JP2009058067A - シール方法およびインジェクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】金属部材の合わせ面からの流体の漏れを容易に防止することができ、かつコストの低減を図ることができるシール方法およびインジェクタを提供する。
【解決手段】二つの金属部材23、3が、互いに突き合わされる合わせ面13、14を各々有し、それら突き合わされた合わせ面13、14の間から流体が漏れるのを防止するためのシール方法において、予め二つの金属部材23、3の一方または両方の合わせ面13、14に、金属部材3、23よりも軟らかい材質の微細粒子9を含有させた樹脂バインダー8を塗布し、樹脂バインダー8が塗布された金属部材3、23の合わせ面13、14を互いに突き合わせ、突き合わした合わせ面13、14を互いに押し付けて該合わせ面13、14の間に挟み込まれた微細粒子9を弾性変形させ、微細粒子9が弾性変形したままで合わせ面13、14を押し付けた状態で保持して、合わせ面13、14の間をシールするものである。
【選択図】図3

Description

本発明は、接合された金属部材の合わせ面の間から流体が漏れるのを防止するためのシール方法と、そのシール方法が適用されたインジェクタに関するものである。
従来、接合された部材の合わせ面から流体が漏れるのをシールする方法として、例えば、それら合わせ面の間に、液状のシール材を塗布するもの(例えば、特許文献1参照)や、金属ガスケットなどを挟み込むものが知られている。
ここで、ディーゼルエンジンにおけるコモンレール噴射系(噴射システム)において、インジェクタ、高圧ポンプなどの噴射系部品には、油路が多岐にわたり形成されており、それら噴射系部品は、精密部品が多く、比較的小さな部品が多くシール部材(高圧用の金属環リングなど)を使用できない箇所が多い。
また、近年の排出ガス低減対策により、コモンレール噴射系で使用されるコモンレール噴射圧力は上昇しており、シール漏れなどの発生の確率が高くなっている。
そこで、一般的には、上述した液状のシール材あるいは金属ガスケットの代わりに、シール漏れの虞のある部位に、金属部材間の当接面の面粗度を上げるために、例えばRa(中心線平均粗さ)=0.02μm以下に仕上げ研削あるいはラップ仕上げなどが通常行われている。
特開2005−281617号公報
しかしながら、上述した面粗度を上げる処理を行う場合、その処理にコストがかかることから、そのような処理を省略可能なシール方法が望まれていた。
すなわち、噴射系部品の製造段階において、ラップ仕上げは行程が短くできずコスト高となる。研削仕上げも当接部を凸面とした形状の場合には高精度管理が必要であり、歩留まりが悪くコスト高を招く。
その他にも、軽油などと比較しジメチルエーテル(以下、DMEという)などの分子径が小さい流体(あるいは低粘性の液体)をシールするには、同じ圧力においても耐シール要求性は厳しくなり(例えば、極端には気体の場合の水素をシールする場合など)、上記加工精度を上回る更なる加工精度が必要となる。
以上のように、従来の面粗度の向上によるシール方法にはコストが増大するという問題があった。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、金属部材の合わせ面からの流体の漏れを容易に防止することができ、かつコストの低減を図ることができるシール方法およびインジェクタを提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、二つの金属部材が、互いに突き合わされる合わせ面を各々有し、それら突き合わされた合わせ面の間から流体が漏れるのを防止するためのシール方法において、予め上記二つの金属部材の一方または両方の合わせ面に、上記金属部材よりも軟らかい材質の微細粒子を含有させた樹脂バインダーを塗布し、上記樹脂バインダーが塗布された上記金属部材の合わせ面を互いに突き合わせ、上記突き合わした合わせ面を互いに押し付けて該合わせ面の間に挟み込まれた上記微細粒子を弾性変形させ、上記微細粒子が弾性変形したままで上記合わせ面を押し付けた状態で保持して、上記合わせ面の間をシールするものである。
好ましくは、上記微細粒子が、沈降性硫酸バリウムまたは炭酸カルシウムからなり、かつ粒子径が0.01〜0.1μmであるものである。
好ましくは、上記樹脂バインダーが、ダンマル樹脂、コハクなどの天然樹脂からなるものである。
上記目的を達成するために本発明は、燃料を噴射するための噴孔が形成されたノズルが、燃料供給手段に接続された本体の先端に、互いの合わせ面を突き合わせて締結手段により締結され、上記燃料供給手段から上記噴孔に燃料を供給するための燃料供給通路が、上記ノズルと上記本体との合わせ面を貫通して形成されたインジェクタにおいて、上記ノズルと本体との合わせ面を、上記請求項1から3いずれかのシール方法によりシールしたものである。
本発明によれば、金属部材の合わせ面からの流体の漏れを容易に防止することができ、かつコストの低減を図ることができるという優れた効果を発揮するものである。
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
本実施形態のシール方法は、燃料通路が複数の継ぎ合わせられた金属部材により区画形成されたインジェクタに適用される。例えば、DME燃料を高い噴射圧で噴射するコモンレール式ディーゼルエンジンのインジェクタに適用される。
まず、図1および図2に基づき本実施形態のシール方法が対象とするインジェクタの概略構造を説明する。図1は、インジェクタの模式的な断面図であり、図2は、インエジェクタの先端部分の詳細部分図である。
図1に示すように、インジェクタ1は、上下に延びる本体2と、その本体2の下端(先端)に組み付けられたノズル3と、そのノズル3および本体2内に昇降可能に収容されたニードル(針弁)4と、そのニードル4を昇降させるためのニードル昇降手段5と、本体2およびノズル3を通る燃料供給通路6とを備える。
ノズル3は、燃料を噴射するための複数の噴孔31と、その噴孔31を開閉するニードル4を収容するためのノズル側収容穴32とを有する。
図例では、ノズル3は、上下に延びる円筒形状を有する。そのノズル3の下端には円錐部33が形成され、ノズル3の上部には拡径部(以下、ノズル拡径部という)34が形成される。ノズル3は、金属部材であり、例えば、鋼やアルミ合金などからなる。
噴孔31は、ノズル3の円錐部33に周方向に間隔を隔てて配置される。
ノズル側収容穴32は、円錐部33の噴孔31からノズル拡径部34の上端まで上下に延びる。ノズル側収容穴32の底部は円錐状に形成され、その底部(壁面)に噴孔31が接続されると共に、噴孔31より上方の円錐状の底部によりニードル4を着座させるためのノズルシート35が形成される。また、ノズル拡径部34内のノズル側収容穴32が一部拡径され、燃料溜まり部36が形成される。
本体2は、上下に延びる円柱状のインジェクタボディ21と、そのインジェクタボディ21の下端にノズル3を取り付けるためのリテーニングナット22と、インジェクタボディ21の下端とノズル3との間に挟まれたディスタンスピース23とを備える。
インジェクタボディ21およびディスタンスピース23内には、ノズル側収容穴32から連続して上方に延びニードル4を収容する本体側収容穴24が形成される。
インジェクタボディ21の上部には、側方に突出する突出部211が設けられ、その突出部211に、図示しない燃料供給手段をなすコモンレールからの配管が接続される。
インジェクタボディ21の下端部は、ノズル拡径部34と略同径に形成される。インジェクタボディ21の下端部の外周面には、リテーニングナット22と螺合する雄ねじ部25が形成される。
ディスタンスピース23は、上下に延び、インジェクタボディ21の下端部およびノズル拡径部34と略同径の円筒形状を有する。ディスタンスピース23の上端面12が、インジェクタボディ21の下端面11に突き合わされ、かつディスタンスピース23の下端面13が、ノズル拡径部34の上端面14に突き合わされる。
ディスタンスピース23には、ニードル4を下方に付勢するためのニードルスプリング26(図1のみに示す)が設けられる。
これらインジェクタボディ21およびディスタンスピース23は、金属部材であり、例えば、鋼やアルミ合金などからなる。
リテーニングナット22は、ノズル拡径部34、ディスタンスピース23、およびインジェクタボディ21の下端部よりも大径の円筒形状を有する。そのリテーニングナット22内には、ノズル拡径部34およびディスタンスピース23が収容されると共にインジェクタボディ21の下端部が嵌め込まれる。
リテーニングナット22の下端には、ノズル3の円錐部33を下方に突出させるための貫通穴を有する底板221が設けられ、その底板221がノズル拡径部34の下端面に係合する。リテーニングナット22の上部の内周面には、インジェクタボディ21の雄ねじ部25に螺合する雌ねじ部27が形成される。
このリテーニングナット22とインジェクタボディ21の雄ねじ部25とにより、ノズル3を本体2の先端(ディスタンスピース23)に締結するための締結手段が構成される。
ニードル4は、上下に延びる略円柱状に形成され、ノズル側収容穴32および本体側収容穴24内に上下に摺動可能に設けられる。
ニードル4の下端(先端)は、ノズル3の噴孔31を閉塞しつつノズルシート35に着座可能なように、円錐状に形成される。ニードル4の下部には、ノズル3の燃料溜まり部36内の高圧燃料から上向きの圧力を受けるための受圧部41が形成される。その受圧部41の上方のニードル4には、ニードルスプリング26に係合するスプリング係合部(図示せず、例えば鍔部など)が形成される。
ニードル昇降手段5は、ニードル4を下向きに付勢する高圧燃料が導入されるバランスチャンバ51と、そのバランスチャンバ51から高圧燃料を排出するためのアマチュアチャンバ52とを備える。
バランスチャンバ51は、本体側収容穴24の上端を拡径して形成されると共に、アマチュアチャンバ52に排出路(図例ではオリフィス)53を介して接続される。
アマチュアチャンバ52内には、排出路53を開閉するためのアマチュア54と、そのアマチュア54を閉側に(下方に)付勢するためのアマチュアスプリング55と、そのアマチュアスプリング55の付勢力に抗してアマチュア54を開側に(上方に)作動させるためのソレノイド56とが設けられる。
ソレノイド56の非通電時(非噴射時)は、排出路53が閉塞されてバランスチャンバ51内に高圧燃料が保持される。このとき、バランスチャンバ51内の高圧燃料とニードルスプリング26による下降力が、ニードル4の受圧部41にかかる上昇力を超え、ニードル4は噴孔31を閉塞する。
他方、ソレノイド56の通電時(噴射時)は、排出路53が開放されてバランスチャンバ51内の燃料がアマチュアチャンバ52に排出される。このとき、ニードル4に作用する下降力が上昇力よりも弱くなり、ニードル4は噴孔31を開放する。
バランスチャンバ51の下方には、バランスチャンバ51からニードル4を伝いリークした燃料を溜める中間室57(図1のみに示す)が設けられる。
中間室57は、バランスチャンバ51の下方の本体側収容穴24を一部拡径して形成される。その中間室57には、余剰燃料をアマチュアチャンバ52に戻すための第1戻し通路571が接続され、アマチュアチャンバ52には、余剰燃料を、燃料タンク(図示せず)に戻すための第2戻し通路521が接続される。
燃料供給通路6は、コモンレール(図示せず)が接続された本体2の突出部211からノズル3の噴孔31に燃料を供給すべく、本体2およびノズル3内に形成される。
本実施形態の燃料供給通路6は、インジェクタボディ21の突出部211内に形成された導入通路61と、その導入通路61をノズル側収容穴32(燃料溜まり部36)に連通する高圧油路62(ノズル側供給通路)とで構成される。また、導入通路61には、バランスチャンバ51に燃料を導入するためのバランスチャンバ側供給通路511が接続される。
高圧油路62は、断面略円形で、インジェクタボディ21、ディスタンスピース23およびノズル3を貫通して上下に延びる。
具体的には、図2に示すように、高圧油路62は、インジェクタボディ21およびディスタンスピース23との両合わせ面(インジェクタボディ21の下端面11およびディスタンスピース23の上端面12)と、ディスタンスピース23とノズル拡径部34との両合わせ面(ディスタンスピース23の下端面13およびノズル拡径部34の上端面14)とを上下に貫通する。
ここで、本実施形態では、高圧油路62を、比較的高い圧力(コモンレール圧、噴射圧)に加圧された粘度の低い液体燃料(例えば、数十〜数百MPa程度のDME)が流通する。
そこで、高圧油路62内の燃料が漏れるのを防止するためのシール層7が、各合わせ面11、12および13、14の間に各々設けられる。
図3に示すように、シール層7は、樹脂バインダー8と、その樹脂バインダー8内に含有された微細粒子9とからなる。
微細粒子9は、無定形あるいは球形で非常に細かく、シール対象の合わせ面11−14を形成する母材(インジェクタボディ21、ディスタンスピース23およびノズル3)の材質よりも軟らかい材質が望まれる。
例えば、微細粒子9は、顔料などで用いられる沈降性硫酸バリウムなどが好ましく、炭酸カルシウムなどでもよい。
また、微細粒子9の粒子径に関しては微細なものが好ましい。微細粒子9の粒子径は、合わせ面11−14の平面研削粗さの表面形状にもより、例えば、合わせ面11−14の平面研削粗さRaが0.05μmの場合、粒子径は0.01〜0.1μm程度(平面研削粗さRaの20%〜200%)が望ましい。また、微細粒子9は、粒子径が一様なものが好ましい。
詳しくは後述するが、図4に示すように、これら微細粒子9は、リテーニングナット22の締め付け力により合わせ面11−14から押圧されて弾性変形した状態に保持される。
なお、シリカ、アルミナなどの母材より硬い材質で形成された粒子は、母材の表面(合わせ面11−14)へのかみこみ、あるいは合わせ面11−14より剥離してのノズルシート35などへのかみこみ、精密摺動部材のすきま(受圧部41より上方のニードル4とノズル拡径部34とのすきまなど、2〜4μm)への混入などがあり、当該部位(シール対象とする合わせ面11−14)以外の他の部位でのシート不良、摩耗促進などを起こすので、本実施形態の微細粒子9としては使用できない。
バインダーとしての樹脂(樹脂バインダー8)は、天然樹脂(例えばダンマル樹脂、コハクなど)などのワニスとして用いられる適度に軟らかいものが望ましい。
次に、図3から図5に基づき本実施形態のシール方法を説明する。
本実施形態のシール方法は、二つの金属部材(インジェクタボディ21とディスタンスピース23、およびディスタンスピース23とノズル3)が、互いに突き合わされる合わせ面11−14(インジェクタボディ21の下端面11とディスタンスピース23の上端面12、およびディスタンスピース23の下端面13とノズル拡径部34の上端面14)を各々有し、それら突き合わされた合わせ面11−14の間から流体が漏れるのを防止するためのものである。
図5は、本実施形態のシール方法が対象とするノズル拡径部34の上端面14の面精度を測定した結果である。図5に示すように、合わせ面11−14は、製造コストの増大を招くような仕上げ研削あるいはラップ仕上げが行われておらず、平面研削粗さRaが0.05μmである。
本実施形態のシール方法では、まず、インジェクタボディ21の下端面11と、ディスタンスピース23の上端面12および下端面13と、ノズル拡径部34の上端面14とに、インジェクタボディ21、ディスタンスピース23およびノズル拡径部34よりも軟らかい材質の微細粒子9を含有させた樹脂バインダー8を塗布する。
樹脂バインダー8の塗布は、例えば、テレピン精油やキシレンなどの揮発性有機溶剤に、ダンマル樹脂やコハクなどの樹脂バインダー8を溶かすと共に沈降性硫酸バリウムや炭酸カルシウムなどの微細粒子9を混合してシール溶液を生成し、そのシール溶液を、予め洗浄したインジェクタボディ21の下端面11と、ディスタンスピース23の上端面12および下端面13と、ノズル拡径部34の上端面14とに、各々塗布し、乾燥させて(揮発性有機溶剤を揮発させて)行われる。
次に、ノズル拡径部34およびディスタンスピース23をリテーニングナット22内に収容し、そのリテーニングナット22の雌ねじ部27をインジェクタボディ21の雄ねじ部25に螺合させて、リテーニングナット22をインジェクタボディ21の下端部に取り付ける。
これにより、インジェクタボディ21の下端面11とディスタンスピース23の上端面12とが塗布された樹脂バインダー8および微細粒子9を介して突き合わされる。同様にディスタンスピース23の下端面13とノズル拡径部34の上端面14とが塗布された樹脂バインダー8および微細粒子9を介して突き合わされる。
次に、リテーニングナット22を締め付けて、リテーニングナット22の底板221とインジェクタボディ21の下端面11との間で、ディスタンスピース23およびノズル拡径部34を上下方向に挟み込む。
これにより、インジェクタボディ21の下端面11とディスタンスピース23の上端面12とが互いに押し付けられ、それらの合わせ面11−14により微細粒子9が弾性変形する。同様に、ディスタンスピース23の下端面13とノズル拡径部34の上端面14とが互いに押し付けられて、合わせ面11−14間の微細粒子9が弾性変形する。
さらに、リテーニングナット22を締め付けたまま保持し、合わせ面11−14を押し付けた状態で保持することで、微細粒子9により合わせ面11−14の間が弾性シールされる。
弾性シールのシール力は、微細粒子9の弾性変形の度合い(歪)、すなわちリテーニングナット22の締め付け力により調整することができる。シール力は、例えば、高圧燃料の圧力(コモンレール圧)、合わせ面11−14の表面粗さ、微細粒子9の材質、粒径などを考慮して適宜設定される。
さらに、図3に示すように、インジェクタ1の作動時に、高圧油路62内に高圧燃料が導入されると、その高圧燃料の流体圧力により、高圧油路62の周りの微細粒子9が、高圧油路62の径方向外側向きに(内径側より外径側に)押されて、合わせ面11−14の間に内径側より外径側に向かって微細粒子9が入り込み、粒子弾性を強固にでき、合わせ面11−14の間の弾性シールが可能となる。
なお、インジェクタ1の分解後の再組立時には、微細粒子9の付着分布が一致しない(バラツキつきが生じる)ことから、合わせ面11−14を洗浄し上述したのと同様なシール方法処理を行う必要がある。
このように本実施形態では、合わせ面11−14が、従来の平面研削程度の加工技術(Ra=0.05μm程度)の面粗度でも、合わせ面11−14に、揮発性有機成分(有機溶剤)および樹脂バインダー8などに混入させた微細粒子9を塗布し、その後、合わせ面11−14を当接させて締結することにより、合わせ面11−14の粗さ形状部分に微細粒子9が入り込み、微細粒子9自体の弾性変形によりシールすることが可能となる。
その結果、従来の平面研削程度の加工技術(Ra=0.05μm程度)における面粗度においても、高圧のDMEを使用するインジェクタ1の合わせ面11−14をシール可能となり、合わせ面11−14からの流体の漏れを容易に防止することができ、かつシールに要するコストを抑えることができる。
また、本実施形態では、沈降性硫酸バリウムや炭酸カルシウムなどの微細粒子9により弾性シールを行うため、弾性シールがない場合と比べて、耐高圧シールへの過剰な締結力を必要とせず、締結される母材変形などに対しても有利なシール方法となる。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、様々な変形例や応用例が考えられるものである。
例えば、上述の実施形態では、微細粒子9を含有させた樹脂バインダー8を、突き合わせる合わせ面の両方に塗布したが、一方の合わせ面のみに塗布してもよい。
また、本発明のシール方法をインジェクタ以外のものに適用してもよい。
図1は、本発明の一実施形態に係るインジェクタの模式的な断面図である。 図2は、本実施形態のインジェクタの部分詳細図である。 図3は、本実施形態のノズルとディスタンスピースとの合わせ面の拡大図である。 図4は、本実施形態の微細粒子による弾性シールを説明するための図である。 図5は、本実施形態の合わせ面の平面研削後の面粗度測定例を示す図である。
符号の説明
1 インジェクタ
2 本体
3、21、23 金属部材(ノズル、インジェクタボディ、ディスタンスピース)
6 燃料供給通路
8 樹脂バインダー
9 微細粒子
11−14 合わせ面
22、25 締結手段(リテーニングナット、雄ねじ部)
31 噴孔

Claims (4)

  1. 二つの金属部材が、互いに突き合わされる合わせ面を各々有し、それら突き合わされた合わせ面の間から流体が漏れるのを防止するためのシール方法において、
    予め上記二つの金属部材の一方または両方の合わせ面に、上記金属部材よりも軟らかい材質の微細粒子を含有させた樹脂バインダーを塗布し、
    上記樹脂バインダーが塗布された上記金属部材の合わせ面を互いに突き合わせ、
    上記突き合わした合わせ面を互いに押し付けて該合わせ面の間に挟み込まれた上記微細粒子を弾性変形させ、
    上記微細粒子が弾性変形したままで上記合わせ面を押し付けた状態で保持して、上記合わせ面の間をシールすることを特徴とするシール方法。
  2. 上記微細粒子が、沈降性硫酸バリウムまたは炭酸カルシウムからなり、かつ粒子径が0.01〜0.1μmである請求項1記載のシール方法。
  3. 上記樹脂バインダーが、ダンマル樹脂、コハクなどの天然樹脂からなる請求項1または2記載のシール方法。
  4. 燃料を噴射するための噴孔が形成されたノズルが、燃料供給手段に接続された本体の先端に、互いの合わせ面を突き合わせて締結手段により締結され、上記燃料供給手段から上記噴孔に燃料を供給するための燃料供給通路が、上記ノズルと上記本体との合わせ面を貫通して形成されたインジェクタにおいて、
    上記ノズルと本体との合わせ面を、上記請求項1から3いずれかのシール方法によりシールしたことを特徴とするインジェクタ。
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