JP2009061876A - 停止時制動力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】一般的な車両に広く搭載することができ、しかも、簡素な制御プログラム構成にて車体の揺り返しが発生することを低減することができる停止時制動力制御装置を提供する。
【解決手段】停止時制動力制御装置10は、前後力センサ40を通じて検出される前後力に基づいて、揺り返し発生力が車体に作用し始めるタイミングを検出する作用開始時検出部11と、前後力センサ40を通じて検出される前後力に基づいて、揺り返し発生力が車体に作用し終えるタイミングを検出する作用終了時検出部12と、揺り返し発生力が車体に作用し始めたことを作用開始時検出部11を通じて検出するとき、制動力を減少させるとともに、揺り返し発生力が車体に作用し終えたことを作用終了時検出部12を通じて検出するとき、制動力を増加させる制動力制御部13とを備えている。
【選択図】図2

Description

本発明は、車体の揺り返しが車両の停止時に発生することを低減するに有益な停止時制動力制御装置に関する。
自動車等の車両が制動されて停止する場合、車体(ばね上)が前方へ荷重移動することにより、車両が停止する直前に車両の移動方向前方に向けて車体が前傾姿勢になる(ノーズダイブ)とともに、例えばサスペンションの復元力によって車体の重心が車両後方へ移動されることで、車両が停止した直後に車両の移動方向後方に向けて車体が揺り返す現象である、いわゆる車体の揺り返しが生じることがある。こうした車体の揺り返しは、車両の搭乗者にとって不快なものとして感じられてしまう。
従来、こうした車体の揺り返しの発生を低減するべく、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。この文献に記載の技術では、停止時制動力制御装置は、まず、車速センサにて検出される車速、この車速の時間微分値、ブレーキスイッチの出力値及び対地車体速度センサにて検出される対地車体速度に基づき、車両が急激な制動停止状態にあって車体の揺り返しが生じるおそれがあるか否か、さらには、車体が実質的に停止したか否かを判定する。ここで、停止時制動力制御装置は、車両が急激な制動停止状態にあって車体の揺り返しが生じるおそれがあり、しかも、車体が実質的に停止した旨判定すると、左右前輪のショックアブソーバの伸び側の減衰力を最大値に設定するとともに、左右後輪のショックアブソーバの縮み側の減衰力を最大値に設定する。さらに、停止時制動力制御装置は、傾斜角センサにて検出される車両前後方向の路面の傾斜角に基づいて、水平路であるかあるいは上り坂であるかについて判定する。水平路である旨判定されると、停止時制動力制御装置は、各車輪の制動力を実質的に零とすることで、サスペンションの復元力の反作用を利用して車輪を車体に対して相対的に前方へ移動させる。一方、上り坂である旨判定されると、停止時制動力制御装置は、各車輪の制動力を実質的に零とするだけでなく、車輪の後退を防止するに必要な駆動力を路面の傾斜角及びマップに基づいて発生させ、車体に対し相対的に車輪を前方へ移動させる。
このように、上記従来の停止時制動力制御装置では、車両が走行する路面の傾斜角に応じた停止時制動力制御の実行を通じて、車体の揺り返しの発生を低減することが図られている。
特許3820731号明細書
しかしながら、上記従来の停止時制動力制御装置では、路面の傾斜角に応じて異なる制御アルゴリズムが採用されているため、制御プログラム構成が複雑になってしまう。
また、上述したような停止時制動力制御を実行するためには、そもそも、車両前後方向の路面の傾斜角を検出する傾斜角検出センサや路面に対する車体の速度を検出する対地車体速度センサを車両に搭載することが不可欠である。こうした傾斜角検出センサや対地車体速度センサはどちらも一般的なセンサではなく、これらセンサを搭載する車両は自ずと限られてしまう。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、一般的な車両に広く搭載することができ、しかも、簡素な制御プログラム構成にて車体の揺り返しが発生することを低減することができる停止時制動力制御装置を提供することにある。
こうした目的を達成するため、例えば請求項1に記載の発明では、車両のタイヤに制動力が作用することに起因して、車体が停止する直前に前記車両の進行方向前方に向けて前記車体が前傾姿勢になり、前記車体及び前記タイヤが共に停止した直後に前記車両の進行方向後方に向けて前記車体が揺り返す現象である車体の揺り返しを発生させる揺り返し発生力を検出する揺り返し発生力検出手段と、前記タイヤに作用する制動力を制御する制動力制御手段とを備える車両に搭載される停止時制動力制御装置として、前記揺り返し発生力検出手段を通じて検出される前記揺り返し発生力が前記車体に作用開始するタイミングを検出する作用開始時検出手段と、前記揺り返し発生力検出手段を通じて検出される前記揺り返し発生力が前記車体に作用し終えるタイミングを検出する作用終了時検出手段とを備え、前記制動力制御手段は、前記揺り返し発生力が前記車体に作用し始めたことを前記作用開始時検出手段を通じて検出するとき、前記制動力を減少させるとともに、前記揺り返し発生力が前記車体に作用し終えたことを前記作用終了時検出手段を通じて検出するとき、前記制動力を増加させることとした。
通常、車両は、車体及び車輪(タイヤ)を有して構成されており、例えばサスペンション等のばね要素がこれら車体と車輪との間に介在している。そのため、例えば高速度で走行していた車両がその速度を急激に落として停止するといった状況において、車両のタイヤに制動力が作用することに起因して車軸周りの車輪の回転速度(移動速度)が車体の移動速度よりも小さくなると、上記ばね要素が圧縮されることになる。そして、車輪及び車体が共に停止した直後においては、通常、タイヤに制動力が作用したままであり、タイヤは車軸周りに回転することができない。そのため、上記ばね要素に蓄えられたエネルギーは、このばね要素を含む種々の部材を介して揺り返し発生力として車体に作用する。このようにして、いわゆる車体の揺り返し現象が発生する。
ここで、停止時制動力制御装置としての上記構成では、揺り返し発生力が車体に作用し始めたことを作用開始時検出手段を通じて検出するとき、タイヤに作用している制動力を制動力制御手段を通じて減少させる。この揺り返し発生力が車体に作用し始めたタイミングとは、車輪及び車体が停止した直後のタイミングであり、このタイミング以後も継続してタイヤに制動力が作用したままであれば上述したように車体の揺り返しが発生するところ、このタイミングにおいてタイヤに作用している制動力が減少されるため、車輪は車軸周りに回転することができるようになり、車体よりも質量の小さいタイヤが僅かに前進し、車体の揺り返しが発生することを低減することができるようになる。なお、車両の前後方向における車輪の運動では、車輪だけがごく僅かに回転するだけであって、車体は実質的に停止している。すなわち、車両の制動距離を長くすることなく、車体の揺り返し現象の発生を低減することができるようになる。
一方、上記揺り返し発生力が車体に作用し始めたことが作用開始時検出手段を通じて検出され、制動力制御手段を通じて車輪に作用している制動力が減少された状況が、例えば上り坂や下り坂等、水平路でない傾斜路において長期間にわたって生じると、車両はやがて傾斜路の傾斜に沿って移動し始めてしまう。
その点、停止時制動力制御装置としての上記構成では、揺り返し発生力が車体に作用し終えたことが作用終了時検出手段を通じて検出されるとき、制動力制御手段を通じて車輪に作用している制動力を増加する。なお、揺り返し発生力が車体に作用し終えたタイミングとは、揺り返し発生力が消滅したタイミングである。したがって、上記構成によれば、このタイミングにおいて車輪に作用する制動力を増加するため、車輪は車軸周りに回転することはできなくなり、たとえ車両が傾斜路にあったとしても、傾斜路の傾斜に沿って移動しはじめることはなく、その停止位置を維持することができるようになる。
また、上記構成は、路面の傾斜角に関係なく、単一の制御プログラムにて、車両の停止時の制動力制御を実行することができるため、背景技術の欄に記載した従来技術とは異なり、簡素な制御プログラム構成となる。
さらに、停止時制動力制御装置としての上記構成によれば、上記従来技術とは異なり、そうした車両前後方向の路面の傾斜角を検出する傾斜角検出センサや路面に対する車体の速度を検出する対地車体速度センサを車両に搭載する必要がないため、一般的な車両に広く搭載することができるようになる。
特に、上記請求項1に記載の構成において、例えば請求項2に記載の発明のように、前記揺り返し発生力検出手段は、前記タイヤに前記制動力が作用する時に前記車両の前後方向に変位する互いに異なる複数の変位部位にそれぞれ取り付けられるとともにそれら複数の変位部位の変位量をそれぞれ検出する複数の変位量検出センサを有し、前記複数の変位量検出センサを通じてそれぞれ検出される複数の変位量に基づき、前記揺り返し発生力のうちの前記車両の前後方向成分を含む前後力を検出する前後力検出手段であり、前記作用開始時検出手段は、前記前後力検出手段を通じて検出される前記前後力に基づいて、前記揺り返し発生力が前記車体に作用し始めるタイミングを検出するものであり、前記作用終了時検出手段は、前記前後力検出手段を通じて検出される前記前後力に基づいて、前記揺り返し発生力が前記車体に作用し終えるタイミングを検出するものであることが望ましい。
ここで、上記請求項2に記載の構成における、前後力検出手段の検出原理について説明する。車体と車輪との間に介在するばね要素が圧縮されるようなことがあると、ばね要素が伸びる際に生じる力が揺り返し発生力としてばね要素から車体に種々の部材を介して伝達される(揺り返し発生力が車体に作用する)。こうした揺り返し発生力が作用する部材は剛体ではないため、揺り返し発生力が作用することに起因して、そうした種々の部材に微小量の変位が生じることになる。そして、揺り返し発生力は、主に、車両の前後方向において車体に作用する分力及び車軸周りのモーメントから構成されている。そのため、上記複数の変位量検出センサによって検出される複数の変位量は、それぞれ、車両の前後方向において車体に作用する分力と、車軸周りのモーメントに起因して生じる、車両の上下方向において車体に作用する力との2つの力の合力の大きさに応じた量となる。しかも、上記複数の変位量検出センサによって検出される複数の変位量は、互いに異なる変位部位の変位量が検出されるため、この検出される変位量は、上記車両の前後方向において車体に作用する分力及び上記車両の上下方向において車体に作用する力のそれぞれから受ける影響の度合が異なっている。したがって、検出された複数の変位量に基づいて、車軸周りのモーメントの影響を除去し、車両の前後方向において車体に作用する分力のみを検出することができるようになる。なお、こうした車両の前後方向において車体に作用する分力の方が、車軸周りのモーメントよりも支配的となっている。
したがって、上記請求項2に記載の構成によれば、車軸周りのモーメントより支配的な前後方向の分力を検出し、これに基づいて揺り返し発生力が車体に作用し始めるタイミング及び車体に作用し終えるタイミングを検出するため、制動力制御をより的確に実行することができるようになる。
なお、上述の説明では、便宜上、上記前後力検出手段によって検出される前後力には、揺り返し発生力の主な構成分力である前後方向の分力のみが含まれるとして説明したが、実際には、前後力は、揺り返し発生力の前後方向の分力だけでなく、タイヤに作用するタイヤ作用力のうち前後方向の分力も含んでいる。したがって、揺り返し発生力が生じていない場合には、上記前後力検出手段によって検出される前後力は、タイヤに作用するタイヤ作用力のうちの前後方向の分力と略等しくなっている一方、揺り返し発生力が生じている場合には、上記前後力検出手段によって検出される前後力は、タイヤに作用するタイヤ作用力のうちの前後方向の分力と、揺り返し発生力の前後方向の分力と略等しくなっている。
また、揺り返し発生力が車体に作用し始めるタイミングとは、車輪及び車体が停止した直後のタイミングであり、このタイミングにおいて、前後力は最も大きく変化する。
その点、上記請求項2に記載の構成において、例えば請求項3に記載の発明のように、前記作用開始時検出手段は、前記前後力検出手段を通じて検出された前記前後力の単位時間当たりの変化量が所定の第1判定値よりも大きくなったタイミングを、前記揺り返し発生力が前記車体に作用し始めたタイミングとして検出することとした。
停止時制動力制御装置としてのこのような構成によれば、作用開始時検出手段を通じて、揺り返し発生力が車体に作用し始めたことを正確に検出することができるようになるため、車体の揺り返しの発生をより低減することができるようになる。ちなみに、第1判定値は、例えばシミュレーションや実験等を通じて予め定められる所定の値である。
また、前後力(揺り返し発生力)が車体に作用し終えたタイミングとは、揺り返し発生力が消滅したタイミングであり、このタイミングにおいて、前後力はほとんど変化しなくなる。
その点、上記請求項2または3に記載の構成において、前記作用終了時検出手段は、前記作用開始時検出手段を通じて前記揺り返し発生力が前記車体に作用し始めたことが検出されて以後、前記前後力検出手段を通じて検出された前記前後力の単位時間当たりの変化量が所定の第2判定値よりも小さくなったタイミングを、前記揺り返し発生力が前記車体に作用し終えたタイミングとして検出することが望ましい。
停止時制動力制御装置としてのこのような構成によれば、揺り返し発生力が車体に作用し終えたことを作用終了時検出手段を通じて正確に検出することができ、タイヤに作用する制動力を制動力制御手段を通じて的確に増加することができるようになる。ちなみに、第2判定値は、例えばシミュレーションや実験等を通じて予め定められる所定の値である。
以下、本発明に係る停止時制動力制御装置の一実施の形態について、図1〜図7を参照して説明する。はじめに、図1を参照して、本実施の形態が搭載される車両の停止時に生じることのある車体の揺り返し現象について説明する。
図1(a)に示すように、車体の揺り返し現象とは、車両Cが制動されて停止する場合、車体Cbが前方へ荷重移動することにより、車両Cが停止する直前に当該車両Cの移動方向前方に向けて車体Cbが前傾姿勢になる(いわゆるノーズダイブ)とともに、例えばサスペンション(図示略)の復元力によって車体Cbの重心が車両C後方へ移動されることで、車両Cが停止した直後に当該車両Cの移動方向後方に向けて車体Cbが揺り返す現象である。
詳しくは、車両Cは、通常、車体Cb及びタイヤ(車輪)Ctを有して構成されており、例えばサスペンション等のばね要素及び減衰要素がこれら車体CbとタイヤCtとの間に介在している。すなわち、車両Cは、図1(b)に示すように、車体質量Mb、タイヤ質量Mt、ばね要素k及び減衰要素dを有するモデルとしてモデル化することができる。このようなモデルにおいて、車両Cがその走行速度を一定割合で減少し、やがて停止する状況を想定する。この状況においては、例えばタイヤCtに制動力が作用し、タイヤCtの車軸周りの回転速度が小さくなると、タイヤ質量Mtの移動速度は小さくなる。このとき、一般に、車体Cb(車体質量Mb)の移動速度は、タイヤCt(タイヤ質量Mt)の移動速度に追従して即座に小さくなるのではなく、まず、タイヤCtの移動速度と車体Cbの移動速度との速度差に起因して、これらタイヤCtと車体Cbとの間に介在するばね要素k及び減衰要素dが圧縮される。そして、主に車体Cbの進行方向後方に向けて、ばね要素kから車体Cbに対して力が作用し、車体Cbの移動速度が小さくなる。車体Cbの移動速度がタイヤCtの移動速度と同一になると、ばね要素kは圧縮されなくなり、上記力が作用することはなくなる。このように、「タイヤCtに制動力を作用させる→タイヤCtの移動速度が減少する→ばね要素kが圧縮される→車両Cの進行方向後方に向けて車体Cbに対し力が作用する→車体Cbの移動速度が減少する→車体Cbの移動速度がタイヤCtの移動速度と同一になる」といったサイクルを繰り返すことで、車体Cb及びタイヤCtが同時に停止することになる。
ただし、高速度で移動していた車両Cがその速度を急激に落として停止するといった状況においては、車体Cbの移動速度がタイヤCtの移動速度と同一になる前にタイヤCtが停止してしまうことがある。このとき、タイヤCtが停止してから車体Cbが停止するまでに、ばね要素k及び減衰要素dが圧縮され、ばね要素kにエネルギーが蓄積される。またこのとき、車体Cbは前傾姿勢となっている(上記ノーズダイブ)。その後、タイヤCt及び車体Cbが共に停止した直後においては、通常、タイヤCtに制動力が作用したままであり、タイヤCtは車軸周りに回転することができないため、ばね要素kに蓄えられたエネルギーは、このばね要素kを含む種々の部材(図1では図示略)を介して、主に車両Cの進行方向後方に向けて揺り返し発生力として車体Cbに作用する。このようにして、車体Cbの揺り返し現象が発生することになる。なお、こうして発生した車体Cbの揺り返しは、車両の運転者(あるいは搭乗者)Dにとって不快なものとして感じられてしまう。
このような車体Cbの揺り返しが発生することを低減すべく、本実施の形態の停止時制動力制御装置は、次のように構成される。すなわち、図2に示すように、本実施の形態の停止時制動力制御装置10は、車輪速センサ20、ブレーキスイッチ30、前後力センサ40、及び、ホイールシリンダ50を備える車両Cに搭載されるとともに、作用開始時検出部11、作用終了時検出部12、及び、制動力制御部13を有している。
ここで、車輪速センサ20は、停止時制動力制御装置10に接続されており、タイヤ(以下、車輪とも記載する)Ctの回転速度を検出する。そして、車輪速センサ20は、停止時制動力制御装置10に対し、検出した車輪速を出力している。また、ブレーキスイッチ30は、停止時制動力制御装置10及び後述する前後力センサ40にそれぞれ接続されており、車両Cのブレーキペダル(図示略)の踏み込み操作が例えば運転者Dによってなされているときにオン状態となり、踏み込み操作がなされていないときにオフ状態となる。そしてこのブレーキスイッチ30のオンオフ状態にそれぞれ対応する出力信号が停止時制動力制御装置10及び前後力センサ40にそれぞれ出力されている。また同様に、ホイールシリンダ50は、停止時制動力制御装置10に接続され、車両Cの各タイヤCtに配設されている。このホイールシリンダ50は、停止時制動力制御装置10から出力される制動信号に基づいて、当該ホイールシリンダ50が配設されたタイヤCtに実際に制動力を作用させる。なお、本実施の形態では、一般的な車輪速センサ20、ブレーキスイッチ30、及び、ホイールシリンダ50が採用されているため、ここでの詳しい説明を割愛する。
上記前後力センサ40は、停止時制動力制御装置10に接続されており、上記揺り返し発生力の主な構成分力である前後方向の分力を含む前後力を検出する。そして、前後力センサ40は、停止時制動力制御装置10に対し、検出した前後力を出力する。
そうした前後力センサ40について、図3〜図5を併せ参照しつつ説明する。なお、図3は、前後力センサ40の構成の一例を示すブロック図であり、図4及び図5は、前後力センサ40を構成する第1及び第2変位量センサ40a及び40bの車両Cへの配設態様をそれぞれ示す一部側面断面図である。
図3に示すように、前後力センサ40は、基本的に、第1変位量センサ40a、第2変位量センサ40b、並びに、これら第1及び第2変位量センサ40a及び40bのセンサ出力値に基づいて、上記前後力を算出する演算部40cを有している。
第1変位量センサ40aは、本実施形態では、例えば渦電流式のセンサが採用されている。こうした第1変位量センサ40aは、図4に示すように、ボルト42aの軸方向に該ボルト42aの頭部に対向する位置に配置されるように、取付部材41aに取り付けられている。ちなみに、ボルト42aは、車体Cbを構成する図示しないサスメンバの上側支持部43a、並びに、タイヤCtを車体Cbに連結する懸架装置側の部材であるアッパーアーム(図示略)の棒状部44a及び45aの端部をそれぞれ貫通しており、ボルト42aの先端部がナット46aに螺合されることで、上記サスメンバ及び上記アッパアームは互いに連結されている。また、第1変位量センサ40aが取り付けられる取り付け部材41aは、上記サスメンバが固定されている部材と同一の車体Cb側の部材に固定されている。そして、第1変位量センサ40aは、図4中に矢印Aとして示すように、ボルト42a頭部の軸方向への相対移動量X1を検出する。このボルト42aの軸方向は、車両Cの前後方向に設定されている(図1参照)。なお、本実施の形態では、第1変位量センサ40aとして渦電流式のセンサを採用したが、これに限られず、例えば光電式のセンサなど、種々の公知の距離センサを採用することができる。
ここで例えば、タイヤCtに制動力が作用すると、アッパーアームには図4中に矢印Bにて矢指する方向に力が加えられる。この力によってアッパアームおよびサスメンバの上側支持部43aは矢印B方向に変形するとともに、ボルト42aも同方向に移動する。したがって、第1変位量センサ40aによって検出される移動量は、アッパアーム及びサスメンバの上側支持部43aの変位量でもある。
また、第2変位量センサ40bも、本実施の形態では、例えば渦電流式のセンサが採用されている。こうした第2変位量センサ40bは、ボルト42bの軸方向に該ボルト42bの頭部に対向する位置に配置されるように、上記サスメンバの下側支持部の基板部41bに取り付けられている。そのため、第2変位量センサ40bは、車体Cb側の部材であるサスメンバに固定されていることになる。なお、図5に示すように、サスメンバの下側支持部は、互いに対向する一対のブラケット44b及び45bが下側支持部の基板部41bから垂直に突き出した構造を有している。また、タイヤCtを車体Cbに連結する懸架装置側の部材であるロワアーム(図示略)の端部43bは、上記一対のブラケット44bと45bとの間に収容されており、ボルト42bは、上記一対のブラケット44b及び45bとこのロワアームの端部43bとを貫通しており、ボルト42bの先端部がナット46bに螺合されることで、サスメンバの下側支持部及びロワアームの端部43bを連結している。そして、第2変位量センサ40bは、図5中に矢印Cとして示すように、ボルト42b頭部の軸方向への相対移動量X2を検出する。ちなみに、ボルト42bの軸方向は、車両Cの前後方向に設定されている(図1参照)。
ここで、例えばタイヤCtに制動力が作用すると、ブラケット44b及び45bには図5中に矢印Dにて矢指する方向に力が加えられる。この力によってロアアーム並びにブラケット44b及び45bは矢印D方向に変形するとともに、ボルト42bも同方向に移動する。したがって、第2変位量センサ40bによって検出される移動量は、ロアアーム並びにブラケット44b及び45bの変位量でもある。なお、本実施の形態では、第2変位量センサ40bとして渦電流式のセンサを採用したが、これに限られず、例えば光電式のセンサなど、種々の公知の距離センサを採用することができる。
演算部40cは、例えば上記ブレーキスイッチ30の出力信号に基づき、タイヤCtに制動力が作用したことを検出する。そして演算部40cは、タイヤCtに制動力が作用したことを検出すると、第1及び第2変位量センサ40a及び40bを通じて検出される移動量X1及びX2に基づき、車両Cの前後方向に作用する前後力を算出する。以下、こうした前後力の検出原理について説明する。なお、本実施の形態では、演算部40cは、上記ブレーキスイッチ30の出力信号に基づき、タイヤCtに制動力が作用したか否かについての判定を実行するが、これに限らない。演算部40cは、他に例えば、ブレーキ油圧の上昇などに基づき、タイヤCtに制動力が作用したか否かについての判定を実行することとしてもよい。そして演算部40cは、第1及び第2変位量センサ40a及び40bを通じて検出される移動量X1及びX2に基づいて、車両Cに作用する前後力を算出する。以下、そうした前後力の検出原理について説明する。
既述したように、車体Cbとタイヤ(車輪)Ctとの間に介在する上記ばね要素kに蓄えられるエネルギーは、揺り返し発生力としてばね要素kから車体Cbに種々の部材を介して伝達される。このとき、例えば上記アッパーアーム及びサスメンバの上側支持部43a、あるいは、上記ロアアーム並びにブラケット44b及び45b等々は剛体ではないため、上記エネルギーが揺り返し発生力として伝達されることに起因して、こうした種々の部材に微小量の変位が生じることになる。そして、揺り返し発生力は、周知の6分力のうち、主に、車両Cの前後方向において車体Cbに作用する前後力及び車軸周りのモーメントから構成されている。そのため、上記第1及び第2変位量センサ40a及び40bによって検出される変位量X1及びX2は、それぞれ、車両Cの前後方向において車体Cbに作用する前後力と、車軸周りのモーメントに起因して生じる、車両の上下方向において車体Cbに作用する上下力との2つの力の合力の大きさに応じた値となる。しかも、上記第1及び第2変位量センサ40a及び40bによって検出される変位量X1及びX2は、互いに異なる変位部位の変位量であるため、これら変位量X1及びX2に含まれる、上記前後力及び上記上下力から受ける影響度合が異なっている。したがって、変位量X1及びX2に基づいて、車軸周りのモーメント(ひいては、上下力)の影響を除去し、前後力のみを検出することができるようになる。
具体的には、演算部40cは、下式(1)及び(2)を通じて前後力Fxを求める。
(数1)
X1=α1×Fx+β1×My・・・(1)
(数2)
X2=α2×Fx+β2×My・・・(2)
上式(1)及び(2)中の係数α1及びα2は、ぞれぞれ弾性係数を含んだ係数であり、同様に、係数β1及びβ2は、車軸から第1及び第2変位量センサ40a及び40bそれぞれの取付位置までの距離と弾性係数とを含む係数である。なお、これら係数α1〜β2は、第1及び第2変位量40a及び40bの取付位置によって変動する値であり、実験を通じて予め定められる。なお、移動量X1及びX2への影響度合は、車軸周りのモーメントMy(ひいては上下力Fy)よりも、前後力Fxの方がはるかに大きいことが発明者によって確認されている。そのため、本実施の形態では、演算部40cは、変位量X1及びX2に基づいて前後力Fxを検出(算出)する。
また、停止時制動力制御装置10を構成する作用開始時検出部11は、前後力センサ40にて検出(算出)される前後力Fxに基づき、揺り返し発生力が車体Cbの進行方向後方に向けて車体Cbに作用開始するタイミングを検出する。そして、そうしたタイミングを検出すると、作用開始時検出部11は、後段に接続されている制動力制御部13にその旨を出力する。なお、作用開始時検出部11は、前後力センサ40にて検出される前後力Fxの単位時間当たりの変化量が所定の第1判定値よりも大きくなったタイミングを、前後力Fxが車体Cbに作用し始めたタイミングとして検出する。ちなみに、そうした第1判定値は、例えば実験やシミュレーション等を通じて得られる値である。
また、停止時制動力制御装置10を構成する作用終了時検出部12は、前後力センサ40にて検出(算出)される前後力Fxに基づき、揺り返し発生力が車体Cbの進行方向後方に向けて車体Cbに作用し終えたタイミングを検出する。そして、そうしたタイミングを検出すると、作用終了時検出部12は、後段に接続されている制動力制御部13にその旨を出力する。なお、作用終了時検出部12は、前後力センサ40にて検出される前後力Fxの単位時間当たりの変化量が所定の第2判定値よりも小さくなったタイミングを、前後力Fxが車体Cbに作用し始めたタイミングとして検出する。ちなみに、そうした第2判定値も、例えば実験やシミュレーション等を通じて得られる値である。
そして、停止時制動力制御装置10を構成する制動力制御部13は、前段に接続された作用開始時検出部11を通じて、揺り返し発生力が車体Cbに作用し始めたことを検出すると、後段に接続されたホイールシリンダ50に対し制動信号を出力し、タイヤCtに実際に作用する制動力を減少させる。また、制動力制御部13は、前段に接続された作用終了時検出部12を通じて、揺り返し発生力が車体Cbに作用し終えたことを検出すると、後段に接続されたホイールシリンダ50に対し制動信号を出力し、タイヤCtに実際に作用する制動力を増大させる。
ここで、揺り返し発生力が車体Cbに作用し始めたタイミングとは、タイヤCt及び車体Cbが共に停止した直後のタイミングである。このタイミング以後も継続してタイヤCtに制動力が作用したままであると、タイヤCtは車軸周りに回転することができないため、発生した揺り返し発生力が車体Cbに作用し、車体Cbの揺り返しが発生してしまう。しかしながら、本実施の形態では、制動力制御部13は、上記タイミングを検出すると、タイヤCtに実際に作用する制動力をホイールシリンダ50を通じて減少させる。したがって、タイヤCtは車軸周りに回転することができるようになるため、車体Cbよりも質量の小さいタイヤCtが僅かに前進し、車体Cbの揺り返しが発生することを低減することができるようになる。なお、タイヤCtは極僅かに前進するだけであり、車体Cbは実質的に停止している。すなわち、車両Cの制動距離を長くすることなく車体Cbの揺り返し現象の発生を低減することができるようになる。
また、揺り返し発生力が車体Cbに作用し終えたタイミングとは、揺り返し発生力が消滅したタイミングである。タイヤCtに実際に作用する制動力をこのタイミング以後も継続して減少させたままであると、車両Cが例えば上り坂や下り坂等の水平路でない傾斜路に沿って移動し始めてしまうこともある。しかしながら、本実施の形態では、制動力制御部13は、上記タイミングを検出すると、タイヤCtに実際に作用する制動力をホイールシリンダ50を通じて増大させる。したがって、タイヤCtは車軸周りに回転することはできなくなり、たとえ車両Cが傾斜路にあったとしても、傾斜路の傾斜に沿って移動しはじめることはなく、その停止位置を維持することができるようになる。
以下、図6を併せ参照して、本実施の形態の停止時制動力制御装置10を通じて実行される停止時制動力制御処理について説明する。
本実施の形態では、例えば車両Cの運転者Dによって図示しないメインスイッチがオンとされると、停止時制動力制御装置10は、図6に示す停止時制動力制御処理の実行を開始する。はじめに、停止時制動力制御装置10は、ステップS10の処理として、当該装置10に接続された各種センサの出力値を読み込む。具体的には、停止時制動力制御装置10は、車輪速センサ20のセンサ出力値、ブレーキスイッチ30の出力値、及び、前後力センサ40の出力値を読み込む。
こうして各種センサの出力値を読み込むと、作用開始時検出部11は、続くステップS20の判断処理として、先のステップS10の処理を通じて取り込んだ車輪速Vが所定の車輪速V1以下であるか、すなわち、車輪速が十分に低い状態にあるか否かを判断する。なお、車体Cb及びタイヤCtが共に停止するときに車体Cbの揺り返し現象が発生するため、車輪速Vがあまりに大きい場合には、車体Cbの揺り返し現象が発生するはずがない。したがって、このステップS20の判断処理は、後述するステップS40の判断処理における判断精度を向上させるために実行する処理であり、ステップS40の判断処理の判断精度が十分に高いのであれば、このステップS20の判断処理を割愛することとしてもよい。
ここで、車輪速が十分に低い状態にあると判断される(先のステップS20の判断処理で「Yes」)と、作用開始時検出部11は、続くステップS30の判断処理として、ブレーキスイッチ30がオンとされているか否か、換言すれば、車両Cの運転者Dによってブレーキペダルの踏み込み操作がなされているか否かを判断する。なお、車体Cb及びタイヤCtが共に停止するときに車体Cbの揺り返し現象が発生するため、たとえ車輪速Vが低速であっても、車両Cが減速中でなければ、車体Cbの揺り返し現象が発生するはずがない。このステップS20の判断処理は、後述するステップS40の判断処理における判断精度を向上させるために実行する処理であり、ステップS40の判断処理の判断精度が十分に高いのであれば、このステップS30の判断処理を割愛することとしてもよい。
そして、ブレーキスイッチ30がオンであると判断される(先のステップS30の判断処理で「YES」)と、作用開始時検出部11は、続くステップS40の判断処理として、前後力センサ40から取り込んだ前後力Fxの単位時間当たりの変化量dFが所定の第1判定値dF1よりも大きくなったか否かを判断する。揺り返し発生力は、車体Cb及びタイヤCtが共に停止すると、車両Cの進行方向後方に向けて作用開始するため、この揺り返し発生力の主な構成分力である前後方向の分力を含む前後力Fxは、急激に変化する(小さくなる)。そのため、当該ステップS40の判断処理のように、例えば実験やシミュレーション等を通じて第1判定値dF1を求めておき、変化量dFと第1判定値dF1とを比較することにより、揺り返し発生力が車両Cの進行方向後方に向けて作用開始したか否かを的確に判断することができるようになる。
このようにして、揺り返し発生力が車両Cの進行方向後方に向けて作用開始した旨判断すると(先のステップS40の判断処理で「YES」)、作用開始時検出部11はその旨を制動力制御部13に出力する。そして、制動力制御部13は、続くステップS50の処理として、ホイールシリンダ50を通じて、タイヤCtに実際に作用する制動力を所定量だけ減少させる。これにより、タイヤCtは車軸周りに回転することができるようになり、車体Cbよりも質量の小さいタイヤCtが僅かに前進し、車体Cbの揺り返しが発生することを低減することができるようになる。
なお、先のステップS20の判断処理において「No」、先のステップS30の判断処理において「No」、あるいは、ステップS40の判断処理において「No」である旨が判断されるとき、車体Cbの揺り返し現象が発生する可能性は低い。そのため、停止時制動力制御装置10は、上記ステップS50の処理のような、ホイールシリンダ50を通じての特別な制動力の制御を実行することなく、先のステップS10の処理に移行する。すなわち、上記ステップS10〜S40の一連の処理を繰り返し実行する。
一方、先のステップS50の処理を終えると、作用終了時検出部12は、続くステップS60の判断処理として、前後力センサ40から取り込んだ前後力Fxの単位時間当たりの変化量dFが所定の第2判定値dF2よりも小さくなったか否かを判断する。揺り返し発生力は、車両Cの進行方向後方に向けて作用し始めた後、徐々に小さくなる。そのため、揺り返し発生力の主な構成分力である前後方向の分力を含む前後力Fxは、その変化が小さくなる。したがって、当該ステップS60の判断処理のように、例えば実験やシミュレーション等を通じて第2判定値dF2を求めておき、変化量dFと第2判定値dF2とを比較することにより、揺り返し発生力が車両Cの進行方向後方に向けて作用し終えたか否かを的確に判断することができるようになる。
このようにして、揺り返し発生力が車両Cの進行方向後方に向けて作用し終えた旨判断すると(先のステップS60の判断処理で「Yes」)、作用終了時検出部12はその旨を制動力制御部13に出力する。そして、制動力制御部13は、続くステップS70の処理として、ホイールシリンダ50を通じて、タイヤCtに実際に作用する制動力を所定量だけ増大させる。これにより、タイヤCtは車軸周りに回転することができなくなり、たとえ車両Cが傾斜路にあったとしても、傾斜路の傾斜に沿って移動しはじめることはなく、その停止位置を維持することができるようになる。なお、先のステップS60の判断処理において「No」である旨が判断されるとき、揺り返し発生力は、まだ車体Cbに作用中であるため、先のステップS60の判断処理において「Yes」である旨が判断されるまで、先のステップS50の処理を繰り返し実行する。
以下、図7を参照しつつ、本実施の形態の停止時制動力制御装置10を車両Cに搭載した場合に得られる、車体Cbの揺り返し現象の発生を低減する効果について説明する。
図7(a)に示すように、例えば車両Cが前方に走行中に一定の割合で減速し、例えば時刻t10において停止(車体Cb及びタイヤCtが共に停止)したとする。
このとき、前後力センサ40を通じて検出(算出される)前後力Fxは、図7(b)に示すように、車両Cが減速中の上記時刻t10までにおいて略一定値となる。そのため、図7(c)に示すように、前後力Fxの微分値はほぼ零となり、図7(d)に示すように、減速度(前後加速度G)は略一定値となる。
また、前後力Fxは、図7(b)に示すように、時刻t10以後、揺り返し発生力が車体Cbの進行方向後方に向けて車体Cbに作用し始めるため、また、当該前後力Fxはこの揺り返し発生力の主な構成分力であるため、急激に変化する(小さくなる)。これに伴い、図7(c)及び(d)にそれぞれ示すように、前後力Fxの微分値及び前後加速度Gは、急激に変化(小さく)なっている。これにより、上記作用開始時検出部11は、揺り返し発生力が車両Cの進行方向後方に向けて作用開始した旨を判断する(ステップS40)とともに、図7(e)に示すように、制動力制御部13は、タイヤCtに実際に作用する制動力を減少(零に)するべく、ホイールシリンダ50にその旨の制動力指示を出力する(実際には、制動力指示値を零とする)。
そして、前後力Fxは、図7(b)に示すように、例えば時刻t20において略一定値となる。そのため、図7(c)及び(d)にそれぞれ示すように、前後力Fxの微分値及び減速度も、それぞれほぼ零の一定値となる。これにより、上記作用終了時検出部12は、揺り返し発生力が車両Cの進行方向後方に向けて作用終了した旨を判断する(ステップS60)とともに、図7(e)に示すように、制動力制御部13は、タイヤCtに実際に作用する制動力を増大するべく、ホイールシリンダ50にその旨の制動力指示を出力する。
このように、図7(a)に示す走行パターンにおいては、時刻t10から時刻t20までの間において、タイヤCtに実際に作用する制動力が減少(零と)されているため、タイヤCtは車軸周りに回転することができ、タイヤCtが僅かに前進することで、車体Cbの揺り返しが発生することを低減することができるようになる。具体的には、図7(f)に示すように、上記停止時制動力制御処理を実行しなかった場合における減速度は、時刻t20以後に大きく変化し、車体Cbに揺り返しが発生していることを示している一方、図7(d)に示すように、上記停止時制動力制御処理を実行いた場合における減速度は、時刻t20以後も略一定となっており、車体Cbに揺り返しが発生していないことを示している。
以上説明した本実施の形態の停止時制動力制御装置によれば、路面の傾斜角に関係なく、単一の制御プログラムにて、車両Cの停止時の制動力制御を実行することができるため、背景技術の欄に記載した従来技術とは異なり、簡素な制御プログラム構成となる。さらに、そうした車両前後方向の路面の傾斜角を検出する傾斜角検出センサや路面に対する車体の速度を検出する対地車体速度センサを車両に搭載する必要がないため、一般的な車両に広く搭載することができるようになる。
なお、本発明に係る停止時制動力制御装置は、上記実施の形態にて例示した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々に変形して実施することが可能である。すなわち、上記実施の形態を適宜変更した例えば次の形態として実施することもできる。
上記実施の形態では、前後力センサ40は、第1変位量センサ40a、第2変位量センサ40b、並びに、これら第1及び第2変位量センサ40a及び40bのセンサ出力値に基づいて、前後力を算出する演算部40cを有することとしたが、これに限らない。3以上の変位量センサを備えることとしてもよい。また、逆に、第1変位量センサ40a及び第2変位量センサ40bのいずれか一方のみを用いることとしてもよい。これによっても、上記実施の形態に準じた効果を得ることはでき、演算部40cに係る演算負荷が軽減されるようになる。
上記実施の形態では、前後力センサ40を通じて検出された前後力に基づいて、揺り返し発生力が車体Cbに作用開始するタイミングを検出していたが、これに限らない。既述したように、揺り返し発生力が車体Cbに作用開始するタイミングとは、タイヤCt及び車体Cbが共に停止した直後のタイミングである。そのため、車輪速センサ及びブレーキセンサを通じて、こうしたタイミングを検出することとしてもよい。
(a)は、車体の揺り返し現象を説明するための図。(b)は、車両を構成する車体、タイヤ、並びに、これら車体及びタイヤの間に介在するばね要素をモデル化した模式図。 本発明に係る停止時制動力制御装置の一実施の形態について、搭載される車両を含めた全体の構成を示すブロック図。 同実施の形態が搭載される車両が備える前後力センサについて、その構成の一例を示すブロック図。 同実施の形態が搭載される車両が備える前後力センサについて、該前後力センサを構成する第1変位量センサの配設態様を示す一部側面断面図。 同実施の形態が搭載される車両が備える前後力センサについて、該前後力センサを構成する第2変位量センサの配設態様を示す一部側面断面図。 同実施の形態が実行する停止時制動力制御処理について、その処理手順を示すフローチャート。 (a)は、車両が一定の割合で減速し停止した場合における車輪速の推移を示すタイミングチャート。(b)は、同図(a)に示すような車両の走行パターンにおいて、前後力の推移を示すタイミングチャート。(c)は、同図(a)に示すような車両の走行パターンにおいて、前後力の微分値の推移を示すタイミングチャート。(d)は、同実施の形態の停止時制動力制御処理が実行されている場合、同図(a)に示すような車両の走行パターンにおける減速度の推移を示すタイミングチャート。(e)は、同実施の形態の停止時制動力制御処理が実行されている場合、同図(a)に示すような車両の走行パターンにおける制動力指示値の推移を示すタイミングチャート。(f)は、同実施の形態の停止時制動力制御処理が実行されていない場合、同図(a)に示すような車両の走行パターンにおける減速度の推移を示すタイミングチャート。
符号の説明
10…停止時制動力制御装置、11…作用開始時検出部(作用開始時検出手段)、12…作用終了時検出部(作用終了時検出手段)、13…制動力制御部(制動力制御手段)、20…車輪速センサ、30…ブレーキスイッチ、40…前後力センサ(揺り返し発生力検出手段)、40a…第1変位量センサ、40b…第2変位量センサ、40c…演算部、41a…取付部材、41b…基板部、42a、42b…ボルト、43a…上側支持部、43b…端部、44a…棒状部材、44b…ブラケット、45a…棒状部材、45b…ブラケット、46a、46b…ナット、50…ホイールシリンダ(制動力制御手段)、C…車両、Cb…車体、Ct…タイヤ(車輪)、D…運転者、Mb…車体質量、Mt…タイヤ質量、k…ばね要素、d…減衰要素。

Claims (4)

  1. 車両のタイヤに制動力が作用することに起因して、車体が停止する直前に前記車両の進行方向前方に向けて前記車体が前傾姿勢になり、前記車体及び前記タイヤが共に停止した直後に前記車両の進行方向後方に向けて前記車体が揺り返す現象である車体の揺り返しを発生させる揺り返し発生力を検出する揺り返し発生力検出手段と、前記タイヤに作用する制動力を制御する制動力制御手段とを備える車両に搭載される停止時制動力制御装置であって、
    前記揺り返し発生力検出手段を通じて検出される前記揺り返し発生力が前記車体に作用開始するタイミングを検出する作用開始時検出手段と、
    前記揺り返し発生力検出手段を通じて検出される前記揺り返し発生力が前記車体に作用し終えるタイミングを検出する作用終了時検出手段とを備え、
    前記制動力制御手段は、前記揺り返し発生力が前記車体に作用し始めたことを前記作用開始時検出手段を通じて検出するとき、前記制動力を減少させるとともに、前記揺り返し発生力が前記車体に作用し終えたことを前記作用終了時検出手段を通じて検出するとき、前記制動力を増加させることを特徴とする停止時制動力制御装置。
  2. 前記揺り返し発生力検出手段は、前記タイヤに前記制動力が作用する時に前記車両の前後方向に変位する互いに異なる複数の変位部位にそれぞれ取り付けられるとともにそれら複数の変位部位の変位量をそれぞれ検出する複数の変位量検出センサを有し、前記複数の変位量検出センサを通じてそれぞれ検出される複数の変位量に基づき、前記揺り返し発生力のうちの前記車両の前後方向成分を含む前後力を検出する前後力検出手段であり、
    前記作用開始時検出手段は、前記前後力検出手段を通じて検出される前記前後力に基づいて、前記揺り返し発生力が前記車体に作用し始めるタイミングを検出するものであり、
    前記作用終了時検出手段は、前記前後力検出手段を通じて検出される前記前後力に基づいて、前記揺り返し発生力が前記車体に作用し終えるタイミングを検出するものであることを特徴とする請求項1に記載の停止時制動力制御装置。
  3. 前記作用開始時検出手段は、前記前後力検出手段を通じて検出された前記前後力の単位時間当たりの変化量が所定の第1判定値よりも大きくなったタイミングを、前記揺り返し発生力が前記車体に作用し始めたタイミングとして検出することを特徴とする、請求項2に記載の停止時制動力制御装置。
  4. 前記作用終了時検出手段は、前記作用開始時検出手段を通じて前記揺り返し発生力が前記車体に作用し始めたことが検出されて以後、前記前後力検出手段を通じて検出された前記前後力の単位時間当たりの変化量が所定の第2判定値よりも小さくなったタイミングを、前記揺り返し発生力が前記車体に作用し終えたタイミングとして検出することを特徴とする、請求項2または3に記載の停止時制動力制御装置。
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