JP2009066489A - 接着剤ディスペンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】ノズルから基板表面に供給した接着剤の糸引き現象を軽減することが可能な接着剤ディスペンサを提供する。
【解決手段】接着剤吐出口36が設けられたノズル体30と、ノズル体30を基板10に対して接離動可能にする接離動手段42とを備え、接離動手段42により、ノズル体30を基板10の電子部品搭載位置に接近させ、接着剤吐出口36から基板10の電子部品搭載位置に接着剤70を所定量吐出させた後、接離動手段42によりノズル体30を基板10の電子部品搭載位置から接着剤70が糸引き状態を維持可能な位置である第1の位置まで離反させると共に、第1の位置でノズル体30を基板10に対して接離動する方向に振動させ、次いでノズル体30を第1の位置から第2の位置へ離反させる制御部80が設けられている。
【選択図】図4

Description

本発明は接着剤ディスペンサに関し、より詳細には、基板に搭載する電子部品をはんだ付け前に仮接着する際に用いる接着剤の糸引き現象の発生を大幅に軽減することが可能な接着剤ディスペンサに関する。
電子部品を基板にはんだ付けする前には、接着剤を用いて電子部品と基板とを仮接着する必要がある。このような基板への電子部品の仮接着の際に用いられる接着剤は一般的に粘性が高く、ノズルから吐出された接着剤と基板表面に塗布された接着剤の分断性が悪くなるため、接着剤が細長くのびてしまういわゆる糸引き現象が発生しやすくなる。基板に接着剤を塗布する際にこのような接着剤の糸引き現象が発生すると基板への接着剤塗布精度が低下する。
また、接着剤の糸引き現象の発生により、基板上で糸引き部分が倒れて基板上の電極部分が接着剤により覆われ、はんだ付け不良を生じるおそれがあるため、接着剤の糸引き現象の発生を防止可能な接着剤ディスペンサが提案されている。
このような接着剤ディスペンサとしては、接着剤を塗布するノズル部分またはノズル周辺に超音波振動子を配設し、基板表面に接着剤をノズルから吐出させた後に、超音波振動子による振動を与えることにより、接着剤の糸引き現象の発生を防止する接着剤の塗布装置(特許文献1)が提案されている。
また、ノズルにより接着剤を基板上に塗布した後に、ノズルを基板表面から一旦離反させ、ノズル先端の接着剤の糸引き部分の太さが十分に細くなるまでノズルを静止させて、接着剤の糸引き部分が十分に細くなった後に、ノズルをノズル待機位置まで移動させる接着剤ディスペンサの駆動方法(特許文献2)も提案されている。
特開平5−220433号公報 特開平6−343912号公報
上記接着剤ディスペンサを採用することにより、接着剤の糸引き現象の発生を可及的に防止することが可能にはなったが、接着剤の糸引き現象を防止するために超音波振動子を用いて接着剤に超音波を付与しているため、接着剤ディスペンサを安価に提供することができないといった課題や、接着剤の糸引き部分が十分に細くなるまでにかなりの時間が必要になることが多く、電子部品を基板に仮付けする際のタクトタイムが長くなってしまうといった課題がある。
そこで、本発明は、電子部品を基板に仮付けする際において、ノズルから基板表面に供給した接着剤の糸引き現象を大幅に軽減すると共に、電子部品を基板に仮付けする際のタクトタイムを短縮することにより、低コストで供給することができ、しかも効率的な製品の製造が可能な接着剤ディスペンサの提供を目的としている。
本発明は、基板の電子部品搭載位置に接着剤を塗布するための接着剤吐出口が設けられたノズル体と、該ノズル体を前記基板に対して接離動可能にする接離動手段と、を備えた接着剤ディスペンサであって、前記接離動手段により、前記ノズル体を前記基板の電子部品搭載位置に接近させ、前記接着剤吐出口から前記基板の電子部品搭載位置に接着剤を所定量吐出させた後、前記接離動手段により前記ノズル体を前記基板の電子部品搭載位置から接着剤が糸引き状態を維持可能な位置である第1の位置まで離反させると共に、当該第1の位置で前記ノズル体を前記基板に対して接離動する方向に振動させ、次いで前記ノズル体を前記第1の位置から第2の位置へ離反させる制御部が設けられていることを特徴とする接着剤ディスペンサである。
また、前記基板に対して前記ノズル体を接離動させる方向への振動は、複数回行われることを特徴とする。これにより、接着剤の糸引き現象をより軽減することができるので、接着剤の糸引き現象による不具合の発生を防止することができる。
また、前記基板に対して前記ノズル体を接離動させる方向への振動回数が調整可能であることを特徴とする。また、前記ノズル体を前記基板に対して接離動する方向に振動させる際の振幅が調整可能であることを特徴とする。さらに、前記ノズル体を前記基板に対して接離動する方向に振動させる際の周期が調整可能であることを特徴とする。
以上の構成を採用することにより、接着剤の粘性に対して最適な接離動動作を実行させることができるので、糸引き現象の発生を大幅に軽減すると共に、接着剤の塗布処理に要するタクトタイムを最小限に抑えることができる。
また、前記ノズル体には、前記基板に接着剤を吐出する接着剤吐出口の先端部位置と前記基板表面との離間距離を規定するストッパが設けられていることを特徴とする。これにより、基板表面と接着剤を供給する接着剤吐出口の先端部位置とを常に適切な位置関係にすることができるので好都合である。
本発明にかかる接着剤ディスペンサによれば、ノズル体の接着剤吐出口から基板に接着剤を吐出した後に、接離動手段がノズル体に、基板に対して接離動する方向に振動を与えることにより、ノズル体の接着剤吐出口から基板表面に供給された接着剤の糸引き現象の発生を短時間で大幅に軽減することができるため、信頼性の高い電子部品搭載基板を製造することができる接着剤ディスペンサを提供することができる。また、ノズル体に振動を与えるための手段として、ノズル体を移動させるための接離動手段を用いているので、従来技術の接着剤ディスペンサの構成に新しい構成を付加する必要がなく、新規な機能を具備しながらも廉価で接着剤ディスペンサの提供が可能になる。
以下、本実施形態における接着剤ディスペンサについて、図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施形態における接着剤ディスペンサの概略構成を示す平面図である。図2は、本実施形態における接着剤ディスペンサの概略構成を示す正面図である。図3は、ノズル部分の拡大側面図である。
本実施形態における接着剤ディスペンサ100は、図1に示すように、基板10を基板搬送方向に移動させる基板搬送装置20と、基板10に接着剤を塗布するノズル体30を搭載した塗布ヘッド40と、塗布ヘッド40を基板搬送方向に移動させる塗布ヘッド移動装置50と、これらを収容する本体部60とを有している。
基板搬送装置20は、基板10を図1中の矢印A方向に搬送する。基板搬送装置20は、図1および図2に示すように、基板搬送方向に沿って平行に配設された2本の搬送レール21,21と、搬送レール21の内壁に沿って循環する搬送ベルト22と、搬送ベルト22を循環させる搬送ベルト循環モータ23とにより構成される搬送ユニット25が搬入部と接着剤塗布部と搬出部の3箇所に直列に配設されてなる。
図1に示すように搬送ベルト22の一部は、搬送レール21の内側面からはみ出すようにして配設されている。基板10は、搬送レール21,21の内側面間の寸法に形成されていて、搬送ベルト22に基板10の両側部分が載置された状態となり、搬送ベルト22の循環方向である矢印A方向に搬送される。
接着剤塗布部分における搬送ユニット25(中央に配置された搬送ユニット25)は、基板搬送方向と直交する方向に配設されたスライド用レール26,26にスライド体26aを介して載置されていると共に、第1モータ27の出力軸に連結されている第1ボールネジ28に螺着体29を介して固定され、第1ボールネジ28の回転に伴って矢印B方向に移動可能に設けられている。
なお、搬入部と搬出部に配設された図示しない搬送ユニットは本体部60の所定位置に固定された状態で配設されている。
接着剤塗布部分における搬送ユニット25の下方には、搬送ユニット25により搬送されてきた基板10を支持するための支持板90が上下方向に移動可能(基板10の下面に対して接離動可能)に設けられている。支持板90の上面には、基板10の下面を支持するための支持ピン91が所要間隔をあけて配設されている(図2)。支持板90には図示しない凹部が複数箇所に配設されているので、搬送する基板10の形状や大きさに合わせて支持ピン91を適切な配列で配設し、基板10を支持することができる。
塗布ヘッド移動装置50は塗布ヘッド40を基板搬送方向(矢印A方向)に往復動させるためのものである。塗布ヘッド移動装置50は、基板搬送方向と同じ方向(矢印A方向)にわたって配設された第2ボールネジ52と、第2ボールネジ52が出力軸に連結された第2モータ54と、により構成されている。第2ボールネジ52と第2モータ54は、搬送ユニット25の上空位置に配設されている。第2ボールネジ52と塗布ヘッド40とは、搬送レール24と第1ボールネジ28との取り付け形態と同様に、第2ボールネジ52に螺着する図示しない螺着体を介して連結されている。
図3に示すように塗布ヘッド40には、ノズル体30を基板10の表面に対して矢印C方向に接離動させるための接離動手段42と、塗布ヘッド40に搭載したノズル体30を基板10と平行な面内においてθ方向に回転させる回転手段44が配設されている。接離動手段42と回転手段44は後述する制御部80によりそれぞれの動作が制御されている。
接離動手段42は、塗布ヘッド40の一部に固定された第3モータ42Aと、第3モータ42Aの出力軸に取り付けられたピニオンギア42Bと塗布ヘッド40に対して上下方向(基板10の表面に対し接離動する方向(矢印C方向))に移動する接離動体46に配設され、ピニオンギア42Bと噛合するラック42Cとにより構成されている。接離動手段42は単にノズル体30を基板10の接着剤塗布位置の表面に接近させるだけでなく、高速で接離動体46を基板10に対して接離動させることにより、ノズル体30に上下方向の振動を与える作用もなしている。このような用途を有する第3モータ42Aにはサーボモータが好適に用いられる。
また、回転手段44は、接離動体46の一部に固定された第4モータ44Aと、第4モータ44Aの出力軸に取り付けられたギア44Bと、ノズル体30の上部に連結され、ノズル体30全体における回転軸となる軸体30Aに取り付けられたギア30Bとの間に巻回されたベルト44Cと、により構成されている。ノズル体30を回転移動させる際には、第4モータ44Aによりベルト44Cを循環させればよい。
本実施形態における塗布ヘッド40には、基板10に塗布する接着剤70が充填されているシリンジ32と、シリンジ32の外表面を覆う加熱手段31と、シリンジ32内の接着剤を塗布するノズル34と、により構成されているノズル体30が3本配設されている。加熱手段31の温度は、制御部80によりシリンジ32内の接着剤70が所要の温度となるように維持されている。このようにシリンジ32内の接着剤70を所定の温度にすることで、接着剤70の粘度を一定に維持することができるため、ノズル体30からの接着剤70の供給を正確に制御することができる。
ノズル体30からの接着剤70の吐出は、図示しないエア供給装置からの圧縮エアを一定時間にわたってシリンジ32に供給することにより実現される。シリンジ32へ供給する圧縮エアの圧力や供給時間等についても制御部80により適宜制御されている。
ノズル34はノズル体30の下端部に取り付けられている。本実施形態におけるノズル34には、接着剤70を吐出する接着剤吐出口36が2箇所に配設され、接着剤吐出口36の外側に2本のストッパ38が配設されている。ストッパ38はそれぞれニードル状に形成されていて、接着剤吐出口36の下端位置よりもストッパ38の下端位置が下方側(基板10側)となるように形成されている。2本のストッパ38,38の下端部位置はそれぞれ等しい高さ位置となるように形成されている。
このようにノズル34に設けられた接着剤吐出口36よりもストッパ38が先に基板10に接する形態としたことにより、接着剤吐出口36と基板10との離間距離を規制することができる。また、接着剤吐出口36の外側に2本のストッパ38,38を配置しているので、基板10の表面に対して平行な平面を常に同一条件で設定することができる。さらには、基板10に対する接着剤70の塗布条件も一定にすることができるため、基板10への接着剤塗布位置に関わらず均等に接着剤70を塗布することが可能になる。
また、接着剤吐出口36が2箇所に配設されていることに加え、ノズル体30をノズル体30の軸周りに回転させる回転手段44が設けられているので、基板10の接着剤塗布位置の形状が細長い長方形状や他の形状であっても、効率的に接着剤70を塗布することができる。
本実施形態においては、3つのノズル体30,30,30に装着されているノズル34,34,34に、異なる径寸法(大・中・小)に形成された接着剤吐出口36,36,36を配設しているので、基板10へ塗布する接着剤70の塗布範囲に応じて使用するノズル体30,30,30を適宜選択すれば、効率的な接着剤70の塗布が可能になるため好都合である。ノズル体30に装着されている接着剤吐出口36の径寸法と使用する接着剤70の種類によって、ノズル体30に糸きり処理(基板10に対してノズル体30を高速で接離動させることによるノズル体30への振動の付与)を実行するか否かが予め決定されている。本実施形態においては、一番大きな径寸法に形成された接着剤吐出口36を有するノズル体30にのみ、糸きり処理を行えばよい。他のノズル体30,30における接着剤吐出口36の径寸法と接着剤70の種類の組み合わせであれば、糸きり処理をしなくても、接着剤吐出口36において接着剤70の糸引き現象は生じないことが予め実験などにより分かっている。
このように、同じ塗布ヘッド40に装着されているノズル体30であっても、振動(糸きり処理)が付与されるノズル体30と振動が付与されないノズル体30とが混在することがある。
図1に示すように、制御部80は、記憶手段82と記憶手段82に予め記憶されている制御プログラム84と制御プログラム84に基づいて接着剤塗布装置10の具体的な動作条件を演算または選択する演算手段86とにより構成されている。
制御プログラム84は、演算手段86が接着剤塗布位置データLDおよび接離動データVDにより構成されているノズル動作制御データNDに基づいて、基板搬送装置20の第1モータ27、塗布ヘッド移動装置50の第2モータ54、塗布ヘッド40の接離動手段42における第3モータ42Aおよび第4モータ44Aの具体的な動作(糸きり処理の動作)を決定することができるように組まれている。
接着剤塗布位置データLDは、記憶手段82に記憶されている接着剤70を基板10のどの位置に塗布すべきかを指示するものである。また接離動データVDは、接着剤70の種類とその温度に対応するノズル体30(塗布ヘッド40における接離動体46)の動作(位置・速度)を決定するデータが格納されており、糸きり処理における振動の振幅、振動回数および振動周期も含まれる。
接着剤塗布位置データLDは、ノズル体30の移動距離の合計が最短距離となるように最適化された状態に構成されていることが好ましい。
図4は、糸きり処理を実行するノズル体を用いて基板に接着剤を塗布する際におけるノズル高さと時間の関係を示すグラフである。制御部80は、接着剤塗布位置データLDを記憶手段82から読み取ると共に、加熱手段31の温度制御データから接着剤70の温度を決定する。次に制御部80は、記憶手段82から接離動データVDを読み取った後、基板搬送装置20、塗布ヘッド移動装置50、塗布ヘッド40内の回転手段44によりノズル体を制御プログラム84の位置データLDに従いそれぞれ制御し、ノズル体30を基板10の所定位置(接着剤70の塗布位置上空)に移動させる。ノズル体30が基板10の所定位置に移動した後、制御部80が制御プログラム84の接離動データVDに従い塗布ヘッド40内の接離動手段42の動作を制御し、ノズル体30を接着剤塗布前の待機位置から電子部品搭載部分(塗布位置)まで移動させる(AからB)。その後、制御部80が電子部品搭載部分に接着剤70を吐出させる(BからC)。
続いて制御部80は、接着剤70の糸引き状態を維持することが可能な第1の位置までノズル体30(ノズル34)を基板10の表面から離反させる(CからD)。さらに制御部80は、塗布ヘッド40に搭載されている接離動手段42を作動させ、ノズル体30を基板10に対して接離動する方向に高速で移動させる(振動を付与する)ことにより接着剤70の糸引きを軽減した状態にして、基板10の表面とノズル体30の接着剤吐出口36との間の接着剤70を分断する(DからE)。そして、ノズル体30を第2の位置である接着剤塗布後における待機位置まで移動させ(EからF)た後、次の接着剤塗布位置にノズル体30を移動させる。
このように制御部80は、ノズル体30が基板10の所要箇所に接着剤70を塗布する毎にノズル体30を基板10から一旦離反させた後、ノズル体30に上下方向の振動を付与して接着剤70の糸引き状態を軽減させてから、接着剤塗布位置データに基づいてノズル体30を第2の位置である待機位置および次の接着剤塗布位置に移動させているので、接着剤70の糸引き部分による不具合の発生を極力抑え、高精度な接着剤70の塗布処理を行うことができる。
このようにして基板10に塗布した接着剤70の状態を図5に示す。
図5は、本実施形態および従来技術のそれぞれにおける基板への接着剤の塗布状態の平面写真と正面写真である。図5中の(A)は、本実施形態における接着剤ディスペンサ100により基板10に塗布した接着剤70を撮影した平面写真および正面写真である。図5中の(B)は、従来技術の糸きり処理を採用している接着剤ディスペンサにより基板10に塗布した接着剤70を撮影した平面写真および正面写真である。図5中の(A),(B)において、基板10に接着剤70を塗布する際の各種条件は、使用する接着剤ディスペンサ100が異なっているのみである。
以上の本実施形態における接着剤ディスペンサ100を用いた接着剤塗布方法について説明する。図6は、本実施形態における基板への接着剤塗布の手順を示したフロー図である。
まず、搬入部の搬送ユニット25に基板10を載置して基板10を接着剤塗布部に搬送する(ステップ1)。基板10が接着剤塗布部に搬送されると、制御部80が搬送ベルト循環モータ23を停止させ、基板10の下面に向けて支持板90を上昇させて支持ピン91により基板10の底面を支持して、基板10の位置を固定する(ステップ2)。このように、支持ピン91で基板10の下面を押さえることにより、ノズル体30により基板10の表面を押圧加減に当接させても、基板10のたわみを抑えることができるため好都合である。
次に制御部80は、基板10に形成されているアライメントマーク(図示せず)を読み取った後、支持板90により固定保持されている基板10のX−Y−θ(回転)方向の座標値を算出すると共に、制御プログラム84の接着剤塗布位置データLDを補正する。その後、制御部80は制御プログラム84の接離動データVDに従い、塗布ヘッド40内の接離動手段42の動作を制御し、ノズル体30を接着剤塗布前の待機位置に移動させる(ステップ3)。制御部80は制御プログラム84の接着剤塗布位置データLDを参照し、接着剤を塗布すべき位置があるか否かについて判断する(ステップ4)。基板10に接着剤70を塗布すべき位置がある(ステップ4のYES側ルート)場合、基板搬送装置20、塗布ヘッド移動装置50、塗布ヘッド40内の回転手段44によりノズル体を補正された塗布位置データLDに従いそれぞれ制御し、ノズル体を基板10の所定位置(接着剤70の塗布位置上空)に移動させ(ステップ5)、ノズル体30が糸きり処理をする必要があるか否かについて判断する(ステップ6)。
糸きり処理が不要なノズル体30で接着剤70を塗布する場合(ステップ6のNo側ルート)には、制御部80は、制御プログラム84の接離動データVDに基づいて接離動手段42の動作を制御し、ノズル体30の下端に位置するノズル34の接着剤吐出口36の位置を基板10の接着剤塗布位置に移動させた後、通常の接着剤塗布(ステップ6−1)が行われた後、ステップ4に戻る。
糸きり処理が必要な場合には、制御部80は、制御プログラム84の接離動データVDに基づいて接離動手段42の動作を制御し、ノズル体30の下端に位置するノズル34の接着剤吐出口36の位置を基板10の接着剤塗布位置に移動させ接着剤70を接着剤吐出口36から吐出させて基板10に塗布する(ステップ7)。基板10に接着剤70を塗布した後、制御部80は、制御プログラム84の接離動データVDに基づいて接離動手段42の動作を制御し、ノズル体30を基板10の表面から接着剤70の糸引き状態を維持することができる第1の位置(本実施形態においては、ノズル体30を基板10の表面から2.5mm離反した位置を第1の位置とした)まで移動させ(ステップ8)、接離動データVDから参照した振幅、周期、振動回数で、基板10に対して接離動する方向にノズル体30を往復させるようにして振動させる(ステップ9)。このようにノズル体30を上下方向に微小に振動(本実施形態ではノズル体30に付与した振動を、振幅1mm、周期60ms、振動回数4回とした。)させることにより、接着剤吐出口36と基板10との間の接着剤70を糸引き部分を可及的に抑えた状態で分断することができる。
続いて制御部80は、制御プログラム84の接離動データVDに基づいて接離動手段42の動作を制御し、ノズル体30を待機位置(第2の位置)に移動させ(ステップ10)た後、ステップ4に戻る。
制御部80は、再びステップ4からステップ10までを、ステップ4でNO側ルートになるまで繰り返し実行する。基板10に接着剤70の塗布位置がなくなったら(ステップ4のNO側ルート)、制御部80は、基板10の下面を支持している支持板90を下降させることで基板10から離反させ、搬送ベルト循環モータ23を作動して、基板10を搬出部に搬出する(ステップ11)。ステップ11を実行した後、制御部80は、搬入部に新たな基板10が載置されているか否かを判断し(ステップ12)、新しい基板10が載置されているならば、ステップ1に戻り(ステップ12のYES側ルート)、搬入部に新しい基板10がセットされていなければ(ステップ12のNO側ルート)、処理を終了する(END)。
以上のようにして、基板10に接着剤70を塗布する際に、接着剤70を塗布する量に応じてノズル体30を使い分ける場合、塗布すべき接着剤70の量が多いノズル体30にのみノズル体30に糸きり処理(振動付与)をしているので、基板10への接着剤70の塗布処理に要する時間の増加を最小限に抑えることができる。また、糸きり処理をすることにより、基板10に接着剤70を正確に塗布することができるため、製品の歩留りを向上させることが可能になった。
また、糸きり処理を実行した場合において、ノズル体30の待機位置からの下降開始から基板10へ接着剤70を塗布し、糸きり処理を実行し、再びノズル体30の待機位置まで戻る工程を1サイクルとした場合、従来の糸きり処理方法を採用した接着剤ディスペンサを用いた場合における1サイクルの処理時間は650msであったのに対し、本実施形態における接着剤ディスペンサ100を用いた場合の所要時間は550msであった。このように、従来の糸きり処理方法に比べて糸きり処理におけるタクトタイムの短縮も可能になった。
以上に、本実施形態における接着剤ディスペンサ100について説明したが、本発明の技術的範囲は以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲において各種の改変を行ったとしても本発明の技術的範囲に含まれるのはもちろんである。
例えば、本実施形態においては、搬送レール21の内壁面間寸法と同寸法に形成された基板10を用いているが、搬送レール21どうしの離間距離を調節する搬送レール間隔調整手段を追加して設ければ、基板10の寸法に合わせて搬送レール21をセットすることができ、一台で複数種類の基板10を取り扱うことができるため好都合である。
また、制御プログラム84を構成する接着剤塗布位置データLDと接離動データVDは、図示しない入力手段を介してユーザが必要に応じて更新または変更可能にした形態を採用してもよい。これにより、使用状況に応じて最適な制御プログラム84をすぐさま適用することができるため好都合である。
さらに、ストッパ38の先端部分が基板10の表面に当接したことを検知する図示しない接触センサを配設し、接触センサからの検出信号を制御部80に送信可能に接続すれば、接触センサにより検出された信号に基づいて、制御部80が基板10の表面へのノズル34の移動量を制御する形態を採用することもできる。
さらにまた、本実施形態においては、ノズル体30を移動させる第2の位置として、基板10に接着剤70を塗布した部分の上空位置を待機位置を設定しているが、ノズル体30に振動を与えたことにより接着剤70の糸引きが極僅かである場合や、完全に解消することができている場合には必ずしもノズル体30を接着剤塗布位置上空まで離反させる必要はなく、第2の位置として次の接着剤塗布位置を設定することももちろん可能である。
さらに、本実施形態においては、基板10を矢印A,B方向に移動させる接着剤塗布部おける基板搬送ユニット25と、ノズル体30を搭載する塗布ヘッド40を矢印A方向に往復移動させる塗布ヘッド移動装置50と、ノズル体30を塗布ヘッド40に対して接離動させる(矢印C方向に移動させる)接離動手段42と、ノズル体30を基板10の表面に直交する軸周りに回転させる回転手段44と、をそれぞれ組み合わせることにより、ノズル体30に取り付けられている接着剤吐出口36を基板10の接着剤塗布位置まで移動させているが、矢印A,Bの両方向および基板10の表面に直交する軸周り(基板10の面内方向)に回転可能な基板移動テーブルと、塗布ヘッド40に搭載したノズル体30を基板10の表面に接離動させる接離動手段42の組み合わせであっても、本実施形態と同様の効果を得ることができ、制御部80が制御する制御対象物を減少させることができるため好都合である。
本実施形態における接着剤ディスペンサの概略構成を示す平面図である。 本実施形態における接着剤ディスペンサの概略構成を示す正面図である。 ノズル部分の拡大側面図である。 糸きり処理を実行するノズル体を用いて基板に接着剤を塗布する際におけるノズル高さと時間の関係を示すグラフである。 本実施形態および従来技術のそれぞれにおける基板への接着剤の塗布状態の平面写真と正面写真である。 本実施形態における基板への接着剤塗布の手順を示したフロー図である。
符号の説明
10 基板
20 基板搬送装置
21 搬送レール
22 搬送ベルト
23 搬送ベルト循環モータ
25 搬送ユニット
26 スライド用レール
26a スライド体
27 第1モータ
28 第1ボールネジ
29 螺着体
30 ノズル体
30A 軸体
30B ギア
31 加熱手段
32 シリンジ
34 ノズル
36 接着剤吐出口
38 ストッパ
40 塗布ヘッド
42 接離動手段
42A 第3モータ
42B ピニオンギア
42C ラック
44 回転手段
44A 第4モータ
44B ギア
44C ベルト
46 接離動体
50 塗布ヘッド移動装置
52 第2ボールネジ
54 第2モータ
60 本体部
70 接着剤
80 制御部
82 記憶手段
84 制御プログラム
86 演算手段
90 支持板
91 支持ピン
100 接着剤ディスペンサ
LD 接着剤塗布位置データ
ND ノズル動作制御データ
VD 接離動データ

Claims (6)

  1. 基板の電子部品搭載位置に接着剤を塗布するための接着剤吐出口が設けられたノズル体と、該ノズル体を前記基板に対して接離動可能にする接離動手段と、を備えた接着剤ディスペンサであって、
    前記接離動手段により、前記ノズル体を前記基板の電子部品搭載位置に接近させ、前記接着剤吐出口から前記基板の電子部品搭載位置に接着剤を所定量吐出させた後、前記接離動手段により前記ノズル体を前記基板の電子部品搭載位置から接着剤が糸引き状態を維持可能な位置である第1の位置まで離反させると共に、当該第1の位置で前記ノズル体を前記基板に対して接離動する方向に振動させ、次いで前記ノズル体を前記第1の位置から第2の位置へ離反させる制御部が設けられていることを特徴とする接着剤ディスペンサ。
  2. 前記基板に対して前記ノズル体を接離動させる方向への振動は、複数回行われることを特徴とする請求項1記載の接着剤ディスペンサ。
  3. 前記基板に対して前記ノズル体を接離動させる方向への振動回数が調整可能であることを特徴とする請求項2記載の接着剤ディスペンサ。
  4. 前記ノズル体を前記基板に対して接離動する方向に振動させる際の振幅が調整可能であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の接着剤ディスペンサ。
  5. 前記ノズル体を前記基板に対して接離動する方向に振動させる際の周期が調整可能であることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の接着剤ディスペンサ。
  6. 前記ノズル体には、前記接着剤吐出口の先端部位置と前記基板表面との離間距離を規定するストッパが設けられていることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の接着剤ディスペンサ。
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