JP2009056393A - メディア攪拌型湿式分散機 - Google Patents

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Abstract

【課題】メディアの偏析現象及び共回り現象を解消して、分散効率が高く摩耗の問題を起こさないメディア攪拌型湿式分散機を提供する。
【解決手段】処理物の供給口6及び排出口7を備える円筒状の容器2の内部に、筒状のセパレータ3と、回転軸4に固定されて回転するロータ5を備えている。ロータ5は、円筒状の攪拌部材51の外周面に複数の突起部53を備え、作用面となる前面54が、軸線に対して所定の傾斜角度θを備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、連続的に分散処理を行うメディア攪拌型湿式分散機に関する。
湿式分散処理とは、スラリー中に含まれる固体粒子を微粉砕して、より細かい微粒子からなる分散液とする処理である。例えば、プリンター用インク、塗料、重合トナー、カラーレジスト、セラミックス微粒子、酸化チタン、金属粉末、医薬品等の広い分野においてよく行われている。すなわち、これらは無機質微粒子、有機質微粒子、無機有機複合微粒子又はこれらの混合物を含むスラリーである。
これらの処理に使用される分散機の一つとして、メディア攪拌型の分散機がある。この分散機は、容器内でスラリー状の処理液とメディアとを一緒に攪拌し、メディアの剪断力によって粒子を粉砕すると共に分散するものである。分散後の処理液は、容器内に設けられたセパレータによりメディアと分離されて容器外に排出される。セパレータとしては、ギャップタイプやスクリーンタイプ等の篩式のものが多く使用されている。
分散処理の性能は使用するメディアの直径に大きく影響され、メディアの直径が小さいほど、分散液中の微粒子径を小さくすることができるので、近年の傾向としては、メディアの直径を小さくする傾向にある。しかしながら、メディアの小径化に伴ってメディアが排出側へ押し付けられる偏析現象が問題となり、この問題を解決するためにL/D比が1未満のメディア攪拌型湿式分散機が特許文献1及び特許文献2に提案されている。
図7に示すように、これらの特許文献に記載されたメディア攪拌型湿式分散機101は、円筒状の容器102と、容器102内を径方向に内側室121と外側室122に区画すると共に両室間を連通する複数のスリット131が形成される筒状のセパレータ103と、容器102の一端を挿通して回転自在に設けられる回転軸104と、回転軸104に固定されて回転するロータ105と、容器102の他端に設けられ内側室内外を連通する処理物の供給口106と、容器102の外周に設けられ外側室内外を連通する処理物の排出口107を備えている。
ロータ105の形状は、図8及び図9に示すように、円筒状の攪拌部材151と円板状の保持部材152で構成され、攪拌部材151の外周面に複数の突起部153を備えている。そして、ロータ105が矢印の方向に回転するとき、突起部153の前面154が作用面となり、処理物及びメディアに対して周方向の力を作用するようになっている。ここで、作用面となる前面154は、軸線に平行となるように形成されている。また、円筒状の攪拌部材151は、隣り合う突起部153の間に貫通孔155を備えている。
そして、供給口106から容器102内に処理物を供給してロータ105を回転させると、処理物は内側室121内に位置しているメディアと共に攪拌されて粉砕処理及び分散処理を受け、容器102の中心から外方向に向かって流動し、セパレータ103のスリット131によってメディアが分離され、外側室122から排出口107を通って容器102外に排出される。
この分散機101は、L/D比を小さくすると共に、セパレータ103の表面積を大きくすることによってメディアの偏析を防止することができる。しかしながら、この分散機101は、ロータ105とセパレータ103との間に位置するメディアが、共回り(グループモーション)を起こすという問題がある。このため、ロータ105の周囲で発生すべきメディア間の剪断力が減少して処理効率の低下を招くという問題がある。また、セパレータ103の表面に接触するメディアの速度がロータ105の周速度に近い高速となって、セパレータ103の内面等が摩耗するという問題がある。
特開平10−15411号公報 特開2005−125192号公報
本発明の目的は、円筒状の容器と、容器内を径方向に内側室と外側室に区画すると共に両室間を連通する複数のスリットが形成される筒状のセパレータと、容器の一端を挿通して回転自在に設けられる回転軸と、回転軸に固定されて回転するロータと、容器の他端に設けられ内側室内外を連通する処理物の供給口と、容器の外周に設けられ外側室内外を連通する処理物の排出口を備えるメディア攪拌型湿式分散機であって、メディアの偏析現象及びメディアの共回り現象を抑制することにより、分散処理効率を向上し、セパレータ等における摩耗を防止できる分散機を提供することである。
上記のような課題を解決するために、本発明の請求項1に係るメディア攪拌型湿式分散機は、円筒状の容器と、該容器内を径方向に内側室と外側室に区画すると共に両室間を連通する複数のスリットが形成される筒状のセパレータと、前記容器の一端を挿通して回転自在に設けられる回転軸と、前記回転軸に固定されて回転するロータと、前記容器の他端に設けられ前記内側室内外を連通する処理物の供給口と、前記容器の外周に設けられ前記外側室内外を連通する処理物の排出口を備えるメディア攪拌型湿式分散機において、前記ロータが、円筒状をなす攪拌部材の外周面に複数の突起部を備え、前記突起部の作用面が、軸線に対して所定の傾斜角度を備えている手段を採用している。
また、本発明の請求項2に係るメディア攪拌型湿式分散機は、請求項1に記載のメディア攪拌型湿式分散機において、前記傾斜角度が、3°以上であり45°以下である手段を採用している。
また、本発明の請求項3に係るメディア攪拌型湿式分散機は、請求項1又は2に記載のメディア攪拌型湿式分散機において、前記攪拌部材の外周面の直径をdとし、前記突起部の高さをhとするとき、式1の関係がある手段を採用している。
d/30 < h < d/10 …… 式1
また、本発明の請求項4に係るメディア攪拌型湿式分散機は、請求項1乃至3の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機において、前記傾斜角度の向きが、前記突起部をネジ山と看做したときに、前記ロータがその回転により前記容器の前記一端側に向かって進む向きである手段を採用している。
また、本発明の請求項5に係るメディア攪拌型湿式分散機は、請求項1乃至4の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機において、前記攪拌部材が、隣り合う前記突起部の間に貫通孔を備えている手段を採用している。
また、本発明の請求項6に係るメディア攪拌型湿式分散機は、請求項1乃至5の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機において、前記ロータが、軸線の方向に複数のロータに分割されている手段を採用している。
本発明のメディア攪拌型湿式分散機は、前記のような構成としたことにより、攪拌部材の外側において、突起部の傾斜角度により定まる方向に流れを発生させることになる。すなわち、攪拌部材の周辺に位置する処理物及びメディアは、円筒状の攪拌部材の内外において、軸線方向に向かって流れる循環流を形成することになる。
また、処理物及びメディアは、ロータの回転により遠心力を受け、攪拌部材に設けられた貫通孔を内側から外側に向かって流れる。そして、この流れは上記の循環流を促進することになる。
円筒状をなす攪拌部材の内外に、軸線方向の循環流を発生させることにより、攪拌部材の周辺にあるメディアは偏析現象及び共回りの問題が解消されることになる。この結果、本発明のメディア攪拌型湿式分散機は、効率の高い粉砕処理及び分散処理を行うことができる。また、共回りの解消により、セパレータ付近でのメディアの流速が遅くなり、セパレータ等の摩耗を抑制することができる。
以下、図1〜図6に示す本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明のメディア攪拌型湿式分散機の概略側面断面図、図2及び図3はロータの概略図である。
このメディア攪拌型湿式分散機1は、円筒状の容器2と、容器内2を径方向に内側室21と外側室22に区画すると共に両室間を連通する複数のスリット31が形成される筒状のセパレータ3と、容器2の一端を挿通して回転自在に設けられる回転軸4と、回転軸4に固定されて回転するロータ5と、容器2の他端に設けられ内側室21内外を連通する処理物の供給口6と、容器2の外周に設けられ外側室22内外を連通する処理物の排出口7を備えている。
ロータ5は、円筒状の攪拌部材51と円板状の保持部材52で構成され、攪拌部材51の外周面には複数の突起部53を備えている。そして、ロータ5が矢印の方向に回転するとき、突起部53の前面54が作用面となり、処理物及びメディアに対して攪拌力を作用するようになっている。また、円筒状の攪拌部材51は、隣り合う突起部53の間に貫通孔55を備えている。
本発明のメディア攪拌型湿式分散機1は、突起部53の作用面となる前面54が軸線に対して所定の傾斜角度θを備えていることを特徴としている。これによって、ロータ5を矢印の方向に回転すると、処理物及びメディアには、突起部53の作用面により周方向の力と共に軸線方向の力が作用することになる。この結果、攪拌部材51の周辺に位置する処理物及びメディアは、図6(A)に矢印で示すように、攪拌部材51の内外において、軸線方向に向かって流れる循環流を形成することになる。
傾斜角度θは、3°以上であり45°以下であることが好ましく、5°以上であり30°以下であることがより好ましい。傾斜角度θが3°未満では、軸線方向に作用する力が小さく、顕著な効果が認められない。また、45°を超える場合は、本来必要な周方向に作用する力が小さくなり、分散処理の効率が低下することになる。
傾斜角度θの向きは、突起部53をネジ山と看做したときに、ロータ5がその回転によって進む向きが、回転軸4が挿通されている容器2の一端側であることが好ましい。メディアは、処理物の供給口6を備える他端側では自由度があって動き易く、閉塞されている一端側の方では自由度がなくて動き難い。このため、突起部53の作用面によって作用する軸線方向の力は、メディアを一端側から遠ざけるように作用させることが好ましいのである。
突起部53の高さhは、攪拌部材51の外周面の直径dとの間に、次の式1に示す関係があることが好ましい。
d/30 < h < d/10 …… 式1
高さhがd/30以下である場合には、処理物及びメディアに作用する攪拌力が小さくなって分散効率が低下する。また、高さhがd/10以上である場合には、メディアの共回りを起こし易くなって好ましくない。
円板状の保持部材52には複数の貫通孔56が設けられているので、処理物及びメディアは、攪拌部材51の内側においても軸線方向に向かって容易に流動することが可能であり、上記の循環流を促進するようになっている。また、処理物及びメディアは、ロータ5の回転により遠心力を受け、攪拌部材51に設けられた貫通孔55を内側から外側に向かって流れる。この流れもまた、上記の循環流を促進することになる。
また、本発明のメディア攪拌型湿式分散機においては、ロータ5を軸線の方向に複数のロータ5に分割することができる。2個のロータ5に分割した例を図4に示し、3個のロータ5に分割した例を図5に示す。
本発明のメディア攪拌型湿式分散機は、攪拌部材51の内外において、軸線方向に向かって流れる循環流を形成することにより、メディアの偏析現象及びメディアの共回り現象を解消している。ロータを2個以上に分割した場合も、図6の(B)及び(C)に矢印で示すように、各ロータ5の各攪拌部材51の周囲に軸線方向の循環流を発生させることになり、各攪拌部材51の周辺にあるメディアは偏析現象及び共回り現象を防止するので、容器2の全体においてもこれらの問題が解消されることになる。
このため、図7に示した従来のメディア攪拌型湿式分散機と比較して、分散の処理範囲を軸線方向に拡大することが可能であり、L/D比の大きなメディア攪拌型湿式分散機とすることが可能となる。この結果、処理能力の大きなメディア攪拌型湿式分散機とすることができるのである。
本発明のメディア攪拌型湿式分散機の実施の一例を示す概略断面図である。 図1に示すメディア攪拌型湿式分散機のロータを示す概略断面図である。 図2に示すロータの概略外形図である。 ロータが2個に分割された本発明のメディア攪拌型湿式分散機の一例を示す概略断面図である。 ロータが3個に分割された本発明のメディア攪拌型湿式分散機の一例を示す概略断面図である。 循環流の様子を示す説明図である。 従来のメディア攪拌型湿式分散機を示す概略断面図である。 図7に示すメディア攪拌型湿式分散機のロータを示す概略断面図である。 図8に示すロータの概略外形図である。
符号の説明
1、101 メディア攪拌型湿式分散機
2、102 容器
3、103 セパレータ
4、104 回転軸
5、105 ロータ
6、106 供給口
7、107 排出口
21、121 内側室
22、122 外側室
31、131 スリット
51、151 攪拌部材
52、152 保持部材
53、153 突起部
54、154 前面
55、56、155 貫通孔

Claims (6)

  1. 円筒状の容器と、該容器内を径方向に内側室と外側室に区画すると共に両室間を連通する複数のスリットが形成される筒状のセパレータと、前記容器の一端を挿通して回転自在に設けられる回転軸と、前記回転軸に固定されて回転するロータと、前記容器の他端に設けられ前記内側室内外を連通する処理物の供給口と、前記容器の外周に設けられ前記外側室内外を連通する処理物の排出口を備えるメディア攪拌型湿式分散機において、
    前記ロータが、円筒状をなす攪拌部材の外周面に複数の突起部を備え、
    前記突起部の作用面が、軸線に対して所定の傾斜角度を備えていることを特徴とするメディア攪拌型湿式分散機。
  2. 前記傾斜角度が、3°以上であり45°以下であることを特徴とする請求項1に記載のメディア攪拌型湿式分散機。
  3. 前記攪拌部材の外周面の直径をdとし、前記突起部の高さをhとするとき、式1の関係があることを特徴とする請求項1又は2に記載のメディア攪拌型湿式分散機。
    d/30 < h < d/10 …… 式1
  4. 前記傾斜角度の向きが、前記突起部をネジ山と看做したときに、前記ロータがその回転により前記容器の前記一端側に向かって進む向きであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機。
  5. 前記攪拌部材が、隣り合う前記突起部の間に貫通孔を備えていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機。
  6. 前記ロータが、軸線の方向に複数のロータに分割されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のメディア攪拌型湿式分散機。
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