JP2009057441A - インキ組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】パール顔料に従来の赤外線吸収顔料を混ぜると、インキが黒ずんで意匠性が低下する。
【解決手段】パール顔料と、単体での明度として50以上のL値を示す赤外線吸収顔料とを含有するインキ組成物を提供する。好ましくは、L値が50〜85の範囲内にある赤外線吸収顔料、例えばアンチモンドープ酸化錫をパール顔料と混合する。樹脂(ビヒクル)との混合においては、樹脂に対して赤外線吸収顔料が質量比1:0.03〜1:0.30の範囲内で混合されるとともに、樹脂に対してパール顔料が質量比1:N(N≧0.05)の範囲内で混合されており、かつ、樹脂の質量1に対してパール顔料と赤外線吸収顔料とを合わせた質量が0.40以下であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば銀行券や有価証券、旅券等の偽造を防止したり、真贋判定を実施したりするためのセキュリティー情報を印刷する用途に適したインキ組成物に関する。
従来、有価証券類の偽造防止や真贋判定に用いられる印刷技術として、パール顔料を含むインキを用いて2色性の凹版印刷を行う先行技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この先行技術は、虹彩色パール顔料に少量のカーボンブラックを添加したインキ、又は表面を僅かに黒色還元した虹彩色パール顔料を含むインキを用いて凹版印刷を行うものである。この先行技術により得られた印刷物は、白地又は淡色下地の媒体に印刷を行った場合であっても、添加されたカーボンブラックや表面の黒色還元によってパール顔料が2色性(角度を変えて目視すると色彩が変化する)を発揮するため、単純複写による偽造防止を図ることができる。
この他にも、赤外線吸収材料を含有したインキを用いて印刷を行う先行技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。この先行技術は、カーボンブラックを含む赤外線吸収材料を含有したインキを用いてバーコード等のセキュリティー情報をカードに印刷し、これを感熱着色したものである。この先行技術により得られた印刷物は、複写機によるセキュリティー情報の複製が困難であり、赤外光でなければセキュリティー情報を読み取ることができないので、それだけセキュリティー性が高くなる。
特開平6−255234号公報 実開昭60−148659号公報
上記に挙げた2つの先行技術に示されるように、印刷用のインキに特殊な性質(パール効果、赤外線吸収効果)を持たせることで、印刷物の偽造防止や真贋判定の実施に一定の効果を得ることは既に広く採用されている。特に、パール顔料を含有したインキで印刷を行った場合、その印刷物が意匠性の面で高い効果(視認角度の違いによる2色性や光輝性)を発揮することができるため、セキュリティー性の向上に加えて、印刷物としての意匠性向上にも寄与することができる。したがって、上記に挙げた2つの先行技術の手法を同時に採り入れて新たなインキの組成を考えれば、より高いセキュリティー性を発揮しつつ、印刷物の意匠性をも同時に向上することができるかのように予想される。
しかしながら、従来公知の赤外線吸収材料は見た目上が黒っぽく、意匠性の面で効果はパール顔料に劣る。これは、先行技術の赤外線吸収材料が固有の赤外線吸収スペクトルを発揮することを主な目的としており、インキとして意匠性を向上する観点に欠けているからである。例えば、従来公知の赤外線吸収材料として、特許文献2にはカーボンブラック(黒色顔料)が開示されているが、カーボンブラックはインキとして見たときに印刷物の下地を隠蔽する程の暗色を有しており、パール顔料のように印刷物の意匠性を高める効果を有するものではない。
このため、単純にパール顔料と従来公知の赤外線吸収材料とを混合して新たにインキの組成を考え出したとしても、赤外線吸収材料の黒色(又は暗色)がパール顔料の意匠性を掻き消し、インキそのものが全体として黒ずんだ色になってしまう。このような黒ずんだインキを用いて印刷した場合、印刷物の意匠性が損なわれやすいという問題が生じる。
そこで本発明は、パール顔料による視覚的なセキュリティー性を発揮しつつ、赤外線吸収スペクトルによるセキュリティー性をも発揮することができ、さらに印刷物の意匠性を損ないにくいインキ組成物の提供を課題とする。
本発明の発明者等は、特許文献1に記載されているように、パール顔料に少量の黒み(例えば、カーボンブラック)を添加することで、従来からパール顔料の効果(2色性、光輝性)を向上できる点に着目していたが、カーボンブラックそのものは黒色が強いため、あまりに添加量が多すぎるとパール効果を低下させ、インキ全体をくすませてしまうという問題に直面した。その一方で、特許文献2に記載されているように、カーボンブラックそのものが赤外線吸収性を有することも認知していたが、特許文献1のようにパール顔料の効果を高める目的で僅かにカーボンブラックを添加する場合、それは赤外線吸収効果を発揮するための技術手段ではないことも了解していた。なぜなら、インキそのものの明度を低下させずにパール効果を向上する場合、カーボンブラックの添加量は極少量に抑える必要があるため、この程度の使用量では顕著な固有スペクトルを観測できないからである。
上記の技術的背景を出発点として、本発明の発明者等は鋭意研究を重ねた結果、単体での明度として50以上のL値を示す赤外線吸収顔料をパール顔料に混合することで、(1)視覚的なパール効果を向上するとともに、合わせて(2)固有の赤外線スペクトル(吸収帯域)を観測可能なインキ組成物を発明するに至った。
すなわち、本発明のインキ組成物に含まれる赤外線吸収顔料は、従来公知のカーボンブラックに比較して高い明度を有するものである。このような高い明度を有する赤外線吸収顔料は、これをパール顔料と混合したとしても、インキ全体としての明度を低下させない。さらに、このような赤外線吸収顔料について最適な混合比率を見出したことで、本発明のインキ組成物を印刷に用いたときに印刷物の下地が透過して視認できるようになった。
加えて、本発明で用いる赤外線吸収顔料は比較的高い明度(L値50以上)を有するとはいえ、白色顔料(L値90以上)ほどではなく、その適度な黒み(くすみ)がパール顔料に特有の干渉光を引き出し、この干渉光により赤外線吸収顔料の黒み(くすみ)を打ち消す効果を発揮する。これにより、インキ全体として黒くならず、かつ、互いのセキュリティー機能を有効に発揮することができるインキ組成物を得ることができる。
このように本発明のインキ組成物は、これを印刷に用いた場合に印刷物の意匠性を高めるとともに、2種の機能性顔料により偽造防止効果に優れた性能を発揮することができる。
また本発明のインキ組成物は、樹脂に対して赤外線吸収顔料が質量比1:0.03〜1:0.30の範囲内で混合されるとともに、その同じ樹脂に対してパール顔料が質量比1:N(Nは0.05以上とする)の範囲内で混合されており、かつ、樹脂の質量を1としたとき、これに対してパール顔料と赤外線吸収顔料とを合わせた質量は0.40以下の比率であることが好ましい。
いずれにしても、樹脂:パール顔料、また樹脂:赤外線吸収顔料、さらに樹脂:(パール顔料+赤外線吸収顔料)の質量比を上記の適正範囲に設定することで、(1)視覚的なパール効果、(2)固有の赤外線スペクトル、(3)良好な印刷適正に加えて、(4)印刷物の下地が見える程度の高い透過性、及び(5)くすみのない高い明度を兼ね備えたインキ組成物を得ることができる。
また本発明のインキ組成物は、樹脂に対して、質量比1:0.001〜1:0.01の範囲内で着色剤がさらに混合されていることが好ましい。
すなわち、パール顔料の反射色・透過色に合わせた着色剤を上記の質量比で添加することにより、パール顔料の光輝性や2色性を向上することができる。ただし、着色剤の添加量が多すぎるとインキ自体の色をくすませるため、インキとしての明るさを維持するには上記の質量比とする。なお本発明において、パール顔料は2色性を有することが好ましいが、2色性を有しないものであってもよい。
本発明のインキ組成物は、赤外線吸収顔料としてアンチモンドープ酸化錫を含む。アンチモンドープ酸化錫はカーボンブラックのような黒色ではなく、さらに酸化錫のような白色でもなく、単体での明度として50以上のL値を有する赤外線吸収顔料である。このため、アンチモンドープ酸化錫の適度なくすみがパール特有の干渉光を引き出し、全体としてくすみを生じないインキ組成物を得ることができる。
以上のように本発明のインキ組成物によれば、これを用いて印刷を行った場合でも、印刷物の下地を透過して視認可能であり、また、くすみがない程度に明るく、かつ、肉眼でパール干渉光による2色性や光輝性を確認することができる。
さらに本発明のインキ組成物は、これを目視で見た場合の色相が同等である赤外線反射インキ(赤外線反射顔料を含むインキ)とセットで印刷に用いることにより、より効果的な偽造防止インキとしての機能を発揮することができる。すなわち、本発明のインキ組成物を赤外線反射インキとセットで印刷に用いた場合、目視での色相が同等であっても、赤外線環境下では本発明のインキ組成物の部分が黒く見え、赤外線反射インキの部分が白く見えることから、この明度差を利用して赤外線観測機器による判定(偽造・真贋判定等)が可能となる。従来、赤外線吸収インキと赤外線反射インキの目視で見た場合の色相を着色剤のみを用いて同等とすることは困難であったが、本発明ではパール顔料と着色剤を用いて色相調整を行うことができるため、着色剤のみを用いて色相調整を行う場合よりも容易である。これは、パール効果による光輝性によって、わずかな色相の差であれば、それを目立たせなくする効果があるからである。このように本発明のインキ組成物は、容易に赤外線観測機器を用いた真贋判定が可能であるという優れた効果を発揮する。
また本発明のインキ組成物は、例えばグラビア印刷や凹版印刷、フレキソ印刷の適正に優れており、1度の工程で複数の機能顔料を同時に印刷することができるため、より安価な印刷コストで大量にセキュリティー性の高い印刷物を得ることができる。
以下に本発明を実施するための最良の形態を示す。本発明の最良の形態は、特に赤外線吸収顔料をアンチモン錫(アンチモンドープ酸化錫)とすることで得られる。以下、具体的な実施例を挙げて説明する。
先ず、実施例1〜4について、各材料(1)〜(4)と物質名、及びその質量を以下に示す。例えば、材料(1),(2)を混合したビヒクルに、材料(3),(4)を混合して例えばプロペラタイプのミキサーで分散させながら練肉する。
〔実施例1〕
(1)樹 脂:ポリエステル樹脂・・・・・・・・・・・・・・・・100(g)
(2)溶 剤:メチルエチルケトン、トルエンの1:1混合物・・・100(g)
(3)赤外線吸収顔料:アンチモンドープ酸化錫・・・・・・・・・・・・・ 3(g)
(4)パ ー ル 顔 料:Iriodin 221(メルク株式会社製)・・・ 5(g)
〔実施例2〕
(1)樹 脂:ポリエステル樹脂・・・・・・・・・・・・・・・・100(g)
(2)溶 剤:メチルエチルケトン、トルエンの1:1混合物・・・100(g)
(3)赤外線吸収顔料:アンチモンドープ酸化錫・・・・・・・・・・・・・ 10(g)
(4)パ ー ル 顔 料:Iriodin 221(メルク株式会社製)・・・ 20(g)
〔実施例3〕
(1)樹 脂:ポリエステル樹脂・・・・・・・・・・・・・・・・100(g)
(2)溶 剤:メチルエチルケトン、トルエンの1:1混合物・・・100(g)
(3)赤外線吸収顔料:アンチモンドープ酸化錫・・・・・・・・・・・・・ 30(g)
(4)パ ー ル 顔 料:Iriodin 221(メルク株式会社製)・・・ 10(g)
〔実施例4〕
(1)樹 脂:ポリエステル樹脂・・・・・・・・・・・・・・・・100(g)
(2)溶 剤:メチルエチルケトン、トルエンの1:1混合物・・・100(g)
(3)赤外線吸収顔料:アンチモンドープ酸化錫・・・・・・・・・・・・・ 3(g)
(4)パ ー ル 顔 料:Iriodin 221(メルク株式会社製)・・・ 37(g)
〔質量比率〕
以上の実施例1〜4について、樹脂:溶剤:赤外線吸収顔料:パール顔料の混合比率(質量比率)を以下に示す。
実施例1の混合比率=1:1:0.03:0.05
実施例2の混合比率=1:1:0.10:0.20
実施例3の混合比率=1:1:0.30:0.10
実施例4の混合比率=1:1:0.03:0.37
〔評価項目〕
各実施例1〜4のインキ組成物を用いて実際に印刷を行い、それぞれ以下の(A)〜(D)4つの観点から評価を行った。
(A)可視光による視認性
出来上がった印刷物(又は使用するインキそのもの)を可視光の下で肉眼観察し、インキ色のくすみについて評価(官能評価)した。目視でインキ色にくすみがないと認められる場合、評価結果を「良好」とし、インキ色にくすみがあると認められる場合、評価結果を「不良」とした。
(B)赤外線による視認性
出来上がった印刷物を赤外線観測機器で観測し、赤外線環境下での視認性を評価(官能評価)した。ここでの評価は、赤外線吸収顔料と赤外線反射顔料との明度差(色分け)を利用して行う。すなわち、赤外線環境下では、赤外線吸収顔料を含むインキは黒く見え、赤外線反射顔料を含むインキは白く見えることから、これらの明度差を利用して判定を行うことができる。このため印刷物には、各実施例1〜4のインキ組成物とともに、赤外線反射顔料を含むインキを用いて印刷を行う。そして、観測機器による判定で両者の明度差を良好に確認できる場合、評価結果を「良好」とし、明度差を確認しにくい場合、評価結果を「不良」とした。
(C)パール効果
出来上がった印刷物を可視光の下で肉眼観察し、パール顔料による干渉光の視認性を評価(官能評価)した。パールによる2色性や光輝性が目視で確認できる場合、評価結果を「良好」とし、干渉光を目視で確認しにくい場合、評価結果を「不良」とした。
(D)透過性
出来上がった印刷物を可視光の下で肉眼観察し、下地の透過性を評価(官能評価)した。インキを透過して下地が目視で確認できる場合、評価結果を「良好」とし、下地を目視で確認しにくい場合、評価結果を「不良」とした。
以下の表1は、実施例1〜4について、その組成の質量比率と、各評価項目(A)〜(D)の評価結果を一覧にして示したものである。さらに同表1では、実施例1〜4と対比される比較例1〜3について、その組成の質量比率と、各評価項目(A)〜(D)の評価結果を合わせて記載した。
Figure 2009057441
上記の表1から以下の点が明らかである。
(1)実施例1〜4はいずれも、4つの評価項目(A)〜(D)の全てについて「良好」との評価結果を得ることができた。
(2)これに対し、比較例1〜3は、(A)〜(D)いずれかの評価項目で「不良」と評価されていることから、インキ組成物として適切でないことが分かる。以下、この点について具体的に検証する。
〔比較例1〕
樹脂1に対して赤外線吸収顔料の質量比率を0.03未満にすると、赤外線吸収性が低下して(B)赤外線による視認性の評価結果が「不良」となった。なお、その他の評価項目は実施例1〜4と同じであるか、もしくは評価そのものを行っていない。
〔比較例2〕
樹脂1に対して赤外線吸収顔料の質量比率が0.30を超過すると、インキ自体にくすみが発生し、(A)可視光による視認性、及び(D)透過性の評価結果が「不良」となった。なお、その他の評価項目は実施例1〜4と同じであるか、もしくは評価そのものを行っていない。
〔比較例3〕
樹脂1に対してパール顔料の質量比率を0.05未満にすると、パール効果が低下して(C)パール効果の評価結果が「不良」となった。なお、その他の評価項目は実施例1〜4と同じであるか、もしくは評価そのものを行っていない。
なお、ここでは樹脂1に対してパール顔料の質量比率を多くしたときの(D)透過性について特に比較例を挙げて検討していないが、これは、元来パール顔料は高い透過性を有するものであるため、ここでは評価の必要がないからである。また、樹脂1に対してパール顔料と赤外線吸収顔料とを合わせた質量比率は0.40を超えないことが条件であり(0.40を超えると印刷適正が不良となるため)、この範囲内で赤外線吸収顔料の質量比率を最小で0.03とすると、実施例4で挙げたようにパール顔料の質量比率は最大で0.37となる。この場合でも(D)透過性は「良好」の評価結果が得られているので、パール顔料の質量比率を0.37より多くした場合を敢えて検討する必要はない。
〔最適な質量比率の範囲〕
以上の実施例1〜4と比較例1〜3の対比から、以下の質量比率の範囲を最適とする。
樹脂 : 溶剤 : 赤外線吸収顔料 : パール顔料
= 1 : 1 : 0.03 : N
1 : 1 : 0.30 : N
なお、上記の範囲においては、樹脂1に対してパール顔料と赤外線吸収顔料とを合わせた質量比率が0.40を超えないことが条件である(ただし、N≧0.05,N≧0.05)。
次に、上記実施例2のインキ組成物に着色剤を添加した。着色剤は、パール顔料の反射色・透過色に合わせて選定する。例えば、パール顔料が青色の反射色を有する場合、青色系の着色剤を添加する。
〔実施例5〕
実施例2のインキ組成物に対し、さらに着色剤を0.1g(質量比率0.001)添加した。
〔実施例6〕
実施例2のインキ組成物に対し、さらに着色剤を1g(質量比率0.01)添加した。
〔評価項目〕
各実施例5,6のインキ組成物を用いて実際に印刷を行い、それぞれ以下の(E)〜(G)3つの観点から評価を行った。
(E)パール2色性
出来上がった印刷物を可視光の下で肉眼観察し、パール顔料による2色性を評価(官能評価)した。パールによる2色性が実施例2よりも高いと認められる場合、評価結果を「向上した」と判断した。
(F)パール光輝性
出来上がった印刷物を可視光の下で肉眼観察し、パール顔料による光輝性を評価(官能評価)した。パールによる光輝性が実施例2よりも高いと認められる場合、評価結果を「向上した」と判断した。
(G)インキ色
出来上がった印刷物を可視光の下で肉眼観察し、インキの色味を評価(官能評価)した。インキの色味が実施例2と同等と認められる場合、評価結果を「良好」とし、実施例2よりも色がくすんで見える場合、評価結果を「不良」とした。
以下の表2は、実施例5,6について、その組成の質量比率と、各評価項目(E)〜(G)の評価結果を一覧にして示したものである。さらに表2では、実施例5,6と対比される比較例5,6について、その組成の質量比率と、各評価項目(E)〜(G)の評価結果を合わせて記載した。
Figure 2009057441
上記の表2から以下の点が明らかである。
(1)実施例5,6はいずれも、評価項目(E),(F)について「向上した」との評価結果を得ることができ、また評価項目(G)について「良好」との評価結果を得ることができた。
(2)これに対し、比較例5は、評価項目(G)について「良好」との評価結果を得ているものの、評価項目(E),(F)ではいずれも「向上せず」と判断されている。また比較例6は、評価項目(E),(F)について「向上した」との評価結果を得ることができたものの、評価項目(G)では「不良」と判断されている。以下、この点について具体的に検証する。
〔比較例5〕
樹脂1に対して着色剤の質量比率を0.001未満にすると、インキ色としての不良は生じないが、2色性、光輝性ともにパール効果に向上は認められなかった。
〔比較例6〕
樹脂1に対して着色剤の質量比率が0.01を超過すると、パール顔料の2色性や光輝性は向上するものの、インキ自体にくすみが発生し、(G)インキ色の評価結果が「不良」となった。
〔最適な質量比率の範囲〕
以上の実施例5,6と比較例5,6の対比から、以下の質量比率の範囲を最適とする。
樹脂 : 溶剤 : 赤外線吸収顔料 : パール顔料 : 着色剤
= 1 : 1 : 0.03 : N : 0.001 〜
1 : 1 : 0.30 : N : 0.01
なお、樹脂1に対して、パール顔料と赤外線吸収顔料とを合わせた質量比率が0.40を超えない条件は上記と同様である(ただし、N≧0.05,N≧0.05)。
〔赤外線吸収顔料の明度:L値〕
次に、上記実施例1〜6で用いた赤外線吸収顔料(アンチモンドープ酸化錫)の明度について検証する。ここでは、明度としてL値を用いる。L値は、0〜100で表現される値であり、明度が低いほど値は小さくなり、反対に明度が高いほど値は大きくなる。黒色の顔料について明度を測定した場合、そのL値は理論上0になる(限りなく0に近い)はずである。しかし、実際には顔料をインキ化し、媒体に印刷して明度測定を行うため、基材や樹脂等の色相の影響を受ける結果、L値は理論値に一致しないことがある。
〔測定方法〕
(1)先ず、樹脂1に対して赤外線吸収顔料を0.30の質量比率で混合したインキを製作した。以下に、その具体例を示す。
樹 脂:ポリエステル樹脂・・・・・・・・・・・・・・・・100(g)
溶 剤:メチルエチルケトン、トルエンの1:1混合物・・・100(g)
赤外線吸収顔料:アンチモンドープ酸化錫・・・・・・・・・・・・・・30(g)
(2)普通紙(J,富士ゼロックス社製、L値94±5)に、バーコーターNo.125を使用してインキを1回塗布し、乾燥させた。
(3)分光光度計(U−4000自記分光高度計,日立製作所製)を用いて、赤外線吸収顔料を塗布した領域のL値を測定した。使用した波長範囲は800〜350nm、光源D65、視野角度2度であった。
(4)測定の結果、アンチモンドープ酸化錫のL値として68±5が得られた。
〔比較顔料〕
本発明の発明者等は、赤外線吸収顔料の明度としてL値の適正範囲を選定するにあたり、アンチモンドープ酸化錫との比較対象として、カーボンブラック、酸化錫についてもそれぞれ同様にL値の測定を行った。その結果は以下の通りである。
カーボンブラック:26±5
酸 化 錫:91±5
ここでは特に示していないが、本発明の発明者等はその他の顔料についても種々検証を行った。その結果は以下の通りである。
〔比較顔料1〕
L値が50未満の顔料を用いた場合、暗すぎてインキがくすんで見えてしまい、上記(A)可視光による視認性の評価結果が「不良」となった。
〔比較顔料2〕
L値が85を超える顔料を用いた場合、明るすぎてパール効果が向上せず、上記(C)パール効果の評価結果が「不良」となった。
〔L値適正範囲〕
以上の測定結果から、本発明で使用する赤外線吸収顔料の明度は、50〜85の範囲のL値を適正とする。特に本発明の発明者等は、上記範囲内においてL値60〜80の赤外線吸収顔料の使用を最適としている。
本発明のインキ組成物は、1度の工程で複数の機能顔料を同時に印刷することができ、低コストで大量に印刷を行う用途に適する。特に、銀行券や有価証券類、旅券等のセキュリティー性の向上に好適である。

Claims (4)

  1. パール顔料と、単体での明度として50以上のL値を示す赤外線吸収顔料とを含有することを特徴とするインキ組成物。
  2. 請求項1に記載のインキ組成物において、
    樹脂に対して赤外線吸収顔料が質量比1:0.03〜1:0.30の範囲内で混合されるとともに、前記樹脂に対してパール顔料が質量比1:N(N≧0.05)の範囲内で混合されており、かつ、前記樹脂の質量を1としたとき、前記パール顔料と前記赤外線吸収顔料とを合わせた質量は0.40以下であることを特徴とするインキ組成物。
  3. 請求項2に記載のインキ組成物において、
    前記樹脂に対して、質量比1:0.001〜1:0.01の範囲内で着色剤がさらに混合されていることを特徴とするインキ組成物。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のインキ組成物において、
    前記赤外線吸収顔料としてアンチモンドープ酸化錫を含むことを特徴とするインキ組成物。
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