JP2009061369A - 液体混合物の分離膜 - Google Patents

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Abstract

【課 題】水とアルコールの液体混合物等の液体混合物よりアルコールを選択的に透過分離するための分離膜を提供すること。
【解決手段】通気性を有する織物、編物等の支持体上にゼオライトが固定されてなる分離膜であって、ゼオライトがアミノ基を含むシラン化合物とホウ素化合物との反応物と、金属アルコキシドの加水分解物からなるガラス質ゲルを含む皮膜剤によって上記支持体に固定されてなる分離膜。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液体混合物より特定の液体成分を選択的に透過分離するための分離膜に関する。液体混合物としては、水とアルコールの液体混合物などであり、特に水を含むエタノールより水を分離除去するときに有用な分離膜に関する。
さらに詳しくは、本発明は、ゼオライトを塗布法、又は含浸法によって支持体に固着した分離膜を使用することによって、エタノール中に含む水の場合など、選択的に特定の液体成分を透過分離するための分離膜に関する。
近年、地球環境対策としてガソリンにバイオエタノールの配合使用を世界的に推進されており、バイオエタノールの需要が高まっている。バイオエタノールは、水分を含むため、水分離を必要とする場合が多い。
透過分離するための分離膜に古くから分離材として使用されているゼオライトには、A型、N−A型、X型、Y型、ZK−5型,T型,L型等多数の結晶構造のものが存在しているが、ゼオライトを使用してアルコールより水を完全に分離するには、多量のエネルギーを必要とする。そのため近年は、分離材としてゼオライトそのものでなく、ゼオライトの結晶を適宜の多孔質支持体の表面に析出させた分離膜によって、選択的に水を分離する方法が省エネルギー的な面から有望な技術として注目されている。例えば、シリカーアルミナ系ガラス繊維の表面にゼオライトを被覆したフィルター(特開平11−217241号公報)がある。さらにセラミックス、金属体、有機高分子体等の平均気孔径が0.05〜10μm、気孔率が10〜60%程度の多孔質支持体の表面にA型ゼオライト膜を形成した液体混合物分離膜(特開平7−185275号公報、特開2003−210950号公報)が知られており、エタノールと水混合物の分離に用いると、分離効率が高く、透過安定性と化学的安定性に優れることも報告されている。しかし、支持体表面の結晶析出法のゼオライトでは、支持体表面における担持力によって結晶が担持され、ゼオライト結晶間のつながりが弱く、分離膜が損傷され易く、担持むらやピンホ−ルを生じ易い等の問題が残っている。
また、同じく多孔質支持体上に粒子界面を有しない一体形状の膜状に結晶成長したゼオライトにより形成されたゼオライト膜(特開2002−320833号公報)が知られている。この技術では、多孔質ステンレス円盤(直径5cm、細孔径2μm)の上に粒子界面を有しない一体形状のゼオライトを成長させた分離膜が得られるが、この分離膜では結晶の成長時に乱流の発生があると、均一な一体形状のゼオライトが得られないので、析出条件が厳しく、パイプ形状の分離膜の製造には適さない。
一方、アミノ基を含むシラン化合物とホウ素化合物を反応させて得られる反応生成物(国際公開WO2006/129595号公報)が知られており、さらに、この反応生成物に金属アルコキシドや合成樹脂を含む組成物はコーティング剤などに有用であると報告されている。
特開平11―217241号公報 特開平7−185275号公報 特開平2003−210950号公報 特開2002−320833号公報 国際公開WO2006/129695号公報
上述するように、アルコールと水の分離のために、ゼオライトが液体混合物に優れた選択分離性を有することから、支持体にゼオライトを析出させて分離膜とする方法が活用されている。ゼオライト自体の合成は、苛性ソーダとアルミン酸ソーダと水とよりなるA液と、ケイ酸ソーダと苛性ソーダと水とよりなるB液を、苛性ソーダ水溶液に時間をかけて滴下して熟成させて、徐々に昇温して高温に保ち、長時間かけて結晶を形成させるのが一般的である。なお、結晶の形成時に乱流があると、結晶が乱れるので、結晶の析出時に結晶が凝集するので、粉砕して平均粒子を揃えるようにしている。
一方、支持体の表面にゼオライトの結晶粒子を析出する方法では、ゼオライト結晶の凝集粒子を均一に調整することが困難で、凝集粒子間に存在する弱い接合部から剥離し易く、その外に結晶粒子の凝集ムラ、担持力のムラやピンホールが生じて分離膜として重大な欠陥となる。
さらに、ゼオライト自体を一体形状の膜状結晶に成長させて分離膜とする方法では、膜状にゼオライト結晶を一体形状に成長させて得られた成型体は脆くて実用化には問題がある。
そこで、本発明は、上記問題を解決してゼオライトの膜が均一で強固に固定されて、丈夫で軽量な分離膜を提供することを目的とする。
上記課題を達成するために、本発明の基本的構成は、通気性を有する支持体上にゼオライトが固定されてなる分離膜であって、上記ゼオライトは皮膜剤によって上記支持体に固定されてなり、上記皮膜剤はアミノ基を含むシラン化合物とホウ素化合物との反応物と、金属アルコキシドの加水分解物からなるガラス質ゲルを含むことを特徴とする。ゼオライトが、上述した皮膜剤により支持体に固着しているため、ゼオライトが均一で強固に支持体に固定された分離膜を提供することができる。
本発明に係る分離膜においては、上記通気性を有する支持体の素材は、織物、編物、組物であることが好ましく、また、セラミック、金属、若しくは合成樹脂よりなる連続発泡体であることが好ましい。
さらに、上記支持体の形状は、パイプ形状であることが好ましい。
このような支持体の素材、形状であれば、透過分離の効率、分離膜の軽量化、耐久性の点から優れた分離膜を得ることができる。上記ゼオライトは、支持体上に塗布法、又は含浸法によって固着されたものであることが、分離膜の作製上好ましい。
上記アミノ基を含むシラン化合物は、以下の式で表されるものであることが好ましい。
Figure 2009061369
(式中、Rはアミノ基含有の有機基を表し、R’、R”はそれぞれ独立にメチル基、エチル基、プロピル基を表し、nは1〜3から選ばれた整数を表す。)
一方、上記ホウ素化合物は、H3BOであることが好ましい。
このようなアミノ基を含むシラン化合物及び/又はホウ素化合物であれば、効率よく、アミノ基を含むシラン化合物とホウ素化合物の反応物を得ることができる。
上記皮膜剤は、ガラス質ゲルのほかに、合成樹脂及び/又はジオール系化合物をさらに含むことが好ましい。このような皮膜剤であれば、被膜強度をさらに向上させることができる。
また、ゼオライトと皮膜剤の重量比率は、ゼオライト:皮膜剤=1:5〜1:0.1の範囲であることが好ましく、ゼオライトとガラス質ゲルの重量比率は、ゼオライト:ガラス質ゲル=1:3〜1:0.1の範囲であることが好ましい。
皮膜剤及び/又はガラス質ゲルに対するゼオライトの重量比率が上記の範囲であれば、優れた分離効率を達成することができ、被膜強度に優れた皮膜剤でゼオライトを支持体に固着できる。
上記被膜剤には、追加的に最大径6mmの無機質又は有機質のフィラーを配合することが好ましい。無機質又は有機質フィラーを配合することにより、被膜剤のクラックの発生を抑制することができる。
上記の本発明に係る分離膜は、特に水とアルコールを分離するためのものとして用いると、効率よくこれらを分離することができる。
本発明に係る分離膜は、支持体にゼオライトを析出させる上述の従来技術で得られた分離膜と比べて、はるかにゼオライトの固定が均一で、強固で、ゼオライトが支持体から剥離することがない。
また、支持体上に形成されたゼオライトの結晶は均一で、液体混合物の選択分離性に優れており、特に支持体としてガラス繊維を用いた筒状の中空組物を使用したときには、該中空組物の表面にゼオライトを含有するガラス質ゾルを塗布することによって常温でも容易にパイプ形状に成型することができる。
本発明では、支持体上にゼオライトを固着した分離膜にかかる従来技術の問題点であった、ゼオライト結晶の凝集ムラ、支持体による担持力のムラ、ピンホール結晶や剥離等の問題を解決することができる。
さらに、用途的には、軽量化できるので、搬送機関に搭載してエタノールと水とを輸送時に分離することもできる。
本発明に用いる支持体は、繊維から形成される織物、編物、組物であることが好ましい。上記繊維としては、ガラス繊維、セラミック繊維、カーボン繊維、ステンレス繊維又はアラミド繊維を挙げることができる。また、本発明に用いる支持体は、セラミックス、金属、又は合成樹脂による連続発泡体であることも好ましい。支持体の形成するための連続発泡素材としては、シリカ、チッ化ケイ素等のセラミックス、アルミニウム、ステンレス等の金属、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミドやポリウレタン等の合成樹脂を挙げることができる。支持体の素材は分離膜の使用方法などにより適宜選定すればよい。
さらに、本発明に用いる支持体の形状は、パイプ形状であることが好ましい。上記パイプ形状とは、筒状の金属製等の網に組物を被せたり、筒状の金属製等の網に織物、編物、不織布をスパイラル状に巻いたものも含むものである。
とりわけ、ゼオライトを固着するための支持体としては、繊維形状の素材で構成されたパイプ形状の組物が好適で、さらに好ましくはガラス繊維による筒状のパイプ状の中空組物が最もよい。パイプ形状の中空組物としては、直径5mm〜20mm程度の中空部を有する3D組物が適する。
本発明に用いるゼオライトは、A型で、細孔径が0.35〜0.4nmのものであれば、エタノール(分子径0.43nm)と水(分子径0.27nm)の分離が可能である。
また、Y型で、細孔径が0.8nm程度のものであれば、イソプロピルとノールマルプロピルが分離可能である、
ナトリウムイオンを他の金属イオンとイオン交換して、さらに望ましい細孔径に調整することにより分離能力が高まり、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール、アセトン、ミチルエチルケトン、四塩化炭素、トリクロロエチレン等の2種類又はそれ以上の液体混合物の分離に用いることができる。
本発明に係る皮膜剤において、皮膜剤を形成するガラス質ゲルは、アミノ基を含むシラン化合物とホウ素化合物の反応物と、金属アルコキシドの加水分解物からなる。
このアミノ基を含むシラン化合物とホウ素化合物の反応物は、好ましくは水を添加する工程を経ないで、両者を反応させたものであることが好ましい。
アミノ基を含むシラン化合物とホウ素化合物とを混合すると、反応して数分から数十分で透明で粘稠なゾル液となり、その後固化してガラス質ゲルとなる。これは、ホウ素化合物がアミノ基を含むシラン化化合物に溶解し、ホウ素化合物がアミノ基を介して架橋剤として働き、高分子化し、粘稠な液体になり、その後固化してガラス質ゲルになるためであると考えられる。
さらに、上記ゾル液に金属アルコキシドを配合しておけば、ゾル液がゲル化する際に、金属アルコキシドが空気中の水分などにより加水分解し、低級アルコールを発生し、この低級アルコールが揮発し、ガラス質ゲルに連続細孔を発生させる。
すなわち、支持体に上記ゾル液を含浸させたり、支持体表面に上記ゾル液を塗布し、支持体表面をゾル液で被覆し、ゲル化させ被膜を形成させれば、実質的に表裏面を貫通する微細な細孔が多数有するガラス質ゲルの被膜を形成することができる。また、本発明に係る皮膜剤を形成するガラス質ゲルには、金属アルコキシドの加水分解物を含むため、優れた被膜強度も得ることができる。
上記金属アルコキシドは、アミノ基を含むシラン化合物とホウ素化合物との混合に先立って、アミノ基を含むシラン化合物とホウ素化合物の何れか一方又は両方に配合しておいても良く、アミノ基を含むシラン化合物とホウ素化合物とを混合した後、両者の反応が終了する前又は後に、配合しても良い。しかしながらアミノ基を含むシラン化合物とホウ素化合物との反応を効率よく行うためには、両者の反応後に、金属アルコキシドを配合することが好ましい。
この粘稠なゾル液にゼオライトを含ませておいて、ゾル液を支持体に含浸または塗布などして、上記ガラス質ゲルを含む皮膜剤による被膜によって、ゼオライトを支持体に固着することができ、ゼオライトを皮膜剤により支持体に固着させた分離膜を得ることができる。
上記アミノ基を含むシラン化合物は、以下の式で表されるものであることが好ましい。
Figure 2009061369
(式中、Rはアミノ基含有の有機基を表し、R’、R”はそれぞれ独立にメチル基、エチル基、プロピル基を表し、nは1〜3から選ばれた整数を表す。)
ここで、nは2〜3が好ましく、nは3であることがさらに好ましい。
上記アミノ基含有の有機基Rは、モノアミノメチル、ジアミノメチル、トリアミノメチル、モノアミノエチル、ジアミノエチル、トリアミノエチル、テトラアミノプロピル、モノアミノブチル、ジアミノブチル、トリアミノブチル、テトラアミノブチルなどを挙げることができる。
上記アミノ基を含むシラン化合物は、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
上記ホウ素化合物は、H3BOであることが好ましい。このホウ素化合物は、炭素数1〜7のアルコールに溶解したホウ素化合物アルコール溶液にして、アミノ基を含むシラン化合物と混合することが好ましい。
アミノ基を含むシラン化合物とホウ素化合物の反応物における両成分の比率は、アミノ基を含むシラン化合物1モルに対して、ホウ素化合物0.02〜8モルであることが好ましく、0.05〜5モルであることがさらに好ましい。
アミノ基を含むシラン化合物1モルに対して、ホウ素化合物が0.02モル未満では、固化に時間がかかったり、十分に固化せず、皮膜剤を形成しなかったりすることがある。ホウ素化合物が8モル超過ではホウ素化合物がアミノ基を含むシラン化合物に溶解せず残ってしまうことがある。
上記金属アルコキシドは、下式(A)又は(B)で示すことができる。
OR1

O−(M−O)m−R (A)

OR1

1

O−(M−O)m−R (B)

OR1
(式中、Rは、それぞれ独立に同一であっても異なってもよいアルキル基を表し、一部は水素であってもよい。mは1〜30から選択される整数を表し、MはSi、Ti、Zrの群から選択される少なくとも一種の金属を表す。)
上記金属アルコキシドは液体であることが好ましいので、金属MはSi、Tiが好ましい。
上記金属アルコキシドは単量体であっても、縮合物であってもよい。金属アルコキシドが、上式においてmが1の場合である単量体であれば、被膜性を向上させる効果はさほどではないが、粘性が低いため支持体への密着性を向上させることができ、mが2以上である縮合物の場合は、優れた被膜強度を備えた皮膜剤を得ることができ、縮合物を採用する場合、mは3〜10であることが好ましい。
また、Rはメチル基、エチル基、プロピル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
好ましい金属アルコキシドとしては、テトラメトキシシランの単量体、テトラエトキシシランの単量体、テトラエトキシシランの縮合物(5量体)、テトラメトキシシランの縮合物(5量体)、エチルトリエトキシシランの縮合物(5量体)、メチルトリメトキシシランの縮合物(5量体)を列挙することができる。
なお、本発明に係るガラス質ゲルにおいて、アミノ基を含むシラン化合物1モルに対し、金属アルコキシドの加水分解物は、モノマー重量換算で、2〜50モル含有することが好ましく、さらに4〜20モル含有することが好ましい。
金属アルコキシドの加水分解物が上記範囲外の場合、被膜強度が低下することがある。
金属アルコキシドの加水分解物が上記含有量になるように、上記ゾル液に、一種又は二種以上の金属アルコキシドの単量体又は縮合物を配合すればよい。
なお、本発明に係るガラス質ゲルにおいて、皮膜性などの点から金属アルコキシド縮合物の加水分解物100重量部に対し、金属アルコキシド単量体の加水分解物1〜100部重量部含有することが好ましい。
本発明に係る皮膜剤には、ガラス質ゲルのほかに、合成樹脂及び/又はジオール系化合物を更に含むことができる。これにより、ガラス質ゲルの柔軟性を向上でき、クラックの発生の防止することができる。
上記合成樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、及び紫外線硬化樹脂などを挙げることができ、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、ウレタン樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂およびその変性品を例示することができる。その中でも、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール、ビニルエステル樹脂、オリゴビニルエステル、及びオリゴエステルアクリレートが好ましい。また、好ましいジオール系化合物としては、ポリカプロラクトンジオール、1,6ヘキサンジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエステルジオールを挙げることができ、その中でもポリエステルジオールが好ましい。
合成樹脂及び/又はジオール系化合物の配合量は、ガラス質ゲル100重量部に対して、50重量部以下であることが好ましく、2〜30重量部であることが好ましい。
上記範囲超過の場合、皮膜剤に連続孔が形成されないことがあり、分離効率が低下したり、樹脂硬化剤を添加する必要が生じることがあり、上記範囲未満の場合、配合する効果が得られないことがある。
また、本発明に係る皮膜剤は、ガラス質ゲルが含まれているために、耐衝撃性が十分でなく、クラックが発生する場合がある。ガラス質ゲルのクラック発生防止のためには、強化剤としては皮膜剤に、最大径6mmの無機質又は有機質のフィラーを配合することが好ましい。ここで、最大径とは、フィラーの任意方向の最大の長さをいう。無機質又は有機質フィラーとしては、ガラス、マイカ、シリカ、アラミドなどの、ミルドファイバー、バルーン、ビーズ、球状化パウダーや、バクテリアセルロースを離解した乾燥粉末などを挙げることができる。無機質又は有機質フィラーは、被膜剤重量に対し1〜10重量%配合することが好ましい。
10重量%を超える場合、分離性能が低下することがあり、1重量%未満の場合、配合することによる効果が得られないことがある。
上記ゾル液は、炭素数1〜7のアルコール、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、又はブチルアルコールなどの溶剤を用いて支持
体に塗布または含浸に適する濃度に調整して用いてもよい。溶剤でゾル液を希釈して用いるにあたり、事前に上記ホウ素化合物やゼオライトを溶剤で分散させて、ゾル液を調製することが好ましい。
なお、本発明に係る皮膜剤を得るために、水を添加する工程を有しないことも特徴とするが、ガラス質ゲルを含む皮膜剤を得るためには、常温硬化型のハードコートのゾル液として、日東紡績株式会社製の各種の「SSGコート」(商品名)を用いることが好ましい。
上記ガラス質ゲルを含む皮膜剤により、支持体表面にゼオライトを固定するためには、ゼオライトと皮膜剤の比率(重量)は、ゼオライト:皮膜剤=1:5〜1:0.1の範囲であることが好ましく、1:3〜1:0.2の範囲であることがさらに好ましい。また、ゼオライトとガラス質ゲル(すなわち、アミノ基を含むシラン化合物とホウ素化合物との反応物と、金属アルコキシドの加水分解物の合計)の比率(重量)は、ゼオライト:ガラス質ゲル=1:3〜1:0.1の範囲であることが好ましく、1:2〜0.5の範囲であることがさらに好ましい。
ゼオライトの重量が、上記範囲より少ない場合では、ゼオライトの量が少なくなり、または皮膜剤が多くゼライトの細孔が皮膜剤により被覆され、分離効率が低下する傾向がある。また、ゼオライトの含有量が上記範囲より多い場合、ゼオライトが固定不良となり、分離膜の耐久性が低下することがある。
本発明に係る分離膜において、分離効率や分離膜の耐久性の観点から、支持体上の皮膜剤の単位面積あたり重量は、0.5〜30mg/cmであることが好ましく、さらに1〜10mg/cmがより好ましい。また、ゼオライトの単位面積あたり重量は、0.2〜20mg/cmであることが好ましく、0.5〜5mg/cmであることがより好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
<支持体の作製>
下記(1)〜(4)の支持体を作製した。
・支持体(1)(ガラス繊維組物):ECG75 1/2 3.3Sのガラス繊維糸と、ECG75 1/3 3.3Sのガラス繊維糸とを、それぞれ32本を編組機により、内径10mmのパイプ状の組物を作製した。
・支持体(2)(ガラス繊維織物):IPC規格7628タイプのガラス繊維織物を幅2cmのテープに裁断し、直径10mmのステンレス製のパイプ状の網に巻きつけた。
・支持体(3)(金属パイプ):直径10mm、肉厚1mm、気孔率40%の多孔質アルミナパイプ(三井研削砥石社製(商品名)マルチボアロン)を用いた。
・支持体(4)(ウレタンパイプ):ポリウレタンをDMFに溶解し、1〜5μmの亡硝を添加混合して、直径10mmのパイプに塗布して、水凝固法により多孔質のパイプを作製した。
<皮膜剤の調製>
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン8重量部と、ホウ酸1.0重量部の50%イソプロピルアルコール液とを混合し反応させ、反応物を得た。
この反応物にテトラエトキシシラン縮合物(テトラエトキシシランの5量体)17重量部、テトラエトキシシラン単量体1.6重量部を配合し、ガラス質のゾル液を得た。このガラス質のゾル液にエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製JER828)7.4重量部を配合し、さらにイソプロピルアルコールを添加し、固型分20重量%の皮膜剤用ゾル液を得た。
<ゼオライト含有ゾル液の調製>
シナネンゼオミックス社製(商品名)A−010Nを110℃で3時間乾燥し、乾燥したA型ゼオライトを得て、このA型ゼオライトをイソプロピルアルコールに分散させて、A型ゼオライト20重量%含有イソプロピルアルコール液を得た。このA型ゼオライト20重量%含有イソプロピルアルコール液50重量部を、上記皮膜剤用ゾル液100重量部に配合し、実施例1のゼオライト含有ゾル液を調製した。
得られたゼオライト含有ゾル液を平板に塗布し、2日間放置したところ、揮発成分が揮発し、ゲル化し皮膜を形成した。この皮膜において、ゼオライト:皮膜剤の重量比率は、1:2であった。
<分離膜の作製>
上記支持体(1)〜(4)に、実施例1のゼオライト含有ゾル液を含浸又は
塗布し、2日間放置し、ゲル化させ、各支持体にガラス質ゲルを含む皮膜を形成し、分離膜を作製した。なお、ゼオライトを含めた皮膜の単位面積当たりの重量は、6mg/cmであった。
ゼオライト含有ゾル液の調製において、A型ゼオライト20重量%含有イソプロピルアルコール液100重量部を、皮膜剤用ゾル液100重量部に配合した以外は実施例1と同様にして、実施例2の分離膜を作製した。
なお、皮膜において、ゼオライト:皮膜剤の重量比率は、1:1であった。
ゼオライト含有ゾル液の調製において、A型ゼオライト20重量%含有イソプロピルアルコール液100重量部を、皮膜剤用ゾル液20重量部に配合した以外は実施例1と同様にして、実施例3の分離膜を作製した。
なお、皮膜において、ゼオライト:皮膜剤の重量比率は、1:0.2であった。
ゼオライト含有ゾル液の調製において、A型ゼオライト20重量%含有イソプロピルアルコール液100重量部を、皮膜剤用ゾル液400重量部に配合した以外は実施例1と同様にして、実施例4の分離膜を作製した。
なお、皮膜において、ゼオライト:皮膜剤の重量比率は、1:4であった。
<濾過試験評価>
上記実施例1〜4の分離膜の一端を閉鎖し、恒温槽中のエタノール85重量%及び水15重量%の液体混合物に入れ、分離膜の閉鎖した一端から内部を0.1Torrの真空度にして減圧して、エタノールと水を分離し、透過液の水の濃度を比重法により測定した。
測定結果を〔表1〕に示す。
Figure 2009061369
実施例1の被膜剤の調製において、エポキシ樹脂7.4重量部を配合することに換え、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製JER828)6.0重量部、無機質フィラーとしてカットファイバー(フィラメント径10μm、数平均繊維長300μm)1.4重量部を配合した以外は、実施例1と同様にして、支持体(1)を用いて分離膜を作製した。
得られた分離膜は、支持体(1)の実施例1の分離膜に比べ、ほぼ同等の分離性能を有し、曲げ、衝撃に対し、被膜のクラックの発生は格段に抑制できた。

Claims (10)

  1. 通気性を有する支持体上にゼオライトが固定されてなる分離膜であって、
    上記ゼオライトは皮膜剤によって上記支持体に固定されてなり、上記皮膜剤は、アミノ基を含むシラン化合物とホウ素化合物との反応物と、金属アルコキシドの加水分解物からなるガラス質ゲルを含むことを特徴とする分離膜。
  2. 上記通気性を有する支持体が、織物、編物、組物、又はセラミック、金属、若しくは合成樹脂よりなる連続発泡体よりなる請求項1に記載の分離膜。
  3. 上記通気性を有する支持体は、パイプ形状である請求項1又は請求項2に記載の分離膜。
  4. 上記アミノ基を含むシラン化合物は、以下の式で表されるものである請求項1〜3のいずれかに記載の分離膜。
    Figure 2009061369
    (式中、Rはアミノ基含有の有機基を表し、R’、R”はそれぞれ独立にメチル基、エチル基、プロピル基を表し、nは1〜3から選ばれた整数を表す。)
  5. 上記ホウ素化合物が、H3BO3である請求項1〜4のいずれかに記載の分離膜。
  6. 上記皮膜剤は、ガラス質ゲルのほかに、合成樹脂及び/又はジオール系化合物をさらに含む請求項1〜5のいずれかに記載の分離膜。
  7. 上記ゼオライトと上記皮膜剤との比率(重量)が、ゼオライト:皮膜剤=1:5〜1:0.1の範囲である請求項1〜6のいずれかに記載の分離膜。
  8. 上記ゼオライトと上記ガラス質ゲルの比率(重量)が、ゼオライト:ガラス質ゲル=1:3〜1:0.1の範囲である請求項1〜7のいずれかに記載の分離膜。
  9. 上記被膜剤に、追加的に最大径6mmの無機質又は有機質のフィラーを配合する請求項1〜8のいずれかに記載の分離膜。
  10. 上記分離膜が、水とアルコールを分離するためのものである請求項1〜9のいずれかに記載の分離膜。
JP2007229625A 2007-09-05 2007-09-05 液体混合物の分離膜 Withdrawn JP2009061369A (ja)

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