JP4160702B2 - X線検出素子搭載用配線基板 - Google Patents

X線検出素子搭載用配線基板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線画像を検出するX線検出素子を搭載するためのX線検出素子搭載用配線基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば歯科用のX線カメラには、外部から照射されたX線を画像情報に変換するためのX線検出素子としてフォトダイオードセンサ素子が使用されている。
【0003】
フォトダイオードセンサ素子は、その上面に多数のフォトダイオードが配列形成されており、これらのフォトダイオードにX線が照射されることにより、各フォトダイオードの電圧電流特性が変化し、この変化を画像情報として取り出すものである。
【0004】
従来より、このようなX線検出素子は、これを搭載するためのX線検出素子搭載用配線基板に搭載されて使用されている。そして、X線検出素子搭載用配線基板は、例えば図2に断面図で示すように、その上面中央部にX線検出素子14を搭載するための搭載部11aを有するセラミック基体11と、このセラミック基体11の搭載部11a周辺から下面にかけて導出する複数のメタライズ配線導体12とから構成されていた。
【0005】
これによれば、セラミック基体11の搭載部11aにX線検出素子14を接着固定するとともに、X線検出素子14の各電極をメタライズ配線導体12にボンディングワイヤ15を介して電気的に接続し、しかる後、メタライズ配線導体12でセラミック基体11の下面に導出した部位に外部の電気回路に接続される外部接続用ケーブル16を接続するとともに、これらを図示しない樹脂製の密閉容器内に密閉することにより、X線カメラの撮像部となり、この撮像部のX線検出素子14側を被写体に対向させるとともに、この被写体を透してX線をX線検出素子14の上面に照射することによって被写体のX線映像が得られることとなる。
【0006】
なお、このようなX線検出素子搭載用配線基板においては、例えば、セラミック基体11は酸化アルミニウム質焼結体から形成されており、メタライズ配線導体12はタングステンメタライズから形成されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来のX線検出素子搭載用配線基板によれば、セラミック基体11を構成する酸化アルミニウム質焼結体は、X線を透過させやすい性質を有していることから、搭載部11aにX線検出素子14を搭載するとともに、これらを樹脂製密閉容器内に密閉してX線カメラの撮像部となした後に、X線検出素子14の上面に被写体を透してX線を照射すると、撮像部の後方に位置する他の部材等で反射したX線がセラミック基体11を透ってX線検出素子14に裏面側から侵入し、これがX線検出素子14に被写体と異なる不要な映像を重畳させてしまい、そのため、この不要な映像までもが画像情報として変換されてしまい、その結果、正確かつ鮮明な被写体の画像が得られにくいという問題点を有していた。
【0008】
本発明はかかる従来の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、搭載部にX線検出素子を搭載するとともに、これらを例えば樹脂製密閉容器内に密閉してX線カメラの撮像部となした後に、X線検出素子の上面に被写体を透してX線を照射した際に、撮像部の後方に位置する他の部材等でX線が反射したとしても、反射したX線がX線検出素子に裏面側から侵入することがなく、正確かつ鮮明な被写体の画像が得られるX線検出素子搭載用配線基板を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のX線検出素子搭載用配線基板は、X線検出素子の電極を外部に接続するためのメタライズ配線導体が形成されたセラミック基体の上面にX線検出素子を搭載するための搭載部を有して成るX線検出素子搭載用基板であって、セラミック基体の内部および/または表面に、タングステン・モリブデンのうちの少なくとも1種から成り、セラミック基体を上面視で透視した場合に搭載部と重なり合う複数層のX線遮蔽用メタライズ層を、これらのX線遮蔽用メタライズ層の合計の厚みが0.05〜0.5 mmとなるように形成して成ることを特徴とするものである。
【0010】
本発明のX線検出素子搭載用配線基板によれば、セラミック基体の表面および/または内部に、タングステン・モリブデンのうちの少なくとも1種から成り、セラミック基体を上面視で透視した場合に前記搭載部と重なり合う複数層のX線遮蔽用メタライズ層を、これらのX線遮蔽用メタライズ層の合計の厚みが0.05〜0.5 mmとなるように形成して成ることから、搭載部にX線検出素子を搭載し、X線検出素子の上面にX線を照射した場合に、照射されたX線が他の部材等で反射してX線検出素子に裏面側から侵入しようとしてしても、その侵入はX線遮蔽用メタライズ層により有効に阻止される。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を添付の図面を基に説明する。
【0012】
図1は、本発明のX線検出素子搭載用基板の実施の形態の一例を示す断面図であり、1はセラミック基体、2はメタライズ配線導体、3a・3b・3c・3dはX線遮蔽用メタライズ層である。
【0013】
セラミック基体1は、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る略四角平板状であり、その上面中央部にX線検出素子4を搭載するための搭載部1aを有しており、この搭載部1aには例えばフォトダイオードセンサ素子等のX線検出素子4が搭載される。
【0014】
セラミック基体1は、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、酸化アルミニウム・酸化珪素・酸化マグネシウム・酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機バインダ・溶剤を添加混合して泥漿状となすとともに、これをドクターブレード法によりシート状となして複数枚のセラミックグリーンシートを得て、次に、これらのセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施すとともに上下に積層してセラミックグリーンシート積層体となし、最後にこのセラミックグリーンシート積層体を還元雰囲気中にて約1600℃の温度で焼成することによって製作される。
【0015】
また、セラミック基板1の搭載部1aの周辺から下面にかけては複数のメタライズ配線導体2が形成されている。
【0016】
メタライズ配線導体2は、X線検出素子4の各電極を外部の電気回路に電気的に接続するための導電路として機能し、その搭載部1a周辺部位にはX線検出素子4の各電極がボンディングワイヤ5を介して電気的に接続され、絶縁基体1の下面に導出した部位には、外部電気回路との接続に利用される外部接続用ケーブル6が接続される。
【0017】
メタライズ配線導体2は、タングステンやモリブデン等の高融点金属粉末メタライズから成り、例えばタングステンメタライズから成る場合であれば、平均粒径が1〜5μm程度のタングステン粉末に適当な有機バインダ・溶剤を添加混合して得た金属ペーストをセラミック基体1となるセラミックグリーンシートにスクリーン印刷法等により印刷塗布し、これをセラミックグリーンシートとともに焼成することによって、セラミック基体1の搭載部1a周辺から下面にかけて形成される。
【0018】
なお、通常であれば、メタライズ配線導体2の表面には、メタライズ配線導体2の酸化腐食を防止するとともにメタライズ配線導体2とボンディングワイヤ5および外部接続用ケーブル6との接続を容易で強固なものとするために、厚みが1〜10μm程度のニッケルめっきおよび厚みが0.1 〜3μm程度の金めっきが電解めっき法や無電解めっき法により順次施されいる。
【0019】
さらに、セラミック基体1の内部および搭載部1a上面には、セラミック基体1を上面視で透視した場合に、搭載部1aと重なり合う複数層のX線遮蔽用メタライズ層3a・3b・3c・3dが形成されている。
【0020】
X線遮蔽用メタライズ層3a・3b・3c・3dは、タングステンやモリブデン等の高融点金属粉末メタライズから成り、搭載部1aに搭載されるX線検出素子4に不要なX線がその裏面側から侵入するのを防止するバリアとして機能し、タングステン等の原子量の大きな元素がX線の透過を有効に阻止する作用をなす。
【0021】
そして、X線遮蔽用メタライズ層3a・3b・3c・3dがX線の透過を有効に阻止することから、搭載部1aにX線検出素子4を搭載するとともに、これらを例えば樹脂製の密閉容器内に密閉してX線カメラの撮像部となした後、X線検出素子4の上面に被写体を透してX線を照射した際に、撮像部の後方に位置する他の部材等で反射したX線がX線検出素子4にその裏面側から侵入しようとしても、その侵入はX線遮蔽板用メタライズ層3a・3b・3c・3dにより有効に阻止されてX線検出素子4に被写体以外の不要な映像が映ることはなく、それにより正確かつ鮮明な被写体の画像を得ることが可能となる。
【0022】
なお、各X線遮蔽用メタライズ層3a・3b・3c・3dは、それぞれの厚みが10〜50μm程度であり、合計の厚みが0.05〜0.5 mmとなっている。
【0023】
X線遮蔽用メタライズ層3a・3b・3c・3dは、その合計の厚みが0.05mm未満ではX線の透過を十分に阻止することができなくなる傾向にある。他方、0.5 mmを超えると、本発明のX線検出素子搭載用配線基板が不要に厚いものとなり、本発明のX線検出素子搭載用配線基板を使用したX線カメラの撮像部の小型化が困難なものとなってしまう傾向にある。したがって、X線遮蔽用メタライズ層3a・3b・3c・3dの厚みは、0.05〜0.5 mmの範囲が好ましい。
【0024】
X線遮蔽用メタライズ層3a・3b・3c・3dは、メタライズ配線導体2と同様に、例えばタングステンメタライズから成る場合であれば、平均粒径が1〜5μm程度のタングステン粉末に適当な有機バインダ・溶剤を添加混合して得た金属ペーストをセラミック基体1となるセラミックグリーンシートにスクリーン印刷法等により印刷塗布し、これをセラミックグリーンシートとともに焼成することによって、セラミック基体1の内部および搭載部1a上面に形成される。
【0025】
なお、通常であれば、セラミック基体1の表面に形成されたX線遮蔽用メタライズ層3aの上面には、X線遮蔽用メタライズ層3aの酸化腐食を防止するために、厚みが1〜10μm程度のニッケルめっきおよび厚みが0.1 〜3μm程度の金めっきが電解めっき法や無電解めっき法により順次施されている。
【0026】
かくして、本発明のX線検出素子搭載用配線基板によれば、セラミック基体1の搭載部1aにX線検出素子4を接着固定するとともに、X線検出素子4の各電極をメタライズ配線導体2にボンディングワイヤ5を介して電気的に接続し、しかる後、メタライズ配線導体2でセラミック基体1の下面に導出した部位に外部接続用ケーブル6を接続するとともに、これらを樹脂製の密封容器で密封することにより、例えば歯科用のX線カメラの撮像部となる。
【0027】
なお、本発明は上述の実施の形態の一例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能であることはいうまでもない。
【0028】
例えば、上述の実施の形態の一例では、セラミック基体1の内部および表面に4層のX線遮蔽用メタライズ層3a・3b・3c・3dを設けていたが、X線遮蔽用メタライズ層は、セラミック基体1の内部および表面に4層設けるのに限らず、セラミック基体1の内部および/または表面に2〜3層あるいは5層以上設けてもよい。
【0029】
さらに、本発明のX線検出素子搭載用配線基板は、歯科用のX線カメラの他に、例えば宇宙観測用のX線カメラ等、他の用途のX線カメラに用いてもよい。
【0030】
【発明の効果】
本発明のX線検出素子搭載用配線基板によれば、セラミック基体の表面および/または内部にタングステン・モリブデンのうちの少なくとも1種から成り、セラミック基体を上面視で透視した場合に前記搭載部と重なり合う複数層のX線遮蔽用メタライズ層を、これらのX線遮蔽用メタライズ層の合計の厚みが0.05〜0.5 mmとなるように形成して成ることから、搭載部にX線検出素子を搭載するとともに、これらを例えば樹脂製密閉容器内に密閉してX線カメラの撮像部となした後に、X線検出素子の上面に被写体を透してX線を照射した際に、撮像部の後方にある他の部材等でX線が反射したとしても、反射したX線はX線遮蔽用メタライズ層により有効に遮蔽されてX線検出素子に裏面側から侵入することはなく、その結果、搭載されたX線検出素子によって正確かつ鮮明な被写体の画像を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のX線検出素子搭載用配線基板の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】従来のX線検出素子搭載用配線基板を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・セラミック基体
1a・・・・・・搭載部
2・・・・・・メタライズ配線導体
3a〜3d・・・・X線遮蔽用メタライズ層
4・・・・・・X線検出素子

Claims (1)

  1. X線検出素子の電極を外部に接続するためのメタライズ配線導体が形成されたセラミック基体の上面に前記X線検出素子を搭載するための搭載部を有して成るX線検出素子搭載用配線基板であって、前記セラミック基体の内部および/または表面に、タングステン・モリブデンのうちの少なくとも1種から成り、前記セラミック基体を上面視で透視した場合に前記搭載部と重なり合う複数層のX線遮蔽用メタライズ層を、これらのX線遮蔽用メタライズ層の合計の厚みが0.05〜0.5 mmとなるように形成して成ることを特徴とするX線検出素子搭載用配線基板。
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