JP2005104233A - 駆動力配分制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジン2からの駆動力を車両1の走行状態に応じて各駆動輪8L,8R,14L,14Rに可変配分する駆動力配分機構15,19と、駆動力配分機構15,19の作動を制御する駆動力配分制御手段18と、制動時に車両1の各輪8L,8R,14L,14Rのスリップ状態が好ましい状態となるように各輪8L,8R,14L,14Rの制動状態を制御するアンチスキッドブレーキシステム(ABS)20と、車両1が走行している路面の摩擦係数を推定する摩擦係数推定手段24とをそなえ、駆動力配分制御手段18は、ABS20の作動時に、摩擦係数推定手段24で推定された摩擦係数に応じて、駆動力配分機構15,19の制御態様を変更する。
【選択図】 図1
Description
ところが、上述した駆動力配分システムとABSとの双方を装備した車両においては、駆動力配分機構による制御とABSによる制御とが干渉してしまう場合があった。
また、路面の摩擦係数μが大きい場合においては、通常モードによる効果とABS対応モードによる効果との差が大きいため、例えば、乾いたアスファルト路面のような、いわゆる高μ路を走行中に、駆動力配分システムの制御態様が通常モードからABS対応モード(あるいは、ABS対応モードから通常モードへ)への切り換えられると、モード切り換えショックが生じてしまい、ドライバに対してドライブフィールの違和感を与えるおそれがある。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、駆動力配分機構による制御とアンチスキッドブレーキシステムによる制御との間に生じる制御干渉を抑制しながら、車両の挙動を安定させる、駆動力配分制御装置を提供することを目的とする。
また、請求項2記載の本発明の駆動力配分制御装置は、請求項1記載の内容において、該駆動力配分制御手段は、その制御態様として、該アンチスキッドブレーキシステムの非作動時に実行される通常モードと、該アンチスキッドブレーキシステムの作動時に実行されて該アンチスキッドブレーキシステムの作動に対応して設定されたABS対応モードとをそなえ、該摩擦係数推定手段で推定された摩擦係数に応じて該ABS対応モードの制御態様を変更することを特徴としている。
また、請求項4記載の本発明の駆動力配分制御装置は、請求項2記載の内容において、該駆動力配分機構が、該車両の前後輪の駆動力配分を変更可能な前後輪駆動力配分機構と、該車両の左右輪の駆動力配分を変更可能な左右輪駆動力配分機構とを有し、該ABS対応モードは、該摩擦係数推定手段で推定された摩擦係数が所定値以上である場合には、該前後輪駆動力配分機構の駆動力配分制御におけるアンチスキッドブレーキシステムの作動への対応度合を、該左右輪駆動力配分機構の駆動力配分制御における同対応度合よりも大きく設定していることを特徴としている。
また、アンチスキッドブレーキシステムによる安定した制動効果を得ながら、路面摩擦係数が大きい場合には、駆動力配分機構による効果も適切に得ることができる(請求項3)。
また、車輪間の回転速度差に応じた制御量をアンチスキッドブレーキシステムの作動時に小さくすることにより、回転速度差に応じた制御がアンチスキッドブレーキシステムの制御に与える影響を低減でき、アンチスキッドブレーキシステムによる安定した制動効果を得ることができる(請求項5,6)。
まず、図1に示すように、本発明の駆動力配分制御装置が適用される四輪駆動の車両1には、エンジン2,トランスミッション3などがそなえられ、エンジン2の出力はトランスミッション3及び中間ギア機構4を介してセンタディファレンシャル(以下、センターデフ)5に伝達されるようになっている。
また、フロントデフ6には、エンジン2から入力されたトルクの大きさに応じて、左右輪8R,8Lの差動を機械的に制限するトルク感応式のディファレンシャルギアが適用されている。
また、このリアデフ12のケース12Aの外周にはプロペラシャフト10の後端のピニオンギア10Aと噛合するクラウンギア16が設けられ、また、このケース12Aの内側には遊星歯車機構12Bがそなえられている。そして、この遊星歯車機構12Bにより、左右の後輪14L,14Rの差動が許容されるようになっている。このような構成により、エンジン2からプロペラシャフト10,ピニオンギア10A等を通じてクラウンギア16へ入力されたトルクは、遊星歯車機構12Bによって左側の後輪14Lと右側の後輪14Rとの差動を許容しながら両輪14L,14Rに伝達されるようになっている。
このうち、変速機構15Aは、左右輪のうちの一方の車輪(ここでは左輪14L)の回転速度を増速させたり減速させたりしてトルク伝達機構15Bに出力するものである。
また、ABSコントローラ22には、図示しないCPU,ROM,RAM,インタフェイス等がそなえられるとともに、図示しない車輪速センサ,前後Gセンサ,横Gセンサ,ブレーキペダル踏み込みセンサなどの各種センサが接続されている。そして、ABSコントローラ22では、これらの各種センサによって検出された情報に基づいて、制動系油圧ユニット23を制御するようになっている。
具体的には、図2および図3に示すように、ABS20が非作動である場合には通常の制御である第1モード18Aが第1セレクタ18Dによって選択され、ABS20が作動しており且つ路面の摩擦係数μが大きい場合(即ち、高μ路である場合)には第1セレクタ18Dおよび第2セレクタ18Eによって第2モード18Bが選択される。また、ABS20が作動しており且つ路面の摩擦係数μが小さい場合(即ち、低μ路である場合)には第1セレクタ18Dおよび第2セレクタ18Eによって第3モード18Cが選択されるようになっている。なお、高μ路とは、乾いたアスファルト路面に相当する摩擦係数以上の場合をいい、低μ路とは、濡れたアスファルト路面に相当する摩擦係数未満のような場合をいう。
なお、この第2モード18Bは、摩擦係数判定手段24で推定された摩擦係数μが大きいほどABS20の作動の優先度合(対応度合)が低下するように設定されており、これによって路面の摩擦係数μが大きくなるにつれて駆動力配分機構15,19による駆動力配分による効果、即ち、高い回頭性能や高い加速性能が得られるようになっている。
また、これらの第1〜3モード18A,18B,18CはそれぞれECU18に内蔵された図示しないメモリ内に記録され、また、第1および第2セレクタ18D,18Eはソフトウェアまたは電気回路によって実現されるようになっている。
まず、車両1が走行中、ABS20が作動していない場合には、摩擦係数推定手段24によって推定された走行中の路面摩擦係数μの大小に関わらず、ECU18の第1セレクタ18Dは、第1モード18Aを選択し、ここで選択された第1モード18Aにしたがって、左右輪駆動力配分機構15および前後輪駆動力配分機構19が制御され、車両1の加速性や回頭性が向上する。
なお、ABS20による制御を最も優先させた場合(即ち、第3モード実行中の場合)とは、換言すると、車両1が低μ路を走行している場合であるが、このような低μ路を走行している場合においては、ABS20による制動制御によって車両の安定性が向上することが本発明者らにより明らかとなっている。したがって車両1が低μ路を走行中に第3モードを実行した場合には、駆動力配分機構(左右輪駆動力配分機構15および前後輪駆動力配分機構19)による車両挙動制御よりもABS20による制動制御が優先されるものの、実際には、ABS20の作動により車両1の走行安定性を高めることができ、車両挙動が不安定になるおそれはない。
そして、ABS対応モードでは、路面の摩擦係数μが所定の閾値以上(高μ路)である場合には、前後輪駆動力配分機構19をABS優先制御に基づき制御するとともに、左右輸駆動力配分機構15を駆動力配分優先制御に基づき制御して、一方、路面の摩擦係数μが所定の閾値よりも小さい(低μ路)場合には、前後輪駆動力配分機構19及び左右輸駆動力配分機構15をABS優先制御に基づき制御する。
また、ABS作動中で且つ高μ路を走行中である場合には、前後輪駆動力配分機構19の制御態様をABS優先制御とするとともに左右輪駆動力配分機構15を制御態様を駆動力配分優先制御とすることにより、前後輪駆動力配分機構19の駆動力配分制御におけるABS作動への対応度合が、左右輸駆動力配分機構15の駆動力配分制御におけるABS作動への対応度合よりも大きく設定されることとなる。
この変形例においては、上述した実施形態に対して、駆動力配分機構15,19の制御態様のみが異なり、その他の構成等は同一であるため、この図4に示す制御態様についてのみ説明する。
そして、ECU18は、ABS20が作動していないときには、駆動力配分機構15,19の制御モードとして、駆動力配分機構15,19による駆動力配分を優先させる通常モードを選択するようになっている。
このように、本変形例における駆動力配分制御装置によれば、車両1の前後輪8,14および左右輪14L,14Rの少なくとも一方の車輪間の回転速度差ΔNに応じて駆動力配分制御が実行されるとともに、ABS20の作動時のABS対応モードでは、その回転速度差ΔNに基づく制御量をABS非作動時の通常制御における回転速度差ΔNに基づく制御量に対して小さくなるように設定することにより、車両1の回頭性を高めながら、ABS20による確実な制動効果を得ることができる。
また、摩擦係数μが低い(低μ路である)場合には、ΔN制御のみに基づき駆動力配分機構15,19を制御するとともに、このΔN制御の制御量を高μ路ABS対応制御におけるΔN制御の制御量よりも低減して設定することにより、駆動力配分機構15,19による騒動力配分よりもABS20による制動制御が優先されて、高い制動性能を得ることができる。
なお、ABS対応モードの高μ路ABS対応制御および低μ路ABS対応制御におけるΔN制御の制御量を路面の摩擦係数μが高い(高μ路である)ほど大きくなるように摩擦係数に応じて設定することも可能である。
なお、本発明は上述した実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
また、上述した実施形態においては、路面摩擦係数推定手段をアンチスキッドブレーキ制御手段に内蔵したが、このような構成に限定するものではなく、路面摩擦係数推定手段をアンチスキッドブレーキ制御手段とは別個に設けるようにしてもよいし、駆動力配分制御手段の内部に設けてもよい。
2 エンジン
8L,8R,14L,14R 駆動輪,各輪
15 左右輪駆動力配分機構(駆動力配分機構)
18 駆動力配分制御手段(ECU)
18A 第1モード
18B 第2モード
18C 第3モード
19 前後輪駆動力配分機構(駆動力配分機構)
20 ABS(アンチスキッドブレーキシステム)
22 ABSコントローラ
24 摩擦係数推定手段
Claims (6)
- エンジンからの駆動力を車両の走行状態に応じて各駆動輪に可変配分する駆動力配分機構と、
該駆動力配分機構の作動を制御する駆動力配分制御手段と、
制動時に該車両の各輪のスリップ状態が好ましい状態となるように該各輪の制動状態を制御するアンチスキッドブレーキシステムと、
該車両が走行している路面の摩擦係数を推定する摩擦係数推定手段とをそなえ、
該駆動力配分制御手段は、該アンチスキッドブレーキシステムの作動時に、該摩擦係数推定手段で推定された摩擦係数に応じて、該駆動力配分機構の制御態様を変更する
ことを特徴とする、駆動力配分制御装置。 - 該駆動力配分制御手段は、
その制御態様として、
該アンチスキッドブレーキシステムの非作動時に実行される通常モードと、
該アンチスキッドブレーキシステムの作動時に実行されて該アンチスキッドブレーキシステムの作動に対応して設定されたABS対応モードとをそなえ、
該摩擦係数推定手段で推定された摩擦係数に応じて該ABS対応モードの制御態様を変更する
ことを特徴とする、請求項1記載の駆動力配分制御装置。 - 該ABS対応モードは、
該摩擦係数推定手段で推定された摩擦係数が大きいほど該アンチスキッドブレーキシステムの作動への対応度合が低下するように設定されている
ことを特徴とする、請求項2記載の駆動力配分制御装置。 - 該駆動力配分機構が、
該車両の前後輪の駆動力配分を変更可能な前後輪駆動力配分機構と、
該車両の左右輪の駆動力配分を変更可能な左右輪駆動力配分機構とを有し、
該ABS対応モードは、
該摩擦係数推定手段で推定された摩擦係数が所定値以上である場合には、該前後輪駆動力配分機構の駆動力配分制御におけるアンチスキッドブレーキシステムの作動への対応度合を、該左右輪駆動力配分機構の駆動力配分制御における同対応度合よりも大きく設定している
ことを特徴とする、請求項2記載の駆動力配分制御装置。 - 該駆動力配分制御手段は、
該車両の前後輪および左右輪のうちの少なくとも一方の車輪間の回転速度差に応じた制御量で該駆動力配分機構の作動を制御し、
該ABS対応モードでの該回転速度差に応じた該制御量は、
該通常モードでの該回転速度差に応じた該制御量よりも小さく設定されるとともに、該摩擦係数が大きいほど大きく設定されている
ことを特徴とする請求項2〜4いずれか1項に記載の駆動力配分制御装置。 - 該駆動力配分制御手段は、
該アンチスキッドブレーキシステムの作動により該ABS対応モードが実行され、且つ該摩擦係数推定手段で推定された摩擦係数が所定値未満である場合には、該回転速度差に応じた該制御量のみに応じて該駆動力配分機構の作動を制御する
ことを特徴とする請求項5に記載の駆動力配分制御装置。
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