JP2009054668A - X線検出素子搭載用配線基板およびx線検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 X線検出素子5の裏面からの反射X線による影響が抑えられた高画質のX線検出装置を提供することにある。
【解決手段】 複数の絶縁層1が積層されてなる基体1aと、基体1aの上面に形成されたX線検出素子5をフリップチップ実装するための複数の接続パッド2と、基体1aの外面に形成された複数の端子電極3と、実装領域5aの下方に配置された複数の貫通導体4aを含む、接続パッド2と端子電極3とを接続する内部配線4とを有し、絶縁層1・1間の複数において層間導体層6が、基体1aの上面への投影領域に実装領域5aが含まれるように形成され、複数の貫通導体4aは、層間導体層6と絶縁されて層間導体層6を貫通するとともに、層間導体層6・6の間に位置する絶縁層1のうち少なくとも1層において絶縁層1の積層方向に対して傾斜している。層間導体層6により反射X線を遮蔽し、反射X線による影響を抑えることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 複数の絶縁層1が積層されてなる基体1aと、基体1aの上面に形成されたX線検出素子5をフリップチップ実装するための複数の接続パッド2と、基体1aの外面に形成された複数の端子電極3と、実装領域5aの下方に配置された複数の貫通導体4aを含む、接続パッド2と端子電極3とを接続する内部配線4とを有し、絶縁層1・1間の複数において層間導体層6が、基体1aの上面への投影領域に実装領域5aが含まれるように形成され、複数の貫通導体4aは、層間導体層6と絶縁されて層間導体層6を貫通するとともに、層間導体層6・6の間に位置する絶縁層1のうち少なくとも1層において絶縁層1の積層方向に対して傾斜している。層間導体層6により反射X線を遮蔽し、反射X線による影響を抑えることができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、X線検出素子搭載用配線基板およびそれを用いたX線検出装置に関するものである。
近年の半導体技術の進歩に伴い、X線機器のデジタル化が進んでいる。また、X線画像の表示,記録や保存については、従来はフィルム等にX線画像を記録し保存していたのに対して、リアルタイムの画像表示や画像データの保存や転送が容易になっている。このようなX線機器として、例えば歯科用のX線カメラには、外部から照射されたX線を画像情報に変換するためのX線検出素子が搭載されている。
X線検出素子は、その上面に配列形成された多数のフォトダイオードとその上に形成されたシンチレータとで主に構成されており、X線検出素子に照射されたX線がシンチレータで蛍光に変換され、この光により各フォトダイオードの電圧電流特性が変化し、この変化をX線画像情報として取り出すものである。
このようなX線検出素子は、これを搭載するための酸化アルミニウム質焼結体等のセラミック基体とタングステン(W)等のメタライズ配線導体とからなるX線検出素子搭載用配線基板に搭載されてX線機器に組み込まれている。しかしながら、セラミック基体を構成する酸化アルミニウム質焼結体は、X線を透過させやすい性質を有していることから、X線検出素子を搭載してX線カメラの撮像部として用いた場合に、X線検出素子の上面に被写体を透してX線を照射すると、撮像部の後方に位置する他の部材等で反射したX線がセラミック基体を透ってX線検出素子に裏面側から侵入し、これがX線検出素子に被写体と異なる不要な映像を重畳させてしまい、そのため、この不要な映像までもがX線画像情報として変換されてしまい、その結果、正確かつ鮮明な被写体の画像が得られにくいという問題点を有していた。
このため、従来のX線検出素子搭載用配線基板は、例えば図7に断面図で示すように、その上面中央部にX線検出素子105を搭載するための実装領域105aを有する基体101と、この基体101の実装領域105a周辺から下面にかけて導出する複数の内部配線104と、下面からの反射したX線を遮蔽するための遮蔽用メタライズ層106とから構成されていた。このX線検出素子搭載用配線基板にX線検出素子105を搭載してX線検出素子105の端子電極と接続パッド102とをボンディングワイヤ107を介して電気的に接続し、端子電極103と外部の電気回路に接続される外部接続用ケーブル109とを接続するとともに、これらを密閉容器内に密閉することにより、X線カメラの撮像部としていた。これによれば、遮蔽用メタライズ層106により反射したX線がX線検出素子105の下面から侵入するのを遮蔽することができるので明瞭なX線画像を得ることができるというものであった。(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2001−94139号公報
近年のX線機器に求められる高解像度化に対応するために、X線検出素子は端子数が増加してフリップチップ実装されるようになり、これに対応するX線検出素子搭載用配線基板は、増加する外部の電気回路に接続するための接続端子の数を増やすために基板の下面全体に縦横の並びにアレイ状に接続端子を形成することが必要となっている。また、従来の静止画像のみならず、動画の撮影を行なうことでより情報量を増やし、診断の精度を上げることも要求されている。
しかしながら、従来のX線検出素子搭載用配線基板は、基体101の実装領域105aの下にX線を遮蔽するためだけの遮蔽用メタライズ層106を形成しているため、この遮蔽用メタライズ層106を避けて内部配線104を展開して形成しなければならなくなり、設計が複雑になり層数を増やす必要が出るので小型化・薄型化が困難になるとともに、内部配線104の配線長が長くなることにより高解像度のX線での動画撮影に要求される高速動作も困難となってしまうという問題点があった。
また、遮蔽用メタライズ層106を避けずに内部配線104を展開するには、内部配線104の貫通導体が遮蔽用メタライズ層106と絶縁されて遮蔽用メタライズ層106を貫通するように、貫通導体と遮蔽用メタライズ層106との間に絶縁領域(隙間)を設ければよい。しかしながら、絶縁層101を垂直に(絶縁層101の積層方向に平行に)貫通する通常の貫通導体を形成して絶縁領域を設けると、上下に位置する複数の絶縁領域が上面視で重なるので、この部分ではX線検出素子搭載用配線基板の下面から上面にかけて遮蔽用メタライズ層106が存在しなくなってしまい、反射したX線がここを通過してX線検出素子105に侵入してしまうという問題点があった。
本発明はかかる従来の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、X線検出素子の上面に被写体を透してX線を照射した際に、X線検出素子搭載用配線基板の下方に位置する他の部材等でX線が反射したとしても、反射したX線がX線検出素子に裏面側から侵入することがなく、小型かつ薄型であり、高解像度で高速な動作が可能なX線検出素子搭載用配線基板、およびこれを用いたX線検出装置を提供することにある。
本発明のX線検出素子搭載用配線基板は、複数の絶縁層が積層されてなる基体と、該基体の上面のX線検出素子の実装領域に形成された前記X線検出素子をフリップチップ実装するための複数の接続パッドと、前記基体の外面に形成された複数の端子電極と、前記基体の内部に形成され、前記実装領域の下方に配置された複数の貫通導体を含む、前記複数の接続パッドと前記複数の端子電極とを接続する複数の内部配線とを有するX線検出素子搭載用配線基板であって、前記絶縁層間の複数において層間導体層が、前記基体の前記上面への投影領域に前記実装領域が含まれるように形成され、前記複数の貫通導体は、前記層間導体層と絶縁されて前記層間導体層を貫通するとともに、前記層間導体層の間に位置する前記絶縁層のうち少なくとも1層において前記絶縁層の積層方向に対して傾斜していることを特徴とするものである。
また、本発明のX線検出素子搭載用配線基板は、上記構成において、前記貫通導体は、前記層間導体層の間に位置する複数の前記絶縁層にわたって該絶縁層の積層方向に対して傾斜していることを特徴とするものである。
また、本発明のX線検出素子搭載用配線基板は、上記構成において、前記貫通導体は、前記貫通導体の横断面より大きい層間接続導体を間に介して接続されていることを特徴とするものである。
また、本発明のX線検出装置は、上記いずれかのX線検出素子搭載用配線基板にX線検出素子がフリップチップ実装されていることを特徴とするものである。
本発明のX線検出素子搭載用配線基板によれば、絶縁層間の複数において層間導体層が、基体の上面への投影領域に実装領域が含まれるように形成され、複数の貫通導体は、層間導体層と絶縁されて層間導体層を貫通するとともに、層間導体層の間に位置する絶縁層のうち少なくとも1層において絶縁層の積層方向に対して傾斜していることから、上下に位置する複数の絶縁領域の少なくとも1層は上面視で完全に重なることがないので配線基板の裏面から侵入してくるX線のほとんどを遮蔽することができるとともに、X線を遮蔽するための層間導体層を避けて内部配線を形成しないので、X線画像の高解像度化に対応するためにX線検出素子の端子数が増えたとしても内部配線の展開が容易となり、配線長を長くする必要がないので、小型かつ薄型であり、高解像度でX線検出素子をより高速で動作させることが可能なX線検出素子搭載用配線基板となる。
また、本発明のX線検出素子搭載用配線基板によれば、上記構成において貫通導体が層間導体層の間に位置する複数の絶縁層にわたって絶縁層の積層方向に対して傾斜している場合には、上下に位置する絶縁領域が上面視で互いに完全に重なることがないので、配線基板の裏面から侵入してくるX線に対する遮蔽効果がより高くなり、より高解像度のX線検出素子搭載用配線基板となる。
また、本発明のX線検出素子搭載用配線基板によれば、上記構成において貫通導体が貫通導体の横断面より大きい層間接続導体を間に介して接続されている場合には、層間の位置ずれが発生したとしても上下の貫通導体の接続が容易となるとともに、小さい絶縁領域をより容易に形成することができるので、よりX線の遮蔽効果の高いものとなる。
本発明のX線検出装置によれば、X線検出素子搭載用配線基板にX線検出素子がフリップチップ実装されていることから、小型薄型のX線検出素子搭載用配線基板であっても、反射した不要なX線を十分に遮蔽できるので、小型化かつ薄型化が可能で高画質のX線検出装置となる。
次に、本発明のX線検出素子搭載用配線基板を添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1(a)および図2(a)は、本発明のX線検出素子搭載用基板の実施の形態の一例を示す断面図であり、図1(b)および図2(a)は、それぞれ図1(a)および図2(a)のA部を上面視した断面図である。
図1および図2において、1は絶縁層、1aは複数の絶縁層1が積層されてなる基体、2は接続パッド、3は端子電極、4は内部配線、4a,4cは貫通導体、4bは内部配線層、5はX線検出素子、5aはX線検出素子の実装領域、6は層間導体層、7は接合材である。
図1および図2に示す例では、基体1aの上面のX線検出素子5の実装領域5aに形成された複数の接続パッド2に、X線検出素子5が接合材7を介してフリップチップ実装されており、これによりX線検出装置が構成されている。層間導体層6の間に位置する絶縁層1に設けられた貫通導体4aと、内部配線層4bと、貫通導体4aと接続パッド2,貫通導体4aと内部配線層4b,および内部配線層4bと端子電極3とを接続する貫通導体4cとから内部配線4は構成されている。層間導体層6は、絶縁層1の複数の層間にそれぞれ形成されて全体として複数層が形成されていて、内部配線4とは絶縁されており、X線を遮蔽する機能を有する。
本発明のX線検出素子搭載用配線基板は、複数の絶縁層1が積層されてなる基体1aと、基体1aの上面のX線検出素子5の実装領域5aに形成されたX線検出素子5をフリップチップ実装するための複数の接続パッド2と、基体1aの外面に形成された複数の端子電極3と、基体1aの内部に形成され、実装領域5aの下方に配置された複数の貫通導体4a,4cを含む、複数の接続パッド2と複数の端子電極3とを接続する複数の内部配線4とを有するX線検出素子搭載用配線基板であって、絶縁層1・1間の複数において層間導体層6が、基体1aの上面への投影領域に実装領域5aが含まれるように形成され、複数の貫通導体4aは、層間導体層6と絶縁されて層間導体層6を貫通するとともに、層間導体層6の間に位置する絶縁層1のうち少なくとも1層において絶縁層1の積層方向に対して傾斜していることを特徴とするものである。
このことから、上下に位置する複数の層間導体層6の少なくとも1層は他の層間導体層6と上面視で完全に重なることがなく、上下に位置する層間導体層6と貫通導体4aとの絶縁領域が上面視で互いに完全に重なることがないので、配線基板の裏面から侵入してくるX線のほとんどを遮蔽することができるとともに、X線を遮蔽するための層間導体層6を避けて内部配線4を形成しないので、X線画像の高解像度化に対応するためにX線検出素子5の端子数が増えたとしても、内部配線4の展開が容易となり、配線長を長くする必要がなく、小型かつ薄型であり、X線検出素子5をより高速で動作させることが可能なX線検出素子搭載用配線基板となる。
ここで実装領域5aとは、X線検出素子5をX線検出素子搭載用配線基板にフリップチップ実装した状態での、X線検出素子5の基体1aの上面への投影領域のことである。図1(b)においては、実装領域5aはX線検出素子5の外形と同じ形状および寸法で1点鎖線で示してある。この実装領域5aは、層間導体層6の基体1aの上面への投影領域に含まれる対象としては、X線検出素子5の受光部がX線検出素子5の外形に対して小さい場合は、X線検出素子5の受光部の基体1aの上面への投影領域であればよいが、不要なX線を確実に遮蔽するためにはX線検出素子5の基体1aの上面への投影領域とするのがよい。
図1に示す例では、4層の層間導体層6・6・6・6が形成され、貫通導体4c・4a・4a・4aが層間導体層6・6・6・6と絶縁されて(層間導体層6・6・6・6との間に絶縁領域を設けて)層間導体層6・6・6・6を貫通しており、層間導体層6・6の間に位置する絶縁層1のうち最下層の1層において、貫通導体4aが絶縁層1の積層方向に対して傾斜している。この例の場合は、各層の絶縁領域の大きさが同じであるので、上面視で最下層の絶縁領域は上の3層の層間導体層6・6・6と完全に重なり、他の絶縁領域は最下層の層間導体層6と完全に重なり、配線基板の下面で反射したX線は少なくとも1層の層間導体層6により遮蔽される。
図2に示す例は、図1に示す例の貫通導体4a・4cの径を大きくし、貫通導体4a・4cを図1と同様に配置した場合である。この例の場合は、図2(b)に示すように、上面視で最下層の層間導体層6の絶縁領域の一部は上の3層の層間導体層6・6・6の絶縁領域と重なっているので、極めて少量ではあるが、配線基板の下面で反射したX線が遮蔽されずにX線検出素子5に侵入する場合がある。このような場合は、図3に図2(b)と同様の断面図で示すように、最下層の貫通導体4aの傾斜する向きを変えることにより、上下の絶縁領域の全てが重なる部分がないようにするのが好ましい。このようにすることで、実装領域5a内において配線基板の上面と下面との間に少なくとも1層の層間導体層6が存在することとなり、配線基板の下面で反射したX線に対する遮蔽効果がより高まる。
図4(a)は、本発明のX線検出素子搭載用基板の実施の形態の一例を示す、絶縁層1を透視して貫通導体4aの配置がわかるようにした透視側面図であり、図4(b)は、図4(a)のA部について上面から絶縁層1を透視した透視上面図である。
図4に示すように、上記構成において、貫通導体4a・4a・4aは、層間導体層6・6の間に位置する複数の絶縁層1・1・1にわたって絶縁層1の積層方向に対して傾斜していることが好ましい。これにより、その上下に位置する層間導体層6と貫通導体4aとの絶縁領域が上面視で互いに完全に重なることがないので、配線基板の裏面から侵入してくるX線に対する遮蔽効果がより高くなり、より高解像度のX線検出素子搭載用配線基板となる。
より好ましくは、図4(b)に示すように上面視して上下の絶縁領域が重ならないようにすると、図4(b)に示す例のように4層の層間導体層6・6・6・6を有する場合は、実装領域5a内において配線基板の上面と下面との間に少なくとも3層の層間導体層6・6・6が存在することとなり、配線基板の下面で反射したX線に対する遮蔽効果がより高まる。
図5(a)は、本発明のX線検出素子搭載用基板の実施の形態の一例を示す断面図であり、図4(b)は、図4(a)のA部について上面視した断面図である。図5において、8は層間接続導体である。
図5に示す例のように、上記構成において、貫通導体4aは、それぞれ積層方向において貫通導体4aの横断面より大きい層間接続導体8を間に介して接続されていることが好ましい。これにより、X線検出素子搭載用配線基板を作製する際に絶縁層1・1間の位置ずれが発生したとしても上下の貫通導体4aの接続が容易となるとともに、層間導体層6と層間接続導体8との間では小さい絶縁領域をより容易に形成することができるので、よりX線の遮蔽効果の高いものとなる。層間接続導体8を形成しない場合は、貫通導体4aと層間導体層6との間の絶縁領域の大きさは、絶縁性を確保するのに必要な寸法に貫通導体4aと層間導体層6との位置ずれ量を加えた大きさとしなければならないのに対して、層間接続導体8を形成する場合は、層間導体層6と層間接続導体8とを導体ペーストの印刷により同時に形成することで絶縁領域の寸法を絶縁性を確保するのに必要な寸法だけにすることができる。また、貫通導体4aの上に層間接続導体8があることで、貫通導体4aとその周囲に形成された層間導体層6との高さの差がなくなるので、セラミックグリーンシートを積層して作製する際に上下層の貫通導体4a・4a同士の接続が容易となるとともに、複数の絶縁層1を積層した際にこの高さの差が累積されて配線基板の上面の平坦性が低下することがなくなるので、X線検出素子5の実装信頼性も向上する。
基体1aは、複数のセラミックスから成る絶縁層1を積層して形成してなる、略四角平板状のものである。セラミックスは、例えば酸化アルミニウム質焼結体,窒化アルミニウム焼結体,窒化珪素質焼結体,ムライト質焼結体,ガラスセラミック質焼結体というような、従来よりセラミック配線基板に用いられている絶縁性のものを用いればよい。X線検出素子5を高速で動作させるために、内部配線4として電気抵抗の小さい銅(Cu)や銀(Ag)等を用いる場合は、これらと同時焼成可能なガラスセラミック質焼結体のような低温焼成セラミックスを用いるのが好ましい。
基体1aは、絶縁層1が酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、酸化アルミニウム・酸化珪素・酸化マグネシウム・酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機バインダ・溶剤を添加混合してスラリーを作製するとともに、これをドクターブレード法等のシート形成方法によりシート状となして複数枚のセラミックグリーンシートを得て、次に、これらのセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施すとともに上下に積層してセラミックグリーンシート積層体となし、最後にこのセラミックグリーンシート積層体を還元雰囲気中にて約1600℃の温度で焼成することによって製作される。
接続パッド2,端子電極3,内部配線4,層間導体層6,および層間接続導体8は、基体1aと同時焼成により形成される、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、銀(Ag)等の金属粉末を主成分とするメタライズから成るものである。同時焼成により形成するために、各導体層は同種の金属粉末を主成分とするのが好ましい。これらが、例えばタングステンメタライズから成る場合であれば、平均粒径が1〜5μm程度のタングステン粉末に適当な有機バインダ・溶剤・必要に応じてセラミックスやガラスの粉末を添加混合して得た金属ペーストを絶縁層1となるセラミックグリーンシートにスクリーン印刷法等により印刷塗布しておき、セラミックグリーンシートと同時焼成することにより得られる。内部配線4の内、貫通導体4a,4cは、スクリーン印刷法等により印刷塗布する前に、セラミックグリーンシートに金型やピンによる打ち抜き加工やレーザー加工により予め貫通孔を形成しておき、この貫通孔に金属ペーストを印刷法により充填しておけばよい。
貫通導体4aを絶縁層1の積層方向に対して傾斜するように形成する方法としては、セラミックグリーンシートに貫通孔を形成する際に、貫通導体4aが形成される絶縁層1となるグリーンシートの主面に対して傾斜する貫通孔を形成すればよい。グリーンシートの主面に対して傾斜した貫通孔を形成するには、セラミックグリーンシートを打ち抜くピンや金型をセラミックグリーンシートの主面に対して傾けて打ち抜き加工を行なえばよい。このとき、このセラミックグリーンシートの主面を水平にして打ち抜くピンや金型を傾斜させてもよいし、ピンや金型を鉛直方向に打抜くようにしてセラミックグリーンシートを傾斜させてもよい。また、セラミックグリーンシートに感光性組成物を添加して、露光および現像することにより貫通孔を形成する場合は、露光する光をセラミックグリーンシートの主面に対して傾斜させて当ててもよい。
貫通導体4aの絶縁層1の積層方向に対する傾斜角度は、セラミックグリーンシートへの貫通孔の形成の容易さからは約60°以下(セラミックグリーンシートの主面に対して30°以上)とするのがよく、45°以下(セラミックグリーンシートの主面に対して45°以上)がより好ましく、貫通導体4aを傾斜させることにより上下の層間導体層6における絶縁領域が重ならないようにするには、約15°以上(セラミックグリーンシートの主面に対して75°以下)であるのが好ましい。そして、貫通導体4aの径に応じて絶縁領域をずらす量を定め、これと絶縁層1の厚みとに応じて貫通導体4aの傾斜角度を決定する。なお、絶縁層1の積層方向に対する傾斜角度(絶縁層1の主面に対する傾斜角度)は、絶縁層1の厚みが厚いほど小さく(大きく)することができる。
例えば、直径100μmの貫通導体4aを厚さ300μmの絶縁層1の主面に対して45°の傾斜角度(絶縁層1の積層方向に対して45°の傾斜角度)で設けて上面視すると、貫通導体4a上面と下面との間には約140μmの間隔があり、貫通導体4aと層間導体層6との間に幅50μmの絶縁領域を設けても上下の絶縁領域が重なることはない。また、直径100μmの貫通導体4aを絶縁層1の主面に対して60°の傾斜角度(絶縁層1の積層方向に対して30°の傾斜角度)で設け、同様の絶縁領域を設ける場合は、絶縁層1の厚みが450μmであれば、貫通導体4a上面と下面との間には上面視して同程度の間隔があり、上下の絶縁領域が重なることはない。
また、貫通導体4aの絶縁層1の積層方向に対する傾斜角度は、貫通孔の形成の容易性から見ると、同一の絶縁層1内では同じ方向に同じ角度で傾斜しているのが好ましい。異なる絶縁層1間では貫通導体4aの傾斜の方向や角度は異なっていても構わないが、同一の絶縁層1内では、セラミックグリーンシートに貫通孔を形成する際に同一の角度で加工を行なうことで効率よく形成できるので、同じ角度であるのが好ましい。
上下に位置する複数の貫通導体4aが、絶縁層1の積層方向と同じ方向に絶縁層1を貫通するものを含まないと、即ち貫通導体4aが複数の絶縁層1にわたって絶縁層1の積層方向に対して傾斜していると、上下に位置する層間導体層6と貫通導体4との絶縁領域が互いに完全に重なることがなく、配線基板の裏面から侵入してくるX線に対する遮蔽効果がより高くなるので好ましい。さらに、貫通導体4aが複数の絶縁層1にわたって絶縁層1の積層方向に対して傾斜していても、傾斜角度および方向が同じだとその傾斜角度と同じ角度で侵入してくるX線が通過してしまう場合があるので、上下に位置する貫通導体4aは傾斜角度や方向を異ならせるのが好ましい。傾斜角度を異ならせても傾斜の方向が同じ場合は、最下層の貫通導体4aが基体1aの平面方向の偏った位置に形成され、内部配線層4bの引き回しが困難となる場合があるので、図4に示す例のように傾斜の方向を異ならせるのがより好ましい。
貫通導体4a,4cの横断面形状は、図1〜図6に示すような円形以外の多角形や楕円形でもよく、同一の絶縁層1内または異なる絶縁層1・1間で貫通導体4a,4cの横断面の形状は同じでもよいし、異なっていてもよい。貫通孔を近接して多数形成すると、貫通孔間のセラミックグリーンシートにクラックが発生しやすくなるので、横断面形状が多角形の場合はクラックの発生しやすい角部の角度が大きい六角形以上の多角形が好ましい。角部を有さない円形や楕円形は、クラックが発生しにくく、また金型の偏磨耗も発生しにくいのでより好ましい。
貫通孔を形成する際に同じ金型やピンあるいは加工条件を用いて効率的に製造するためには、貫通導体4a,4cの横断面は同じ形状で同じ大きさのものが好ましい。
層間導体層6および層間接続導体8は、タングステン(W),モリブデン(Mo),銅(Cu),銀(Ag)などの金属材料が耐熱性や導電性等の点で好適に使用される。X線の遮蔽効果は、用いる金属材料の原子量に応じて異なり、原子量が大きいほど遮蔽効果が高い。タングステン,モリブデン,銅,銀の原子量は、それぞれ、約184,約96,約64,約108である。なお、裏面からのX線の反射に対しては、原子量が約184のタングステンでは裏面からのX線の反射を遮蔽するには0.05mm厚みがあれば十分であるが、原子量が約64である銅の場合は約3倍の厚みである0.15mmの厚みが必要となるので、1層あたりの層厚みを厚くしたり、層間導体層6の層数を増やす必要がある。基体1aにガラスセラミックスを用いる場合は、層間導体層6等に銅よりX線の遮蔽効果の高い銀を用いるとX線検出素子搭載用配線基板を薄型にすることができるので好ましい。
層間導体層6および層間接続導体8の1層あたりの厚さは、厚くすればするほど層数を少なくすることができ、X線検出素子搭載用配線基板を薄型にすることができるので好ましいが、厚く形成するとセラミックグリーンシートとの段差が大きくなり、セラミックグリーンシートを積層した際に、層間導体層6や層間接続導体8の周囲に隙間ができて焼成時に剥がれたり、外部とつながった空隙となることで水分等が浸入して絶縁不良や内部配線4が腐食してしまったりすることがある。このため、それらの1層の厚さは30μm程度以下とするのが好ましい。また、セラミックグリーンシート上に導体ペーストを印刷して乾燥した後に金型によるプレス加工を施して導体層をセラミックグリーンシートに埋没させたり、導体層の周辺にセラミックグリーンシートを作製するためのスラリーと同様のものを印刷することにより段差をなくしたりするとよい。あるいは、導体ペーストを印刷した樹脂フィルム等の基材上にスラリーを塗布することによりセラミックグリーンシートを成形して、導体層が埋没したセラミックグリーンシートを作製してもよい。
層間導体層6は、X線を遮蔽するためのものであるので、その基体1aの上面への投影領域が実装領域5aに対応するように形成されている。図1や図2に示す例のように、実装領域5aより一回り大きいいわゆるベタパターンとすることで、X線検出素子搭載用配線基板の上面に対して斜めに侵入してくるX線を遮蔽することができるので好ましい。また、絶縁領域として、貫通導体4aと絶縁されるように貫通導体4aや層間接続導体8より一回り大きい開口を有する。貫通導体4aや層間接続導体8と層間導体層6との間の絶縁領域の大きさは、X線を遮蔽するためにはできるだけ小さい方がよいので、開口は貫通導体4aや層間接続導体8の横断面形状と相似形とし、絶縁性を考慮すると貫通導体4aや層間接続導体8の外周から約50μm以上の間隔を有するものとするのが好ましい。
層間接続導体8の形状は特に制限はないが、貫通導体4a,4cの横断面形状と相似形に形成すると、どの方向に位置ずれしても同程度にカバーできるので好ましい。
層間接続導体8の大きさは、同一の層間や異なる層間でその大きさが異なっていてもよい。図6に図5と同様の断面図で示す例のように、例えば、上2層の層間接続導体8に対して下2層の層間接続導体8の大きさを大きいものとするとよい。図6に示すような貫通導体4aの配置の場合は、全ての層の層間接続導体8を同じ大きさにすると、最上層の絶縁領域と最下層の絶縁領域とが完全に重なり、中2層の絶縁領域が互いに完全に重なるので、2層の層間導体層6でX線を遮蔽することとなるのに対して、上下の絶縁領域が重なる面積が小さくなるのでX線の遮蔽効果を向上させることができる。
なお、基体1aの外面に形成された接続パッド2および端子電極3の表面には、酸化腐食を防止するとともに接続パッド2とX線検出素子5の電極との接合および端子電極3と外部回路との接合を容易で強固なものとするために、半田等の接合材7との濡れ性に優れた、厚みが1〜10μm程度のニッケルめっきおよび厚みが0.1μm〜3μm程度の金めっきを電解めっき法や無電解めっき法により順次施すとよい。
本発明のX線検出装置は、上記のような本発明のX線検出素子搭載用配線基板にX線検出素子5がフリップチップ実装されていることを特徴とするものである。このことから、小型薄型のX線検出素子搭載用配線基板であっても、反射した不要なX線を十分に遮蔽できるので、小型化かつ薄型化できる高画質のX線検出装置となる。
X線検出素子5を実装領域5aにフリップチップ実装するには、電極パッド2への接合を周知の方法、例えば半田や導電性樹脂等の接合材7を用いた接合や、X線検出素子5に形成した金バンプ電極を用いた超音波接合により行なえばよい。
またX線検出素子搭載用配線基板と、X線検出素子5とを同じ大きさに形成すると、X線検出装置を縦横に隙間なく配列することで、X線検出素子5が二次元的に隙間無く配列されることとなるので、1個のX線検出素子5の解像度の制限を受けずに大面積で高解像度の検出ができるものとすることができる。
1:絶縁層
1a:基体
2:接続パッド
3:端子電極
4:内部配線
4a:貫通導体
5:X線検出素子
5a:実装領域
6:層間導体層
7:接合材
8:層間接続導体
1a:基体
2:接続パッド
3:端子電極
4:内部配線
4a:貫通導体
5:X線検出素子
5a:実装領域
6:層間導体層
7:接合材
8:層間接続導体
Claims (4)
- 複数の絶縁層が積層されてなる基体と、該基体の上面のX線検出素子の実装領域に形成された前記X線検出素子をフリップチップ実装するための複数の接続パッドと、前記基体の外面に形成された複数の端子電極と、前記基体の内部に形成され、前記実装領域の下方に配置された複数の貫通導体を含む、前記複数の接続パッドと前記複数の端子電極とを接続する複数の内部配線とを有するX線検出素子搭載用配線基板であって、前記絶縁層間の複数において層間導体層が、前記基体の前記上面への投影領域に前記実装領域が含まれるように形成され、前記複数の貫通導体は、前記層間導体層と絶縁されて前記層間導体層を貫通するとともに、前記層間導体層の間に位置する前記絶縁層のうち少なくとも1層において前記絶縁層の積層方向に対して傾斜していることを特徴とするX線検出素子搭載用配線基板。
- 前記貫通導体は、前記層間導体層の間に位置する複数の前記絶縁層にわたって該絶縁層の積層方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のX線検出素子搭載用配線基板。
- 前記貫通導体は、前記貫通導体の横断面より大きい層間接続導体を間に介して接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のX線検出素子搭載用配線基板。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のX線検出素子搭載用配線基板にX線検出素子がフリップチップ実装されていることを特徴とするX線検出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007217911A JP2009054668A (ja) | 2007-08-24 | 2007-08-24 | X線検出素子搭載用配線基板およびx線検出装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011090670A (ja) * | 2009-09-24 | 2011-05-06 | Terrara Code Research Institute Inc | Rfidタグ、タグリーダ/ライタ、データ管理システム及びデータ管理方法 |
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-
2007
- 2007-08-24 JP JP2007217911A patent/JP2009054668A/ja active Pending
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