JP2009061372A - 一酸化炭素選択酸化触媒、及び該触媒を用いた水素中の一酸化炭素の除去方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 細孔とこの細孔を区切る0.1nm〜1nmの厚さを持つ細孔壁とを備えたメソ多孔体と、前記細孔内に備えられたナノ粒子状の白金触媒とを備えたことを特徴とする一酸化炭素選択酸化触媒によって達成される。
【選択図】 図1
Description
この問題の解決には、改質ガスを燃料電池に供給するに際し予めCOを選択的に低減する方法が有効である。このとき、COの濃度は、少なくとも100ppm以下、望ましくは10ppm以下にすることが必要であると言われている。
COの酸化反応は式1に示すような単純な反応であるが、大過剰の水素中で行う反応であるため式2に示す水素の酸化反応も同時に起こり得る。水素の消費は燃料電池の発電効率の低下に直結するため、水素に優先してCOを選択的に酸化させる高いCO選択性が要望される。
特許文献1では中心細孔直径が1〜5nmである多孔体に貴金属を細線状に形成させた高活性、高安定性な貴金属触媒を見出している。
また、北海道大学福岡教授らは、メソ細孔シリカ担持白金ナノ粒子・ナノ細線触媒が水素中の微量のCOを高活性かつ選択的に酸化除去し得る、優れたPROX(Preferential Oxidation Catalyst)活性を有する事を見出している(非特許文献1)。本触媒のCO選択性は極めて優れたものであるが、白金の担持量は5質量%と高く、今後の実用化を進める上で白金担持量の削減は重要な課題であった。
(1) 細孔とこの細孔を区切る0.1nm〜1nmの厚みの細孔壁とを備えたメソ多孔体と、前記細孔内に備えられたナノ粒子状の白金とを備えたことを特徴とする一酸化炭素選択酸化触媒。
(2) 前記メソ多孔体が、メソポーラスシリカであることを特徴とする(1)に記載の一酸化炭素選択酸化触媒。
(3) 前記メソポーラスシリカの平均細孔直径が1nm〜15nmであることを特徴とする(2)に記載の一酸化炭素選択酸化触媒。
(5) 水素ガスを主成分とし、微量の一酸化炭素を含有する改質ガスへ酸素ガスを混入しながら(1)〜(4)のいずれか一つに記載の一酸化炭素選択酸化触媒に接触させて一酸化炭素を10ppm以下に低減する改質ガス中の一酸化炭素の酸化方法。
(6) 反応温度が0℃〜200℃、O2/CO=0.5〜1である(5)に記載の改質ガス中の一酸化炭素の酸化方法。
本発明の一酸化炭素選択酸化触媒は、無機骨格を有する多孔体とその細孔内に形成されたナノ粒子状の白金粒子から構成される。
本発明における多孔体の平均細孔直径は1nm〜15nmが好ましく、2.5nm〜7nmが最も好ましい。平均細孔直径が1nm未満である場合は、細孔の平均の大きさが吸着させる白金粒子の大きさよりも小さくなることが多くなるために、白金粒子が細孔内に吸着しにくくなる。また平均細孔直径が15nmを超える場合は、白金粒子の比表面積が減少し、充分な触媒活性が発揮されない。
図1には、細孔10の平均細孔直径(D)、XRDパターンの(100)の面間隔d100、及び細孔壁20の厚さLの関係を示す模式図を示した。細孔10の間は、細孔壁20によって、それぞれ区切られている。本発明における多孔体の細孔壁の厚さは、下記式3により算出することができる。
本発明における多孔体は、そのX線回折パターンにおいて1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークを有することが好ましい。X線回折ピークはそのピーク角度に相当するd値の周期構造が試料中にあることを意味する。したがって、1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークがあることは、細孔が1nm以上の間隔で規則的に配列していることを意味する。
X線回折パターンは全自動X線回折装置(RINT ULTIMA II、理学電機株式会社製)により測定することができる。
多孔体を構成し得るその他の無機系骨格としては、非Si系のジルコニア、チタニア、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化タングステン、酸化スズ、酸化ハフニウム、アルミナ等の無機酸化物、あるいはそれらの無機酸化物からなる基本骨格中に上記のシリケート骨格に付加する原子を組み込んだ複合酸化物が挙げられる。
上記多孔体は界面活性剤を鋳型として用いて縮重合し、その後、界面活性剤を除去することによって得ることができる。
本発明において多孔体を形成するための鋳型として使用される界面活性剤は、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性のうちのいずれであってもよく、具体的には、アルキルトリメチルアンモニウム(好ましくはアルキル基の炭素数が8〜18のアルキルトリメチルアンモニウム)、アルキルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム、ベンジルアンモニウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物あるいは水酸化物の他、脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤、一級アルキルアミン等が挙げられる。
また、本発明においては、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸とソルビタンとのエステル、あるいはこれらのエステルにポリエチレンオキサイドが付加した化合物を用いることができる。このような界面活性剤としては、TritonX−100、アルドリッチ)、ポリエチレンオキサイド(20)ソルビタンモノラウリレート(Tween20、アルドリッチ)、ポリエチレンオキサイド(20)ソルビタンモノパルミテート(Tween40)、ポリエチレンオキサイド(20)ソルビタンモノステアレート、ポリエチレンオキサイド(20)ソルビタンモノオレート(Tween60)、ソルビタンモノパルミテート等が挙げられる。本発明においては、上記の界面活性剤のうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記界面活性剤を用いて上記の骨格成分を縮重合させる場合、溶媒として水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合物等を使用することができる。また、反応に用いる骨格成分と界面活性剤とのモル比(骨格成分/界面活性剤比)は好ましくは60以上であり、より好ましくは90以上であり、さらに好ましくは120以上である。骨格成分/界面活性剤比を前記の範囲内とすると、得られる多孔体細孔径が小さくなるとともに、細孔壁厚が厚くなり、また細孔容積が小さくなる傾向にある。
本発明においては、上記の縮重合反応の後、得られた多孔体前駆体に対して水熱処理を行うことが好ましい。水熱処理を行うと、界面活性剤除去後の多孔体の強度及び構造規則性が向上し、細孔安定性及び細孔径分布の均一性に優れた多孔体が得られる傾向にある。
焼成による方法を用いる場合、多孔体前駆体を通常300℃〜1000℃、好ましくは400℃〜700℃に加熱し、通常30分以上、好ましくは1時間以上保持することによって界面活性剤を除去することができる。なお、上記の焼成は空気を流通させた雰囲気で行うことができるが、多量の燃焼ガスが発生するため、焼成初期は窒素等の不活性ガスを流通させた雰囲気で行うことが好ましい。
本発明において、多孔体の細孔内に白金粒子を形成する際に用いる原料化合物としては特に制限されないが、例えば、白金の塩又は錯塩を用いることができる。より具体的には、塩化白金酸等が挙げられる。
製造例1
(多孔体の合成)
粉末ケイ酸ソーダ(SiO2/Na2O=2.00)を700℃で6時間、空気中で焼成してジケイ酸ソーダ(δ−Na2Si2O5)の結晶とし、この結晶50gを水500ml中に分散させて3時間攪拌した後、濾過により固形分を回収してカネマイト結晶を得た。このカネマイト結晶の乾燥重量換算で50g相当を、乾燥させずに0.1Mヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド水溶液1000mlに加えて分散させ、70℃で3時間加熱攪拌した。その後、2N塩酸を用いて分散液のpHを8.5とし、さらに70℃で3時間加熱攪拌した。分散液を室温まで放冷した後、分散液中の固形分を濾取し、1000mlのイオン交換水に分散させて攪拌した。この濾過と分散・攪拌とを5回繰り返した後、固形分を60℃で24時間乾燥し、窒素ガス中、450℃で3時間加熱し、さらに空気中、550℃で6時間焼成することによりメソポーラスシリカAを得た。
メソポーラスシリカAの平均細孔直径は窒素の平衡吸着の結果からBJH法により算出した。また、細孔壁の厚さは、上記式3により求めた。その結果、メソポーラスシリカAの平均細孔直径は2.65nm、細孔壁の厚さは0.63nmであった。
(多孔体への白金粒子の導入)
白金などの貴金属は資源の枯渇が問題になっている。白金需要のうちで触媒の占める割合は27.3%である。白金の供給は南アメリカ、ロシア、ドイツ、米国から輸入に頼っており、南アメリカが74%を占めている。これらの背景から触媒白金量の低減化は非常に重要な問題である。従来の知見では、白金量は少なくとも5質量%程度は必要であると言われている。そこで、本実施形態では、白金量を1質量%として検討を行った。
一方、50mlナス型フラスコに塩化白金酸六水和物(H2PtCl6・6H2O)80mgと水100mlとを入れて混合し、塩化白金酸水溶液を調製した。
このようにして得られた分散液と塩化白金酸水溶液とを混合して24時間攪拌した。その後、40℃に加熱しながらエバポレータを用いて水を留去し、さらに25℃、1×10−4mmHgの条件下で24時間真空脱気して水を完全に除去した。
(白金ナノ粒子触媒の形成)
次に、得られた残留物を乾燥水素で還元することにより本発明の一酸化炭素選択酸化触媒Aの1.9g(Pt担持量:1質量%)を得た。透過電子顕微鏡観察により平均粒径2.5nmの白金粒子が細孔に沿って一定の間隔で並んでいる様子が観察された。
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドの代わりにドコシルトリメチルアンモニウムブロマイドを使用する以外は製造例1と同様にしてメソポーラスシリカBを得た。続いてメソポーラスシリカBの細孔内に製造例1と同様の操作を行い白金ナノ粒子形成させ、本発明の一酸化炭素選択酸化触媒Bの1.8g(Pt担持量:1質量%)を得た。透過電子顕微鏡観察により平均粒径4nmの白金粒子が細孔に沿って一定の間隔で並んでいる様子が観察された。メソポーラスシリカBの平均細孔直径、及び細孔壁の厚さは、それぞれ3.96nm、0.34nmであった。
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド4.63gにイオン交換水65mlを加え、50℃で撹拌し溶解させた。ここに、ケイ酸ソーダ水溶液(29.2%SiO2含有)を6.4ml加え5分間撹拌した。1規定の硝酸で前記混合液のpHを10に調整した。反応溶液をポリプロピレン(PP)ボトルへ移し、水浴で80℃、8時間保持した後、室温に戻し15時間保持した。分散液中の固形分を濾取し、1000mlのイオン交換水に分散させて攪拌した。この濾過と分散・攪拌とを5回繰り返した後、固形分を60℃で24時間乾燥し、空気中で500℃で12時間焼成し、メソポーラスシリカC(平均細孔直径:2.5nm、細孔壁の厚さ:0.62nm)を得た。
メソポーラスシリカCの細孔内に製造例1と同様の操作を行い白金ナノ粒子形成させ、本発明の一酸化炭素選択酸化触媒Cの2.0g(Pt担持量:1質量%)を得た。透過電子顕微鏡観察により平均粒径2.4nmの白金粒子が細孔に沿って一定の間隔で並んでいる様子が観察された。
Pluronic P123(EO20PO70EO20、BASF)4g、36wt%塩酸24.3g、イオン交換水105gを混合し30分間室温で撹拌した。混合溶液にTEOS 8.535gを加え5分間室温で撹拌した。溶液をPPボトルに移し、35℃で24時間撹拌した後、80℃で24時間加熱静置した。懸濁液を水で洗浄しながら吸引濾過し、白い粉末を得た。粉末を500℃で12時間焼成し、メソポーラスシリカDを得た。続いてメソポーラスシリカDの細孔内に製造例1と同様の操作を行い白金ナノ粒子形成させ、一酸化炭素選択酸化触媒Dの1.8g(Pt担持量:1質量%)を得た。透過電子顕微鏡観察により平均粒径6.4nmの白金粒子が細孔に沿って一定の間隔で並んでいる様子が観察された。
前記一酸化炭素除去触媒A〜Fを、直径8mmのパイレックスガラス製反応管に石英ウールを入れて、ガラスビーズ1.5gと触媒0.1gを混合して充填し、反応管の外周にヒーターを設置して一酸化炭素除去器を作成した。触媒層の温度は、触媒層に埋設した熱電対でモニタし、前記ヒーターにより触媒層の温度を調節した。
触媒層は反応開始前に、水素下200℃で2時間前処理を行った後、室温まで冷却することで活性化を行った。
なお反応中には、石鹸膜流量計で所定の流量が流れているのか確認を行った。
触媒層温度を25℃〜200℃に変化させて一酸化炭素選択酸化反応を行った際の、反応管出口での一酸化炭素濃度を、検出器としてTCD(熱伝導度型検出器)を搭載したガスクロマトグラフによって測定した結果を表2に示した。
これに対し、実施例1〜3に示した白金担持量1質量%の触媒A〜Cでは、O2/COモル比が1.0の条件でも触媒層の温度が約25℃〜200℃の間の非常に広い温度範囲で一酸化炭素濃度を10ppm以下まで除去することが可能となった。O2/COモル比が1.0と、酸化剤の添加量を抑えることにより水素の損失を極めて少量にすることができる。
また、これまでメソポーラスシリカを担体としたPROX触媒は高価な白金を5質量%程度担持しなければならなかったが、本実施形態によれば、担持量を1質量%にまで軽減することができた。
Claims (6)
- 細孔とこの細孔を区切る0.1nm〜1nmの厚さを持つ細孔壁とを備えたメソ多孔体と、前記細孔内に備えられたナノ粒子状の白金とを備えたことを特徴とする一酸化炭素選択酸化触媒。
- 前記メソ多孔体が、メソポーラスシリカであることを特徴とする請求項1に記載の一酸化炭素選択酸化触媒。
- 前記メソポーラスシリカの平均細孔直径が1nm〜15nmであることを特徴とする請求項2に記載の一酸化炭素選択酸化触媒。
- 前記白金の担持量が、メソポーラスシリカに対して、0.05質量%〜2質量%であることを特徴とする請求項2または3に記載の一酸化炭素選択酸化触媒。
- 水素ガスを主成分とし、微量の一酸化炭素を含有する改質ガスへ酸素ガスを混入しながら請求項1〜4のいずれか一つに記載の一酸化炭素選択酸化触媒に接触させて一酸化炭素を10ppm以下に低減する改質ガス中の一酸化炭素の酸化方法。
- 反応温度が0℃〜200℃、O2/CO=0.5〜1である請求項5に記載の改質ガス中の一酸化炭素の酸化方法。
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