面視において、下端から上側へ延びた形状線により連続的に形成され、前記凹路の水流に接触するのを可能にしつつ該凹路内への進入を規制し得る凸形状を有した対峙部28を形成している。正面部22は、水洗便器の洗浄水を内部に通過させて薬剤に接触させ得るように、多数の開口部22sを設けた格子状に形成されている。延長部24は、正面部22の上端から背面側へ弧状に下降する上面を有し、下面はほぼ水平に延びている。背面部21は、正面部22の下端から延長部24まで平面状に延びている。側部23は、容器部20の両側において、背面部21、正面部22及び延長部24で囲まれる部分を覆う形状を有している。
また、容器部20は、図3(b)に開いた状態を示すように、後部20aと前部20bとがヒンジ部20cにより結合され、ヒンジ部20cを中心にして前後に開閉可能となっており、閉じた状態は、背面部21及び正面部22の各々の両端部付近に設けられた微小フック25a,25bの係合により維持され、開く際は、これらの微小フックが弾性変形して結合を解く。
保持部30は、背面部21に結合されたブロック状の結合部31と、該結合部31に結合された細長い支持片33とを備えている。支持片33は、手で変形可能であり、且つ、変形された後は通常使用時の外力に対して保形性を有する程度の柔軟性を有している。このような支持片33は、例えば、金属製の芯材を塩化ビニル等の軟質プラスチックで覆ったものとして形成することができる。一方、結合部31は、剛性が高くて変形し難い。したがって、支持片33は変形可能ではあるが、該支持片33の下部は、下端から上側へ延びた対峙部28の形状線の上側の終端(この実施形態では延長部24の終端)の近傍に固定的に位置するように保持される。
図5(a)は、この薬剤供給具1を水洗便器のリム部に取付けた状態の一例を示している。ここでは、容器部20は、対峙部28が水洗便器の凹路103に対峙するように配置され、凹路を囲む便器壁部の上下の縁部が正面部22に当接している。保持部30の支持片33は、手で曲げられることにより、結合部31への結合位置から上方へリム部102に向かい、リム部102の上面に接して延び、リム部102の外面に沿って下降する形状となっている。これにより、支持片33は、リム部102に係止したフック状となって、容器部20を保持している。
図に示すように、容器部20の対峙部28は、側面視凸形状をなし、凹路103を囲む壁部の上下縁部に当接し、凹路の水流への接触が可能であり、且つ該凹路内への進入は浅く制限されるように、決められている。これにより、凹路を流れる洗浄水への接触による薬剤の溶出を可能にしつつ、凹路内への深い進入による吐出水の衝突と飛び散りを回避した適切な配置状態が得られる。
上記の適正な取付け状態は、図5(b)に示すように、容器部20を傾斜させるようにしてリム部102に取り付けた場合も保証される。さらに、この実施形態においては、保持部30の下部が対峙部28の形状線の上側の終端(延長部24の終端)の近傍に固定的に位置しているので、図5(c)に示すように、対峙部28上端を凹路内へ進入させようとしても、保持部30の下部(容器部への結合側部分)が凹路103を囲むリム部壁部に当接し、深く進入することがない。この保持部30による進入規制作用を得るためには、対峙部28の形状線の上側の終端から保持部30の縁部までの距離Eを15mm以下とするのが望ましい。この距離を超えると、上記進入規制作用が適切に得られず、対峙部28上端が凹路103内に深く進入し、吐出水との衝突と飛び散りの問題を生じ易くなる。
図3及び図4に示すように薬剤供給具の各所の寸法は、以下の通りである。
・容器部20の高さH:50mm
・容器部20の幅W:100mm
・容器部20の奥行きD1:42.5mm
・延長部24の奥行きD2:17mm
・容器部正面部22の円弧状面の曲率半径R:25mm
・支持片33の長さ:150mm
・対峙部28の形状線の上側終端から保持部30縁部までの距離E:7mm
対峙部28は、凹路の水流への接触を可能にしつつ該凹路内への進入を適切に規制することにより、凹路に対する適切配置がされるのであれば、上記実施形態のように側面視円弧状である必要はない。また、側面視において滑らかな凸形状である必要もなく、凹凸や角部が混在していても全体として、上記の適切配置が得られる凸形状であればよい。例えば、対峙部28は、これに垂直な断面において、図6(a)に示すように角張った凹凸部分を含んでもよいし、図6(b)のような波状の凹凸部分を含んでもよい。本明細書及び特許請求の範囲においては、対峙部が有するこのような全体的な凸形状を凸型主形状と称する。
次に、上記の凹路に対する適切配置を確実に行なうための望ましい形態を図7を参照しつつ説明する。この形態においては、図示のように、対峙部28は、鉛直平面Pに対し幅30mmで水平に形成された間隙Cに当てがったときに、鉛直平面Pに直交する縦断面で見た間隙Cからの進入部分の面積Sを基準とする(図では、理解を容易にするために、鉛直方向に延びる平面P、及び該平面Pに対し上下間隔30mmで水平に形成された間隙Cを示している)。そして、その面積Sが140mm 以下となるように形状を決めることができる。図7(a)は、理想的な取付け状態、すなわち、保持部30の背面部21を鉛直方向にして薬剤供給具を位置させた状態を示している。ユーザーによっては、保持部30を変形させながら、薬剤供給具を機能し得る範囲で傾けて取り付けてしまう場合もある。そのような場合にも、凹路に対する適切配置が確実に行なわれるのが望ましい。これに関し、図7(b)は、薬剤供給具が大きく傾斜して取付けられた状態を示している。この場合にも、進入面積Sが上記範囲となるようにして、対峙部28の形状を決めるのが望ましい。
進入部分の面積Sが上記範囲を超えると、容器部に接触する水量が増し、洗浄水が便器外へ飛び散るという問題を引き起こし易い。この観点から上記進入部分の面積は、100mm以下とするのが、より望ましい。なお、図7(b)において保持部30は大きく変形していることから理解されるように、取付け時の薬剤供給具の傾斜は、保持部30の変形抵抗によってある程度規制される。
また、図示の例のように、対峙部28が凹路内の洗浄水に接触して容器内へ取り入れる構造のものについては、洗浄水との接触のために対峙部28が或る程度、凹路内に進入している必要がある。その進入を確実にするには、前述と同様にして前記鉛直平面Pに設けられた間隙Cに対峙部28を当てがったときに、鉛直平面Pに直交する縦断面で見た間隙Cからの進入部分の面積Sが25mm 以上となるように、対峙部の形状を決めるのが望ましい。
正面部22については、図8に薬剤供給具を平面図で示すように、開口部22sの近傍に前面へ突出する突片22tを備え、該突片22tにより洗浄水の流れWの一部を開口部22sへ導く形態とすることもできる。この場合は、図9にハッチングで示すように、突片22tを含めた間隙Cからの進入部分の面積Sが前述の値となるように、対峙部28の形状を決めるのが望ましい。
凹路に対する容器部の進入量は、容器部のみならず、凹路の形状や寸法によっても異なる。しかしながら、市販の旋回流型の水洗便器は、凹路に流れる洗浄水の速度や量が適切となるように設計される結果、凹路の形状や寸法の相違が限定されたものとなる。したがって、典型的な凹路の断面形状及び寸法を考慮した鉛直平面の間隙Cを基準とすることにより、多くの一般的な旋回流型水洗便器の凹路に対する容器部の適切配置が可能となる。
このようにして、凹路に対する容器部の適切配置を得ることができる。一方、通常の取付け形態においては、保持部30を便器のリム部から遠ざけるような取付けは行なわないので、容器部が下端側から凹路に深く進入するような取付けは行なわれ難い。但し、容器部の高さや厚さ(奥行き寸法)が小さくなると、可能性は低いが、例えば図10に示すように容器部が下端側から凹路に深く進入する取付けが行なわれることもあり得る。
これに対し、容器部の適切配置をさらに確実にするための望ましい形態は、容器部の上下方向における最大寸法箇所を結ぶ直線を基準線Lmとしたときに、該基準線に沿う方向における対峙部の高さH、対峙部に直交する断面において、対峙部上端を通り基準線Lmに平行に延びる直線から対峙部下端までの距離Dを基準として特定することができる。図11は、その高さH及び距離Dを示しており、図11(a)は背面部21が基準線Lmに平行な平らな容器部20、図11(b)は平らでない背面部21(ここでは後方へ凸状)を有する容器部20の場合について示している。図11では、実線で示した容器部20に高さH,距離Dの位置を示しており、破線は距離Dが0(ゼロ)の場合を示している。
適切配置のための望ましい対峙部28の高さHは30〜70mmであり、距離Dは、30mm≦H<40mmのとき、D≦20mmであり、40mm≦H≦70mmのとき、D≦40mmである。
上記において、高さHが30mmより低いと、保持部を少し便器のリム部から離せば容器部を下端側から凹路に進入させやすくなる。また、高さHが70mmより高いと、便器の下方へ大きく延びることになるので、排泄物で汚染され易くなる。さらに、30mm≦H<40mmのとき、上記距離Dが20mmを超えると、対峙部の下端が前方へ突出した形状となり、凹路へ進入し易くなる。この進入し易さは、対峙部の高さが増すと低下し、40mm≦H≦70mmの場合には、距離Dが40mmまでは問題ないが、40mmを超えると、やはり対峙部下端が凹路へ進入し易くなる。
次に、対峙部が縦断面において円弧形状又は円弧に近似した形状の弧状面を有する場合について、凹路に対する適切配置をより確実に行なうための望ましい形態について説明する。図6を例にとって説明すると、対峙部28の弧状面は、該対峙部に垂直な縦断面において、次に示す曲率半径Rの円弧及びこれよりΔR大きい同心の円弧の間に入る曲線であり、以下の中心角Qの範囲にあるのが望ましい。
15mm≦R≦35mm [式1]
ΔR=(R/2)−7 (mm) [式2]
中心角Qは、
15mm≦R<20mmのとき、180度以上
20mm≦R<30mmのとき、(3600/R)度以上
30mm≦R≦35mmのとき、120度以上
とする。
なお、中心角Qは、構造上360度とすることもできるが、大きくなりすぎると、容器部が便器のボウル内へ大きく張り出して、美観を損ね、或いは、排泄物による汚染を受け易くなるので、これを考慮して中心角Qの上限を決めるのが望ましい。この観点から、中心角Qは、270度以下とするのが望ましく、240度以下とするのがより望ましい。
このようにして対峙部の形状を決定する場合も、対峙部の凸型主形状は、先に図6と共に説明した波状の凹凸部分を含んでもよい。この曲率半径の特定は、次の理由に基づいている。
(i) 対峙部の曲率半径が小さいと、弧状面の凸形状が強くなり、便器に取り付けた際に凹路に深く進入し易く、その曲率半径が大きいと、弧状面の凸形状が緩やかとなり、凹路への進入度が浅くなりすぎて、凹路の水流への容器部の接触が不十分となり、薬剤の溶出量が十分得られない場合がある。この観点から対峙部の曲率半径を所定の範囲内とすることにより凹路への進入量を適切化することができる。
(ii) 弧状面に凹凸部分を含む場合、その許容範囲ΔRは、弧状面の曲率半径が大きいほど広くなる。すなわち、曲率半径が小さい場合は弧状面が凹路に深く進入するので凹凸部分の許容範囲は小さく、曲率半径が大きい場合は弧状面が凹路に浅く進入するので凹凸部分の許容範囲は大きい。
(iii) 凹路への過度の進入を避けるためには、弧状面がある程度の高さを有することが必要であり、そのためには、曲率半径が小さい場合は中心角Qを大きくする必要があり、曲率半径が大きい場合は中心角Qは小さくてもよい。
(iv) 上記式1及び式2に示す範囲に設定することにより、凹路に対する適切配置を確実に行なうことができる。
(v) 上記範囲であっても、便器への取付け時に容器部の下端又は上端が凹路に向く程に容器を水平軸回りに傾斜させると対峙部の上端又は下端が凹路に深く進入するおそれがあるが、上記円弧の中心角Qを210度以上とすることによりそれがより確実に防止される。一方、中心角Qが大きすぎると、容器部に余分な部分ができるので、270度以下とするのが望ましい。
図12は、本発明の他の実施形態に係る薬剤供給具1を、旋回流型水洗便器に取り付けた状態を示している。図12の(a)は容器部20Aを直立状態で取り付けた例、(b)は容器部20Aの上端部を凹路103に進入させようとした取付け例を示している。この薬剤供給具1の容器部20Aは、側面視において円筒を半分にした形状をなしており、図1に示した容器部における延長部24をなくした形状となっている。したがって、この実施形態では、容器部20Aにおける正面部22が対峙部28を構成しており、側面視において、下端から上側へ延びた形状線により形成され凹路の水流に接触するのを可能にしつつ該凹路内への進入を規制し得る凸形状となっている。
保持部30の変形可能な支持片33は、容器部20Aの背面部21の上端部から延びている。したがって、支持片33の下端部は、それ自体変形可能ではあるが、取付け位置においては、対峙部28を規定する形状線の上側の終端(ここでは対峙部28の上端)に固定的に位置する。薬剤供給具1は、通常、図12(a)のように、直立状態で取り付けられ、これにより、凹路103を流れる洗浄水に容器部20Aが接触し、且つ、凹路内への深い進入が回避される。一方、ユーザによっては、取付けの際、図12(b)のように、上端部を凹路103に近づけるように容器部20Aを傾斜させてしまうこともある。しかし、この場合でも、保持部30の下端部が対峙部28の上端に固定的に位置しているので、容器部上端部を凹路103内に進入させようとしても、保持部の下部がリム部102の壁部に当接し、適切配置が保証される。
図13(a)は、本発明のさらに他の実施形態に係る薬剤供給具を、旋回流型水洗便器に取り付けた状態を示している。この実施形態では、保持部30aは、容器部20Aの背面部21から延びる結合部31aと、該中間部から延びる長尺の支持片33とにより形成されている。支持片33は、前述のように手で変形させる柔軟性を有するが、結合部31aは、剛性が高くて変形し難い。結合部31aは、側面視L字状をなし、背面部21の中央部に結合され該背面部に沿うようにして上方に延び、容器部20Aの上端部近傍に達している。支持片33は、この結合部31aの上端部から延びており、その結果、保持部30aの下部が容器部20Aにおける対峙部28(正面部22)の凸形状を形成する形状線の上側終端部近傍に固定的に位置する構造となっている。したがって、取付けの際、図13(a)に示すように、容器部20A(対峙部28)の上端部を凹路103内に進入させようとしても、保持部の下部がリム部102の壁部に当接し、凹路103に深く進入することはない。
一方、図13(b)に示すように、保持部30’の支持片33が、容器部20’の背面部21中央部に直接結合されている場合は、保持部30’の下部は容器部20’の上端部に対して自由に接近離反でき、固定的に位置しているとは言えない。その結果、図13(b)のように、容器部20’(対峙部28)の上端部を凹路103に深く進入させた状態で取付けられるおそれもあり、その場合は洗浄水の飛び散りの問題を生じることがある。
図5,図12及び図13(a),(b)から理解されるように、保持部は、一部が対峙部28の凸型主形状を形成する形状線の上側の終端又はその近傍に固定的に位置していることにより、凹路への深い進入が防止される。対峙部28の凸型主形状を形成する形状線は、容器部20の下端から上側へ延び、図5のように延長部24がある場合はその背面側の先端で終端し、図12のように延長部がない場合は容器部20の上側の端部で終端する。なお、保持部において、対峙部の形状線の上側の終端又はその近傍に固定的に位置する部分は、容器部への結合側の部分であり、保持部が上下方向に延びている場合は、その下部である。
薬剤供給具は、上記実施形態のような固形薬剤を収容するタイプの他、図14(a)に示す液状薬剤を収容するタイプ(又は固形薬剤・液状薬剤共用タイプ)とすることもできる。この薬剤供給具は、容器部20Bが、薬剤を収容するケーシング27と、該ケーシング27の下部に設けられた放出プレート26と、ケーシング27から放出プレート26に薬剤を少量ずつ供給する導液部25とを備えている。ケーシング27は、図1から図4に示した容器部20に近い形状を有しているが、前面22bの上部が側面視凸形の弧状面であり、下部が後方へ凹入し、凹入部分の下に放出プレート26が位置している。導液部25は、ケーシング27と放出プレート26との間において、ケーシング27の背面部21bに沿って設けられている。
薬剤供給具を便器に取付ける際には、図14(b)に示すように、ケーシング27の前面22bが凹路壁の上縁、放出プレート26の前端部260が凹路壁の下縁に当接する。また、容器部20Bが上部を凹路に接近させる方向に傾斜したときには、延長部24が凹路壁の上縁に当接する。このように、この薬剤供給具においては、ケーシング27の前面22b、放出プレート26の前端部260、及び延長部24により、便器への取り付け時に凹路に対峙し得る対峙部28bが形成されている。したがって、対峙部の凸型主形状について図6と共に行なった説明は、この対峙部28bについて当てはまる。なお、容器部20Bに結合された保持部30は、図1から図4に示した実施形態と同様に構成されている。
図14に示す薬剤供給具1は、使用時に、便器の凹路103に流れる水の一部が放出プレート26に流れ、そこに滞留している薬剤を伴ってボウル内へ流れる。この薬剤供給具1も、取付けの際に、凹路壁に当接して凹路の水流への接触を可能にし且つ凹路に深く進入しないという適切配置に関し、先の実施形態と同様の状態を実現する。
図15は、凹路に対する適切配置を確実に行なうための望ましい形態を説明するものであり、鉛直平面Pに対し間隙Cに当てがった容器部20Bについて、鉛直平面Pに直交する縦断面で見た間隙Cからの進入状態を示している。図15の(a)は、容器部20Bの背面部21bが鉛直となるようにした場合であり、(b)は、容器部20Bが傾斜し、前面22bが間隙Cに最も深く進入した状態を示している。この形態においても、図15(b)のように、進入度合いが最大になる場合において、面積Sが前述の範囲内となるように対峙部28bの形状を決めるのが望ましい。
なお、この容器部20Bのように、下部の放出プレート26に流れる洗浄水に薬剤を接触させるものの場合には、放出プレート26の先端部は、凹路103内に進入しなくても、凹路の下でボウル壁に接することにより、流下する洗浄水を放出プレート26で受けることができる。この場合は、対峙部28bが凹路103内に進入しなくてもよいのであり、前述の基準に関しては、間隙Cからの対峙部28bの進入部分の面積Sは、0(ゼロ)となる。したがって、このような放出プレート付きの薬剤供給具の場合は、前記基準における進入面積Sは、0〜140mmであるのが、望ましく、0〜100mmであるのがより望ましいことになる。
図14の実施形態における延長部24は省略することも可能である。この場合は、ケーシング27の前面22b、及び放出プレート26の前端部260により対峙部28bが形成されることになる。
図16は、本発明のさらに他の実施形態に係る薬剤供給具1を示している。この薬剤供給具1は、図12に示したものと同様の容器部を備えている。保持部30bは、結合部31を介して容器部20Aの背面部21に結合され縦方向に長い貫通孔320を有したガイド34と、該ガイド34の貫通孔に通されて上下方向に摺動可能とされた支持片33bとを備えている。
支持片33bは、貫通孔320に通された縦部材331と、該縦部材の上端からほぼ水平に延びる横部材332と、該横部材の先端から斜め下方へ縦部材331に接近するように延びる斜行部材333とを備えている。縦部材331の前面には、水平に延びる微小凸部が上下方向に多数設けられ、貫通孔320の内部には該凸部に係合する凹凸部が設けられ、両者の係合により、縦部材331は任意の上下位置でガイド34に保持されるようになっている。支持片33bは、ポリプロピレン、ポリエチレン等の弾性に富むプラスチック材料で形成され、縦部材331、横部材332及び斜行部材333は、市販されている旋回流型水洗便器のリム部に係合させ得る寸法とされている。したがって、縦部材331をガイド34に対して適切な上下位置とし、全体を弾性変形させてリム部に係止することにより、容器部20Aを便器の凹路に望む位置に取り付けることができる。
図17は、図16に示した1薬剤供給具を水洗便器に取り付けた状態を示している。図17の(a)は容器部20Aを直立状態で取り付けた例であり、凹路103を流れる洗浄水に容器部20Aが接触し、且つ、凹路内への深い進入が回避されている。図17(b)は、上端部を凹路103に近づけるように容器部20Aを傾斜させて取り付けられた状態を示している。この場合でも、容器部20Aの前壁22が有する側面視凸形状の対峙部28が弧状面が凹路103の縁部に当接するので、容器部20Aが凹路103内に深く進入することはなく、吐出水の衝突と飛び散りを回避した適正な取付け状態が得られる。
図18及び図19は、延長部24を備えた容器部20に図16に示した保持部30bを取り付けた実施形態を示している。この容器部20は、図1〜図4に示したものと同じである。したがって、この実施形態においても、前述と同様に便器の凹路に対する容器部の適切配置を得ることができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。保持部は前述のものの他、対峙部における形状線の上側の終端又はその近傍に固定的に位置する部分を備えることにより、対峙部における形状線の上側終端部分が凹路内へ進入するのを規制することができれば、その先端側部分は、紐、テープ等の可撓性長尺材に粘着部等のような便器への固定手段を設けたものことすることもできる。
保持部と容器部との結合箇所には、上記実施形態に示した結合部を必ずしも設ける必要はなく、容器部に直接的にガイド又は保持部を結合することもできる。
また、容器部は、薬剤を収容し、該薬剤を洗浄水への接触により溶出させ得るように、種々の形状の細孔を有したものや網状壁により細孔を形成したのもの等とすることができる。細孔は、ケーシングの正面部及び側部の双方又は正面部に対しその全面又は一部に設けることができる。延長部は、容器部の全幅に亘って設ける必要はなく、例えば、図1に一点鎖線と符号24aで示すように容器部の両端部等、、容器部の一部に設けることも可能である。
本発明の一実施形態に係る薬剤供給具を旋回流型水洗便器の凹路に向く面の側から見た斜視図である。 図1に示した薬剤供給具を背面側から見た斜視図である。 図1に示した薬剤供給具の側面図である。 図1に示した薬剤供給具の正面図である。 図1に示した薬剤供給具を水洗便器のリム部に取付けた状態を示す側面図であり、(a),(b),(c)は相互に異なる状態を示す。 本発明の他の実施形態に係る薬剤供給具の側面図であり、(a)及び(b)は相互に異なる形態を示す。 本発明に係る薬剤供給具の望ましい形態に関する説明図である。 本発明のさらに他の実施形態に係る薬剤供給具の平面図である。 図8に示した薬剤供給具の望ましい形態に関する説明図である。 水洗便器に対する薬剤供給具の取付け例を示す側面図である。 本発明のさらに他の実施形態に係る薬剤供給具の側面図であり、(a)及び(b)は相互に異なる形態を示す。 本発明の他の実施形態に係る薬剤供給具を水洗便器のリム部に取付けた状態を示す側面図であり、(a),(b)は相互に異なる状態を示す。 (a)は本発明のさらに他の実施形態に係る薬剤供給具を水洗便器のリム部に取付けた状態を示す側面図であり、(b)は本発明以外の薬剤供給具の一例を水洗便器のリム部に取付けた状態を示す側面図である。 本発明のさらに他の実施形態に係る薬剤供給具を示す図であり、(a)は薬剤供給具の側面図、(b)はその取付け状態の側面図である。 図14に示した薬剤供給具についての望ましい形態に関する説明図である。 本発明のさらに他の実施形態に係る薬剤供給具を示す側面図である。 図16に示した薬剤供給具を水洗便器のリム部に取付けた状態を示す側面図であり、(a),(b)は相互に異なる状態を示す。 本発明のさらに他の実施形態に係る薬剤供給具を旋回流型水洗便器の凹路に向く面の側から見た斜視図である。 図18に示した薬剤供給具を背面側から見た斜視図である。 旋回流型水洗便器の一例を示す斜視図である。 従来の薬剤供給具の一例を示す斜視図である。 図21に示した薬剤供給具の種々の取付け状態を示す側面図である。
符号の説明
1 薬剤供給具
20、20A、20B 容器部
22、22a、22b 正面部
21 背面部
24 延長部
28、28b 対峙部
30、30a、30b 保持部
33 支持片
101 ボウル部(水洗便器)
102 リム部(水洗便器)
103 凹路(水洗便器)
104 吐水口(水洗便器)
P 鉛直平面
C 間隙

Claims (3)

  1. ボウル部上端のリム部に沿って延びる洗浄水案内用の凹路と、凹路の端部から該凹路に沿って洗浄水を吐出する吐水口とを有し、吐出された洗浄水を凹路を経てボウル部内面に流れる旋回流とする水洗便器のための薬剤供給具であって、
    薬剤を収容し、リム部に取り付けられた際に洗浄水への接触により薬剤の溶出を可能にする容器部と、
    前記容器部に結合され前記リム部に係止し得る保持部とを備え、
    前記容器部は、便器への取り付け時の傾斜度合いに応じて前記凹路に対峙し得る対峙部を備え、
    該対峙部は、側面視において、下端から上側へ延びた形状線により形成され前記凹路の水流に接触するのを可能にしつつ該凹路内への進入を規制し得る凸型主形状を有し、
    前記保持部の一部は、容器部が上部を前記凹路に接近させる方向に傾斜したときに前記対峙部における前記形状線の上側の終端部分が前記凹路内へ進入するのを規制するように、前記対峙部における前記形状線の上側の終端又はその近傍に固定的に位置していることを特徴とする薬剤供給具。
  2. 前記対峙部は、平面に対し幅30mmで水平に形成された間隙に当てがったときに、前記平面に直交する縦断面で見た前記間隙からの進入部分の面積が140mm 以下となるように形状が決められていることを特徴とする請求項1に記載の薬剤供給具。
  3. 容器部の上下方向における最大寸法箇所を結ぶ直線を基準線としたときに、該基準線に沿う方向における前記対峙部の高さHは、30〜70mmであり、
    前記対峙部に直交する断面において、対峙部上端を通り前記基準線に平行に延びる直線から対峙部下端までの距離をDとすると、
    30mm≦H<40mmのとき、D≦20mmであり、
    40mm≦H≦70mmのとき、D≦40mmである
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤供給具。
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