JP2009061916A - 車両の旋回挙動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の加減速に応じて制御方向がUS抑制方向であってもOS抑制方向であっても制御量に対する要求ヨーモーメントの不感帯を適正なものとし、車両の走行性能を向上させつつ、ドライブフィールのよい車両の旋回挙動制御装置を提供する。
【解決手段】ヨー運動制御手段(43)により、要求ヨーモーメント設定手段によって設定された要求ヨーモーメントに応じて制動力調整手段を制御して車両のヨー運動を制御することになるが、ヨー運動制御手段は、要求ヨーモーメントの0値近傍に所定幅(US抑制側:DZus、OS抑制側:DZos)の不感帯を有しており、前後加減速GXが加速側に大きくなるほど該不感帯の所定幅を広げるようにする。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両の旋回挙動制御装置に関するものである。
従来から、ヨー運動を制御して旋回している車両の安定化を図り、車両の安全性を向上させるための技術が開発されている。例えば、車両のヨーレイトに基づいて、車両の左輪と右輪との間の駆動力差及び各輪に対する制動力をフィードバック制御する技術や、前輪と後輪との差動制限の程度を可変とするセンターデファレンシャルギア(以下、「センターデフ」という)の電子制御LSD(Limited Slip Differential)を車両のヨーレイトに基づいてフィードバック制御する技術が知られている(特許文献1参照)。
具体的には、例えば、舵角センサからの操舵角や車輪速センサからの車速から車両の目標ヨーレイトを算出するとともにヨーレイトセンサを用いて実ヨーレイトを検出し、これら目標ヨーレイトと実ヨーレイトとに基づき要求ヨーモーメントを算出する一方、当該要求ヨーモーメントとGセンサからの横加速度に基づき車両がアンダーステア状態(US)にあるのか、ニュートラルステア状態にあるのか、或いはオーバーステア状態(OS)にあるのかを判定し、それぞれUSを抑制(ヨー運動を促進)すべく或いはOSを抑制(ヨー運動を抑制)すべく要求ヨーモーメントに応じて上記各フィードバック制御量を求め、車両の左輪と右輪との間の駆動力差及び各輪に対する制動力や電子制御LSD等を制御するようにしている。
ところで、このように要求ヨーモーメントを車輪速センサ、舵角センサ、Gセンサ、ヨーレイトセンサ等の各種センサからの信号に基づいて求めるようにしていると、車両の走行中においては各センサの出力信号に路面からの外乱等によるノイズが混入し、当該ノイズにより過度に不要な制御が生じるという問題がある。
また、要求ヨーモーメントが小さい領域では、車両の走行状態によっては上記各制御を実施するとやはり過度に不要な制御が生じ得るという問題もある。
このようなことから、例えば、要求ヨーモーメントに不感帯を設け、0値近傍の一定範囲内の要求ヨーモーメントに対しては制御量を0値に維持し、過度の制御が行われないようにする技術が開発されている(特許文献2参照)。
特開2007−131229号公報 特許第3183124号公報
しかしながら、上記不感帯を一定範囲に固定していると、車両の走行状態によっては一方で上記各制御が適正に行われず、却って制御性能の悪化を招き兼ねないという問題がある。
特に、車両の左輪と右輪に対する制動力を制御する場合においては、車両の加減速の大きさによって或いはヨー運動の制御方向がUS抑制方向であるのかOS抑制方向であるのかによって制動力が車両の加減速に与える影響が異なり、例えば、車両の加速中にヨーモーメントを付与すべく制動力が制御されると、ドライバの加速意思に反して自動的に減速力が付加されてしまい、加速操作と減速操作とが干渉してとりわけUS抑制方向である場合においてドライバに顕著な減速感を与え兼ねないという問題がある。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、車両の加減速に応じて制御方向がUS抑制方向であってもOS抑制方向であっても制御量に対する要求ヨーモーメントの不感帯を適正なものとし、車両の走行性能を向上させつつ、ドライブフィールのよい車両の旋回挙動制御装置を提供することにある。
上記した目的を達成するために、請求項1の車両の旋回挙動制御装置は、前後左右輪を備える車両の各輪制動力に差をつける制動力調整手段と、車両の走行状態に応じて車両に要求される要求ヨーモーメントを設定する要求ヨーモーメント設定手段と、該要求ヨーモーメント設定手段により設定された要求ヨーモーメントに応じて前記制動力調整手段を制御し、車両のヨー運動を制御するヨー運動制御手段と、車両の前後加減速を検出する加減速検出手段とを備え、前記ヨー運動制御手段は、前記要求ヨーモーメントの0値近傍に所定幅の不感帯を有し、前記加減速検出手段により検出された前後加減速が加速側に大きくなるほど該不感帯の所定幅を広げる不感帯幅設定手段を含んでなることを特徴とする。
また、請求項2の車両の旋回挙動制御装置では、請求項1において、前後左右輪を備える車両の各輪駆動力に差をつける駆動力調整手段をさらに備え、前記ヨー運動制御手段は、前記要求ヨーモーメント設定手段により設定された要求ヨーモーメントに応じて前記制動力調整手段を制御するとともに前記駆動力調整手段を制御することを特徴とする。
また、請求項3の車両の旋回挙動制御装置では、請求項1または2において、前記不感帯幅設定手段は、車両のヨー運動を抑制するよりも該車両のヨー運動を促進する方が広くなるように前記不感帯の所定幅を設定することを特徴とする。
また、請求項4の車両の旋回挙動制御装置では、請求項1乃至3のいずれかにおいて、前記不感帯幅設定手段は、車両のヨー運動を抑制するよりも該車両のヨー運動を促進する方が前後加減速に対する増加率が大きくなるように前記不感帯の所定幅を設定することを特徴とする。
本発明の請求項1の車両の旋回挙動制御装置によれば、ヨー運動制御手段により、要求ヨーモーメント設定手段によって設定された要求ヨーモーメントに応じて制動力調整手段を制御して車両のヨー運動を制御することになるが、ヨー運動制御手段は要求ヨーモーメントの0値近傍に所定幅の不感帯を有し、前後加減速が加速側に大きくなるほど該不感帯の所定幅を広げる不感帯幅設定手段を有しているので、ドライバが車両を加速中にヨー運動制御手段により制動力調整手段が制御されて各輪制動力に制動力が付加されると、ドライバの加速意思による加速操作と制動力の付加による減速操作とが干渉し、ドライバの感じる減速感が顕著なものとなり易いのであるが、前後加減速が加速側に大きくなるほど不感帯の所定幅を広げることで、制動力調整手段の制御への介入タイミングを適切なものにして車両の加速中にドライバの感じる減速感を抑制でき、ヨー運動制御の最適化を図り、車両の走行性能を向上させつつ、よりドライブフィールを高めることができる。
また、請求項2の車両の旋回挙動制御装置によれば、ヨー運動制御手段は要求ヨーモーメント設定手段により設定された要求ヨーモーメントに応じて制動力調整手段を制御するとともに駆動力調整手段を制御するので、駆動力調整手段は減速をともなわず、ドライバの加速意思による加速操作と干渉しないことから、前後加減速が加速側に大きくなるほど制動力調整手段の不感帯の所定幅を広げた場合であっても、駆動力調整手段を適切に制御へ介入させることが可能であり、車両の加速中にドライバの感じる減速感等を抑制しつつも、車両の走行性能をより一層向上させることができる。
また、請求項3の車両の旋回挙動制御装置によれば、車両のヨー運動を抑制するよりも該車両のヨー運動を促進する方が広くなるように不感帯の所定幅を設定するので、車両がオーバーステア状態(OS)にある場合の車両挙動は車両がアンダーステア状態(US)にある場合の車両挙動に比べて急激に進行する傾向にあるため、多少の減速感を伴ってでもOSを優先的に抑制した方がよい場合があり、ヨー運動を抑制する場合(OSの抑制)よりもヨー運動を促進する場合(USの抑制)に不感帯の所定幅を広く、換言すればヨー運動を促進する場合(USの抑制)よりもヨー運動を抑制する場合(OSの抑制)の不感帯を狭く設定することで不感帯を適正なものにでき、ヨー運動を抑制する場合(OSの抑制)において、OSを十分に抑制して車両の挙動の安定性の向上を図りながらドライバの感じる減速感等を抑制して車両の走行性能の向上を図ることができる。
また、請求項4の車両の旋回挙動制御装置によれば、車両のヨー運動を抑制するよりも該車両のヨー運動を促進する方が前後加減速に対する増加率が大きくなるように不感帯の所定幅を設定するので、ヨー運動を抑制する場合(OSの抑制)よりもヨー運動を促進する場合(USの抑制)において前後加減速が加速側に大きくなるほど不感帯の所定幅を広く設定することで不感帯を適正なものにでき、ヨー運動を促進する場合(USの抑制)において、USを抑制して車両の挙動の安定性の向上を図りつつもドライバの感じる減速感等を最大限に抑制して車両の走行性能の向上を図ることができる。
一方、換言すれば、ヨー運動を促進する場合(USの抑制)よりもヨー運動を抑制する場合(OSの抑制) において前後加減速が加速側に大きくなっても不感帯の所定幅を狭く設定することになり、ヨー運動を抑制する場合(OSの抑制)において、OSをできる限り抑制して車両の挙動の安定性の向上を図りながらドライバの感じる減速感等を抑制して車両の走行性能の向上を図ることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
先ず、第1の実施形態について説明する。
図1には本発明の第1の実施形態に係る車両の旋回挙動制御装置の全体構成を示す模式的なブロック構成図を示すが、当該旋回挙動制御装置は4輪駆動方式の車両1に適されるものである。車両1に搭載されたエンジン2の出力はトランスミッション3及び中間ギア機構4からセンターデフ5、フロントディファレンシャル(以下、「フロントデフ」という)6及び車軸7L,7Rを介して前左右輪8L,8Rにそれぞれ伝達されるとともに、前輪側ハイポイドギヤ機構9、プロペラシャフト10、後輪側ハイポイドギヤ機構11、リヤディファレンシャル(以下、「リアデフ」という)12及び車軸13L,13Rを介して後輪14の左右輪14L,14Rに伝達されるようになっている。
センターデフ5は、デファレンシャルピニオン5A,5Bと、これらのデファレンシャルピニオン5A,5Bと噛合するサイドギヤ5C,5Dとから構成され、デファレンシャルピニオン5A,5Bから入力されたトルクは、一方のサイドギヤ5Cを介して前輪8へ伝達されるとともに、他方のサイドギヤ5Dを介しプロペラシャフト10を経て後輪14へ伝達される。また、このとき、このセンターデフ5によって前輪8と後輪14との間の差動が許容されることによって、車両1の回頭性が妨げられないようになっている。
フロントデフ6には、エンジン2から入力されたトルクの大きさに応じて、左右輪8L,8Rの差動を機械的に制限するトルク感応式のディファレンシャルギアが適用されている。
一方、リアデフ12におけるケース12Aの外周にはプロペラシャフト10の後端のピニオンギア10Aと噛合するクラウンギア16が設けられ、また、このケース12Aの内側には遊星歯車機構12Bが備えられている。そして、この遊星歯車機構12Bにより、左右の後輪14L,14Rの差動が許容されるようになっている。従って、エンジン2からプロペラシャフト10,ピニオンギア10A等を通じてクラウンギア16へ入力されたトルクは、遊星歯車機構12Bによって左側の後輪14Lと右側の後輪14Rとの差動を許容しながら両輪14L,14Rに伝達されるようになっている。
また、車両1の車輪8L,8R,14L,14Rには、それぞれ、ブレーキ装置21L,21R,22L,22Rが設けられており、また、これらのブレーキ装置21L,21R,22L,22Rのそれぞれに独立して油圧を供給する制動系油圧ユニット(図示略)が設けられている。そして、この車両1には、ブレーキ装置コントローラ(制動力調整手段)33が備えられている。
ブレーキ装置コントローラ33は、いずれも図示しないインタフェイス,メモリ,CPU等が備えられた電子制御ユニットであって、各輪8L,8R,14L,14Rに設けられた4つのブレーキ装置21L,21R,22L,22Rのそれぞれに対して増減されるべき油圧を示す信号(ブレーキ増減圧信号)を制動系油圧ユニットに対して送信し、このブレーキ増減圧信号を受けた制動系油圧ユニットが各ブレーキ装置21L,21R,22L,22Rに入力される油圧を適宜制御するようになっている。この制動系油圧ユニットには、ブレーキ液圧を調整するためのモータポンプと、電磁制御弁などが備えられており、ブレーキ装置21L,21R,22L,22Rのそれぞれに対して、ブレーキ装置コントローラ33からの指示に応じて所定の油圧を入力するようになっている。そして、上述のようにブレーキ装置コントローラ33は、ECU40と信号線を介し接続されていて、ECU40からの制御信号に基づいて作動するようになっている。
ECU40は、いずれも図示しないインタフェイス,メモリ,CPU等が備えられた電子制御ユニットであって、いずれも車輪速センサ45L,45R,46L,46R,舵角センサ47,Gセンサ(加減速検出手段)48,ヨーレイトセンサ49による検出結果を読み込むことができるようになっている。
このECU40は、図示しないメモリ内に記録されたプログラムとして、制御ヨーモーメント算出部41,アンダーステア/オーバーステア判定部(以下、「US/OS判定部」という)42及びヨー運動制御部(ヨー運動制御手段)43を備えている。また、このメモリには、ヨー運動制御部43によって用いられるヨー運動制御マップ44が記録されている。これらのうち、制御ヨーモーメント算出部41は、ドライバが意図している旋回半径で車両1が旋回するために付加すべきヨーモーメントである要求ヨーモーメントを求めるものである。
つまり、図2には第1の実施形態に係る模式的な制御ブロック図を示すが、同図に示すように、この制御ヨーモーメント算出部41は、舵角センサ47によって測定された舵角と、各車輪速センサによって検出された車速とに基づいて、理論上の目標ヨーレイトを計算し、さらに、この理論上の目標ヨーレイトに対して、ヨーレイトセンサ49によって測定された実ヨーレイトと比較することにより補正を加える制御、即ち、実ヨーレイトに基づくフィードバック制御を実行することで、要求ヨーモーメントを算出するようになっている(要求ヨーモーメント設定手段)。
US/OS判定部42は、旋回中の車両1の旋回状態を判定するものであって、制御ヨーモーメント算出部41によって得られた要求ヨーモーメントと、Gセンサ48によって測定された車両1の横方向の加速度(横加速度)GYとに基づき、旋回中の車両1が、アンダーステア(US)が生じている状態(アンダーステア(US)状態)にあるのか、実質的にアンダーステア(US)もオーバーステアも(OS)生じていない状態(ニュートラルステア状態)にあるのか、或いは、オーバーステア(OS)が生じている状態(オーバーステア(OS)状態)にあるのかを判定するようになっている。
ヨー運動制御部43は、車両1の旋回状態に応じてブレーキ装置コントローラ33を制御することで、要求ヨーモーメントに対応するヨーモーメントを車両1に発生させるものである。つまり、ヨー運動制御部43は、制御ヨーモーメント算出部41によって得られた要求ヨーモーメントと、US/OS判定部42による判定結果(車両1の旋回状態)とに基づき、ヨー運動制御マップ44に対して適用することにより、ブレーキ装置コントローラ33に対する制御値を得るようになっている。
ここで、ブレーキ装置コントローラ33に対する制御値とは、各ブレーキ装置21L,21R,22L,22Rの制動力増減の度合を示す値であって、具体的には、各ブレーキ装置21L,21R,22L,22Rの油圧増減値である。
ヨー運動制御マップ44について説明すると、このヨー運動制御マップ44の横軸には車両1の旋回状態、即ち、制御ヨーモーメント算出部41によって得られた要求ヨーモーメントとUS/OS判定部42による判定結果から求められる、車両1に生じているアンダーステア(US)の度合、或いは、オーバーステア(OS)の度合が規定されている。その縦軸には、ブレーキ装置コントローラ33に対する制御値の絶対値が規定されている。
これより、ヨー運動制御部43は、車両1のヨー運動を抑制する場合、即ち、車両1に発生しているオーバーステア(OS)を抑制(ヨー運動を抑制)する場合には、要求ヨーモーメントに応じた制御値をヨー運動制御マップ44から読み出し、当該制御値に基づいて旋回内輪の制動力よりも旋回外輪の制動力が大きくなるようにブレーキ装置コントローラ33を制御するようになっている。
他方、ヨー運動制御部43は、車両1のヨー運動を促進する場合、即ち、車両1に発生しているアンダーステア(US)を抑制(ヨー運動を促進)する場合には、要求ヨーモーメントに応じた制御値をヨー運動制御マップ44から読み出し、当該制御値に基づいて旋回外輪の制動力よりも旋回内輪の制動力が大きくなるようにブレーキ装置コントローラ33を制御するようになっている。
そして、ヨー運動制御マップ44には、制御値に対し要求ヨーモーメントの0値近傍の範囲において制御値が値0を維持するようUS抑制側に所定幅DZusでOS抑制側に所定幅DZosの不感帯が設定されている。
このように不感帯が設けられていることにより、各車輪速センサ45R、45L、46R、46L、舵角センサ47、ヨーレイトセンサ49等からの入力信号に路面からの外乱等によるノイズが混入し、当該ノイズにより微少な要求ヨーモーメントが発生した場合であっても、当該微少な要求ヨーモーメントによって不必要に制御値が生成されてしまうことが防止され、各ブレーキ装置21L,21R,22L,22Rの過度の不要な作動制御が防止される。
また、要求ヨーモーメントが小さい領域では、車両1の走行状態によってはブレーキ装置コントローラ33の制御を行うことでやはり過度に不要な制御が生じ得るという問題もあるが、このような場合であっても、不感帯が設けられていることにより、各ブレーキ装置21L,21R,22L,22Rの過度の不要な作動制御が防止される。
ところで、上述したように、不感帯を一定範囲に固定していると、車両1の走行状態によっては一方でヨー運動制御が適正に行われず、却って制御性能の悪化を招き兼ねないおそれがある。
具体的には、車両1の加減速の大きさによって、或いはヨー運動の制御方向がUS抑制方向であるのかOS抑制方向であるのかによって制動力が車両1の加減速に与える影響が異なっており、例えば、車両1の加速中にヨーモーメントを付与すべくブレーキ装置コントローラ33が制御されて制動力が付加されると、ドライバの加速意思に反して自動的に減速力が付加されてしまい、加速操作と減速操作とが干渉してとりわけUS抑制方向である場合においてドライバに顕著な減速感を与え兼ねない場合がある。
このようなことから、本発明では、不感帯幅であるUS抑制側の所定幅DZusとOS抑制側の所定幅DZosの大きさをそれぞれ異ならせるとともに、これらを車両1の前後方向の加速度(前後加速度) GXに応じて適宜可変させるようにしている(不感帯幅設定手段)。
詳しくは、図2に示すように、ECU40には前後加速度GXに対する所定幅DZus及び所定幅DZosが予め実験等により設定されそれぞれマップM1、M2として記憶されており、Gセンサ48により検出された前後加速度GXに応じて所定幅DZus及び所定幅DZosがマップM1、M2から各々読み出され、ヨー運動制御部43に入力されることで、ヨー運動制御マップ44の所定幅DZus及び所定幅DZosが可変設定される。
具体的には、所定幅DZus及び所定幅DZosは、全体として所定幅DZusの方が所定幅DZosよりも大きく設定され、且つ、前後加速度GXが加速側に大きくなるほど各々変化勾配D1、D2の増加率をもって増大するよう設定されている。そして、所定幅DZosの変化勾配D2よりも所定幅DZusの変化勾配D1の方が大きく設定されている。
このように、本発明の第1の実施形態に係る旋回挙動制御装置では、ブレーキ装置コントローラ33の制御において、制御値に対し要求ヨーモーメントに0値近傍の所定幅DZus及び所定幅DZosの範囲で不感帯を設定するようにしており、この場合において、不感帯幅であるこれら所定幅DZus及び所定幅DZosを、所定幅DZusの方が所定幅DZosよりも大きく且つ変化勾配D1の方が変化勾配D2よりも大きくなるように設定し、前後加速度GXが加速側に大きくなるほど広げるようにしている。
これにより、ドライバが車両1を加速中にブレーキ装置コントローラ33が制御されて制動力が付加されても、前後加速度GXが加速側に大きくなるほど不感帯幅を広げることで、ブレーキ装置コントローラ33の制御への介入タイミングを適切なものにして車両1の加速中にドライバの感じる減速感を抑制でき、ヨー運動制御の最適化を図り、車両1の走行性能を向上させつつ、よりドライブフィールを高めることができる。
また、所定幅DZusの方が所定幅DZosよりも大きくなるように不感帯幅である所定幅DZus及び所定幅DZosを設定するので、車両1がオーバーステア(OS)状態にある場合の車両挙動は車両1がアンダーステア(US)状態にある場合の車両挙動に比べて急激に進行する傾向にあるのであるが、ヨー運動を抑制する場合(OSの抑制)よりもヨー運動を促進する場合(USの抑制)の不感帯である所定幅DZusを広く、換言すればヨー運動を促進する場合(USの抑制)よりもヨー運動を抑制する場合(OSの抑制)の不感帯である所定幅DZosを狭く設定して不感帯を適正なものにでき、ヨー運動を抑制する場合(OSの抑制)において、ブレーキ装置コントローラ33の制御を優先し、OSを十分に抑制して車両1の挙動の安定性の向上を図りながらドライバの感じる減速感を抑制して車両の走行性能の向上を図ることができる。
なお、所定幅DZus及び所定幅DZosについては、前後加速度GXに応じて補正される前から、ヨー運動を抑制する場合(OSの抑制)よりもヨー運動を促進する場合(USの抑制)の不感帯である所定幅DZusを広く設定しておくのがよく、これにより、より迅速に車両1の挙動の安定性の向上を図ることができる。
さらに、所定幅DZusの変化勾配D1の方が所定幅DZosの変化勾配D2よりも大きくなるように不感帯幅である所定幅DZus及び所定幅DZosを設定するので、ヨー運動を抑制する場合(OSの抑制)よりもヨー運動を促進する場合(USの抑制)において前後加速度GXが加速側に大きくなるほど不感帯の所定幅DZusを広く設定して不感帯を適正なものにでき、ヨー運動を促進する場合(USの抑制)において、USを抑制して車両1の挙動の安定性の向上を図りつつもドライバの感じる減速感を最大限に抑制して車両1の走行性能の向上を図ることができる。
なお、このことは、換言すれば、ヨー運動を促進する場合(USの抑制)よりもヨー運動を抑制する場合(OSの抑制) において前後加速度GXが加速側に大きくなっても不感帯の所定幅DZosを狭く設定することになり、上記所定幅DZusが所定幅DZosよりも大きいことと相俟って、ヨー運動を抑制する場合(OSの抑制)において、OSをできる限り抑制して車両1の挙動の安定性の向上を図りながらドライバの感じる減速感を抑制して車両1の走行性能の向上を図ることができる。
次に、第2の実施形態について説明する。
図3には本発明の第2の実施形態に係る車両の旋回挙動制御装置の全体構成を示す模式的なブロック構成図を示すが、第2の実施形態に係る車両1Aは、第1の実施形態の構成に対して、左右輪間駆動力移動機構15、左右輪間駆動力移動機構15を制御して左右輪間の駆動力の差を調整するリアデフコントローラ(駆動力調整手段)31を備えるとともに、前後輪間差動制限機構19、前後輪間差動制限機構19を制御して前後輪間での差動制限度合を調整するセンターデフコントローラ(駆動力調整手段)32を備えている点がハードウェア構成として異なっているとともに、ECU40Aによる制御内容が異なっている。このため、第1の実施形態と同一の構成や機能をする部材には、同形態と同一の符号を付して詳細な説明は省略し、異なる構成部分と制御内容を中心に説明する。
左右輪間駆動力移動機構15は、リアデフ12に設けられ、左右輪14L,14Rに伝達される駆動力の差を適宜変更することが可能に構成されている。
詳しくは、左右輪間駆動力移動機構15は、変速機構15Aと伝達容量可変制御式のトルク伝達機構15Bとから構成され、車両1Aに搭載されているECU40Aからの指令によって左輪14Lと右輪14Rとの間の駆動力(即ち、トルク)の差を、車両の走行状況等に応じて適宜変更できるようになっている。このうち、変速機構15Aは、左右輪のうちの一方の車輪(ここでは左輪14L)の回転速度を増速させたり減速させたりしてトルク伝達機構15Bに出力するものである。
この伝達容量可変制御式のトルク伝達機構15Bは、ECU40Aによって制御された駆動系油圧ユニット(図示略)から入力される油圧に応じて、伝達トルク容量を調整できる湿式油圧多板クラッチ機構であって、変速機構15Aにより増速または減速された回転速度と、左右輪のうちの他方の車輪(本実施形態においては右輪14R)の回転速度との回転速度差を利用して、左右輪14L,14Rの間でトルクの授受を行なうことにより、一方の車輪の駆動トルクを増大または減少させ、他方の車輪の駆動トルクを減少または増大させることができるようになっている。なお、上述の、遊星歯車機構12B,変速機構15A,トルク伝達機構15Bは公知の技術であるので、これらの各構造についての詳細な説明は省略する。
リアデフコントローラ31は、いずれも図示しないインタフェイス,メモリ,CPU等が備えられた電子制御ユニットであって、後左輪14Lと後右輪14Rとの間での駆動力差に応じた油圧及びその出力先を示す信号(駆動力差信号)を駆動系油圧ユニットへ送信し、この駆動力差信号を受けた駆動系油圧ユニットがリアデフ12の左右輪間駆動力移動機構15に対する油圧を適宜制御することで、後左輪14Lと後右輪14Rとの間での駆動力差を調整するものである。
従って、例えば、車両1Aが右旋回しながら前進している場合に、リアデフコントローラ31からの指令により、所定の油圧が駆動系油圧ユニット(図示略)からリアデフ12の左右輪間駆動力移動機構15に入力され、右後輪14Rに伝達されるトルクが減少されると、右後輪14Rが減速する。また、このとき、左後輪14Lに伝達されるトルクが増大されるとともに左後輪14Lが増速する。従って、車両1Aに右回り(時計回り)のヨーモーメントを生じさせることが可能となる。
前後輪間差動制限機構19は、センターデフ5に設けられ、前輪8と後輪14との間で許容された差動を可変に制限しながら、エンジン2から出力されたトルクを前後輪8,14に対して可変に配分可能に構成されている。
前後輪間差動制限機構19は、湿式油圧多板クラッチ機構によって構成され、駆動系油圧ユニット(図示略)から入力された油圧に応じて、前輪8及び後輪14との間での差動制限の度合を調整することができるようになっており、前輪8及び後輪14に対して伝達されるトルク(駆動力)の配分を適宜変更できるようになっている。
センターデフコントローラ32は、いずれも図示しないインタフェイス,メモリ,CPU等が備えられた電子制御ユニットであって、前輪8と後輪14との間での差動制限の度合に応じた油圧及びその出力先を示す信号(前後輪間差動制限信号)を駆動系油圧ユニットへ送信し、この前後輪間差動制限信号を受けた駆動系油圧ユニットがセンターデフ5の前後輪間差動制限機構19に対する油圧を適宜制御することで、前輪8と後輪14との間での差動制限の度合を調整するものである。
従って、この前後輪間差動制限機構19によれば、前輪8と後輪14との差動制限の度合を調整することによって、車両1Aのトラクション性能を向上させたり、他方、前輪8と後輪14との差動を許容して、車両1Aの回頭性能を向上させたりできるようになっている。
なお、上述の図示しない駆動系油圧ユニットは、いずれも図示しない、アキュムレータ、アキュムレータ内の作動油を所定圧に加圧するモータポンプ、モータポンプで加圧された油圧を監視する圧力センサと、モータポンプによって圧力調整されたアキュムレータ内の油圧をさらに圧力調整しながら出力する電磁制御弁と、この電磁制御弁で調整された油圧の供給先を、左右輪間駆動力移動機構15の所定の油室(図示略)及び前後輪間差動制限機構19の所定の油室(図示略)に切り換える方向切換弁などが備えられて構成されている。
ECU40Aは、基本的に上記ECU40と同様であり、制御ヨーモーメント算出部41、US/OS判定部42及びヨー運動制御部(ヨー運動制御手段)43Aを備えている。ここでは、制御ヨーモーメント算出部41とUS/OS判定部42の機能は、上記第1の実施形態と同一機能であるので、その説明は省略する。
ヨー運動制御部43Aは、車両1Aの旋回状態に応じて、リアデフコントローラ31,センターデフコントローラ32及びブレーキ装置コントローラ33を制御することで、要求ヨーモーメントに対応するヨーモーメントを車両1Aに発生させるものである。
つまり、図4には第2の実施形態に係る模式的な制御ブロック図を示すが、同図に示すように、ヨー運動制御部43Aは、制御ヨーモーメント算出部41によって得られた要求ヨーモーメントとUS/OS判定部42による判定結果とに基づき、ヨー運動制御マップ440に対して適用することにより、リアデフコントローラ31、センターデフコントローラ32及びブレーキ装置コントローラ33に対する制御値を得るようになっている。
ここで、リアデフコントローラ31に対する制御値とは、リアデフ12の左右輪間駆動力移動機構15による左右輪14L,14R間の駆動力移動の度合を示す値であって、具体的には、左右輪間駆動力移動機構15の油圧値である。また、センターデフコントローラ32に対する制御値とは、センターデフ5の前後輪間差動制限機構19による前後輪間の差動規制の度合を示す値であって、さらに具体的には、前後輪間差動制限機構19の油圧値である。
ヨー運動制御マップ440について説明すると、本形態において、このヨー運動制御マップ440の横軸には車両1Aの旋回状態、即ち、制御ヨーモーメント算出部41によって得られた要求ヨーモーメントとUS/OS判定部42による判定結果から求められる、車両1Aに生じているアンダーステア(US)の度合、或いは、オーバーステア(OS)の度合が規定されている。他方、その縦軸には、リアデフコントローラ31、センターデフコントローラ32及びブレーキ装置コントローラ33に対する制御値の絶対値が規定されている。
このヨー運動制御マップ440には、図4に示すように、主に、OS抑制領域440Aと、US抑制領域440Bとが規定されている。このOS抑制領域440Aには要求ヨーモーメントが小さい方から順番に、リアデフ制御領域440A1と、センターデフ制御領域440A2、ブレーキ制御領域440A3とが規定されている。また、US抑制領域440Bには、要求ヨーモーメントが小さい方から順番に、リアデフ制御領域440B1と、ブレーキ制御領域440B2とが規定されている。
ヨー運動制御部43Aは、車両1Aのヨー運動を抑制する場合、即ち、車両1Aに発生しているオーバーステア(OS)を抑制する場合には、まず、左右輪14L,14Rのうち、旋回中心側に位置している方の車輪(即ち、旋回内輪)の駆動力が増加するようにリアデフコントローラ31を制御し、次に、前後輪8,14間の差動制限を強めるようにセンターデフコントローラ32を制御するようになっている。また、ヨー運動制御部43Aは、車両1Aに発生しているオーバーステア(OS)を抑制する場合であり、且つ、リアデフコントローラ31による左右輪間駆動力制御を実行するとともに、センターデフコントローラ32による前後輪間差動制限制御を実行してもなお、要求ヨーモーメントを発生させることができない場合に限り、旋回内輪の制動力よりも旋回外輪の制動力が大きくなるようにブレーキ装置コントローラ33を制御するようになっている。
他方、ヨー運動制御部43Aは、車両1のヨー運動を促進する場合、即ち、車両1Aに発生しているアンダーステア(US)を抑制する場合には、まず、左右輪14L,14Rのうち、旋回中心と反対側に位置している方の車輪(即ち、旋回外輪)の駆動力が増加するようにリアデフコントローラ31を制御し、次に、前後輪8,14間の差動制限を弱めるようにセンターデフコントローラ32を制御するようになっている。また、ヨー運動制御部43Aは、車両1Aに発生しているアンダーステア(US)を抑制する場合であり、且つ、リアデフコントローラ31による左右輪間駆動力制御を実行するとともに、センターデフコントローラ32による前後輪間差動制限制御を実行してもなお、要求ヨーモーメントを発生させることができない場合に限り、旋回外輪の制動力よりも旋回内輪の制動力が大きくなるようにブレーキ装置コントローラ33を制御するようになっている。
つまり、ヨー運動制御部43Aは、要求ヨーモーメントに応じた制御値をヨー運動制御マップ44から読み出し、リアデフコントローラ31、センターデフコントローラ32及びブレーキ装置コントローラ33のうちの少なくとも1つを制御して車両1Aのヨー運動を制御可能である。
そして、ヨー運動制御マップ440には、上記第1の実施形態と同様、制御値に対し要求ヨーモーメントの0値近傍の範囲において制御値が値0を維持するようUS抑制側に所定幅DZusでOS抑制側に所定幅DZosの不感帯が設定されている。
また、上記第1の実施形態と同様、不感帯幅であるUS抑制側の所定幅DZusとOS抑制側の所定幅DZosの大きさをそれぞれ異ならせるとともに、これらを車両1Aの前後方向の加速度(前後加速度) GXに応じて適宜可変させるようにしている(不感帯幅設定手段)。
つまり、図4に示すように、ECU40Aには前後加速度GXに対する所定幅DZus及び所定幅DZosが予め実験等により設定されそれぞれマップM1、M2として記憶されており、Gセンサ48により検出された前後加速度GXに応じて所定幅DZus及び所定幅DZosがマップM1、M2から各々読み出され、ヨー運動制御部43Aに入力されることで、ヨー運動制御マップ440の所定幅DZus及び所定幅DZosが可変設定される。なお、マップM1、M2は上記第1の実施形態と同様であり、その詳細については説明を省略する。
このように、本発明の第2の実施形態に係る旋回挙動制御装置では、リアデフコントローラ31、センターデフコントローラ32及びブレーキ装置コントローラ33の制御において、制御値に対し要求ヨーモーメントに0値近傍の所定幅DZus及び所定幅DZosの範囲で不感帯を設定するようにしており、この場合において、不感帯幅であるこれら所定幅DZus及び所定幅DZosを、所定幅DZusの方が所定幅DZosよりも大きく且つ変化勾配D1の方が変化勾配D2よりも大きくなるように設定し、前後加速度GXが加速側に大きくなるほど広げるようにしている。
これにより、上記同様、ドライバが車両1Aを加速中にブレーキ装置コントローラ33が制御されて制動力が付加されても、前後加速度GXが加速側に大きくなるほど不感帯幅を広げることで、ブレーキ装置コントローラ33の制御への介入タイミングを適切なものにして車両1Aの加速中にドライバの感じる減速感を抑制でき、ヨー運動制御の最適化を図り、車両1Aの走行性能を向上させつつ、よりドライブフィールを高めることができる。
そして、リアデフコントローラ31、センターデフコントローラ32による駆動力調整は減速をともなわず、ドライバの加速意思による加速操作と干渉しないことから、前後加速度GXが加速側に大きくなるほどブレーキ装置コントローラ33の制御に関する不感帯幅を広げた場合であっても、リアデフコントローラ31、センターデフコントローラ32を適切に制御へ介入させることが可能であり、車両1Aの加速中にドライバの感じる減速感等を抑制しつつも、車両1Aの走行性能をより一層向上させることができる。
また、所定幅DZusの方が所定幅DZosよりも大きくなるように不感帯幅である所定幅DZus及び所定幅DZosを設定するので、上記第1の実施形態と同様、ヨー運動を抑制する場合(OSの抑制)において、OSを十分に抑制して車両1Aの挙動の安定性の向上を図りながらドライバの感じる減速感を抑制して車両の走行性能の向上を図ることができる。
さらに、所定幅DZusの変化勾配D1の方が所定幅DZosの変化勾配D2よりも大きくなるように不感帯幅である所定幅DZus及び所定幅DZosを設定するので、上記第1の実施形態と同様、ヨー運動を促進する場合(USの抑制)において、USを抑制して車両1Aの挙動の安定性の向上を図りつつもドライバの感じる減速感を最大限に抑制して車両1Aの走行性能の向上を図ることができるとともに、ヨー運動を抑制する場合(OSの抑制)において、OSをできる限り抑制して車両1Aの挙動の安定性の向上を図りながらドライバの感じる減速感を抑制して車両1Aの走行性能の向上を図ることができる。
以上で本発明に係る車両の旋回挙動制御装置の実施形態の説明を終えるが、実施形態は上記に限られるものではない。
例えば、上記実施形態において、車両1、1Aが4輪駆動車である場合を例にとって説明したが、特に4輪駆動車に限定するものではなく、前輪駆動車であってもよいし、後輪駆動車であってもよい。
また、上記実施形態においては、アンダーステア(US)/オーバーステア(OS)の判定を、制御ヨーモーメント算出部41によって得られた要求ヨーモーメントと、Gセンサ48によって測定された車両1、1Aの横方向の加速度とに基づいて行っているが、このような形態に限定されるものではなく、車両の旋回状態を判定しうるものであれば、どのような構成でもよい。
また、上記実施形態においては、前後加速度GXをGセンサ48で検出しているが、このような形態に限定されるものではなく、例えば、車速を微分することによって前後加速度を推定し、この推定値からマップを選択するようにしてもよいし、エンジン2の出力トルク、トランスミッション3の総減速比及びブレーキ装置21L,21R,22L,22Rの制動トルクから前後加速度を推定し、この推定値からマップを選択するようにしてもよい。
また、上記第2の実施形態において、フロントデフ6は、エンジン2から入力されたトルクの大きさに応じて左右輪8R,8Lの差動を機械的に制限するトルク感応式のディファレンシャルギアが適用されている場合について説明したが、このような構成に限定されるものではなく、左右輪間駆動力移動機構15を、リアデフ12に装備するだけではなくフロントデフ6にも装備する構成としてもよいし、フロントデフ6のみに装備する構成としてもよい。
また、上記第2の実施形態においては、リアデフコントローラ31が左右輪間駆動力移動機構15を制御することで、エンジン1から後左右輪14L,14Rに伝達されるトルクの差が調整される場合を例にとって説明したが、このような構成に限定するものではない。例えば、前輪側あるいは後輪側の左右輪にそれぞれ設けられた電気モータの駆動力をそれぞれ独立して調整するようにしてもよい。なお、この場合、電気モータのほかに、エンジンなどの他の駆動源を車載するか否かは適宜選択可能である。
また、上記第2の実施形態において、左右輪間駆動力移動機構15の代わりに、左右輪間で駆動力を配分する機構を設けるようにしてもよく、例えば、左右輪にそれぞれクラッチ機構を設け、このクラッチ機構による締結力を調整することで、左右輪に伝達される駆動力の大きさを可変とする構成としてもよい。さらに、これを後輪側あるいは前輪側に設けてもよい。
また、上記第2の実施形態においては、前後輪間差動制限機構19を歯車式のものとしたが、これに何ら限定されるものではなく、同様の機能を有するものであればよいことは言うまでもない。
本発明の第1の実施形態に係る車両の旋回挙動制御装置の全体構成を示す模式的なブロック構成図である。 第1の実施形態に係る車両の旋回挙動制御装置の制御系の構成を示す模式的な制御ブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係る車両の旋回挙動制御装置の全体構成を示す模式的なブロック構成図である。 第2の実施形態に係る車両の旋回挙動制御装置の制御系の構成を示す模式的な制御ブロック図である。
符号の説明
1、1A 車両
8L 前左輪
8R 前右輪
14L 後左輪
14R 後右輪
15 左右輪間駆動力移動機構
19 前後輪間差動制限機構
21L,21R,22L,22R ブレーキ装置
31 リアデフコントローラ(駆動力調整手段)
32 センターデフコントローラ(駆動力調整手段)
33 ブレーキ装置コントローラ(制動力調整手段)
43、43A ヨー運動制御部(ヨー運動制御手段)
48 Gセンサ(加減速検出手段)

Claims (4)

  1. 前後左右輪を備える車両の各輪制動力に差をつける制動力調整手段と、
    車両の走行状態に応じて車両に要求される要求ヨーモーメントを設定する要求ヨーモーメント設定手段と、
    該要求ヨーモーメント設定手段により設定された要求ヨーモーメントに応じて前記制動力調整手段を制御し、車両のヨー運動を制御するヨー運動制御手段と、
    車両の前後加減速を検出する加減速検出手段とを備え、
    前記ヨー運動制御手段は、前記要求ヨーモーメントの0値近傍に所定幅の不感帯を有し、前記加減速検出手段により検出された前後加減速が加速側に大きくなるほど該不感帯の所定幅を広げる不感帯幅設定手段を含んでなることを特徴とする車両の旋回挙動制御装置。
  2. 前後左右輪を備える車両の各輪駆動力に差をつける駆動力調整手段をさらに備え、
    前記ヨー運動制御手段は、前記要求ヨーモーメント設定手段により設定された要求ヨーモーメントに応じて前記制動力調整手段を制御するとともに前記駆動力調整手段を制御することを特徴とする、請求項1に記載の車両の旋回挙動制御装置。
  3. 前記不感帯幅設定手段は、車両のヨー運動を抑制するよりも該車両のヨー運動を促進する方が広くなるように前記不感帯の所定幅を設定することを特徴とする、請求項1または2記載の車両の旋回挙動制御装置。
  4. 前記不感帯幅設定手段は、車両のヨー運動を抑制するよりも該車両のヨー運動を促進する方が前後加減速に対する増加率が大きくなるように前記不感帯の所定幅を設定することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか記載の車両の旋回挙動制御装置。
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