JP2009057226A - 軽量気泡コンクリートの製造方法 - Google Patents

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義道 青野
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Abstract

【課題】 工程繰返し原料を増量した場合でも、圧縮強度などの物性の低下がない軽量気泡コンクリートの製造方法を提供する。
【解決手段】 珪石などの珪酸質原料と、セメント及び石灰などの石灰質原料とを主原料とし、石膏及び工程繰返し原料などを副原料とし、発泡剤としてアルミニウム粉末を使用する軽量気泡コンクリートの製造方法において、工程繰返し原料を全固体量に対し20重量%を超えて添加すると共に、石灰質原料中に含まれるCaの含有率を全固体量に対し18重量%以上に調整する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、軽量気泡コンクリート(ALC)の製造方法に関し、特に圧縮強度の低下を招くことなく、不良品や余剰となったALCからなる工程繰返し原料を増量する方法に関する。
軽量気泡コンクリート(ALC)は、内部に気泡と細孔を含み、非常に軽量でありながら、強度が比較的高いという優れた性質を有している。このように、ALCは軽量であると同時に、比較的強度が高く、耐火性、断熱性、施工性にも優れているため、建築物の壁や床などの建築材料として広く使用されている。
かかるALCの製造は、一般に、珪石等の珪酸質原料と、セメントや石灰等の石灰質原料を主原料とし、石膏及び工程繰返し原料などを副原料として、これらの微粉末に水及び発泡剤としてのアルミニウム粉末等の添加物を加えてスラリー状とした後、型枠に投入して発泡させ且つ半硬化させた後、オートクレーブによる高温高圧水蒸気養生を行って製造されている。
上記ALCの製造過程においては、表面に意匠性を持たせるための加工や、シーリング材を詰め込むための溝加工、あるいは所定の長さや幅に切断するための加工などによって、更には不良品が発生することによって、ALCの粉末や塊など多くのALC廃材が発生する。
これらのALC廃材は、従来から工程繰返し原料としてALCの製造に再使用されている。例えば特開平9−268084号公報には、石灰の種類及び配合量を規定すると共に、20重量%以下の工程繰り返し原料を添加することが記載されている。
特開平9−268084号公報
上記したように、ALCの製造過程においては、従来から工程繰返し原料が使用されているが、近年において資源のリサイクルへの関心が高まる中、工程繰返し原料を可能な限り増量することが望まれている。しかしながら、この工程繰返し原料を増量した場合、特に全個体原料の20重量%を超えて添加した場合、得られるALCの圧縮強度などの物性が低下するという問題があった。
本発明は、上記した従来の事情に鑑み、工程繰返し原料を増量した場合でも、圧縮強度などの物性の低下がない軽量気泡コンクリートの製造方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、本発明が提供する軽量気泡コンクリートの製造方法は、珪石などの珪酸質原料と、セメント及び石灰などの石灰質原料とを主原料とし、石膏及び工程繰返し原料などを副原料とし、発泡剤としてアルミニウム粉末を使用する軽量気泡コンクリートの製造方法において、前記工程繰返し原料を全固体原料に対し20重量%を超えて添加すると共に、前記石灰質原料中に含まれるCaの含有率を全固体原料に対し18重量%以上に調整することを特徴とするものである。
本発明によれば、工程繰返し原料を従来よりも増量した場合であっても、圧縮強度の低下がほとんどなく、優れた物性を有する軽量気泡コンクリートを製造することができる。従って、工程繰返し原料を可能な限り増量することで、産業廃棄物を減らし、資源のリサイクルを図ることができる。
ALCの強度発現には、高温高圧の水蒸気養生過程において生成される珪酸カルシウム水和物のトバモライトが寄与している。トバモライトは、珪石等の珪酸質原料とセメントや生石灰等の石灰質原料とから生成されるALCの主要構成鉱物であり、化学式では5CaO・6SiO・5HOで表され、Ca/Siモル比の理論値は5/6=0.83である。
しかし、ALCの工業生産では、オートクレーブ養生に要する時間を短縮するため、Ca/Siモル比は上記理論値0.83よりも小さめに、即ち0.3〜0.7の範囲に設定されることがほとんどである。その理由は、珪石等の珪酸質原料を多くすることで、トバモライトの生成に寄与しなかった未反応の珪石がALCマトリックス中にそのまま残存し、その骨材効果によって強度物性面の向上に寄与するからである。
また、トバモライトの構成成分であるCaについては、その含有率が少なくなると、ALCを固体として形成させるための結合材が少なくなり、圧縮強度が低下する。具体的には、Ca含有率が全固体原料に対し18重量%を下回ると、ALCの圧縮強度が4N/mmを下回ることになり、経年劣化も加味すると、建築材料としての強度が不十分となる。圧縮強度の観点からは、Ca含有率は高いほど好ましいが、そのためには高価なセメントや生石灰を増量することになるため、20重量%程度までが好ましい。
尚、全固体原料に対するCa含有率は、次式で求められる。
Ca含有率(重量%)=(セメントの重量×セメント中のCa率+生石灰の重量×生石灰中のCa率)/全固体原料の重量×100
従って、ALCの製造に際してCa含有率を調整するには、主原料の石灰質原料であるセメント量又は生石灰量を減少させずに、副原料である工程繰返し原料を従来よりも増量すれば良く、また珪酸質原料である珪石を減少させることによっても調整することができる。
一般的に、工程繰返し原料は全固体原料の20重量%までであるが、上記のごとく全固体原料に対するCa含有率を18重量%以上に調整すれば、工程繰返し原料を全固体原料に対し20重量%を超えて添加しても、得られるALCについて圧縮強度などの物性の低下を防ぐことができる。
主原料の珪石、セメント、生石灰と、副原料の石膏及び工程繰返し原料とを、下記表1に示す割合で混合した。これらの固体原料100重量部に対し水を66重量部添加し、更に発泡剤としてアルミニウム粉末を加え、混練して試料1〜5のスラリーとした。
Figure 2009057226
これらのスラリーを型枠に投入し、発泡及び半硬化させた後、10気圧のオートクレーブにおいて6時間の高温高圧水蒸気養生を行って、試料1〜5のALCを製造した。得られた各ALCを100mm角の立方体に成形し、JISA5416に準じて圧縮強度を測定した。得られた圧縮強度を、工程繰返し原料、全固体原料に対するCa含有率及び全原料中のCa/Siモル比と共に、下記表2に示した。
Figure 2009057226
試料1では、工程繰返し原料を24重量%まで増量したが、Ca含有率を20重量%に調整してあるため、4N/mmを超える圧縮強度が得られた。また、試料2では、試料1に比べ工程繰返し原料を約3割増量し、その増量分は珪石、セメント、生石灰、石膏で調整し、Ca含有率を18.3重量%とした。この試料2では、ALCの圧縮強度が若干低下したものの、4N/mmを超えており問題ない範囲であった。
一方、試料3では、試料1に比べ工程繰返し原料を約3割増量したが、Ca含有率が18重量%を下回っているため、圧縮強度は4N/mmを下回る結果となった。試料4及び試料5は、Ca含有率を20重量%に保持しており、工程繰返し原料を34重量%にまで増量しても、圧縮強度の低下は軽微であることが分かる。

Claims (1)

  1. 珪石などの珪酸質原料と、セメント及び石灰などの石灰質原料とを主原料とし、石膏及び工程繰返し原料などを副原料とし、発泡剤としてアルミニウム粉末を使用する軽量気泡コンクリートの製造方法において、前記工程繰返し原料を全固体原料に対し20重量%を超えて添加すると共に、前記石灰質原料中に含まれるCaの含有率を全固体原料に対し18重量%以上に調整することを特徴とする軽量気泡コンクリートの製造方法。
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