JP2009059426A - 磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法、磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体用ガラス基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガラス基板における耐衝撃性を向上しつつ、ヘッドクラッシュやサーマル・アスペリティの発生頻度を抑制すること。
【解決手段】円盤状の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法において、ガラス基板1の端部3,4に形成されたクラックを、ガラス基板1と化学結合可能な結合剤を用いて埋める工程と、クラックが埋められたガラス基板1の端部3及び4を鏡面状態に研磨する鏡面研磨工程とを含むことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】円盤状の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法において、ガラス基板1の端部3,4に形成されたクラックを、ガラス基板1と化学結合可能な結合剤を用いて埋める工程と、クラックが埋められたガラス基板1の端部3及び4を鏡面状態に研磨する鏡面研磨工程とを含むことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法、磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体用ガラス基板に関し、特に、高密度記録を可能とする磁気記録媒体に用いられる磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法、磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体用ガラス基板に関する。
従来、磁気記録媒体のひとつであるハードディスクドライブ(HDD)等の磁気ディスク用基板としては、アルミニウム基板が広く用いられてきた。しかしながら、磁気ディスクの小型・薄型化及び高密度記録化に伴い、アルミニウム基板に比べ基板表面の平坦性及び基板強度に優れたガラス基板に徐々に置き換わりつつある。そして、近年、ノートパソコンや携帯オーディオプレイヤなどの携帯機器に大容量の磁気ディスクを搭載すべく、ガラス基板のサイズは縮小化の傾向にある。また、これらの携帯機器が落下した場合等に装置が壊れることがないように、磁気ディスク基板には高い耐衝撃性が要請されている。
ガラス基板はアルミニウム基板のような延性材料ではないため、特に端部加工時には微小クラックが発生しやすいことから、機械的強度の劣化はこのクラックを起点とする場合が多い。本発明者は、この機械的強度が基板端部に存在するクラックと関係があることに着目し、基板端部のクラックをなくすか、或いは低減させることでガラス基板の耐衝撃性を向上できることを見出した。
なお、従来、ガラス基板の端面における腐食を防止すべく、その内周端部又は外周端部にゾル・ゲル法によってSiO2膜を形成する記録媒体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この記録媒体の製造方法においては、ゾル・ゲル法によってSiO2膜を形成する際、プロピルアルコールよりも分子量が大きいアルコールを主成分とした溶媒を用いて薄くて均一なSiO2膜を形成する。これにより、基板端部に発生するクラックを低減でき、結果として耐衝撃性を向上することが可能となっている。
特開平7−29207号公報
しかしながら、上述した特許文献1記載の記録媒体の製造方法により製造した磁気ディスクをHDDに適用した場合には、ヘッドクラッシュやサーマル・アスペリティ(Thermal Asperity)が発生する頻度が高くなるという問題がある。このようなヘッドクラッシュやサーマル・アスペリティの発生頻度の問題は、特に、磁気ヘッドの磁気ディスクからの浮上高さ(フライングハイト)が7nm以下のような状況下で顕著となる。
そこで、本発明は、かかる問題点に鑑みて為されたものであり、ガラス基板における耐衝撃性を向上しつつ、ヘッドクラッシュやサーマル・アスペリティの発生頻度を抑制することができる磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法、磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体用ガラス基板を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らが上述したヘッドクラッシュやサーマル・アスペリティの発生頻度の上昇の原因を究明したところ、これらがガラス基板の端部近傍のパーティクル(塵埃)によって形成された凸部によって引き起こされていることがその原因であり、そのガラス基板上のパーティクルは、ガラス基板の端部から発生していることが判明した。つまり、特許文献1記載の記録媒体の製造方法においては、ガラス基板の端部表面が粗く、それ故、収納容器に出し入れする際や各工程で治具にて支持する際に微細なガラスの欠けが発生したり、収納容器が削れたりしてパーティクルが発生していると考えられる。
そこで、本発明者らは、ヘッドクラッシュやサーマル・アスペリティを引き起こすパーティクルの発生防止の観点からガラス基板を考察した。その結果、ゾル・ゲル法によってSiO2膜を形成する際、プロピルアルコールよりも分子量が大きいアルコールを主成分とした溶媒を用いて薄くて均一なSiO2膜を形成する従来の基板端部の処理レベルでは不十分であり、ヘッドクラッシュ等を引き起こすパーティクルが発生しないレベルまで基板端部を機械研磨等により精密研磨して、基板端部を従来にないレベルの鏡面とする必要があることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法は、円盤状の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法であって、前ガラス基板の端部に形成されたクラックを当該ガラス基板と化学結合可能な結合剤を用いて埋める工程と、クラックが埋められたガラス基板の端部を鏡面状態に研磨する鏡面研磨工程とを含むことを特徴とする。
この方法によれば、ガラス基板の端部に形成されたクラックを当該ガラス基板と化学結合可能な結合剤を用いて埋めることから、基板端部に形成されるクラックをなくし、或いは、低減できるので、ガラス基板における耐衝撃性を向上することが可能となる。また、クラックが埋められたガラス基板の端部を鏡面状態に研磨することから、基板端部から発生するパーティクルを防止できるので、当該パーティクルに起因するヘッドクラッシュやサーマル・アスペリティの発生頻度を抑制することが可能となる。
上記磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法においては、クラックを埋める工程の前に、ガラス基板の端部と当該ガラス基板の記録面を構成する主表面との間に面取面を形成する面取面形成工程を含むことが好ましい。この場合には、面取面形成工程の後にクラックを埋める工程が行われるので、面取面形成工程で基板端部に形成されたクラックを効果的に埋めると共に、そのクラックが埋められた基板端部を適切に鏡面状態に研磨することが可能となる。
また、上記磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法においては、面取面形成工程の後であってクラックを埋める工程の前に、ガラス基板の端部を研磨する研磨工程を含むようにしてもよい。この場合には、研磨工程の後にクラックを埋める工程が行われるので、研磨工程で基板端部に形成されたクラックを効果的に埋めると共に、そのクラックが埋められた基板端部を適切に鏡面状態に研磨することができる。
さらに、上記磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法において、ガラス基板の端部に化学強化処理を施すことが好ましい。この場合には、化学強化処理によりガラス基板における耐衝撃性を更に向上することが可能となる。
特に、上記磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法においては、クラックを埋める工程の前、或いは、クラックを埋める工程の後であって鏡面研磨工程の前に、化学強化処理を施すことが好ましい。この場合には、化学強化処理によって膨張した端部の寸法を調整できるため、ガラス基板の端部の公差を小さくすることが可能となる。特に、ガラス基板に円環形状を有する場合には、その内周端部における公差を小さくすることが可能となる。
例えば、上記磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法において、クラックを埋める工程は、ガラス基板の中央に形成された円穴の内周端部に形成されるクラックを結合剤で埋め、鏡面研磨工程は、当該クラックが埋められたガラス基板の内周端部を鏡面状態に研磨する。この場合には、ガラス基板の内周端部に形成されるクラックをなくし、或いは、低減できるので、ガラス基板の内周端部近傍における耐衝撃性を向上することが可能となる。また、クラックが埋められたガラス基板の端部を鏡面状態に研磨することから、ガラス基板の内周端部から発生するパーティクルを防止できるので、当該パーティクルに起因するヘッドクラッシュやサーマル・アスペリティの発生頻度を抑制することが可能となる。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造された磁気記録媒体用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする。
この方法によれば、ガラス基板の端部から発生するパーティクルが防止されることから、ガラス基板上に磁性層等を形成して磁気記録媒体を製造する際、そのパーティクルによってガラス基板の主表面に形成される凸部が発生するのを防止することができるので、ヘッドクラッシュやサーマル・アスペリティを抑制することが可能となる。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板は、鏡面状態に研磨された端部を有し、当該端部の一部に、ガラス基板の組成と異なる組成の部分が形成されることを特徴とする。例えば、上記磁気記録媒体用ガラス基板において、ガラス基板の組成と異なる組成の部分は、前記端部が鏡面状態に研磨される前に当該端部に形成されたクラックに対応する部分を含む。
これらの構成によれば、ガラス基板の端部が鏡面状態に研磨されていることから、基板端部から発生するパーティクルが防止されるので、当該パーティクルに起因するヘッドクラッシュやサーマル・アスペリティの発生頻度を抑制することが可能となる。また、ガラス基板の端部の一部に、ガラス基板の組成と異なる組成の部分を形成できることから、例えば、基板端部が研磨される前に発生したクラックを埋めることができる。これにより、基板端部に形成されるクラックをなくし、或いは、低減できるので、ガラス基板における耐衝撃性を向上することが可能となる。
本発明に係る磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法、磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体用ガラス基板によれば、ガラス基板の端部に形成されたクラックを当該ガラス基板と化学結合可能な結合剤を用いて埋めることから、基板端部に形成されるクラックをなくし、或いは、低減できるので、ガラス基板における耐衝撃性を向上することが可能となる。また、クラックが埋められたガラス基板の端部を鏡面状態に研磨することから、基板端部から発生するパーティクルを防止できるので、当該パーティクルに起因するヘッドクラッシュやサーマル・アスペリティの発生頻度を抑制することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下においては、本実施の形態に係る磁気記録媒体用ガラス基板(以下、単に「ガラス基板」という)の製造方法において製造されるガラス基板が、磁気記録媒体のひとつであるハードディスクドライブ(HDD)等の磁気ディスク用基板に適用される場合について示すが、これに限定されるものではない。
図1は、本実施の形態に係るガラス基板の製造方法において製造されるガラス基板の構造を説明する図である。図1においては、ハードディスクドライブ(HDD)などの磁気記録媒体に用いられる磁気ディスクの基体となるガラス基板を示している。図1に示すように、ガラス基板1は、円盤状のガラス基板の中心に円形状の穴(以下、「円穴」という)2を形成した円環状のガラスである。ガラス基板1の外周端部3には、平坦面31と面取面32とが形成されている。同様に、内周端部4にも、同様に平坦面41と面取面42とが形成されている。
本実施の形態に係るガラス基板の製造方法においては、図1に示すようなガラス基板1の製造工程でその端部(外周端部3及び内周端部4)に形成されるクラックを当該ガラス基板1と化学結合可能な結合剤を用いて埋める工程(以下、「クラックを埋める工程」という)と、クラックが埋められたガラス基板1の端部を鏡面状態に研磨する鏡面研磨工程とを含むことを特徴とする。
ここで、クラックを埋める工程においては、ガラス基板1の端部(外周端部3及び内周端部4)にガラス基板1と化学結合可能な結合剤を塗布することで、基板端部に形成されたクラックを埋める。ガラス基板1に対して、結合剤は、例えば、既知のゾル・ゲル法によって塗布される。この結合剤は、ガラス基板1と化学結合可能な結合剤で構成される。例えば、この結合剤は、ケイ素酸化物(SiO2)で構成されている。また、例えば、シランカップリング剤等も使用できる。
また、鏡面研磨工程においては、例えば、研磨剤、固定砥粒、遊離砥粒、スラリー等を使用した、研磨ブラシ、軟質ポリシャや硬質ポリシャ等の研磨パッド、砥石等による研磨などを適宜組み合わせた機械研磨(物理的、力学的研磨)による鏡面研磨等をガラス基板1の端部に施す。なお、これらの機械研磨は、必要な表面粗さの鏡面を得るため、異なる種類の機械研磨、或いは、ポリシャや研磨剤の種類や粒径等を異とする機械研磨等を適宜組み合わせて実施できる。
ここで、軟質ポリシャとしては、例えば、スウェード、ベロアを素材とするもの等が挙げられ、硬質ポリシャとしては、例えば、硬質ベロア、ウレタン発砲、ピッチ含浸スウェード等が挙げられる。また、研磨剤として、酸化セリウム(CeO2)、アルミナ(γ−Al2O3)、べんがら(Fe2O3)、酸化クロム(Cr2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)、ケイ素酸化物(SiO2)などが挙げられる。
なお、これらのクラックを埋める工程及び鏡面研磨工程は、ガラス基板1の端部にクラックが形成されるタイミングを考慮して、ガラス基板の製造工程におけるどの段階で行うかを決めることが好ましい。特に、これらのクラックを埋める工程と鏡面研磨工程とは、連続して行うようにしてもよいし、その間に別の工程(例えば、化学強化工程)を挟んで行うようにしてもよい。
ガラス基板の製造工程については後述するが、その概略を述べれば、(1)形状加工工程及び第1ラッピング工程、(2)端部形状工程(円穴2を形成するコアリング工程と、端部(外周端部3及び内周端部4)に面取面32、42を形成するチャンファリング工程(面取面形成工程))、(3)端部研磨工程(外周端部3及び内周端部4)、(4)第2ラッピング工程、(5)主表面研磨工程(第1及び第2研磨工程)、(6)化学強化工程、(7)テクスチャー処理工程を備えている。なお、端部研磨工程と第2ラッピング工程とは前後する場合もある。
このような複数の工程において、ガラス基板1の端部(外周端部3又は内周端部4)におけるクラックは、多くの場合、(1)コアリング工程、(2)チャンファリング工程及び(3)端部研磨工程において形成される。このため、これらの3つの工程において形成されるクラックを効果的に埋めると共に、当該クラックが埋められたガラス基板1の端部を適切に鏡面状態に研磨することができるタイミングでクラックを埋める工程及び鏡面研磨工程を行うことが好ましい。
例えば、(1)チャンファリング工程の後であって化学強化工程の前に、クラックを埋める工程及び鏡面研磨工程を行う場合、(2)チャンファリング工程及び端部研磨工程の後であって化学強化工程の前に、クラックを埋める工程及び鏡面研磨工程を行う場合、(3)化学強化工程の前に、クラックを埋める工程を行い、化学強化工程の後に、鏡面研磨工程を行う場合、(4)化学強化工程の後に、クラックを埋める工程及び鏡面研磨工程を行う場合などが挙げられる。
なお、(1)の場合には、チャンファリング工程の後であって化学強化工程の前で連続してこれらの工程を行うのであれば、第2ラッピング工程及び主表面研磨工程との前後は問わない。これらの工程を端部研磨工程よりも前に行う場合には、鏡面研磨工程で端部研磨工程を兼ねるようにしてもよい。(2)の場合には、端部研磨工程の後であって化学強化工程の前で連続してこれらの工程を行うのであれば、第2ラッピング工程及び主表面研磨工程との前後は問わない。(3)の場合には、化学強化工程を挟んでクラックを埋める工程及び化学強化工程を行うことが好ましい。(4)の場合には、化学強化工程の後であってテクスチャー処理工程の前に、クラックを埋める工程及び鏡面研磨工程を行うことが好ましい。
クラックを埋める工程及び鏡面研磨工程を(1)のタイミングで行う場合には、コアリング工程及びチャンファリング工程で基板端部に形成されたクラックを効果的に埋めると共に、クラックが埋められた基板端部を適切に鏡面状態に研磨することができる。また、これらの処理を(2)のタイミングで行う場合には、コアリング工程、チャンファリング工程及び端部研磨工程で基板端部に形成されたクラックを効果的に埋めると共に、クラックが埋められた基板端部を適切に鏡面状態に研磨することができる。さらに、これらの処理を(3)及び(4)のタイミングで行う場合には、化学強化処理によって膨張した端部(特に、内周端部)の寸法を調整できるため、ガラス基板1の端部(特に、内周端部)の公差を小さくすることができる。
このようにガラス基板1の製造工程でその端部に形成されるクラックを当該ガラス基板1と化学結合可能な結合剤を用いて埋めることから、基板端部に形成されるクラックをなくし、或いは、低減できるので、ガラス基板1における耐衝撃性を向上することが可能となる。また、クラックが埋められたガラス基板1の端部を鏡面状態に研磨することから、基板端部から発生するパーティクルを防止できるので、当該パーティクルに起因するヘッドクラッシュやサーマル・アスペリティの発生頻度を抑制することが可能となる。
次に、本発明に係る磁気記録媒体の製造方法において製造される磁気記録媒体について説明する。本発明の磁気記録媒体は、上述したガラス基板の製造方法で製造されたガラス基板1上に、少なくとも磁性層を形成したものである。
本発明の磁気記録媒体においては、ガラス基板1の端部(外周端部3及び内周端部4)からパーティクルが発生しないことから、ガラス基板1上に磁性層等を形成して磁気記録媒体を製造する際、そのパーティクルによってガラス基板1の主表面に形成される凸部が発生するのを防止することができるので、ヘッドクラッシュやサーマル・アスペリティを抑制することが可能となる。
磁気記録媒体は、通常、ガラス基板1上に、下地層、磁性層、保護層、潤滑層を順次積層して製造される。また、磁気記録媒体は、通常、所定の平坦度、表面粗さを有し、必要に応じ表面の化学強化処理を施したガラス基板1上に、下地層、磁性層、保護層、潤滑層を順次積層して製造される。なお、本発明の磁気記録媒体における下地層は、磁性層に応じて適宜、選択される。
下地層としては、例えば、Cr、Mo、Ta、Ti、W、V、B、Alなどの非磁性金属から選ばれる少なくとも一種以上の材料からなる下地層等が挙げられる。Coを主成分とする磁性層の場合には、磁気特性向上等の観点からCr単体やCr合金であることが好ましい。また、下地層は、単層とは限らず、同一又は異種の層を積層した複数層構造とすることもできる。例えば、Cr/Cr、Cr/CrMo、Cr/CrV、CrV/CrV、Al/Cr/CrMo、Al/Cr/Cr、Al/Cr/CrV、Al/CrV/CrV等の多層下地層等が挙げられる。
本発明の磁気記録媒体における磁性層の材料は、特に制限されるものではない。磁性層としては、例えば、Coを主成分とするCoPt、CoCr、CoNi、CoNiCr、CoCrTa、CoPtCr、CoNiPtや、CoNiCrPt、CoNiCrTa、CoCrTaPt、CoCrPtSiOなどの磁性薄膜が挙げられる。磁性層は、磁性膜を非磁性膜(例えば、Cr、CrMo、CrVなど)で分割してノイズの低減を図った多層構成(例えば、CoPtCr/CrMo/CoPtCr、CoCrTaPt/CrMo/CoCrTaPtなど)としてもよい。
磁気抵抗型ヘッド(MRヘッド)又は大型磁気抵抗型ヘッド(GMRヘッド)対応の磁性層としては、Co系合金に、Y、Si、希土類元素、Hf、Ge、Sn、Znから選択される不純物元素、又はこれらの不純物元素の酸化物を含有させたものなども含まれる。また、磁性層としては、上記の他、フェライト系、鉄−希土類系や、SiO2、BNなどからなる非磁性膜中にFe、Co、FeCo、CoNiPt等の磁性粒子が分散された構造のグラニュラーなどであってもよい。また、磁性層は、面内型、垂直型のいずれの記録形式であってもよい。
本発明の磁気記録媒体における保護層は、特に制限されるものではない。保護層としては、例えば、Cr膜、Cr合金膜、カーボン膜、ジルコニア膜、シリカ膜等が挙げられる。これらの保護膜は、下地層、磁性層等と共にインライン型スパッタ装置で連続して形成できる。また、これらの保護膜は、単層としてもよく、或いは、同一又は異種の膜からなる多層構成としてもよい。
本発明においては、上記保護層上に、或いは、上記保護層に替えて、他の保護層を形成してもよい。例えば、上記保護層に替えて、Cr膜の上にテトラアルコキシランをアルコール系の溶媒で希釈した中に、コロイダルシリカ微粒子を分散して塗布し、さらに焼成して酸化ケイ素(SiO2)膜を形成してもよい。
本発明の磁気記録媒体における潤滑層は、特に制限されるものではない。潤滑層は、例えば、液体潤滑剤であるパーフロロポリエーテル(PFPE)をフレオン系などの溶媒で希釈し、媒体表面にディッピング法、スピンコート法、スプレイ法によって塗布し、必要に応じ加熱処理を行って形成する。
[実施例1]
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明する。この実施例においては、以下の工程を経て、磁気記録媒体用ガラス基板及び磁気ディスクを製造した。実施例1においては、チャンファリング工程の後であって化学強化工程の前に、クラックを埋める工程及び鏡面研磨工程を行った。特に、実施例1においては、通常のガラス基板の製造工程に含まれる端部研磨工程を、上述した鏡面研磨工程で兼ねる場合について説明する。また、以下の説明では、2.5インチ型の磁気ディスク用ガラス基板および磁気ディスクを製造する例について説明するが、磁気ディスク用ガラス基板および磁気ディスクのサイズとしては、特に限定されるものではなく、例えば、1.8インチや1インチ、3.5インチのサイズのものであってもよい。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明する。この実施例においては、以下の工程を経て、磁気記録媒体用ガラス基板及び磁気ディスクを製造した。実施例1においては、チャンファリング工程の後であって化学強化工程の前に、クラックを埋める工程及び鏡面研磨工程を行った。特に、実施例1においては、通常のガラス基板の製造工程に含まれる端部研磨工程を、上述した鏡面研磨工程で兼ねる場合について説明する。また、以下の説明では、2.5インチ型の磁気ディスク用ガラス基板および磁気ディスクを製造する例について説明するが、磁気ディスク用ガラス基板および磁気ディスクのサイズとしては、特に限定されるものではなく、例えば、1.8インチや1インチ、3.5インチのサイズのものであってもよい。
(1)形状加工工程及び第1ラッピング工程
まず、溶融させたアルミノシリケートガラスを上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスによりディスク形状に成型し、アモルファスの板状ガラスを得た。なお、アルミノシリケートガラスとしては、化学強化用のガラスを使用した。この場合、ダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で形成したシートガラスから研削砥石で切り出して円盤状の磁気ディスク用ガラス基板を得てもよい。なお、ガラス基板の種類、サイズ及び厚さ等は、特に制限されるものではない。ここでは、化学強化処理が容易なアルミノシリケートガラスを用いているが、他の多成分ガラスや結晶化ガラスを用いてもよい。なお、化学強化処理により耐衝撃性を向上させることができる多成分ガラスが好ましい。
まず、溶融させたアルミノシリケートガラスを上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスによりディスク形状に成型し、アモルファスの板状ガラスを得た。なお、アルミノシリケートガラスとしては、化学強化用のガラスを使用した。この場合、ダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で形成したシートガラスから研削砥石で切り出して円盤状の磁気ディスク用ガラス基板を得てもよい。なお、ガラス基板の種類、サイズ及び厚さ等は、特に制限されるものではない。ここでは、化学強化処理が容易なアルミノシリケートガラスを用いているが、他の多成分ガラスや結晶化ガラスを用いてもよい。なお、化学強化処理により耐衝撃性を向上させることができる多成分ガラスが好ましい。
次に、この板状ガラスの両主表面をラッピング加工し、ディスク状のガラス母材とした。このラッピング加工は、遊星歯車機構を利用した両面ラッピング装置により、アルミナ系遊離砥粒を用いて行った。具体的には、板状ガラスの両面に上下からラップ定盤を押圧させ、遊離砥粒を含む研削液を板状ガラスの主表面上に供給し、これらを相対的に移動させてラッピング加工を行った。このラッピング加工により、平坦な主表面を有するガラス母材を得た。
(2)端部形状工程(コアリング、チャンファリング)
次に、円筒状のコアドリルを用いて、このガラス基板の中心部に円穴2を形成し、円環状のガラス基板とした(コアリング)。なお、このとき、2つのコアドリルを用いて、ガラス基板の両面からそれぞれ穴を形成した。そして、外周端部3及び内周端部4をダイヤモンド砥石によって研削し、所定の面取り加工を施した(チャンファリング)。
次に、円筒状のコアドリルを用いて、このガラス基板の中心部に円穴2を形成し、円環状のガラス基板とした(コアリング)。なお、このとき、2つのコアドリルを用いて、ガラス基板の両面からそれぞれ穴を形成した。そして、外周端部3及び内周端部4をダイヤモンド砥石によって研削し、所定の面取り加工を施した(チャンファリング)。
(3)クラックを埋める工程
次に、本発明の特徴であるガラス基板の端部に形成されたクラックを埋める工程を行った。具体的には、ガラス基板の端部(外周端部3及び内周端部4)に対して、ガラス基板と化学結合可能な結合剤を塗布することで、ガラス基板の端部に形成されたクラックを埋めた。このとき、ガラス基板を構成する原料と同一成分で構成される結合剤を用いた。具体的には、ガラス基板を回転させながら、ケイ素酸化物(SiO2)で構成される結合剤を塗布した。
次に、本発明の特徴であるガラス基板の端部に形成されたクラックを埋める工程を行った。具体的には、ガラス基板の端部(外周端部3及び内周端部4)に対して、ガラス基板と化学結合可能な結合剤を塗布することで、ガラス基板の端部に形成されたクラックを埋めた。このとき、ガラス基板を構成する原料と同一成分で構成される結合剤を用いた。具体的には、ガラス基板を回転させながら、ケイ素酸化物(SiO2)で構成される結合剤を塗布した。
(4)鏡面研磨工程
次に、クラックが埋められたガラス基板の端部について、ブラシ研磨方法により、鏡面研磨を行った。このとき、研磨砥粒としては、酸化セリウム砥粒を含むスラリー(遊離砥粒)を用いた。また、内周端部4については、磁気研磨法により鏡面研磨を行った。そして、鏡面研磨工程を終えたガラス基板を水洗浄した。この鏡面研磨工程により、ガラス基板の端部は、パーティクル等の発塵を防止できる鏡面状態に加工された。これにより、ガラス基板の直径は63.5mmとなり、2.5インチ型磁気ディスクに用いる基板とすることができる。
次に、クラックが埋められたガラス基板の端部について、ブラシ研磨方法により、鏡面研磨を行った。このとき、研磨砥粒としては、酸化セリウム砥粒を含むスラリー(遊離砥粒)を用いた。また、内周端部4については、磁気研磨法により鏡面研磨を行った。そして、鏡面研磨工程を終えたガラス基板を水洗浄した。この鏡面研磨工程により、ガラス基板の端部は、パーティクル等の発塵を防止できる鏡面状態に加工された。これにより、ガラス基板の直径は63.5mmとなり、2.5インチ型磁気ディスクに用いる基板とすることができる。
(5)第2ラッピング工程
次に、得られたガラス基板の両主表面について、第1ラッピング工程と同様に、第2ラッピング加工を行った。この第2ラッピング工程を行うことにより、前工程である端部形状工程や鏡面研磨工程において主表面に形成された微細な凹凸形状を予め除去しておくことができ、後続の主表面に対する研磨工程を短時間で完了させることができるようになる。
次に、得られたガラス基板の両主表面について、第1ラッピング工程と同様に、第2ラッピング加工を行った。この第2ラッピング工程を行うことにより、前工程である端部形状工程や鏡面研磨工程において主表面に形成された微細な凹凸形状を予め除去しておくことができ、後続の主表面に対する研磨工程を短時間で完了させることができるようになる。
(6)主表面研磨工程
主表面研磨工程として、まず第1研磨工程を施した。この第1研磨工程は、上述したラッピング工程において主表面に残留したキズや歪みの除去を主たる目的とするものである。この第1研磨工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、硬質の研磨パッドを用いて、主表面の研磨を行った。研磨剤としては、酸化セリウム砥粒を用いた。そして、この第1研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水(1)、純水(2)、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。
主表面研磨工程として、まず第1研磨工程を施した。この第1研磨工程は、上述したラッピング工程において主表面に残留したキズや歪みの除去を主たる目的とするものである。この第1研磨工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、硬質の研磨パッドを用いて、主表面の研磨を行った。研磨剤としては、酸化セリウム砥粒を用いた。そして、この第1研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水(1)、純水(2)、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。
次に、主表面研磨工程として、第2研磨工程を施した。この第2研磨工程は、主表面を鏡面状に仕上げることを目的とする。この第2研磨工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、軟質の研磨パッドを用いて、主表面の鏡面研磨を行った。研磨剤としては、第1研磨工程で用いた酸化セリウム砥粒よりも微細な酸化セリウム砥粒を用いた。そして、この第2研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤(1)、中性洗剤(2)、純水(1)、純水(2)、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。なお、各洗浄槽には、超音波を印加した。
(7)化学強化工程
次に、上述したラッピング工程及び研磨工程を終えたガラス基板に、化学強化を施した。化学強化は、硝酸カリウム(60%)と硝酸ナトリウム(40%)を混合した化学強化溶液を用意し、この化学強化溶液を380°Cに加熱し、その中に洗浄済みのガラス基板を約4時間浸漬することによって行った。この浸漬の際には、ガラス基板の表面全体が化学強化されるようにするため、複数のガラス基板が端面で保持されるように、ホルダーに収納した状態で行った。
次に、上述したラッピング工程及び研磨工程を終えたガラス基板に、化学強化を施した。化学強化は、硝酸カリウム(60%)と硝酸ナトリウム(40%)を混合した化学強化溶液を用意し、この化学強化溶液を380°Cに加熱し、その中に洗浄済みのガラス基板を約4時間浸漬することによって行った。この浸漬の際には、ガラス基板の表面全体が化学強化されるようにするため、複数のガラス基板が端面で保持されるように、ホルダーに収納した状態で行った。
このように、化学強化溶液に浸漬処理することによって、ガラス基板の表層のリチウムイオン及びナトリウムイオンが、化学強化溶液中のナトリウムイオン及びカリウムイオンにそれぞれ置換され、ガラス基板が強化される。ガラス基板の表層に形成された圧縮応力層の厚さは、約100μm前後であった。
化学強化処理を終えたガラス基板を、20°Cの水槽に浸漬して急冷し、約10分間維持した。そして、急冷を終えたガラス基板を、約40°Cに加熱した濃硫酸に浸漬して洗浄を行った。さらに、硫酸洗浄を終えたガラス基板を、純水(1)、純水(2)、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して洗浄した。なお、各洗浄槽には超音波を印加した。
このように、第1ラッピング工程、端部形状工程、クラックを埋める工程、鏡面研磨工程、第2ラッピング工程、主表面研磨工程(第1及び第2研磨工程)、精密洗浄、化学強化工程を施すことにより、平坦、かつ、平滑な、高剛性の磁気記録媒体用のガラス基板を得た。
(8)精密洗浄工程
次に、上記ガラスディスクの精密洗浄を行った。これは、ヘッドクラッシュやサーマル・アスペリティの原因となる研磨剤残渣などを除去し、表面が平滑で清浄なガラス基板を得るためのものである。この精密洗浄工程は、以下の一連の洗浄工程を含む。
次に、上記ガラスディスクの精密洗浄を行った。これは、ヘッドクラッシュやサーマル・アスペリティの原因となる研磨剤残渣などを除去し、表面が平滑で清浄なガラス基板を得るためのものである。この精密洗浄工程は、以下の一連の洗浄工程を含む。
まず、洗浄液による洗浄工程を実施した。この洗浄液は、アルカリ性の薬液を用いた。ガラスディスクをこの洗浄液に浸漬させた上で揺動させながら2分間洗浄した。なお、このとき、洗浄液の温度は50℃とし、超音波を加えて洗浄効果を高めるようにした。
次に、水リンス洗浄工程を2分間行った。これは、上述した洗浄で用いた洗浄液の残渣を除去するためのものである。そして、IPA洗浄工程を2分間行った。これは、ガラスディスクを洗浄すると共に、ガラス基板上の水を除去するためのものである。最後に、IPA蒸気乾燥工程を2分間行った。これは、ガラス基板に付着している液状IPAをIPA蒸気により除去しつつ乾燥させるためのものである。
(9)磁気ディスク製造工程
上述した工程を経て得られたガラス基板の両面に、枚葉式のスパッタリング装置を用いて、シード層、Cr下地層、CrMo下地層、CoPtCrTa磁性層、水素化カーボン保護層を成膜し、ディップ法によりパーフルオロポリエーテル潤滑層を形成して磁気ディスクを作製した。
上述した工程を経て得られたガラス基板の両面に、枚葉式のスパッタリング装置を用いて、シード層、Cr下地層、CrMo下地層、CoPtCrTa磁性層、水素化カーボン保護層を成膜し、ディップ法によりパーフルオロポリエーテル潤滑層を形成して磁気ディスクを作製した。
[実施例2]
実施例2においては、チャンファリング工程及び端部研磨工程の後であって化学強化工程の前に、クラックを埋める工程及び鏡面研磨工程を行った。特に、実施例2においては、端部研磨工程の後であって、第2ラッピング工程の前にクラックを埋める工程及び鏡面研磨工程を行う場合について説明する。すなわち、実施例2においては、上述した(1)形状加工工程及び第1ラッピング工程、(2)端部形状工程を行った後、(3)クラックを埋める工程を行う前に、端部研磨工程を行った。なお、この(3)クラックを埋める工程以降の工程については、実施例1と同様である。
実施例2においては、チャンファリング工程及び端部研磨工程の後であって化学強化工程の前に、クラックを埋める工程及び鏡面研磨工程を行った。特に、実施例2においては、端部研磨工程の後であって、第2ラッピング工程の前にクラックを埋める工程及び鏡面研磨工程を行う場合について説明する。すなわち、実施例2においては、上述した(1)形状加工工程及び第1ラッピング工程、(2)端部形状工程を行った後、(3)クラックを埋める工程を行う前に、端部研磨工程を行った。なお、この(3)クラックを埋める工程以降の工程については、実施例1と同様である。
この端部研磨工程においては、基板端部に残留しているダメージ(潜傷)を取り除くことを目的とする。この端部研磨工程においては、内周端部4の研磨を行った後、外周端部の研磨を行う。内周端部4の研磨においては、2枚のガラス基板の間にスペーサを挟み、これらを筒状に形成する。そして、この筒状のガラス基板を治具で固定して、円穴2にナイロンブラシが取り付けられた棒を挿入すると共に、この筒状のガラス基板を酸化セリウム分散液に漬ける。その後、この棒を回転させることにより内周端部4の研磨を行った。外周端部3の研磨においては、上記筒状のガラス基板に対して、外側から高速で回転しているブラシを押し付ける一方、酸化セリウム分散液を高圧で大量に噴射することで研磨を行った。
[比較例]
ここで、上述した実施例1及び実施例2と、上述した(3)クラックを埋める工程及び(4)鏡面研磨工程のいずれかのみを行った比較例1及び比較例2との効果の差異について説明する。なお、比較例1は、上述した(3)クラックを埋める工程のみを、(2)端部形状工程の後に行った場合である。比較例2は、上述した(4)鏡面研磨工程のみを、(2)端部形状工程の後に行った場合である。なお、比較例2においては、実施例1と同様に、端部研磨工程をこの鏡面研磨工程で兼ねるように処理を行っている。これらの効果の差異として、抗折強度、基板端部におけるパーティクルの有無、並びに、基板端部におけるクラックの有無について調査し、以下の(表1)を得た。なお、基板端部におけるパーティクルの有無及びクラックの有無についてはビデオスコープを用いて観察した。
ここで、上述した実施例1及び実施例2と、上述した(3)クラックを埋める工程及び(4)鏡面研磨工程のいずれかのみを行った比較例1及び比較例2との効果の差異について説明する。なお、比較例1は、上述した(3)クラックを埋める工程のみを、(2)端部形状工程の後に行った場合である。比較例2は、上述した(4)鏡面研磨工程のみを、(2)端部形状工程の後に行った場合である。なお、比較例2においては、実施例1と同様に、端部研磨工程をこの鏡面研磨工程で兼ねるように処理を行っている。これらの効果の差異として、抗折強度、基板端部におけるパーティクルの有無、並びに、基板端部におけるクラックの有無について調査し、以下の(表1)を得た。なお、基板端部におけるパーティクルの有無及びクラックの有無についてはビデオスコープを用いて観察した。
表1から分かるように、抗折強度については、実施例1及び実施例2のいずれも優れていた。一方、比較例1においては、若干の強度不足が見受けられ、比較例2においては、強度不足が見受けられた。基板端部におけるパーティクルの有無については、実施例1において殆ど見つからず、実施例2において全く見つからなかった。一方、比較例1においては、基板端部におけるパーティクルが見つかっており、比較例2においては、若干のパーティクルが見つかった。基板端部におけるクラックの有無については、実施例1において殆ど見つからず、実施例2において全く見つからなかった。一方、比較例1においては、鏡面状態となっていないものの、基板端部におけるクラックが殆ど見つからず、比較例2においては、若干のクラックが見つかった。
このことから、実施例1及び実施例2のいずれの製造工程でガラス基板1を作った場合においても、基板端部に形成されるクラックがなくなり、或いは、低減されるので、ガラス基板1における耐衝撃性を向上できることが分かる。また、基板端部から発生するパーティクルが防止されるので、当該パーティクルに起因するヘッドクラッシュやサーマル・アスペリティの発生頻度を抑制できることが分かる。特に、実施例2の製造工程でガラス基板1を作った場合には、実施例1よりも基板端部におけるパーティクル及びクラックの発生率が低いことから、より耐衝撃性を向上できると共に、ヘッドクラッシュ等の発生頻度を抑制することができることが分かる。
本発明は、ガラス基板の端部に形成されたクラックを、ガラス基板と化学結合可能な結合剤を用いて埋め、クラックが埋められたガラス基板の端部を鏡面状態に研磨することで、ガラス基板における耐衝撃性を向上しつつ、ヘッドクラッシュやサーマル・アスペリティの発生頻度を抑制するものであり、産業上の利用可能性を有する。
1 ガラス基板(磁気記録媒体用ガラス基板)
2 円穴
3 外周端部
31、41 平坦面
32、42 面取面
4 内周端部
2 円穴
3 外周端部
31、41 平坦面
32、42 面取面
4 内周端部
Claims (9)
- 円盤状の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法であって、
前記ガラス基板の端部に形成されたクラックを当該ガラス基板と化学結合可能な結合剤を用いて埋める工程と、前記クラックが埋められた前記ガラス基板の端部を鏡面状態に研磨する鏡面研磨工程とを含むことを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。 - 前記クラックを埋める工程の前に、前記ガラス基板の端部と当該ガラス基板の記録面を構成する主表面との間に面取面を形成する面取面形成工程を含むことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
- 前記面取面形成工程の後であって前記クラックを埋める工程の前に、前記ガラス基板の端部を研磨する研磨工程を含むことを特徴とする請求項2記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
- 前記ガラス基板の端部に化学強化処理を施すことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
- 前記クラックを埋める工程の前、或いは、前記クラックを埋める工程の後であって前記鏡面研磨工程の前に、前記化学強化処理を施すことを特徴とする請求項4記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
- 前記クラックを埋める工程は、前記ガラス基板の中央に形成された円穴の内周端部に形成されるクラックを前記結合剤で埋め、前記鏡面研磨工程は、当該クラックが埋められた前記ガラス基板の内周端部を鏡面状態に研磨することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
- 請求項1から請求項6のいずれかに記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造された磁気記録媒体用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
- 鏡面状態に研磨された端部を有し、当該端部の一部に、ガラス基板の組成と異なる組成の部分が形成されることを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板。
- 前記ガラス基板の組成と異なる組成の部分は、前記端部が鏡面状態に研磨される前に当該端部に形成されたクラックに対応する部分を含むことを特徴とする請求項8記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007226323A JP2009059426A (ja) | 2007-08-31 | 2007-08-31 | 磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法、磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体用ガラス基板 |
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2007
- 2007-08-31 JP JP2007226323A patent/JP2009059426A/ja not_active Withdrawn
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