JP2009061719A - コピー防止用紙 - Google Patents

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Kenji Hirose
賢二 広瀬
Masahiro Kimura
雅宏 木村
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Abstract

【課題】書類を複写した場合には、その書類に印刷された文字・記号が判読できないようにするためのコピー防止用紙を提供する。
【解決手段】PETフィルム10にアルミニウムを蒸着してなるアルミ蒸着シート30に、印刷適性を有する印刷下地層50を重ね合わせてなるコピー防止用紙であって、印刷下地層50には波線51が印刷により形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、書類を複写した場合には、その書類に印刷された文字・記号が判読できないようにするためのコピー防止用紙に関する。
従来、個人情報などの機密情報をコピー機で複写することを防止するための用紙として特許文献1及び2のようなコピー防止用紙が提案されている。このコピー防止用紙は基材シートにアルミニウムを蒸着してなるアルミ蒸着シートに印刷適性を有する印刷下地層を重ね合わせて形成されている。
ところでコピー機では、用紙を複写する際にコピーの対象となる用紙に光を当て、拡散反射した光の一部を固定された受光部で受光することで、用紙に印刷された情報を取得している。
上述のコピー防止用紙をコピー機にて複写すると、コピー機の光源からコピー防止用紙に照射された光はアルミ蒸着面で鏡面反射を起こすため、反射光は全て特定の方向に向かい、コピー機の受光部では受光されにくくなる。そのため複写物の背景は黒くなる。コピー防止用紙に印刷された文字・記号は一般的には黒色のインク(トナー)で印刷されるため、複写された文字・記号は複写物の背景の色と同じ黒色となり、それらの文字・記号は背景から判別できずに読解不能になる。
特開2005−225088公報 特開平8−39730号公報
ところで、人が印刷された文字・記号を判読する際には、その文字・記号の色とそれ以外の部分、すなわち背景の色との濃淡の差を視認して、その文字・記号の輪郭を抽出して判読している。このため文字・記号の色と背景色との濃淡の差が小さいほど文字・記号を判読するのは困難となり、逆に濃淡の差が大きいほど、文字・記号が強調されて判読しやすくなる。
しかしながら、上述した従来のコピー防止用紙では、特定の条件において複写物の背景の黒色が薄くなってしまい、文字・記号の黒色との間で色の濃淡の差が大きくなって複写物で文字・記号がうっすらと判読できてしまうことがあった。この問題点は特にカラーコピー機を使用して複写する際に発生しやすいことが確認されている。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、複写した場合の文字・記号の判読可能性を一層低くできるコピー防止用紙を提供することを目的とする。
本発明は、基材シートにアルミニウムを蒸着してなるアルミ蒸着シートに、印刷適性を有する印刷下地層を重ね合わせてなるコピー防止用紙において、前記印刷下地層には地模様が印刷により形成されていることに特徴を有する。
本発明では、前記地模様は線模様、文字列によって形成されていてもよく、地模様の色は白色系インクで形成されるとより好ましい。ここで、好ましい白色系とは白色だけでなく、各種濃度の灰色、銀色(特にマット調が好ましい)等を含む。
本発明のコピー防止用紙に例えばレーザプリンタによって印字した書面(以下、「印刷原本」という)をコピー機で複写して複写物を作成したとする。印刷原本のうち地模様及び印刷された文字・記号部分を除いた背景部分はアルミ蒸着面であるから、複写物では黒く現れる。また、コピー防止用紙に予め印刷されている地模様及びプリンタで印刷した文字・記号はそのままの濃度で現れる。
一般に、印刷原本に印刷される文字・記号等は黒色であるから、複写物の背景(黒)と同じとなって、背景から浮き出ることはなく、文字・記号等は判読することはできない。
ところで、アルミ蒸着面の背景部分は、複写条件によっては真っ黒ではなく、濃度が薄くなって濃い灰色或いはカラーコピー機では黒に近い有彩色に複写されてしまうことがある。すると、薄い濃度の背景と真っ黒な文字・記号との濃度差によって文字・記号の輪郭がうっすらと判別できる可能性が生じてくる。
しかしながら、本発明のコピー防止用紙では、表面に地模様が印刷されているから、複写物においても背景色とその地模様との濃度差によって地模様が見えることになる。地模様と文字・記号等とは重ねて印刷されている状態にあるから、うっすらと観察される文字・記号等は、あたかも地模様を透かして見るような状態となる。このため、文字・記号等の線の輪郭が濃度差によって観察されるとしても、それは地模様によって邪魔されるために輪郭が繋がって観察されず、結局、文字・記号等として判読することが極めて困難になる。
なお、印刷原本の状態では、本発明ではアルミ蒸着面に重ねて地模様が印刷されているため、アルミ蒸着面の反射が抑えられ、眩しさが和らげられて印刷された文字・記号等が読み易くなる。
コピー防止用紙に印刷される地模様の種類として線模様や文字列を使用すれば、線模様は単純な模様のため作成が容易であり、既存の文字フォントを使用することで文字列も容易に印刷することができる。また、1文字について数本の線模様が横切るような密度や太さで線模様を形成すると、文字・記号等を構成する線が複雑に線模様を構成する線によって分断されることになり、一層、判読性を低くすることができる。
コピー防止用紙に形成される地模様を白色系インクで形成すれば、背景全面が白っぽく見えるため、印刷情報が黒色で印刷されている場合、印刷原本の印刷情報は強調され視認性が良好となる。さらに、白色系の地模様を形成した場合に、重ねて黒色の地模様を印刷しておくと、複写物における判読性を一層低下させることができる。
本発明の一実施形態を図1ないし図6によって説明する。
本実施形態のコピー防止用紙1は5層構造から成っている。その製造方法は次の通りである。まず、例えば厚み12μmの透明なPETフィルム10の片面に45nmの厚さでアルミニウムを蒸着することでアルミ蒸着層20を形成したアルミ蒸着シート30を作成する。次に、このアルミ蒸着シート30のPETフィルム10のアルミニウムが蒸着されている側の面に例えば厚さ100μmの上質紙40を接着剤31にて接着する。アルミ蒸着シート30のPETフィルム10側の面にはさらに印刷下地層50を形成する。完成したコピー防止用紙1の断面構造を模式的に描くと、図1に示すようである。
ここで、印刷下地層50は、インキなどの定着性を良くするために設けられるもので、PETフィルム10の上に、プライマーコートとしてウレタン系ベヒクルをコーティングし、その上にPVA、シリカ、界面活性剤、水の4種を混合した組成液をコーティングすることで形成する。この印刷下地層50とPETフィルム10は透明であるため、この2層の下にあるアルミ蒸着層20のアルミ蒸着面は透けて見えるようになっている。
上述の用紙を例えばA4サイズに裁断し、さらに印刷下地層50の上に地模様として図2のように白い波線51を一定間隔で表面全体に印刷する。この波線51は例えば波長約20mm、振幅約2mm、線幅約0.3mmで、用紙の横方向に端から端まで連続して印刷されている。用紙の縦方向には、多数の波線51が等間隔をおいて並び、この間隔は印刷される文字に対して2〜3本が重なる程度の間隔(例えば1〜2mm程度)とするのが好ましい。
次に、本実施形態のコピー防止用紙1の使用方法を説明する。コピー防止用紙1に、例えばレーザプリンタにて黒色トナーを使って住所録を印刷したとする(印刷原本)。本実施形態のコピー防止用紙には地模様として無数の波線51が印刷されているため、この印刷原本では波線51群の上に住所情報を構成する文字・記号等が重なるように印刷される。
従来のコピー防止用紙1を使用した印刷原本では、書面を見る角度によっては、アルミ蒸着面による反射によって眩しく感じ、文字等を読取りにくい場合があった。
しかし、本実施形態のコピー防止用紙1を使用した印刷原本では、アルミ蒸着面に重ねて波線51群が印刷されているため、金属色の反射が抑えられるので、眩しさが和らげられて読み易くなる。しかも、その波線51は、白色インクで印刷されているため文字の背景が白色がかって灰色に見え、黒色の文字とのコントラストによって文字等の視認性が良くなる。なお、上記の印刷原本の見え方を図2に模式的に描いた。この図2において、アルミ蒸着面は細い格子状のハッチングを付して表してある。
一方、この印刷原本をコピー機で複写して複写物を作成したとする。印刷原本のうち波線51及び印刷された文字・記号部分を除いた背景部分はアルミ蒸着面であるから、複写物では黒く現れる。また、波線51群はそのまま白い波線として現れ、印刷された文字・記号もそのまま黒く現れる。この複写物の全体の見え方は図3に模式的に描いた。
このように、印刷原本に印刷されている文字・記号等は、背景と同じ黒色であるから、背景から浮き出ることはない。なお、文字・記号等を構成する線のうち、波線51の上に乗っている(波線51と線が交差している)部分は、文字・記号等は、波線51が白色であることから、その部分では波線51と明瞭に区別される。ところが、波線51は線状をなしているから、文字・記号を構成する線との交差部分だけが区別されることになり、結局、文字・記号を構成する線は所々で分断されたかのように観察され、結局、文字・記号として判読することはできない(図4参照)。
一方、コピー条件によっては、複写物の背景(アルミ蒸着面がコピーされた部分)が真っ黒ではなく、僅かに濃度が低い黒又は黒色に近い有彩色で複写されてしまうことがある。この場合には、文字・記号を構成する真っ黒な線と、背景との濃度差によって文字・記号の線がうっすらと見えることがある。仮に、線模様51を形成していない従来のコピー防止用紙によると、図5のように見えてしまうから、文字「あ」を判読できてしまうことがある。
しかしながら、本実施形態のコピー防止用紙では、表面に無数の波線51が印刷されているから、複写物においても背景色とその波線51との濃度差によって波線51(線模様)が見えることになる。線模様と文字・記号等とは重ねて印刷されている状態にあるから、うっすらと観察される文字・記号等は、図6に示すように、あたかも線模様を透かして見るような状態となる。このため、文字・記号等の線の輪郭が濃度差によって部分的に観察されるとしても、それは多数の波線51(線模様)によって邪魔されるために輪郭が繋がって観察されず、結局、文字・記号等として判読することが極めて困難になる。
このように本実施形態によれば、印刷原本において文字・記号等の判読性を高めながら、複写物において背景の濃度が薄くなったとしても、文字・記号等の判読性を大きく低下させることができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態では、地模様として白い波線51を印刷したが、波線以外の線模様でもよい。例えば網点で形成することで濃淡を調節できる黒色の文字列や図7に示す絣模様に類似した線模様や(その複写物を図8に示す)、単なる格子模様を印刷しておいてもよい。
(2)地模様を印刷する箇所は、予めコピー防止用紙の全面に印刷しておいてもよいし、複写を防止したい印刷情報を印刷する箇所が予め決まっている場合は、その部分のみに地模様を印刷してもよい。
(3)本実施形態では、複写を防止したい情報として住所をプリンタにて印刷した例を示したが、それ以外の複写を防止したい印刷情報を印刷したコピー防止用紙に適用できることはもちろんである。
(4)本実施形態では、印刷下地層はPVAを主体とした溶液をコーティングして形成したが、これは適用する印刷方式に応じた印刷下地層とすればよい。
(5)本実施形態では、アルミ蒸着シートに上質紙をラミネートしているが、これに限らず、アルミ蒸着シートの基材シートが印刷時等の取り扱いに適当な強度、柔軟性等を有している場合には、必ずしも上質紙をラミネートする必要はない。
(6)本実施形態では、白色の線模様を1種類だけ形成したが、これに加えて同色又は他の色(濃度の異なる白系或いは黒色)の地模様を重ねて形成してもよく、これによりさらに複写物における文字・記号等の判読性を低下させることができる。
本発明の一実施形態に係るコピー防止用紙の層構造を表す断面図 本実施形態のコピー防止用紙に印刷した状態を示す平面図 印刷原本を複写した複写物を示す平面図 複写物における文字の拡大部分を示す拡大平面図 従来のコピー防止用紙を複写した複写物において背景の濃度が低い場合の文字の拡大部分を示す拡大平面図 複写物において背景の濃度が低い場合の文字の拡大部分を示す拡大平面図 地模様を異ならせた他の実施形態を示すコピー防止用紙の平面図 地模様を異ならせた他の実施形態を示すコピー防止用紙を複写した複写物の平面図
符号の説明
10…PETフィルム
30…アルミ蒸着シート
50…印刷下地層
51…波線

Claims (5)

  1. 基材シートにアルミニウムを蒸着してなるアルミ蒸着シートに、印刷適性を有する印刷下地層を重ね合わせてなるコピー防止用紙において、前記印刷下地層には地模様が印刷により形成されていることを特徴とするコピー防止用紙。
  2. 前記地模様は線模様によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコピー防止用紙。
  3. 前記地模様は文字列によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコピー防止用紙。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載のコピー防止用紙において、前記地模様は白色系インクによって形成されていることを特徴とするコピー防止用紙。
  5. 請求項4に記載のコピー防止用紙において、前記地模様は白色系インクにより形成されたものと、黒色インクにより形成されたものとが重ねられていることを特徴とするコピー防止用紙。
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