JP2009052739A - 同期装置用の同期リング、摩擦ライニング素材、および同期リングの製造方法 - Google Patents

同期装置用の同期リング、摩擦ライニング素材、および同期リングの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、多段変速機の同期装置用の同期リング、摩擦ライニング素材、および同期リングを製造するための方法を提供する。
【解決手段】摩擦ライニングは、同期リング軸を中心にして予め決定することができる摩擦角で摩擦ライニングが円錐状に延びるように、摩擦面上の同期リングの軸線方向の同期リング軸を中心にして円周方向に、摩擦ライニングの第1の軸線方向の境界面と摩擦ライニングの第2の軸線方向の境界面の間に予め決定することができる幅で設けられている。第1の軸線方向の境界面と第2の軸線方向の境界面の間の流体に対するマクロ形状溝によって流体接続が生成されるような方法で、流体を集めおよび/または送るために摩擦ライニング内にマクロ形状溝が設けられている。本発明を使用すれば、摩擦ライニングをマクロ形状溝の領域から完全に除去することができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、同期リングに係わり、とりわけ、変速機の同期装置用の内部同期リングまたは外部同期リング、摩擦ライニング素材、および、各カテゴリにおける独立請求項の前提部分による斯かる同期リングの製造方法に関するものである。
同期リングは、ギヤ切り換え中に生じる歯車と伝動軸との間の相対速度を整合させるための、例えば、車両用変速機における機械的または自動的に切り換えることのできる変速機で使用される。この場合、対応する摩擦部材間の摩擦によって同期が得られる。このような変速機の機能、および同期処理が行われる方法は、それ自身既知であり、通常の当業者に対して、これ以上詳しく説明する必要のないだろう。
早期の摩耗から保護し、および/または、摩擦特性を改善するために、例えば黄銅または鋼等の金属または合金で形成されることが多い同期リングの摩擦内面に摩擦層を設けることが知られている。この場合、例えば、モリブデンから成る溶射層、炭素摩擦層、その他の材料から成る摩擦層等の各種摩擦層が使用されている。
使用状態で同期リングに作用する負荷が絶えず増大することにより、摩擦面の特性についても絶えず要求が増している。
この場合、例えば、溶射被覆で処理される同期リングの他に、接着剤で接合された、例えば炭素材料からなる摩擦ライニングを有する摩擦面を有する多くの同期リングが、現在普及しつつある。このような摩擦ライニングは、織製されるか、網組みされるか、または、その他の方法で処理された炭素出発材料(特に炭素繊維)から成る大きなストリップまたはマットの形で製造され、それらの大部分は、合成樹脂を含浸させて、当業者に既知の方法で熱的かつ機械的に前処理され、もって、摩擦、温度等に関する、使用中の極めて大きな要求に耐えることのできる十分な抵抗力を有する炭素被覆材料が得られる。
この方法で製造されたストリップまたはマットから必要な形状の摩擦ライニングが処理され(例えば、打ち抜きまたは裁断加工され)、次いで、適切な接着剤を用いて、主に高い機械的圧力で、多くは金属製である同期リング本体に接合される。
これらの方法は周知であり、例えば、とりわけWO 2005/03006に開示されている。
同期リングの設計に付随する周知の問題(同期過程で普通に遭遇する問題)は、関係する摩擦体間に潤滑剤膜(該潤滑剤膜は、同期過程における公知のマイナス効果を有し、摩擦体間に動圧を生じて、摩擦体間の摩擦力が劇的に減少するだろう)が生じることによって同期過程における停止動作が低減化されるという事実から生じる。
そのため、例えば、摩擦面に溶射がなされている同期リングにおいて、軸線方向に貫通するか、または、端部から端部に至る溝(同期リングが各摩擦体と密接に摩擦接触している場合でも、該溝を通って、摩擦体間を軸線方向に潤滑剤(例えば、潤滑油)が流れることができる、換言すれば、同期リングの一方の側から、軸線方向に沿って、同期リングの他方の側に流れることができる)を設けることが知られている。
これにより、同期操作中、一方の端部から他方の端部への溝内に摩擦体間の潤滑剤膜が強制的に入り込むことができることが保証されるばかりでなく、溝は一方の端部から他方の端部につながっているので、潤滑剤はこれらの溝からも外に流出できる。そのため、摩擦体間に潤滑剤の背圧は発生しない。
すなわち、溝は、周知のように、作動中に冷却剤として重要な機能を有する潤滑剤用の貯蔵ポケットとしての働きもする。
それ自身非常に信頼性の高いことを証明しているこの解決方法は、それでも、摩擦ライニング(例えば、炭素材料で作成された摩擦ライニング)に接着剤で接合された同期リングに使用されなかった。
その主な理由は、同期リングの前記製造方法に見出される。すでに説明したように、摩擦ライニングは、ある種の同期リングの摩擦面に幾何学的に整合するストリップ形状に製造され、その後で、主として高温で、多くの場合高い機械的押圧で接着剤によって同期本体に接合される。
摩擦ライニングを形成するためのストリップには、摩擦ライニングの全厚を通して一方の端部から他方の端部に続く溝を設けることができないことは明らかである。何故なら、該ストリップは、次に、個々の摩擦ライニング部片に分割し、その全てを極めて高い精度を維持しながら、特に、制御された流体力学条件を保証することができるように、非常に複雑な方法で個々に同期リングに接合しなければならないからである。このことは、現在まで解決できなかった技術的問題を提示している。このような方法を実行することができたとしても、明らかに経済的観点から見て大量生産のために使用することはできない。
これらの問題に対する解決方法を最初に開示したのは、すでに説明したWO 2005/036006A1である。その内容を、本願明細書の記載の一部として援用する。
斯様に、前記解決方法は、端部から端部に至る溝を摩擦ライニングの全幅に亘って設けることを提案しているが、この溝は、少なくとも断面において、摩擦ライニングの全厚に形成されているわけではない。このことは、橋渡し(ブリッジ)形状の領域が溝内に形成され、そのため摩擦ライニングとして同期本体部材に接着剤で接合されるストリップが依然として橋渡し部分により溝を介して接続されており、そのため、溝があっても個々の摩擦ライニング部片に分割されず、全体として、公知方法で同期リング本体に接着剤接合可能であることを意味する。
このことは、確かに大きな改善をもたらすが、一方において、溝内の橋渡し部分が、最終的に溝を通して一度に強制的に通過せしめられる潤滑油の量を制限し、特に極めて迅速なギヤ切り換えの場合にかなり不利になるであろう。他方、当然、同期リングを冷却するために必要な潤滑油が少量しか溝内に貯溜されない。
さらに、WO 2005/036006A1によるストリップの製造は比較的複雑である。何故なら、溝および橋渡し部分を製造するために幾つかの異なる作業が必要だからである。その結果、製造が比較的複雑になり、したがって高価になる。
かくして、本発明の目的は、摩擦ライニングを含む改良形同期リングを利用可能にし、また、それによって、同期リングとその摩擦部材との間の流体力学圧力の増大を、従来技術よりもよく防止することができる、かかる改良形同期リングの製造方法を使用できるようにすることである。この場合、同時に、流体(特に、潤滑油)によって同期リングの冷却がかなり改善され、同時に同期リングの極めて簡単かつ経済的な製造が保証される。
これらの目的を満足する本発明の主題は、独立請求項1、8、14の特徴部分に記載されたとおりである。
各従属請求項は、本発明の特に有利な実施形態を規定する。
かくして、本発明は、摩擦面に設けた厚さDの摩擦ライニングを含む同期リング本体を含む変速機の同期装置用の同期リングに関するものである。同期リング軸線を中心にして予め決定可能な摩擦角度の円錐形状で摩擦ライニングが延在するように、同期リングの軸線を中心にする円周方向で、摩擦ライニングの第1の軸線方向境界面と第2の軸線方向境界面の間の予め決定可能な幅で、前記摩擦ライニングが摩擦面に設けられる。この構造では、第1の軸線方向境界面と第2の軸線方向境界面の間の流体用のマクロ形状溝によって流体接続がなされるような方法で、流体を集め、および/または、送るために摩擦ライニングにマクロ形状溝が設けられる。本発明を利用すれば、マクロ形状溝の領域から完全に摩擦ライニングを除去できる。
この場合、用語「マクロ形状溝」は、プレス、打ち抜き、裁断、または、その他の手段によって、巨視的な寸法で摩擦ライニングに形成される溝を意味するものとする。したがって、この用語は、主として炭素材料における、特に表面構造または同様に空間的織製構造として、大小程度の差はあれ、常に存在するより小さな幾何学的尺度のチャネル(溝)と区別するためのものである。しかしながら、これらの構造は、遥かに小さな規模であるが、マクロ形状溝と同様に、潤滑油等の流体を送給し、または、貯蔵する機能を有する。
かくして、本発明による同期リングは、内側同期リングとしてもまた外側同期リングとしても設計することができる。すなわち、外周面および/または内周面を摩擦面として設計することができる。
この配置の場合、好適には、マクロ形状溝は、同期リング軸の軸線方向における摩擦角で円錐状に延在することが好ましく、その他の特種な形態では、マクロ形状溝が同期軸線に対して傾斜角で斜めに延在することもできる。
さらに、流体を集め、および/または、貯蔵するために、摩擦ライニング内に貯蔵ポケットを設けて、流体(例えば、潤滑油)によって同期リングの冷却を増すこともできる。
また、従来技術から分かるように、本発明によるマクロ形状溝の他に、第1の軸線方向の境界面と第2の軸線方向の境界面の間で摩擦ライニングの一方の表面に貫流溝を設けてもよい。
特に、このような摩擦ライニングは、複合材料(特に、樹脂を混合するか、または、樹脂で補強した炭素材料(特に、織製および/または編み組みおよび/またはその他の方法で製造した炭素材料)で作ることが好ましい。
同期リング本体は、例えば、鋼(好適には、C55、C80、またはC80M鋼、特にC35またはC45鋼)、および/または、例えば真鍮等の適当な合金から作成でき、本構成の場合、好適には、深絞りシート金属部材として形成される薄壁の鋼製バンドから成形されたチップ形成同期リング本体であることが好ましい。
また、本発明は、前記同期リングを製造するための摩擦ライニング素材に関するものである。この場合、マクロ形状溝は、摩擦ライニングがマクロ形状溝の領域から完全に除去されるように、予め決定することができる範囲内の厚さDおよび幅Bの摩擦ライニング素材に形成される。本発明によれば、摩擦ライニング素材は、幅bの摩擦ライニングと、該摩擦ライニングに隣接していて、リム幅を有する連続的に連結されたリムとで形成されている。
特に好適には、同期リングに摩擦ライニング素材を装着した状態で、マクロ形状溝が、同期リングの軸線方向における摩擦角で円錐状に延在するように、摩擦ライニング素材が形成される。
マクロ形状溝の他に、貯蔵ポケットを、特に流体を集めおよび/または貯蔵するために設けることもできるし、および/または貫流溝を、そこを通して例えば潤滑油などの流体の除去または流出、または潤滑油の貯蔵をさらに最適化することができる摩擦ライニングの面内の第1の軸線方向境界面および第2の軸線方向境界面の間に設けることができる。
実際には、好適には、摩擦ライニング素材は、複合材料、特に、樹脂を混合するか、または、樹脂によって補強された炭素材料(特に、織製および/または編み組みおよび/またはその他の方法で製造された炭素材料)で形成される。
最後に、本発明は、さらに、前記摩擦ライニングを用いる本発明同期リングの製造方法に関するものである。本発明方法は、以下の段階: すなわち、
同期リング本体、および、厚さD、幅Bの摩擦ライニング素材を使用できるようにする段階であって、該摩擦ライニング素材は、幅bを有するマクロ形状溝を含む摩擦ライニング、および、摩擦ライニングに隣接してリム幅を有する連続的に連結されたリムによって形成されている前記段階と、
摩擦ライニング素材を同期リング本体の摩擦面に結合し、次いで、同期リング本体に結合された摩擦ライニング素材のリムを除去する段階とを含む。
本発明によれば、マクロ形状溝の領域で、同期リング本体上の摩擦ライニングが完全に除去されるような方法でリムが除去される。
好適には、同期リング本体に対する摩擦ライニング素材の結合は、特に、接着剤および/またはプレス法(特に、熱間静水圧プレス法および/または冷間静水圧プレス法)によって行われる。
実際の使用の際に特に重要なある実施形態の場合、同期本体に摩擦ライニング素材を結合する前に、摩擦ライニング素材の打ち抜き、および/または、裁断、および/または、破断によってマクロ形状溝が形成され、或いはまた、その他の除去方法でマクロ形状溝が形成される。
リムは、同期リング本体に摩擦ライニング素材を結合した後で、切断、および/または、打ち抜き、および/または、破断によって除去されるが、任意のその他の適当な方法でリムを除去することもできる。
潤滑油の排出を改善するための、および/または、同期リングにおける潤滑油の貯蔵容量を増すための特種な場合には、同期リング本体に摩擦ライニング素材を接続する前に、貯蔵ポケットおよび/または貫流溝が、摩擦ライニング素材の打ち抜き、および/または、裁断、および/または、破断によって形成され、および/または、摩擦ライニング素材の表面にプレス成形で形成される。当然のことであるが、その他、任意の適当な方法で、摩擦ライニング素材に貯蔵ポケットまたは貫流溝を首尾よく形成することができる。
模式図を見ながら、本発明の詳細について説明する。
本発明をよりよく理解してもらうために、接着剤によって接着している摩擦ライニングまたは橋渡し部分によって接続している溝を有する特種な周知の摩擦ライニングを有する従来技術により周知の同期リングについて、図1および図2を参照しながら以下に簡単に説明する。
図3〜図8を参照しながら特種な実施形態のところで説明する本発明を、図1および図2の従来技術と区別するために、周知の機能に関連する図1および図2の参照符号にはアポストロフィが付いている。一方、本発明の機能に関連する参照符号にはアポストロフィが付いていない。
技術的背景について簡単に説明するために、図1に周知の同期リング1’の非常に簡単な実施形態を示す。図1の同期リング1’は、その上に樹脂で補強された炭素材料からできている摩擦ライニング4’が接着される内部摩擦面3’を含む金属同期リング本体2’を周知の方法で含む。
摩擦ライニング4’は、同期リング本体2’に嵌合している厚さD’幅b’のもっと大きなマットから切り抜かれ、次に例えば高圧で同期リング本体2’上に接着剤で接着される、摩擦ライニング4’の1つの側面に塗布される適当な接着剤によって、高温で同期リング本体2’上に接着剤で接合される。
設置された状態で、同期リング本体2’上に接着剤で接着されている摩擦ライニングは、次に同期リング軸6’を中心にして周辺方向5’の方向に予め決定することができる摩擦角で円錐状に延びる。
摩擦ライニング4’は、溝または潤滑油用の貯蔵ポケットを有さない非常に簡単な構造の摩擦ライニング4’であり、そのため図1の同期リング1’は、おそらく動作中のもっと大きな応力にほとんど耐えることができない。
これと比較した場合、図1と同様に、同期リング本体2’上に接着剤によって同様に接着することができる図2の摩擦ライニング4’は、かなり改善されていることを意味する。このタイプの摩擦ライニング4’は、例えば、WO2005/036006A1がすでに提案している。
図示していない同期リング本体2’に接着剤で接着される前の図2に断面を示す摩擦ライニング4’は、マクロ形状溝7’を有しているが、この溝は、一方の端部から他方の端部への溝として摩擦ライニング4’の幅全体を横切って設けられているが、少なくとも断面において、摩擦ライニング4’の全厚さD’に形成されていない。すなわち、橋渡し部分700’の形をしている領域が、溝7’内に設けられていて、そのため、摩擦ライニング4’として同期リング本体2’上に接着剤で接着される摩擦ライニング4’のストリップは、橋渡し部分700’によって溝7’の上に依然として一緒に接続していて、そのためストリップは、溝7’があっても、個々の摩擦ライニング・セグメントに分割しないが、接着剤によって接合力で接着することができ、全体として同期リング本体2’に接着剤によって接着することができる。
さらに、例えば、潤滑油のような流体用のもっと多くの貯蔵ポケット8’を、追加の潤滑油を貯蔵するために設けることができる。追加の潤滑油によって同期リング1’の冷却も改善することができる。
潤滑油に対する流体力学特性および貯蔵および冷却容量についての従来技術のこの解決方法の欠点は、通常の当業者であれば自明のことであり、本明細書の冒頭のところですでに詳細に説明した。
図3は、本発明による同期リング用の摩擦ライニング素材400である。同期リング1を製造するための図3の本発明による摩擦ライニング素材の厚さはDであり、幅はBである。予め決定することができる領域においては、同期リング1の動作準備OKの状態にある軸線方向境界面41および42の間に、摩擦ライニング4の軸線方向境界面41および42が形成され、複数のマクロ形状溝7が潤滑油を運びまたは貯蔵するために設けられる。幅Rの連続している接続リムを有するリム410は、軸線方向境界面41に隣接している。それ故、摩擦ライニング素材400の幅全体Bは、後の摩擦ライニング4の幅bとリム410のリム幅Rとを合計したものになる。
連続している接続リム401によって、摩擦ライニング素材400は、個々の摩擦ライニング・セグメントに分割しない。個々のセグメントに分割した場合には、コーティングする同期リング本体2に別々に信頼できるように接着剤で接合するのは不可能である。
摩擦ライニング素材400はリム410を含んでいるので、摩擦ライニング素材400全体を、従来技術の原理が示すように、問題なく同期リング1の同期リング本体2上に接着剤で接合することができる。製造段階での摩擦ライニング素材400を含む、本発明による同期リング1を示す図4および図5の図面は、本発明による製造方法を説明するのに特に適している。
摩擦ライニング素材400は、同期リング1の摩擦面3上の同期リング本体2に接着剤によってすでに接合されている。この配置の場合には、摩擦ライニング素材400は、リム10が、摩擦面3とその幅全体を横切って接着剤によって接触しないように、摩擦面3に接着剤によって接合される。さらに、後で摩擦ライニング4を形成し、マクロ形状溝7を含む摩擦ライニング素材400のこの領域だけが、接着剤によって摩擦面3に直接接合される。
このことは、摩擦ライニング素材400は、後で摩擦ライニング4を軸線方向に囲む第1の軸線方向の境界面41および第2の軸線方向の境界面42の間の領域内だけで摩擦面3と接着剤で接合されていて、一方、摩擦ライニング素材400のリム410は、軸線方向にその全幅Rで同期リング本体2から前に突出していることを意味する。
本発明によれば、図5に概略示すように、完成した同期リング1が得られるが、この場合、リム410は、図4のところで説明したように、同期リング本体2に接着剤で接着したあとで、その幅全体Rで除去される。このことは、打ち抜き処理によって、第1の軸線方向の境界面41に沿ってリム410を切り離すことによって、第1の軸線方向の境界面41に沿ってリム410を破断することによって、または任意の他の適当な手段によって行うことができ、これによってリム410を信頼できるように除去することができる。
説明を分かり易くするために、図6に図5の線I−Iに沿って切断したもう1つの断面図を示す。この配置の場合には、図5の断面は、図6においては、図面の一番上のところで、第1の軸線方向の境界面41および第2の軸線方向の境界面42によって軸線方向に囲まれている摩擦ライニング4を通して延びるように、一方、底部のところで図面の対向側面に、断面がマクロ形状溝7を通して延びるように正確に選択される。本発明による同期リング1のマクロ形状溝が、図2のところですでに詳細に説明した周知の摩擦ライニング4’の場合に必要であったように、橋渡し部分700’を使用しないで、摩擦ライニング4の全幅を横切って延びているのをはっきりと見ることができる。
図7および図8は、本発明による同期リング1用の摩擦ライニング4の2つの特殊な実施形態を示す。
貯蔵ポケット8、800、81、810が、例えば、冷却をさらに改善する働きをする、および全く異なる方法で設計することができる、特に潤滑油のための貯蔵容量を確保するためにさらに設けられている。それ故、例えば、摩擦ライニング4のリムのところに凹部8として形成することができる貯蔵ポケット8を設けることができる。貫通孔81の形をしている貯蔵ポケット81を設けることもできる。しかし、この場合、貯蔵ポケットも、例えば、その中に潤滑油を貯えることができ、その後、冷却に使用することができ、もはや摩擦部材間に流体力学的圧力を形成するためのものではない、摩擦ライニング4の表面44にそれぞれプレスされた領域800、810のような凹部形状でプレスすることができる。
図8は、さらに、摩擦ライニング4内のマクロ形状溝7の配置の特殊な可能性を示す。マクロ形状溝7は、同期リング軸6にほぼ平行に配置されているが、図8のマクロ形状溝7は、傾斜角βで同期リング軸6に対角線方向に整合している。
橋渡し部分700を含む貫流溝82も、例示として図8に示すように、またWO2005/036006A1が開示しているように、追加として設けることができる。
マクロ形状溝7も、例えば、湾曲した形を有することができるし、または任意の他の適当な形に設計することができることを理解することができるだろう。
さらに、本明細書にはっきりと説明したすべての実施形態は、本発明の例および特に特種な用途のために有利に使用することができるすべての適当な組合わせは理解を助けるためのものであり、通常の当業者であればすぐに思い付く展開は本発明に含まれることを理解されたい。
摩擦ライニング上に接着剤によって接着している従来技術の同期リングである。 橋渡し部分によって接続している溝を含む同期リング用の周知の摩擦ライニングである。 本発明による同期リング用の摩擦ライニングである。 製造段階での摩擦ライニング素材を含む本発明による同期リングである。 本発明による仕上げ済みの同期リングである。 線I−Iに沿って切断した図5の断面図である。 本発明による同期リング用の摩擦ライニングの特殊な実施形態である。 図7の第2の特殊な実施形態である。

Claims (18)

  1. 摩擦面(3)に設けた厚さ(D)の摩擦ライニング(4)を含む同期リング本体(2)を含む変速機の同期装置用の同期リングであって、
    同期リング軸線(6)を中心にして予め決定可能な摩擦角度(α)の円錐形状で前記摩擦ライニングが延在するように、前記同期リングの軸線を中心にする円周方向(5)で、前記摩擦ライニング(4)の第1の軸線方向境界面(41)と第2の軸線方向境界面(42)の間の予め決定可能な幅(b)で、前記摩擦ライニング(4)が摩擦面に設けられ、
    前記第1の軸線方向境界面(41)と前記第2の軸線方向境界面(42)の間の流体用のマクロ形状溝(7)によって流体接続がなされるような方法で、流体を集め、および/または、送るために前記摩擦ライニングに前記マクロ形状溝(7)が設けられて成る前記同期リングにおいて、
    前記マクロ形状溝(7)の領域から完全に前記摩擦ライニング(4)が除去されていることを特徴とする同期リング。
  2. 前記マクロ形状溝(7)が、前記軸線方向の同期リング軸線(6)の方向において前記摩擦角(α)で円錐状に延在している請求項1に記載された同期リング。
  3. 前記マクロ形状溝(7)が、前記同期リング軸線(6)に対して傾斜角(β)で斜めに延在している請求項1または請求項2に記載された同期リング。
  4. 供給ポケット(8,800,81,810)が、前記流体を集めおよび/または蓄えるために設けられている請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された同期リング。
  5. 貫流溝(82)が、前記摩擦ライニング(4)の表面(44)の前記第1の軸線方向の境界面(41)と前記第2の軸線方向の境界面(2)の間に設けられている請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された同期リング。
  6. 前記摩擦ライニング(4)が、複合材料、特に樹脂と混合された炭素材料、特に織製および/または編み組みおよび/またはその他の方法で製造した炭素材料で形成されている請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載された同期リング。
  7. 前記同期リング本体(2)が、鋼、好適には、C55、C80またはC80M鋼、特にC35またはC45鋼で形成されている請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載された同期リング。
  8. 前記摩擦ライニング(4)が前記マクロ形状溝(7)の前記領域から完全に除去されるように、前記厚さ(D)および幅(B)の前記摩擦ライニング素材に、前記マクロ形状溝が形成された、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載された同期リング(1)を製造するための摩擦ライニング素材において、
    前記摩擦層素材が、幅(b)を有する前記摩擦ライニング(4)と、該摩擦ライニング(4)に隣接していて、リム幅(R)を有する連続的に連結されたリム(410)とで形成されている摩擦ライニング素材。
  9. 前記摩擦ライニング素材が前記同期リング(1)に装着された状態で、前記マクロ形状溝(7)が、前記軸線方向の同期リング軸線(6)の方向において摩擦角(α)で円錐状に延在するように、前記摩擦ライニング素材が形成されている請求項8に記載された摩擦ライニング素材。
  10. 前記摩擦ライニング素材が、前記同期リング(1)に装着された状態で、前記マクロ形状溝(7)が、前記軸線方向の同期リング軸線(6)の方向に、傾斜角(β)で対角線の方向に延在するように前記摩擦ライニング素材が形成されている請求項8または請求項9に記載された摩擦ライニング素材。
  11. 貯蔵ポケット(8,800,81,810)が、流体を集めおよび/または蓄えるために設けられている請求項8から請求項10までのいずれか1項に記載された摩擦ライニング素材。
  12. 貫流溝(82)が、前記摩擦ライニング(4)の表面(44)内の第1の軸線方向の境界面(41)と第2の軸線方向の境界面(42)の間に設けられている請求項8から請求項11までのいずれか1項に記載された摩擦ライニング素材。
  13. 前記摩擦ライニング素材が、複合材料、特に樹脂と混合された炭素材料、特に織製および/または編み組みおよび/またはその他の方法で仕上げられた炭素材料で形成されている請求項8から請求項12までのいずれか1項に記載された摩擦ライニング素材。
  14. 請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載された摩擦ライニング素材(400)を用いる請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載された同期リング(1)を製造する方法であって、
    同期リング本体(2)、および、厚さ(D)および幅(B)の摩擦ライニング素材(400)を提供する段階であって、前記摩擦ライニング素材(400)が、幅(b)を有するマクロ形状溝(7)を含む摩擦ライニング(4)、および、前記摩擦ライニング(4)に隣接してリム幅(R)を有する連続的に連結されたリム(410)によって形成されている前記段階と、
    前記摩擦ライニング素材(400)を前記同期リング本体(2)の摩擦面(3)に結合する段階と、
    前記同期リング本体(2)に結合された前記摩擦ライニング素材(400)の前記リム(410)を除去する段階とを含む前記方法において、
    前記摩擦層(4)が、前記マクロ形状溝(7)の前記領域における前記同期リング本体(2)上で完全に除去されるように、前記リム(410)が除去されることを特徴とする同期リングの製造方法。
  15. 前記同期リング本体(2)への前記摩擦ライニング素材(400)の結合が、特に接着剤および/またはプレス法、特に熱間静水圧および/または冷間静水圧プレス法によって行われる請求項14に記載された同期リングの製造方法。
  16. 前記マクロ形状溝(7)が、前記同期リング本体(2)に前記摩擦ライニング素材(400)が接続される前に、前記摩擦ライニング素材(400)から、打ち抜きおよび/または裁断および/または破断で形成される請求項14または請求項15に記載された同期リングの製造方法。
  17. 前記リム(410)が、前記同期リング本体(2)に前記摩擦ライニング素材(400)が結合された後で、切断および/または打ち抜きおよび/または破断によって除去される請求項14から請求項16までのいずれか1項に記載された同期リングの製造方法。
  18. 貯蔵ポケット(8,800,81,810)および/または貫流溝(82)が、前記同期リング本体(2)に前記摩擦ライニング素材(400)が結合される前に、前記摩擦ライニング素材(400)から、打ち抜きおよび/または裁断および/または破断によって形成され、および/または、前記摩擦ライニング素材の表面にプレスすることによって形成される請求項14から請求項17までのいずれか1項に記載された同期リングの製造方法。
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