JP2009058750A - 平版印刷版用現像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】平版印刷版用現像装置で、現像液の粘度が高い場合に搬送不良が発生して搬送速度が変化するために現像時間が変化し現像不良となる欠点を解決するためになされたものであり、高品質の平版印刷版を作成することが可能な現像装置を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも現像処理槽を備え、平版印刷版を現像処理槽に満たされた現像現像液内で搬送して現像する平版印刷版用現像装置において、処理槽6中の平版印刷版4の裏面に接触する少なくとも1本の搬送用ローラ22bの表面を繊維質材料または凹凸表面形状とすることで、搬送ローラ22bによる平版印刷版4の搬送を確実に実施する。
【選択図】図1

Description

本発明は、平版印刷版を作製する平版印刷版用現像装置に関するもので、特に画像露光された平版印刷版を加熱する前加熱部と現像部を有する現像装置に関する。
一般に、平版印刷版は、印刷過程でインキを受容する親油性の画像部と、湿し水を受容する親水性の非画像部とからなる。平版印刷は、水と印刷インキが互いに反発する性質を利用して、平版印刷版の親油性の画像部をインキ受容部、親水性の非画像部を湿し水受容部(インキ非受容部)として、平版印刷版の表面にインキの付着性の差異を生じさせ、画像部のみにインキを着肉させた後、紙などの被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
この平版印刷版を作製するため、従来、親水性の支持体上に親油性の感光性樹脂層(画像記録層)を設けてなる平版印刷版原版(PS版)が広く用いられている。通常は、平版印刷版原版を、リスフィルムなどの原画を通した露光を行った後、画像記録層の画像部となる部分を残存させ、それ以外の不要な画像記録層をアルカリ性現像液または有機溶剤によって溶解除去し、親水性の支持体表面を露出させて非画像部を形成する方法により製版を行って、平版印刷版を得ている。
従来の平版印刷版原版の製版工程においては、露光の後、不要な画像記録層を現像液などによって溶解除去する工程が必要であるが、環境、安全上、より中性域に近い現像液での処理や少ない廃液が課題として挙げられている。特に、近年、地球環境への配慮から湿式処理に伴って排出される廃液の処分が産業界全体の大きな関心こととなっているので、上記課題の解決の要請は一層強くなってきている。
一方、近年、画像情報をコンピュータで電子的に処理し、蓄積し、出力する、デジタル化技術が広く普及してきており、このようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきている。これに伴い、レーザー光のような高収斂性の輻射線にデジタル化された画像情報を担持させて、その光で平版印刷版原版を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート技術が注目されてきている。従って、このような技術に適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題の一つとなっている。
上述のように、現像液の低アルカリ化、処理工程の簡素化は、地球環境への配慮と小スペース、低ランニングコストへの適合化との両面から、従来にも増して強く望まれるようになってきている。しかし前述のように現像処理工程は一般に画像露光された平版印刷版を加熱する前加熱部で加熱した後、保護層を除去するための前水洗部で保護層を除去した後、pH10以上のアルカリ現像液で現像し、更に水洗浴にてアルカリ剤を流し、その後、親水性樹脂を主とするガム液で処理し、版面を乾燥するという6つの工程からなっている。(特許文献1)
また、例えば、特許文献2には、pH10〜12.5のノニオン界面活性剤を含むアルカリ液での現像法が提案されているが、感光性組成物にアルカリ可溶ポリマーを含有することでなっており、それ以下のpHにすると現像できなくなるという問題がある。
そこで、pH2〜10の現像液を用いて処理する方法が特許文献3で提案されている。
特開2003−107728号公報 特開2002−91016号公報 特開2006−39468号公報
ところが、画像露光された平版印刷版を加熱する前加熱部を有していないため、耐刷性が劣るという問題があった。そこで、100℃前後の前加熱部を設けると耐刷性が向上することが知られているが、前水洗部無しに現像処理すると、感光物が光重合型であり酸素による重合阻害を抑止するために設けられた保護層が現像液に溶解することになり、次第に現像液粘度が上昇するために、処理槽内の搬送ローラのローラ表面と印刷版との間に粘度の高くなった現像液層が存在するようになり、搬送ローラと印刷版との接触を妨げ、印刷版とローラ表面でスリップが発生し、搬送できなくなる問題が生じた。
本発明は、画像露光された平版印刷版を加熱する前加熱部と、前水洗部、現像部、水洗部、ガム部、及び乾燥部からなる従来の平版印刷版の現像装置の欠点、すなわち、現像液の粘度が高い場合に搬送不良が発生して搬送速度が変化するために現像時間が変化してしまい、遅い部分は過現像に、また速い部分は現像不足となる欠点を解決するためになされたものであり、高品質の平版印刷版を作成することが可能な現像装置とその方法を提供することを目的とする。前記処理部のうち、前水洗部、水洗部及びガム部を除いたものでも、本質的な問題の内容は同じであり、特に区別することはない。
本発明の上記目的は、下記平版印刷版用現像装置によって達成される。
(1)少なくとも現像処理ゾーンを備え、平版印刷版を搬送手段で現像処理ゾーン内を搬送させるとともに現像液に接触させ現像する平版印刷版用現像装置において、
前記処理ゾーン中の前記平版印刷版の裏面に接触する少なくとも1本の搬送用ローラの表面材質が、繊維質材料であることを特徴とする平版印刷版用現像装置。
平版印刷版用の自動現像機の現像処理ゾーンとは現像処理を行う部分を言い、これには大別して水平搬送型と浸漬搬送型がある。前者は版を水平に搬送しながら、スプレーパイプから現像液を版面に供給し、ブラシロールで擦って非画像部を除去する水平搬送方式、後者は版を下に凸の形状に湾曲させながら、静置された現像槽中の液中を搬送し、ブラシロールで擦る浸漬型搬送方式である。いずれの方式でも、一般的に印刷版の搬送力は、1対の回転するローラとそれに挟持された印刷版の表裏面との摩擦力によって生じる。現像液の粘度が高い場合には、ローラニップ圧で版表面とゴムローラ表面との間に液膜が形成されて(液膜が排除されずに残留する。)、摩擦力が著しく減じられて搬送力を生じなくなる。画像を有する表面にはダメージ防止のため通常は平滑なゴムローラを接触させることが望ましい。そこで裏面側に繊維質表面のローラを接触させて、摩擦力の確保を図る。
上記平版印刷版用現像装置のように、平版印刷版の裏面に接触する少なくとも1本の搬送用ローラの表面材質を繊維質材料とすることにより、ローラニップ圧で裏面に押し付けられると、繊維表面の一部と平滑な印刷版表面の一部との間には、粘度が高まった現像液が存在しない(圧力で液が排除された)部分が形成され、その部分は、本来の繊維と印刷版の裏面との摩擦力が働き、その摩擦力が多数の繊維によって合成されて版の搬送力を生じせしめる。特に、太さが5μm〜500μmの繊維状部材で顕著となる。
搬送ローラ表面の繊維質材料としては、織物、編み物、不職布、天然皮革、人工皮革、等が適用可能である。そして、最表面層が太さ5μm〜500μmの繊維状の物質で形成
されたものが好ましい。更に、繊維の材料としては、天然繊維、化学繊維、金属極細線などで良い。このような表面材質の搬送ローラを用いると、処理剤の粘度が50cps程度になっても平版印刷版がスリップすることなく安定に搬送される。なお、上記の繊維質材料のうち耐久性、柔軟性、加工性、製造コストの点で最も好適なのは人工皮革の裏面の毛羽立ち面である。
(2)少なくとも現像処理ゾーンを備え、平版印刷版を搬送手段で現像処理ゾーン内を搬送させるとともに現像液に接触させ現像する平版印刷版用現像装置において、前記処理ゾーン中の前記平版印刷版の裏面に接触する少なくとも1本の搬送用ローラの表面形状が凹凸状に加工されていることを特徴とする平版印刷版用現像装置。
上記平版印刷版用現像装置のように凹凸状に表面加工された搬送用ローラの構成でも、原理的には上記(1)に関して説明した作用と同様で、凹凸表面の凸部と平滑な印刷版表面の一部との間に、粘度が高まった現像液が排除された部分が形成され、本来のローラ表面と印刷版の裏面との摩擦力が働き、その摩擦力が多数の凸部接触部分によって合成されて版の搬送力を生じせしめる。
凹凸の形状の例としては、深さ0.3〜2.0mm、幅0.5〜2.0mm、任意の断面形状の溝をローラ表面に沿ってスパイラル状または帯状に3〜20本/cmのピッチで加工形成する、あるいは高さ0.3〜2.0mm、直径または一辺0.5〜2.0mmの円柱または角柱形状の凸部を15〜150個/cmの分布で加工形成する。表面材質は、金属、樹脂、ゴムなどの弾性材料、などが好適である。
(3)前記(1)または(2)において、現像液の粘度が5〜50cpsであることを特徴とする平版印刷版用現像装置。
現像液の粘度を決定する要因は、現像液処方、画像保護層、及び/または、画像形成材料の非画像部に相当する部分の溶解、及び、溶解物質と処理剤成分の相互作用がある。材料については詳細を後述する。
(4)前記(1)〜(3)のいずれか1項において、平版印刷版の感光物が光重合型であることを特徴とする平版印刷版用現像装置。
光重合型感材を用いたコンピューター・トゥー・プレートシステムは、感光感度が高いため、製版スピードが速く印刷市場で広く用いられており、当業界にとって欠かせない重要な製版システムになっている。感光物が光重合型の場合は、光反応性を阻害する空気中の酸素の浸透を遮断するために、最表層にポリビニルアルコールなどで形成される保護層を設ける場合が多い。露光後、現像直前に前水洗部で保護層を除去する場合は保護層の溶解による処理剤粘度の上昇はないが、装置のコンパクト化や水洗廃液の減少を目的に、前水洗部なしで保護層を保持したまま、印刷版を現像すると、保護層が処理剤中に溶解し、液粘度が上昇する。光重合型感材については、詳細を後述する。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか1項において、現像液の成分として水溶性高分子化合物を含むことを特徴とする平版印刷版用現像装置。
現像液の粘度を決定する要因として、現像液処方、画像保護層、及び/または、画像形成材料の非画像部に相当する部分の溶解、及び、溶解物質と処理剤成分の相互作用があり、現像液の成分として水溶性高分子化合物が利用される場合も粘性に大きく関係する。
(6)前記(1)〜(5)のいずれか1項において、現像液中の版の搬送ラインが下に凸の形状をしている浸漬型平版印刷版用現像機に関することを特徴とする平版印刷版用現像装置。
通常の搬送ラインとしては、水平かつ直線的に搬送する水平搬送型と、版を下に凸形状に湾曲させて搬送する浸漬型がある。このうち、特に後者の場合には、湾曲させるためのガイド部材に接触しながら搬送するので、搬送力に対する抵抗力が水平搬送型よりも大きくなり、高粘度の処理剤の場合には搬送速度が変動しやすかった。現像装置の構造については詳細を後述する。
本発明によれば、現像液の粘度が高い場合でも平版印刷版用現像装置内での版の搬送速度を一定に保つことができるので、搬送速度に起因する処理ムラが発生しないため、一定品質の平版印刷版を生産することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
〈第1実施形態〉
図1は、本発明の第1実施形態に係る平版印刷版用現像装置の構成図である。
図1に示すように、この平版印刷版用現像装置2は、感光性平版印刷版(以下「PS版」という。)4を現像しかつガム処理も行なう現像部6と、現像後のPS版4を乾燥する乾燥部10とを備えている。
平版印刷版用現像装置2の側板12には挿入口14が形成され、挿入口14から挿入されたPS版4は、画像形成する表面を上側に向けて搬送ローラ(搬入ローラ)16により現像部6へ搬送される。挿入口14には、ゴムブレード18が備えられ、PS版4が挿入されていないとき、挿入口14はゴムブレード18により閉じられている。
現像部6の現像槽20内には、搬送方向上流側から順に、搬送ローラ22、ブラシローラ24、スクイズローラ26が備えられ、これらの間の適所にバックアップローラ28が備えられている。PS版4は搬送ローラ22により搬送されながら現像液中を浸漬されてブラシローラ24を回転させることによりPS版4の非画像部の除去を行なって現像処理される。処理する版の長さが十分長く、現像槽20を上流と下流でカバーする搬入ローラ16から搬送ローラ38に1版で渡る長さであれば、現像液の粘度が高くなっても搬送ローラ22bは通常通りのゴムローラで問題なく搬送される。ところが、印刷機に合わせて版の長さが短いもの、例えば、搬入ローラ16と搬送ローラ22の間の距離よりわずかに大きいサイズの版では、ブラシローラ24で擦られている間に、搬送ローラ22でのみ搬送される時間が存在する。この場合、ブラシローラ24の擦り摩擦力が現像槽20内の全ローラによる摩擦搬送力を上回るとローラと版は許容範囲を超えたスリップを起こす。そのため、これを防止するために、搬送ローラ22と対となる搬送ローラ22bの表面材質を繊維質材料とした構造のローラとする。更に、スクイズローラ26と対となる搬送ローラ26bについても表面材質を繊維質材料とした構造のローラとしてもよい。
この現像槽20で現像処理されたPS版4はスクイズローラ26と搬送ローラ(搬出ローラ)26bにより次の乾燥10へ搬送される。
乾燥部10は、搬送方向上流側から順に、ガイドローラ36、一対の串ローラ38が設けられている。また、乾燥部10には図示しない温風供給手段、発熱手段等の乾燥手段が設けられている。乾燥部10には排出口40が設けられ、乾燥手段により乾燥されたPS版4は排出口40から排出される。また、乾燥部10と現像部6との間の通路にはシャッター44が設けられ、PS版4が通路46を通過していないとき、通路46はシャッター44により閉じられている。
現像槽20には槽壁と一体に箱状の遮蔽蓋60が設けられている。遮蔽蓋60の底壁は、搬送ローラ22、ブラシローラ24、バックアップローラ28の上部外周面と接触しないように、円弧状に連続して湾曲し、ローラ等と干渉しないようになっている。
遮蔽蓋60が箱状であることにより、現像槽20の上部に気密空間が画成されており、現像部6内の空気量ができる限り少なくされている。また、遮蔽蓋60が設けられていることにより、現像液と空気との接触面積ができる限り少なくされている。
上記構成の平版印刷版用現像装置2は、その入口にゴムブレード62が搬入ローラ16に接触状態で配設され、現像部6が外部雰囲気に対して実質的に気密に構成されており、外気が流入しないようになっている。また、現像部6の出口にもゴムブレード62が搬出ローラ26に接触状態で配設され、実質的に気密に構成されており、乾燥部10内の空気が現像部6に流入しないようになっている。したがって、現像部6はPS版4の通過時には空気が若干流入するものの、実質的に気密であり、空気がほとんど流入しない密閉型構成である。なお、種々の必要な情報を視覚で知らせる表示装置98と聴覚で知らせる警報装置99が備えられている。
次に、現像部6について詳述する。
現像槽20には、現像液の第1循環用配管80が接続される。第1循環用配管80中には、現像液循環用ポンプ71、電導度センサ73及びフィルタ(図示せず)がそれぞれ設けられる。
現像液循環用ポンプ71は、現像槽20内の現像液を、現像槽20底部の吸入孔から第1循環用配管80中に吸入させるとともに、第1循環用配管80中を流通させ、再び現像槽20中に吐出させる。前記フィルタは、第1循環用配管80中を流れる現像液を濾過する。前記電導度センサ73は、第1循環用配管80中を流れる現像液の電導度を測定する。
また、現像部6には、第2循環用配管90と、第2循環用配管90に接続される現像液貯留タンク55と、第2循環用配管90に介在される現像液供給ポンプ74とが設けられ、現像槽20からオーバーフローした現像液は第2循環用配管90を介して現像液貯留タンク55に戻される。
具体的に説明すると、現像槽20近傍には、現像液58を補充する第2循環用配管90,90aが一対設けられる。現像液58の第2循環用配管90は、他端(図1中下端)を外部タンク55に接続されており、配管中には、現像液供給ポンプ74が設けられている。現像液供給ポンプ74は、現像液58を外部タンク55から現像槽20に計量して供給する。即ち、第2循環用配管90、現像液供給ポンプ74、外部タンク55によって現像液循環手段が構成されている。
上記現像液供給ポンプ74は、版検出センサ27及び時間計測部52に基づいて、現像
液の補充条件等が記憶された制御ROM及びRAM(第1記憶手段、第2記憶手段に相当)51及び時間計測部52を備えた制御装置(第1〜第4制御手段に相当)50によって制御される。即ち、制御装置50は、版が搬送されてきたかどうかの有無及びその搬送された版の版面積等を測定可能な版検出センサ27から信号に基づいて、現像液供給ポンプ74を制御し、平版印刷版用現像装置2の実際の運転条件に合わせて設定された現像液の制御ROM及びRAM51によって記憶された補充条件に基づいて補充を行う。これにより制御装置50は、補充条件に見合う量の現像液58を現像液貯留タンク55から例えば版1枚毎の処理毎に補充する。ここで、処理補充としては、版1枚毎とせず、複数の版が通過した後に補充する等して構成してもよい。
この平版印刷版用現像装置2では、搬入側の搬送ローラ対16を通過したPS版4は搬送ローラ22,22bにより現像液58内に搬送される。その後、PS版4の画像記録面が現像液58に浸かった状態でブラシローラ(擦り部材)24により擦り、PS版4の画像記録層の非露光部を除去することで現像を行う。このようにブラシローラ(擦り部材)24によりPS版4を擦ると、保護層の現像液への溶解も促進されることとなり、次第に現像液粘度が上昇し、処理槽内の搬送ローラのローラ表面とPS版4との間に粘度の高くなった現像液層が存在するようになる。この時、搬送ローラ22bが繊維質構造となっているので、繊維表面の一部と平滑なPS版4裏面の一部との間には、粘度が高まった現像液が存在しない(圧力で液が排除された)部分が形成され、その部分は本来の摩擦力が働き、その摩擦力が多数の繊維によって合成されて版の搬送力を生じせしめる。従って、搬送ローラ22bとPS版4との接触を維持し、PS版4と搬送ローラ22bの表面とのスリップを抑制し、良好な搬送を得ることができる。更に、スクイズローラ26と対となる搬送ローラ26bについても表面材質を繊維質材料とした構造のローラとすることで、スクイズローラ26とPS版4とのスリップを抑制し、搬送精度をより向上することができる。このように表面に繊維質材料を設ける処理槽内の搬送ローラの配置間隔は、処理に供されるPS版4の最も短い長さより少し狭く配置すればよい。
また、搬送ローラ22b,26bはPS版4の裏面側に配置されているので、記録面を傷つけることなく搬送される。
なお、現像槽20に満たされた現像液58に浸漬された状態で擦ることによって、現像液58の飛散が殆ど生じない。これにより、飛散による現像機内の汚染、カス発生が生じることはない。特に、回転ブラシローラを用いて、現像液58に浸漬した状態で擦る際には、液の飛散の観点から、擦り部材は、直径の1/3以上は現像液58中に浸漬している状態が好ましく、より好ましくは、1/2以上が浸漬している状態である。
現像槽20を形成してPS版4を現像液に浸漬するために、PS版4は、水平よりも下側に搬送され、現像液58中を搬送される。
擦り部材による擦り処理は、現像液に浸漬して、ある時間経過してから行われた際に効果が大きい。本システムにおける現像は、まず、現像液58が平版印刷原版感光層内に浸透し、その後非画像部の感光層除去が簡便に行えるようになる。従って、擦り動作を行うまでに予め、現像液58に浸した状態とするほうが、効果的に感光層を除去することが可能となる。その経過時間は実験によれば、除去動作を受ける部位が液に浸かるかスプレーなどで濡れてから2sec以上であり、より好ましくは、5sec以上、更に好ましくは10sec以上である。現像処理は、通常60sec以内で行われるため、経過時間も必然的に50secよりも短くなる。
ここで、現像液58に浸漬する前に、スプレー管S1等を用いて、PS版の感光層を現像液58と接触させることができる。この場合、スプレーするのは外部タンク中の現像液でもよいし、別のタンクに用意したフレッシュな現像液でもよい。感光層を現像液58に接触させてから、現像は現像液58中で行われる擦りまでの時間が長くとれるためより効果的に現像を行うことができる。また、現像液58に接触させることにより、適宜、現像
液58中に浸漬させてから、擦り取るまでの時間を適宜短縮することができる。また、液の浸透を促進させるために、現像液58に接触させた状態で、PS版4を振動させる手法も適宜用いることができる。
よって、現像液58中に浸漬した後、PS版4が現像液58から出るまでの間をtsecとれば、擦り材24による擦り処理は、t/2sec後、もしくはそれ以降に行われることが好ましい。従って、現像槽20の中間もしくは後半部で現像を行うことが望ましい。勿論、現像槽20を長くしたり、搬送速度を遅くしたりして、現像液58中に浸漬する時間を長くすれば、擦り処理を現像槽前半部で行うことも可能であるが、本システムは、常に安定した現像処理を付与するために、擦り材24による擦り処理を中間、もしくは後半で行うこととするものである。
さて、擦り部材24を用いて現像処理を行った後、PS版4は現像液58を出る。この時、使用状況にもよるが、現像液58が疲労してくると、場合によってはカスが付着しやすい状況になってくる。このような場合でも、浸漬処理時に用いる現像液58よりも、疲労度の少ない現像液貯留タンク55内の現像液58を直接スプレ管S2により、PS版4に吐出することによって、PS版上に付着したカス等の異物を落とすことができる。
このスプレーによるカスの除去は、前述したように現像槽20の現像液58の疲労度が高くなってきたときに効果が著しい。このスプレ管S2から吐出される循環系には、特に目の細かいフィルタを適宜用いることができる。
この場合には、処理浴内だけで汚れのないPS版4を得ることができ、適宜、処理浴以降の工程を省略することができる。
このように、1浴だけで処理を行なった後に、乾燥部10が設けられ、1浴で現像と同時に不感脂化処理された版が、乾燥部10にて乾燥される。このように1浴だけで、処理を完結させる場合、装置コストを下げられると同時に、省スペース化が可能になる。しかも、外部タンクをおいて現像液58を循環させているので、常時現像液の液面を一定レベルに維持することが出来、現像処理が安定する。
本実施形態で説明した現像槽内に配置される搬送ローラ表面の繊維質材料としては、織物、編み物、不職布、天然皮革、人工皮革、等が適用可能である。そして、最表面層が太さ5μm〜500μmの繊維状の物質で形成されたものが好ましい。最表面層が太さ5μmより細いと摩擦耐久性が著しく低下し、最表面層が太さ500μmより太いとPS版4裏面との接触点の数が少なくなり、搬送に必要な摩擦力が不足するという状態となる。更に、繊維の材料としては、天然繊維、化学繊維、金属極細線などで良い。このような表面材質の搬送ローラを用いると、処理剤の粘度が50cps程度になっても平版印刷版がスリップすることなく安定に搬送される。なお、上記の繊維質材料のうち耐久性、柔軟性、加工性、製造コストの点で最も好適なのは人工皮革の裏面の毛羽立ち面である。
また、本実施形態に使用される搬送ローラ表面としては繊維質材料だけでなく、搬送用ローラの表面形状として、凹凸状に加工されている構成とすることもできる。
このように凹凸状に表面加工された搬送用ローラの構成においても、原理的には搬送ローラ表面を繊維質材料とした場合と同様な作用を示し、凹凸表面の凸部と平滑な印刷版表面の一部との間に、粘度が高まった現像液が排除された部分が形成され、本来のローラ表面と印刷版の裏面との摩擦力が働き、その摩擦力が多数の凸部接触部分によって合成されて版の搬送力を生じせしめる。
凹凸の形状の例としては、深さ0.3〜2.0mm、幅0.5〜2.0mm、任意の断面形状の溝をローラ表面に沿ってスパイラル状または帯状に3〜20本/cmのピッチで加工形成する、あるいは高さ0.3〜2.0mm、直径または一辺0.5〜2.0mmの円柱または角柱形状の凸部を15〜150個/cmの分布で加工形成する。表面材質は、金属、樹脂、ゴムなどの弾性材料、などが好適である。
ここで、現像装置を用いる場合、例えば、現像槽に仕込んだ現像液58をポンプで汲み上げてスプレーノズルから吹き付けて処理する方式(特許文献3参照)、現像液58が満たされた槽中に液中ガイドローラなどによってPS版4原板を浸漬搬送させて処理する方式、実質的に未使用の現像液58を一版毎に必要な分だけ供給して処理するいわゆる使い捨て処理方式のいずれの方式が一般的には、用いられるが、液の飛散防止という観点からすれば、PS版4原板を浸漬搬送させて処理する方式が優れている。また、露光装置と現像装置とが一体に組み込まれた装置によってPS版4を作製することもできる。
露光装置による露光処理では、PS版4原版は、線画像や網点画像等を有する透明原画を通して露光するかデジタルデータによるレーザー光走査等で画像様に露光される。露光に好適な光源としては、カーボンアーク灯、水銀灯、キセノランプ、メタルハイラドランプ、ストロボ、紫外線、赤外線、レーザー光線などが挙げられる。特にレーザー光線が好ましく、波長760〜1200nmの赤外線を放射する固体レーザーおよび半導体レーザー、波長250〜420nmの光を放射する紫外線半導体レーザー、可視光を放射するアルゴンイオンレーザー、FD−YAGレーザーなどが挙げられる。なかでも、製版の簡易化の点からは、白灯または黄色灯下で作業を行うことができる赤外線または紫外線を放射するレーザーが好ましい。
本実施形態に使用される擦り部材は、PS版4原板の画像記録面を擦ることができる部材であれば何でも良いが、特に、回転軸を中心に回転することで画像記録面を擦ることが可能な部材(例えば、公知のチャンネルブラシ、ねじりブラシ、植え込みブラシ、絨毯ブラシ、およびモルトンローラなど)を使用することが好ましい。
〈第2実施形態〉
本発明においては、1浴でなければならない訳ではなく、現像処理後のPS版4を引き続いて、水洗、乾燥処理、不感脂化処理することももちろん可能である。この場合、本実施形態により、現像槽の内部空間が外気と遮断される構造としてあり、かつ現像液を循環式にしているので、空気に触れることによる現像液の疲労が遅くなりかつ無駄な浪費(非循環しきの従来装置によれば、現像液が疲労していないのに回収が行なわれるので省資源上無駄が多い)もなくなる。
図2は本発明の第2実施形態に係る平版印刷版用現像装置の構成図である。
図2において、102は本発明の第2実施形態に係る平版印刷版用現像装置である。平版印刷版用現像装置102において、本発明の第1実施形態に係る平版印刷版用現像装置2(図1)と共通する符号は同一機能を示すので、重複説明は省略する。
図2において、現像部6は図1と原則同じであり、若干異なるのは現像部6と乾燥部10の間の通路に設けられていたシャッター44が図2では、ガム処理部8と乾燥部10の間の通路へ移動した点である。そして、大きく異なるのは、現像部6の下流に現像後のPS版4に付着した現像液を洗い流すとともにガム液を塗布する2段構成のフィニッシャー部8を設け、その後に乾燥部10を設けた点である。図1の現像槽6では現像処理とガム処理を同時に行なったが、ここでは2つの処理を分離させている。
図2において、フィニッシャー部8は、第1フィニッシャー部8aと第2フィニッシャー部8bとからなる。各フィニッシャー部8a,8bにはPS版4を搬送する搬送ローラ30a,30bと、フィニッシャー槽32a,32b内のガム液をPS版4に吹き付ける噴射部材34a,34bが設けられている。そして、現像処理後のPS版4は、搬送ローラ30a,30bにより搬送されながら、噴射部材34a,34bによりガム液を吹き付けられて塗布される。なお、下流側にある第2フィニッシャー部8bのフィニッシャー槽32b内のガム液は、上流側にある第1フィニッシャー部8aのフィニッシャー槽32a内にオーバーフローして供給されるが、このような構成に代えて、ポンプ等で同様に供給してもよい。
乾燥部10とフィニッシャー部8との間の通路にはシャッター44が設けられ、PS版4が通路46を通過していないとき、通路46はシャッター44により閉じられている。
また、第2フィニッシャー槽32bにはガム液タンク56内のガム液がポンプ77により補充されるとともに補充希釈液貯留タンク53内の補充希釈液57が補充希釈液供給ポンプ78により補充される。ここで、ガム液と希釈液との補充割合は例えば1:1である。この補充に伴い、第1フィニッシャー槽32aからオーバーフローしたガム廃液は、現像廃液と同様に廃液タンク100に回収される。
上記構成の平版印刷版用現像装置102は、適所にゴムブレード62が設けられ、現像部6から第2フィニッシャー部8bまでが、外部雰囲気に対して実質的に気密に構成されており、外気が流入しないようになっている。また、現像部6と第1フィニッシャー部8aとの間もゴムブレード62により実質的に気密に構成されており、第1フィニッシャー部8a内の空気が現像部6に流入しないようになっている。したがって、現像部6はPS版4の通過時には空気が若干流入するものの、実質的に気密であり、空気がほとんど流入しない密閉型構成である。
このような中で、図2に示す第2実施形態によれば、繊維質構造をその表面に備えた搬送ローラ22b,26bが図1と同様の作用・効果を有し、搬送ローラ22b,26bの繊維表面の一部と平滑なPS版4裏面の一部との間には、粘度が高まった現像液が存在しない(圧力で液が排除された)部分が形成され、その部分は本来の摩擦力が働き、その摩擦力が多数の繊維によって合成されて版の搬送力を生じせしめる。従って、搬送ローラ22bとPS版4との接触を維持し、PS版4と搬送ローラ22bの表面とのスリップを抑制し、良好な搬送を得ることができる。また、搬送用ローラの表面形状として、凹凸状に加工されている構成の場合も同様の作用・効果を備える。
〈第3実施形態〉
図3は本発明の第3実施形態に係る平版印刷版用現像装置の構成図である。
図3において、202は本発明の第3実施形態に係る平版印刷版用現像装置である。平版印刷版用現像装置202において、本発明の第1実施形態に係る平版印刷版用現像装置2(図1)と共通する符号は同一機能を示すので、重複説明は省略する。
図3において、現像部6は図1と原則同じである。異なるのは、現像部6の上流に前加熱(プレヒート)部と前水洗(プレ水洗)部を設けた点である。
前加熱部は、現像部6の搬送方向上流側に設置され、PS版4を搬送しながら指定したPS版面温度を指定した時間だけ維持する機能を持つ。前水洗部は、現像部6の搬送方向上流側、且つ前加熱部の搬送方向下流側に設置され、PS版4を搬送しながらPS版表面を水洗水によって洗浄し冷却する機能を持つ。前水洗部を通過したPS版4は洗浄された状態で的に次工程である現像部6に搬送される。これらの工程が導入されることで全体の装置が大きくなってしまうデメリットはあるが、耐刷性等の品質を向上させたり、品質を安定化させることができる。
なお、上記前加熱部と前水洗部の2つの工程は双方入れることもあるが、何れか一方のみを導入してもよい。
このような中で、この図3に示す第3実施形態によれば、第1実施形態と同様、繊維質構造をその表面に備えた搬送ローラ22b,26bが図1と同様の作用・効果を有する。
前水洗(プレ水洗)部により粘性の上昇の最も大きな原因である保護層がある程度洗い流されるが、時間の問題でもあり、現像槽での処理回数が重なれば、搬送ローラ22b,26bの繊維表面の一部と平滑なPS版4裏面の一部との間には、粘度が高まった現像液が入り込む。しかしながら、表面に備えた搬送ローラ22b,26bにより、繊維表面の一部と平滑なPS版4裏面の一部との間に粘度が高まった現像液が存在しない(圧力で液
が排除された)部分が形成され、その部分は本来の摩擦力が働き、その摩擦力が多数の繊維によって合成されて版の搬送力を生じせしめる。従って、搬送ローラ22bとPS版4との接触を維持し、PS版4と搬送ローラ22bの表面とのスリップを抑制し、良好な搬送を得ることができる。また、搬送用ローラの表面形状として、凹凸状に加工されている構成の場合も同様の作用・効果を備える。
なお、図3において、現像部60で使用する現像液はpH10以上のアルカリ現像液であり、アルカリ現像液は現像液貯留タンク55から現像液補充用配管90を介して現像槽20に供給される。
そして、現像部60でオーバーフローした現像液は廃液用配管90aを介して現像液貯留タンク55に送出される。
廃液状態であった廃液用配管90aの現像液は再利用され、現像液貯留タンク55ではpHが4〜10から逸脱しない現像液となり、この現像液を用いる本実施形態の平版印刷版用現像装置により、廃棄部品の少ない、省資源・環境に優しいものとなる。
〈実施例1〉
現像装置: 図3の装置
現像液タンク容量: 22リットル、
本実施例における外置きタンクの容量: 78リットル
タンク容量合計: 100リットル
外置きタンクと本体現像タンクとの液循環用ポンプ容量: 毎分200cc、
現像液: (A)水溶液1を作製した。単位は[g]、pHは4.3、粘度は5.2cpsであった。
(A)水溶液1
水 8970 g
アニオン界面活性剤(下記化学式) 400 g
Figure 2009058750
アラビアガム 150 g
酵素変性馬鈴薯澱粉 400 g
ジオクチルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩 50 g
第一燐酸アンモニウム 10 g
クエン酸 10 g
EDTA−4−ナトリウム塩 10 g
pH 4.3、
粘度 5.2cps(測定法は「JIS Z8803液体の粘度-測定方法」に基づく。)
平版印刷版原版:
支持体の作製
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm)を用いアルミニウム表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに60℃で20質量%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。
このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dm2であった。
その後、スプレーによる水洗を行った。
次に、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dm2の条件で、硝酸電解と同様の方法で、電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
この板を15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dm2で2.5g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥した。
この基板の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
次に、下記下塗り液(1)を乾燥塗布量が10mg/m2になるよう塗布して、以下の実験に用いる支持体を作製した。
下塗り液(1)
・下記の下塗り化合物(1) 0.017g
・メタノール 9.00g
・水 1.00g
Figure 2009058750
上記の下塗り層を付与した支持体上に、下記組成の感光層塗布液(1)をバー塗布した後、70℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.1g/m2の画像記録層を形成し、この上に下記組成よりなる保護層塗布液(1)を、乾燥塗布量が0.75g/m2となるようにバーを用いて塗布した後、125℃、70秒で間乾燥して平版印刷版原版を得た。
<感光層塗布液(1)>
・下記バインダーポリマー(1)(重量平均分子量8万) 0.54g
・重合性化合物 0.40g
イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート
(東亜合成(株)製、アロニックスM−315)
・重合性化合物
エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート 0.08g
(日本化薬(株)製、SR9035、EO付加モル数15、分子量1000)
・下記増感色素(1) 0.06g
・下記重合開始剤(2) 0.18g
・下記連鎖移動剤(1) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー(1):10質量部、
溶剤 シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・下記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物 0.04g
(旭電化工業(株)製、プルロニックL44)
・テトラエチルアミン塩酸塩 0.01g
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
・メチルエチルケトン 8.0g
Figure 2009058750
Figure 2009058750
保護層塗布液(1)
ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度500) 40g
ポリビニルピロリドン(重量平均分子量5万) 5g
ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル(1/1))(重量平均分子量7万)0.5g
界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製) 0.5g
水 950g
〈現像処理〉
総面積2000m2を約1ヶ月かけて補充なしで、すべての搬送ローラは通常のゴム表
面のものを用いて現像開始した。1200m2を処理したところ、現像ブラシローラによって、搬送不良が発生。画像の仕上がりにもムラが見られた。この時、現像液の粘度は13cpsであった。
そこで、搬送ローラ22bと26bの表面にクラレ(株)製人工皮革クラリーノ品番7400−70−0000、厚み0.35mmを、接着剤で重なりが無いように巻きつけて再実験した。ローラ直径増による影響は厚みが小さいため、搬送性に重大な影響はほとんどなかった。その後は2000mまで問題なく処理できた。最終的な現像液粘度は22cpsであった。
さらに、高粘度領域の実験を行った。前記の現像液;水溶液(1)中のアニオン界面活性剤とアラビアガムの重量濃度を増やして粘度を30,40,50cpsと変えた現像液を作成し、搬送性を調べたところ、30,40cpsでは問題なく搬送できたが、50cpsでは時々、搬送速度がずれることがあった。しかし、通常のゴムローラとの比較では、驚異的な搬送性を示すことを確認した。
また、ゴムローラ表面に幅1mm深さ0.5mmの溝を5本/cmのピッチで溝を形成し、同様に前記22〜50cpsの粘度の現像液で搬送性を調べたところ、40以上では搬送できなかったが、通常ローラよりは良好であることを確認した。
<非アルカリ水溶液の記載例>
上記平版印刷版原版を、350nm〜450nmの光源で画像露光した後、pHが2〜10の水溶液の存在下、擦り部材で版面を擦ることにより、保護層および非露光部の感光層を除去し、アルミニウム板支持体表面に画像を形成することができる。
本実施例において用いられる水溶液は、pHが2〜10の水溶液である。例えば、水単独または水を主成分(水を60質量%以上含有)とする水溶液が好ましく、特に、一般的に公知な湿し水と同様組成の水溶液、界面活性剤(アニオン系、ノニオン系、カチオン系等)を含有する水溶液や、水溶性高分子化合物を含有する水溶液が好ましい。特に、界面活性剤と水溶性高分子化合物の両方を含有する水溶液が好ましい。該水溶液のpHは、より好ましくは3〜9、さらに好ましくは4〜8である。
本実施例に用いられるアニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテ酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。これらの中でもジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類およびアルキルナフタレンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
本実施例に用いられるカチオン系界面活性剤としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
本実施例に用いられるノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型の高
級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー等や、多価アルコール型のグリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。
これらノニオン性界面活系剤は、単独でも、2種以上を混合して用いても良い。本実施例においては、ソルビトール及び/又はソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー、多価アルコールの脂肪酸エステルがより好ましい。
また、水に対する安定な溶解性あるいは混濁性の観点から、本実施例の水溶液に使用するノニオン系界面活性剤としては、HLB(Hydorophile−Lipophile Balance)値が、6以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。さらに、水溶液中に含有するノニオン性界面活性剤の比率は、0.01〜10重量%が好ましく、0.01〜5重量%がより好ましい。また、アセチレングリコール系とアセチレンアルコール系のオキシエチレン付加物、フッ素系、シリコン系等の界面活性剤も同様に使用することができる。
また、本実施例の水溶液には、有機溶剤を含有しても良い。含有可能な有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、”アイソパーE、H、G”(エッソ化学(株)製)あるいはガソリン、灯油等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、あるいはハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、トリクレン、モノクロルベンゼン等)や、アルコール類、エステル類などの極性溶剤が挙げられる。
また、上記有機溶剤が水に不溶な場合は、界面活性剤等を用いて水に可溶化して使用することも可能であり、水溶液に、有機溶剤を含有する場合は、安全性、引火性の観点から、溶剤の濃度は40重量%未満が望ましい。
また、本実施例の水溶液には、水溶性高分子化合物を含有しても良い。水溶性高分子化合物としては、大豆多糖類、変性澱粉、アラビアガム、デキストリン、繊維素誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース等)およびその変性体、プルラン、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドおよびアクリルアミド共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。上記の水溶性高分子化合物は、一般的に溶液の粘度を高くすることが多い。この場合に本発明は特に効果を発揮する。
上記大豆多糖類は、公知ものが使用でき、例えば市販品として商品名ソヤファイブ(不二製油(株)製)があり、各種グレードのものを使用することができる。好ましく使用できるものは、10質量%水溶液の粘度が10〜100mPa/secの範囲にあるものである。
上記変性澱粉も、公知のものが使用でき、トウモロコシ、じゃがいも、タピオカ、米、小麦等の澱粉を酸または酵素等で1分子当たりグルコース残基数5〜30の範囲で分解し
、更にアルカリ中でオキシプロピレンを付加する方法等で作ることができる。
水溶性高分子化合物は2種以上を併用することもできる。水溶性高分子化合物の水溶液中における含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%である。
本実施例の水溶液には上記の他に、防腐剤、キレート化合物、消泡剤、有機酸、無機酸、無機塩などを含有することができる。
防腐剤としては、フェノールまたはその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンズトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン、グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、ニトロブロモアルコール系の2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3ジオール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−エタノール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−プロパノール等が好ましく使用できる。
キレート化合物としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類あるいはホスホノアルカントリカルボン酸類を挙げることができる。上記キレート剤のナトリウム塩、カリウム塩の代りに有機アミンの塩も有効である。
消泡剤としては一般的なシリコン系の自己乳化タイプ、乳化タイプ、ノニオン系界面活性剤のHLBが5以下等の化合物を使用することができる。シリコン消泡剤が好ましい。その中で乳化分散型および可溶化等がいずれも使用できる。
有機酸としては、クエン酸、酢酸、蓚酸、マロン酸、サリチル酸、カプリル酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レブリン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸などが挙げられる。有機酸は、そのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩の形で用いることもできる。
無機酸および無機塩としては、リン酸、メタリン酸、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ニッケルなどが挙げられる。
〔平版印刷版原版〕
最初に本実施例に用いる平版印刷版原版について説明する。
<感光層>
本実施例の製版方法に用いる平版印刷版原版は、露光部の感光層が硬化するネガ型感光層を有する。ネガ型感光層としては、特に限定はされないが、現像されやすさおよび良好な耐刷性が得られる点から、疎水性バインダーポリマー、重合開始剤および重合性化合物を含有するラジカル重合性の感光層が好ましい。以下、感光層の構成成分について説明す
る。
(疎水性バインダーポリマー)
本実施例の感光層に使用可能な疎水性バインダーポリマーとしては、非水溶性ポリマーが好ましく用いられる。さらに、本実施例に使用可能な疎水性バインダーポリマーは、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基などの酸基を実質的に含有しないものが好ましく、バインダーポリマーの酸価(ポリマー1gあたりの酸含率を化学等量数で表したもの)は、0.3meq/g以下であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1meq/g以下である。
すなわち、本実施例に使用可能な疎水性バインダーポリマーは、水およびpH10以上の水溶液に対し不溶であることが好ましく、疎水性バインダーポリマーの水およびpH10以上の水溶液に対する溶解度が、0.5質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1質量%以下である。このような疎水性バインダーポリマーを用いることによって、感光層の膜強度、耐水性および着肉性が向上して、耐刷性の向上が得られる。
疎水性バインダーポリマーとしては、本実施例の平版印刷版の性能を損なわない限り、好ましくは、上記範囲であれば、従来公知のものを制限なく使用でき、皮膜性を有する線状有機ポリマーが好ましい。
このような疎水性バインダーポリマーの例としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂から選ばれる高分子が好ましい。なかでも、アクリル樹脂が好ましく、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましい。より具体的には、(メタ)アクリル酸アルキルまたはアラルキルエステルと(メタ)アクリル酸エステルのエステル残基(−COOR)のRに−CH2CH2O−単位または−CH2CH2NH−単位を含む(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体が特に好ましい。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの好ましいアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基であり、メチル基がより好ましい。好ましい(メタ)アクリル酸アラルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸ベンジルが挙げられる。
さらに、疎水性バインダーポリマーは、画像部の皮膜強度を向上するために、架橋性をもたせることができる。
バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の主鎖中または側鎖中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよいし、高分子反応によって導入してもよい。
ここで架橋性基とは、平版印刷版原版を露光した際に感光層中で起こるラジカル重合反応の過程で高分子バインダーを架橋させる基のことである。このような機能の基であれば特に限定されないが、例えば、付加重合反応し得る官能基としてエチレン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。また光照射によりラジカルになり得る官能基であってもよく、そのような架橋性基としては、例えば、チオール基、ハロゲン基、オニウム塩構造等が挙げられる。なかでも、エチレン性不飽和結合基が好ましく、下記一般式(1)〜(3)で表される官能基が特に好ましい。
Figure 2009058750
上記一般式(1)において、Rl〜R3はそれぞれ独立に、1価の有機基を表すが、R1としては、好ましくは、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。また、R2、R3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
Xは、酸素原子、硫黄原子、または−N(R12)−を表し、R12は、水素原子、または1価の有機基を表す。ここで、R12は、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
ここで、導入し得る置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
Figure 2009058750
上記一般式(2)において、R4〜R8は、それぞれ独立に1価の有機基を表すが、R4〜R8は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
導入し得る置換基としては、一般式(1)と同様のものが例示される。また、Yは、酸素原子、硫黄原子、または−N(R12)−を表す。R12は、一般式(1)のR12の場合と同義であり、好ましい例も同様である。
Figure 2009058750
上記一般式(3)において、R9としては、好ましくは、水素原子または置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。R10、R11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
ここで、導入し得る置換基としては、一般式(1)と同様のものが例示される。また、Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R13)−、または置換基を有してもよいフェニレン基を表す。R13としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
上記の中でも、側鎖に架橋性基を有する(メタ)アクリル酸共重合体およびポリウレタンがより好ましい。
架橋性を有する疎水性バインダーポリマーは、例えば、その架橋性官能基にフリーラジカル(重合開始ラジカルまたは重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、ポリマー間で直接にまたは重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。または、ポリマー中の原子(例えば、官能性架橋基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。
疎水性バインダーポリマー中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、疎水性バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。
また、水溶液に対する現像性向上という観点からバインダーポリマーは親水的であることが好ましく、さらに耐刷性向上という観点からバインダーポリマーは感光層中に含まれる重合性化合物と相溶性が良いことが重要であり、すなわち親油的であることが好ましい。このような見地から本実施例では、現像性と耐刷性を向上させるため疎水性バインダーポリマー中に親水性基と親油性基とを共重合させることも有効である。親水性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、エチレンオキシ基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシエチル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基等の親水性基を有するものが好適に挙げられる。
疎水性バインダーポリマーは、重量平均分子量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましく、また、数平均分子量が1000以上であるのが好ましく、2000〜25万であるのがより好ましい。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であるのが好ましい。
疎水性バインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよいが、ランダムポリマーであるのが好ましい。
疎水性バインダーポリマーは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
疎水性バインダーポリマーの含有量は、感光層の全固形分に対して、5〜90質量%であり、10〜70質量%であるのが好ましく、10〜60質量%であるのがより好ましい。この範囲内で、良好な画像部の強度と画像形成性が得られる。
一方、非画像部は、現像時に溶解し、現像液の粘度を上昇させるのが普通である。
(重合開始剤)
本実施例に用いられる重合開始剤は、光または熱エネルギーによりラジカルを発生し、重合性不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進する化合物である。このようなラジカル発生剤としては、公知の重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などから、適宜、選択して用いることができる。
上記のラジカルを発生する化合物としては、例えば、有機ハロゲン化合物、カルボニル化合物、有機過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ素化合物、ジスルホン化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物、が挙げられる。
上記有機ハロゲン化合物としては、具体的には、若林等、「Bull Chem.Soc Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開53−133428号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号の公報、M.P.Hutt,"Journal of Heterocyclic Chemistry",1(No.3)(1970)に記載の化合物が挙げられる。中でも、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物およびS−トリアジン化合物が好適である。
上記カルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、等を挙げることができる。
上記アゾ化合物としては例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物等を使用することができる。
上記メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報記載の種々のチタノセン化合物、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
上記ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号の明細書等に記載の種々の化合物、が挙げられる。
上記有機ホウ素化合物としては、例えば、特開2002−116539号公報、および、Kunz,Martin"Rad Tech'98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago"等に記載される有機ホウ酸塩、特開平6−157623号公報、特開平6−175564号公報、特開平6−175561号公報に記載の有機ホウ素スルホニウム錯体或いは有機ホウ素オキソスルホニウム錯体、特開平6−175554号公報、特開平6−175553号公報に記載の有機ホウ素ヨードニウム錯体、特開平9−188710号公報に記載の有機ホウ素ホスホニウム錯体、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が挙げられる。
上記ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号公報、特開2003−328465号公報等記載される化合物が挙げられる。
上記オキシムエステル化合物としては、J.C.S. Perkin II (1979 )1653-1660)、J.C.S.Perkin II (1979)156-162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202-232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報記載の化合物が挙げられる。
上記オニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平4−365049号公報等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号、同第4,069,056号の明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第339,049号、同第410,201号の明細書、特開平2−150848号、特開平2−296514号の公報に記載のヨードニウム塩、欧州特許第370,693号、同第390,214号、同第233,567号、同第297,443号、同第297,442号、米国特許第4,933,377号、同第161,811号、同第410,201号、同第339,049号、同第4,760,013号、同第4,734,444号、同第2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同第3,604,580号、同第3,604,581号の明細書に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩等が挙げられる。
本実施例において、これらのオニウム塩は酸発生剤ではなく、イオン性のラジカル重合開始剤として機能する。
本実施例において好適に用いられるオニウム塩は、下記一般式(RI−I)〜(RI−III)で表されるオニウム塩である。
Figure 2009058750
式(RI−I)中、Ar11は置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表し、安定性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオンおよびスルフィン酸イオンが好ましい。
式(RI−II)中、Ar21およびAr22は、各々独立に置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z21-は1価の陰イオンを表す。具体的には、安定性、反応性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。
式(RI−III)中、R31、R32およびR33は、各々独立に置換基を1〜6個有していてもよい炭素数20以下のアリール基、アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基を表す。中でも反応性、安定性の面から好ましいのは、アリール基である。Z31 は1価の陰イオンを表す。具体例としては、安定性、反応性の面から、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。より好ましいものとして特開2001−343742号公報記載のカルボン酸イオン、特に好ましいものとして特開2002−148790号公報記載のカルボン酸イオンが挙げられる。
重合開始剤としては、上記に限定されないが、特に反応性、安定性の面から、トリアジン系開始剤、有機ハロゲン化合物、オキシムエステル化合物、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩がより好ましい。
これらの重合開始剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、これらの重合開始剤は他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこに添加してもよい。これらの重合開始剤は、感光層を構成する全固形分に対し0.1〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは0.8〜2
0質量%の割合で添加することができる。
(赤外線吸収剤)
赤外線を放射する光源を用いて画像様露光を行う平版印刷版原版の感光層には、前記の重合開始剤と組み合わせて赤外線吸収剤を用いることができる。一般的に、赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有しており、この際発生した熱により、重合開始剤が熱分解し、ラジカルを発生する。本実施例において使用される赤外線吸収剤は、波長760〜1200nmに吸収極大を有する染料または顔料である。
染料としては、市販の染料および例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)などの文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体などの染料が挙げられる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。
本実施例において使用される顔料としては、市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラックなどが使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
顔料の粒径は0.01〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1〜1μmの範囲にあることが好ましい。この範囲で、顔料分散物の感光層塗布液中での良好な安定性と感光層の良好な均一性が得られる。
これらの赤外線吸収剤の感光層への添加は、重合反応を阻害する副作用を抑制するため、必要最小量とすることが好ましい。
これらの赤外線吸収剤は、感光層の全固形分に対し0.001〜50質量%、好ましくは0.005〜30質量%、特に好ましくは0.01〜10質量%の割合で添加することができる。この範囲内で、感光層の均一性や膜強度に好ましくない影響を与えることなく、高感度が得られる。
(増感色素)
250〜420nmの光を放射する光源を用いて画像様露光を行う平版印刷版原版の感光層には、前記の重合開始剤と組み合わせて増感色素を用いることによりラジカル発生効率を高めることもできる。
増感色素の具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、9−フルオレノン、2−クロロ−9−フルオレノン、2−メチル−9−フルオレノン、9−アントロン、2−ブロモ−9−アントロン、2−エチル−9−アントロン、9,10−アントラキノン、2−エチル−9、10−アントラキノン、2−t−ブチル−9,10−アントラキノン、2,6−ジクロロ−9,10−アントラキノン、キサントン、2−メチルキサントン、2−メトキシキサントン、チオキサントン、ベンジル、ジベンザルアセトン、p−(ジメチルアミノ)フェニルスチリルケトン、p−(ジメチルアミノ)フェニルp−メチルスチリルケトン、ベンゾフェノン、p−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(またはミヒラーケトン)、p−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンズアントロン、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどを挙げることができる。
これら増感色素は、感光層を構成する全固形分に対し0.1〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは0.8〜20質量%の割合で添加することができる。
(重合性化合物)
本実施例における感光層に用いる重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本実施例においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、および単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
(マイクロカプセル)
本実施例においては、上記の感光層構成成分および後述のその他の構成成分を感光層に含有させる方法として、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく、該構成成分の一部をマイクロカプセルに内包させて感光層に添加することができる。その場合、各構成成分はマイクロカプセル内および外に、任意の比率で含有させることが可能である。
本実施例に用いられる好ましいマイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、およびこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレアおよびポリウレタンが好ましい。また、マイクロカプセル壁に、上記の非水溶性高分子に導入可能なエチレン性不飽和結合等の架橋性官
能基を有する化合物を導入してもよい。
上記のマイクロカプセルの平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましい。0.05〜2.0μmがさらに好ましく、0.10〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
(その他の感光層成分)
本実施例の感光層には、さらに、必要に応じて種々の添加剤を含有させることができる。
以下、それらについて説明する。
(界面活性剤)
本実施例において、感光層には、現像性の促進および塗布面状を向上させるために界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(親水性ポリマー)
本実施例においては、現像性の向上、マイクロカプセルの分散安定性の向上などのため、親水性ポリマーを含有させることができる。
親水性ポリマーとしては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、ポリオキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基、スルホン酸基、リン酸基等の親水性基を有するものが好適に挙げられる。
親水性ポリマーは、重量平均分子量が5000以上であるのが好ましく、1万〜30万であるのがより好ましい。親水性ポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよい。
親水性ポリマーの感光層への含有量は、感光層全固形分の20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
(着色剤)
本実施例では、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、および特開昭62−293247号公報に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料も好適に用いることができる。
これらの着色剤は、画像形成後、画像部と非画像部の区別がつきやすいので、添加する方が好ましい。なお、添加量は、画像記録材料全固形分に対し、0.01〜10質量%の割合が好ましい。
(焼き出し剤)
本実施例の感光層には、焼き出し画像生成のため、酸またはラジカルによって変色する
化合物を添加することができる。このような化合物としては、例えばジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
酸またはラジカルによって変色する染料の好適な添加量は、それぞれ、感光層固形分に対して0.01〜15質量%の割合である。
(重合禁止剤)
本実施例の感光層には、感光層の製造中または保存中において、ラジカル重合性化合物の不要な熱重合を防止するために、少量の熱重合防止剤を添加するのが好ましい。
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩が好適に挙げられる。
熱重合防止剤の添加量は、感光層の全固形分に対して、約0.01〜約5質量%であるのが好ましい。
(高級脂肪酸誘導体等)
本実施例の感光層には、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、感光層の全固形分に対して、約0.1〜約10質量%であるのが好ましい。
(可塑剤)
本実施例の感光層は可塑剤を含有してもよい。可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、オクチルカプリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジアリルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルグリコールフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカプリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレエート等の脂肪族二塩基酸エステル類;ポリグリシジルメタクリレート、クエン酸トリエチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル等が好適に挙げられる。可塑剤の含有量は、感光層の全固形分に対して、約30質量%以下であるのが好ましい。
(無機微粒子)
本実施例の感光層は、画像部の硬化皮膜強度向上のために、無機微粒子を含有してもよい。無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物が好適に挙げられる。これらは光熱変換性でなくても、皮膜の強化、表面粗面化による界面接着性の強化等に用いることができる。無機微粒子は、平均粒径が5nm〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3μmであるのがより好ましい。上記範囲内であると、感光層中に安定に分散して、感光層の膜強度を十分に保持し、印刷時の汚れを生じにくい親水性に優れる非画像部を形成することができる。
上述したような無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物等の市販品として容易に入手することができる。
無機微粒子の含有量は、感光層の全固形分に対して、20質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましい。
(低分子親水性化合物)
本実施例の感光層は、現像性向上のため、親水性低分子化合物を含有することができる。親水性低分子化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類およびそのエーテルまたはエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンモノエタノールアミン等の有機アミン類およびその塩、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類およびその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類およびその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類およびその塩や、テトラエチルアミン塩酸塩等の有機4級アンモニウム塩等が挙げられる。
本実施例の感光層には上記以外に、たとえば共増感剤を含有することができる。
<感光層の形成>
本実施例の感光層は、必要な上記各成分を溶剤に分散または溶解して塗布液を調製し、塗布して形成される。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独または混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
本実施例の感光層は、同一または異なる上記各成分を同一または異なる溶剤に分散、または溶かした塗布液を複数調製し、複数回の塗布、乾燥を繰り返して形成することも可能である。
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の感光層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.3〜3.0g/m2が好ましい。この範囲内で、良好な感度と画像記録層の良好な皮膜特性が得られる。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ローラ塗布等を挙げられる。
<保護層>
本実施例の平版印刷版原版には、露光時の重合反応を妨害する酸素の拡散侵入を遮断するため、感光層上に保護層(酸素遮断層)を設けることが好ましい。本実施例に用いられる保護層は25℃、1気圧下における酸素透過性Aが1.0≦A≦20(mL/m2・day)であることが好ましい。酸素透過性Aが1.0(mL/m2・day)未満で極端に低い場合は、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。逆に、酸素透過性Aが20(mL/m2・day)を超えて高すぎる場合は感度の低下を招く。酸素透過性Aは、より好ましくは1.5≦A≦12 (mL/m2・day)、更に好ましくは2.0≦A≦10.0(mL/m2・day)の範囲である。また、保護層に望まれる特性としては、上記酸素透過性以外に、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることが望ましい。この様な保護層に関する工夫が従来なされており、米国特許第3,458,311号明細書、特公昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
保護層に使用できる材料としては例えば、比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることが好ましく、具体的には、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/ビニルアルコール/フタル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドなどのような水溶性ポリマーが挙げられ、これらは単独または混合して使用できる。これらの内、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。
さらに、本実施例の平版印刷版原版における保護層には、酸素遮断性や感光層表面保護性を向上させる目的で、無機質の層状化合物を含有させることも好ましい。
ここで無機質の層状化合物とは、薄い平板状の形状を有する粒子であり、例えば、下記一般式
A(B,C)2-5410(OH,F,O)2
〔ただし、AはK,Na,Caの何れか、BおよびCはFe(II),Fe(III),Mn,Al,Mg,Vの何れかであり、DはSiまたはAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群、式3MgO・4SiO・H2Oで表されるタルク、テニオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、りん酸ジルコニウムなどが挙げられる。
上記雲母群においては、天然雲母としては白雲母、ソーダ雲母、金雲母、黒雲母および鱗雲母が挙げられる。また、合成雲母としては、フッ素金雲母KMg3 (AlSi310)F2 、カリ四ケイ素雲母KMg2.5 Si410)F2等の非膨潤性雲母、およびNaテトラシリリックマイカNaMg2.5 (Si410)F2、NaまたはLiテニオライト(Na,Li)Mg2 Li(Si410)F2、モンモリロナイト系のNaまたはLiヘクトライト(Na,Li)1/8 Mg2 /5Li1/8 (Si410)F2 等の膨潤性雲母等が挙げられる。更に合成スメクタイトも有用である。
本実施例で使用する無機質の層状化合物の粒子径は、その平均長径が0.3〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは1〜5μmである。また、該粒子の平均の厚さは、0.1μm以下、好ましくは、0.05μm以下、特に好ましくは、0.01μm以下である。例えば、無機質の層状化合物のうち、代表的化合物である膨潤性合成雲母のサイズは厚さが1〜50nm、面サイズが1〜20μm程度である。
このように調製された保護層塗布液を、支持体上に備えられた感光層の上に塗布し、乾燥して保護層を形成する。塗布溶剤はバインダーとの関連において適宜選択することができるが、水溶性ポリマーを用いる場合には、蒸留水、精製水を用いることが好ましい。保護層の塗布方法は、特に制限されるものではなく、米国特許第3,458,311号明細書または特公昭55−49729号公報に記載されている方法など公知の方法を適用することができる。具体的には、例えば、保護層は、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ローラコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等が挙げられる。
保護層の塗布量としては、乾燥後の塗布量で、0.05〜10g/m2 の範囲であることが好ましく、無機質の層状化合物を含有する場合には、0.1〜0.5g/m2の範囲であることがさらに好ましく、無機質の層状化合物を含有しない場合には、0.5〜5g/m2の範囲であることがさらに好ましい。
<支持体>
本実施例の平版印刷版原版に用いられる支持体は、特に限定されず、寸度的に安定な板状な親水性支持体であればよい。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされまたは蒸着された紙またはプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルムおよびアルミニウム板が挙げられる。中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板が好ましい。
支持体の厚さは0.1〜0.6mmであるのが好ましく、0.15〜0.4mmであるのがより好ましく、0.2〜0.3mmであるのが更に好ましい。
アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理(電気化学的に表面を溶解させる粗面化処理)、化学的粗面化処理(化学的に表面を選択溶解させる粗面化処理)が挙げられる。
機械的粗面化処理の方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。
電気化学的粗面化処理の方法としては、例えば、塩酸、硝酸等の酸を含有する電解液中で交流または直流により行う方法が挙げられる。また、特開昭54−63902号公報に記載されているような混合酸を用いる方法も挙げられる。
粗面化処理されたアルミニウム板は、必要に応じて、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液を用いてアルカリエッチング処理を施され、更に、中和処理された後、所望により、耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理を施される。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成させる種々の電解質の使用が可能である。一般的には、硫酸、塩酸、シュウ酸、クロム酸またはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変わるので一概に特定することはできないが、一般的には、電解質濃度1〜80質量%溶液、液温度5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2 、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分であるのが好ましい。形成される陽極酸化皮膜の量は、1.0〜5.0g/m2 であるのが好ましく、1.5〜4.0g/m2 であるのがより好ましい。この範囲内で、良好な耐刷性と平版印刷版の非画像部の良好な耐傷性が得られる。
本実施例で用いられる支持体としては、上記のような表面処理をされ陽極酸化皮膜を有する基板そのままでもよいが、上層との接着性、親水性、汚れ難さ、断熱性などの一層改良のため、必要に応じて、特開2001−253181号や特開2001−322365号の公報に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理、マイクロポアの封孔処理、および親水性化合物を含有する水溶液に浸漬する表面親水化処理などを適宜選択して行うことができる。もちろんこれら拡大処理、封孔処理は、これらに記載のものに限られたものではなく従来公知の何れも方法も行うことができる。
親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号および同第3,902,734号の明細書に記載されているようなアルカリ金属シリケート法がある。この方法においては、支持体をケイ酸ナトリウム
等の水溶液で浸せき処理し、または電解処理する。そのほかに、特公昭36−22063号公報に記載されているフッ化ジルコン酸カリウムで処理する方法、米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号および同第4,689,272号の明細書に記載されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法等が挙げられる。
<下塗り層>
本実施例の平版印刷版原版においては、支持体上に重合性基を含有する化合物の下塗り層を設けることが好ましい。下塗り層が用いられるときは、感光層は下塗り層の上に設けられる。下塗り層は、露光部においては支持体と感光層との密着性を強化し、また、未露光部においては、感光層の支持体からのはく離を生じやすくさせるため、現像性が向上する。
下塗り層としては、具体的には、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物などが好適に挙げられる。特に好ましい化合物として、メタクリル基、アリル基などの重合性基とスルホン酸基、リン酸基、リン酸エステルなどの支持体吸着性基を有する化合物が挙げられる。重合性基と支持体吸着性基に加えてエチレンオキシド基などの親水性付与基を有する化合物も好適な化合物として挙げることができる。
下塗り層の塗布量(固形分)は、0.1〜100mg/m2であるのが好ましく、1〜30mg/m2であるのがより好ましい。
<バックコート層>
支持体に表面処理を施した後または下塗り層を形成させた後、必要に応じて、支持体の裏面にバックコートを設けることができる。
バックコートとしては、例えば、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平6−35174号公報に記載されている有機金属化合物または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好適に挙げられる。中でも、Si(OCH34 、Si(OC254 、Si(OC374 、Si(OC494 等のケイ素のアルコキシ化合物を用いるのが、原料が安価で入手しやすい点で好ましい。
<人工皮革について>
天然皮革の構造
天然皮革は、コラーゲンという繊維状の蛋白質が主成分のコラーゲン繊維で構成される。微細な繊維(フィブリル)が数百本集束して繊維(ファイバー)を作り、繊維が数本から数十本集束して繊維束(ファイバーバンドル)を作っている。
皮革の構造は、この繊維束が三次元的に絡み合いしたもの。
皮革は表面の銀面層と、それに続く中間層から内側の網様層に区別され、連続した組織になっている。
銀面層は、細いコラーゲンの繊維束が綴密なため、艶のある柔軟で優れた感触がある。 網様層は、繊維がやや太く複雑に絡み合って皮革の強度を保っている。
皮革調整品の種類は通常、擬革、合成皮革、人工皮革の3種類に分類される。
(1)擬革/塩ビレザー
皮革の網様層に相当する強度を保持する部分に織物や編み物を利用し、生地表面にポリ塩化ビニル樹脂などをコーティング(塗布)し、銀面層に相当する皮革様の外観としたもの。塩ビレザーが代表される。
(2)合成皮革
織物や編物、または不織布の表面にポリウレタンなどの発砲体を塗布し、その上にナイロン樹脂やポリウレタン樹脂をコーティングして仕上げたもの。
(3)人工皮革
皮革のコラーゲン繊維構造に類似した三次元立体構造の繊維層を持っている"不織布"を利用する。
また、表面部分には0.1デニール以下という極細繊維を使用することにより、皮革調の感触が得られる。
人工皮革は、ナイロンやポリエステルの極細繊維を束状に交錯したランダム三次元立体構造という繊維層の不織布と、弾性ポリウレタン樹脂で構成される。
表面仕上げにより、スエードタイプと銀面タイプ(表皮調)の2種類のタイプがある。表面仕上げには、表面仕上げ方法により外観が次のように分類される。
a.表皮タイプ(銀行)
二層構造:繊維とポリウレタンスポンジで構成した基布の表面にポリウレタンのコーティング層を持つ基体を仕上げたもの。
一層構造:繊維とポリウレタンスポンジで構成した基布を直接仕上げたもの。
b.スエードタイプ(起毛調)
繊維とポリウレタンスポンジで構成した基布の表面を起毛仕上げしたもの。表皮は「銀面」といい、光沢があり皮特有のしわ模様がある。
その銀面を裏にして、皮革部分をかきほぐして毛羽立たせ、ビロード状にしたものを「スエード」または「裏革」と呼ぶ。銀面を細かいサンドペーパーでこすり、表側を落として光沢を消したものを「銀ずり(ヌバック)」といい、高級とされる。バック(大麗)で同じ加工をしたものを「バックスキン」と言う。しかし、我が国ではスエードを総称して「バックスキン」と呼ぶことがある。
クラリーノは、天然皮革の銀面層に相当する表面層をポリウレタンの徹密なスポンジ層で形成し、天然皮革の網様層に相当する基体層を繊維結合体とポリウレタンェストラマーのような高分子物質をバインダーとして構成したものである。
本発明の第1実施形態に係る平版印刷版用現像装置の構成図である。 本発明の第2実施形態に係る平版印刷版用現像装置の構成図である。 本発明の第3実施形態に係る平版印刷版用現像装置の構成図である。
符号の説明
2、102、202 本発明に係る平版印刷版用現像装置
4 感光性平版印刷版(PS版)
6 現像部
10 乾燥部
12 側板
14 挿入口
16 搬送ローラ(搬入ローラ)
18 ゴムブレード
20 現像槽
22 搬送ローラ
24 ブラシローラ
26 スクイズローラ
27 版検出センサ
28 バックアップローラ
36 ガイドローラ
38 串ローラ
40 排出口
46 通路
50 制御装置
51 制御ROM及びRAM
52 時間計測部
55 現像液貯留タンク
58 現像液
60 遮蔽蓋
62 ゴムブレード
71 現像液循環用ポンプ
73 電導度センサ
74 現像液供給ポンプ
80 第1循環用配管
90 第2循環用配管
98 表示装置
99 警報装置

Claims (6)

  1. 少なくとも現像処理ゾーンを備え、平版印刷版を搬送ロールで現像処理ゾーン内を搬送させるとともに現像液に接触させ現像する平版印刷版用現像装置において、
    前記処理ゾーン中の前記平版印刷版の裏面に接触する少なくとも1本の搬送用ローラの表面材質が、繊維質材料であることを特徴とする平版印刷版用現像装置。
  2. 少なくとも現像処理ゾーンを備え、平版印刷版を搬送ロールで現像処理ゾーン内を搬送させるとともに現像液に接触させ現像する平版印刷版用現像装置において、
    前記処理ゾーン中の前記平版印刷版の裏面に接触する少なくとも1本の搬送用ローラの表面形状が凹凸状に加工されていることを特徴とする平版印刷版用現像装置。
  3. 前記1または2に記載の平版印刷版用現像装置において、現像液の粘度が5〜50cpsであることを特徴とする平版印刷版用現像装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の平版印刷版用現像装置において、平版印刷版の感光物が光重合型であることを特徴とする平版印刷版用現像装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の平版印刷版用現像装置において、現像液の成分として水溶性高分子化合物を含むことを特徴とする平版印刷版用現像装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の平版印刷版用現像装置において、現像液中の版の搬送ラインが下に凸の形状をしていることを特徴とする浸漬型平版印刷版用現像装置。
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