JP2009057474A - ポリプロピレン樹脂からなる樹脂成形体 - Google Patents

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和久 松永
Tetsunori Shinozaki
篠崎  哲徳
Kunihiko Takei
邦彦 武居
Isao Wada
功 和田
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Abstract

【課題】本発明は、分子量分布が広く、メルトテンションが高く、成形性に優れたポリプロピレン樹脂からなる樹脂成形体を提供する。
【解決手段】本発明の樹脂成形体は、ASTM D−1238(230℃、2.16kg
荷重)で測定したメルトフローレート(MFR)が0.5〜100g/10分であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値から求められるMw/Mn値が6〜30であり、Mz/Mw値が4〜15であるポリプロピレン樹脂からなることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン樹脂からなる樹脂成形体に関する。詳しくは、本発明は、分子量分布が広く、高分子量体を多く含有する特定のポリプロピレン樹脂からなる樹脂成形体に関する。
従来より、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどに代表されるオレフィン重合体は、透明性に優れるとともに、剛性、衝撃強度などの機械的強度に優れており、各種部品などとして利用されている。オレフィン重合体からなる成形体の例としては、発泡成形体(例えば、特許文献1参照)、押出成形体(例えば、特許文献2参照)、真空・圧空成形体(例えば、特許文献3参照)、カレンダー成形体(例えば、特許文献4参照)、延伸フィルム(例えば、特許文献5参照)またはインフレーションフィルム(例えば、特許文献6参照)などが挙げられる。具体例として、ポリプロピレンからは、冷蔵庫の内張りなどの家電製品が製造されている。
ところでこのようなオレフィン重合体は、一般的にメルトテンション(溶融張力、MT)が低いため、成形性に劣る傾向がある。
例えば、発泡成形法では、高発泡率で発泡させることができなかったり、発泡セルが粗大で、発泡セルの大きさが不均一になるなどの問題点があった。
押出成形法、真空・圧空成形法、ブロー成形法などでは、大型の成形体に成形することが困難であった。また、延伸工程を伴う押出成形法によってフィルムに成形する際に、サージング(波打ち)等を起こして成形中にフィルムが切れたり、延伸後のフィルム厚薄精度が悪くなったりすることがある。
カレンダー成形法では、得られるシートあるいはフィルムに厚さむらが生じてしまうという大きな問題点があった。また得られるシートあるいはフィルムの表面光沢がよくないという問題点があった。
インフレーション成形法では、大型化した際にバブルが不安定となり易く、成形条件が限定されるなどの問題点があった。
このため、従来フィルムのインフレーション成形においては、ポリプロピレンに高圧法低密度ポリエチレンなどを配合してメルトテンションを高めて、バブルの安定化を図っていた。しかしながら、このようにポリプロピレンに高圧法低密度ポリエチレンなどを配合すると、得られるフィルム強度や透明性が低下してしまうという問題点があった。
射出成形では成形体表面にシェアがかかり難いためスキン層厚みが薄く、結果、剛性が充分とは言えない点や、ウェルド強度の不足が指摘されることがある。
特開平05−194778号公報 特開平05−194793号公報 特開平05−200849号公報 特開平05−202237号公報 特開平05−209062号公報 特開平05−228995号公報
本発明の目的は、分子量分布が広く、メルトテンションが高く、成形性に優れたポリプロピレン樹脂からなる樹脂成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、特定のポリプロピレン樹脂は分子量分布が広く、メルトテンションが高く、成形性に優れており、該ポリプロピレン樹脂からなる樹脂成形体は特性に優れることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の樹脂成形体は、
ASTM D−1238(230℃、2.16kg荷重)で測定したメルトフローレート
(MFR)が0.5〜100g/10分であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値から求められるMw/Mn値が6〜30であり、Mz/Mw値が4〜15であるポリプロピレン樹脂からなることを特徴としている。
また、前記ポリプロピレン樹脂は、1段階の重合により得られた樹脂であってもよい。
さらに、前記ポリプロピレン樹脂は、
チタン、マグネシウム、ハロゲンおよび下記式(1)で特定される環状エステル化合物(a)を含む固体状チタン触媒成分(I)と、
有機金属化合物触媒成分(II)と、
必要に応じて電子供与体(III)と
を含むオレフィン重合用触媒の存在下に重合して得られたものであることが好ましい。
Figure 2009057474
〔式(1)中、nは5〜10の整数である。
2およびR3はそれぞれ独立にCOOR1またはRであり、R2およびR3のうちの少な
くとも1つはCOOR1である。
環状骨格中の単結合(Ca−Ca結合、およびR3がRである場合のCa−Cb結合を除く
。)は、二重結合に置き換えられていてもよい。
複数個あるR1は、それぞれ独立に炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。
複数個あるRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、窒素含有基、酸素含有基、リン含有基、ハロゲン含有基およびケイ素含有基から選ばれる原子または基であり、互いに結合して環を形成していてもよい。
Rが互いに結合して形成される環の骨格中には二重結合が含まれていてもよく、該環の骨格中に、COOR1が結合したCaを2つ以上含む場合は、該環の骨格をなす炭素原子の数は5〜10である。〕
前記樹脂成形体は、発泡成形体、押出成形体、ブロー成形体、真空・圧空成形体、カレンダー成形体、延伸フィルム、インフレーションフィルムまたは射出成形体であってもよい。
本発明によれば、特定のポリプロピレン樹脂からなる発泡成形体、押出成形体、ブロー成形体、真空・圧空成形体、カレンダー成形体、延伸フィルム、インフレーションフィルムまたは射出成形体など、特性の優れた各種成形体を提供できる。さらに、該ポリプロピレン樹脂からなるシュリンクフィルム、押出ラミ、食品用ブロー容器、発泡シート、食品用トレイ、食器またはバンパーもしくはインパネ材などの自動車用部品など、特性の優れた各種製品を提供できる。
以下、本発明の樹脂成形体について具体的に説明するが、まずこの樹脂成形体を構成するポリプロピレン樹脂について詳しく説明する。
[ポリプロピレン樹脂]
本発明の樹脂成形体は、特定のポリプロピレンを用いて得られる。
本発明に係るポリプロピレン樹脂は、結晶性のポリプロピレン樹脂であり、プロピレン単独重合体、またはプロピレンとエチレンもしくは炭素数が4〜20のα−オレフィンとの共重合体である。上記炭素数が4〜20のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。これらの中ではエチレンまたは炭素数が4〜10のα−オレフィンが好ましい。これらのα−オレフィンは、プロピレンとランダム共重合体を形成してもよく、またブロック共重合体を形成してもよい。これらのα−オレフィンから導かれる構成単位の含有量は、ポリプロピレン樹脂中に5モル%以下、好ましくは2モル%以下であるのが望ましい。
本発明に係るポリプロピレン樹脂は、ASTM D−1238(230℃、2.16k
g荷重)で測定したメルトフローレート(MFR)が0.5〜100g/10分である。好ましい下限値は1g/10分であり、より好ましくは1.5g/10分である。
一方、好ましい上限値は70g/10分であり、より好ましくは50g/10分である。シートやフィルム用途の場合の好ましい上限値は10g/10分であり、より好ましくは8g/10分であり、更に好ましくは5g/10分である。
MFRがこの範囲にあると、シートまたはフィルムの成形性および外観に優れる。
本発明に係るポリプロピレン樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値から求められるMw/Mn値が6〜30であり、好ましくは7〜20であり、より好ましくは8〜18である。
また、本発明に係るポリプロピレン樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値から求められるMz/Mw値が4〜15であり、好ましくは4.5〜15であり、より好ましくは5〜10である。
また、本発明に用いられるオレフィン重合体のMz/Mn値は、好ましくは25以上で
あり、より好ましくは30以上であり、特に好ましくは40以上である。Mz/Mn値の上限は、好ましくは300であり、より好ましくは250であり、特に好ましくは200である。
一般に、Mw/Mn値が高いポリプロピレンは、成形性や剛性に優れることが当該業者では常識とされている。一方、Mz/Mw値が高いことは、分子量の高い成分の含有比率が高いことを表しており、Mz/Mw値が高いポリプロピレンでは、溶融張力が高く、成形性に優れる可能性が高いことが予想される。
本発明に係るポリプロピレン樹脂は、Mw/Mn値が高いことから、充分に広い分子量分布を示し、成形性に優れるとともに剛性に優れる。また、本発明に係るポリプロピレン樹脂は、上述のように高いMz/Mw値を示すため、高分子量の成分を多く含んでおり、溶融張力(MT)が高く成形性に優れる。
このような本発明に係るポリプロピレン樹脂は、多段階の重合や、複数種のポリプロピレンの混合によっても製造することもできるが、好ましくは1段階の重合により得られた
樹脂であることが望ましい。本発明に係るポリプロピレン樹脂が、1段階の重合により得
られた樹脂である場合には、重合体製造装置をよりシンプルにすることができ、経済的である上、ポリプロピレン樹脂中の高分子量成分が、凝集せずにより微分散した状態となるため好ましい。
本発明のポリプロピレン樹脂は、Mw/Mn値が高く、且つMz/Mw値やMz/Mn値が高い高分子量成分を多く含んだものであるため、成形時にはポリプロピレン樹脂中の高分子量成分が核剤として作用し、充填剤粉末や樹脂粉末などの核剤を添加しなくても、結晶化度の高い成形体が得られることがある。特に当該高分子量体が微分散していると核剤などの作用が高まる傾向があるので好ましい。
このような本発明に係るポリプロピレン樹脂は、好ましくは、以下のオレフィン重合用触媒を用いて製造されるのが望ましい。
[オレフィン重合用触媒]
本発明に係るポリプロピレン樹脂は、固体状チタン触媒成分(I)と、有機金属化合物触媒成分(II)と、必要に応じて電子供与体(III)とを含むオレフィン重合用触媒の存
在下に重合して得られたものであることが好ましい。
・固体状チタン触媒成分(I)
本発明に係る固体状チタン触媒成分(I)は、チタン、マグネシウム、ハロゲンおよび下記式(1)で表される環状エステル化合物(a)を含む。
<環状エステル化合物(a)>
本発明に係る固体状チタン触媒成分(I)を構成する環状エステル化合物(a)は、下記式(1)で表される化合物である。
Figure 2009057474
式(1)において、nは、5〜10の整数、好ましくは5〜7の整数であり、特に好ましくは6である。またCaおよびCbは、炭素原子を表わす。
2およびR3はそれぞれ独立にCOOR1またはRであって、R2およびR3のうちの少
なくとも1つはCOOR1であり、好ましくは、R2はCOOR1である。
環状骨格中の炭素原子間結合は、すべてが単結合であることが好ましいが、環状骨格中の、Ca−Ca結合およびR3がRである場合のCa−Cb結合以外のいずれかの単結合は、
二重結合に置き換えられていてもよい。
複数個あるR1は、それぞれ独立に、炭素原子数が1〜20、好ましくは1〜10、よ
り好ましくは2〜8、さらに好ましくは4〜8、特に好ましくは4〜6の1価の炭化水素基である。この炭化水素基としては、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基などが挙げられ、中でもn−ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基が好ましく、更にはn−ブチル基、イソブチル基が好ましい。
複数個あるRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、窒素含有基、酸素含有基、リン含有基、ハロゲン含有基およびケイ素含有基から選ばれる原子または基である。上記のRの内、少なくとも1つは水素原子でないことが好ましい。
水素原子以外のRとしては、これらの中でも炭素原子数1〜20の炭化水素基が好ましく、この炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、ビニル基、フェニル基、オクチル基などの脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。中でも脂肪族炭化水素基が好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基が好ましい。
またRは、互いに結合して環を形成していてもよく、Rが互いに結合して形成される環の骨格中には二重結合が含まれていてもよく、該環の骨格中に、COOR1が結合したCaを2つ以上含む場合は、該環の骨格をなす炭素原子の数は5〜10である。
このような環の骨格としては、ノルボルナン骨格、テトラシクロドデカン骨格などが挙げられる。
またRは、カルボン酸エステル基、アルコキシ基、シロキシ基、アルデヒド基やアセチル基などのカルボニル構造含有基であってもよく、これらの置換基には、炭化水素基1個以上を含んでいることが好ましい。
このような式(1)で表される環状エステル化合物(a)としては、国際公開番号WO2006/077945号および国際公開番号WO2006/077946号の各公報に例示されている化合物をいずれも用いることができるが、たとえば、
シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジエチル、
シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジイソブチル、
シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジオクチル、
シクロペンタン-1,2-ジカルボン酸ジイソブチル、
シクロヘプタン-1,2-ジカルボン酸ジイソブチル、
4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジエチル、
4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジイソブチル、
4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジオクチル、
3-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジイソブチル、
3-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジオクチル、
4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジエチル、
4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジイソブチル、
3,6-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジイソブチル、
3,6-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジオクチル、
3-メチル6-n−プロピルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジイソブチル、
ノルボルナン-1,2-ジカルボン酸ジイソブチル、
3-メチル4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジイソブチル、
3-メチル4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジオクチル、
4-メチル4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジエチル、
4-メチル4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジイソブチル、
4-メチル4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジオクチル、
3,6-ジフェニル-4シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸イソブチル
等が挙げられる。
また、これらに対応する環状ジオール化合物のジカルボン酸エステルも好適な化合物として挙げることが出来る。このような化合物として、特には、
シクロヘキシル-1,2-ジアセテート、
シクロヘキシル-1,2-ジブタネート、
シクロヘキシル-1,2-ジベンゾエート、
シクロヘキシル-1,2-ジトルエート、
3,6-ジメチルシクロヘキシル-1,2-ジアセテート、
3,6-ジメチルシクロヘキシル-1,2-ジブタネート、
3-メチル-6-プロピルシクロヘキシル-1,2-ジオールアセテート、
3-メチル-6-プロピルシクロヘキシル-1,2-ジブタネート、
3,6-ジメチルシクロヘキシル-1,2-ジベンゾエート、
3,6-ジメチルシクロヘキシル-1,2-ジトルエート、
3-メチル-6-プロピルシクロヘキシル-1,2-ジベンゾエート、
3-メチル-6-プロピルシクロヘキシル-1,2-ジトルエート、
等を好ましい例として挙げることが出来る。
上記のようなジエステル構造を持つ環状エステル化合物(a)には、シス、トランス等
の異性体が存在し、どの構造であっても本発明の目的に合致する効果を有するが、よりトランス体の含有率が高い方が好ましく、トランス体の含有率が高い方が、分子量分布を広げる効果だけでなく、活性や得られる重合体の立体規則性がより高い傾向がある。シス体およびトランス体のうちのトランス体の割合は、好ましくは51%以上であることが好ましい。より好ましい下限値は55%であり、更に好ましくは60%であり、特に好ましくは65%である。一方、好ましい上限値は100%であり、より好ましくは90%であり、更に好ましくは85%であり、特に好ましくは79%である。上記(1)式でのRが全て水素原子の場合、上記トランス体の割合が51〜79%の範囲であることが分子量分布の観点からは特に好ましいことがある。この理由は不明であるが、後述する立体異性体のバリエーションが、広分子量分布化に適した領域にあると推測される。
上記のような環状エステル化合物(a)を含む固体状チタン触媒成分(I)を含有するオレフィン重合用触媒の存在下に重合して製造したポリプロピレン樹脂は、広い分子量分布を示し、かつ高分子量成分を多く含むものとなり、本発明で用いるポリプロピレン樹脂として極めて好適である。ここで、広い分子量分布を有するポリプロピレン樹脂が得られる理由は明らかではないが、下記のような環状エステル化合物(a)の構造に起因すると考えられる。
環状炭化水素構造は、イス型、舟型など多彩な立体構造を形成することが知られている。また、環状構造に置換基を有する場合には、取り得る立体構造の種類はさらに増大する。そして環状エステル化合物(a)が多彩な立体構造を取りうることが、固体状チタン触媒成分(I)上に多彩な活性種を形成する事に繋がる。特に、環状エステル化合物(a)の環状骨格を形成する炭素原子のうちの、エステル基(COOR1基)が結合した炭素原
子と隣接する炭素原子との間の結合が単結合であれば、取りうる立体構造のバリエーションが広がる。その結果、固体状チタン触媒成分(I)を用いてオレフィンの重合を行うと、多様な分子量のオレフィン重合体を一度に製造することができる、即ち分子量分布の広いオレフィン重合体を製造することができる。
これらの化合物は、1種単独で用いてもよく2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で好適に用いられる固体状チタン触媒成分(I)の調製には、上記の環状エステル化合物(a)の他、マグネシウム化合物およびチタン化合物が用いられる。
<マグネシウム化合物>
マグネシウム化合物としては、具体的には、
塩化マグネシウム、臭化マグネシウムなどのハロゲン化マグネシウム;
メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、フェノキシ塩化マグネシウムなどのアルコキシマグネシウムハライド;
エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、2-エチルヘキソキシマグネシウムなどのアルコキシマグネシウム;
フェノキシマグネシウムなどのアリーロキシマグネシウム;
ステアリン酸マグネシウムなどのマグネシウムのカルボン酸塩
などの公知のマグネシウム化合物を挙げることができる。
これらのマグネシウム化合物は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。またこれらのマグネシウム化合物は、他の金属との錯化合物、複化合物あるいは他の金属化合物との混合物であってもよい。
これらの中ではハロゲンを含有するマグネシウム化合物が好ましく、ハロゲン化マグネシウム、特に塩化マグネシウムがより好ましく用いられる。他には、エトキシマグネシウムのようなアルコキシマグネシウムも好ましく用いられる。また、該マグネシウム化合物
は、他の物質から誘導されたもの、たとえばグリニャール試薬のような有機マグネシウム化合物とハロゲン化チタンやハロゲン化珪素、ハロゲン化アルコールなどとを接触させて得られるものであってもよい。
<チタン化合物>
チタン化合物としては、たとえば一般式;
Ti(OR)g4-g・・・(2)
(Rは炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、gは0≦g≦4である。)
で示される4価のチタン化合物を挙げることができる。より具体的には、
TiCl4、TiBr4などのテトラハロゲン化チタン;
Ti(OCH3)Cl3、Ti(OC25)Cl3、Ti(O-n-C49)Cl3、Ti(OC25)Br3、Ti(O-isoC49)Br3などのトリハロゲン化アルコキシチタン;
Ti(OCH3)2Cl2、Ti(OC25)2Cl2などのジハロゲン化アルコキシチタン;
Ti(OCH3)3Cl、Ti(O-n-C49)3Cl、Ti(OC25)3Brなどのモノハロ
ゲン化アルコキシチタン;
Ti(OCH3)4、Ti(OC25)4、Ti(OC49)4、Ti(O-2-エチルヘキシル)4などのテトラアルコキシチタン
などを挙げることができる。
これらの中で好ましいものは、テトラハロゲン化チタンであり、特に四塩化チタンが好ましい。これらのチタン化合物は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の様なマグネシウム化合物およびチタン化合物としては、たとえば、特開昭57−63310号公報、特開平5−170843号公報などに詳細に記載されている化合物も挙げることができる。
<固体状チタン触媒成分(I)の調製>
前記固体状チタン触媒成分(I)の調製には、環状エステル化合物(a)を使用する他は、公知の方法を制限無く使用することができる。具体的な好ましい方法としては、たとえば下記(P-1)〜(P-4)の方法を挙げることができる。
(P-1) マグネシウム化合物および触媒成分(b)からなる固体状付加物と、環状エステル化合物(a)と、液状状態のチタン化合物とを、不活性炭化水素溶媒共存下、懸濁状態で接触させる方法。
(P-2) マグネシウム化合物および触媒成分(b)からなる固体状付加物と、環状エステル化合物(a)と、液状状態のチタン化合物とを、複数回に分けて接触させる方法。
(P-3) マグネシウム化合物および触媒成分(b)からなる固体状付加物と、環状エステル化合物(a)と、液状状態のチタン化合物とを、不活性炭化水素溶媒共存下、懸濁状態で接触させ、且つ複数回に分けて接触させる方法。
(P-4) マグネシウム化合物および触媒成分(b)からなる液状状態のマグネシウム化合物と、液状状態のチタン化合物と、環状エステル化合物(a)とを接触させる方法。
固体状チタン触媒成分(I)の調製の際の好ましい反応温度は、−30℃〜150℃、より好ましくは−25℃〜130℃の範囲であり、更に好ましくは−25〜120℃の範囲である。
また、上記の固体状チタン触媒成分の製造は、必要に応じて公知の媒体の存在下に行うこともできる。この媒体としては、やや極性を有するトルエンなどの芳香族炭化水素やヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサンなどの公知の脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素化合物が挙げられるが、これらの中では脂肪族炭化水素が好ましい例として挙げられる
上記の範囲で製造された固体状チタン触媒成分(I)を用いて重合反応を行うと、広い分子量分布のポリプロピレン樹脂を得られる効果と、触媒の活性や得られるポリプロピレン樹脂の高い立体規則性とをより高いレベルで両立することが出来る。
<触媒成分(b)>
上記の固体状付加物や液状状態のマグネシウム化合物の形成に用いられる触媒成分(b)としては、室温〜300℃程度の温度範囲で上記のマグネシウム化合物を可溶化できる公知の化合物が好ましく、たとえばアルコール、アルデヒド、アミン、カルボン酸およびこれらの混合物などが好ましい。これらの化合物としては、たとえば特開昭57-633
10号公報、特開平5-170843号公報などに詳細に記載されている化合物を挙げる
ことができる。
上記のマグネシウム化合物可溶化能を有するアルコールとして、より具体的には
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、2-メチルペンタノール、2-エチルブタノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール、2-エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノールのような脂肪族アルコール;
シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノールのような脂環族アルコール;
ベンジルアルコール、メチルベンジルアルコールなどの芳香族アルコール;
n-ブチルセルソルブなどのアルコキシ基を有する脂肪族アルコール
などを挙げることができる。
カルボン酸としては、カプリル酸、2-エチルヘキサノイック酸などの炭素数7以上の有機カルボン酸類を挙げることができる。アルデヒドとしては、カプリックアルデヒド、2-エチルヘキシルアルデヒドなどの炭素数7以上のアルデヒド類を挙げることができる。
アミンとしては、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、ラウリルアミン、2-エチルヘキシルアミンなどの炭素数6以上のアミン類を挙げることができる。
上記の触媒成分(b)としては、上記のアルコール類が好ましく、特にエタノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール、ヘキサノール、2-エチルヘキサノール、デ
カノールなどが好ましい。
上記の固体状付加物や液状状態のマグネシウム化合物を調製する際のマグネシウム化合物および触媒成分(b)の使用量については、その種類、接触条件などによっても異なるが、マグネシウム化合物は、該触媒成分(b)の単位容積あたり、0.1〜20モル/リットル、好ましくは、0.5〜5モル/リットルの量で用いられる。また、必要に応じて上記固体状付加物に対して不活性な媒体を併用することもできる。上記の媒体としては、ヘプタン、オクタン、デカンなどの公知の炭化水素化合物が好ましい例として挙げられる。
得られる固体状付加物や液状状態のマグネシウム化合物のマグネシウムと触媒成分(b)との組成比は、用いる化合物の種類によって異なるので一概には規定できないが、マグネシウム化合物中のマグネシウム1モルに対して、触媒成分(b)は、好ましくは2.0モル以上、より好ましくは2.2モル以上、さらに好ましくは2.3モル以上、特に好ましくは2.4モル以上、5モル以下の範囲である。
<触媒成分(c)>(芳香族カルボン酸エステルおよび/または複数の炭素原子を介して2個以上のエーテル結合を有する化合物)
前記固体状チタン触媒成分(I)は、さらに、芳香族カルボン酸エステルおよび/また
は複数の炭素原子を介して2個以上のエーテル結合を有する化合物(以下「触媒成分(c)」ともいう。)を含んでいてもよい。前記固体状チタン触媒成分(I)が触媒成分(c)を含んでいると活性や立体規則性を高めたり、分子量分布をより広げることができる場合がある。
この触媒成分(c)としては、従来オレフィン重合用触媒に好ましく用いられている公知の芳香族カルボン酸エステルやポリエーテル化合物、たとえば特開平5-170843
号公報や特開2001-354714号公報などに記載された化合物を制限無く用いるこ
とができる。
この芳香族カルボン酸エステルとしては、具体的には安息香酸エステルやトルイル酸エステルなどの芳香族カルボン酸モノエステルの他、フタル酸エステル類等の芳香族多価カルボン酸エステルが挙げられる。これらの中でも芳香族多価カルボン酸エステルが好ましく、フタル酸エステル類がより好ましい。このフタル酸エステル類としては、フタル酸エチル、フタル酸n-ブチル、フタル酸イソブチル、フタル酸ヘキシル、フタル酸へプチル
等のフタル酸アルキルエステルが好ましく、フタル酸ジイソブチルが特に好ましい。
また前記ポリエーテル化合物としては、より具体的には以下の式(3)で表わされる化合物が挙げられる。
Figure 2009057474
なお、上記式(3)において、mは1≦m≦10の整数、より好ましくは3≦m≦10の整数であり、R11〜R36は、それぞれ独立に、水素原子、あるいは炭素、水素、酸素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、窒素、硫黄、リン、ホウ素およびケイ素から選択される少なくとも1種の元素を有する置換基である。
mが2以上である場合、複数個存在するR11およびR12は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。任意のR11〜R36、好ましくはR11およびR12は共同してベンゼン環以外の環を形成していてもよい。
この様な化合物の一部の具体例としては、
2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、
2-s-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、
2-クミル-1,3-ジメトキシプロパン
等の1置換ジアルコキシプロパン類、
2-イソプロピル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、
2,2-ジシクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、
2-メチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、
2-メチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、
2-メチル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、
2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、
2,2-ビス(シクロヘキシルメチル)-1,3-ジメトキシプロパン、
2,2-ジイソブチル-1,3-ジエトキシプロパン、
2,2-ジイソブチル-1,3-ジブトキシプロパン、
2,2-ジ-s-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、
2,2-ジネオペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、
2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、
2-シクロヘキシル-2-シクロヘキシルメチル-1,3-ジメトキシプロパン
等の2置換ジアルコキシプロパン類
2,3-ジシクロヘキシル-1,4-ジエトキシブタン、
2,3-ジシクロヘキシル-1,4-ジエトキシブタン、
2,3-ジイソプロピル-1,4-ジエトキシブタン
2,4-ジフェニル-1,5-ジメトキシペンタン、
2,5-ジフェニル-1,5-ジメトキシヘキサン、
2,4-ジイソプロピル-1,5-ジメトキシペンタン、
2,4-ジイソブチル-1,5-ジメトキシペンタン、
2,4-ジイソアミル-1,5-ジメトキシペンタン
等のジアルコキシアルカン類、
2-メチル-2-メトキシメチル-1,3-ジメトキシプロパン、
2-シクロヘキシル-2-エトキシメチル-1,3-ジエトキシプロパン、
2-シクロヘキシル-2-メトキシメチル-1,3-ジメトキシプロパン
等のトリアルコキシアルカン類、
2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシ4-シクロヘキセン、
2-イソプロピル-2-イソアミル-1,3-ジメトキシ4-シクロヘキセン、
2-シクロヘキシル-2-メトキシメチル-1,3-ジメトキシ4-シクロヘキセン、
2-イソプロピル-2-メトキシメチル-1,3-ジメトキシ4-シクロヘキセン、
2-イソブチル-2-メトキシメチル-1,3-ジメトキシ4-シクロヘキセン、
2-シクロヘキシル-2-エトキシメチル-1,3-ジメトキシ4-シクロヘキセン、
2-イソプロピル-2-エトキシメチル-1,3-ジメトキシ4-シクロヘキセン、
2-イソブチル-2-エトキシメチル-1,3-ジメトキシ4-シクロヘキセン
等のジアルコキシシクロアルカン類
等を例示することができる。
これらのうち、1,3-ジエーテル類が好ましく、特に、2-イソプロピル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジシクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(シクロヘキシルメチル)1,3-ジメトキシプロパンが好ましい。
これらの化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の様な環状エステル化合物(a)、触媒成分(b)、触媒成分(c)は、当該業者では電子供与体と呼ばれる成分に属すると考えても差し支えない。上記の電子供与体成分は、触媒の高い活性を維持したまま、得られる重合体の立体規則性を高める効果や、得られる共重合体の組成分布を制御する効果や、触媒粒子の粒形や粒径を制御する凝集剤効果などを示すことが知られている。
上記の環状エステル化合物(a)は、それ自身が電子供与体であることによって、さらに分子量分布を制御する効果をも示していると考えられる。
前記固体状チタン触媒成分(I)において、ハロゲン/チタン(原子比)(すなわち、ハロゲン原子のモル数/チタン原子のモル数)は、2〜100、好ましくは4〜90であることが望ましく、
環状エステル化合物(a)/チタン(モル比)(すなわち、環状エステル化合物(a)のモル数/チタン原子のモル数)は、0.01〜100、好ましくは0.2〜10であるこ
とが望ましく、
触媒成分(b)や触媒成分(c)は、触媒成分(b)/チタン原子(モル比)は0〜100、好ましくは0〜10であることが望ましく、触媒成分(c)/チタン原子(モル比)は0〜100、好ましくは0〜10であることが望ましい。
マグネシウム/チタン(原子比)(すなわち、マグネシウム原子のモル数/チタン原子のモル数)は、2〜100、好ましくは4〜50であることが望ましい。
また、前述した環状エステル化合物(a)以外に含まれても良い成分、たとえば触媒成分(b)、触媒成分(c)の含有量は、好ましくは環状エステル化合物(a)100重量%に対して20重量%以下であり、より好ましくは10重量%以下である。
固体状チタン触媒成分(I)のより詳細な調製条件として、環状エステル化合物(a)を使用する以外は、たとえばEP585869A1(欧州特許出願公開第0585869号明細書)や特開
平5-170843号公報等に記載の条件を好ましく用いることができる。
・有機金属化合物触媒成分(II)
有機金属化合物触媒成分(II)としては、第13族金属を含む化合物、たとえば、有機アルミニウム化合物、第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物、第2族金属の有機金属化合物などを用いることができる。これらの中でも有機アルミニウム化合物が好ましい。
有機金属化合物触媒成分(II)としては具体的には、前記EP585869A1等の公知の文献に記載された有機金属化合物触媒成分を好ましい例として挙げることができる。
・電子供与体(III)
本発明において好適に用いられるオレフィン重合用触媒は、前記有機金属化合物触媒成分(II)と共に、必要に応じて既述の電子供与体(III)を含んでいてもよい。電子供与
体(III)として好ましくは、有機ケイ素化合物が挙げられる。この有機ケイ素化合物と
しては、たとえば下記一般式(4)で表される化合物を例示できる。
nSi(OR’)4-n ・・・(4)
(式中、RおよびR’は炭化水素基であり、nは0<n<4の整数である。)
上記のような一般式(4)で示される有機ケイ素化合物としては、具体的には、ジイソプロピルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジエトキシシラン、t-アミルメチルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、2-メチルシクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、トリシクロペンチルメトキシシラン、ジシクロペンチルメチルメトキシシラン、ジシクロペンチルエチルメトキシシラン、シクロペンチルジメチルエトキシシランなどが用いられる。
このうちビニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシランが好ましく用いられる。
また、国際公開第2004/016662号パンフレットに記載されている下記式(5)で表されるシラン化合物も前記有機ケイ素化合物の好ましい例である。
Si(ORa3(NRbc) …(5)
式(5)中、Raは、炭素数1〜6の炭化水素基であり、Raとしては、炭素数1〜6の
不飽和あるいは飽和脂肪族炭化水素基などが挙げられ、特に好ましくは炭素数2〜6の炭化水素基が挙げられる。具体例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、これらの中でもエチル基が特に好ましい。
式(5)中、Rbは、炭素数1〜12の炭化水素基または水素であり、Rbとしては、炭素数1〜12の不飽和あるいは飽和脂肪族炭化水素基または水素などが挙げられる。具体例としては水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等が挙げられ、これらの中でもエチル基が特に好ましい。
式(5)中、Rcは、炭素数1〜12の炭化水素基であり、Rcとしては、炭素数1〜12の不飽和あるいは飽和脂肪族炭化水素基または水素などが挙げられる。具体例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等が挙げられ、これらの中でもエチル基が特に好ましい。
上記式(5)で表される化合物の具体例としては、
ジメチルアミノトリエトキシシラン、
ジエチルアミノトリエトキシシラン、
ジエチルアミノトリメトキシシラン、
ジエチルアミノトリエトキシシラン、
ジエチルアミノトリn−プロポキシシラン、
ジn−プロピルアミノトリエトキシシラン、
メチルn−プロピルアミノトリエトキシシラン、
t-ブチルアミノトリエトキシシラン、
エチルn−プロピルアミノトリエトキシシラン、
エチルiso−プロピルアミノトリエトキシシラン、
メチルエチルアミノトリエトキシシラン
が挙げられる。
また、前記有機ケイ素化合物の他の例としては、下記式(6)で表される化合物が挙げられる。
RNSi(ORa3 …(6)
式(6)中、RNは、環状アミノ基であり、この環状アミノ基として、例えば、パーヒドロキノリノ基、パーヒドロイソキノリノ基、1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ基、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリノ基、オクタメチレンイミノ基等が挙げられる。上記式(6)で表される化合物として具体的には、
(パーヒドロキノリノ)トリエトキシシラン、
(パーヒドロイソキノリノ)トリエトキシシラン、
(1,2,3,4−テトラヒドロキノリノ)トリエトキシシラン、
(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリノ)トリエトキシシラン、
オクタメチレンイミノトリエトキシシラン
等が挙げられる。
これらの有機ケイ素化合物は、2種以上組み合わせて用いることもできる。
また、電子供与体(III)として他に有用な化合物としては、前記芳香族カルボン酸エ
ステルおよび/または複数の炭素原子を介して2個以上のエーテル結合を有する化合物(前記触媒成分(c))の例として記載したポリエーテル化合物も好ましい例として挙げられる。
これらのポリエーテル化合物の中でも、1,3-ジエーテル類が好ましく、特に、2-イソプロピル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシプロ
パン、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジシクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(シクロヘキシルメチル)1,3-ジメトキシプロパンが
好ましい。
これらの化合物は、単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
なお、前記オレフィン重合用触媒は、上記のような各成分以外にも必要に応じてオレフィン重合に有用な他の成分を含んでいてもよい。この他の成分としては、たとえば、シリカなどの担体、帯電防止剤等、粒子凝集剤、保存安定剤などが挙げられる。
[ポリプロピレン樹脂の製造方法]
前記ポリプロピレン樹脂の製造方法は、前記オレフィン重合用触媒を用いてオレフィン重合を行うことが好ましい。本発明において、「重合」には、ホモ重合の他、ランダム共重合、ブロック共重合などの共重合の意味が含まれることがある。
前記ポリプロピレン樹脂の製造方法では、前記オレフィン重合用触媒の存在下にα-オ
レフィンを予備重合(prepolymerization)させて得られる予備重合触媒の存在下で、本重
合(polymerization)を行うことも可能である。この予備重合は、オレフィン重合用触媒1g当り0.1〜1000g好ましくは0.3〜500g、特に好ましくは1〜200gの量でα-オレフィンを予備重合させることにより行われる。
予備重合では、本重合における系内の触媒濃度よりも高い濃度の触媒を用いることができる。
予備重合における前記固体状チタン触媒成分(I)の濃度は、液状媒体1リットル当り、チタン原子換算で、通常約0.001〜200ミリモル、好ましくは約0.01〜50ミリモル、特に好ましくは0.1〜20ミリモルの範囲とすることが望ましい。
予備重合における前記有機金属化合物触媒成分(II)の量は、固体状チタン触媒成分(I)1g当り0.1〜1000g、好ましくは0.3〜500gの重合体が生成するような量であればよく、固体状チタン触媒成分(I)中のチタン原子1モル当り、該触媒成分(II)中の金属原子に換算して通常約0.1〜300モル、好ましくは約0.5〜100モル、特に好ましくは1〜50モルの量であることが望ましい。
予備重合では、必要に応じて前記触媒成分(III)等を用いることもでき、この際これ
らの成分は、前記固体状チタン触媒成分(I)中のチタン原子1モル当り、該触媒成分(II)中の金属原子に換算して0.1〜50モル、好ましくは0.5〜30モル、さらに好ましくは1〜10モルの量で用いられる。
予備重合は、不活性炭化水素媒体にオレフィンおよび上記の触媒成分を加え、温和な条件下に行うことができる。
この場合、用いられる不活性炭化水素媒体としては、具体的には、
プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;
シクロヘプタン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタン、4-シクロヘプタン、4-シク
ロヘプタン、メチル4-シクロヘプタンなどの脂環族炭化水素;
ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;
エチレンクロリド、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、
あるいはこれらの混合物などを挙げることができる。
これらの不活性炭化水素媒体のうちでは、特に脂肪族炭化水素を用いることが好ましい。このように、不活性炭化水素媒体を用いる場合、予備重合はバッチ式で行うことが好ましい。
一方、オレフィン自体を溶媒として予備重合を行うこともできるし、また実質的に溶媒のない状態で予備重合することもできる。この場合には、予備重合を連続的に行うのが好ましい。
予備重合で使用されるオレフィンは、後述する本重合で使用されるオレフィンと同一であっても、異なっていてもよく、具体的には、プロピレンであることが好ましい。
予備重合の際の温度は、通常約-20〜+100℃、好ましくは約-20〜+80℃、さらに好ましくは0〜+40℃の範囲であることが望ましい。
次に、前記の予備重合を経由した後に、あるいは予備重合を経由することなく実施される本重合(polymerization)について説明する。
本重合(polymerization)においては、プロピレンを単独で、または、プロピレンをエチレンもしくは炭素数が4〜20のα−オレフィンとともに重合あるいは共重合することができる。上記炭素数が4〜20のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。これらの中ではエチレンまたは炭素数が4〜10のα−オレフィンが好ましい。また、スチレン、アリルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘプタン等の脂環族ビニル化合物を用いることもできる。更に、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、テトラシクロドデセン、イソプレン、ブタジエンなどのジエン類などの共役ジエンや非共役ジエンのような多不飽和結合を有する化合物をエチレン、α-オレフィンとともに重合原料の一部として用いることもできる。これらの化合物
は1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。単量体中において、プロピレン以外の共重合成分は、10モル%以下、好ましくは5モル%以下、より好ましくは2モル%以下であるのが望ましい。
本発明では、予備重合および本重合は、バルク重合法、溶解重合、懸濁重合などの液相重合法あるいは気相重合法のいずれにおいても実施できる。
本重合がスラリー重合の反応形態を採る場合、反応溶媒としては、上述の予備重合時に用いられる不活性炭化水素を用いることもできるし、反応温度において液体であるオレフィンを用いることもできる。
前記本重合においては、前記固体状チタン触媒成分(I)は、重合容積1リットル当りチタン原子に換算して、通常は約0.0001〜0.5ミリモル、好ましくは約0.005
〜0.1ミリモルの量で用いられる。また、前記有機金属化合物触媒成分(II)は、重合
系中の予備重合触媒成分中のチタン原子1モルに対し、該触媒成分(II)中の金属原子に換算して通常約1〜2000モル、好ましくは約5〜500モルとなるような量で用いられる。
前記触媒成分(III)を使用する場合、前記触媒成分(III)は、前記有機金属化合物触媒成分(II)中の金属原子に換算に対して、0.001〜50モル、好ましくは0.01
〜30モル、特に好ましくは0.05〜20モルの量で用いられる。
本重合を水素の存在下に行えば、得られる重合体の分子量を調節することができ、メルトフローレートの大きいポリプロピレン樹脂が得られる。
前記本重合において、オレフィンの重合温度は、通常、約20〜200℃、好ましくは約30〜100℃、より好ましくは50〜90℃である。圧力は、通常、常圧〜100kgf/cm2(9.8MPa)、好ましくは約2〜50kgf/cm2(0.20〜4.9MPa)に設定される。ポリプロピレン樹脂の製造方法においては、重合を、回分式、半連続式、連続式の何れの方法においても行うことができる。さらに重合を、反応条件を変えて2段以上に分けて行うこともできる。このような多段重合を行えば、ポリプロピレン樹脂の分子量分布を更に広げることが可能、即ちMw/Mn値、Mz/Mw値、Mz/Mn値をより高めることが出来る。
このようにして得られたポリプロピレン樹脂は、単独重合体、ランダム共重合体およびブロック共重合体などのいずれであってもよい。
上記のようなオレフィン重合用触媒を用いてポリプロピレン樹脂の製造を行うと、デカン不溶成分含有率が70%以上、好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である立体規則性の高いポリプロピレン樹脂が得られる。
さらに前記ポリプロピレン樹脂の製造方法では、多段重合を行わなくても、少ない段数の重合、例えば単段重合でも、分子量分布の広いポリオレフィン、特にポリプロピレンを得ることができる。前記ポリプロピレン樹脂の製造方法においては、特に、メルトフローレート(MFR)が同等である従来のオレフィン重合体よりも、分子量の高い成分の比率が従来に比して高く、かつ(特にベタ成分と呼ばれる)分子量の低い成分の比率が低いポリプロピレン樹脂が得られる場合が多い。この特徴は、後述するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により確認することができ、Mw/Mn値およびMz/Mw値の両方が高いポリプロピレン樹脂を得ることができる。
従来のマグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を含む固体状チタン触媒成分を用いて得られるポリプロピレンは、たとえばMFRが1〜100g/10分の領域では、GPC測定で求められる分子量分布の指標であるMw/Mn値が5以下、Mz/Mw値は4未満となることが一般的であったが、前記ポリプロピレン樹脂の製造方法を用いると、上記の同様の重合条件でMw/Mn値が6〜30、好ましくは7〜20、より好ましくは8〜18のポリプロピレン樹脂を得ることができる傾向がある。また好ましくはMz/Mw値が4〜15、より好ましくは4.5〜15、更に好ましくは5〜10のポリプロピレン樹脂を得ることができる傾向がある。また本発明に用いられるオレフィン重合体のMz/Mn値は、好ましくは25以上、より好ましくは30以上、特に好ましくは40以上である。Mz/Mn値の上限は、好ましくは300、より好ましくは250、特に好ましくは200である。特に、前記ポリプロピレン樹脂の製造方法では、Mz/Mw値、Mz/Mn値の高い重合体が得られることが多い。
Mw/Mn値が高いポリプロピレンは、成形性や剛性に優れることが当該業者では常識とされている。一方、Mz/Mw値が高いことは、分子量の高い成分の含有比率が高いことを表しており、得られるポリプロピレンの溶融張力が高く、成形性が優れる傾向がある。
前記ポリプロピレン樹脂の製造方法では、多段重合を行わなくても分子量分布の広いポリプロピレン樹脂を得ることができるので、重合体製造装置をよりシンプルにする事ができる可能性がある。また、従来の多段重合法に適用すると、より溶融張力や成形性に優れたポリプロピレン樹脂を得ることができる傾向がある。
分子量分布の広いポリプロピレン樹脂を得る他の方法としては、分子量の異なるポリプロピレン樹脂を溶解混合や、溶融混練する方法もあるが、これらの方法により得られるポリプロピレン樹脂は、作業が比較的煩雑な割には、溶融張力や成形性の向上が充分でない場合がある。これは分子量の異なるポリプロピレン樹脂は基本的に混ざり難い為と推定されている。
一方、前記ポリプロピレン樹脂の製造方法で得られるポリプロピレン樹脂は、触媒レベル、即ちナノレベルで、極めて広い範囲の分子量の異なるポリプロピレン樹脂が混合しているので、溶融張力が高く、成形性が優れている傾向がある。
[樹脂成形体]
前記ポリプロピレン樹脂からなる樹脂成形体は、発泡成形体、押出成形体、ブロー成形体、真空・圧空成形体、カレンダー成形体、延伸フィルム、インフレーションフィルムまたは射出成形体などが挙げられる。
以下、上記各種成形体について具体的に説明する。
[発泡成形体]
本発明の発泡成形体は、前記ポリプロピレン樹脂からなることを特徴としている。
本発明の発泡成形体は、前記ポリプロピレン樹脂と、発泡剤と、必要に応じて有機過酸化物と、架橋助剤などを含んでなる発泡体成形用組成物を、加熱することによって製造することができる。
発泡剤は、常温で液体または固体であって加熱により気体を発生する化学物質であり、具体的には、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸バリウム、N,N'- ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン-3,3- ジスルホニルヒドラジド、p-トルエンスルホニルセミカルバジド、トリヒドラジノトリアジン、ビウレア、炭酸亜鉛などが用いられる。これらの中では、ガス発生量が多く、ガス発生終了温度がオレフィン重合体の熱劣化開始温度よりも充分低い、アゾジカルボンアミド、N,N'-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トリヒドラジノトリア
ジンが特に好ましい。
このような発泡剤は、ポリプロピレン樹脂100重量部に対して1〜20重量部、特に2〜5重量部の量で存在することが好ましい。有機過酸化物は、発泡成形体を架橋させるために用いられる。この有機過酸化物としては、有機ペルオキシド、有機ペルオキシエステルが主として用いられ、具体的には、下記のような化合物が用いられる。
3,5,5-トリメチルヘキサノイルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、コハク酸ペルオキシド、アセチルペルオキシド、tert- ブチルペルオキシ(2-エチルヘキサノエート)、m-トルオイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、tert- ブチルペルオキシイソブチレート、1,1-ビス(tert- ブチルペルオキシ)-3,5,5- トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(tert- ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、tert- ブチルペルオキシマレイン酸、tert- ブチルペルオキシラウレート、tert- ブチルペルオキシ-3,5,5- トリメチルシクロヘキサノエート、シクロヘキサノンペルオキシド、tert- ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、2,5-ジメチル-2,5- ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、tert- ブチルペルオキシアセテート、2,2-ビス(tert- ブチルペルオキシ)ブタン、tert- ブチルペルオキシベンゾエート、n-ブチル-4,4- ビス(tert- ブチルペルオキシ)バレレート、ジ-tert-ブチルペルオキシイソフタレート、メチルエチルケトンペルオキシド、α, α'- ビス(tert- ブチルペルオキシイ
ソプロピル)ベンゼン、ジクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5- ジ(tert- ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert- ブチルクミルペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、パラメンタンヒドロペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-(tert- ブチルペルオキシ)-3-ヘキシン、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5- ジヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、tert- ブチルヒドロキシペルオキシドなど。
これらのうちでも1,1-ビス(tert- ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、tert- ブチルペルオキシマレイン酸、tert- ブチルペルオキシラウレート、tert- ブチルペルオキシ-3,5,5- トリメチルシクロヘキサノエート、シクロヘキサノンペルオキシド、tert- ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、2,5-ジメチル-2,5- ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、tert- ブチルペルオキシアセテート、2,2-ビス(tert- ブチルペルオキシ)ブタン、tert- ブチルペルオキシベンゾエート、n-ブチル-4,4- ビス(tert- ブチルペルオキシ)バレレート、ジ-tert-ブチルペルオキシイソフタレート、メチルエチルケトンペルオキシド、α, α'- ビス(tert- ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミル
ペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5- ジ(tert- ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert- ブチルクミルペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、パラメンタンヒドロペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-(tert- ブチルペルオキシ)-3-ヘキシン、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5- ジヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、tert- ブチルヒドロキシペルオキシドの化合物が好ましい。
この有機過酸化物は、ポリプロピレン樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部、特に0.01〜1重量部の量で用いられることが好ましい。架橋助剤は、有機過酸化物によってオレフィン重合体の水素が引き抜かれ、これによって生じるポリマーラジカルが、開裂反応を起こすよりも速く架橋助剤と反応させることによって、ポリマーラジカルを安定化させると同時に、架橋効率を高める働きをするものである。
このような働きをする架橋助剤としては、通常二重結合を1個または2個以上有する不飽和化合物、オキシム化合物、ニトロソ化合物、マレイミド化合物などが挙げられる。これらは1種または2種以上の混合物で用いられる。
このような架橋助剤としては、具体的には、ジビニルベンゼンなどの不飽和化合物、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジアリルフタレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、キノンジオキシム、ベンゾキノンジオキシムなどのオキシム化合物、パラニトロソフェノール、N,N-メタフェニレンビスマレイミドが挙げられる。これらのうちではネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレートが好ましい。
本発明に係る発泡成形体の形状はどのようなものであってもよく、ブロック状、シート状、モノフィラメント状であってもよい。本発明に係る発泡成形体を、前記ポリプロピレン樹脂から製造するには、従来公知の発泡成形装置を用いることができる。また成形条件も、従来公知の条件を採用することができる。
例えば、前記ポリプロピレン樹脂(A)、有機過酸化物(B)、架橋助剤(C)、発泡剤(D)および必要に応じて耐熱安定剤(E)とを前記範囲でヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラブレンダー等で混合した組成物を押出機、好ましくはベント付押出機を用いて高温加熱部より後に設置したベントから不要の揮発性物質
を吸収しながら、有機過酸化物(B)は分解するが発泡剤(D)は分解しない温度の範囲で混練し、該押出機に該押出機に取付けたT−ダイまたは円環状ダイを通して実質的に未分解の発泡剤(D)を含む架橋改質済みの発泡性シートを得た後、公知の発泡方法、すなわち、加圧下に発泡剤を加圧分解させるプレス発泡法、常圧下に発泡剤を加熱分解させる溶融塩浴加熱発泡法、熱風オーブン法加熱発泡法、輻射熱線加熱発泡法、高周波加熱発泡法、あるいはこれらの2方法以上の組合せなどの方法により発泡させて発泡体を製造する方法を例示することができる。
この発泡成形体は、高発泡率まで発泡可能であり、しかも発泡セルが緻密で発泡セルの大きさも均一である。このため、曲げ特性に優れている。
本発明に係る発泡成形体の製品種類は、特に限定されないが、具体的には、ファイルケースなどの文具用品、自動車用ルーフライナーなどの自動車内装材、トレイ、食品トレイ、めん類容器、弁当箱、ファーストフード容器、レトルト容器、冷凍食品容器、惣菜容器、電子レンジ耐熱容器、カップ、合成木材、各種発泡体の原反、各種緩衝材、各種保温材、各種防音材、各種防振材などが挙げられる。
[押出成形体]
本発明の押出成形体は、前記ポリプロピレン樹脂からなることを特徴としている。
本発明に係る押出成形体は、前記ポリプロピレン樹脂を用いて押出法で成形することによって製造される。前記ポリプロピレン樹脂は高いメルトテンションを有しているため、押出成形時に高速で成形することができたり、大型の製品を得ることができる。
本発明に係る押出成形体の形状および製品種類は、特に限定されないが、具体的に、シート、フィルム、パイプ、ホース、電線被覆、モノフィラメントなどが挙げられる。
本発明に係る押出成形体を、前記ポリプロピレン樹脂から製造するには、従来公知の押出装置を用いることができる。たとえば、単軸スクリュー押出機、混練押出機、ラム押出機、ギヤ押出機などが用いられる。また押出機に環状ダイスあるいはTダイなどを取り付けてもよい。
また成形条件も、従来公知の条件を採用することができる。本発明では、このような成形条件のうちでも、下記のような条件で成形体を製造することが好ましい。
例えばTダイを設置した押出機を用いて、樹脂温度100〜300℃、好ましくは150〜270℃で、Tダイ温度80℃〜270℃、好ましくは130℃〜250℃でシートを成形する方法等が挙げられる。
成形体の冷却には水が用いられる他、シートを成形する場合などは、エアナイフや冷却ロールを用いる方法等もある。また成形の際、ロール上に紙や布等を送り、人工レザー、防水布、各種ラミネート製品を製造することもできる。
前記押出成形体には、表面形状が木目調などの特徴を有する所謂異形押出成形体も含まれる。
本発明に係る異形押出成形体は、前記ポリプロピレン樹脂を用いて異形押出法で成形することによって製造される。前記ポリプロピレン樹脂は高いメルトテンションを有しているため、賦形性が優れ、ドローダウン性が改善される傾向がある。
異形押出成形体は、例えば木粉、タルク等の充填剤を含む樹脂を押出機にフィードし、所望する形状を有するダイから押出成型する方法や、ベースとなる樹脂とは別に、充填剤含有樹脂を押出機にサイドフィードする方法など、従来公知の方法を採用することが出来る。具体的には、特開2002−138176号公報等に記載の方法を採用することが出来る。
本発明に係る押出成形体の製品種類は、特に限定されないが、具体的には、雨どい、カーテンレール、窓枠、棚、ドア、その他建材、配線ダクト、ローラデンシャッタ、シャッタなどの異形押出品;その他チューブ、パイプ、電線(被覆)、フィルム、シート、板、繊維、テープなどが挙げられる。
[ブロー成形体]
本発明のブロー成形体は、前記ポリプロピレン樹脂からなることを特徴としている。
本発明に係るブロー成形体は、前記ポリプロピレン樹脂を用いてブロー法で成形することによって製造される。前記ポリプロピレン樹脂は高いメルトテンションを有しているため、ブロー成形時に高速成形が可能であったり、大型の製品を得ることができる。
本発明に係るブロー成形体を、前記ポリプロピレン樹脂から製造するには、従来公知のブロー成形装置を用いることができる。また成形条件も、従来公知の条件を採用することができる。本発明では、このような成形条件のうちでも、下記のような条件で成形体を製造することが好ましい。
例えば押出ブロー成形の場合は、樹脂温度170〜300℃、好ましくは170〜270℃で、ダイからチューブ上のパリソンを形成し、次いで対応する金型にパリソンを保持した後空気を吹き込み、樹脂温度130℃〜270℃、好ましくは200℃〜270℃で金型に着装し、ブロー成形する方法等が挙げられる。この際の延伸倍率は、好ましくは横方向に1.5〜10倍程度に設定することが出来る。
本発明に係るブロー成形体の製品種類は、特に限定されないが、具体的には、自動車用バンパー、自動車用スポイラー、サイドモール、フロントグリルガード、バンパーガードなどの自動車外装材;サンバイザー、ラジエタータンク、ウォッシャータンク、ダクト、ディストリビューター、エバポレーターケース、コンソールボックス、インジケーターパネル、ドアトリムなどの自動車内装材;灯油タンク、食品用容器、シャンプー容器、化粧品容器、洗剤用容器、薬品用容器、トナー容器などの容器類;その他玩具、コンテナなどが挙げられる。
[真空・圧空成形体]
本発明の真空・圧空成形体は、前記ポリプロピレン樹脂からなることを特徴としている。
本発明に係る真空・圧空成形体は、前記ポリプロピレン樹脂からなるシートを真空成形法あるいは圧空成形法で成形することにより製造される。前記ポリプロピレン樹脂は高いメルトテンションを有しているため、シートは充分に金型形状に沿って変形する。したがって本発明に係る真空・圧空成形体は、製品の大型化が可能であり、また深絞りが可能である。
本発明に係る真空・圧空成形体の製品種類は、特に限定されないが、具体的には、自動車ルーフライナーなどの自動車内装材、冷蔵庫内装材、洗濯機内外装材、ゼリー容器、使い捨て弁当箱、トレー、食品用トレー、食品用発泡トレー、豆腐パック、カップ、袋、電子レンジ耐熱容器、機械保護ケース、商品梱包用ケースなどが挙げられる。
本発明に係る真空・圧空成形体を、前記ポリプロピレン樹脂から製造するには、従来公知の真空成形装置あるいは圧空成形装置を用いることができる。また成形条件も、従来公知の条件を採用することができる。
例えば、前記ポリプロピレン樹脂のシート状成形物を180℃〜300℃、好ましくは100℃〜270℃、特に好ましくは120℃〜250℃の温度で付与する形状の金型上に保持し、金型内部を真空にするか、金型へ圧縮気体を注入するか、または金型へ圧縮気体を注入することにより、真空、圧空成形体を得る方法を例示することができる。
[カレンダー成形体]
本発明のカレンダー成形体は、前記ポリプロピレン樹脂からなることを特徴としている。
本発明に係るカレンダー成形体は、前記ポリプロピレン樹脂を用いてカレンダー法で成形することによって製造される。前記ポリプロピレン樹脂は高いメルトテンションを有しているため、厚みむらが小さく、しかも光沢に優れたシートあるいはフィルムを得ることができる。
本発明に係るカレンダー成形体を、前記ポリプロピレン樹脂から製造するには、従来公知のカレンダー装置を用いることができる。また成形条件も、従来公知の条件を採用することができる。
例えば成形装置としては、直列型、L型、逆L型、Z型等が挙げられる。成形条件としては、樹脂温度100℃〜300℃、好ましくは130℃〜270℃、ロール温度は100℃〜350℃、好ましくは130℃〜300℃、特に好ましくは150℃〜270℃等である。
また、成形する際、ロールに紙や布を送り、人工レザーや防水布、各種ラミネート製品を作ることもできる。
その他、本発明に係るカレンダー成形体の製品種類は、特に限定されないが、具体的には、各種カード原反、日用雑貨品の原反などが挙げられる。
[延伸フィルム]
本発明の延伸フィルムは、前記ポリプロピレン樹脂からなることを特徴としている。
本発明に係る延伸フィルムは、前記ポリプロピレン樹脂を用いて延伸法で成形することによって製造される。前記ポリプロピレン樹脂は高いメルトテンションを有しているため、成形安定性に優れ、かつ高速で成形することができる。
本発明に係る延伸フィルムは、その厚さが通常5〜200μm、好ましくは10〜120μmである。本発明に係る延伸フィルムは、二軸延伸フィルムの場合には、通常20〜70倍、好ましくは40〜60倍、一軸延伸フィルムの場合には通常は2〜10倍、好ましくは2〜6倍である。
本発明に係る延伸フィルムを、前記ポリプロピレン樹脂から製造するには、従来公知の延伸装置を用いることができる。たとえば、テンダー法(縦横延伸、横縦延伸)、同時二軸延伸法、一軸延伸法などが挙げられる。
また成形条件も、従来公知の条件を採用することができる。例えば前記ポリプロピレン樹脂である場合には、220〜280℃、好ましくは240〜270℃で溶融押出し、縦方向に2〜10倍、好ましくは2〜6倍に延伸することにより延伸フィルムを製造する方法を例示することができる。
本発明に係る延伸フィルムの製品種類は、特に限定されないが、具体的には、菓子、野菜包装などの食品包装用フィルム;カップ麺などのシュリンクフィルム;ワイシャツ、T
シャツ、パンティーストッキングなどの繊維包装用フィルム;クリヤーファイル、クリヤーシートなどの文具用フィルム;たばこ包装用フィルム、軽包装用フィルム、装飾用テープ、梱包用テープなどが挙げられる。
[インフレーションフィルム]
本発明のインフレーションフィルムは、前記ポリプロピレン樹脂からなることを特徴としている。
本発明に係るインフレーションフィルムは、前記ポリプロピレン樹脂を用いてインフレーション法で成形することによって製造される。前記ポリプロピレン樹脂は高いメルトテンションを有しているため、成形時にバブルは安定している。したがって本発明に係るインフレーションフィルムは、高圧法低密度ポリエチレンを配合したことに伴って生ずる強度、透明性の低下が少なく、高強度、高透明性を有し、しかも製造時に形成速度を高めることができる。
本発明に係るインフレーションフィルムを、前記ポリプロピレン樹脂から製造するには、従来公知のインフレーション装置を用いることができる。また成形条件も、従来公知の条件を採用することができる。
例えば、樹脂温度:180℃〜240℃冷却空気:1段もしくは2段温度10℃〜40℃引取速度:5m/分〜200m/分、膨比:1.1倍〜5倍を採用することができる。
このようなインフレーションフィルムは、その厚さが10μm〜1mm、好ましくは15μm〜0.5mm程度の範囲内にある。
このインフレーションフィルムは、高強度、高透明性であり、しかも高圧法低密度ポリエチレンなどを配合しなくとも高メルトテンションを有し、製造時にバブルの安定化を図ることが可能である。
本発明に係るインフレーションフィルムの製品種類は、特に限定されないが、具体的には、菓子、野菜包装などの食品包装用フィルム;ワイシャツ、Tシャツ、パンティーストッキングなどの繊維包装用フィルム;クリヤーファイル、クリヤーシートなどの文具用フィルム;クリーニング袋、ファッションバッグ用フィルム、農業用フィルム、カップなどが挙げられる。
[射出成形体]
本発明の射出成形体は、前記ポリプロピレン樹脂からなることを特徴としている。
本発明に係るインフレーションフィルムは、前記ポリプロピレン樹脂を用いて射出成形法で成形することによって製造される。前記ポリプロピレン樹脂は高いメルトテンションを有しているため、成形体のスキンにシェアが掛かりやすく、剛性に優れている。また、前述の通り、含まれる高分子量体部が核剤の機能を持つ場合、結晶化度が高まることによる更なる剛性向上が見込まれる。また、ウェルド強度も高めることが出来る傾向がある。従って、本発明に係るインフレーションフィルムは、高い剛性を有する傾向がある。
本発明の射出成形体の成形条件は、従来公知の条件を制限無く採用することが出来る。
[その他の成形体]
前記ポリプロピレン樹脂からなる成形体は、上記各成形体の他にもスタンピングモールド成形法など公知の成形法を用いて得ることができる。
[ポリプロピレン樹脂に含まれる安定剤]
本発明で用いられる添加剤は、耐熱安定剤、耐候安定剤、耐光安定剤、塩化吸収剤、充填
剤等の公知の安定剤を制限無く用いることが出来る。例えば公知のフェノール系安定剤、有機ホスファイト系安定剤、チオエーテル系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤、高級脂肪酸金属塩、無機酸化物、ガラス繊維などが挙げられる。
[各種成形体に含まれるその他の成分]
本発明に係る各種成形体は、さらに、他の耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックスなどを含んでいてもよい。
また、本発明に係る各種成形体は、本発明の目的を損なわない範囲で、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グフファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の充填剤を含んでいてもよい。
本発明に用いられるポリプロピレン樹脂は、上記の通り高分子量成分を比較的多く含む特徴がある。高分子量成分は、熱、光、剪断などのエネルギーにより比較的切断が起き易い傾向があることが知られている。分子切断が起こると分子量分布が狭くなり、高速成形性能の低下や大型成型品の製造が困難になる等の問題点が生じる可能性がある。従って、上記の添加剤は従来に比して効果の高い添加剤を選択することや添加量を高めることが好ましい。前記ポリプロピレン樹脂の成形の際にはペレット化することがハンドリングの観点から通常行われる。しかし、本発明においては上記の問題点の可能性を考慮すると、ペレット化の工程を経ることなく、重合で得られたポリプロピレン樹脂をそのまま成形することが好ましい場合がある。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において、ポリプロピレン樹脂の嵩比重、メルトフローレート、極限粘度([η])デカン可溶(不溶)成分量、分子量分布は下記の方法によって測定した。
(1)嵩比重:
JIS K-6721に従って測定した。
(2)メルトフローレート(MFR):
ASTM D1238Eに準拠し、2.16kg荷重で測定した。測定温度は230℃
とした。
(3)極限粘度([η]):
重合体粒子をデカリンに溶解させ、温度135℃のデカリン中で常法に従い測定した。
(4)デカン可溶(不溶)成分量:
ガラス製の測定容器にポリプロピレン樹脂約3g(10-4gの単位まで測定した。また、この重量を、下式においてb(g)と表した。)、デカン500ml、およびデカンに可溶な耐熱安定剤を少量装入し、窒素雰囲気下、スターラーで攪拌しながら2時間で150℃に昇温してポリプロピレン樹脂を溶解させ、150℃で2時間保持した後、8時間かけて23℃まで徐冷した。得られたポリプロピレン樹脂の析出物を含む液を、磐田ガラス社製25G-4規格のグラスフィルターで減圧濾過した。濾液の100mlを採取し、こ
れを減圧乾燥してデカン可溶成分の一部を得、この重量を10-4gの単位まで測定した(
この重量を、下式においてa(g)と表した。)。この操作の後、デカン可溶成分量を下記式によって決定した。
デカン可溶成分含有率=100 × (500 × a) / (100 × b)
デカン不溶成分含有率=100 - 100 × (500 × a) / (100 × b)
(5)分子量分布:
液体クロマトグラフ : Waters製 ALC/GPC 150-C plus型(示唆屈折計検出器一体型)
カラム : 東ソー株式会社製 GMH6-HT×2本およびGMH6-HTL×2本を直列接続した。
移動相媒体 : o-ジクロロベンゼン
流速 : 1.0ml/分
測定温度 : 140℃
検量線の作成方法 : 標準ポリスチレンサンプルを使用した
サンプル濃度 : 0.10%(w/w)
サンプル溶液量 : 500μl
の条件で測定し、得られたクロマトグラムを公知の方法によって解析することでMw/Mn値およびMz/Mw値を算出した。1サンプル当たりの測定時間は60分であった。
尚、本発明の環状エステル化合物(a)に該当する化合物は、特に明記しない限りアヅマ株式会社合成品を用いた。またトランス体、シス体の異性体純度は、特に明記しない場合何れも95%以上である。
[実施例1](ブロー成形)
(固体状チタン触媒成分(α1)の調製)
内容積2リットルの高速撹拌装置(特殊機化工業製)を充分窒素置換した後、この装置に精製デカン700ml、市販塩化マグネシウム10g、エタノール24.2gおよび商品名レオドールSP-S20(花王(株)製ソルビタンジステアレート)3gを入れ、こ
の懸濁液を撹拌しながら系を昇温し、懸濁液を温度120℃、回転数800rpmで30分撹拌した。次いでこの懸濁液を、沈殿物が生じないように高速撹拌しながら、内径5mmのテフロン(登録商標)製チューブを用いて、予め-10℃に冷却された精製デカン1
リットルを張り込んである2リットルのガラスフラスコ(攪拌機付)に移した。移液により生成した固体を濾過し、精製n-ヘプタンで充分洗浄することにより、塩化マグネシウ
ム1モルに対してエタノールが2.8モル配位した固体状付加物を得た。
デカン60mlで懸濁状にした上記固体状付加物(マグネシウム原子に換算して92.4ミリモル)を、-20℃に保持した四塩化チタン400ml中に攪拌しながら全量導入
し、混合液を得た。この混合液を5時間かけて80℃に昇温した。80℃に達したところで、3,6-ジメチルシクロヘキサン1,2-ジカルボン酸ジイソブチル(トランス体)を、固
体状付加物のマグネシウム原子1モルに対して0.15モルの割合の量で添加し、40分間で120℃まで昇温した。その後、温度120℃で90分間攪拌した。
90分間の反応終了後、熱濾過にて固体部を採取した。この固体部を200mlの四塩化チタンで再懸濁させた後、この懸濁液を130℃に昇温した。その後、130℃で45分間撹拌した。45分間の反応終了後、再び熱濾過にて固体部(固体状チタン触媒成分(α1))を採取した。この固体部(固体状チタン触媒成分(α1))を、洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで、100℃のデカンおよびヘプタンで充分洗浄した。
以上の操作によって調製した固体状チタン触媒成分(α1)はデカンスラリーとして保存したが、この内の一部を、触媒組成を調べる目的で乾燥した。
(本重合)
内容積600リットルの重合器に、室温で200リットルのプロピレンおよび水素300NLを加えた後、トリエチルアルミニウム100ミリモル、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン20ミリモル、および固体状チタン触媒成分(α1)をチタン原子換算で0.8ミリモルを加え、速やかに重合器内を70℃まで昇温した。70℃で1時間重合した後、少量のエタノールにて反応停止し、プロピレンをパージした。更に得られた重合体粒子を80℃で一晩、減圧乾燥した。(収量:約40kg)
得られた重合体粒子はMFRが0.6g/10分、デカン不溶成分量が97.9%、嵩比重が440kg/m3、分子量分布の指標であるMw/Mn値は14.6、Mz/Mn値は
187であった。
(ブロー成形)
上記の重合体粒子100重量部、3,5−ジt-ブチル−4−ヒドロキシトルエンを0.3重量部、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.6重量部、ステアリン酸カルシウム0.02重量部を配合した後、230℃で溶融し、(株)日本製鋼所製MB−20S型中空成形機を用いてパリソンを押し出した(パリソン重量:5kg)。
その後、直ちに金型を閉じ、次いでパリソン内に0.6MPaの圧縮空気を吹き込んで30リットルの角形ジェイリー缶をブロー成形した。途中パリソンのドローダウンは起こらず、成形性は良好であった。得られたブロー成型品の外観も良好であった。
[比較例1]
(固体状チタン触媒成分(β1)の調製)
3,6-ジメチルシクロヘキサン1,2-ジカルボン酸ジイソブチル(トランス体)の代わり
にフタル酸ジイソブチルを用いた以外は、実施例1と同様にして固体状チタン触媒成分(β1)を得た。
(本重合)
内容積600リットルの重合器に、室温で200リットルのプロピレンを加えた後、トリエチルアルミニウム100ミリモル、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン20ミリモル、および固体状チタン触媒成分(β1)をチタン原子換算で0.8ミリモルを加え、速やかに重合器内を70℃まで昇温した。70℃で1時間重合した後、室温に冷却してプロピレンをパージした。(第1段重合)
分析目的で、生成した粒子を窒素気流下で約10g採取した。
次いで、プロピレン200リットルと水素2800リットルを加えた後、70℃に昇温して1時間保持した。(第2段重合)
少量のエタノールにて反応を停止し、プロピレンをパージした。更に得られた重合体粒子を80℃で一晩、減圧乾燥した。(収量:約64kg)
得られた粒子の触媒残渣の定量から、第1段重合で得られた重合体粒子の割合は21%と判明した。また第1段重合で得られた重合体粒子の[η]は、10.2dl/gであった。
第2段重合完了後の重合体粒子のMFRは0.5g/10分、デカン不溶成分量が98.0%、嵩比重が440kg/m3、分子量分布の指標であるMw/Mn値は13.8、Mz
/Mn値は51であった。
(ブロー成形)
上記の重合体粒子に3,5−ジt-ブチル−4−ヒドロキシトルエンを0.1重量部、テト
ラキス[メチレン−3(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.2重量部、ステアリン酸カルシウム0.01重量部を配合した後、230℃で溶融し、実施例1と同様のブロー成形を試みたが、途中パリソンのドローダウンによる不良が発生した。
パリソン重量を3kgに変更し、20リットルの角形ジェイリー缶の製造を行うと、途中パリソンのドローダウンは起こらず、成形性は良好であった。得られたブロー成型品の外観は良好であった。
通常、実施例1のようなMz/Mnが極めて高い、即ち高分子量体含有率の高い重合体を用いると、表面にブツが発生するなどの外観不良を起こすことが多いが、本発明の重合体を用いると、外観が良好で且つ大型の成形体を製造することが出来る。これは、本発明の重合体の高分子量体部が従来触媒を用いた多段重合法で得られる重合体より微分散していることを示唆していると考えられる。
[実施例2](真空成形)
実施例1と同様の安定剤を配合した後、(株)石中鉄工所製65mmφの押出機を用いて200℃でペレット化した。得られたペレットを用い、池貝鉄鋼(株)製GS−65型シート成形機(D:65mmφ、L/D:28)のを用いて1.5mm厚のシートを作成した。このシートを真空成形機(布施真空社製)を用いて、内容量5リットルの箱形容器を真空成形した。
ドローダウンは起こらず、成形性は良好であった。得られた成型品の肉厚分布や外観も良好であった。
[比較例2]
比較例1と同様の安定剤を配合して実施例2と同様の条件でペレット化した重合体を用い、実施例2と同様、内容量5リットルの箱形容器の真空成型を試みたが、ドローダウンによる不良が発生した。
内容量3リットルの箱形容器は製造出来、得られた成型品の肉厚分布や外観も良好であった。
実施例2でも外観の良好な成形体が得られたことは、本発明に用いられる重合体の高分子量体部が極めて高いレベルで微分散していることを示唆していると考えられる。
[実施例3](発泡体)
(本重合)
水素量を550リットルに変更した以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン樹脂を得た。(約55kg)
得られた重合体粒子はMFRが3.2g/10分、デカン不溶成分量が98.1%、嵩比重が440kg/m3、分子量分布の指標であるMw/Mn値は15.9、Mz/Mn値は
195であった。
(発泡成形)
上記の重合体粒子100重量部、3,5−ジt-ブチル−4−ヒドロキシトルエンを0.3重量部、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.6重量部、ステアリン酸カルシウム0.02重量部、ジクミルベルオキシドを0.1重量部、ジビニルベンゼンを1重量部、アゾカルボンジアミドを5重量部配合した。この組成物を(株)石中鉄工所製65mmφの押出機を用いて200℃でペレット化した。
得られたペレットを池貝鉄工(株)製GS−65型シート成形機(D:65mmφ、L/D:28、リップ開度:1.0mm)を用いてシートを成形した。
次いで、得られたシートを400℃のセラミックヒーターにより90秒間加熱により発泡させ、エアースプレーで60秒間冷却して発泡シートを製造した。
発泡倍率は15.2倍。発泡シートの断面セルは微小均一セルの状態であった。
[比較例3]
(重合)
第1段重合で水素を10リットルとした以外は、比較例1と同様にしてプロピレンの重合を行った。(収量は約70kg)
得られた重合体粒子はMFRが3.0g/10分、デカン不溶成分量が98.1%、嵩比重が440kg/m3、分子量分布の指標であるMw/Mn値は10.0、Mz/Mn値は
35であった。
(発泡成形)
上記の重合体を用いた以外は実施例3と同様にして発泡シートを製造した。
発泡倍率は12.9倍。発泡シートの断面セルは均一セルに近い状態であるが、一部粗大セルが発生していた。
[実施例4]
実施例1と同様の固体状チタン触媒成分の合成、本重合を行い、ポリプロピレン樹脂を得た。
得られた重合体粒子はMFRが0.6g/10分、デカン不溶成分量が97.8%、嵩比重が440kg/m3、分子量分布の指標であるMw/Mn値は14.8、Mz/Mn値は
180であった。
(押出成形)
上記の重合体粒子100重量部、3,5−ジt-ブチル−4−ヒドロキシトルエンを0.3重量部、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.6重量部、ステアリン酸カルシウム0.02重量部を配合した。この組成物を(株)石中鉄工所製65mmφの押出機を用いて200℃でペレット化した。
得られたペレットを、池貝鉄工(株)製FS−65型シート成形機(D:65mmφ、
L/D:25)を用い、220℃で厚さ1.5mm、直径120cmのパイプを押出成形
した。途中ドローダウンは起こらず外観も良好であった。
[比較例4]
比較例1の樹脂100重量部、3,5−ジt-ブチル−4−ヒドロキシトルエンを0.1重量部、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.2重量部、ステアリン酸カルシウム0.01重量部を配合した以外は、実施例4と同様にパイプの成形を行った。この際、ドローダウンによる不良が発生した。
[実施例5]
実施例3で製造した樹脂100重量部、3,5−ジt-ブチル−4−ヒドロキシトルエンを0.3重量部、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.6重量部、ステアリン酸カルシウム0.02重量部を配合した。この組成物を(株)石中鉄工所製65mmφの押出機を用いて200℃で
ペレット化した。
得られたペレットを、日本ロール社製逆L型カレンダ成形機を用い、樹脂温度を220℃、第1~第4ロールが175℃、冷却ロールが80℃、巻き取り速度50m/秒の条件
で、カレンダー成形を行った。
途中、ドローダウンの発生はなく、得られたシートにジェルなどの外観不良も見られなかった。
[実施例6](延伸フィルム)
実施例4の重合体100重量部、3,5−ジt-ブチル−4−ヒドロキシトルエンを0.3重量部、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.6重量部、ステアリン酸カルシウム0.02重量部を、ヘンシェルミキサーを用いて配合し、この組成物を(株)石中鉄工所製65mmφ単軸押出機を用いて200℃でペレット化した。このペレットを口径90mmのシート成形機で樹脂温度270℃で押出し、30℃の冷却ロールで1.5mm厚のシートを製造した。次いで得られたシートをテンター式逐次二軸延伸装置にて縦方向に145℃にて5倍延伸を行い、次いで170℃のテンターの中で横方向に10倍延伸を行い、厚さ30μmの二軸延伸フィルムを得た。
成型速度は55m/分が可能であった。また、得られたフィルムは、外観、厚薄精度が
良好であった。
[実施例7](インフレーションフィルム)
実施例4の重合体100重量部、3,5−ジt-ブチル−4−ヒドロキシトルエンを0.3重量部、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.6重量部、ステアリン酸カルシウム0.02重量部を、ヘンシェルミキサーを用いて配合し、この組成物を(株)石中鉄工所製65mmφ単軸押出機を用いて200℃でペレット化した。
これを市販のポリオレフィン用チューブラーフィルム成形機で、幅200mm、厚み0.03mmのフィルムを製造した。温度は230℃、スクリュー回転数は60rpm、ダイ径60mmφ、ダイスリット幅は0.3mm、冷却エアリングは一段(10℃)で行っ
た。
バブルの安定性、フィルム厚薄ムラは良好で、且つ、フィルムの外観も良好であった。
[実施例8](射出成形)
実施例3の重合体100重量部、3,5−ジt-ブチル−4−ヒドロキシトルエンを0.3重量部、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.6重量部、ステアリン酸カルシウム0.02重量部を、ヘンシェルミキサーを用いて配合し、この組成物を(株)石中鉄工所製65mmφ単軸押出機を用いて200℃でペレット化した。
このペレットを用い、常法による射出成形で、曲げ弾性率測定用スペシメン(ASTM規格
D790)と、熱変形温度測定用スペシメン(ASTM規格D648、4.6kgf/cm2荷重)を得た。更
に同規格に従って、曲げ弾性率と、熱変形温度を測定した。
曲げ弾性率は2,000MPa、熱変形温度は138℃であった。
[比較例5](射出成形)
比較例3の重合体100重量部、3,5−ジt-ブチル−4−ヒドロキシトルエンを0.3重量部、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.6重量部、ステアリン酸カルシウム0.02重量部をヘ
ンシェルミキサーを用いて配合し、この組成物を(株)石中鉄工所製65mmφ単軸押出機を用いて200℃でペレット化した。
このペレットを用い、常法による射出成形で、曲げ弾性率測定用スペシメン(ASTM規格
D790)と、熱変形温度測定用スペシメン(ASTM規格D648、4.6kgf/cm2荷重)を得た。更
に同規格に従って、曲げ弾性率と、熱変形温度を測定した。
曲げ弾性率は1,800MPa、熱変形温度は130℃であった。
上記の様に、本発明の成形体は、機械物性や生産性に優れている事に加え、驚くべきことに外観の優れた製品を提供することが出来る。これは、単に分子量分布が広いだけでなく、その高分子量体部分が、より微分散していることが原因であると考えられる。
本発明によれば、特定のポリプロピレン樹脂から、発泡成形体、押出成形体、ブロー成形体、真空・圧空成形体、カレンダー成形体、延伸フィルム、インフレーションフィルムまたは射出成形体など、特性の優れた各種成形体を好適に製造できる。さらに、シュリンクフィルム、押出ラミ、食品用ブロー容器、発泡シート、食品用トレイ、食器など、特性の優れた各種製品を製造できる。

Claims (11)

  1. ASTM D−1238(230℃、2.16kg荷重)で測定したメルトフローレー
    ト(MFR)が0.5〜100g/10分であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値から求められるMw/Mn値が6〜30であり、Mz/Mw値が4〜15であるポリプロピレン樹脂からなることを特徴とする樹脂成形体。
  2. 前記ポリプロピレン樹脂が、1段階の重合により得られた樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体。
  3. 前記ポリプロピレン樹脂が、
    チタン、マグネシウム、ハロゲンおよび下記式(1)で特定される環状エステル化合物(a)を含む固体状チタン触媒成分(I)と、
    有機金属化合物触媒成分(II)と、
    必要に応じて電子供与体(III)と
    を含むオレフィン重合用触媒の存在下に重合して得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体。
    Figure 2009057474
    〔式(1)中、nは5〜10の整数である。
    2およびR3はそれぞれ独立にCOOR1またはRであり、R2およびR3のうちの少な
    くとも1つはCOOR1である。
    環状骨格中の単結合(Ca−Ca結合、およびR3がRである場合のCa−Cb結合を除く
    。)は、二重結合に置き換えられていてもよい。
    複数個あるR1は、それぞれ独立に炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。
    複数個あるRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、窒素含有基、酸素含有基、リン含有基、ハロゲン含有基およびケイ素含有基から選ばれる原子または基であり、互いに結合して環を形成していてもよい。
    Rが互いに結合して形成される環の骨格中には二重結合が含まれていてもよく、該環の骨格中に、COOR1が結合したCaを2つ以上含む場合は、該環の骨格をなす炭素原子の数は5〜10である。〕
  4. 樹脂成形体が、発泡成形体であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体。
  5. 樹脂成形体が、押出成形体であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体。
  6. 樹脂成形体が、ブロー成形体であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体。
  7. 樹脂成形体が、真空・圧空成形体であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体。
  8. 樹脂成形体が、カレンダー成形体であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体。
  9. 樹脂成形体が、延伸フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体。
  10. 樹脂成形体が、インフレーションフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体。
  11. 樹脂成形体が、射出成形体であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体。
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