以下、図を参照しながら、この発明のシステム、装置、プログラムの一実施の形態について説明する。以下においては、例えば企業向けに提供するIP電話システムに適用した場合を例にして、この発明の一実施の形態について説明する。
[実施の形態のIP電話システムの全体構成について]
図1は、この実施の形態のIP電話システムの全体構成を説明するための図である。図1に示すように、この実施の形態においては、SIP(Session Initiation Protocol)サーバ10に対して、ハブ20を経由してLAN接続により、端末装置30(1)、30(2)、3(3)、…が接続されるとともに、IP網100を介して端末装置40(1)が接続されて、IP電話システム1が構成されている。また、図1においては、SIPサーバ50に対して、ハブ60を経由してLAN接続により、端末装置が接続するようにされてIP電話システム2が構成されている。
ここで、IP電話システム1は、SIPサーバ10に対してLAN接続される端末装置30(1)、30(2)、3(3)、…と、SIPサーバ10に対してIP網100を介して接続される端末装置40(1)が接続されて構成されているが、端末装置30(1)、30(2)、3(3)、…と、端末装置40(1)とは、同じ内線範囲内に属するものとして扱うことができるようにされる。
すなわち、SIPサーバ10に対してLAN接続される端末装置30(1)、30(2)、3(3)、…は、例えば、1つのビル内に設置されものであり、従来のボタン電話システムを例に取れば、同じ主装置に接続される内線範囲内の電話端末に相当する。これに対して、SIPサーバ10に対してIP網100を介して接続される端末装置40(1)は、例えば在宅勤務の従業者の自宅に配置される端末装置であり、従来であれば内線範囲外の端末装置であった。しかし、この実施の形態のIP電話システム1においては、IP網100を通じてSIPサーバ10に接続されることにより、SIPサーバ10にLAN接続されている端末装置30(1)、30(2)、3(3)、…と同等の位置にある内線の端末装置として位置付けている。
従って、SIPサーバ10にLAN接続されている端末装置30(1)、30(2)、3(3)、…が外線の電話をかける場合には、SIPサーバ10を介してかけるようにするが、端末装置40(1)が外線の電話をかける場合には、IP網100を通じてSIPサーバ10に接続し、SIPサーバ10を介してかけるようにすることになる。
また、図1において点線で示したIP電話システム1内に位置する端末装置間であれば、内線通話を簡単に行うことができるようにされる。従って従来のように、在宅勤務の従業者が自分の会社に外線電話をかけて通話を行うことにより指示を受けたり、会社から在宅勤務の従業者に外線電話をかけて指示を出したりといったことをすることはない。
図1に示したように、IP網100を通じてSIPサーバ10に接続される端末装置40(1)と、SIPサーバ10にLAN接続される端末装置30(1)、30(2)、30(3)、…の間においても、相互に同じビル内において行われる内線電話の場合と同様に、内線番号を指示するだけで、内線通話を行うことができるようにされている。従って、無駄な外線通話料がかかることもなく、スムーズな意思の疎通を図ることができるようになっている。
このように、この実施の形態のIP電話システム1は、SIPサーバと、これにLANあるいはIP網を通じて接続される複数の端末装置とによって構成されるものである。そして、SIPサーバ10は、詳しくは後述もするが、機能としては異なるものの、その位置付けとしては、例えば従来の企業向けボタン電話システムにおける主装置(親機)に対応するものである。また、SPIサーバ10に接続される端末装置30(1)、30(2)、40(1)等は、詳しくは後述もするが、親機であるSIPサーバ10の子機に位置付けることができるものである。以下においては、この発明が適用されたIP電話システム1について詳述する。
図1に示すように、SIPサーバ10は、IP網100と公衆網200との双方に接続するようにされている。IP網100は、インターネットやイントラネットなどのインターネット技術が用いられ、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などが用いられてパケット交換により通信が可能なネットワークである。公衆網200は、従来からのアナログ電話回線、ISDN(Integrated Services Digital Network)、光通信網などのアナログあるいはデジタルの公衆通信網を意味している。
また、端末装置30(1)、30(2)、30(3)、…は、上述もしたように、HUB20を介してLAN接続されるものである。ここでLAN接続は、有線接続でも無線接続でもよい。また、用いられるプロトコルもIEEE(Institute of Electrical Electronics Engineers)802.3(イーサネット(登録商標)型LAN)、IEEE802.5(トークンリンク型LAN)、IEEE802.11、IEEE802.11b、IEEE802.12、あるいはこれらの後継プロトコルや他のプロトコルなど、種々のプロトコルが用いられるものであってもよい。
そして、SIPサーバ10は、レジストラ・サーバ機能とプロキシ・サーバ機能とを備えたものである。すなわち、SIPサーバ10は、レジストラ・サーバ機能により、IP網100、あるいは、IP網とLANとを通じて呼び出す可能性のある端末装置についてのアドレス情報を管理することができるものである。
また、SIPサーバ10は、プロキシ・サーバ機能により、自機の子機からのSIPメッセージを受け取った場合に、このSIPメッセージをレジストラ・サーバ機能により管理されているアドレス情報に基づいて、適切なIPアドレスを有する相手先に転送することができるものである。
また、SIPサーバ10は、自機に接続される子機についてのアドレス情報をも管理し、自機に接続される端末装置からの発呼(発信)及び自機に接続される端末装置への着呼(着信)をそのまま中継するようにする機能をも有し、1つのIP電話システムにおける親機としての機能をも実現するものである。
このように、SIPサーバ10は、いわゆる呼の管理をだけを行うものである。したがって、SIPサーバ10は、従来のボタン電話システムの主装置のように、自機に接続される子機としての各端末装置への通信情報の割り振りや管理、あるいは、自機に接続された子機としての各端末装置に対する細かな制御などは行わない。
なお、この実施の形態のIP電話システム1のSIPサーバ10は、公衆網200にも接続されており、IP網に接続された端末装置との間だけでなく、公衆網200に接続された端末装置との間においても通信回線を接続するようにして、通話を行うことができるようにすることができるものである。
また、図1において、HUB20を介してSIPサーバ10に接続される端末装置30(1)、30(2)、及び、IP網100を介してSIPサーバ10に接続される端末装置40(1)のそれぞれは、パーソナルコンピュータであり、これに電話機能を実現するためのプログラム(ソフトフォンプログラム)を搭載することにより、いわゆるソフトウェアフォン(以下、ソフトフォンという。)として機能することができるようにしたものである。
具体的に、ソフトフォンとしての端末装置30(1)、30(2)、40(1)のそれぞれは、SIP(Session Initiation Protocol)に従って、自己のアドレス情報をSIPサーバに登録する機能を実現すると共に、電話端末としての基本的な機能、すなわち、音声を集音することにより得られたアナログ音声信号をデジタル信号に変換して、これを予め決められた形式のパケットデータにして送信したり、自機宛のパケット化されているデジタル音声信号を受信して、これをアナログ音声信号に変換して出力したりする機能を有するものである。
このため、ソフトフォンである子機30(1)、30(2)、40(1)のそれぞれには、音声を集音して電気信号に変換してパーソナルコンピュータに取り込むようにするためのマイクロホン(送話器)と、送信されてきた音声信号に応じた音声を放音させるためのスピーカ(受話器)を有するいわゆるハンドセット31(1)、31(2)、41(1)が接続するようにされている。
このハンドセット31(1)、31(2)、41(1)は、パーソナルコンピュータである子機30(1)、30(2)、40(1)に設けられた音声信号の入力端子(マイク端子)と音声信号の出力端子(スピーカ端子)とに接続されて用いられるものや、USB(Universal Serial Bus)端子を通じて接続するようにされたいわゆるUSBフォンと呼ばれるものもある。また、ここでは、手で持って使用するハンドセットの場合として説明したが、ヘッドフォンとマイクロホンとからなり、ユーザの頭部に装着して通話を行えるようにするいわゆるヘッドセットと呼ばれるものもある。
なお、IP電話システムには、パーソナルコンピュータに電話機能を実現するソフトウェアを搭載して実現するソフトフォンの他にも、図1において端末30(3)が示すように、IP電話専用端末をSIPサーバ10に接続して利用することももちろんできるようにされる。以下においては、SIPサーバ10の構成例と、ソフトフォン装置である端末30(1)、30(2)、40(1)の構成例とについて具体的に説明する。
[SIPサーバ10の構成例について]
まず、SIPサーバ10の構成例について説明する。図2は、この実施の形態のSIPサーバ10の構成例を説明するためのブロック図である。SIPサーバ10は、図2に示すように、IPインターフェース(以下、IPI/Fと略称する。)101と、パケット分解/生成部102と、LANインターフェース(以下、LANI/Fと略称する。)103と、アドレス管理データベース(以下、アドレス管理DBと略称する。)104と、公衆網インターフェース(以下、公衆網I/Fと略称する。)105と、制御部110とを備えたものである。
制御部110は、この実施の形態のSIPサーバ10の各部を制御するものであり、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)111、ROM(Read Only Memory)112、RAM(Random Access Memory)113がCPUバス114を通じて接続されて構成されたマイクロコンピュータである。
ここで、CPU111は、後述するROM112に記憶保持されているプログラムを実行することにより、各部を制御するための制御信号を生成して各部に供給したり、各部からの情報を処理したりするものである。ROM112は、上述のように、CPU111で実行される種々のプログラムや処理に必要となる種々のデータを記憶保持しているものである。
また、RAM113は、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に、作業領域として用いられるものである。なお、図示しないが、例えば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)やフラッシュメモリーなどのいわゆる不揮発性メモリを備え、電源が落とされても保持しておくべきデータ、例えば、種々の設定パラメータや機能アップのために提供された新たなプログラムなどについても記憶保持することができるようにされている。
そして、IPI/F101は、IP網100との間でデータを送受するようにするためのものであり、IP網100を通じて供給されるパケットデータを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のデータに変換して制御部110に供給したり、制御部110を通じて供給される送信すべきパケットデータを送信用の形式のデータに変換して、これをIP網100に送出したりする。また、この実施の形態の場合には、図1に示したように、IP網100に接続された子機としての端末装置40(1)も、IP網200及びIPI/F101を通じて、このSIPサーバ10に接続するようにされる。
また、LANI/F103は、例えば会社内に形成されるIP電話のためのLANとの間でデータを送受するようにするためのものであり、LANを通じて供給されるパケットデータを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のデータに変換して制御部110に供給したり、制御部110を通じて供給される送信すべきパケットデータを送信用の形式のデータに変換して、これをLANに送出したりする。また、この実施の形態の場合には、図1に示したように、入出力端103aを通じてHUB20が接続され、このHUB20を介して子機としての端末装置30(1)、30(2)、30(3)、…がSIPサーバ10に接続するようにされる。
また、公衆網I/F105は、公衆網200との間でデータを送受するようにするためのものであり、公衆網200を通じて供給されるデータを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のデータに変換して制御部110に供給したり、制御部110を通じて供給される送信すべきデータを送信用の形式のデータに変換して、これを公衆網200に送出したりする。
そして、パケット分解/生成部102は、パケットデータの分解や生成を行うものである。具体的には、SIPサーバ10に対して、LAN接続されている端末装置30(1)、30(2)、30(3)、…や、IP網100を通じて接続されている端末装置40(1)からの公衆網200に接続された端末装置に送信すべきパケットデータは、LANI/F103やIPI/F101を通じて制御部110に受け付けられた後、パケット分解/生成部102においてパケット分解された後に、公衆網I/F105を通じて公衆網200に送出され、目的とする相手先に送信するようにされる。
また、公衆網200に接続された端末装置からのLAN接続されている端末装置30(1)、30(2)、30(3)、…や、IP網100を通じて接続されている端末装置40(1)へのデータは、公衆網I/F105を通じて受け付けられた後、パケット分解/生成部102において、所定の形式のパケットデータとされ、これがIPI/F101、LANI/F103を通じて、LANあるいはIP網100に送出されて、目的とする相手先に送信するようにされる。
なお、IP網100に接続された端末装置40(1)と、SIPサーバ10にLAN接続された端末装置30(1)、30(2)、30(3)、…との間では、パケットデータが送受されるため、パケット分解/生成部102において、パケットの分解や生成は行われることはなく、IPI/F101、LANI/F103において、データ形式が整えられてそのまま送受するようにされる。
そして、アドレス管理DB104は、上述したレジストラ・サーバ機能を実現するために、IP網100やLANに接続され、このSIPサーバ10を通じて呼び出す可能性のある端末装置についてのアドレス情報を記憶保持するものである。具体的には、SIPサーバ10の制御部110は、IPI/F101やLANI/F103を通じて、これらに接続されている種々の端末装置からの登録要求(レジスタ・リクエスト)を受信した場合に、これに含まれるURI(Uniform Resource Identifier)やIPアドレスなどのアドレス情報を抽出し、抽出したアドレス情報をアドレス管理DB104に登録したり、抽出アドレス情報を用いてアドレス管理DB104の登録情報を更新したりする。
このようにして、アドレス管理DB104に登録されて管理される情報が参照され、自機の子機から要求のあった通信先を確実に特定し、その特定した相手先に送信すべき情報(パケットデータ)を転送するようにするプロキシ・サーバとしての機能を実現するようにしている。また、アドレス管理DB104に登録されて管理される情報は、自機に接続された子機への着信の判別などにも用いられる。
ここで、アドレス管理DB104内に形成される管理情報の具体例について説明する。図3は、アドレス管理DB104に形成される管理情報(データベース)の構成例について説明するための図である。SIPサーバ10のアドレス管理DB10には、当該SIPサーバ10の子機としての端末装置30(1)、30(2)、30(3)、…、40(1)などについてのアドレス情報のほか、IP網100に接続された他のIP電話システムの端末装置のアドレス情報をも管理することができるものである。
基本的にアドレス管理DB104に形成される管理情報は、IP網100に接続された端末装置から送信されてくるURI(SIP URI)と、IPアドレスであるが、この実施の形態のSIPサーバ10のアドレス管理DB104には、SIPサーバ10の子機としての端末装置については、端末装置毎に予め付加されているMAC(Media Access Control)アドレス、内線番号、ユーザ名などの情報についても登録することができるようにしている。
そして、この実施の形態のIP電話システム1内の端末装置30(1)、30(2)、30(3)、…や端末装置40(1)からIP電話システム1外のIP網100に接続された端末装置に対して電話をかける場合には、SIPサーバ10は自己のアドレス管理DB104の管理情報に基づいて、目的とする相手先の端末装置に対して、メッセージの転送を行うようにしている。
また、自システムを構成する端末装置に対してかかってきた外線や、自システム内の内線の場合には、SIPサーバ10は、送信されてきたメッセージを受け付けて、これを自システム内に送出するようにしている。
なお、発呼に際して、IP電話番号が用いられる場合には、図1には図示しなかったが、IP網100に接続されているゲートウエイやDNS(Domain Name System)が利用されて、IP電話番号からURIなどが検索されて用いられることになる。相手先から、このIP電話システム1を構成する端末装置に対して、IP電話番号を用いて電話をかける場合においても同様に、IP網100に接続されているゲートウエイやDNSが利用されて、IP電話番号からURIなどが検索されて用いられることになる。
このように、この実施の形態のSIPサーバ10は、パケット分解/生成部102やアドレス管理DB104を備え、SIPサーバ1が接続される種々のネットワークに接続される端末間のメッセージの中継を行うことができるものである。
[端末装置(ソフトフォン装置)の構成例について]
次に、ソフトフォン装置である端末装置30(1)、30(2)、40(1)の構成例について説明する。ここでは、説明を簡単にするため、端末装置30(1)の場合を例にして説明するが、端末装置30(2)、40(1)など、SIPサーバ10に対して子機として接続されるソフトフォン装置である端末装置は、同様に構成されるものである。
図4は、SIPサーバ10に対して子機として接続される端末装置30(1)の構成例を説明するためのブロック図である。図1に示すように端末装置30(1)は、IP網やLANに対して接続するようにするためのインターフェース(以下、I/Fと略称する。)301と、パケット分解/生成部302と、留守番電話制御部303と、リンガ304と、音声データ入出力インターフェース(以下、音声データ入出力I/Fと略称する。)305と、ハードディスクドライブ(以下、HDDと略称する。)306と、内線/外線判別部307と、ディスプレイコントローラ308と、操作入力インターフェース(以下、操作入力I/Fと略称する。)309と、制御部310とを備えたものである。
そして、図4に示すように、音声データ入出力I/F305にはハンドセット31(1)が接続され、ディスプレイコントローラ308にはディスプレイ装置320が接続され、操作入力I/F309にはキーボード装置330が接続されている。
ここで、ディスプレイ装置320は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどの種々の表示素子のものを用いることができるが、この実施の形態においては、例えば、LCDが用いられたものである。また、図4においては、操作入力I/F309に対しては、キーボード装置330が接続されているが、キーボード装置に限らず、例えば、マウスなどと呼ばれるポインティングデバイスなどについてもキーボード装置330と共に接続して利用することもできるようにされている。
制御部310は、この端末装置30(1)の各部を制御するものであり、CPU311、ROM312、例えばEEPROMやフラッシュメモリーなどの不揮発性メモリ314がCPUバス315を通じて接続されて構成されたマイクロコンピュータである。ここでCPU311は、後述もするROM312に記憶保持されているプログラムを実行し、各部に供給する制御信号を形成して、これを各部に供給したり、各部から供される情報を処理したりするものである。
また、ROM312は、上述のように、CPU311によって実行される種々のプログラムや処理に必要になる各種のデータを予め記憶保持するものである。RAM313は、各種の処理において、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に作業領域として用いられるものである。また、不揮発性メモリは、この端末装置30(1)の電源が落とされても保持しておくべきデータ、例えば、各種の設定パラメータや機能追加のために提供された新たな処理プログラムやデータを記憶保持するものである。
また、制御部310は、ROM312、あるいは、不揮発性メモリ314にSIPに従った処理を行ういわゆるSIPユーザ・エージェントとしての機能を実現するためのプログラムが格納されており、このプログラムがCPU311において実行されることにより、各部を制御し、SIPサーバへの自己のアドレス情報の登録機能、すなわち、任意の番号やユーザ名を指定した場合に、これを用いてURIを形成し、このURIと自己のIPアドレスとを対応付けて、SIPサーバに登録を要求するレジスタリクエスト(登録要求)を生成して送信する機能などを実現することができるようにしている。
また、この実施の形態の端末装置30(1)は、自機の親機であるSIPサーバ10に登録する場合には、URIとIPアドレスとに加えて、自機のMACアドレス、内線番号、ユーザ名などの情報も登録することができるようにしている。すなわち、図3を用いて説明したように、SIPサーバ10の子機としての端末装置30(1)は、SIPサーバ10のアドレス管理DBに対して、URI、IPアドレス、MACアドレス、内線番号、ユーザ名を登録するようにする機能を備えている。
さらに、制御部310は、ROM312、あるいは、不揮発性メモリ314にソフトフォン機能を実現するためのプログラムが格納されており、これをCPU311が実行することにより、制御部311が各部を制御し、電話通信を行うようにする機能を実現するようにしている。
以下、この端末装置30(1)の各部について説明する。I/F301は、IP網100やLANを通じて供給される自機宛のパケットデータを受信して、これを自機において処理可能な形式のパケットデータに変換して制御部310に供給したり、制御部310を通じて供給される自機から送出するパケットデータを、IP網100やLANに送出する形式のデータに変換して、これをIP網100やLANに送出したりする機能を実現するものである。
パケット分解生成部302は、パケットデータの分解や生成を行う部分である。従って、I/F301を通じて受け付けた自機宛のパケットデータは、制御部310を通じてパケット分解/生成部302に供給され、ここで分解処理されて制御部310に供給するようにされる。そして、分解されたパケットデータが音声データである場合には、これが後述もする音声データ入出力I/F305を通じてハンドセット31(1)に供給され、ハンドセット31(1)のスピーカ(受話器)を通じて相手先からの音声が放音するようにされる。
また、ハンドセット31(1)のマイクロホン(送話器)を通じて集音された音声信号は、音声データ入出力I/F305を通じてデジタル音声データとして取り込まれ、制御部310を通じてパケット分解/生成部302に供給される。そして、パケット分解/生成部302は、これに供給された音声データをパケット化して、パケットデータを生成し、これをI/F301を通じて送出するようにする。このように、パケット分解/生成部302は、受信したパケットデータの分解処理と、送信する音声データなどのパケット化処理(パケットデータ生成処理)を行うものである。
留守番電話制御部303は、いわゆる留守番電話機能を実現するための種々の制御を行うものである。具体的には、キーボード装置330、操作入力I/F309を通じてユーザから留守番電話機能の実行指示が入力された場合に、これを制御部310が受け付け、留守番電話制御部303に留守番電話機能の実行を設定する。
これにより、留守番電話制御部303は、I/F301を通じて自機宛の着信を検出した場合には、これに自動応答して通信回線を接続するようにし、例えば、不揮発性メモリ314やHDD306に予め用意されている、例えば、「ただいま、席を外しております。御用の方は、発信音の後にメッセージをどうぞ。」などといった留守番機能動作中であることを報知するメッセージをI/F301を送出する。
この後、留守番電話制御部303は、メッセージの録音可能状態になったことを通知する発信音をI/F301を通じて送出するようにし、相手先から送信されてくる音声パケットデータ(留守番用件メッセージ)をI/F301を通じて受信し、これを制御部310を通じてHDD306の所定の記録エリアに記録(録音)するようにする。この場合、パケットデータのまま記録して再生時にパケット分解するようにしてもよいし、パケット分解した状態の音声データを記録するようにしてもよい。
このように、留守番電話制御部330の機能によりHDD306の所定の記録エリアに記録された音声データ(留守番用件メッセージ)は、キーボード装置330、操作入力I/F309を通じて入力されるユーザからの再生指示に応じて、留守番電話制御部303が制御部310を通じて読み出して、これを図示しないが自機が備える再生処理部とスピーカとからなる音声データの再生部に供給して再生したり、あるいは、音声データ入出力I/F305を通じてハンドセット31(1)に供給して、ハンドセット31(1)のスピーカを通じて放音したりすることができるようにされる。
なお、上述もしたように、HDD306記録された留守番メッセージがパケットデータのままである場合には、パケット分解/生成部302の機能により分解されて再生するようにされる。
また、留守番電話制御部303は、留守番用件メッセージをHDD306に記録したときには、図示しない時計回路から現在時刻を取得し、いつ留守番要件メッセージを記録したかについても管理することができ、必要に応じて、管理情報を制御部310、ディスプレイコントローラ308を通じてディスプレイ装置320に供給し、ディスプレイ装置320のLCDの表示画面に管理情報を表示してユーザが確認することもできるようにしている。
このように、この実施の形態の端末装置30(1)の留守番電話制御部303は、留守番電話機能全般を実現するように制御するものである。また、上述の説明からも分かるように、留守番電話機能は、IP電話システム1において共通に実現されるものではなく、子機としての各端末装置30(1)、30(2)、30(3)、…、40(1)のそれぞれ毎に実現される機能である。そして、HDD306のハードディスクは、例えば、数十ギガバイト、あるいは、数百ギガバイトといった記憶容量の大きなものであり、比較的に長い留守番用件メッセージであっても、大量に記録することができるので、従来の留守番機能のように1件当たりの留守番用件メッセージの記録可能時間を制限することもない。
リンガ304は、自機に着信があった場合に、制御部310により制御され、着信をユーザに通知するための着信音を放音するものである。また、リンガ304は、制御部310の制御に応じて、警告音などを放音することもできるものである。
音声データ入出力I/F305は、上述もしたように、制御部310とハンドセット31(1)との間において、音声データの入出力を行うためのものである。具体的には、この端末装置30(1)からハンドセット31(1)に供給する音声データについては、音声データ入出力I/F305において、ハンドセット31(1)に供給する形式の音声データに変換してハンドセット31(1)に出力する。また、ハンドセット31(1)からの音声データは、音声データ入出力I/F305において、端末装置30(1)において処理可能な形式の音声データに変換して制御部310に供給する。
HDD306は、上述もしたように、比較的に大容量のハードディスクを備え、制御部310の制御に応じて、制御部310を介して供給される種々のデータをハードディスクに記録したり、ハードディスクに記録されている種々のデータを読み出して、制御部310に供給したりすることができるものである。このHDD306は、上述もしたように、留守番用件メッセージが記録されるほか、他の種々のデータも記録される。
内線/外線判別部307は、SIPサーバ10を通じて自機に着信があった場合に、当該着信が内線か外線かを相手先から送信されてくる接続要求に含まれる着信先を指定する番号(内線番号や電話番号)の桁数に基づいて判別するものである。この判別結果に基づいて、制御部310は、例えば、ディスプレイコントローラ308及びディスプレイ装置320を通じて、あるいは、リンガ304により放音するようにされる着信音により、自機への着信が内線か外線かを通知することができるようにしている。
また、この実施の形態の端末装置30(1)においては、内線/外線判別部307の判別結果が、内線の場合であっても、また、外線の場合であっても、制御部310は、相手先から送信されてくる相手先(発呼元)の電話番号や名前などの情報をディスプレイコントローラ308、ディスプレイ装置320を通じてユーザに通知するなどのこともできるようにしている。
また、ディスプレイコントローラ308は、制御部310の制御に応じて、ディスプレイ装置320を制御し、ディスプレイ装置320において、制御部310からの情報に応じた種々の情報の表示を行えるようにするものである。また、操作入力I/F309は、キーボード装置330を通じて受け付けた種々の操作入力に応じた情報を制御部310において処理可能な形式のデータに変換して、制御部310に供給するものである。
このように、この実施の形態の端末装置30(1)は、制御部310が各部を制御することによって、電話通信を行うソフトフォンとしての機能を実現すると共に、留守番電話機能などをも実現することができるようにしている。なお、図4において、2重線のブロックで示したパケット分解生成部302、留守番電話制御部303、内線/外線判別部307の各部の機能は、図3に示したように、専用回路部分として構成することもできるが、制御部310のCPU311において実行されるプログラムによって、制御部310の機能として実現することもできるものである。
[アドレス情報のSIPサーバへの登録について]
次に、この実施の形態のIP電話システムにおいて、SIPサーバ10の子機として位置付けられ、ソフトフォンとして機能する端末装置30(1)、30(2)、40(1)において行われるSIPサーバ10へのアドレス情報の登録処理について説明する。
端末装置30(1)、30(2)、30(3)、…などのSIPサーバ10に対してLAN接続される端末装置の場合には、I/F301を通じてLANに接続されると、制御部310はこれを検出し、URIを生成し、このURIと、予め自機に割り振られたIPアドレスと、自機のMACアドレスと、自機に割り振られた内線番号と、ユーザ名とを含む、レジスタリクエスト(登録要求)を生成して、これをI/F301を通じて、LANに送出して、SIPサーバ10に送信する。
この場合、URI以外のIPアドレス、内線番号、ユーザ名は、予め不揮発性メモリ314に記憶保持されている情報であり、また、MACアドレスは、製造時などにおいて、ROM312に記憶保持するようにされている情報である。
このように、例えば端末装置30(1)から送出されるレジスタリクエストは、SIPサーバ10のLANI/F103を通じて受信され、制御部110の制御により、SIPサーバ10のアドレス管理DB104に、図3に示した態様でアドレス情報が登録するようにされる。
また、SIPサーバ10の子機として機能する端末装置であって、IP網100に接続された端末装置40(1)の場合にも、基本的にはLAN接続される端末装置30(1)などと同様にして、アドレス情報の登録が行われるが、IP網100に接続された端末装置であるために、IP網100を通じてアドレス情報の登録が行うようにされる。
すなわち、端末装置40(1)は、自機のI/F301を通じてIP網100に接続された後、アドレス登録を行うことを指示するユーザからの所定の操作入力を受け付けると、端末装置40(1)の制御部310は、予め登録されている自機の親機にあたるSIPサーバ10のIPアドレスを用いて、IP網100を通じてSIPサーバ10との間に通信回線(通信用セッション)を開設(接続)するようにする。
そして、端末装置40(1)の制御部310は、上述した端末装置30(1)の場合と同様に、URIを生成し、このURIと、予め自機に割り振られたIPアドレスと、自機のMACアドレスと、自機に割り振られた内線番号と、ユーザ名とを含む、レジスタリクエスト(登録要求)を生成して、IP網100を通じて通信用セッションが開設されたSIPサーバ10に送信する。
この場合においても、URI以外のIPアドレス、内線番号、ユーザ名は、予め不揮発性メモリ314に記憶保持されている情報であり、また、MACアドレスは、製造時などにおいて、ROM312に記憶保持するようにされている情報である。
そして、SIPサーバ10は、IP網100通じて送信されてくる自機の子機である端末装置40(1)からの自機宛のレジスタリクエストをIPI/F101を通じて受信し、SIPサーバ10の制御部110を通じてアドレス管理DB104に、図3に示した態様でアドレス情報を登録する。
なお、IP電話システム1に属さない一般のIP電話端末からのレジスタリクエストの場合、SIPサーバ10のアドレス管理DBには、URIとIPアドレスが登録するようにされる。また、SIPサーバ10において、自機の子機としての端末装置と、それ以外の端末装置とでは、例えば、SIPサーバ10に子機情報を予め登録しておき、この登録情報をも含むレジスタリクエストを形成することによりSIPサーバ10において区別することも可能である。また、自機の子機としての端末装置と、それ以外の端末装置とで、レジスタリクエストの情報が異なるようにしておくことにより、SIPサーバ10において区別可能にすることもできる。
このようにして、SIPサーバ10の子機である端末30(1)、30(2)、30(3)、…、40(1)などは、自機のアドレス情報を親機であるSIPサーバ10のアドレス管理DB104に登録することができる。また、その他の一般のIP電話端末もまた、IP網100を通じて、自己のアドレス情報をSIPサーバ10のアドレス管理DBに登録することができる。
SIPサーバ10は、自機のアドレス管理DB104に登録されたアドレス情報を、自機の子機のアドレス情報と、それ以外の一般のIP電話端末のアドレス情報とを、例えば、内線番号やユーザ名の有無などに応じて区別して管理することが可能である。もちろん、レジスタリクエストの受信時において、自機の子機のレジスタリクエストと、それ以外の一般のIP電話端末からのレジスタリクエストとを区別して、アドレス管理DB104への登録時にそれらに区別可能な区分情報などを付加して登録することにより、区別できるようにすることもできる。また、自機の子機のアドレス情報と、それ以外の一般のIP電話端末のアドレス情報とを、異なるアドレス管理DBで管理するようにしてもよい。
[実施の形態の端末装置のソフトフォンとしての機能について]
次に、この実施の形態のIP電話システム1の端末装置30(1)、30(2)、40(1)のソフトフォン機能を用いて、目的とする相手先に電話をかける場合の処理と、自機への着信に応答する場合の処理について説明する。
[目的とする相手先に電話をかける場合の処理について]
図5は、この実施の形態のIP電話システム1の端末装置30(1)、30(2)、40(1)において、ソフトフォンプログラムが実行された場合に表示されるソフトフォン画面の一例を説明するための図である。
自機から電話をかける場合には、端末装置のユーザは、キーボード装置330を通じて所定の操作を行うことにより、ソフトフォンプログラムを実行すると、制御部310は、ROM312や不揮発性メモリ314に記憶保持されている情報に基づいて、ディスプレイコントローラ308を通じて、ディスプレイ装置320の表示画面320Gに、図5に示したようなソフトフォン画面を表示する。
図5に示したソフトフォン画面は、電話番号や内線番号を入力するためのテンキー表示G10と、使用可能な複数の外線(この実施の形態においては4つの外線)の内、使用する外線を選択したり、使用されている外線を通知するための外線ボタン表示G11、G12、G13、G14と、外線の相手先の表示欄G15、内線を利用することを選択したり、内線着信があることを通知する内線ボタン表示G21と、内線の相手先の表示欄G22と、例えば、保留ボタン表示やリダイアルボタン表示などの種々のファンクションボタン表示などからなるファンクションボタン表示群G30を有している。
外線ボタン表示G11、G12、G13、G14、及び、内線ボタン表示G21は、発信するためにユーザによって選択されたり、あるいは、着信がある場合には、反転表示するようにされたり、点滅表示するようにされたりして、使用中であることが示すようにされる。例えば、図5の場合には、外線ボタン表示G11が反転表示するようにされ、外線1が使用状態にあることが示されている。
そこで、この実施の形態の端末装置30(1)、30(2)、40(1)から外線をかける場合には、まず、未使用の外線の中から使用する外線を選択するために、目的とする外線に対応する外線ボタン表示を選択する。この選択は、例えば、端末装置に接続されているマウスなどのポインティングデバイスを用いてポインタを目的とする外線ボタン表示上に位置付け、クリックすることにより選択したり、ソフトフォン画面の各ボタンに対応付けられるキーボード装置のキーボタンを操作することにより選択したりする。
このようにして、使用する外線を選択した後に、テンキー表示G10のテンキーをマウスなどのポインティングデバイスを通じて、あるいは、テンキー表示G10に対応付けられるキーボード措置のキーボタンを操作することにより電話番号(10桁)を入力する。これにより、制御部310は、目的とする相手先との間に通信回線を接続するようにするための接続要求を形成し、これをI/F301を通じて、自機の親機に相当するSIPサーバ10に送信する。
SIPサーバ10は、上述もしたように、例えば、外部のDNSサーバなどの機能を用いて、目的とする相手先のURIを特定し、この特定したURIから自己のアドレス管理DB104を参照して、目的とするIPアドレスを特定する。その特定したIPアドレスを用いて接続要求を転送し、相手先からの応答を待って目的とする相手先との間に通信回線(通話用セッション)を開設し、通話をできるようにする。通話終了後においては、切断要求とその応答とを送受する所定の手続きを行って、通信回線(通話用セッション)を開放する。
このようにして、この実施の形態の端末装置30(1)、30(2)、40(1)は、ソフトフォン機能によりIP網100上の他のシステムの端末装置に電話をかけることができるようにされる。なお、上述もしたように、この実施の形態の端末装置30(1)、30(2)、40(1)は、IP網100上の他のシステムの端末でなく、公衆網200上の端末に対しても、SIPサーバ10を介して電話をかけることも可能である。
また、この実施の形態の端末装置30(1)、30(2)、40(1)において、内線をかける場合には、まず、内線ボタン表示G21を選択する。この選択は、外線ボタン表示の選択の場合と同様に、例えば、端末装置に接続されているマウスなどのポインティングデバイスを用いて表示ポインタを内線ボタン表示G21上に位置付け、クリックすることにより選択したり、ソフトフォン画面の各ボタンに対応付けられるキーボード装置のキーボタンを操作することにより選択したりする。
このようにして、内線を選択した後に、テンキー表示G10のテンキーをマウスなどのポインティングデバイスを通じて、あるいは、テンキー表示G10に対応付けられるキーボード措置のキーボタンを操作することにより内線番号(例えば、3桁あるいは4桁)を入力する。これにより、制御部310は、目的とする自システム内の子機との間に通信回線を接続するようにするための内線接続要求を形成し、これをI/F301を通じて、自機の親機に相当するSIPサーバ10に送信する。
SIPサーバ10は、内線接続要求を受信したときには、これを自システム内の全ての子機に中継する。ここで自システム内の全ての子機は、アドレス管理DB104に登録された自システム内の全ての子機を意味し、HUB20を通じてLAN接続される端末装置30(1)、30(2)、30(3)、…だけでなく、IP網200上の子機40(1)をも含んでいる。
そして、相手先からの応答を待って目的とする相手先との間に通信回線(通話用セッション)を開設し、通話をできるようにする。通話終了後においては、切断要求とその応答とを送受する所定の手続きを行って、通信回線(通話用セッション)を開放する。
このようにして、この実施の形態の端末装置30(1)、30(2)、40(1)は、ソフトフォン機能により、自システム内のどの端末装置に対しても内線電話をかけることができるようにされる。従って、例えば、在宅勤務の従業者の自宅に設置された端末装置である端末装置40(1)からであっても、SIPサーバ10に対してHUB20を通じてLAN接続された端末装置30(1)、30(2)、30(3)、…に対して、IP電話システム1内において閉じた内線通話回線を接続して内線通話を行うようにすることができる。この場合、内線通話であり、電話会社側のシステムは一切使用しないので、通話コストがかかることもない。
なお、ここでは、使用可能な外線は4つであるものとして説明した。すなわち、異なる電話番号の4つの外線を、このIP電話システム1の子機としての端末装置30(1)、30(2)、30(3)、…、40(1)は用いることができるようにされている。従って、各端末装置30(1)、30(2)、30(3)、…、40(1)は、異なる外線電話番号を不揮発性メモリ314に記憶保持し、これを自機に割り当てられた外線番号として認識することができるようにしている。
[自機への着信に応答する場合の処理について]
次に、自機への着信に応答する場合の処理について説明する。上述もしたように、SIPサーバ10は、いわゆる呼の管理を行うだけであるので、例え自機に接続された子機に対する着信であっても、その子機だけを制御することは行わず、自システム内の全ての子機に対して、接続要求を送出するようにする。
上述もしたように、この実施の形態のIP電話システム1の端末装置30(1)、30(2)、40(1)において、ソフトフォンプログラムが実行され、図5に示したようなソフトフォン画面が表示されている場合に、自機への外線、あるいは、内線の着信があると、各端末装置においては、内線/外線判別部307が機能し、接続要求に含まれる着信先を指定する番号(内線番号や電話番号)の桁数に基づいて、着信は内線着信か外線着信かを判別する。
すなわち、内線/外線判別部307は、接続要求に含まれる着信先を指定する番号が、3桁、あるいは、4桁である場合には、今回の自機への着信は、内線着信であると判断する。また、内線/外線判別部307は、接続要求に含まれる着信先を指定する番号が、10桁である場合には、今回の自機への着信は、外線着信であると判断する。
そして、制御部310は、内線/外線判別部307において外線着信であると判別された場合には、ディスプレイコントローラ308を制御し、図5に示したソフトフォン画面において、外線ボタン表示G11、G12、G13、G14の内、用いられている外線に対応する外線ボタン表示を反転表示させたり点滅表示させたりすると共に、リンガ304を制御して着信音を放音させることにより、外線着信があることをユーザに通知する。
また、この場合、発信元もIP電話端末である場合には、発信元からの接続要求には、発信元の電話番号やユーザ名などの情報も含まれているので、制御部310は自機宛の接続要求から発信元の電話番号やユーザ名を抽出し、これをディスプレイコントローラ308に供給するようにして、ソフトフォン画面の外線の相手先の表示欄G15に表示するようにする。
なお、公衆網200に接続されている従来の家庭などに設置して用いられる電話端末や携帯電話端末からの接続要求の場合には、発信元の電話番号などの情報が付加されている場合には、これをソフトフォン画面の外線の相手先の表示欄G15に表示するようにすることができる。
また、制御部310は、内線/外線判別部307において外線着信であると判別された場合には、ディスプレイコントローラ308を制御し、図5に示したソフトフォン画面において、内線ボタン表示G21を反転表示させたり点滅表示させたりすると共に、リンガ304を制御して着信音を放音させることにより、内線着信があることをユーザに通知する。
また、この場合、内線の接続要求であり、当該接続要求に発信元の内線やユーザ名などの情報も含ませておくようにすることによって、制御部310は自機宛の内線接続要求から発信元の内線番号やユーザ名を抽出し、これをディスプレイコントローラ308に供給するようにして、ソフトフォン画面の外線の相手先の表示欄G22に表示するようにする。すなわち、内線の場合には、各端末装置30(1)、30(2)、40(1)は、例えば制御部310の機能により、自機の不揮発性メモリ314などに予め登録されているユーザ名を含む内線接続要求を形成して送出することができるものである。
そして、着信に応答する場合には、所定のオフフック操作を行うことにより、接続要求に対する応答を送信するようにして、通信回線(通信用セッション)を接続して通話を行うようにすることができるようにされる。なお、所定のオフフック操作は、例えば、自機に接続されているハンドセットを取り上げた場合に、これが制御部310に通知される構成を有するときには、当該ハンドセットを取り上げる操作をオフフックする操作とすることができる。また、ソフトフォン画面において、反転表示や点滅表示されている外線ボタン表示や内線ボタン表示を選択するようにしたり、あるいは、キーボード装置330を通じて所定の操作が行われたりした場合に、オフフック操作がされたと判断することも可能である。
また、制御部310は、リンガ304を制御することにより、外線着信と内線着信とで着信音自体を異ならせるようにしたり、あるいは、着信音の音色は変えることなく、放音パターンを変えるようにしたりして、着信音により、外線着信か内線着信かを報知することも可能である。
このように、この実施の形態のSIPサーバ10の子機として位置付けられる端末装置30(1)、30(2)、40(1)のそれぞれにおいては、自機への着信があった場合に、各端末のそれぞれが、内線着信か外線着信かを適切に判別し、これをユーザに通知することができる。また、着信通知に発呼元の電話番号やユーザ名(名前や会社名など)が含まれている場合には、これを通知することができる。
また、留守番電話機能についても、端末装置毎に実現されるため、SIPサーバ10の付加を大きくすることなく、端末装置毎に柔軟に留守番電話機能をも利用することができるようにされる。
[端末装置での着信処理のまとめ]
次に、この実施の形態のIP通信システムにおいて、ソフトフォン装置として機能する端末装置30(1)、30(2)、40(1)における着信処理について、図6のフローチャートを参照しながら説明する。図6に示す処理は、ソフトフォンプログラムが起動されたこの実施の形態のIP電話システムの端末装置30(1)、30(2)、40(1)において、いわゆる着信待ちの状態にあるときに実行されるものである。ここでは、説明を簡単にするために、端末装置30(1)の動作として説明する。
端末装置30(1)に電源が投入され、ソフトフォンプログラムが実行するようにされると、制御部310は、図6に示す着信処理を実行する。制御部310は、SIPサーバ10を介して送信されてくる信号を監視し、自機に割り当てられるようにされた外線番号や内線番号を含む着信があるか否かを判断する(ステップS1)。
ステップS1の判断処理において、自機への着信はないと判断したときには、ステップS1からの処理を繰り返し、自機への着信を待つ。ステップS1の判断処理において、自機に割り当てられるようにされた外線番号や内線番号を含む着信がある、すなわち、自機への着信があると判断した場合には、制御部310は内線/外線判別部307を制御し、当該着信(接続要求)に含まれる着信先を指定する番号の桁数に基づいて、外線着信か否かを判断する(ステップS2)。具体的には、着信(接続要求)に含まれる着信先を指定する番号が、10桁である場合には、当該着信は外線着信であると判断し、それ以外の場合、例えば、着信先を指定する番号が、3桁や4桁の場合には、外線着信ではなく、外線着信であると判断する。
ステップS2の判断処理において、自機への外線着信があると判断したときには、制御部310は、ディスプレイコントローラ308、リンガ304を制御して、上述もしたように、使用されている外線の外線ボタン表示を反転表示させたり、点滅表示させたりすると共に、外線の相手先の表示欄G15に相手先の電話番号やユーザ名などを表示し、また、同時にリンガ304から着信音を放音させる(ステップS3)。なお、外線の相手先の表示欄G15に表示される相手先の電話番号やユーザ名などの情報は、受信した着信情報の中に含まれるものである。
また、ステップS2の判断処理において、自機への内線着信があると判断したときには、制御部310は、ディスプレイコントローラ308、リンガ304を制御して、上述もしたように、内線ボタン表示G21を反転表示させたり、点滅表示させたりすると共に、内線の相手先の表示欄G22に相手先の内線番号やユーザ名などを表示し、また、同時にリンガ304から着信音を放音させる(ステップS4)。なお、内線の相手先の表示欄G22に表示される相手先の内線番号やユーザ名などの情報は、受信した着信情報の中に含まれるものである。
ステップS3またはステップS4の処理の後、制御部310は、留守番電話制御部303の設定情報を確認し、留守番電話機能が動作するように設定されているか否か(留守番電話機能がオンになっているか否か)を判断する(ステップS5)。
ステップS5の判断処理において、留守番電話機能が動作するように設定されていると判断したときには、制御部310は、留守番電話制御部303の機能により、あるいは、留守番電話制御部303と協働して、上述もしたように、(1)自動着信→(2)相手先への留守番機能動作中であることを報知するメッセージの送出→(3)相手先からの留守番用件メッセージの受信及びHDD306への記録といった一連の留守番電話機能内の留守番録音処理を実行し(ステップS6)、この後、ステップS1からの処理を繰り返すようにする。
また、ステップS5の判断処理において、留守番電話機能は動作するように設定されていないと判断したときには、制御部310は、上述もしたように、所定のオフフック操作(着信に応答する操作)が行われたか否かを判断する(ステップS7)。
ステップS7の判断処理において、所定のオフフック操作が行われたと判断したときには、着信に対して応答を送信するようにし、通信回線(通信用セッション)を接続して通話を行えるようにし、通話が終了した場合に通信回線(通信用セッション)を開放するまでの一連の通話処理を実行し(ステップS8)、この後、ステップS1からの処理を繰り返すようにする。
なお、ステップS7の判断処理において、所定のオフフック操作は行われていないと判断したときには、ステップS1からの処理を繰り返すようにする。すなわち、オフフック操作は行われていないので、発呼元が接続要求を送信をしている間においては、オフフック操作が行われる着信の通知が引き続き行われることになる。
このように、この実施の形態のIP電話システム1の端末装置30(1)、30(2)、40(1)のそれぞれは、自機への着信がある場合には、自機の機能(子機の機能)により、外線/内線を判断してこれを明確にユーザに通知すると共に、子機毎に留守番電話機能をも個別実現することができるものである。
また、この実施の形態のIP電話システム1の場合には、SIPサーバ10に対して例えばLANなどによって、比較的に近距離で接続される端末装置だけでなく、遠隔に存在する端末装置をもIP網100を介してSIPサーバ10に接続することによって、近距離、遠隔の区別なく、SIPサーバ10に対して子機として接続するようにされた端末装置の間において内線通話を行うことができるようにされる。
[その他]
なお、上述した実施の形態においては、SIPサーバ10に対して、LAN接続される端末装置は3台、IP網100を通じて接続される端末装置を1台である場合を例にして説明したが、これに限るものではない。LAN接続される端末装置の台数、IP網100を通じて接続される端末装置の台数には、特に制限はなく、SIPサーバ10の処理能力に応じて決められる適切な台数の端末装置を接続することが可能である。
また、外線電話番号は、IP電話システム1内の端末装置毎に割り当てられるものではなく、IP電話システム毎、すなわちP電話システム内のSIPサーバ10に対して割り当てられるものであり、SIPサーバ10の子機は、いわば共通の外線電話番号が割り当てられた端末装置となる。
また、外線電話番号は各IP電話システムに1つだけ割り当てられるものではなく、電話会社との契約により、上述もしたように、複数の外線電話番号の割り当てを受け、これら複数の外線電話番号を用いることもできるようにされる。
また、上述した実施の形態においては、SIPサーバ10に対して、LAN接続される系統は、1系統だけである場合を例にして説明したが、これに限るものでない。SIPサーバ10に対しては、複数のLAN接続系統を接続することももちろん可能である。
また、上述したように、IP電話システム1内の端末装置30(1)、30(2)、40(1)のそれぞれにおいては、ソフトフォンプログラムを起動することによって、ソフトフォン機能を実現するようにした。このように、ソフトフォン機能は、プログラムによって実現するものであるので、実行するソフトフォンプログラムを変更することによって、機能の拡充にも柔軟に対応することができる。また、端末毎に異なるソフトフォンプログラムを用いることにより、端末装置毎に異なるソフトフォン機能を実現するようにすることもできる。
例えば、各端末装置毎に表示内容を変えるようにすることもできる。従って、例えば、同じビル内に設置される端末装置と、在宅勤務のために自宅に設置されて用いられる端末装置とでは、表示内容を異ならせるようにし、自宅に設置されて用いられる端末装置には、例えば、相手先の名前などの余計な情報を表示させないようにするなどのことも可能である。
また、SIPサーバ10の子機としての端末装置が、内線、外線を判別して、これをユーザに通知するようにすることができるので、内線接続用や外線接続用のオプションユニットも必要なくなり、IP電話端末を安価に実現することができると共に、メーカ側にとっても、内線接続用や外線接続用のオプションユニットを保守のために長期間保有しておく必要もなくなる。
また、基本的に、SIPユーザ・エージェントとしての機能を実現するためのプログラムやソフトフォンプログラムが搭載されていれば、どこからでもIP網を通じてログインし、IP電話システム1の内の子機として利用することができる。すなわち、IP網に接続することができれば、どこからでもIP電話システム1からの発信、着信、内線通話を利用できるようにすることができる。
また、留守番電話機能は、各端末装置毎に実現することができるので、メッセージ内容を各端末装置毎に管理することができ、秘匿性の高い留守番電話機能として利用することができる。
なお、ソフトフォン機能は、パーソナルコンピュータである端末装置30(1)、30(2)、40(1)等の端末装置自体が動作していない場合には機能しないので、事前に転送要求をSIPサーバ10に登録しておくことにより、ユーザの携帯情報端末に内線着信を転送すうようにSIPサーバ10の機能を強化することも可能である。
また、停電対策として、SIPサーバ10に搭載されるアナログ回線ボードに対して固定電話機を接続できるようにしておくことにより、当該固定電話を用いて公衆網を通じた電話通信を行うこともできるので、停電時においても、アナログ回線を利用した通信路を確保しておくことも可能である。
1、2…IP電話システム、10…SIPサーバ、20…HUB、30,40…端末装置、101…IPI/F、102…パケット分解/生成部、103…LANI/F、103a…入出力端、104…アドレス管理DB、105…公衆網I/F、110…制御部、111…CPU、112…ROM、113…RAM、114…CPUバス、301…I/F、302…パケット分解/生成部、303…留守番電話制御部、304…リンガ、305…音声データ入出力I/F、306…HDD、307…内線/外線判別部、308…ディスプレイコントローラ、309…操作入力I/F、310…制御部、311…CPU、312…ROM、313…RAM、314…不揮発性メモリ、315…CPUバス