JP2009055524A - スピーカ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は各種音響機器に使用されるスピーカの音質向上に関するものであり、周波数特性を乱さずに振動面内部の位相差を改善する。
【解決手段】磁気回路2に結合されたフレーム1と、このフレーム1の外周部に結合されたコーン振動板8と、このコーン振動板8に結合されるとともに、その一部が前記磁気回路2の磁気ギャップに配置されたボイスコイル6と、前記ボイスコイル6に一端が結合され、他端側の径が結合部より大きい円筒部9と、前記円筒部9の上端を覆うドーム部10とからなり、前記円筒部の中心軸9aと前記ボイスコイルの中心軸6aを5°以上傾斜させて構成したものである。
【選択図】図1

Description

本発明は各種音響機器に使用されるスピーカに関するものであり、詳細にはスピーカの特性、音質を改善するものである。
従来のスピーカで代表的なものに、シングルコーンスピーカがある。このスピーカの例を図3に示す。ここで、21はフレーム、22は磁気回路、23はトッププレート、24はマグネット、25はヨーク、26はボイスコイル、27はダンパー、28はコーン振動板、29はダストキャップである。
なお、本出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば特許文献1および特許文献2が知られている。
実開昭63−52375号公報 欧州特許出願公開第1771035号明細書
このようなスピーカでは、振動板内周側の音と外周側の音で、深さの違いによる位相差が発生する。これは、深いコーン振動板ほど影響が大きく、周波数特性が良くても音質の劣化につながることが多い。図4はこの対策の従来例で、トッププレート23の上端にディフューザー30を設け、この反射と回折により振動板内周側の音の位相を外周側に近づけたものである。しかし、図4ではダストキャップが無いため、振動面積減少による音圧低下や、ボイスコイル26の上端が密閉されないことによる低域の制動低下、さらには振幅によってコーン振動板28とディフューザー30の相対位置が変化し、位相補正が変調されるといった課題もあった。なお、図5のように、サブコーン31をボイスコイル26の上端に設けた場合でも一定の反射と回折は起こるが、サブコーン31の内部の凹空間が位相を乱すため、振動面に対する位相改善にはならない。また、図6はサブコーン41の上端にダストキャップ42を固定してボイスコイルに結合した従来例である。この場合、上記課題の一部は改善されるが、ダストキャップ42の発生音とコーン紙の発生音がその距離差で位相干渉を起こし、特定の周波数で大きな音圧ディップを生じるといった課題があった。
上記課題を解決するために本発明のスピーカは、磁気回路に結合されたフレームと、このフレームの外周部に結合されたコーン振動板と、このコーン振動板に結合されるとともに、その一部が前記磁気回路の磁気ギャップに配置されたボイスコイルと、前記ボイスコイルに一端が結合され、他端側の径が結合部より大きい円筒部と、前記円筒部の上端を覆うドーム部とからなり、前記円筒部の中心軸と前記ボイスコイルの中心軸を5°以上傾斜させて構成したものである。
本発明のスピーカは、磁気回路に結合されたフレームと、このフレームの外周部に結合されたコーン振動板と、このコーン振動板に結合されるとともに、その一部が前記磁気回路の磁気ギャップに配置されたボイスコイルと、前記ボイスコイルに一端が結合され、他端側の径が結合部より大きい円筒部と、前記円筒部の上端を覆うドーム部とからなり、前記円筒部の中心軸と前記ボイスコイルの中心軸を5°以上傾斜させて構成することで、周波数特性を乱さずに振動板内部の位相差を改善し、高音質化を実現することができる。
本発明の実施の形態について、図1〜図2を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の請求項1におけるスピーカの断面図である。ここで、1はフレーム、2は磁気回路、3はトッププレート、4はマグネット、5はヨーク、6はボイスコイル、6aはボイスコイル6の中心軸、7はダンパー、8はコーン振動板、9はボイスコイル6の上端に結合された円筒部、9aは円筒部9の中心軸、10は円筒部9の上端を覆うドーム部である。本実施の形態では、コーン振動板8の内周側で発生した音が円筒部9からドーム部10に沿って反射、回折し、ドーム部10の周囲に集まってそこが等価の音源位置となる。従って、コーン振動板8の外周部で発生した音と音源位置が近づき位相差が改善される。さらに、従来ダストキャップから発生していた音も、円筒部9を経由してドーム部10から発生するため音源位置が近く、スピーカの振動面全体に亘って位相を揃えることができる。ここでドーム部10は、有効な反射、回折のため一定の径が必要であり、本発明が対象とするスピーカでは、ボイスコイル6より大きい。このため円筒部9はボイスコイル6との結合部よりドーム部10側の径が大きくなる。さらに、円筒部9の中心軸9aはボイスコイル6の中心軸6aに対して傾斜している。図6のような従来例では、コーン振動板の内周部が発生した音の一部と、ダストキャップ42が発生する音がその距離差で干渉して打消し合い、特定周波数において大きな音圧ディップが発生する。本発明のスピーカでは、中心軸9aの傾きによってコーン振動板8とドーム部10の距離が円周方向で常に変化するため、干渉が特定周波数に集中せず分散する。この結果、従来例に対して周波数特性を平坦にすることができる。また、中心軸9aの傾斜が効果を持つには5°以上必要で、円筒部10がコーン振動板8に接触しない範囲で決定される。なお本実施の形態では、中心軸6aと角度を持って受聴する場合、円周方向の位置によって特性は変化するが、中心軸9aの傾斜側を基準として、ほぼ±90°の受聴範囲で音質改善効果があり、実用上問題はない。また、図1において、ドーム部10は部分球であるが、完全球に近づけて特性を変化させることも可能である。但し、完全球に近づくとコーン振動板8からの飛出しが大きく、車載などの搭載で注意が必要である。ここで円筒部9とドーム部10は一体成型が一番単純であるが、製造上の都合から別体として接着結合することもできる。なお、円筒部9とドーム部10の材質は、抄紙したパルプ、成型した布、樹脂、フィルムおよび金属箔などが使用できる。
(実施の形態2)
本発明の他の実施の形態2を図2により説明する。なお、実施の形態1と同一部分は同一番号を付し、説明を省略する。本実施の形態と実施の形態1との相違点は、円筒部9とドーム部10に囲まれた空間に吸音材11を設けたことである。これにより、円筒部9やドーム部10及びそれらに囲まれた内部空間が発生する共振音を吸収することで、音質を調整できる。図2では、吸音材11にスポンジ状のものを用いてドーム部10側に固定しているが、必要に応じて円筒部9側に固定してもよく、内部空間全体を満たしてもよい。また、スポンジ状に代えて繊維状の吸音材とすることもできる。
(実施の形態3)
本実施の形態と実施の形態1または2との相違点は、ドーム部10と円筒部9及びそれらに含まれる部分の合計質量を、コーン振動板8の有効質量に近づけたことである。これによって、駆動点であるボイスコイル6の内側の質量と外側の質量がバランス状態に近づき、これまでより広い帯域でピストンモーションが可能となって、更なる音質改善につながる。なお、実験によると、前記質量差は40%以下で音質改善の効果が認められた。
本発明にかかるスピーカは、高音質化が必要な音響機器や自動車等の装置に適用できる。
本発明の実施の形態1におけるスピーカの断面図 本発明の実施の形態2におけるスピーカの断面図 従来例におけるスピーカの断面図 他の従来例におけるスピーカの断面図 他の従来例におけるスピーカの断面図 他の従来例におけるスピーカの断面図
符号の説明
1 フレーム
2 磁気回路
3 トッププレート
4 マグネット
5 ヨーク
6 ボイスコイル
6a ボイスコイル6の中心軸
7 ダンパー
8 コーン振動板
9 円筒部
9a 円筒部9の中心軸
10 ドーム部
11 吸音材

Claims (3)

  1. 磁気回路に結合されたフレームと、このフレームの外周部に結合されたコーン振動板と、このコーン振動板に結合されるとともに、その一部が前記磁気回路の磁気ギャップに配置されたボイスコイルと、前記ボイスコイルに一端が結合され、他端側の径が結合部より大きい円筒部と、前記円筒部の上端を覆うドーム部とからなり、前記円筒部の中心軸と前記ボイスコイルの中心軸が5°以上傾斜してなるスピーカ。
  2. 円筒部とドーム部に囲まれた空間に吸音材を設けてなる請求項1記載のスピーカ。
  3. 円筒部とドーム部、及びそれらに含まれる部分の合計質量がコーン振動板の有効質量に対し、その差を40%以下とした請求項1または2記載のスピーカ。
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