JP2009059534A - 燃料電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電解質層の構成の適正化により燃料電池性能を向上させる。
【解決手段】燃料電池の製造方法は、水素透過性金属層を用意する第1の工程(ステップS100)と、成膜材料である電解質が結晶化可能な条件で、水素透過性金属上に、水素透過性金属との界面を含む第1の層を形成する第2の工程(ステップS110)と、成膜材料である電解質が結晶化可能な条件で、第1の層上に第2の層を形成する第3の工程(ステップS120)と、を備える。第2の工程は、第3の工程に比べて、結晶性がより高くなる条件により成膜する工程である。
【選択図】図2

Description

この発明は、燃料電池の製造方法に関する。
固体電解質型燃料電池の一種として、水素透過性金属層を備える燃料電池が知られている。このような燃料電池は、通常は、アノードとして機能する水素透過性金属層上に、プロトン伝導性を有する固体酸化物から成る電解質層を成膜することによって製造される。従来、このような燃料電池を構成する各層の成膜条件の適正化により、電池性能の向上が図られてきた。例えば、水素透過性金属層を、種類の異なる水素透過性金属から成る複数の層によって構成すると共に、水素透過性金属層の内部に形成される中間層を成膜する際の成膜条件によって、中間層を構成する金属結晶粒の粒径分布を調節する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このように中間層の成膜条件によって中間層の結晶粒径の分布を調節することにより、中間層を介して進行する金属拡散を抑制して水素透過性能の低下を抑えると共に、水素透過性金属層の耐久性を向上させることが可能になる。
特開2006−130426 特開2004−344731
しかしながら、水素透過性金属層上に成膜される電解質層については、成膜条件や粒径分布について充分な検討がなされていなかった。電解質層は、燃料電池の構成要素の主要部の一つであり、電解質層の構成の適正化による電池性能の更なる向上が望まれていた。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、電解質層の構成の適正化により燃料電池性能を向上させることを目的とする。
本発明の第1の態様としての燃料電池の製造方法は、
水素透過性金属層を用意する第1の工程と、
成膜材料である電解質が結晶化可能な条件で、前記水素透過性金属上に、前記水素透過性金属との界面を含む第1の層を形成する第2の工程と、
成膜材料である電解質が結晶化可能な条件で、前記第1の層上に第2の層を形成する第3の工程と、
を備え、
前記第2の工程は、前記第3の工程に比べて、結晶性がより高くなる条件により成膜する工程である。
以上のように構成された本発明の第1の態様としての燃料電池の製造方法によれば、第1の層を形成する工程を、第2の層を形成する工程に比べて、結晶性がより高くなる条件としているため、電解質膜において、水素透過性金属層との界面を含む第1の層における結晶の粒径を、より大きくすることができる。そのため、電解質膜全体の抵抗を抑制し、電解質膜のプロトン伝導性を高め、燃料電池の電池性能を向上させることができる。
本発明の第1の態様としての燃料電池の製造方法において、前記第1の層は、前記第2の層よりも薄く形成されることとしても良い。このような構成とすれば、結晶性を高くするのに伴って増加する消費エネルギ量を抑制しつつ、効率良く電解質膜全体の結晶性を向上させることができる。
このような燃料電池の製造方法において、前記第1の層の厚みは、10nm〜1μmであることとしても良い。このような構成とすれば、水素透過性金属層上に電解質膜を成膜する際に、水素透過性金属層との界面を含む第1の層を構成する結晶を充分に大型化すると共に、結晶性を高くするのに伴って増加する消費エネルギ量を、効果的に削減することができる。
また、本発明の第1の態様としての燃料電池の製造方法において、前記第3の工程は、柱状結晶の層を形成する工程であることとしても良い。このような構成とすれば、結晶性を高めて結晶粒径を大型化した第1の層上に、柱状結晶から成る第2の層を形成することにより、電解質膜の抵抗を抑制する効果を高めることができる。
本発明の第1の態様としての燃料電池の製造方法において、前記第2の工程は、前記第3の工程よりも、成膜温度が高いこととしても良い。このような構成とすれば、熱エネルギによって第1の層の結晶性を高めることができる。また、第2の層の成膜温度を低く設定することにより、成膜工程全体で要するエネルギ量を抑制すると共に、基材となる水素透過性金属層における熱に起因する損傷を抑制することができる。
本発明の第1の態様としての燃料電池の製造方法において、前記第2の工程は、前記第3の工程よりも、成膜レートが遅いこととしても良い。このような構成とすれば、成膜レートを遅くすることで第1の層の結晶性を高めることができると共に、第2の層の成膜レートを速くすることにより、成膜工程全体で要する時間を抑制することができる。
本発明の第1の態様としての燃料電池の製造方法において、前記第2の工程は、前記第3の工程よりも、成膜圧力が低いこととしても良い。このような構成とすれば、成膜圧力を低くすることで第1の層の結晶性を高めることができる。また、電解質膜が固体酸化物から成る場合に、第2の層を形成する工程において成膜圧力を高くする際に酸素分圧を高くするならば、電解質膜におけるプロトン伝導性の低下を抑制することができる。
本発明の第1の態様としての燃料電池の製造方法において、前記第2の工程は、外部からさらにエネルギを供給する工程であることとしても良い。このような構成とすれば、外部からさらにエネルギを供給することで第1の層の結晶性を高めることができると共に、成膜工程全体では、外部からの供給エネルギ量を抑えることができる。
本発明の第1の態様としての燃料電池の製造方法において、前記第2の工程は、前記第3の工程とは異なる成膜方法により成膜を行なうこととしても良い。このような構成とすれば、第2の層を形成する成膜方法により電解質膜全体を成膜する場合に比べて、電解質膜全体の結晶性を向上させることができると共に、第1の層を形成する成膜方法により電解質膜全体を成膜する場合に生じる問題を抑制することができる。
本発明の第2の態様としての燃料電池の製造方法は、
水素透過性金属層を用意する第1の工程と、
前記水素透過性金属層上に電解質層を形成する第2の工程と、
を備え、
前記第2の工程は、前記水素透過性金属層表面に、前記電解質から成る複数の電解質粒子を埋め込む工程と、前記電解質粒子を表面に埋め込んだ前記水素透過性金属層上に、成膜材料である前記電解質が結晶化可能な条件で前記電解質の層を成膜する工程と
を備える。
以上のように構成された本発明の第2の態様としての燃料電池の製造方法によれば、水素透過性金属層表面に電解質粒子を埋め込んだ上に電解質の層を成膜するため、電解質膜において、水素透過性金属層との界面を含む第1の層における結晶の粒径を大きくすることができる。そのため、電解質膜全体の抵抗を抑制し、電解質膜のプロトン伝導性を高め、燃料電池の電池性能を向上させることができる。
本発明は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、本発明の燃料電池の製造方法により製造された燃料電池などの形態で実現することが可能である。
A.燃料電池の構成:
図1は、本発明の第1実施例の燃料電池を構成する単セル20の構成の概略を表わす断面模式図である。単セル20は、水素透過性金属層22と、電解質膜21と、カソード24と、ガスセパレータ27,29とを備えている。ガスセパレータ27と水素透過性金属層22との間には、水素を含有する燃料ガスが通過する単セル内燃料ガス流路30が形成されている。また、ガスセパレータ29とカソード24との間には、酸素を含有する酸化ガスが通過する単セル内酸化ガス流路32が形成されている。水素透過性金属層22、電解質膜21およびカソード24から成る構造を、以下、MEA(Membrane Electrode Assembly)40と呼ぶ。図1では単セル20を示したが、実際の本実施例の燃料電池は、図1の単セル20を複数積層したスタック構造を有している。なお、図示は省略しているが、スタック構造の内部温度を調節するために、各単セル間に、あるいは所定数の単セルを積層する毎に、冷媒の通過する冷媒流路を設けても良い。
水素透過性金属層22は、水素透過性を有する金属によって形成される層である。このような水素透過性金属層22は、例えば、パラジウム(Pd)またはPd合金により形成することができる。あるいは、バナジウム(V)等の5族金属(Vの他、ニオブ、タンタル等)または5族金属の合金を基材として、少なくともその一方の面(単セル内燃料ガス流路30側)にPdやPd合金層を形成した多層膜とすることができる。水素透過性金属層22において、少なくとも単セル内燃料ガス流路30側の表面を構成するPd(あるいはPd合金)は、水素透過性金属層22を水素が透過する際に、水素分子を解離させる活性を有する。このような本実施例の水素透過性金属層22は、アノードとしての機能を果たしている。
電解質膜21は、プロトン伝導性を有する固体電解質から成る層である。電解質膜21を構成する固体電解質としては、例えば、BaCeO3系、SrCeO3系、SrZrO3系のセラミックスプロトン伝導体を用いることができる。電解質膜21は、緻密な水素透過性金属層22上に成膜されるため、充分な薄膜化が可能となる。したがって、固体酸化物の膜抵抗を低減することができ、従来の固体電解質型燃料電池の運転温度よりも低い温度である約200〜600℃程度で燃料電池を運転することができる。電解質膜21は、その製造方法に特徴があるが、これらについては後に詳述する。
カソード24は、電解質膜21上において、水素透過性金属層22が形成される面と異なる面上に形成される電極層である。カソード24は、例えば、ランタンストロンチウムコバルタイト(LSC)、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)、ランタンストロンチウムクロマイト等の複合酸化物によって形成することができる。あるいは、カソード24は、電気化学反応を促進する触媒活性を有する金属、例えば、パラジウム(Pd)や白金(Pt)等の貴金属により形成しても良い。
ガスセパレータ27,29は、カーボンや金属などの導電性材料で形成されたガス不透過な部材である。ガスセパレータ27,29の表面には、既述した単セル内燃料ガス流路30や単セル内酸化ガス流路32を形成するための凹凸形状が形成されている。なお、単セル20において、MEA40とガスセパレータとの間に、さらに、導電性と共にガス透過性を有する部材(集電体)を配設する等の変形が可能である。また、ガスセパレータ27,29の表面には単セル内ガス流路を形成するための凹凸形状を形成することなく、ガスセパレータ27,29とMEA40との間に導電性多孔質部材を配置し、この導電性多孔質部材の内部に形成される空間によって、単セル内ガス流路を形成しても良い。
燃料電池に供給される燃料ガスとしては、炭化水素系燃料を改質して得られる水素リッチガスを用いても良いし、純度の高い水素ガスを用いても良い。また、燃料電池に供給される酸化ガスとしては、例えば空気を用いることができる。
B.製造方法:
以下に、単セル20の製造方法として、水素透過性金属層22、電解質膜21およびカソード24から成るMEA40の製造工程を説明する。図2は、MEA40の製造工程を表わす説明図である。
MEA40を作成する際には、まず、水素透過性金属層22を用意する(ステップS100)。水素透過性金属層22は、既述したように、Pdを含有する金属層、あるいは5族金属を含有する層を基材として、少なくともその一方の面上にPdを含有する層を設けた金属膜として形成される。水素透過性金属層22は、数十μmの厚みに形成すればよい。
次に、ステップS100で用意した水素透過性金属層22上に、電解質膜21を形成する。電解質膜21は、まず、水素透過性金属層22上に第1の層を成膜し(ステップS110)、その後、第1の層の上に第2の層を成膜することによって形成する(ステップS120)。第1の層および第2の層の成膜は、スパッタ法やイオンプレーティング、あるいはPLDやEB蒸着のような真空蒸着法等のPVD、あるいはCVD等の気相法により行なうことができる。電解質膜21は、全体として、例えば0.1〜6μmの厚みとなるように形成すればよい。電解質膜21は、電解質膜21の耐久性を高めて燃料電池の信頼性を高めるには厚く形成することが望ましく、プロトン伝導性を高めるには薄く形成することが望ましい。そのため、電解質膜21の厚みは、所望の性能に応じて適宜設定すればよい。
ここで、ステップS110とステップS120とは、成膜時に成膜材料に供給するエネルギ量を異ならせており、ステップ110の方がステップ120よりも高エネルギ状態で成膜を行なうことにより、第1の層の結晶性を高めている。すなわち、第1の層を構成する結晶の成長を促進させている。具体的には、第2の層の成膜温度を、電解質膜を構成する固体酸化物が結晶化可能な温度として設定すると共に、第1の層の成膜温度を、第2の層の成膜温度よりも高く設定している。例えば、Pd製の基材を用いると共に、成膜材料であるターゲットとしてSrZr0.8In0.23焼結体を用い、PLD(Pulse Laser Deposition)により成膜する場合、第1の層の成膜温度を800℃、第2の層の成膜温度を600℃、成膜圧力0.01Torrとして、レーザ出力および波長を適宜設定した上で2時間程度成膜することにより、結晶構造を有する数μmの厚みの電解質膜を形成することができる。
水素透過性金属層22上に電解質膜21を形成すると、次に、この電解質膜21上に、カソード24を形成して(ステップS130)、MEA40を完成する。カソード24は、既述した複合酸化物や貴金属を成膜材料に用いて、例えば、PVDにより多孔質膜として形成すればよい。あるいは、溶射など他の成膜法によりカソード24を形成しても良く、触媒金属を含有する導電性ペーストを電解質膜21上に塗布し、乾燥・焼成を行なって多孔質なカソード24を形成しても良い。カソード24の厚みは、例えば1μm以下とすることが好ましい。
燃料電池を組み立てる際にはさらに、図2に従って作製したMEA40を挟持するようにガスセパレータ27および29を配設して単セル20を作製し、さらにこの単セル20を所定数積層する。
以上のように構成された燃料電池の製造方法により製造された燃料電池によれば、電解質膜21は、水素透過性金属層22との界面を含む第1の層を、第1の層上に形成されて固体酸化物が結晶化可能な温度で成膜された第2の層の成膜温度よりも高い温度で成膜しているため、水素透過性金属層22との界面を含む領域における結晶性を向上させることができる。すなわち、電解質膜全体を、第2の層を成膜した条件にて形成する場合に比べて、水素透過性金属層22との界面を含む領域を構成する結晶を大型化することができる。そのため、電解質膜21全体の抵抗を抑制し、電解質膜21のプロトン伝導性を高め、このような電解質膜21を備える燃料電池の電池性能を向上させることができる。
以下に、電解質膜における膜厚および粒界密度と抵抗との関係について説明する。図3は、実施例の燃料電池と同様に水素透過性金属層を備える固体電解質型燃料電池としての単セルであって、電解質膜の厚みが互いに異なる単セルについて、電解質膜の抵抗を測定した結果の一例を示す説明図である。ただし、図3に抵抗を測定した結果を示した各単セルは、実施例のように水素透過性金属層上に電解質膜を成膜する過程で成膜温度の変更を行なっておらず、一定の成膜温度で電解質膜を形成したものである。このときの成膜温度は、実施例における電解質膜21の第2の層を成膜するときと同様に、固体酸化物が結晶化可能な温度である。
一般に、電解質膜においては、その膜厚が薄いほど抵抗が小さくなることが知られている。実際に電解質膜の抵抗を測定した結果においても、図3に示すように、膜厚が増すに従って抵抗は大きくなり、横軸を膜厚、縦軸を抵抗とした場合には、膜厚と抵抗の関係を表わすグラフは所定の傾きを示す直線状となった。しかしながら、このような膜厚と抵抗の関係は正比例の関係ではなく、膜厚と縦軸の関係を表わすグラフは、上記所定の傾きを保って縦軸まで延ばすと縦軸に切片を有する形状となった。ここで、実際に電解質膜の抵抗を測定しようとすると、膜厚が薄い場合には、電解質膜の強度が不十分となって電解質膜の両側の電極間で短絡を起こしやすくなり、正確な抵抗の測定が困難となる。そのため、図3においては、膜厚が薄い場合の膜厚と抵抗の関係は、予測値として点線で表わしている。図3に示すように、電解質膜の膜厚をある程度以上薄くすると、それ以上膜厚を薄くしても電解質膜の抵抗が充分に小さくならなくなることから、電解質膜における成膜用基材との界面近傍の領域は、他の部分に比べて特に抵抗が大きいといえる。
図4は、図3に膜厚と抵抗の関係の測定結果を示した単セルが備えるMEAの様子を表わす断面模式図である。気相法により電解質膜を成膜すると、電解質膜を構成する固体酸化物が結晶化可能な条件で成膜を行なうことにより、図4に示すように、電解質は柱状結晶化する。ただし、水素透過性金属層との間の界面を含む領域には、結晶粒径のより小さな微結晶層が形成され、柱状結晶から成る層は、上記微結晶層の上に形成される。このように水素透過性金属層との界面を含む領域に微結晶層を生じるのは、水素透過性金属層と電解質膜とでは構成材料が異なり、両者の結晶構造が異なるためである。ここで、成膜時の結晶化は、以下のように行なわれると考えられる。すなわち、成膜初期においては、成膜用基材である水素透過性金属層の表面に到達した成膜材料粒子(蒸着粒子)は、しばらく基材上を動き回った後に安定なサイトに落ち着いて、膜の結晶核を形成する。そこに蒸着粒子がさらにやって来ると、後からきた蒸着粒子が先の蒸着粒子に付着して結晶核が成長したり、後からきた蒸着粒子が新たな結晶核をさらに形成したりする。そして、結晶核の成長が進むと、成長した多数の結晶核が膜を形成し、このようにして形成された膜上では、結晶同士が合体して結晶サイズが大きくなる。すなわち、異種材料から成る基材上に成膜される成膜初期には、蒸着粒子に与えられるエネルギの多くは基材上での結晶核の形成のために用いられるが、結晶核が形成されて膜状になった後は、蒸着粒子に与えられるエネルギの多くは結晶の成長のために用いられ、結晶サイズが大きくなる。このようにして成膜された電解質膜における微結晶層の厚みは、成膜材料や成膜条件により異なる。微結晶層の厚みは、通常は、数十nm程度となる。
このような微結晶層は、図3において特に抵抗が大きくなることが示された水素透過性金属層との界面近傍の領域に対応している。そのため、電解質膜における成膜用基材との界面近傍の微結晶層は、他の領域である柱状結晶から成る層に比べて、特に抵抗が大きい領域であるといえる。なお、微結晶層の抵抗が特に大きいのは、微結晶層に密度が高い状態で存在する結晶粒界では、結晶内部に比べてプロトンが移動する際の抵抗が大きいためと考えられる。
本実施例の燃料電池では、水素透過性金属層22上に電解質膜21を成膜する際に、成膜初期の成膜温度を特に高く設定して、高エネルギ状態で第1の層を形成している。このように成膜材料である粒子が有するエネルギ量を多くすることにより、成膜初期の段階から結晶の成長に利用できるエネルギが増えて結晶の成長を促進することができ、水素透過性金属層22との界面を含む第1の層を、より粒径の大きな結晶から成る層とすることができる。このように、第1の層を構成する結晶の粒径をより大きくすることによって電解質膜全体の粒界密度を低下させることができるため、電解質膜全体の抵抗をより小さくすることができ、電池性能を向上させることができる。既述したように、固体酸化物が結晶化可能な温度で成膜することにより電解質は次第に柱状結晶化するため、第2の層の成膜温度にて電解質膜全体を成膜しても、成膜基材から離れた領域では電解質膜は柱状結晶となるが、第1の層の成膜温度を充分に高く設定することにより、電解質膜全体が柱状結晶から成る状態に、より近づけることができる。なお、気相法により成膜する際の電解質が結晶化可能な成膜温度であって、水素透過性金属層22に加えられる熱が許容範囲となる温度として、第1の層の成膜温度と、これよりも低い第2の層の成膜温度は、例えば、500〜800℃の範囲において設定すればよい。
また、本実施例によれば、第1の層の成膜温度を高く設定することで、水素透過性金属層22との界面近傍の結晶性が高まることにより、第2の層の成膜温度をより低く設定しても、第2の層を柱状結晶化することが可能になる。既述したように、成膜初期においてはエネルギの多くは結晶核の形成に用いられ、その後、エネルギの多くが結晶の成長に用いられるようになるが、結晶性の高い第1の層上に第2の層を成膜する場合には、異種材料から成る水素透過性金属層22上に直接成膜する場合とは異なり、成膜時のエネルギを直ちに結晶の成長に用いることができる。そのため、水素透過性金属層22上に直接成膜する場合に比べて成膜時のエネルギをより少なくしても、充分な結晶性を実現して柱状結晶化することが可能になる。
さらに、本実施例によれば、高温で成膜するのは、界面を含む第1の層だけであり、第2の層は、より低い温度で成膜しているため、電解質膜全体の結晶性を高めるために要する成膜エネルギの増加量を抑制することができる。また、第2の層の成膜温度を抑えているため、基材である水素透過性金属層22における熱に起因する変形・変質を抑制することができる。
なお、本実施例において、第1の層は、第2の層よりも薄く形成することが望ましい。第1の層を、第2の層よりも薄く形成することにより、電解質膜21の成膜に要するエネルギをさらに削減することができると共に、成膜基材である水素透過性金属層22に対して成膜時に加えられる熱を削減することができる。第1の層の厚みは、例えば、10nm〜1μmとすることができる。
C.第2実施例:
第1実施例では、電解質膜21を成膜する際に、水素透過性金属層22との界面を含む層である第1の層を、第1の層上に形成する第2の層よりも高い温度で形成することによって、電解質膜全体の粒界密度の低減を図っているが、異なる構成としても良い。以下に、第1の層と第2の層とで成膜レートを異ならせる構成を、第2実施例として説明する。
第2実施例の燃料電池は、第1実施例の燃料電池と同様の構成を備えるため、共通する部分には同じ参照番号を付して詳しい説明を省略する。第2実施例の燃料電池では、水素透過性金属層22上に電解質膜21を成膜する際に、水素透過性金属層22との界面を含む第1の層を、第2の層よりも低い成膜レートで形成している。すなわち、図2のステップS110に代えて、より遅い成膜レートで第1の層を形成する工程を行ない、ステップS120に代えて、より速い成膜レートで第2の層を形成する工程を行なっている。ここで、成膜の過程においては、結晶核の形成および結晶核の成長の程度は、既述したように蒸着粒子の動きやすさにより定まるが、蒸着粒子の動きやすさは、熱エネルギなどとして成膜時に加えられるエネルギ以外に、成膜速度の影響を受ける。すなわち、成膜初期においては、成膜用基材である水素透過性金属層の表面に到達する成膜材料粒子(蒸着粒子)の速度が速いと、次から次へと蒸着粒子が基材上に飛来し、安定なサイトに落ち着く前に粒子同士が衝突してクラスターを形成する。このようにクラスターとなった粒子は動きにくくなるため、結晶核の密度が増加してしまい、結果的に結晶粒径が小さくなる。本実施例では、成膜初期の成膜速度を遅くすることにより、基材上で蒸着粒子を動き回り易くして、界面を含む第1の層における結晶核の密度および結果的に形成される結晶の粒界密度を低下させている。例えば、Pd製の基材を用いると共に、成膜材料であるターゲットとしてSrZr0.8In0.23焼結体を用い、PLD(Pulse Laser Deposition)により成膜する場合、第1の層の成膜レートを0.1μm/hr、第2の層の成膜レートを1μm/hr、成膜温度を600℃、成膜圧力0.01Torrとすることにより、第1実施例と同様の電解質膜21を形成することができる。
以上のように構成された第2実施例の燃料電池の製造方法によれば、第1実施例と同様に、水素透過性金属層22との界面を含む領域における結晶性を向上させることができるため、電解質膜21全体の抵抗を抑制し、電解質膜21のプロトン伝導性を高め、このような電解質膜21を備える燃料電池の電池性能を向上させることができる。
また、上記のような成膜初期に対して、既に結晶化された電解質層上にさらに成膜する成膜後段の工程では、成膜速度をより速く設定しても、充分な結晶化、具体的には柱状結晶化が可能になる。そのため、本実施例では、第2の層は、第1の層よりも成膜レートを速くしており、これにより、成膜工程に要する時間を削減し、製造コストを抑えることが可能になる。なお、気相法で成膜する際の電解質が結晶化可能な成膜レートであって、成膜のスピードが生産コスト上許容できる範囲となる成膜レートとして、第1の層の成膜レートと、これよりも速い第2の層の成膜レートは、例えば、1〜数十μm/hrの範囲において設定すればよい。
D.第3実施例:
水素透過性金属層22との界面を含む層における粒界密度を低減するさらに他の方法として、成膜の過程で成膜圧力を異ならせる構成を、第3実施例として以下に説明する。第3実施例の燃料電池は、第1実施例の燃料電池と同様の構成を備えるため、共通する部分についての詳しい説明は省略する。第3実施例の燃料電池では、水素透過性金属層22上に電解質膜21を成膜する際に、水素透過性金属層22との界面を含む第1の層を、第2の層よりも低い成膜圧力で形成している。すなわち、図2のステップS110に代えて、より低い成膜圧力で第1の層を形成する工程を行ない、ステップS120に代えて、より高い成膜圧力で第2の層を形成する工程を行なう。ここで、成膜の過程においては、結晶核の形成および結晶核の成長の程度は蒸着粒子の動きやすさにより定まるが、蒸着粒子の動きやすさは、既述したように成膜時に蒸着粒子が有するエネルギの大きさの影響を受ける。成膜時に蒸着粒子が有するエネルギの大きさは、成膜時に加えられる熱の他、成膜時の圧力によっても定まる。すなわち、成膜時の圧力を低くするほど、高エネルギ状態で蒸着粒子を基板上に到達させることができ、そのエネルギによって結晶を成長させ、粒径を大型化させることができる。本実施例では、成膜初期の成膜圧力を遅くすることで、界面を含む層である第1の層の粒界密度を低下させている。なお、本実施例において、固体酸化物から成る電解質膜21を成膜する際には、成膜環境として酸素を含有しており、成膜圧力は、酸素分圧に相当する。例えば、Pd製の基材を用いると共に、成膜材料であるターゲットとしてSrZr0.8In0.23焼結体を用い、PLD(Pulse Laser Deposition)により成膜する場合、第1の層の成膜圧力(酸素分圧)を0.0001Torr、第2の層の成膜圧力(酸素分圧)を0.01Torr、成膜温度を600℃として、レーザ出力および波長を適宜設定することにより、第1実施例と同様の電解質膜21を形成することができる。
以上のように構成された第3実施例の燃料電池の製造方法によれば、第1実施例と同様に、水素透過性金属層22との界面を含む領域における結晶性を向上させることができるため、電解質膜21全体の抵抗を抑制し、電解質膜21のプロトン伝導性を高め、このような電解質膜21を備える燃料電池の電池性能を向上させることができる。
また、上記のような成膜初期に対して、既に結晶化された電解質層上にさらに成膜する成膜後段の工程では、成膜圧力をより高く設定しても、充分な結晶化、具体的には柱状結晶化が可能になる。そのため、本実施例では、第2の層は、第1の層よりも成膜圧力(酸素分圧)を高くして、電解質膜における酸素欠乏を抑制し、酸素欠乏に起因する電解質膜21のプロトン伝導性の低下を防止している。なお、気相法で成膜する際の電解質が結晶化可能な成膜圧力であって、電解質膜21における酸素欠乏の可能性が許容できる範囲となる成膜圧力として、第1の層の成膜圧力と、これよりも高い第2の層の成膜圧力は、例えば、0.0001〜1Torrの範囲において設定すればよい。
E.第4実施例:
水素透過性金属層22との界面を含む層における粒界密度を低減するさらに他の方法として、成膜時に外部からさらにエネルギを供給する構成を、第4実施例として以下に説明する。第4実施例の燃料電池は、第1実施例の燃料電池と同様の構成を備えるため、共通する部分についての詳しい説明は省略する。第4実施例の燃料電池では、水素透過性金属層22上に電解質膜21を成膜する際に、水素透過性金属層22との界面を含む第1の層を、外部からさらにエネルギ供給しながら形成している。すなわち、図2のステップS110に代えて、外部からエネルギ供給しながら第1の層を形成する工程を行ない、ステップS120に代えて、外部からエネルギ供給することなく第2の層を形成する工程を行なっている。ここで、成膜の過程においては、結晶核の形成および結晶核の成長の程度は、既述したように、蒸着粒子の動きやすさ、すなわち、成膜時に蒸着粒子が有するエネルギの大きさの影響を受ける。本実施例では、成膜初期においてさらに外部からエネルギを供給することで、高エネルギ状態で蒸着粒子を基板上に到達させ、界面を含む層である第1の層において結晶粒径をより大きくして、粒界密度を低下させている。外部からエネルギを供給する方法としては、PVDやCVD等の気相法による既述した成膜方法により電解質膜を成膜する際に、レーザイオンアシスト、酸素イオン照射、電子ビーム照射、アルゴンイオン照射等を行なう方法を挙げることができる。このようにして電解質膜21の成膜初期に外部からのエネルギ供給を行なって結晶成長を促進することにより、第1実施例と同様の電解質膜21を形成することができる。
以上のように構成された第4実施例の燃料電池の製造方法によれば、第1実施例と同様に、水素透過性金属層22との界面を含む領域における結晶性を向上させることができるため、電解質膜21全体の抵抗を抑制し、電解質膜21のプロトン伝導性を高め、このような電解質膜21を備える燃料電池の電池性能を向上させることができる。
また、上記のような成膜初期に対して、既に結晶化された電解質層上にさらに成膜する成膜後段の工程では、外部から特にエネルギ供給をしなくても、充分な結晶化、具体的には柱状結晶化が可能になる。そのため、本実施例では、第2の層は、外部からのエネルギ供給を行なうことなく成膜して、成膜に要するエネルギ量を抑えて、電解質膜21の粒界密度を低減するための製造コストの増大を抑制している。なお、第2の層は、例えば、第1の層を形成する工程よりも少ないエネルギを外部から供給しつつ成膜することとしても良い。
F.第5実施例:
第1ないし第4実施例では、気相法により電解質膜21を形成する際に、成膜材料に与えるエネルギ量を増大させることによって、水素透過性金属層22との界面を含む層における粒界密度を低減しているが、異なる方法を用いても良い。以下に第5実施例として、電解質膜21の成膜に先立って、結晶核となる粒子を水素透過性金属層22上に埋め込む構成を説明する。図5は、第5実施例の燃料電池が備えるMEA140の製造工程を表わす説明図である。第5実施例の燃料電池において、第1実施例の燃料電池と共通する部分には同じ参照番号を付して、詳しい説明を省略する。
MEA140を作成する際には、まず、図2のステップS100と同様に、水素透過性金属層22を用意する(ステップS200)。次に、ステップS200で用意した水素透過性金属層22上に、電解質膜を構成する電解質と同じ電解質から成る電解質粒子を埋め込む(ステップS210)。用いる粒子の粒径は、例えば、0.1〜1μmとすることができるが、さらに小さな粒径の粒子を用いることとしても良い。電解質粒子の埋め込みは、水素透過性金属層22上に上記電解質粒子を配置して上から擦り込むことにより行なうことができる。その際、電解質粒子のみを用いるドライ状態で行なっても良いし、さらに水や有機溶剤などの溶媒を併用したウエット状態で行なっても良い。あるいは、電解質粒子の埋め込みは、電解質粒子を溶射等により水素透過性金属層22の表面に対して吹き付けることによって行なっても良い。上記のように水素透過性金属層22の表面に電解質粒子を埋め込む際には、電解質粒子が、充分に均一に分散した状態になることが望ましい。
その後、電解質粒子を埋め込んだ水素透過性金属層22の表面に、電解質膜121を形成する(ステップS220)。第5実施例の燃料電池が備える電解質膜121を形成する工程は、第1ないし第4実施例のように第1の層および第2の層を形成する工程に分かれておらず、一様な工程として行なえばよい。電解質膜121の形成は、例えば、既述したいずれかの実施例の第2の層を形成する工程と同様に、電解質が結晶化可能な条件で行なえば良く、電解質膜121全体として、例えば0.1〜6μmの厚みと成るように形成すれば良い。水素透過性金属層22上に電解質膜121を形成すると、次に、この電解質膜121上に、図2のステップS130と同様にカソード24を形成して(ステップS230)、MEA140を完成する。
上記のように水素透過性金属層22の表面に埋め込んだ電解質粒子は、電解質膜121を成膜する際には、結晶核として働く。すなわち、予め結晶核を強制的に形成しておくことにより、蒸着粒子は、成膜初期の段階から、基材表面で動き回って新たな結晶核を形成することなく、予め配置された結晶核に結合することができる。そのため、結晶核の成長がより早くから始まり、水素透過性金属層22との界面近傍において電解質の結晶粒径が大きくなる。このように、水素透過性金属層22との界面を含む領域の結晶性が向上するため、さらにその上に到達する蒸着粒子も、より大きな結晶を形成し易くなり、電解質膜121全体が柱状結晶化し易くなる。
以上のように構成された第5実施例の燃料電池の製造方法によれば、第1実施例と同様に、水素透過性金属層22との界面を含む領域における結晶性を向上させることができるため、電解質膜121全体の抵抗を抑制し、電解質膜121のプロトン伝導性を高め、このような電解質膜121を備える燃料電池の電池性能を向上させることができる。
G.第6実施例:
第1ないし第5実施例では、単一の方法により電解質膜を形成しているが、異なる構成としても良い。以下に第6実施例として、気相法以外の方法を含む異なる成膜方法を組み合わせることによって、水素透過性金属層との界面を含む領域の結晶性を向上させる構成を説明する。第6実施例の燃料電池は、第1実施例の燃料電池と同様の構成を備えるため、共通する部分についての詳しい説明は省略する。第6実施例の燃料電池では、水素透過性金属層22上に電解質膜21を成膜する際に、水素透過性金属層22との界面を含む第1の層を、結晶性がより高くなる成膜方法により形成している。すなわち、図2のステップS110に代えて、結晶性がより高くなる成膜方法により第1の層を形成する工程を行ない、ステップS120に代えて、上記第1の層の成膜方法よりも結晶性が低くなる成膜方法によって第2の層を形成する工程を行なう。
ここで、電解質から成る層の成膜方法としては、種々の方法が知られており、例えば、既述したPLDなどのPVD、CVDの他、スパッタ法、エアゾルデポジション法、ゾルゲル法、あるいは、粉末状の電解質を含むペーストを塗布して焼成する方法を挙げることができる。これらの成膜方法は、それぞれ、形成される膜の結晶性の程度が異なっており、これらの方法を、形成される膜の結晶性が高い順に並べると、上記の順序となる。第6実施例では、電解質膜21を形成する際に、第1の層を、結晶性がより高くなる成膜方法により形成すると共に、第2の層を、結晶性がより低くなる成膜方法により形成している。
以上のように構成された第6実施例の燃料電池の製造方法によれば、水素透過性金属層22との界面を含む領域における結晶性が高められているため、電解質膜21全体の抵抗を抑制し、電解質膜21のプロトン伝導性を高め、このような電解質膜21を備える燃料電池の電池性能を向上させることができる。
また、第1の層の結晶性が高められていることにより、第1の層上に成膜する成膜後段の工程では、異種材料から成る水素透過性金属層22上に成膜する場合には結晶性がより低くなる成膜方法を用いても、充分に結晶性が高い第2の層を形成することが可能となる。すなわち、水素透過性金属層22上に直接成膜する場合には、結晶性がより低くなる方法を用いても、電解質膜21全体を、柱状結晶から成る状態により近づけることができる。一般に、結晶性がより高くなる成膜方法ほど製造コストが高くなるため、上記のように製造方法を組み合わせることにより、製造コストを抑制しつつ、電解質膜21全体の結晶性を確保して、電解質膜21の抵抗を抑えることができる。
H.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
第1ないし第4実施例、および第6実施例では、電解質膜21は、第1の層および第2の層から成る2層構造としたが、異なる構成としても良い。例えば、第1の層および第2の層は、さらに複数の層に分かれており、それぞれの成膜条件、あるいは方法が異なることとしても良い。
また、既述した実施例の構成を複数組み合わせることとしても良い。例えば、第1実施例と第2実施例とを組み合わせて、第1の層の成膜条件を第2の層の成膜条件に比べて、成膜温度を高く設定すると共に成膜レートを遅く設定しても良い。あるいは、第1実施例と第5実施例とを組み合わせて、水素透過性金属層22表面に電解質粒子を埋め込むと共に、第1の層の成膜温度を第2の層の成膜温度よりも高く設定しても良い。
また、第1の層と第2の層とでは、既述した条件以外の成膜条件を異ならせても良い。電解質膜を成膜する際に、水素透過性金属層との界面を含む層を、他の領域に比べて結晶性が高まる条件、あるいは方法により成膜することにより、実施例と同様の効果を得ることができる。
単セル20の構成の概略を表わす断面模式図である。 MEA40の製造工程を表わす説明図である。 電解質膜の抵抗を測定した結果の一例を示す説明図である。 図3に膜厚と抵抗の関係の測定結果を示した単セルが備えるMEAの様子を表わす断面模式図である。 MEA140の製造工程を表わす説明図である。
符号の説明
20…単セル
21,121…電解質膜
22…水素透過性金属層
24…カソード
27,29…ガスセパレータ
30…単セル内燃料ガス流路
32…単セル内酸化ガス流路
40,140…MEA

Claims (10)

  1. 燃料電池の製造方法であって、
    水素透過性金属層を用意する第1の工程と、
    成膜材料である電解質が結晶化可能な条件で、前記水素透過性金属上に、前記水素透過性金属との界面を含む第1の層を形成する第2の工程と、
    成膜材料である電解質が結晶化可能な条件で、前記第1の層上に第2の層を形成する第3の工程と、
    を備え、
    前記第2の工程は、前記第3の工程に比べて、結晶性がより高くなる条件により成膜する工程である
    燃料電池の製造方法。
  2. 請求項1記載の燃料電池の製造方法であって、
    前記第1の層は、前記第2の層よりも薄く形成される
    燃料電池の製造方法。
  3. 請求項2記載の燃料電池の製造方法であって、
    前記第1の層の厚みは、10nm〜1μmである
    燃料電池の製造方法。
  4. 請求項1ないし3いずれか記載の燃料電池の製造方法であって、
    前記第3の工程は、柱状結晶の層を形成する工程である
    燃料電池の製造方法。
  5. 請求項1ないし4いずれか記載の燃料電池の製造方法であって、
    前記第2の工程は、前記第3の工程よりも、成膜温度が高い
    燃料電池の製造方法。
  6. 請求項1ないし4いずれか記載の燃料電池の製造方法であって、
    前記第2の工程は、前記第3の工程よりも、成膜レートが遅い
    燃料電池の製造方法。
  7. 請求項1ないし4いずれか記載の燃料電池の製造方法であって、
    前記第2の工程は、前記第3の工程よりも、成膜圧力が低い
    燃料電池の製造方法。
  8. 請求項1ないし4いずれか記載の燃料電池の製造方法であって、
    前記第2の工程は、外部からさらにエネルギを供給する工程である
    燃料電池の製造方法。
  9. 請求項1ないし4いずれか記載の燃料電池の製造方法であって、
    前記第2の工程は、前記第3の工程とは異なる成膜方法により成膜を行なう
    燃料電池の製造方法。
  10. 燃料電池の製造方法であって、
    水素透過性金属層を用意する第1の工程と、
    前記水素透過性金属層上に電解質層を形成する第2の工程と、
    を備え、
    前記第2の工程は、前記水素透過性金属層表面に、前記電解質から成る複数の電解質粒子を埋め込む工程と、前記電解質粒子を表面に埋め込んだ前記水素透過性金属層上に、成膜材料である前記電解質が結晶化可能な条件で前記電解質の層を成膜する工程と
    を備える燃料電池の製造方法。
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