JP2009056674A - 転写用反射防止フィルム - Google Patents

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Teruichi Murata
照一 村田
Akira Takagi
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Abstract

【課題】 本発明は、高い反射防止性能と高い機械的強度の両方を有する転写用反射防止フィルムを提供することを目標にしている。
【解決手段】 剥離可能な支持体上に中心部に空洞を有する中空シリコーン粒子または有機重合体被覆中空シリコーンおよびバインダーを含む少なくとも1層の低屈折率層を設けることにより、高い反射防止性能と高い機械的強度の両方を有する転写用反射防止フィルムを得ることができた。
【選択図】 なし

Description

本発明は、少なくとも1層の低屈折率層を有する転写用反射防止フィルムに関するものである。
透明基材の最外層に基材より低屈折率の物質からなる低屈折率層(減反射層)を可視光波長の1/4の膜厚み(約100nm)で形成すると表面反射率が低減することが知られている。この原理を応用したフィルムやガラスの反射防止透明基材は電気製品、光学製品、建材等の分野で広く使用されている。
光学部品、眼鏡、ディスプレイ装置などを被覆して用いる反射防止膜は、単層または複数層からなるものが知られているが、単層および2層からなるものは、残存反射率が大きくなってしまうため屈折率の異なる3層を積層したものが好ましいと考えられてきた。しかし、3層を積層させるのは、公知の真空蒸着法、ディップコーティング法等いずれの方法でも、単層に比べ工程が煩雑であるとともに生産性が低いという欠点があった。
その後、単層や2層であっても反射率の低減が可能であることが見出され、単層あるいは2層の反射防止膜の開発が検討されてきた。
現在はPET等の支持フィルムに反射防止層を設けたフィルムを粘着材を介してディスプレイ表面に貼る方式が多く用いられている。
しかしながらディスプレイと反射防止層との間には支持フィルムであるPETフィルムや、貼るための粘着材層を介在させるため、表面の硬度低下や、ヘイズの上昇など弊害があった。このような問題に対して、反射防止したい表面と反射防止層の間に柔らかい層を介在させないように、反射防止層を表面に転写させる方法が種々考案されている。
特許文献1には、無機中空粒子の層上に接着剤層を塗布して転写用反射防止フィルムとすることが記載されている。この方法は反射防止したい表面と反射防止層の間に柔らかい層が介在していないため、従来の方法に比べると表面硬度低下が小さい。しかし、無機中空粒子の層の粒子と粒子の間の隙間に接着剤を完全に充填することができず、反射防止層そのものの強度が弱いものであり、鉛筆強度やスチールウールでの耐擦傷性は非常に低い問題点を残している。
特許文献2には、転写用フィルムとして反射防止層の強度が高いものが提案されている。しかしながら最低反射率がより低いものが求められており、反射防止層の強度と反射防止性能を両立するものが望まれている。
特開2003−139906号公報 国際公開2004/113966号パンフレット
本発明の目的は、高い反射防止性能と高い機械的強度の両方を有する転写用反射防止フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記課題に取り組み検討を重ねた結果、剥離可能な支持体上に中心部に空洞を有する中空シリコーン粒子または有機重合体被覆中空シリコーンおよびバインダーを含む少なくとも1層の低屈折率層を設けることにより、高い反射防止性能と高い機械的強度の両方を有する転写用反射防止フィルムを得ることができた。
すなわち本発明は、剥離可能な支持体(A)上に設けられた少なくとも1層の低屈折率層(B)を有する転写用反射防止フィルムであって、前記低屈折率層は中心部に空洞を有する中空シリコーン粒子(C)または有機重合体被覆中空シリコーン粒子(D)およびバインダー(E)を含むことを特徴とする転写用反射防止フィルムに関する。
好ましい実施態様は、前記中空シリコーン粒子(C)または有機重合体被覆中空シリコーン粒子(D)の平均粒子径が0.001〜1μで空隙率が5〜60%であることを特徴とする、前記転写用反射防止フィルムに関する。
好ましい実施態様は、前記中空シリコーン粒子(C)または有機重合体被覆中空シリコーン粒子(D)とバインダー(E)の合計量に対する中空シリコーン粒子(C)または有機重合体被覆中空シリコーン粒子(D)割合が30〜80重量%であることを特徴とする、前記転写用反射防止フィルムに関する。
本発明の転写用反射防止フィルムは、剥離可能な支持体上に中心部に空洞を有する中空シリコーン粒子または有機重合体被覆中空シリコーン粒子およびバインダーを含む少なくとも1層の低屈折率層を設けることにより、高い反射防止性能と高い機械的強度を兼ね備えることができる。
本発明の転写用反射防止フィルムは、剥離可能な支持体(A)上に中心部に空洞を有する中空シリコーン粒子(C)または有機重合体被覆中空シリコーン粒子(D)およびバインダー(E)を含む少なくとも1層の低屈折率層を設ける必要がある。
本発明に用いる剥離可能な支持体(A)としては、低屈折率層を光学基材表面に転写した後に剥離可能なフィルム状の支持体をいい、接着用処理のされていない樹脂フィルム(PETフィルム、ポリオレフィンフィルムなど)や樹脂フィルム上に剥離性を向上させるための処理を施したものを用いることができる。支持体(A)の厚みは通常10〜200μmのものを用いるのが好ましい。
支持体(A)の剥離性を向上させるためにフッ素化処理やフッ化メタンなどの真空プラズマ処理や常圧プラズマ処理などの表面処理がしばしば行われる。
本発明の低屈折率層(B)は、反射防止効果を発現するために設けられた1層を指す。この低屈折率層は、ディスプレイ表面など反射防止を行う光学基材表面に転写した際に、表層にくる層であり、転写後に下層になる層の屈折率よりも低い屈折率を有する。低屈折率層の厚さは、可視光領域での反射防止性能の観点から、通常、50〜500nm、好ましくは50〜200nmである。
本発明の低屈折率層(B)は、内部に中空シリコーン粒子(C)または有機重合体被覆中空シリコーン粒子(D)およびバインダー(E)を含有する。
本発明の中空シリコーン粒子(C)あるいは有機重合体被覆中空シリコーン粒子(D)は、下記工程(a)〜工程(b)または工程(c)〜工程(d)
(a)有機高分子粒子(F)および/または有機溶剤(G)からなる粒子を、SiO4/2単位、RSiO3/2単位(式中、Rは、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数6乃至24の芳香族基、ビニル基、γ−(メタ)アクリロキシプロピル基又はSH基をもつ有機基の少なくとも1種を示す)およびRSiO2/2単位(式中、Rは、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数6乃至24の芳香族基、ビニル基、γ−(メタ)アクリロキシプロピル基又はSH基をもつ有機基の少なくとも1種を示す)からなる群より選ばれる1単位又は2単位以上からなり、RSiO2/2単位の割合が20モル%以下、RSiO3/2単位の割合が50モル%以上であるシリコーン系化合物(H)により被覆して、コアシェル粒子(I)を製造する工程
(b)コアシェル粒子(I)中の有機高分子粒子(F)および/または有機溶剤(G)からなる粒子を除去して体積平均粒子径0.001〜1μmの中空シリコーン粒子(C)を製造する工程
(c)有機高分子粒子(F)および/または有機溶剤(G)からなる粒子を、SiO4/2単位、RSiO3/2単位(式中、Rは、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数6乃至24の芳香族基、ビニル基、γ−(メタ)アクリロキシプロピル基又はSH基をもつ有機基の少なくとも1種を示す)およびRSiO2/2単位(式中、Rは、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数6乃至24の芳香族基、ビニル基、γ−(メタ)アクリロキシプロピル基又はSH基をもつ有機基の少なくとも1種を示す)からなる群より選ばれる1単位又は2単位以上からなり、RSiO2/2単位の割合が20モル%以下、RSiO3/2単位の割合が50モル%以上であるシリコーン系化合物(H)により被覆し、更に有機単量体(J)によりグラフト重合を行って有機重合体で被覆した多層コアシェル粒子(K)を製造する工程
(d)多層コアシェル粒子(K)中の有機高分子粒子(F)および/または有機溶剤(G)からなる粒子を除去して体積平均粒子径0.001〜1μm有機重合体被覆中空シリコーン系粒子(D)を製造する工程
からなる製造方法より得られる。
本発明の有機高分子粒子(F)の組成については限定されるものではなく、例えば、ポリアクリル酸ブチル、ポリブタジエン、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体等に代表される軟質重合体でもよく、アクリル酸ブチル−スチレン共重合体、アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸ブチル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等の硬質重合体でも問題なく使用できる。後の凝固工程での除去性という点から、これらのうち軟質重合体が好ましく、ポリアクリル酸ブチルがより好ましい。
本発明の有機高分子粒子(F)の製造法は、特に限定されず、乳化重合法、マイクロサスペンジョン重合法、ミニエマルション重合法、水系分散重合法など公知の方法が使用できる。なかでも、粒子径の制御が容易であり、工業生産にも適する点から、乳化重合法により製造することが特に好ましい。
通常、乳化重合法で製造された有機高分子粒子(F)は球状になるため、これをコアとして用いると、球状の空洞を一つ有する中空シリコーン粒子を製造することができる。有機高分子粒子(F)のラテックスに無機塩などを加えて一部凝集させたものをコアに用いると、連球状など不定形の空洞を有する中空シリコーン粒子や、複数の空洞を有する中空シリコーン粒子を製造することもできる。
前記有機高分子粒子(F)の重合にはラジカル重合開始剤が用いられうる。ラジカル重合開始剤の具体例としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、パラメンタンハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの無機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物などが挙げられる。上記重合を、例えば、硫酸第一鉄−ホルムアルデヒドスルフォキシル酸ソーダ−エチレンジアミンテトラアセティックアシッド・2Na塩、硫酸第一鉄−グルコース−ピロリン酸ナトリウム、硫酸第一鉄−ピロリン酸ナトリウム−リン酸ナトリウムなどのレドックス系で行うと、低い重合温度でも効率的に重合を完了することができる。また、前記有機高分子粒子(F)の重合にはt−ドデシルメルカプタンなどの連鎖移動剤を使用することができる。
本発明の有機高分子粒子(F)は、後の段階で行なわれる有機高分子の除去を有機溶媒により行う場合を考慮すると非架橋高分子であることが好ましく、有機高分子粒子(F)の分子量は低い方が好ましい。具体的には、重量平均分子量が30000未満であることが好ましく、さらには10000未満であることがより好ましい。有機高分子粒子(F)の重量平均分子量を低くするためには、例えば、連鎖移動剤の使用、高い重合温度に設定、多量の開始剤を使用するなど種々の手段を適宜組み合わせて選択することができる。有機高分子粒子(F)の重量平均分子量の下限値は特に制限されるものではないが、合成の難易度の点から、概ね2000程度である。なお、重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分析(ポリスチレン換算)によって測定できる。
本発明においては、有機高分子粒子(F)の粒子径分布を狭くするためにシード重合法を利用することもできる。中空シリコーン粒子(C)や有機重合体被覆中空シリコーン粒子(D)が均一な屈折率を有するという点からは、有機高分子粒子(F)をシード重合法で製造することが好ましい。なお、ラテックス状態の有機高分子粒子(F)、コアシェル粒子(I)や多層コアシェル粒子(K)の体積平均粒子径は、光散乱法または電子顕微鏡観察から求められうる。体積平均粒子径および粒子径分布は、例えば、リード&ノースラップインスツルメント(LEED&NORTHRUP INSTRUMENTS)社製のMICROTRAC UPAを用いることにより測定することができる。
本発明における有機溶剤(G)は、水に溶けず、乳化剤により微粒子を形成できるものであればよく、具体例としては、トルエン、ベンゼン、キシレン、n−ヘキサン等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明においては、有機高分子粒子(F)および/または有機溶剤(G)からなる粒子がコアシェル粒子(I)や多層コアシェル粒子(K)の製造におけるコアとして用いられる。本発明では最終的に有機高分子(F)および/または有機溶剤(G)を除去するので、除去が容易となるように有機高分子粒子(F)に対し有機溶剤(G)を併用してもよい。前記粒子において、有機高分子粒子(F)および有機溶剤(G)を併用する場合の使用割合については、重量比で有機高分子粒子(F)/有機溶剤(G)が100/0〜1/99の範囲が好ましい。
本発明のコアシェル粒子(I)や多層コアシェル粒子(K)において被覆部となるシリコーン系化合物(H)は、SiO4/2単位、RSiO3/2単位およびRSiO2/2単位からなる群より選ばれる1単位又は2単位以上からなり、RSiO2/2単位の割合が20モル%以下、RSiO3/2単位の割合が50モル%以上であることが好ましい。複数のRは各々同じであっても異なっていても良い。
前記シリコーン系化合物(H)中のSiO4/2単位の原料としては、例えば、四塩化ケイ素、テトラアルコキシシラン、水ガラスおよびケイ酸塩からなる群より選択される1種または2種以上が挙げられる。テトラアルコキシシランの具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、およびそれらの縮合物などが挙げられる。
前記シリコーン系化合物(H)中のRSiO3/2単位中のRは、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数6乃至24の芳香族基、ビニル基、γ−(メタ)アクリロキシプロピル基又はSH基、炭素数1〜16のフルオロアルキル基またはパーフルオロアルキル基をもつ有機基から少なくとも1種が選択される。基材によっては、Rに少量のビニル基、γ−(メタ)アクリロキシプロピル基又はSH基をもつ有機基と、多量のアルキル基または芳香族基を選択する場合もありうる。RSiO3/2単位の原料としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3,3,3,トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等などを挙げることができ、これらは1種または2種以上を組み合わせて適宜使用できる。
本発明シリコーン系化合物(H)中のRSiO2/2単位(Rは、RSiO3/2単位中のRと同様の群から選択されうる)の原料としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、エチルフェニルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、エチルフェニルジエトキシシランなど、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサンなどの環状化合物のほかに、直鎖状あるいは分岐状のオルガノシロキサンや、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン等があげられる。
本発明では、中空シリコーン粒子に柔軟性を持たせたい場合等にRSiO2/2単位を少量混入することができる。コアシェル粒子(I)におけるシリコーン系化合物(H)中のRSiO2/2単位の割合は20モル%以下であることが好ましく、さらには10モル%以下であることがより好ましい。RSiO2/2単位の割合が20モル%を越えると最終の中空シリコーン粒子が柔軟になり過ぎて形状保持性に問題が起こる場合がある。
本発明において、シリコーン系化合物(H)中のSiO4/2単位の割合は、中空シリコーン粒子の形状保持性の観点から、0〜50モル%であることが好ましく、更には0〜10モル%であることがより好ましい。SiO4/2単位の割合が50モル%を越えると、有機溶剤に分散し難くなり、後の被膜形成が難しい。
したがって、本発明のシリコーン系化合物(H)中のRSiO3/2単位の割合は、コアシェル粒子の粒子径分布の安定性の観点から、50〜100モル%であることが好ましく、更には75〜100モル%であることがより好ましい。
本発明では、有機高分子粒子(F)および/または有機溶剤(G)との合計量と、シリコーン系化合物(H)との重量比率は必ずしも制限されるものではないが、2/98〜95/5であることが好ましく、さらには10/90〜50/50がより好ましい。当該比率が2/98より小さいと最終の中空シリコーン粒子の空隙率が低くなり過ぎる場合がある。また、逆に比率が95/5より大きいと中空シリコーン粒子の強度が不足して加工中に壊れる場合がある。通常空隙率は5〜60%に設定する。
本発明のコアシェル粒子(I)や多層コアシェル粒子(K)の体積平均粒子径は0.001〜1μmの範囲であることが好ましく、更には0.002〜0.05μmの範囲であることがより好ましい。0.001μmより小さい粒子や1μmより大きな粒子を合成することは可能であるが、安定的に合成することは難しい傾向がある。
本発明のコアシェル粒子(I)や多層コアシェル粒子(K)の粒子径分布は特に制限されるものではないが、中空シリコーン粒子が均一な屈折率を有するという点からは、粒子の80%以上が平均粒子径の±30%の範囲であることが好ましい。
本発明では、例えば、有機高分子粒子(F)および/または有機溶媒(G)と、酸触媒を含む5〜120℃の水に対し、乳化剤、SiO4/2単位の原料、RSiO3/2単位の原料、およびRSiO2/2単位の原料と水の混合物をラインミキサーやホモジナイザーで乳化した乳化液を一括あるいは連続的に追加することにより、シリコーン系化合物で被覆されたコアシェル粒子を得ることができる。乳化液の追加は一括でも連続でも構わない。時間的には長くなるがラテックス状粒子の安定性や粒子径分布を重視するなら連続追加を採用することが好ましい。乳化液の追加前に酸触媒を添加して、直ちに加水分解と縮合反応が進む条件で連続追加を行うと、コアシェル粒子は時間とともに大きく成長し、通常のシード重合のように、狭い粒子径分布を示すものを得ることができる。30分ないし1時間の比較的短い時間の連続追加を行うと、比較的良い生産性と狭い粒子径分布を両立することもできる。
本発明に使用できる乳化剤としては、アニオン系乳化剤やノニオン系乳化剤が好適に使用されうる。アニオン系乳化剤の具体例としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム、オレイン酸カリウムなどが挙げられるが、特にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好適に用いられる。ノニオン系乳化剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルやポリオキシエチレンラウリルエーテルなどが挙げられる。
本発明に用いることのできる酸触媒は、例えば、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸類、および硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸類が挙げられる。これらの中では、オルガノシロキサンの乳化安定性に優れる観点から、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸が好ましく、n−ドデシルベンゼンスルホン酸が特に好ましい。
コアシェル粒子を製造する際の反応のための加熱は、適度な重合速度が得られるという点で5〜120℃が好ましく、20〜80℃がより好ましい。
本発明の有機重合体被覆中空シリコーン粒子では、シリコーン系化合物による被覆の後で有機単量体(J)のグラフト重合を行う。この場合、シリコーン化合物中にシリコーン系グラフト交叉剤を少量導入することが好ましい。シリコーン系グラフト交叉剤としては、例えば、前記のγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等やγ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン等の、ビニル系単量体等と共重合可能な官能基を有するシリコーン系化合物が揚げられる。
前記シリコーン系化合物(H)中のビニル基、γ−(メタ)アクリロキシプロピル基またはSH基を含有するRSiO3/2単位とビニル基、γ−(メタ)アクリロキシプロピル基またはSH基を含有するRSiO2/2単位の合計の割合が0.01〜20モル%であることが好ましい。0.01モル%未満では、後で行う有機単量体の重合が不完全なものになり、最終の被膜の透明性が低下する傾向がある。20モル%を越えると最終のフッ素系樹脂被膜の膜強度が低下する傾向がある。
本発明の有機単量体(J)の具体例としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル系単量体、フッ化ビニリデンなどのフルオロオレフィン系単量体、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレートなどの含フッ素アクリル系単量体、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルメタクリレートなどの含フッ素メタクリル系単量体などがあげられる。これらは単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。この単量体の重合物は分散液に使用する有機溶剤との相溶性が良いことが重要なため、それらに合わせて選択することが好ましい。
本発明では、有機高分子粒子(F)および/または有機溶剤(G)との合計量、シリコーン系化合物(H)、有機単量体(J)の重量割合は必ずしも制限されるものではないが、有機高分子粒子(F)および/または有機溶剤(G)との合計量とシリコーン系化合物(H)と有機単量体(J)の合計量を100重量%とすると、有機高分子粒子(F)および/または有機溶剤(G)との合計量は2〜95重量%であることが好ましく、さらには10〜50重量%がより好ましい。2重量%未満になると最終のグラフト重合体で被覆した多層コアシェル粒子の空隙率が低くなり過ぎる場合がある。また、逆に95重量%を超えるとグラフト重合体で被覆した多層コアシェル粒子の強度が不足して加工中に壊れる場合がある。シリコーン系化合物(C)は5〜97重量%であることが好ましく、さらには50〜80重量%がより好ましい。5重量%未満になると最終のグラフト重合体で被覆した多層コアシェル粒子の強度が不足して加工中に壊れる場合がある。また、逆に97重量%を超えるとビニル系重合体で被覆した多層コアシェル粒子の空隙率が低くなり過ぎる場合がある。有機単量体(J)は1〜50重量%であることが好ましく、さらには2〜20重量%がより好ましい。1重量%未満になると有機重合体で被覆した多層コアシェル粒子の分散液の保存安定性が低下したり被膜強度が低下する場合がある。また、逆に50重量%を超えるとグラフト重合体で被覆した多層コアシェル粒子の空隙率が低くなる場合がある。通常空隙率は5〜60%に設定する。
シリコーン系化合物で被覆された粒子に、有機単量体(J)をグラフト重合するため、前記の有機高分子粒子(F)の重合に使用できる具体例として挙げたラジカル重合開始剤や還元剤が利用できる。
本発明において、コアシェル粒子(I)や多層コアシェル粒子(K)の中から有機高分子粒子(F)および/または有機溶剤(G)からなる粒子を除去する方法としては、例えば、有機溶剤を用いる方法、燃焼による方法などがあげられる。除去するのに使用される有機溶剤としては、コアになる有機高分子粒子(F)および/または有機溶剤(G)からなる粒子を溶解し、シェルになるシリコーン系化合物を溶解しないものが好ましい。具体例としては、メタノール、トルエン、ベンゼン、キシレン、n−ヘキサン、アセトン等が挙げられる。
また、本発明では、コアを除去したのちさらにシリコーン系粒子を有機溶剤で洗浄することもできる。洗浄に用いることのできる有機溶剤の具体例としては、メタノール、n−ヘキサン等が挙げられる。
本発明の中空シリコーン粒子は、従来の中空シリカに比較して空隙率が大きいため、少量の使用で反射率を低下させることができる。また、本発明の中空シリコーン粒子は、従来の中空シリカに比較して有機溶剤との親和性が良いため、製膜時に使用する有機溶剤との分散状態が良い。
中空シリコーン粒子は、粒子内部に空隙を有する粒子であり、この空隙率により粒子の屈折率は異なるが、屈折率1.10〜1.40を示す。
本発明のバインダー(E)としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランなどの加水分解性シラン類を反応させたもの、ケイ酸、トリメチルシラノール、トリフェニルシラノール、ジメチルシランジオールなどのシラノール基を含有するケイ素化合物、水ガラス、オルトケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸カリウムなどのケイ酸塩を酸やイオン交換樹脂に接触させることにより得られる活性シリカ、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリ尿素類、ポリカーボネート類などの有機ポリマー、アルキル(メタ)アクリレート、アルキレンビス(メタ)アクリレートなどのアクリル系モノマーを重合したもの、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、エチレンと4フッ化エチレンのコポリマー(ETFE)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソールコポリマー(TFE/PDD)などのフッ素系樹脂、公知の硬化性樹脂などを挙げることができる。
バインダーは単独で用いても、複数を併用しても構わない。反応性シラン類を併用することや、重合性モノマーを併用することは、機械強度の向上に効果的である。
重合性モノマーの種類は、反応の形態、速度などに応じて適宜選択される。重合性モノマーまたは官能基を有するものを用いる場合には、さらに添加物として重合開始剤を添加することが有効である。重合開始剤としては、熱ラジカル発生剤、光ラジカル発生剤、熱酸発生剤、光酸発生剤など公知のものを、上記の重合性官能基や重合性モノマーの反応形態に合わせて選ぶことができる。熱/光ラジカル発生剤の具体例としては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社より市販されているイルガキュア、ダロキュアと呼ばれるアセトフェノン系、ベンゾフェノン系、ホスフィンオキサイド系、チタノセン系の各重合開始剤、チオキサントン系重合開始剤、ジアゾ系重合開始剤、o−アシルオキシム系重合開始剤などが挙げられる。これらの中でもイルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379等の分子内にアミノ基および/またはモルホリノ基を有する重合開始剤が特に好ましい。また熱/光酸発生剤の具体例としては、三新化学工業株式会社より市販されているサンエイドSIシリーズ、和光純薬工業株式会社より市販されているWPIシリーズ、WPAGシリーズ、シグマアルドリッチジャパン株式会社より市販されているPAGsシリーズに代表される、スルホニウム系、ヨードニウム系、ジアゾメタン系の各重合開始剤などが挙げられる。
本発明において、中空シリコーン粒子(C)または有機重合体被覆中空シリコーン粒子(D)とバインダー(E)の合計量に対する中空シリコーン粒子(C)または有機重合体被覆中空シリコーン粒子(D)割合は30〜80重量%であることが好ましく、さらには40〜70重量%がより好ましい。
本発明の転写用反射防止フィルムを光学基材に転写した後に、低屈折率層の直下に高屈折率層がくるように、支持体(A)/低屈折率層(B)/高屈折率層 と構成すると、さらに反射防止効果を高めることができるので有効である。高屈折率層としては例えば、チタン、ジルコニウム、亜鉛、アンチモン、インジウム、スズ、セリウム、タンタル、イットリウム、ハフニウム、アルミニウム、マグネシウムなどの金属からなる酸化物または複合酸化物など公知の無機微粒子を、バインダーに分散させたものが用いられる。バインダーは、低屈折率層のバインダーとして列挙したものを用いることができる。高屈折率層の屈折率は1.5〜2.5の範囲が好ましく、高屈折率層の厚さは、通常、0.01μm〜1μmに設定される。
低屈折率層または高屈折率層の上にハードコート層を設けると、転写後の光学部材の鉛筆強度や耐衝撃性を向上させることができるので好ましい。ハードコート層は、熱硬化や紫外線硬化、電子線硬化が行えるハードコート材料であることが好ましい。代表的な材料としては、メラミン系、アクリルラジカル系、アクリルシリコーン系、アルコキシシラン系が好ましく、これらのハードコート材料をマトリックスとして有機および/又は無機の微粒子を分散したものを用いることも可能である。
本発明に用いることができるハードコート材料としては、市販のシリコーン系ハードコート、(メタ)アクリル系ハードコート、エポキシ系ハードコート、ウレタン系ハードコート、エポキシアクリレート系ハードコート、ウレタンアクリレート系ハードコートなど、公知のものを挙げることができる。具体的には、信越化学工業株式会社製UV硬化型シリコーンハードコート剤X−12シリーズ、GE東芝シリコーン株式会社製UV硬化型シリコーンハードコート剤UVHCシリーズや熱硬化型シリコーンハードコート剤SHCシリーズ、株式会社日本ダクロシャムロック製熱硬化性シリコーンハードコート剤ソルガードNPシリーズ、日本化薬株式会社製UV硬化型ハードコート剤KAYANOVA FOPシリーズが好ましい。ハードコート層の厚さは、通常、0.1μm〜15μmに設定される。
塗布組成物の塗布は、ディッピング、スピンコーター、ナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、グラビアロールコーターなどの公知の方法を用いて実施することができる。
このような転写用反射防止フィルムは、例えば、メガネレンズ、ゴーグル、コンタクトレンズ等のメガネ分野、車の窓、インパネメーター、ナビゲーションシステム等の自動車分野、太陽電池、光電池、レーザー等のエネルギー分野、TVブラウン管、ノートパソコン、電子手帳、タッチパネル、液晶テレビ、液晶ディスプレイ、車載用テレビ、液晶ビデオ、プロジェクションテレビ、プラズマディスプレイ、プラズマアドレス液晶ディスプレイ、電解放出型ディスプレイ等の電子情報機器分野等の非常に広範な用途に用いることができる。
本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されない。なお、以下の実施例および比較例における測定および試験はつぎのように行った。
[体積平均粒子径]
有機高分子粒子、多層コアシェル粒子の体積平均粒子径をラテックスの状態で測定した。測定装置として、リード&ノースラップインスツルメント(LEED&NORTHRUP INSTRUMENTS)社製のMICROTRAC UPAを用いて、光散乱法により体積平均粒子径(μm)を測定した。
[有機高分子の重量平均分子量]
有機高分子の重量平均分子量は、GPC測定データよりポリスチレン標準試料で作成した検量線を用いて換算して求めた。
[コアシェル粒子と多層コアシェル粒子からの有機高分子等の除去の確認]
凝固後の上澄液と洗浄後の上澄液のポリアクリル酸ブチル量を求めることによりコアの除去を確認した。コアが除去されていることが確認できたものを○、確認できなかったものを×と判定した。
[反射率の測定]
塗布面と反対側のPETフィルム表面をサンドペーパーで荒し、黒色塗料で塗りつぶしたものを分光光度計(日本分光株式会社製 紫外可視分光光度計V−560型、積分球装置ISV−469型)により反射率を測定し、可視光域での極小値を読み取った。
[鉛筆硬度の測定]
JISS6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K5400に規定される鉛筆硬度の評価方法に従い、1kg荷重における鉛筆硬度を評価した。
「○」;傷なし、「△」;跡が残ったもの、「×」;傷が入ったものを基準にした。
[耐摩耗性の測定]
直径1cmのステンレス柱の片端にスチールウール(ボンスター#0000:日本スチールウール(株)製)を取り付け、荷重200g/cm2で10回擦り、傷の目視判定で判断した。その判断基準としては、
「○」;傷なし、「△」;傷が数本、「×」;傷が10本以上 を基準にした。
[Hazeの測定]
日本電色工業株式会社製 NDH−300A を用いて測定した。
[剥離可能な支持体(A)の調整]
厚さ50μmのPETフィルムの片面に、アクリル系紫外線硬化型樹脂(サンラッド RC-600、三洋化成工業株式会社製)の50wt%メチルエチルケトン溶液をバーコーターで塗布し、紫外線硬化させて支持体(A)を調整した。
[中空シリコーン粒子の調整]
撹拌機、還流冷却器、窒素吹込口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに、水400重量部(種々の希釈水も含む水の総量)およびドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ(SDBS)12重量部(固形分)をとり混合した後、50℃に昇温し、液温が50℃に達した後、窒素置換を行った。その後、ブチルアクリレート10重量部、t−ドデシルメルカプタン3重量部、パラメンタンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合液を加えた。30分後、硫酸第一鉄(FeSO・7HO)0.002重量部、エチレンジアミンテトラアセティックアシッド・2Na塩0.005重量部、ホルムアルデヒドスルフォキシル酸ソーダ0.2重量部を加えてさらに1時間重合させた。その後ブチルアクリレート90重量部、t−ドデシルメルカプタン27重量部、パラメンタンハイドロパーオキサイド0.1重量部の混合液を3時間かけて連続追加した。2時間の後重合を行い、有機高分子粒子ラテックス(P−1)を得た。このラテックスの体積平均粒子径は0.015μm、重量平均分子量は6000であった。
撹拌機、還流冷却器、窒素吹込口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに、水500重量部(種々の希釈水も含む水の総量)、ドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)3重量部、有機高分子粒子(P−1)25重量部(固形分)を混合した。この時のpHは1.8であった。80℃に昇温し、窒素置換を行った。その後、別途純水100重量部、SDBS(固形分)0.5重量部、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学製KBM−503)の表1に示す量のシリコーン化合物の混合液を30分かけて一定速度で全量を追加した。追加終了後、5時間撹拌を続けた後、25℃に冷却して20時間放置し、ラテックス状の多層コアシェル粒子を得た。このコアシェル粒子の体積平均粒子径を表1に示した。
つづいて、ラテックス状のコアシェル粒子100重量部に対し、アセトンをまず50重量部を加えて5分間撹拌し、その後アセトン150重量部を加えて25分間撹拌した。3時間静置すると凝固粒子層と透明な上澄層に分離する。上澄液を除いた後、濾紙を用いて凝固粒子層を単離した。それをメタノール70重量%、n−ヘキサン30重量%の混合溶剤300重量部に分散させた。この分散液を3時間静置すると凝固粒子層と透明な上澄層に分離する。濾紙を用いて凝固粒子層を単離し、中空シリコーン粒子を得た。このコアシェル粒子からの有機高分子の除去の確認結果を表1に示した。
[有機重合体被覆中空シリコーン粒子の調整]
撹拌機、還流冷却器、窒素吹込口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに、水500重量部(種々の希釈水も含む水の総量)、ドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)3重量部、有機高分子粒子(P−1)25重量部(固形分)を混合した。この時のpHは1.8であった。80℃に昇温し、窒素置換を行った。その後、別途純水100重量部、SDBS(固形分)0.5重量部、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学製KBM−503)の表1に示す量のシリコーン化合物の混合液を30分かけて一定速度で全量を追加した。追加終了後、5時間撹拌を続けた後、60℃に冷却した。硫酸第一鉄(FeSO・7HO)0.002重量部、エチレンジアミンテトラアセティックアシッド・2Na塩0.005重量部、ホルムアルデヒドスルフォキシル酸ソーダ0.2重量部を加えて、30分後に表1に示すビニル系単量体と0.5重量のパラメンタンハイドロパーオキサイドとの混合液を30分かけて追加した。2時間撹拌を続けた後、25℃に冷却して20時間放置し、ラテックス状の多層コアシェル粒子を得た。この多層コアシェル粒子の体積平均粒子径を表1に示した。
つづいて、中空シリコーン粒子と同様の方法で有機重合体被覆中空シリコーン粒子の単離を行い、粒子の特性を表1に示した。
[塗工液の調製]
(低屈折率層用塗工液B1)
上記の方法で得た中空シリコーン粒子をイソプロピルアルコール(IPA)に分散させ10重量%の分散液50重量部を作った。次いで反応性シラン類として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン3.7重量部を攪拌下に室温で滴下、混合し、さらに0.4M硝酸水溶液1.1重量部を滴下後、室温で5時間撹拌して反応性シラン類の加水分解を行い、反応性シラン類と中空シリコーン粒子とを反応させた。この反応液100重量部に対し、「イルガキュア369」の1wt%エタノール溶液を100重量部混合させた後、IPAで固形分濃度を3wt%に希釈して低屈折率層用塗工液B1を調整した。
(低屈折率層用塗工液B2)
上記の方法で得た有機重合体被覆中空シリコーン粒子をイソプロピルアルコール(IPA)に分散させ10重量%の分散液50重量部を作った。次いで反応性シラン類として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン3.7重量部を攪拌下に室温で滴下、混合し、さらに0.4M硝酸水溶液1.1重量部を滴下後、室温で5時間撹拌して反応性シラン類の加水分解を行い、反応性シラン類と有機重合体被覆中空シリコーン粒子とを反応させた。この反応液100重量部に対し、「イルガキュア369」の1wt%エタノール溶液を100重量部混合させた後、IPAで固形分濃度を3wt%に希釈して低屈折率層用塗工液B2を調整した。
(高屈折率層用塗工液)
ITO微粒子のエタノール分散液(触媒化成工業社製「ELCOM V-2506」固形分20.5wt%)20重量部に対して、ジペンタエリスリトールヘキサメタアクリレート1重量部、ITOの分散助剤(燐酸エステル系)0.1重量部、開始剤として「イルガキュア(商標登録)184」を0.1重量部用い、これらをエタノール溶媒中で混合・分散させて、固形分濃度4wt%の高屈折率用塗工液を調整した。
(低屈折率層用塗工液B3)
平均径約12nmのシリカ一次粒子で構成された、平均長さが約100nmの数珠状シリカストリングの水性分散液(スノーテックスOUP、日産化学工業株式会社製、シリカ固形分濃度15.5wt%)を中空シリコーン粒子の代わりに用いた。低屈折率層用塗工液B1と同様にして低屈折率層用塗工液B3を調整した。
[実施例1〜2、比較例1]
支持体(A)の剥離可能な面側に、バーコーターを用いて、表1に記載した低屈折率用塗工液をそれぞれ塗工し、60℃で1分乾燥させた後、fusion−UVで紫外線硬化させることで低屈折率層を形成させた。低屈折率層の厚みは約100nmだった。
次に、それぞれの低屈折率層の上に、バーコーターを用いて、高屈折率層用塗工液を塗工し、50℃で1分乾燥させた後、fusion−UVで紫外線硬化させることで高屈折率層を形成させた。高屈折率層の厚みも約100nmだった。
市販のハードコート剤(日本化薬株式会社UV硬化型ハードコート剤FOP4000)をトルエンで2倍に希釈して、ハードコート層用塗布液を調整した。このハードコート層用塗布液をバーコーターを用いてそれぞれの高屈折率層の上に塗工し、50℃で1分乾燥させた後、fusion−UVで紫外線硬化させることでハードコート層を形成させた。このハードコート層の厚みは3.3〜3.5μmだった。
それぞれのハードコート層の上に、熱可塑性ウレタン系接着剤塗工液をバーコートで塗工した。その後、150℃で30秒乾燥させて、接着層を形成させた。この接着層の厚さは約2.5μmだった。
これらの操作で、実施例1〜2、比較例1の転写用反射防止フィルムを作成した。
厚さ2mmのポリメタクリル酸メチル板(デラグラス、旭化成ケミカルズ株式会社製)を光学部材評価用として用い、この板にそれぞれの転写用反射防止フィルムをラミネートすることによって転写した。ラミネートは、大成ラミネーター株式会社製MAII−550型を用い、230℃、ローラー圧1kgで行った。
ラミネート後、剥離可能な支持体(A)を剥離させた後、ポリメタクリル酸メチル板のラミネートしていない側の面を、サンドペーパーで粗したのち、黒色インクで塗りつぶした。この塗りつぶしたものについて、その反対面の反射率を測定した。これらの結果を表1に示した。

Claims (3)

  1. 剥離可能な支持体(A)上に設けられた少なくとも1層の低屈折率層(B)を有する転写用反射防止フィルムであって、前記低屈折率層は中心部に空洞を有する中空シリコーン粒子(C)または有機重合体被覆中空シリコーン粒子(D)およびバインダー(E)を含むことを特徴とする転写用反射防止フィルム。
  2. 前記中空シリコーン粒子(C)または有機重合体被覆中空シリコーン粒子(D)の平均粒子径が0.001〜1μで空隙率が5〜60%であることを特徴とする請求項1記載の転写用反射防止フィルム。
  3. 前記中空シリコーン粒子(C)または有機重合体被覆中空シリコーン粒子(D)とバインダー(E)の合計量に対する中空シリコーン粒子(C)または有機重合体被覆中空シリコーン粒子(D)割合が30〜80重量%であることを特徴とする請求項1および請求項2記載の転写用反射防止フィルム。
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