JP2009062269A - 水素生成装置及び水素生成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】メタノール液等の炭化水素系液体原料の蒸発と、炭化水素の分解又は水蒸気改質とを単一工程且つ単一機構で実行可能な水素生成装置及び水素生成方法を提供する。
【解決手段】水素生成装置(1,1')は、炭化水素を含む液体原料を加熱し、炭化水素の分解反応又は水蒸気改質反応によって水素を生成する。水素生成装置(1,1')は、発熱体(8,8',8")及び多孔質体(6,6',6")を有する。多孔質体は、発熱体に接触し又は近接して発熱体によって加熱される被加熱部(6a)を備えるとともに、毛管力によって液体原料を被加熱部に供給する多数の細孔(30)を有する。多孔質体は、細孔内で気化した液体原料の蒸気に細孔内で接触して炭化水素の分解反応又は水蒸気改質反応を進行させる触媒(2)を有する。
【選択図】図6

Description

本発明は、水素生成装置及び水素生成方法に関するものであり、より詳細には、液体メタノール等の炭化水素系液体原料から迅速且つ効率的に水素を生成する水素生成装置及び水素生成方法に関するものである。
メタノール蒸気、或いは、メタノール蒸気及び水蒸気の混合気を250〜300℃程度の温度に加熱して白金等の触媒に接触させると、分解反応又は水蒸気改質反応により水素が生成する。この反応は、燃料電池用の燃料水素製造や、化学ヒートパイプ、化学再生ガスタービン発電システム等の省エネルギー機器又はエネルギー有効利用システムに応用可能な技術として近年殊に注目されている。
燃料電池用の燃料水素を製造する装置として、メタノール等の炭化水素を改質触媒によって水蒸気改質し、比較的多量の水素を含有する水素リッチガスを生成する水素生成装置が知られている。この種の水素生成装置は、炭化水素及び水を含む液体原料を加熱して液体原料を蒸発させる蒸発部と、水蒸気改質触媒の粒子又はペレット等を充填した反応域又は反応器からなる改質部とから構成されており、炭化水素の水蒸気改質反応が改質触媒の存在下に改質部に進行する。水素ガス生成装置は又、液体原料の蒸発や、水蒸気改質反応に要する熱を確保すべく、触媒燃焼部等の熱源を有し、熱源の熱は、燃焼ガス等の熱媒体を介して蒸発部及び改質部に夫々供給される。このような構成の水素ガス生成装置は、例えば、特開2000−154001号公報、特表2003−501342号公報に記載されている。
また、携帯電話又は携帯PC等の小型電子機器の電源として使用可能な燃料電池の研究・開発が近年、実施されており、このような燃料電池に連結可能又は装着可能な燃料容器が、例えば、特開2004−281341号公報に記載されている。この種の燃料容器は、燃料電池の気化部に接続される流出口と、炭化水素系液体原料を収容可能な容器本体とを有する。
更には、連続気泡発泡体の毛管作用によって炭化水素系液体原料を燃料電池の改質器又は燃料極に輸送することが、特開2005−105129号公報に記載されている。
特開2000−154001号公報 特表2003−501342号公報 特開2004−281341号公報 特開2005−105129号公報
しかしながら、メタノールから水素を得るには、メタノール蒸気(或いは、メタノール蒸気及び水蒸気の混合気)を生成し、触媒粒子等を充填した反応器(又は改質器)にメタノール蒸気を導入してメタノールの分解反応(又は水蒸気改質反応)を進行させる二段階の工程が必要である。このため、従来の水素生成装置は、メタノール蒸気(或いは、メタノール蒸気及び水蒸気の混合気)を生成する蒸発器と、触媒の存在下にメタノールを分解し又は水蒸気改質する反応器とを備えており、この結果、装置サイズが大型化し、或いは、装置構造が複雑化していた。
また、従来の水素生成装置においては、蒸発器及び反応器に供給する熱を個別に制御し、或いは、蒸発器と反応器との間の熱移動を制御しなければならないことから、複雑な加熱制御手段を設ける必要が生じ、制御性や熱効率の点においても改善すべき余地が残されていた。
更に、従来の水素生成装置は、比較的大きな容量の蒸発部及び分解・改質部を備えることから、起動時の立ち上がり時間が比較的長く、負荷変動に対する追従性も劣り、このため、初期加熱時間を短縮し、負荷変動に対する応答性を改善することが望まれる。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、メタノール液等の炭化水素系液体原料の蒸発と、炭化水素の分解又は水蒸気改質反応とを単一工程且つ単一機構で実行可能な水素生成装置及び水素生成方法を提供することにある。
本発明は又、蒸発及び反応のための工程及び機構の単一化により、装置構成の小型化又は簡素化、加熱制御手段の簡素化又は部分的省略、制御性及び熱効率の改善、初期加熱時間の短縮、負荷変動に対する応答性の改善等を可能にする水素生成装置及び水素生成方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成すべく、炭化水素を含む液体原料を加熱し、炭化水素の分解反応又は水蒸気改質反応によって水素を生成する水素生成装置において、
発熱体と、発熱体に接触し又は近接して該発熱体によって加熱される被加熱部を備えた多孔質体とを有し、
前記多孔質体は、毛管力によって前記液体原料を前記被加熱部に供給する多数の細孔を備えるとともに、前記細孔内で気化した前記液体原料の蒸気に前記細孔内で接触して前記炭化水素の分解反応又は水蒸気改質反応を進行させる触媒を有することを特徴とする水素生成装置を提供する。
本発明は又、炭化水素を含む液体原料を加熱し、炭化水素の分解反応又は水蒸気改質反応によって水素を生成する水素生成方法において、
毛管作用を有する多数の細孔を備え且つ炭化水素の分解反応又は水蒸気改質反応用触媒を有する多孔質体に前記液体原料を含浸し、
前記細孔の出口開口部に接触又は近接した発熱体を発熱させて、前記出口開口部及びその近傍の多孔質体部分を前記発熱体の熱で加熱し、前記細孔内の液体原料の液面を該細孔内に後退せしめ、
前記細孔内で気化した前記液体原料の分解反応又は水蒸気改質反応を前記触媒の存在下に前記細孔内で進行させ、該細孔内に水素を生成することを特徴とする水素生成方法を提供する。
本発明の水素生成装置及び水素生成方法よれば、メタノール液等の炭化水素系液体原料の蒸発と、炭化水素の分解又は水蒸気改質反応とを単一工程且つ単一機構で実行することができる。
また、上記構成の水素生成装置及び水素生成方法によれば、炭化水素系液体原料の蒸発と、炭化水素の反応(分解反応又は水蒸気改質反応)とが多孔質体の細孔内で同時に進行するので、装置構成を小型化又は簡素化するとともに、制御性及び熱効率を改善することができる。更に、装置の加熱制御は、発熱体の発熱量又は熱流束を制御することにより実行すれば良いことから、加熱制御手段の構成を簡素化し、或いは、複雑な制御手段を省略することができる。上記構成の水素生成装置及び水素生成方法は又、発熱体の熱を直接且つ迅速に炭化水素に伝達する構成を有するので、初期加熱時間を短縮するとともに、負荷変動に対する応答性を改善することができる。
本発明によれば、メタノール液等の炭化水素系液体原料の蒸発と、炭化水素の分解又は水蒸気改質反応とを単一工程且つ単一機構で実行可能な水素生成装置及び水素生成方法を提供することができる。
また、本発明の上記構成によれば、蒸発及び反応のための工程及び機構の単一化により、装置構成の小型化又は簡素化、加熱制御手段の簡素化又は部分的省略、制御性及び熱効率の改善、初期加熱時間の短縮、負荷変動に対する応答性の改善等を可能にする水素生成装置及び水素生成方法を提供することができる。
本発明の好適な実施形態において、原料炭化水素は、メタノール、ジメチルエーテル、2−プロパノール又はシクロヘキサンであり、触媒は、白金(Pt)、コバルト、亜鉛、銅、鉄、ニッケル等の金属又はその酸化物である。多孔質体は、発熱体を収容する円形断面の中空部を有し、発熱体は、中空部の内周面に接し又は近接し且つ軸芯を中空部の軸線方向に配向したコイル状電熱体からなる。コイル状電熱体は、加熱時に径方向に熱膨張し、中空部の内周面との接触状態又は近接状態を維持する。所望により、複数の中空部を多孔質体に形成し、各中空部に発熱体を内装しても良い。コイル状電熱体として、通電時に発熱する円形断面のコイル状ニクロム線又はカンタル線を好適に使用し得る。中空部内周面と発熱体との接触部分の熱流束は、例えば、1MW/m2以上に設定される。
本発明においては、発熱体の熱によって中空部の内壁面近傍の多孔質体を乾燥させることが望ましいと考えられる。好ましくは、中空部の径方向外方に補助中空部が更に形成される。補助中空部は、発熱体の発熱による多孔質体の乾燥を促進するように作用する。
乾燥した多孔質体部分の細孔内では、液面が細孔内に後退し、細孔の出口開口部と液面との間に反応域が形成される。炭化水素系液体原料は、高温の反応域において触媒の存在下に分解反応し又は水蒸気改質反応し、比較的多量の水素を含む合成ガスが反応域に生成する。
更に好ましくは、分解反応又は水蒸気改質反応用の触媒が中空部に配置される。中空部は、発熱体の発熱によって高温雰囲気を維持する。中空部を流動する合成ガスに含まれる未反応の炭化水素は、触媒の存在下に分解反応し又は水蒸気改質反応し、更に多量の水素を含む合成ガスが中空部に生成する。中空部の触媒は、例えば、発熱体を構成する電熱コイルのコイル表面に付着又は添着される。
本発明の好適な実施形態において、発熱体を中空部に内装した多孔質体は、液体を封入可能な密封構造の可搬式又は携帯式ケーシング内に収容され、ケーシングは、中空部に連通する送出管の部分を燃料電池の燃料供給部に連結することにより、燃料電池に連結される。所望により、合成ガスは、一酸化炭素(CO)を除去するCO除去手段を介して燃料電池の燃料供給部に供給される。
液体原料を充填した複数の可搬式又は携帯式ケーシングを予め用意することにより、ケーシング単位で液体原料を適切な時期に供給することができる。これは、燃料電池に対する水素の連続供給を実質的に可能にする。また、このようなケーシングを規格・標準化することにより、携帯電話又は携帯PC等の小型電子機器用燃料電池に水素を供給し得る携帯式の水素供給カセット又は水素供給ユニット等を設計することが可能となる。
本発明の或る実施形態においては、水素生成装置は、発熱体を通電発熱させる電力供給装置を含む。好適には、電力供給装置は、発熱体に通電すべき電力の電圧値又は電流値を制御して発熱体の発熱量を制御する発熱体制御手段を有する。
図1は、本発明を適用した水素生成装置の第1実施例を示す斜視図であり、図2及び図3は、図1に示す水素生成装置の縦断面図及び横断面図である。
水素生成装置1は、液浴Wを収容する液槽5と、液槽5内の液浴Wに下部を浸漬した多孔質体6と、多孔質体6の中空部7に内装したコイル状発熱体8とから構成される。中空部7の下流端が合成ガス送出口7aとして多孔質体6の端面に位置決めされる。中空部7の上流側部分は、多孔質体6内の閉塞端7bにおいて終端する。合成ガス送出管3の上流端が合成ガス送出口7aに接続される。合成ガス送出管3は、比較的多量の水素を含む合成ガスSを燃料電池の燃料供給部等(図示せず)に供給する。水素生成装置1は、大気又は外界雰囲気から完全に遮蔽された装置内に収容され、或いは、空気又は酸素の供給を完全に遮断された装置内領域に配置される。所望により、水素生成装置1は、液槽5、多孔質体6及びその周囲領域を外界雰囲気から遮断する上部カバー50(二点鎖線で示す)を備え、大気開放空間に配置可能な構造を有する。
全長に亘って均等な直径を有する円形断面の流体通路が、中空部7によって多孔質体6内に形成される。発熱体8は、概ね全周に亘って中空部7の内周面に接し又は密着した円形断面のコイル状ニクロム線又はカンタル線からなり、通電時に発熱する。発熱体8には、リード線15が接続される。リード線15の端子16には、電流供給装置20の通電配線21が接続される。電流供給装置20は、給電線22を介して交流電源(AC100V)23に接続される。本例の電流供給装置20は、交流電源23の電圧を降下させ、比較的低電圧の電力を発熱体10に供給する電圧調整器を有する。電流供給装置20は、発熱体8に交流電圧を印加し、発熱体8を発熱させる。
メタノール液供給装置25が、液槽5と関連して水素生成装置1に設けられる。メタノール液供給装置25は、供給管28を介してメタノール液Lを液槽5内に供給し、メタノール液Lの液浴Wが液槽5内に貯留される。所望により、メタノール液供給装置25は、液槽5内のメタノール液Lの液量を検出する液面レベル検出手段を有し、メタノール液Lの液面レベル低下と関連してメタノール液Lを液槽5に補給するように構成される。
図3に実線矢印で示す如く、多孔質体6は、その毛管作用によって液槽5のメタノール液Lを吸い上げる。多孔質体6には、少なくとも部分的にメタノール液Lが含浸される。吸い上げられたメタノール液Lは、中空部7に向かって流動し、中空部7の内周面において発熱体8の熱を受熱する。メタノール液Lは、発熱体8の熱によって加熱され、急激に気化する。
一般に、含水多孔質体に高温物体を接近させると、多孔質体の表面において液体が急激に気化する。そして、多孔質体の表面の液が蒸発によって減少すると、多孔質体の毛管力によって自動的に多孔質体表面に液体が供給されるので、多孔質体表面の液枯れは生じ難い。水素生成装置1は、このような原理を応用したものであり、優れた制御性及び応答性を有し、急峻な装置起動性、メタノール液蒸発の俊敏性、水素生成の迅速性等の性能を発揮する。
図4〜図6は、中空部7及び発熱体8の部分拡大断面図である。
多数の連通空隙を有し、耐熱性及び電気絶縁性を備えたセラミックス成形体を多孔質体6として好ましく使用し得る。多孔質体6の多数の連通空隙は、毛管作用を発揮する多数の細孔30を構成する。図4〜図6には、多孔質体6の細孔30が模式的に示されている。
例えば、図1〜図3に示す多孔質体6は、幅50mm×高さ50mm×長さ120mmの寸法を有する市販の耐熱断熱レンガ(型式B5、 イソライト工業株式会社製品、主成分:SiO2 55%、 Al2O3 41%、有効熱伝導率:0.33 [W/(m・K)])からなり、平均細孔径=9μm、モード径=90.6μm、空隙率=62.3%の物性を有する。直径D=8mmの中空部7が、図3に示す断面(50mm×50mm)の中心において多孔質体6に穿設され、直径d(L1)=0.35mm、長さ1.1mのカンタル線が発熱体8として螺旋状に中空部7に配設される。カンタル線は、図4に示す如く、内壁面6aに密着するように配置される。カンタル線のピッチ間隔T2は、約2.5mmに設定され、カンタル線の巻数は、約40巻に設定される。発熱体8の線径T1と、発熱体8の間隔T2との比は、例えば、1/3〜1/10の範囲に設定される。
図3に示す如く、多孔質体6は、少なくとも部分的に液浴Wのメタノール液Lに接し、メタノール液Lは、細孔30の毛細管現象によって細孔30に吸い上げられる。細孔30は、図4及び図5に模式的に示す如く、中空部7の内壁面6aにおいて開口し、細孔30の開口部31が、発熱体8の表面に近接する。
図4(B)及び図5には、メタノール液Lが細孔30の開口部31まで吸い上げられた状態が示されている。図5に示す如く、メタノール液Lは、細孔30の開口部31まで初期的に吸い上げられ、メタノール液Lの液面4が表面張力により湾曲し、メニスカスMを開口部31の縁に形成する。メニスカスMは、薄い液膜として開口部31の全周に形成される。発熱体8から多孔質体6に熱伝導した発熱体8の熱Hは、メニスカスMのメタノール液Lに伝熱し、メニスカスMのメタノール液Lを加熱する。メニスカスMのメタノール液Lは又、発熱体8の輻射熱によっても加熱される。メニスカスMは、細孔30の出口の縁部に位置する微小質量の液又は薄い液膜であることから、その熱容量は極めて小さく、従って、メニスカスMの液又は液膜は、発熱体8の熱Hによって瞬時に気化する。メタノール液Lの気化によって生成したメタノール蒸気Vが、図4(B)に示す如く、開口部31から中空部7に流出する。
液面4からのメタノール液Lの蒸発に相応して、液浴Wのメタノール液Lが細孔30に吸い上げられる。メタノール蒸気生成面を構成する多孔質体6の内壁面6aと、内壁面6aにメタノール液Lを供給する液浴Wとは、多孔質体6を挟んで分離し且つ反対側に位置するので、液L及び蒸気Vは、同方向に流動する。開口部31に向かって流動するメタノール液Lは、多孔質体6に伝達した熱Hによって効果的に予熱される。開口部31のメタノール液Lは、発熱体8の熱を受熱して連続的に蒸発する。
図5に模式的に示すように、多孔質体6は、多数の触媒2を有する。触媒2は、メタノール分解反応用の粒子状触媒、或いは、アルミナ等の触媒担体に担持した担持型触媒からなる。白金(Pt)、コバルト、亜鉛、銅、鉄、ニッケル等の金属又はその酸化物を触媒2として好適に使用し得る。
例えば、200kW/m2以上の大きな平均表面熱流束が得られるように発熱体8を通電発熱させると、発熱体8の表面温度は、500℃以上、例えば、700℃に達する。図4(B)及び図5に示す如く、多孔質体6の表面細孔部に形成されるメニスカスMの液膜部において急峻なメタノール液Lの蒸発が生じ、メタノール液Lの液面4は、図4(C)及び図6に示す如く、細孔30内に後退する。毛細管現象によって吸い上げられるメタノール液Lの液量と、メタノール液Lの蒸発速度とが平衡状態に達したとき、液面4の位置(液面レベル)は安定する。この結果、反応域9が、液面4と開口部31との間の細孔30内に形成される。なお、実際には、各細孔30は、不規則且つ複雑な通路形態及び経路を有し、反応域9は、不規則且つ不定形な形態な領域であり、触媒2と反応域9との位置関係も、不規則である。
図7は、多孔質体6に形成される乾燥帯域Zの断面を概略的に示す断面図である。
液面4の後退に伴って、半円状又は扇状断面の乾燥帯域Zが多孔質体6に形成される。乾燥帯域Zは、発熱体8と多孔質体6との接触部分に沿って多孔質体6の内壁面6aに螺旋形態に形成される。メタノール液Lを含浸した湿潤な(比較的多量の液分を含む)内壁面帯域Yが乾燥帯域Zの間に形成される。乾燥帯域Zには、250〜300℃程度の高温雰囲気の反応域9(図4(C)及び図6)が形成される。なお、湿潤な内壁面帯域Yが完全に消失するように発熱体8の作用を設定し、内壁面全域を乾燥させることも可能である。
触媒2は、開口部31に向かって反応域9内を流動するメタノール蒸気Vに接触する適当な密度に分布しており、メタノール蒸気Vは、メタノール分解反応用触媒の存在下に分解反応し(CH3OH→CO+2H2)、水素及び一酸化炭素を含む合成ガスSが反応域9に生成する。合成ガスSは、開口部31から中空部7に流出し、合成ガス送出管3を介して燃料電池の燃料供給部等(図示せず)に供給される。なお、一酸化炭素(CO)は燃料電池電極の被毒原因になるので、合成ガスSは、望ましくは、CO除去手段を介して燃料電池の燃料供給部に供給される。
発熱体8の発熱は、多孔質体6及び反応域9を加熱するのみならず、中空部7内の雰囲気をも加熱する。所望により、触媒2と同様のメタノール分解用触媒が、発熱体8の電熱コイル表面に付着又は添着される。中空部7内の高温雰囲気を流動する合成ガスS中の未反応メタノールは、発熱体8の近傍を流動する際に触媒の存在下に分解し(CH3OH→CO+2H2)、更に多量の水素及び一酸化炭素を含む合成ガスSが、合成ガス送出管3を介して燃料電池の燃料供給部等(図示せず)に供給される。
上記実施例の水素生成装置1は、メタノールの分解反応によって反応域9及び中空部7に水素を生成するように構成されているが、水蒸気改質触媒を用いたメタノールの水蒸気改質反応(CH3OH+H2O→CO2+3H2)によって水素を生成するように水素生成装置1を構成しても良い。
図1〜図3を参照して、このような水素生成装置1’の構成を本発明の第2実施例として説明する。水素生成装置1’は、水及びメタノール液の混合液Lを供給管28によって液槽5に供給する混合液供給装置25’を備える。液槽5には、水及びメタノールの混合液Lの液浴Wが貯留される。水素生成装置1’は、混合液供給装置25’に換えて、水及びメタノール液を別々に液槽5に供給する給水装置及びメタノール液供給装置を備えた構成のものであっても良い。
水素生成装置1’においては、多孔質体6の触媒2は、メタノールの水蒸気改質反応用の粒子状又は担持型触媒からなる。水素生成装置1’の他の構成は、図4〜図7に示す水素生成装置1の構成と実質的に同一であるので、以下、図4〜図7を参照して、水素生成装置1’の構造及び作動態様について説明する。
水素生成装置1と同様、メニスカスMの混合液Lは、発熱体8の熱Hによって瞬時に気化し、250〜300℃程度の高温の反応域9が、乾燥帯域Zの細孔30内に形成される。混合液Lは、比較的多量の水を含むので、反応域9に生成するメタノール蒸気Vは、多量の水蒸気を含有する。触媒2は、メタノールの水蒸気改質反応用の粒子状又は担持型触媒であり、第1実施例と同様、白金(Pt)、銅、ニッケル等の金属又はその酸化物を触媒2として好適に使用し得る。
水蒸気を含むメタノール蒸気Vは、触媒2に接触しながら、反応域9の高温雰囲気を流動する。メタノールの水蒸気改質反応(CH3OH+H2O→CO2+3H2) が水蒸気改質触媒の存在下に反応域9に進行し、比較的多量の水素を含む合成ガスSが生成する。合成ガスSは、開口部31から中空部7に流出し、合成ガス送出管3を介して燃料電池の燃料供給部等(図示せず)に供給される。なお、メタノールの水蒸気改質反応においては、1モルのメタノール (CH3OH)に対して3モルの水素(H2)が生成するので、メタノールの分解反応(第1実施例)に比べ、水素発生量を増大し、従って、水素収率を向上することができる。
所望により、触媒2と同様の水蒸気改質触媒が、発熱体8の電熱コイル表面に付着又は添着され、中空部7内を流動する合成ガスSに含まれる未反応メタノールの水蒸気改質反応(CH3OH+H2O→CO2+3H2)が、中空部7において触媒の存在下に進行し、更に多量の水素を含む合成ガスSが中空部7に生成する。
所望により、炭酸カリウム(K2CO3)の充填部40が、図2に仮想線で示すごとく、中空部7の出口部分に設けられる。炭酸カリウム(K2CO3)は合成ガスS中の二酸化炭素(CO2)並びに水蒸気(H2O)と反応して炭酸水素カリウム(KHCO3)を生成するので、二酸化炭素(CO2)が除去される。
図8には、液体を封入可能な密封構造のケーシング51を有する水素生成装置1、1’の実施例が示されている。ケーシング51内には、コイル状発熱体8を中空部7に内装した多孔質体6が収容される。メタノール液供給装置25又は混合液供給装置25’がケーシング51に接続され、メタノール液又は水・メタノール混合液Lが、多孔質体6の外側の領域に液浴Wとして封入される。供給装置25、25’とケーシング51との接続を解放し又は切り離し、ケーシング51を移動することができる。
多孔質体6、中空部7、発熱体8及び液浴Wをケーシング51内に収納することにより、メタノール液又は水・メタノール混合液Lを液浴Wに充填した状態で携帯、搬送又は交換可能な携帯式又は可搬式の水素生成装置1、1’を提供することが可能となる。例えば、多孔質体6、中空部7、発熱体8及び液浴Wをケーシング51内に収納したカセット、ユニット又はパッケージ式の水素生成装置1、1’は、合成ガス送出管3の部分を燃料電池の燃料供給部に連結し且つ発熱体8を電源に接続することにより、多量の水素を含む合成ガスSを燃料電池に供給する。ケーシング51内のメタノール液又は水・メタノール混合液Lが消費された場合、使用済の水素生成装置1、1’は、メタノール液又は水・メタノール混合液Lを充填した他の水素生成装置1、1’にケーシング単位で交換される。
図9には、図8に示す水素生成装置1、1’の変形例が示されている。前述の第1〜第3実施例においては、方形又は矩形断面を有する水素生成装置1、1’が例示されているが、水素生成装置1、1’の断面は、多角形、円形、楕円形等の任意の断面に設計し得る。図9に示す水素生成装置1、1’は、多孔質体6、中空部7及び液浴Wをケーシング52内に同心状に収納した構成を有する。
また、前述の第1〜第3実施例においては、水素生成装置1、1’は、コイル状電熱体からなる発熱体8を中空部7に内装した構造を有するが、本実施例の水素生成装置1、1’は、円形又は螺旋リブ状の発熱部、或いは、三角フィン状の発熱部を軸部外周面に備えた構造の発熱体8’を有する。リブ状又はフィン状発熱部の先端は、前述のニクロム線又はカンタル線と同様、内壁面6aに接触し又は近接し、前述の乾燥帯域Zが多孔質体6に形成されるように内壁面6aを加熱する。
図10は、図8に示す水素生成装置1、1’の他の変形例を示す断面図である。前述の第1〜第4実施例においては、電熱式の発熱体8、8’が中空部7に内装されているが、本実施例においては、銅管等の金属管80が発熱体8”として多孔質体6の中空部7に挿入される。金属管80の外周面には、三角形断面の発熱部81が円形リブ状、螺旋リブ状又は伝熱フィン状に形成されており、発熱部81の先端は、中空部7の内壁面6aに接触し又は近接する。
熱ガス供給管61及び排ガス管62が金属管80に接続され、金属管80の両端部は封止される。高温燃焼ガス等の熱ガスが熱ガス供給管61から金属管80内に供給され、金属管80内を流通して排ガス管62から系外に排気される。高温の熱ガスが保有する熱は、リブ状又はフィン状の発熱部81を介して内壁面6aに伝熱する。前述のコイル状電熱体と同等の熱流束が発熱部81及び内壁面6aに発生する。メタノール液又は水・メタノール混合液Lは、多孔質体6の細孔内で気化するとともに、分解反応又は水蒸気改質反応する。
燃料電池の電池電極における未反応水素を燃焼させて得られる燃焼ガスを熱ガスとして金属管80内に供給することが可能である。燃料電池の電池電極における未反応水素や、可燃分を比較的多量に含む可燃ガスを熱ガス供給管61から金属管80内に供給するとともに、酸素等の酸化剤を金属管80内に供給し、水素又は可燃ガスと酸化剤の酸化発熱反応を金属管80内に生じさせるように水素生成装置を設計しても良い。所望により、触媒燃焼等を金属管80内に生じさせるように水素生成装置を設計することも可能である。
多孔質体の変形例
図11は、多孔質体6の変形例を示す斜視図及び横断面図である。
前述の各実施例においては、単一の中空部7が、図11(A)及び図11(B)に示すように多孔質体6の中心部に形成されているが、図11(C)〜図11(E)に示す如く、補助的な中空部(又は空隙)71、72を中空部7の外側(径方向外方)に形成しても良い。図11(C)及び図11(D)に示す補助中空部71は、中空部7廻りに同心円状に配列された多数の小径中空孔からなり、中空部7と平行に多孔質体6を貫通する。図11(E)及び図11(F)に示す補助中空部72は、補助中空部71の更に外側に配置される。補助中空部72も又、補助中空部71と同様、中空部7廻りに同心円状に配列された多数の小径中空孔からなり、中空部7と平行に多孔質体6を貫通する。
後述するとおり、このような補助中空部71、72を備えた多孔質体6を用いた水素生成装置1、1’によれば、水素発生量をかなり増大し得ることが、本発明者の実験によって確認された。これは、主として、乾燥帯域Zの拡大等の要因によるものと考えられる。
実験結果
図12は、水素発生実験に使用された実験装置の構成を示す概略断面図であり、図13〜図15は、水素発生実験の実験結果を示す線図である。
本発明者は、前述の各実施例の水素生成装置の効果を実証すべく、図12に示す実験装置を用いて水素発生実験を実施した。図12に示す実験装置は、図1に示す水素生成装置1(1’)と同じく、送出管3、液槽5、多孔質体6、発熱体8及びカバー50を備える。送出管3は、下方に屈曲して凝縮器90の上部流入口91に接続される。上部流入口91には、温度検出器99が配設される。温度検出器99は、流入口91を通過する気体の温度を測定し且つ表示する。凝縮器90は、冷却剤(冷却水)Rを循環可能な冷却コイル92を有する。排出管94が凝縮器90の下部流出口93に接続される。排出管94は試験槽95の液浴(水浴)96内に垂下する。気体容積測定用シリンダ97が液浴96に浸漬される。排出管94の開口端がシリンダ97内に開口する。
水素発生実験の実施に際し、中空部7の直径Dは、D=13mmに設定され、多孔質体6の長さG1、高さG2、幅G3は、いずれも50mmに設定され(G1、G2、G3=50mm)、送出管3の直径D’及び管長G4、G5は、D’=5mm、G4=30mm、G5=30mmに設定された。多孔質体6は、前述の耐火断熱煉瓦と同等の市販煉瓦(商品名「イソライト」(登録商標)、型式C1、 イソライト工業株式会社製品)であり、直径13mmの貫通孔が上記中空部7として中心部に穿孔された。多孔質体6の各端面は、ステンレス合金製板体31、33及びシリコムゴム製シート材32によって被覆された(シート材32は、板体31、32の間に介挿された)。中空部7と同心状の貫通孔が板体31及びシート材32に穿設されるとともに、中空部7及び送出管3が相互連通するように送出管3の基端部が板体33の中央部に貫入せしめられた。発熱体8は、リード線15を介して交流電源(AC100V)23に接続されたカンタル線からなり、交流電源23を含む電源回路29には、電流計26及び電圧計27が介装された。
本発明者は、以下の方法で多孔質体6に白金触媒を担持せしめた。
(1) ヘキサクロロ白金(IV)酸6水和物(塩化白金酸6水和物)(H2PtCL6・6H2O)0.1gを蒸留水10mlに溶かし、この水溶液を筆又は刷毛等によって中空部7の内壁面6aに塗布する。
(2) 多孔質体6を温度100℃の雰囲気に1時間放置し、乾燥させる。
(3) 多孔質体6を水素雰囲気に放置して水素に晒し、内壁面6a近傍の多孔質体部分に白金触媒を析出させる。
水素発生実験において、メタノール液が液槽5内に供給されるとともに、カンタル線(発熱体8)に電圧が印加された。液浴Wのメタノール液は、毛細管現象によって多孔質体6に吸い上げられ、急峻なメタノール液の蒸発が、多孔質体6の内壁面6a近傍に生じた。中空部7内に生成したメタノールの反応ガスは、送出管3を介して凝縮器90に流出した。
本発明者は、図11(A)及び図11(B)に示すように中空部7を中心部に穿孔した多孔質体6に関し、このような水素発生実験を実施するとともに、図11(C)及び図11(D)に示すように中空部7及び補助中空部71を穿孔した多孔質体6’を使用した水素発生実験を実施し、両多孔質体6、6’に関し、反応ガスの発生を確認するとともに、反応ガスの発生量(発生速度)を測定した。本発明者は又、反応ガス中に含まれる水素及び一酸化炭素の量をガスクロマトグラフを用いて測定し、反応ガスの発生量(発生速度)並びに反応ガス中の水素及び一酸化炭素の量から水素及び一酸化炭素の発生量(発生速度)を算出した。なお、補助中空部71は、直径5mmの円形貫通孔からなり、図12に破線で示す如く、等角度間隔を隔てた8箇所の補助中空部71が多孔質体6’に穿設された。
図13は、温度検出器99によって検出された気体温度(蒸気出口温度Tv)と、反応ガス発生量(気体発生量Vg)との関係を示す線図であり、図14は、電流計26及び電圧計27の検出値i、vより測定された消費電力(ヒーター発熱量P=電流値i×電圧値v)と反応ガス発生量(気体発生量Vg)との関係を示す線図である。
図13に示す如く、いずれの多孔質体6、6’を用いた実験においても、蒸気出口温度Tvと気体発生量Vgとの関係は、気体温度の上昇に伴って水素及び一酸化炭素の発生量が増大する傾向を示している。蒸気出口温度Tvと気体発生量Vgとの相関関係は、補助中空部71の有無と関係なく、概ね類似したものである。なお、気体発生量Vgは、凝縮器90を通過してシリンダ97内に流入した気体の容積である。メタノール分解反応がCH3OH→CO+2H2で示される反応であることから明らかなとおり、気体発生量Vgは、水素発生量及び一酸化炭素発生量の合計値(概ね2:1)である。
他方、気体発生量Vgとヒーター発熱量Pとの関係を示す図14を参照すると、多孔質体6’を用いた実験において得られた水素及び一酸化炭素の発生量は、多孔質体6を用いた実験において得られた水素及び一酸化炭素の発生量と比べ、顕著に増大していることが判る。これは、主として、補助中空部71の形成に伴う乾燥帯域Zの拡大等に起因するものと考えられる。
図15は、ヒーター発熱量Pとエネルギー変換効率ηとの関係を示す線図である。
図15に示すエネルギー変換効率ηは、メタノール分解反応に有効に使用されたヒーター発熱量P(=i×v)の割合を示す指標であり、これは、電流計26及び電圧計27の検出値(電流値i、電圧値v)と、水素発生のために消費されたメタノールの液顕熱、気化熱、蒸気顕熱、並びに分解反応熱(90.6kJ/mol)の総計とに基づいて算出された。
図15に示す如く、エネルギー変換効率ηは、ヒーター発熱量Pの増大とともに増大しており、多孔質体6’を用いた実験では、P=350Wにおいて約0.6の値が得られた。中空部7及び補助中空部71、72の最適化等によって中空部7廻りの乾燥域を適切に拡大することにより、エネルギー変換効率ηを0.9程度まで増大し得るものと想定される。
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能である。
例えば、上記実施例では、原料炭化水素としてメタノールを使用した水素生成装置の分解反応又は水蒸気改質反応に関し説明したが、ジメチルエーテル、2−プロパノール、シクロヘキサン等を原料炭化水素として使用しても良い。
また、上記多孔質体の材質、細孔径、細孔密度、細孔分布、断面形状、寸法、中空部の断面形状、寸法、位置、箇所数、発熱体の種類、寸法、性能等は、適宜設計変更し得るものである。
本発明は、燃料としての水素を車両用燃料電池、携帯電話用燃料電池、携帯PC用燃料電池等に供給するための水素生成装置及び水素生成方法に好ましく適用し得る。本発明によれば、負荷変動等に迅速に応答し又は追従する高い応答性又は制御性を有し、しかも、装置構造を簡素化し且つ小型化した水素生成装置を実用化することができるので、その有用性又は実利性は、顕著である。
本発明を適用した水素生成装置の第1及び第2実施例を示す斜視図である。 図1に示す水素生成装置の縦断面図である。 図1に示す水素生成装置の横断面図である。 中空部及び発熱体の構造を示す水素生成装置の部分拡大断面図である。 中空部内壁面と発熱体との接触部を示す水素生成装置の部分拡大断面図であり、図4(B)と同じく、発熱体の発熱初期の状態が示されている。 中空部内壁面と発熱体との接触部を示す水素生成装置の部分拡大断面図であり、図4(C)と同じく、発熱体の発熱によって液面が細孔内に後退した状態が示されている。 多孔質体に形成される乾燥帯域の断面を概略的に示す断面図である。 液体を封入可能な密封構造の可搬式ケーシングを有する水素生成装置の実施例(第3実施例)を示す縦断面図及び横断面図である。 液体を封入可能な密封構造の可搬式ケーシングを有する他の水素生成装置の実施例(第4実施例)を示す縦断面図及び横断面図である。 図8及び図9に示す水素生成装置の変形例(実施例5)を示す縦断面図及び横断面図である。 多孔質体の変形例を示す斜視図及び横断面図である。 水素発生実験に使用された実験装置の構成を概略的に示す縦断面図及び横断面図である。 蒸気出口温度Tvと気体発生量Vgとの関係を示す線図である。 ヒーター発熱量Pと気体発生量Vgとの関係を示す線図である。 ヒーター発熱量Pとエネルギー変換効率ηとの関係を示す線図である。
符号の説明
1、1’ 水素生成装置
2 触媒
3 合成ガス送出管
4 液面
5 液槽
6 多孔質体
6a 内壁面
7 中空部
7a 合成ガス送出口
8、8’ 発熱体
20 電流供給装置
25 メタノール液供給装置
25’ 混合液供給装置
30 細孔9
31 開口部
W 液浴
L メタノール液、水及びメタノール液の混合液
M メニスカス
Z 乾燥帯域
S 合成ガス
V 蒸気

Claims (10)

  1. 炭化水素を含む液体原料を加熱し、炭化水素の分解反応又は水蒸気改質反応によって水素を生成する水素生成装置において、
    発熱体と、発熱体に接触し又は近接して該発熱体によって加熱される被加熱部を備えた多孔質体とを有し、
    前記多孔質体は、毛管力によって前記液体原料を前記被加熱部に供給する多数の細孔を備えるとともに、前記細孔内で気化した前記液体原料の蒸気に前記細孔内で接触して前記炭化水素の分解反応又は水蒸気改質反応を進行させる触媒を有することを特徴とする水素生成装置。
  2. 前記多孔質体は、前記発熱体を収容する中空部を有し、前記発熱体は、前記中空部の内壁面に接し又は近接することを特徴とする請求項1に記載の水素生成装置。
  3. 前記中空部の径方向外方に配置された補助中空部を更に有することを特徴とする請求項2に記載の水素生成装置。
  4. 分解反応又は水蒸気改質反応が進行する前記細孔内の反応域は、前記中空部に開口し、分解反応又は水蒸気改質反応用の触媒が前記中空部に更に配置され、前記細孔から前記中空部に流出した未反応の炭化水素は、触媒の存在下に中空部で分解反応し又は水蒸気改質反応することを特徴とする請求項2又は3に記載の水素生成装置。
  5. 液体を封入可能な密封構造の可搬式又は携帯式ケーシングを有し、前記発熱体を前記中空部に内装した前記多孔質体を前記ケーシング内に収容したことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の水素生成装置。
  6. 炭化水素を含む液体原料を加熱し、炭化水素の分解反応又は水蒸気改質反応によって水素を生成する水素生成方法において、
    毛管作用を有する多数の細孔を備え且つ炭化水素の分解反応又は水蒸気改質反応用触媒を有する多孔質体に前記液体原料を含浸し、
    前記細孔の出口開口部に接触又は近接した発熱体を発熱させて、前記出口開口部及びその近傍の多孔質体部分を前記発熱体の熱で加熱し、前記細孔内の液体原料の液面を該細孔内に後退せしめ、
    前記細孔内で気化した前記液体原料の分解反応又は水蒸気改質反応を前記触媒の存在下に前記細孔内で進行させ、該細孔内に水素を生成することを特徴とする水素生成方法。
  7. 前記発熱体を収容する中空部を前記多孔質体に形成し、前記発熱体の熱によって前記中空部の内壁面近傍の多孔質体を乾燥させることを特徴とする請求項6に記載の水素生成方法。
  8. 前記液面の後退によって高温の反応域が前記細孔内に形成され、比較的多量の水素を含む合成ガスが前記反応域に生成することを特徴とする請求項6又は7に記載の水素生成方法。
  9. 分解反応又は水蒸気改質反応用の触媒が前記中空部に更に配置され、前記細孔から前記中空部に流出した未反応炭化水素は、前記中空部において触媒の存在下に分解反応又は水蒸気改質反応し、前記中空部に水素を生成することを特徴とする請求項7に記載の水素生成方法。
  10. 前記中空部の径方向外方に補助中空部を更に形成し、前記発熱体の発熱による多孔質体の乾燥を促進することを特徴とする請求項7に記載の水素生成方法。
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